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避難用作品投下スレ2

35深淵に秘めたる想い:2007/04/25(水) 22:35:24 ID:.QizSAos0
「――岡崎さん、行きますよ。私達は逃げた人達の方を追い掛けましょう」
素早く朋也に命令を下すと、有紀寧は留美達が走り去った方向へ駆け出した。
柳川の姿を確認した有紀寧の心に湧き上がったのは、恐怖や焦りなどではなく、声を張り上げたくなる程の喜びだった。
有紀寧が策を弄するまでも無く、柳川とリサの対決は実現した。
自分と朋也が死に損ないの始末をしてる間に、怪物共は二人で勝手に潰し合ってくれる。
どちらが生き残るにせよ、勝った方もとても無事では済まない筈。
おまけに電動釘打ち機とガソリンにより、自分だけが飛び道具を使用出来るという圧倒的な優位性まである。
怪物狩りにはこれ以上ないくらいの、好条件だった。
自分はまず死に損ないの一般人達を悠々と始末し、それから駆けつけてくる手負いの獣を狩れば良いのだ。

有紀寧は走りながらも、口元に浮かぶ笑みを押さえ切れなかった。

   *     *     *    *     *     *

有紀寧が走り去った後の作業場で、柳川とリサは正面から向かい合っていた。
「貴様――倉田達を襲っていたのか」
「ええ、そうよ。たっぷりと痛め付けておいたから、もう少しすれば有紀寧達に追いつかれて、殺されてしまうでしょうね」
リサが無表情で告げると、柳川は鞘より日本刀を抜き出した。
「そうか。ならば早く貴様を殺して、助けに行かねばならんな」
「それは無理ね。貴方も此処で死ぬのよ、柳川」
お互いに、負けるなどとは微塵も思っていないような口振りを見せる。
「ふん……この臭い、ガソリンだろう。銃器の使えぬこの場所でなら、前のようにはいかんぞ」
柳川からすれば、不慣れな機関銃での戦いを避けられるこの場所は、最高の戦場だった。
「それはどうかしらね? 案外前より酷い結果になるかも知れないわよ」
リサからすれば、たとえ異能の力を持っていようとも、戦闘のプロで無い人間などいくらでも倒しようがある。


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