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避難用作品投下スレ2

349何が正しいのか:2007/05/20(日) 13:44:29 ID:6dkbYT1Y0
「――こ〜へいさんっ!」
聞き覚えのある声がした方に首を向けると、半日近く前に見失ってしまった少女。
自分の探し人である七海が、頬を緩めながらこちらに向けて走り寄ってきていた。
「立田っ!!」
七海の姿を認識した瞬間、浩平もまた大地を蹴って一直線に駆けた。
互いの距離はたちまち縮まってゆき、二人は役場の前で足を止めて見つめ合った。
「立田……ごめんな……」
「どうして……どうしてこ〜へいさんが、謝るんですか……?」
疑問の表情を浮かべる七海に対して、浩平は申し訳無さげな声で返答する。
「俺が余計な事を言った所為で、立田に怖い思いをさせちまった……」
七海が無事で嬉しかった――そしてそれ以上に、この少女を危険な目に合わせた愚かな自分が腹立たしかった。

だが七海はゆっくりと首を横に振った後、静かに声を洩らした。
「そんな……謝るのは私の方です。私が怖がりな所為で、浩平さんに迷惑を掛けちゃいました……」
震える声、伏せた瞳。七海の秘めたる気持ちが、嫌というくらいに伝わってくる。
七海は全く怒っておらず、寧ろ自分自身を責め続けていたのだ。
「こ〜へいさんはこんな私に凄い優しくしてくれたのに……。それなのに私は……一人で逃げ出して……。
 もっと強くならないといけないのに、私はどうしようもなく弱い子供なんです……」


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