したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

避難用作品投下スレ2

322Resistance:2007/05/19(土) 01:11:06 ID:toDWmUZw0
「…………っ」
湯浅皐月は激しく脈動する心臓を必死に鎮め、ともすれば萎縮しかねない精神を抑え込もうとする。
眼前には最悪の襲撃者であり、同時に主催側の人間でもある醍醐が薄ら笑いを浮かべながら立っている。
打ち倒された高槻は未だ地面に倒れ伏せており、今も聞こえてくる呻き声が彼の被害状況を物語っていた。
絶望的な状況に置かれている皐月だったが、それでも何とか打開策を模索しようとする。

このまま交戦を続けるのは、間違いなく愚策に過ぎるだろう。
銃も無いし負傷もしている自分達では、最早勝ち目は零に近い。
次に思い付く選択肢は逃走だが、先程醍醐が見せた巨体に似合わぬ俊敏な動き。
自分一人でも逃げ切るのは厳しいし、ましてや高槻と郁乃を連れて逃げ切るなど不可能だ。 
となれば、残された手段は一つ。
ポケットに仕舞い込んだ青い宝石へと手を伸ばし、強く握り締める。

(これを渡すしか無いの……?)
醍醐の言葉を素直に信じるのならば、青い宝石さえ譲渡してしまえば、自分達は助かる筈だ。
――だがしかし、本当にそれで良いのか?
幸村俊夫、保科智子、笹森花梨。
彼らは全員が全員、少年という圧倒的な存在から仲間を、青い石を守る為に、その命を散らせてしまった。
三人分の命を背負って生きている自分が、此処で屈服してしまって本当に良いのか?
そう考えてしまうと思考は逡巡の一途を辿ってゆき、どうしても即断を下す事が出来ない。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板