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避難用作品投下スレ2

302戦うひと、戦わないひとの結末:2007/05/17(木) 21:28:55 ID:2oIWKPFI0
銃の命中精度を上げるには近づくのが一番なのだが、身体能力が劣っている以上無闇に近づくと手痛い反撃を受ける恐れがある。
だからといって、このままずるずると戦いを続けていてはもう一人の敵が来る。もう時間的余裕は無い。
不意の一撃が必要なのだ。相手の思いも寄らないような、完璧な騙し討ちが。
考えるが、いいアイデアは浮かばない。元々あれこれ考えるのは晴子の性に合ってないのだ。
煮詰まった挙句に、晴子は最も単純な攻撃を仕掛けることにした。
「ええいくそ、もうどうにでもなってまえ!」
デイパックを盾代わりにしつつ気の陰から飛び出し撃ちを行う。こうなった以上、もう勢いだ。勢いで突き崩すしかない。
地面を蹴りながら綾香の隠れている木へと向けて走りつつ連続で発砲する。2発、3発…そこまで撃ったとき、視界の下の方からぬっ、と人影が姿を現す。しゃがんでいた来栖川綾香だった。
「飛び出してきてくれてどうもありがとう、オバサン」
下方からのボディブロー。突き上げられる拳が暴風の如き勢いで繰り出される。
それに気づき、何とかデイパックでガードしようとした晴子だったが、綾香の方が明らかに早かった。
まともに腹部にめり込んだ拳が、晴子の体をくの字に折り曲げる。続けて綾香は晴子の顔面に向けて回し蹴りを放った。
「ありがとう…やとぉ!? 調子乗るんもええかげんにせんかい、クソジャリがぁ!」
拳がめり込みはしたがその直前に腹筋に力を入れていたのである程度ダメージは軽減できた。今度の回し蹴りも早い。が、蹴りは拳に比べて隙も大きい――!
体勢を屈めて丸くなり、肩から肘を突き出して綾香の方へと体重を乗せて体当たりする。
「がぁ…!?」
肘を胸部に突きこまれた綾香が身体のバランスを失い、2、3歩後ろへと後退する。
「くっ…」
追撃を警戒し身構える綾香だが逆に晴子も数歩後退し、体勢を整え直していた。少なからず晴子にもダメージはあった。ボディへの攻撃は一撃必殺ではなく後々ダメージを及ぼす蓄積型のものだ。その点で結果的に大きいダメージを受けていたのは晴子だった。
それを即座に悟って無理に攻撃に行かなかった事に、綾香は多少なりとも感心していた。
「へぇ…意外とやるじゃない」
「はっ、そんな余裕かましてると後悔するでぇ?」
腹を押さえながらも手をちょいちょいと動かして挑発する晴子にも、綾香は動じない。
「お生憎様、これくらいの距離でも一秒もかからずに詰められる自信はあるわ。貴女が銃を構える間に薙ぎ倒すことだって出来るわよ?」
両者の距離は、およそ4メートル弱。確かに、この程度の距離だと綾香ならば一瞬で詰められるだろう。だが、綾香は一つ見落としをしていた。


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