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避難用作品投下スレ2

216天空に、届け:2007/05/06(日) 05:11:26 ID:hwEAUQBA0
「豆鉄砲で埒が開かんことは、貴様にも分かっておろう」
「……」

小さく舌打ちをして黙り込む秋生。源蔵の言葉は事実だった。
先程の超回復。否、巨体を構成する無数の夕霧を細胞と見立てた、欠損修復能力。
現状において相対するには最悪に近い能力といえた。
消耗戦に持ち込まれれば、勝機は完全に潰える。

「……何か、考えでもあるのかよ……?」
「うむ……」

秋生が苦々しげに口を開くのに一つ頷いて、源蔵が掠れた声で言う。

「気づいておるか、小僧? あれの傷の治り方……」
「時間がねえんだ、さっさと本題を頼むぜ」
「……これまで、あれに与えた打撃は三箇所。腕、脚、そして……」
「顔だろ……それがどうした」
「……それぞれの傷の治りに、差があるようだの」
「どういうことだ……?」

岩に凭れたまま、秋生が怪訝な顔をする。
記憶を辿るが、源蔵の言葉を追認することはできなかった。

「……あれの顔は完全には治りきっておらん。傷痕が残っておった」
「ん? そいつぁ……」

言外に問い返す秋生に、源蔵が首を縦に振ってみせる。

「頭が弱点なのか、さもなくば……あれの回復にも、限りがある」
「かもしれねえ、って話だろ」
「他に掛札は残っておらんからの」
「違えねえ、がよ……それで、俺のとっておきか」

納得したように頷く秋生。
手の中の銃を見る。

「細かく当てて傷が残る、ってえんなら―――」
「一度に消し飛ばしてしまえば、さて、どうなるかの」
「なるほど、確かに面白え」

傷だらけの顔で悪戯っぽく頷く秋生。
しかし僅かな間を置いて口を開いたときには、その表情は苦々しげなものへと変わっていた。

「……面白えけどよ、そいつはちっとばかし望み薄かもしれねえな」
「……今、何と?」


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