したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

避難用作品投下スレ2

20深淵に秘めたる想い:2007/04/25(水) 22:23:19 ID:.QizSAos0

内部に突入した有紀寧達は、目前に広がる光景を観察した。
最早使われていない施設なのだろうか。それともこの部屋だけが、例外なのだろうか?
工場の一室である作業場には大した設備は無く、せいぜいボイラーが数個並んでいる程度だった。
作業場の四隅には、言い訳程度に工具や雑品が幾つか転がっている。
大規模な工場の実に半分程度を占めるだだっ広い空間が、酷く寂しいものに感じられた。
そんな場所で、留美達が拙い陣形を組んで待ち構えていた。
先頭は留美、その左右に佐祐理とゆめみ。
そして三人に守られるように、後方にいるのが珊瑚だった。
有紀寧にとって一番不可解だったのが、留美達の手に持っている武器だ。
銃くらい持っている筈なのに、留美達は揃いも揃って日本刀やナイフなどの刃物で武装していたのだ。
「何のお遊びですか? そんな物で銃に勝てるとでも思っているのですか?」
有紀寧はそう言って、トカレフ(TT30)の銃口を留美に向けた。
「……随分とナメちゃってくれるわね。でも、あたし達はいたって真面目よ。ほら、撃ちたきゃ撃ってみなさいよ」
ただの強がりかどうかは分からないが、留美は口元に勝気な笑みを浮かべていた。
――何か考えがあるのか?
そんな疑問も浮かんだが、有紀寧はすぐに考える必要など無いと思い直す。
ともかく実際に撃ってみれば良いのだ。
相手が強がりを言っているだけならそれで仕留められるし、対策があったとしてもその正体は掴めるだろう。
有紀寧は銃口にかけた人差し指に、力を入れようとする。
しかしそこでリサが横からすっと手を伸ばしてきた。
「……どうしたのですか?」
「駄目よ。この場所はガソリンの臭いが充満してる……銃なんて使ったら、爆発してしまうわ」
「――――!」
有紀寧はぎりぎりの所で指を押し留め、大きく息を飲んだ。
この工場内には、気化したガソリンが充満している。即ち、銃など使ってしまえば間違いなく自滅する。
だからこそ敵は全員、火薬を用いぬ装備で武装していたのだ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板