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避難用作品投下スレ

798困惑:2007/03/29(木) 14:38:56 ID:LhiNRSkE0
   *     *     *

今回の放送では、北川の知人も多く名前を呼ばれてしまった。
ホテルや平瀬村で出会った仲間達からも沢山の犠牲者が出ていたが、それ以上に重い存在の死で北川の心は一杯になっていた。
「相沢……お前逝っちまったんだな……」
あの祐一が殺された。それは北川にとって、にわかには信じ難い事実だった。
祐一の土壇場での行動力は自分などとは比べ物にならない。仲間も、別れた時点では沢山居た筈だ。
だが放送で名前を呼ばれてしまった以上、祐一の死を疑う余地は存在しない。
目の前で掛け替えのない仲間を失った経験のある北川は、取り乱したりはしなかった。ただ――
(もうアイツとつるんで、馬鹿やれた時間は戻ってこないんだな……)
完全に喪失した日常を思うと、胸の奥がずきんと痛んだ。
「川名先輩や藤田も死んじゃったね……」
真希が横から話し掛けてくる。彼女は涙こそ流していたかったものの、とても悲しそうな顔をしていた。
「これが夢だったら良かったのにな……」
「そうね。潤と出会えなくなるのは嫌だけど、あたしもそう思うよ……」
この島で芽生えた絆だって確かにある。北川が真希や美凪と築いた絆は、親友の祐一とのそれにも匹敵する。
それでも人が余りにも沢山死に過ぎて、失う物が多過ぎて、二人はこの悪夢が醒める事を願わずにはいられなかった。

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