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避難用作品投下スレ

778狂気の果てに:2007/03/26(月) 17:43:37 ID:nzSvzy/k0
(さて――こうなった以上は確実に、一発で仕留めなければなりませんね)
強力な切り札であるコルトバイソンを使用する以上、銃弾の消費は一発で抑えたい。
一発目を外して二発目を使わざるを得なくなれば、初音を倒したとしてもこれから先の戦いが大きく不利になるだろう。
最悪の場合、二発共回避されて手痛い一撃を受けてしまう可能性すらもある。
ならばどうするか――
有紀寧は小さく溜息をついて、それからゆっくりと口を開いた。
「仕方ありません、ここで雌雄を決する事にしましょう。ですが一つだけ、貴方を殺す前にお教えしておきたい事があります」
「…………?」
有紀寧の顔に、微かに笑みが浮かび上がる。
良く言えば悪戯をする前の子供のような、悪く言えば計画を着々と進めている犯罪者のような、押し殺した笑みだった。
「――長瀬さんは、第三回放送の後に死にました。私がちゃんと殺しておきましたよ」
「……有紀寧お姉ちゃん、それは本当なの?」
初音の瞳に宿った明らかな動揺の色を見て、有紀寧は作戦の成功を確信した。
それから初音と出会ったばかりの頃の、優しい笑みを形作りながら言葉を繋いでゆく。
「あの人には苦渋を嘗めさせられた恨みもありますので、たっぷりと苦しめてから止めを刺してあげました。
 長瀬さんは最後まで――貴方を、馬鹿みたいに心配していましたよ。それなのに貴女はここで犬死にするんですから、あまりにも報われませんね?」
「祐介……おにい……ちゃん……うわあああああああああああっ!!」
初音が動物のような叫び声を上げながら一直線に向かってくる――そう、銃口の先から逃れる事すら忘れて。
人間とは錯乱してしまえば、ごく簡単な判断すらも誤るようになるのだ。
初音の精神を乱す方法は簡単、彼女にとって最早一番大切な存在となったであろう、長瀬祐介を用いて話を捏造すればよい。
「さようなら初音さん。貴女は十分に役立ってくれました」
初音はもう眼前に迫っている。有紀寧は引き金にかけた指に、静かに力を加えた。
 
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