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避難用作品投下スレ

734満たされぬ歩み:2007/03/21(水) 22:05:02 ID:qjYz5/2.0
「そうですね…それに、机の配置からして適当に並べただけというような感じもします」
茜が何気なく口にした言葉。それが智代の何かに引っかかる。この島に来た時から度々感じている違和感だ。だが、その違和感の正体について考えを巡らせるのは、今はやめた。
「奥にも部屋はあるみたいだな」
迷路のような通路を抜けると、奥にはさらに何部屋かあるようだった。恐らく、応接室や給湯室なのだろう。さらにその近くには階段も見えた。
「2階も探索するか?」
「そうしましょう。まだ予定の時間まではまだまだ余裕がありますし、この建物の構造を把握しておいて損はありません」
同感だ、と智代も頷きゆっくりと二人は2階へと足を進めた。
     *     *     *
2階は1階以上に乱雑になっていて、古い机やその他備品などが言葉通り『放置』されていた。一応物置の体裁は保っているがとても清潔感があるとは言えない。
「汚いな…ロッカーも横倒しになってるぞ。まるで地震の後みたいだな」
棺桶のように床に寝かせられているロッカーを、軽く足でつつく。カンカンというロッカー特有の金属音が音の無い室内に響く。
「遮蔽物も多いですね…隠れる分には最適だとは思います」
ダンボールの山をかき分けながら茜が奥へと進む。
「だな…人が隠れててもまず気付かない」
智代は机や床の上にばら撒かれているプリントを拾う。ここにも何かヒントになるようなものは落ちていないかと思ったのだがやれ料理のレシピだの学校で扱っているような授業のプリントなどてんでヒントにもなりそうにないものばかりだった。
「物置じゃなくて、ゴミ捨て場だなこれは」
嘆息していると、部屋を一周してきた茜が戻ってきた。
「特に何もありませんでした。本当に誰もいないようですね」
「そうか、だったらここで『自称』岡崎を待つことになるんだが…ただ待つのもな」
壁に身を預けてうーむ、と悩む。それを見た茜は、「こんなのはどうでしょう」とあるアイデアを持ち出す。
「罠?」
「そう、罠です」
茜が持ち出したアイデアはこの役場に罠を仕掛けてやってきた人物を迎撃する、という内容だった。確かに自分達に有利な状況で戦えるというのは魅力的ではある。
「…だが、関係ないというか乗っていない奴が引っかかったらどうするんだ」
「そこはそれ。仕掛ける場所を限定するんです。例えば2階とか…つまり、戦闘になったらさっさと撤退して罠を使いながら迎撃するんです」
なるほど…と智代は感心する。武装の貧弱さは地の利でカバーする。戦闘にならなくても無駄にはならないだろう。用心に用心を重ねる事は悪い事ではない。


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