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避難用作品投下スレ

648誇りに懸けて:2007/03/14(水) 12:57:56 ID:m6Hl9Iu.0
しっかりと大地を踏みしめ、足に力を入れて、撃たれ続けながらも朋也は彰に飛びつき押し倒す事に成功した。
倒れる直前、イングラムの銃口が反れて今度は肺を直撃したが痛くはなかった。痛覚が麻痺してしまったのだろうか。
彰と共に地面に倒れる。その時かすかにだが、足音が遠ざかってゆく音が聞こえた、ような気がした。由真と風子が逃げていったものだと、信じたい。
でなければ、こんなことをした割に悲し過ぎる結末だ。
「くそっ、どけよっ!」
朋也の下敷きになった彰が押し戻そうとする。しかし朋也も残された力を振り絞り彰の体を押さえこむ。
「まだ…行かせるわけには…いかないんだよ」
「死にかけのくせに…! さっさと死んで楽になれっ!」
横からイングラムを撃とうとするがカチ、カチッという音しかしない。弾切れだった。
「ぐっ…そこまで命を張って…何になるっていうんだ!」
朋也に力が残っている限りは状況をひっくり返せないと思った彰は悪態をつくしかなかった。
「誓った…からに決まってるだろ」
「何…? 誰にだよ」
「あんたは、その美咲さんとやらに殺してでも生き残ると誓ったんだろ? 俺は仲間を生き残らせるとついさっきだけど、誓った。――自分の、誇りにだ」
「………!」
彰が言葉を失う。呆れたのか、何か思うところがあったのか、そんなこと朋也には分からない。
だが…それでも、目的を達成できた自分に――

腕から力が抜け、彰がようやく体を押し戻す。再び立ちあがった彰の目には、山林の風景しか映っていなかった。
朋也を見下ろす。彼は既に、死んでいた。

――満足だった。


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