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避難用作品投下スレ

606(空腹に)負けるな国崎往人!:2007/03/06(火) 00:53:46 ID:v5MNipJQ
先程少年との激闘を演じた国崎往人はあれから休みを取る事無く、神岸あかりと共に山越えを続けていた。
往人としてはあの厄介な少年を野放しにしておくのは非常に都合が悪い。援軍が来てくれたお陰で何とか命は繋いでいるものの、来てくれていなかったら確実に、そうコーラを飲むとゲップが出るくらい確実に死んでいた。
あの少年にかかっては観鈴や晴子の命などいくつあっても足りやしないだろう。
今度こそ、絶対に仕留めねばならないと往人は思った。
「はぁ、はぁ…く、国崎さん、待って下さい〜」
呼ばれて、ようやく往人はあかりが息も絶え絶えに着いて来ていることに気付いた。
「は、速すぎますよ…っ、痛…」
背中を押さえるあかり。手当てはしたものの所詮は応急手当の上にあかりは女の子だ。ついて来れなくて当然だ。
だのに『放っておいてさっさと行ってしまおう』という結論に達しなかったのはあかりが女性だということに起因していた。いくら外見が怖くても国崎往人も紳士なのである。
旅は道連れ世は情けというからな。
聞こえないように往人は呟くと、「少し休憩にするぞ」とぶっきらぼうに言って適当な木に身を預けてそのままずりずりと地面に腰を下ろした。歩き詰めだったために何とも言えない疲労感が妙に心地よい。
「ありがとうございます…ふぅ、つかれた…」
往人の対面にあかりが座り、ぐったりと頭を垂れる。余程体力を消耗していたのだろう。
普通に考えてあかりくらいの年の女の子なら今頃は布団の中で夢を見ている最中だ。
野外で寝ていたところ、幾度となく夜中に何を勘違いしたか市民が国家権力にテレチョイスして追いたてられた事のある往人なら(主にすぐ逃げるため)どこでも寝たり起きたりできるがあかりはそうはいくまい。
「浩之ちゃん…雅史ちゃん…それに他のみんなも…無事なのかな? 会いたいな…」
顔を上げないままあかりが言う。その声はいつもにも増して弱々しい。溜まりに溜まった疲労が精神に影響を及ぼしているのだろうと往人は思った。
これまでの会話でも一度も聞いていないが、恐らく放送でも死んだ友人はいるだろう。往人のほうはまだどの知り合いも放送では呼ばれていないが――これだけ時間が経っているのだ、誰かが死んでいても…
そこまで考えて、やめよう、と往人は思った。こんなことに頭を使うのは性にあってないからだ。あかりに何か声をかけてやろうかとも思ったが、同様にそういうことも苦手だ。
「…メシは食ったのか」
なので、取り敢えず健康の心配をしてやることにした。
あかりは少し顔を上げて力なく首を横に振った。
「なら、メシにするぞ。少しでも食って体力を回復しろ」


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