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避難用作品投下スレ

424ため息:2007/02/13(火) 11:43:12 ID:an3MsS0g
「宗一くんは眠たくないの?」
「俺はいつでも眠りたいときに眠れるんだ」
「ふ〜ん、便利な体なんだね。羨ましいなぁ。ね、じゃあ一時間おきに寝たり起きたりできるの?」
「ああ、勿論だ。何なら今ここで実演してやろうか?」
「ウソばっかり〜」
今度はさっきよりいい笑顔だった。…けど、ウソじゃないんだけどなあ。職業柄、どこでも寝られるようにしている。
「…そうだ、古河はどうなんだ? あいつは眠っているのか」
渚の名前を口に出すと、佳乃はばつの悪そうな顔をしたが、しかしはっきりと言った。
「寝てるよ。でも…泣いてた。泣き疲れて…寝ちゃったみたいだけど…やっぱり、ものすごく辛いんだね、きっと」
「…そうか」
やはり渚は強い人間だった。人前では決して涙を見せずに…むしろこちらを宥めてくれたりもした。
「…けど、少しくらいこっちに寄りかかってもいいのにな。一人で抱え込むには…大き過ぎるんだ、これは」
「そうだね…」
そのまま二人の間に沈黙が流れる。気まずい空気になっていた。宗一はそんな空気を少しでも変えようと、佳乃にM29を手渡す。
「持っとけ。古河の親父さんが持ってたやつだ。古河は…たとえどんな状況でも人を撃てるような子じゃない。ああいや、佳乃が人をバンバン撃つような危ない奴って言ってるわけじゃないんだが…
まあ、その、なんだ。こいつで、自分の身や古河を守ってやってくれ」
佳乃の手に乗っているM29は、その手に余るくらい大きいものに見えた。
「でも…これは、人を殺す道具…だよ?」
「…佳乃や古河の命を守る道具だ」
もう一度、M29を握らせる。非情な行為だった。最低の人間だな、と宗一は思う。女性に鉄砲持たせるなんざ紳士のすることじゃないのに。
「…持っとくよ」
目にはまだ殺人の道具を持つ事への不安の色が見えていたが、それでもしっかりと自分でM29を握る。


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