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避難用作品投下スレ

420姉と弟:2007/02/11(日) 19:02:40 ID:nlusYtBc


「ゆ、雄二ぃぃっ!!」
環が起き上がって、雄二に走り寄る。そして、雄二の体を抱き起こし、その顔を眺めた。
雄二の死に顔は、彼の狂気をそのまま表していた。血走った目は見開かれたままだった。
その顔にかつての雄二の面影は無いが――それでも今環が抱いている体は、間違いなく弟のものなのだ。
「生き延びろって言ったのに……どうしてあんな事したの……?」
雄二の体はまだ温かい。だが、死んでいるという事は確かめるまでも無かった。
環の目から止め処も無く涙が溢れ出す。
「あんた昔からそうよ……。人の言う事を聞かなくて……勝手な事ばかりして……。あんた馬鹿……本当に馬鹿よ……!」
環は雄二の死体に縋り付いて、この島に来てもう何度目かになる涙を流し続けた。





「はぁ、はぁ……」
爆発音が聞こえた後、柳川は一人でその音がした方向へ走って行ってしまった。
そのペースは凄まじく、二人にはとてもついて行けなかった。ようやく現場に辿り着いた時には、もう戦いは終わっていた。
そこには死体に縋り付いて泣いている女性と、それを顔を僅かに歪めながら眺める、柳川の姿があった。
辺りを見渡すと、もう一つ、別の死体――まだ佐祐理達はその正体を知らないのだが、藤田浩之の幼馴染。
赤い髪の少女、神岸あかりの死体も転がっている。
銃弾で、爆発で、蹂躙された土地は荒れ果てており、正しく地獄と呼ぶに相応しい様相を呈していた。


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