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国家特別潜入児童心理カウンセラー

25猫目ニボシ:2011/03/24(木) 19:49:55
「先輩、おはようございます。ご飯出来てますよ」



「…ありがとう、理代子」


翔子に親しげに話かける女性の名は、
久川理代子と云う。
理代子は潜入監査に当たるメンバーの為のサポート要員で。
彼女はその演技力を生かし。
求められば“保護者”から“教諭”まで、
そつなくこなす正に“役者”だった。



そう、お察しの通り。
肉体年齢“7歳”まで退行した翔子には、
独り暮らしは困難で。
理代子はそんな彼女を危険から守る為に、
局長の命令で。
翔子と共に暮らしているのだ。



「それにしても、先輩、朝方人間なんですね。
私なんか、毎朝、起きるのがしんどくてしんどくて」


「……子供の方が血圧高いから目覚めがいいのよ。学校で習わなかったの理代子?」



「ははっ、子供に戻っても辛辣な物言いですね…先輩」



無論、翔子とて理代子が嫌いな訳ではない。
だが、チャイルドチェアに座りながら朝食を食べるのも。
退行して敏感になった鋤鼻器官をくすぐる、
理代子の甘い体臭や化粧から漂うフェロモンが、
翔子に自身の“肉体”や“立場”を嫌でも実感させ。
たまらなく憂鬱な気持ちにさせるのだ。




―ランドセルって重い―
幼少時代は当たり前に背負い。
屈託のない笑顔を共にしてきたランドセルだが、
この真新しいランドセルと云う名のキャンバスは、
暖色系ではなく寒色系の色合いを刻むことになりそうだと翔子は思っていた。
無論、それは物理的な重さからくる、
肉体の負担ゆえではないのだ。
確かに、小柄な翔子の肉体にはそれの重さは堪えるが。
それは、微々たる問題でしかなく。
本当に憂慮すべき問題は――



―はぁ…私は大人なのに―


そう、本来は大人である翔子にとって、
ランドセルを背負い。
ひらがなで書かれた《1ねん1くみ・みくもしょうこ》と云う名札を付けるなど。
屈辱以外の何物でもなく。
姿見に映しだされたあどけない“児童”を見るたび、
激しい屈辱や恥辱感に苛まれるのだ……。


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