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【試験】ここだけ魔術のある世界 置きレス進行スレ【運用】
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非リアルタイムの絡み・イベント用スレです。
長期間の間がある置きレス(レスの書き置き)で進行してゆくスレです。
参加者同士で時間の都合が合わない場合や、イベントの長期化が予想される場合などに活用しましょう。
スレ立ては
>>900
>>950
>>980
>>1000
その他注意事項などは通常の本スレ参照。
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>>497
「友だち?……なんで!?別に一緒に来なくても大丈…うーん、いや大丈夫だから!
それに会わなきゃいけないって言っても直ぐには会えないよ。ここよりももっと遠くに居るの」
エメから離れるように進んでいたほうへと行くが、少し歩いた所で振り返って
革製のジャーキンや手袋、キュロットなどかなり旅なれた感じの格好をしており
帝都に住む者からすれば少々浮いているようにも見える
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>>498
「もっと遠く?」
エメのとがった耳が僅かに反応する。
「遠くって、魔界よりもか?」
冗談をふっかけるような顔から、真剣に何かを気にする顔にかわる。
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>>499
「ち〜が〜うっ、そこまで遠くないよ〜!
もう、何だか調子狂っちゃう…」
エメの大げさなリアクションに一々驚いたり呆れたりと忙しなく
「別に、距離はそんなに問題じゃないんだけどね。私にはルゴサが居るしすぐに飛んでいける
悩んでいるのは里の……お母さんや、おじさん達の事。
私はこの帝国よりもっと東の生まれで、無理言って飛び出してきたような感じだからさ
お兄さんはどうなの?」
近くの家の壁にもたれかかり、空を見上げて
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>>500
「俺か?俺はぁー……」
言葉を詰まらせ、同時に四方八方をキョロキョロと見渡す。
「西か東かわかんねぇーけど、実は魔界から来ちゃったんだよねー俺。で、帰り方わからない」
帰り方がわからないという、よく考えれば不幸な境遇にあるにも関わらず、
どのような心境なのかは不明であるが笑顔を浮かべる。
半分は諦めが由来の笑いなのかもしれない。
「でもいちおー家族居るから、俺も色々旅をして帰り方を調べている真っ最中なのである」
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>>501
「あっ……そうなんだ、えっと……ごめんね」
彼の言葉と笑顔を見て、なんだか自分が悪い事をしてしまったと感じて
「そうなんだ、それなら帰り方を見つけるのも大事だけど……せっかくだからここでもっと楽しんでいってよ
私もここに来て色々なものを見たり、聞いたり、触ったり、味わったりしたからさ
もしも帰り方を見つけて帰ったら、そのまま二度と戻ってこないかもしれない。そうなった時のために、さ
……そうだ、ルゴサに会ってみる?私の友達で、こ〜んなにおっきなドラゴンなの!」
両手で天を仰ぎ、大きさをアピールする
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>>502
「かまへんかまへん」
とはいいつつも、何も考えていないエメはサンチェリーが何故謝ったのか理解できなかった。
「そうだなァ……
ドラゴンか」
以前魔界で食べたフライドラゴン(ドラゴンの腿肉を揚げた物)や翼揚げ(名前の通り翼をカラッと揚げた酒のつまみ)
は美味かったなぁ……ということを思い出しにやけるが、
「ん、トモダチ?えーモシモシ?トモダチって言った?」
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>>503
「そう!トモダチ!背中に乗って、一緒にどこへでも飛んでいくの!
今は配達のお仕事もないし、乗ってみる?ルゴサが良いって言ったらだけど……たぶん大丈夫だよ」
ドラゴンの事を話している時の彼女はとても楽しそうだ
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>>504
「お、そうだな、ちょっと乗ってみたい。
どうでも良いけど、俺の世界にはドラゴンをトモダチって言うヤツはたぶん居ないから、驚いた」
何か珍しい物を見るような視線をサンチェリーに向ける。
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>>505
「う〜ん、人間もドラゴンももっと仲良くなってほしいんだけどねー
私たちが橋渡しになれば良いなあっていつも思っているの
よし、それじゃ行こう!太陽が落ちるのも早くなっているし、急ごっ!こっちこっち!」
そう言うとサンチェリーは街行く人々の間を縫うように走り出した
先程までの悩み事を吹き飛ばすかのように
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>>506
「それなら、ルゴサってドラゴンのとこまで競争だな!」
サンチェリーが人々の間を縫っていくのに対し、
エメは人々の上を跳躍し前進していく。
一度に3人くらいを飛び越えているので、ちょっと速い。
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>>507
「わっ、すごい!よーし、負けないよ!」
サンチェリーも身をかがめて一生懸命に走る。目指すは街の東門
「ふう、ふう……なかなか早いね、私も走るのは自信あったんだけど……
それじゃあルゴサを呼ぶね。ちょっと待ってて……」
少しの間息を落ち着かせてから、空を見上げて暫し目を閉じる
すると、門の外側の遠くの空から白い影が近づいてくる。近づくにつれて竜の形をしている事が分かってくる
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>>508
「こんくらい、ちょろぶっ!!」
よそ見をしながら跳び跳ねていたため、門の柱に勢いよく激突し、
鼻血を垂らしながら大の字に倒れこむ。
「おひ、ルゴハはんへるぷ」
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>>509
「……あ〜らら。ちょっとちょっと、こんな所で……ルゴサ、中に入ってきて」
城壁一枚飛び越えてルゴサが中に入ってくる。全身を覆う白い毛の一部が宙に舞った
竜使いがいるとはいえ、衛兵は不審な動きが無いかこちらを注視している
「この人はともだち。ちょっとおちゃらけた感じだけど、悪い人じゃな……え、どうしたの?」
竜の大きな瞳がエメの近くまで迫る。少しの間、彼の事を睨むかのように見ていたが
やがて顔の横側をエメにくっつける。するとエメの肉体に活力が涌き、痛みと出血が次第に引いていく
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>>510
「お、おっ!!!」
身体に漲るエネルギーを感じ、気分を高揚させるエメ。
「なんと、ドラゴンの愛のパワーで俺様全回復!!これでどこへだって行けるぜ」
激しく動き回り、元気アピール。
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>>511
「愛のパワー……なのかな?
この子がルゴサ。ちょっとドラゴンっぽくないけど、ちゃんと空だって飛べるし氷の息だって吐けるんだよ
私が住んでいる所はもっといろんなドラゴンがいるの」
喜ぶエメと、静かに佇むルゴサを見て機嫌良さそうな笑みを浮かべるサンチェリー
「ほら、外行こっ。ここじゃ狭いし、衛兵さんがこっち見てる」
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>>512
「なーに、俺んとこのドラゴンは一に食欲二に食欲、みたいなアホドラゴンばっかだし。
それに比べりゃ全然賢いドラゴンさ」
とはいうものの、悲しいかな、エメも同レベルであるということに気付いていない。
「じゃあ、レッツらゴーだぜ!!」
何故か門をくぐらず、よじ登って街の外へ出る。
その不可解な行動によって、むしろ衛兵の視線を集めている。
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>>513
「えーっ!?ちょっと、門が閉まる時間にそれやったら大変だよ!」
サンチェリーがルゴサに飛び乗ると、ルゴサは大きく羽ばたいて空へと飛び上がる
強い風が市壁と街の隙間に流れる
「……よしっ」
エメが丁度上りきった頃を見計らい、彼のすぐ近くをルゴサに横切らせる
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>>514
「よっこいしょぉぉ!!」
ちょうどエメの目の前を横切るタイミングでルゴサへ飛び乗る。
「とと……!」
振り落されそうになりつつ、なんとか留まる。
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>>515
「よいしょっと……よーし、飛べー!」
エメを引っ張り上げて二つ目の鞍に乗ったのを確認すると、サンチェリーは大空を指差して叫ぶ
するとルゴサはぐんぐんと速度、高度を上げつつ街の外へと飛んでいく
飛行に集中し、静寂を保つルゴサとは対照的にサンチェリーは飛んでいる間もやかましい
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>>516
「ほっほほほほーい!!」
サンチェリーに負けじと、騒がしく奇声を上げているエメ。
「あれ、どこ行くんだっけ?まあいいか!ハハハァー!」
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>>517
「ふふっ、中々やるね!普段はもっと速度を落とすんだけど……竜使いになれるんじゃない?
よし、それじゃもっと低い所も飛んでみよう!
行きたい場所ある?今ならサービスで片道無料にしてあげるー!」
ルゴサは再び高度を下げた。いくつかの魔術師の森や河川を過ぎ去っていく
もしも落ちてしまったら地面までの距離が近いぶん助けにくくなるだろう
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>>518
「俺様は天才だからな!」
と、どこかで聞いたようなことを言いながら、確かに竜の上でバランスをとるのは上手い。
もっとも、過去にそのような経験があったのかもしれないが。
「行きたいところか…何も考えてなかったからなー!山方面?」
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>>519
「山なんて行って何するのー!?よーし、それじゃあルゴサ――」
サンチェリーが呼びかけると、飛行するルゴサの周りに光の粒が浮かび上がってこちらに近づき――
「飛ばせーーー!!」
爆発音と共に光の粒が一気に弾けたかと思うとルゴサがこれまでの倍以上の速度を出し、光の軌跡を残しながら平原を、森を、丘を突っ切り
霊山を横切って更に東へ向かう。暫くすれば帝国ともおさらばしてしまうだろう
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>>520
「うほ、これは疾えぇー!」
殆どうつ伏せに近い状態で何とか態勢を保つ。
「何するかは、後で考えればいいんだ!」
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>>521
「ひゃほーーー!!!」
神速と共に空気を引き裂く唸るような音が暫く続くが、やがてルゴサは滑空状態となり徐々に速度を落としていく
地上が視認出来るようになる頃になると、そこは低木がまばらに生え、草原や岩肌の広がる山々だった
「それにしても、ルゴサずいぶん飛ばしたね。とりあえず、高い所に下りよっか」
山の出っ張り、見晴らしの良い部分にルゴサは降り立つ。竜もさすがに疲れたのか、荒く息を吐いている
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>>522
「おつだぜ」
魔族であるエメも中々の速度に興奮したのか、ため息を一息つく。
「よっこいしょ。で、俺様がやりたかったのはだな……」
指で〇を作り、そこから見える地上を一通り眺める。
「……まぁ、あるわけ無えか。魔界の入り口なんて」
地上を眺めるのをやめ、寂しげに肩を落としながら足元に無造作に座る。
「でも、ここの空気は澄んでいてウマいな!俺様でも違いがわかっちゃうぜ」
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>>523
「ん?なになに、何か見えるの?……入り口?」
エメが指で作った輪の中を覗こうとしながら
「そうだね!ここから火を焚いていそうな所も見えないし、風も気持ちいいね
それにしても……ほんとに山って感じの場所に案内しちゃったけど、大丈夫?
私は里に戻るつもりだからこのままで良いんだけど」
野生馬などがちらほら見える以外は本当に何も無い所だ
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>>524
「え?そりゃ、こうすりゃ遠くが見えるだろー?」
もう一度指で〇を作り、サンチェリーに○の向こう側を覗かせるが、
特にモノが良く見えたりという効果はない。
「……お?あぁ、別にこのくらいの高さの山なら走って帰ることもできるしかまわねーよ。
俺より、オマエは良いのかよ?会いたくない人に会うとか言ってたけど、気持ちは整ったのか?」
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>>525
「?」
暫くエメの作った輪を覗いていたが、飽きたのか程なくして顔を引っ込めた
「うん……どのみち会わないといけない事だから。ルゴサだって里の竜だし……
それにお兄さんと一緒にすっ飛ばしたらちょっと気が晴れた。だから大丈夫、心配してくれてありがとっ♪」
言いながらサンチェリーは再びルゴサの上によじ登る。一夜を明かすのにもう少し良い場所を選ぶのだという
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>>526
「詳しい事情は知らないけど、上手くいくと良いな。不安をかかえてっと、心がダメんなっちゃうみたいだしよ」
竜に跨がるサンチェリーを見上げたあと、周囲を見回す。
寄り道する場所を探しているのだろう。
「あと、誤解を解いておくと、俺はもう400年は生きてる立派な"お父さん"だぜ!
というわけで……アレ、オマエ名前なんだっけ?」
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>>527
「ええっ!?お父さん?……っていう事は、子供もやっぱり魔界に?」
裏返った声でエメの言葉を反芻した
「……でも、やっぱりお兄さんで良いよ。にあわないし
あっ、そういえば名前言ってなかったね。私はサンチェリー。この子は……もう言ったと思うけど、ルゴサ
帝都の辺りとか、北のほうとかあちこち回っているから乗りたかったらまた呼んでね!
私もお仕事だからちゃんとお金はもらうけど」
ルゴサに跨りながらぺこりと頭を下げた。竜は変わらず堂々たる様子でエメを見ている
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>>528
「子供と言っても、100越えたのに、家出して連絡も寄越さねークソガキだけどなー。」
肩を落としながらため息をつく。子は親の背を見て育つと言うが…
「料金か、任せとけ!帝都の道端探し回ると結構貯まるんだぜ!」
集め方が間違っているが、それがエメという男の本質の一部…なのかもしれない
「じゃあ、サンと呼ぶぜ。次会うときまで元気でな!」
最後に魔族らしからぬ言葉をサンチェリーに送りながら、山の斜面を足場から足場へ、跳びながら下っていく。
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「買い物完了……次は洗濯」
大通りをてくてく
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「散歩がてら、姐さんに何かお土産でも買って帰るさね」
大通りをてくてく
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「よし…掃除終わりっと」
ちらっと縁側から裏の蔵を見やる。
「あそこもたまには掃除してあげないとね。
でも入るにはシロウの許可が必要かしら」
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-時計塔-
「最近寒くなってきやがったです!!
その証拠にクソ蟲どもが厚着してやがるです!」
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>>529
「わかった!そっちこそ元気でね!」
サンチェリーの言葉と同時にルゴサが飛び立った。暫くの間エメの頭上をくるくると回り、そして更に東へとゆっくり飛び去っていった
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「冬というのは試練の季節です、しかし、それは神が我々をより幸せにする為の試練なのです
辛いこと、苦しい事を知らない人間は自らを過信し神の言葉に耳を閉ざし、やがて破滅してしまいます
辛い冬を共に乗り越えてこそ、人々に優しさが芽生える――そう思いませんか?」
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>>535
レーナ「( ?ω? ) スヤァ…」
ヴェーラ「( ?ω? ) スヤァ…」
タマラ「…おっと」
ヴェロニカ(起きてなさいって…)
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>>536
「あの、教会はお昼寝に来る所ではないんですが……」
ミツバナ区の教会の聖堂にて、机の前で四人の堕天使に居座られて
人っ気はなく、日差しはほんのり柔らかに降り注ぐ
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>>537
レーナ「ん…あっ…」
ヴェーラ「寝てないし寝てない…ありがたいお話聞きに来ただけだし…」
タマラ「こんないい天気なのがいけない。」
ヴェロニカ「あなたたちねえ…あ、これお布施です。」
適当に散歩しててふらっと入って説法を聞きながら寝たらしい。
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>>538
「あ、どうぞお気遣いなく……」
気を損ねてしまったかもしれないと丁寧に受け取って
「といっても、普段もだいたいこんな感じなんですけどね
熱心な方々はもっと大きな教会の、私よりもっと立派な司祭様のお話を聞きに行かれますし
それにしても、噂には聞いていましたが……」
堕天使が珍しいのか興味深そうに四人を見て
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>>539
レーナ「いやぁ、サインならいつでも…」
ヴェーラ「困るなー有名人はー…」
タマラ「あー…別に敬虔な信徒に変なことは吹き込まないから安心して。」
ヴェロニカ「そうね、別に罪を犯して天を離れたってわけでもないから。」
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>>540
「うーん、お気持ちは嬉しいのですが今はご遠慮させてもらいます」
「というと、堕ちた訳ではなく自分から降り立ったと?
より神に近い存在である筈の貴女達が神を棄ててしまうなんて……」
そうせざるを得なかったのだろうかと心の中で考える
その時聖堂の扉が開き、小さな子供達がこちらに走ってきた
『シャルムねーちゃん、遊ぼっ!』
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>>541
レーナ「そのへんはちょっと…」
ヴェーラ「個々人に事情があって…」
タマラ「天はそんなに住みよいとこじゃなかったとだけ…」
ヴェロニカ「第二の人生を歩みたかったってだけね、私たちの場合は。」
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ドラグノフの地に幾人かの帝国軍人…いや、この表現を彼らは嫌うだろう。東部軍人が訪れた。
侵入ではない。しかし、帝国政府に許可を得てはいない。
ドラグノフ連邦に連絡こそしているが、本来外交権を持たぬ彼らを相手にする義務はない。そんか不安からか、彼らの表情は暗い。
「上手くいくでしょうか?」
「さあな? しかし、成功しなければ我々もエレリも終わる」
1番幼い兵が、1番の年長に声をかけた。
帯刀こそしているが鎧などは装備していない。
侵略の意図が無いことを示す訳ではない。軍の近代化に成功した彼らの軍は重い鎧を全廃しているのだ。
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>>543
「ようこそ、東部の諸君。ドラグノフの地へ。父祖の地、父祖の墓場へ…」
城壁の門が開き、毛皮のコートとウシャンカを身にまとった将校らしき人物と兵卒が出迎える。
商工に武器らしい武器はない。だが兵卒の方は竜の鱗と骨で作られたラメラアーマーと兜を装備している。
「ここディーテグラードは、最前線で有り続けた。私の父も、諸君らの父や兄弟も眠る。」
顎でしゃくると、城壁には墓碑や胸像が並んでいる。
「立ち話もなんだ。落ち着いて話せる場所に行こうじゃないか。」
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>>544
「それは助かる。この寒さは堪えるよ」
将校の申し出を素直に受ける。
「私はリィン・ル・カル。そしてこいつはツィスカ伍長だ。でこっちが……ま、続きは暖かい所でしよう」
リィンが付けている階級章は少佐だ。見た目は30前後にしか見えない。だとするとかなりのエリートだ。
東部がこの技術交流にどれだけ期待しているかが伺える。
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>>545
街の中をしばらく歩き、ほぼ中央にある軍管区施設に案内される。
途中には攻防戦時の廃墟が少なからず見受けられた。
「これらの廃墟は戦争の記憶でね。あえて残しているんだ。」
施設の会議室に入ると暑いくらいの暖房が聞いていた。
会議室の中には白衣を着た技術者が控えていた。
着席するとお茶が運ばれる。
「ま、自己紹介と行こうか。私は保安委員会のズゴフスキー大佐。彼はアカデミーのペトレンコ君。」
「よろしく。」
「さてと、落ち着いたところで」
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>>546
「帝国との戦いの記憶かね? 我々東部は遠征軍には参加していないから、あなた方と戦火を交えた事は…いや、南部独立の軍事顧問団とはやりあったか?」
使節団は興味深そうに街並みを眺めている。中には手帳を取り出しメモを取ろうとした者もいたが、それは少佐にたしなめられた。
会議室に招かれると各々外套を脱ぎ着席した。
「これはこれは大佐殿この度は……いや、社交辞令はやめにして本題に移りましょうか」
「東部軍の実情をどれだけ把握しているかはわかりませんが、常設6個大隊しか存在しません。これは領地を守るだけでも不十分であり、帝国の従軍要請に応じるのも困難です」
ただの周囲を宗主国に囲まれ、敵国が周囲にいない東部が防備を考えるのは疑問が残る。それに、常設6個大隊といっているが実態は名前を変えているだけで軍規模の兵力を擁しているのは、少し調べればわかる。つまりはただの建前だ。
「そこで我々はあなた方の銃に目を付けた。銃は兵の育成が魔術師に比べればかなり容易だからだ。現在我が軍は魔機などで銃の様な物を作り補っているが、これも全く魔術の素養が無い者には扱えない」
間を作る為にお茶を一口飲み、
「我々は銃を欲している。ただ、購入したいのではない。そんな事ならこの地までは来ない。無論相応の対価を払う用意はある」
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>>547
「ああ、そちらの事情はわかった。十分に分かった。」
「しかしながら、属国とは言え貴国の宗主国と我が国のあいだには、重大な不信感が横たわっている。」
口を湿らせてひと呼吸置く
「具体的には何を対価に?信頼するに足るものを頼むよ。」
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「帝国の機密情報は売れませんよ。簡単に売るのはあまり信用できないでしょう? だから、我々も技術を提供しますよ。魔術は後進国的な貴国にとっては悪い話ではないかと思います。フゥルナンド君あれを」
名前を呼ばれた男が立ち上がり、
「基礎魔術研究所のフゥルナンド技術中尉です」
簡潔に自己紹介を済まし机に小さな玉を置いた。
「これは精霊爆弾と呼ばれる魔道大戦の遺物です。周囲の魔元素を減少させ魔術の効果を低下させる物ですが、私達が改良し、殺傷力をつけ加えました。魔導具なので魔術の素養は必要ありません」
次に取り出されたのは精霊爆弾よりはやや大きめ青色をした宝玉だ。
「増幅器と結界魔術が組み込まれた物です。簡易的な結界を生みだせますが効果はこの宝玉のサイズに依存します。これはサンプルですので、精々蚊帳ぐらいの力しか持ちませんが大型化すれば陣地防備の要となりえます。しかし、こちらは多少魔術が使えないと扱いこなすのは難しいでしょうね」
「ご苦労。いずれも我々が実用化した物です。技術者を派遣し製造指導はお約束しますよ。後は魔術師を派遣し魔術学園なども可能ですが、いかがでしょう?」
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>>549
「なるほど。誠意を認めよう。銃については輸出?それとも現地生産?」
技術者を顎でしゃくる。
「最新型の連発式ライフル銃です。輪胴式で6連発。」
「こちらは同じく輪胴式ピストル。いずれもトライアル中です。」
いずれも輪胴式の連発銃だ。クレムリンのものと異なる点は
金属薬莢を使用しておらず、いずれもパーカッション式であるという点だ。
「金属薬莢は、未だ高コストであるため量産化の目処が立ちません。」
「こちらについても技術者の派遣、製造、訓練は受け持とう。現地生産の場合だがね。」
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>>550
「輸入は難しいでしょう。帝国から必要以上に睨まれる事になりますから東部にて製造したい」
「それに先立ち、あなた方の国で我々の技術者達に機械工学や製造技術を指導して頂きたい」
ツィスカとフゥルナンド以外の者が頭を下げた。どうやら彼らは東部の技術者らしい。
「同時に本国で製造ラインの構築指導も願いたい機材に関してはいくつかの商会を使いバラバラに輸入する手立てを用意してあります」
「我々も本国に連絡し魔術師達を派遣いたしますが……そちらも留学希望でしたらその様に手配しますよ」
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>>551
「認めよう。ペトレンコ君が指導する。」
「大筋はこんなもので、あとは事務レベルのすり合わせだな。」
「父祖の墓しかないところだがゆっくりしていくといい。」
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>>552
「ええ、買い付けもしたいので何日か滞在させて頂きますよ」
少佐は名刺を二枚取り出し、
「大佐殿が贔屓の商会等ありましたら優先的に利用させて頂きますよ」
名刺にはエレリ商会とケンルロジスティクスと書かれていた。
「あなた方は外貨を我々は口銭を共に繁栄しようじゃありませんか」
どうやら貿易商も兼任しているらしい。
ともあれ、これを機にドラグノフと東部の交流が始まった。成果が出るのは先のことだろう。
帝国もこの動きには気がついている。しかし、具体的なアクションは起こせずにいる様だ。精々東部に警告するのが限界だろう。
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長閑な穀倉地帯。帝国の台所というわけではないが、そこそこに肥えた土地には多くの民が集まり、生産物を売りさばく商人も遅れて集まった。
歴史が古い街ではない。帝国建国から数十年後にできた街だ。
歴史も伝統もなければ過去のしがらみもない。そんな空気を好む移住者は多く他の街とは違った雰囲気を作り出している。
だが、ここ数カ月ほどは長閑な雰囲気は消えている。
以前からあれくれ者は少なからず居たが、自警団で対処できるレベルであった。
しかし、徒党を組み盗賊団として組織され他地方の盗賊も集まった結果大規模な盗賊団となり街の平和を脅かし始めた。
事態を重く見た駐在官は騎士の派遣を要求したが、十分な戦力が集まらず
苦肉の策としてギルドにも依頼を出した。
その結果、騎士、冒険者、傭兵の寄り合い所帯となった。
駐在官の頭を悩ませる寄り合い所帯討伐隊は無事に盗賊を退治できるだろうか?
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>>554
「良いながめだなぁ」
馬車から降りたレノは、都会とは違いどこまでも田畑の続く景色を見て、まず真っ先に呟いた。
本来であれば囚人である立場ゆえ、当然自由に外へ足を運ぶことは不可能。
しかし、先日の襲撃事件の対応に追われた騎士団は十分な騎士を派遣することができず、比較的信頼のある囚人に制限をつけ、派遣することに決めた。
制限のひとつとして武器の所持は禁止されているため、レノは丸腰でこの地へやってきた。
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>>555
街の空気は良いとは言えなかった。
中央広場に屋台は一件もなく。商店も戸を閉ざしている。
ま、盗賊団が跋扈していれば当然とも言えよう
「お兄さん、こんな田舎に何しに来たの?」
騎士の平服に剣だけを下げた少女……と呼ぶにはもう無理のある女性が声をかけてきた。
値踏みするように下から上まで眺め、
「騎士ではなさそうね? 冒険者? 傭兵? 浮浪者?」
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>>556
「俺は傭兵のレオン。事務所に盗賊討伐の仕事が偶然回ってきてね」
正確に自分を表す言葉を言えばトラブルの基になりかねないので、かなりソフトに包んだ自己紹介をする。
「そういうあんたは、地元の人でいいのかな?」
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>>557
「身なりをみてわからない?」
「あたしはアントニーア・リヒャルダ・アウグスタ・シャタウンヘンベルク。帝国騎士よ?」
剣をよく見れば騎士団の紋章が薄汚れてはいるが入っている。
「名前は長ったらしいからアーシャでいいわ。私も幼少学校でるまで噛まずにフルネーム名乗れなかったしね」
「で、俺は傭兵のレオンさんは盗賊を討伐しに来たの? それとも盗賊に加勢しにきたの?」
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>>558
「アーシャさんね。一応、所属の確認はしておくべきかと思ってね」
乾いた愛想笑いで誤魔化す。
「ん?俺の目的はな…」
と言いかけたところで、突如女性の胸元に向けて鋭い拳を突き出す。
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>>559
「あはは、強引だね。溜まってたのかにゃ?」
レオン拳はアーシャの胸に当たっていた。豊満ではないが、柔らかな感触はあるだろう。
思惑とは違う結果になっただろう。拳を躱し、ダメージを受けない程度に胸を当てたのだ
「威勢がいいのは嫌いじゃないけど少女に乱暴する人は好きじゃないかなー?」
少女の部分を若干強調気味に言った。際どい年齢になると低い方に行きたがるのが人の性だろうか?
「所属は決まっているの? あー来たばっかりじゃ決まってないよね?
一応討伐隊をまとめてるちょっと偉い騎士がメンバー割り振ってるけど貴族出のぼんぼんだからあんまり当てにならないよー」
「あ、これが討伐隊本部の地図ね」
手渡された紙は超アバウトに書かれた地図だった。これならあってもなくても変わらないレベルだ。
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>>560
俺の目的は、こいつに自分の立場を弁えさせることだ。と一瞬考え、すぐにすべて忘れることにした。
「っていうか、俺が盗賊側じゃねーのわかってるじゃねーか。無駄な質問しやがって。
あとこの地図じゃわかんねーだろ、早く案内しやがれ」
ガミガミと説教垂れながら、レノにとっては子どものお絵描きのような地図を突き付ける。
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>>561
「えー、あたしは今から7段重ねクレープ食べにいくの!
スケベなレオンさんと遊んでる暇はないんだけどな」
胸元で人差し指を合わせて年齢的にちょっと無理がある仕草をとった。
際どい年齢というのは色々と難しいのだ。
「第一、仕事が回ってきたってことはあの優柔不断でロリータ趣味の駐在官の依頼でしょ?
多分名簿には載ってるから当日顔合わせでも大丈夫だって!」
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>>562
「スケベは否定しないが、アンタにスケベって言われると何故か腹が立つぜ」
なんとも残念なアーシャを前に哀れみや呆れ等、様々な感情が入り雑じった溜め息をついた。
「そういうことか。でも、どうせなら周辺散策がてら、自分で本部まで行ってみるかね
ということで、クレープでもなんでも行って良いよ。悪かったな。」
そう言って、レノは一人本部方面へ足を運ぶ。
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>>563
「……可愛い女の子が食事に誘ってるんだけど付き合わないのは帝国紳士としてどうなの?」
「ま、あたしはどっちでもいいけどね。貴族騎士様より駐在官の所に行った方がいいわよ
ちょっと偉いからって煩い騎士よりロリロリな駐在官をお勧めするわ」
今度は地図はない。おそらく見なくてもわかるということだろう。
どの街でも大抵は一番でかい建物が正解だからだ
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「若い人は元気ですねえ・・・。」
東方の修行僧の装束を身につけた女はつぶやいた。
衣類同様ボロボロになった笠からは肩で切りそろえられた銀髪と
長い睫毛に赤いアイシャドーの切れ長の目が覗いている。
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>>565
「あら、今日は色んな人が訪れるのね?
変わった身なりだけど浮浪者? それとも盗賊にやられて身ぐるみ剥がされちゃった?」
「あ、でもその髪なら娼婦にされるかカツラの材料にされそうだからただの浮浪者さんかな?」
相変わらず失礼な女性は神乃の元に近づいた。
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>>564
「アンタが"女子"でなく"女性"だったらタイプだったんだけどな」
あまり期待はしないが、年相応の仕草をしてくれるようそんなことを言い残して行った。
「さて……とりあえず、一番目立つ建物を目指すかね」
独り言を呟きながら、街の一番大きな建物へ向かった。
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>>566
近づくと野良犬のような獣臭と汗の臭いが鼻をつく。
「いえいえ、私は旅の僧侶です。
ですが、路銀が底を尽きたので背に腹は代えられず『ぎるど』で仕事を受けてきたのですよ。」
照れ笑いを浮かべながら頭を掻く。
一応水浴びぐらいはしているようだが、僧衣のスペアは1着しかないのであろう。
肩に担いだ棒からそれらしきものが水を垂らしている。
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>>567
建物の入口にはレカカイ駐在所と書かれた看板と守衛であろう騎士が二人立っていた。
「貴方は? 今は警戒中なので身分を証明するものがなければはいれませんよ」
実直そうな若い騎士だ。なるべく感情を出さずに事務的に話をしてくる。
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>>568
「神に仕える人でしたか。どんな神を信じているかはわからないけど風呂ぐらい入った方がいいわよ」
「うーん。まずは汗を流しにいきましょうか。その身なりじゃボンボン騎士もロリロリも相手してくれなそうだから
ついでに依頼書も見せてねー。偽物だったら追い返しちゃうんだから」
神乃の手を取り、湯屋にに連れて行こうとする。
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>>570
「神を信じるというか、己を高めるというか・・・っと、おろろ。」
そのまま引っ張られていく。
「ああ、あったあった。依頼書はコレです。」
小汚い袋から折りたたまれた依頼書を出して見せる。
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>>569
「盗賊退治の依頼を見て来たんだが、詳しい話を聞きに来た。」
帝都市民としての身分証明書を提出する。
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>>571
「あーはいはい。オッケーオッケー」
依頼書をチラっと確認すると神乃に返した
偽物でないことを確認したかったのだろう。
湯屋は帝都にある豪勢なものではなく。小さな宿と併設されていた。
「商人用に豪華なところもあったんだけどねーこういうとこのほうが落ち着くでしょ?」
受付の今にも死にそうな老婆に入浴料を払うとそのままズケズケと脱衣所へ入って行った。
田舎なこともあり男湯、女湯といった概念は無いようだ。
「あ、大丈夫大丈夫。変な男はもうみんないないから」
もういないというとこが引っかかるが……。
>>572
「ありがとうございます。どうぞお通りください」
警備は案外ザルなようだ。身分証程度で通されるのだから。
盗賊でも元市民ならば身分証は持っている。逮捕歴がなければ経歴もクリーンなままだ。
中は豪華絢爛ではないが、素朴で綺麗な作りだ。
一番奥の扉には駐在官室と書かれたドアがあり、丁度ドアが開いた。
「あら、お客様? 私にかしら?」
アーシャの言葉通りロリータファッションをした少女が。
見た目年齢的にも仕草的にもアーシャとは違い本当に少女だ。
「私はアレクサンドラ・マリア・レカカイ・アウリーン。レカカイ臨時駐在官よ」
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>>573
「・・・ええと、できれば誰もいないほうがいいのですが・・・。」
脱衣所でキョロキョロしながらしどろもどろになっている。
棒(槍)から着物をとって乾き具合を確かめたり、
中の気配をうかがったりと
服はおろか笠すら脱がずにオロオロしている。
お尻のあたりにぶらさげたおおきな銀狐の尾も心なしか揺れているように見える。
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>>574
アーシャはすでに服を脱ぎ去っていた。
身体は縫い傷がいくつかあることを除けば少女らしい身体つきだ。
「あー、もしかして服着たまま風呂入るタイプ?
あの婆怒ると怖いから郷に従った方がいいよ」
尾に関しては気が付いているだろうが、特に触れる様子はないようだ。
配慮なのか、そもそも抵抗がないタイプなのかまでは推し量れないだろう。
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>>573
「ああ。俺は傭兵として派遣されたレオン。
俺は何せ、盗賊退治の依頼ってこと以外は何も聞いてないから、せめて集合時間くらいは聞いておこうと思って来たんだが、多忙かな?」
返却された身分証明書をかなり乱暴にポケットに突っ込む。
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>>575
「いえ、そういうわけではないのですが・・・。」
髪を掻くとほんのりと藻の匂いがする。
川で水浴びをするぐらいだから裸に抵抗があるわけではない。
そう、裸になることそのものには。
道具袋や腰から下げていた金剛杵(知らない人が見れば腕力鍛錬の重りに見えるだろう)を外すも、
笠すら脱ごうとせずに、中に誰か居ないか気にしている。
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>>576
「いえ、面会者とお会いさせて頂くのも駐在官の務めですので」
「討伐に関しましては騎士様に伺ったほうがよろしいかと思います
人員は私が集めましたが作戦に関してはお任せしていますので」
アーシャの言っていた事とは若干違う。
単純にこのロリファッション少女に合わせる為だけにここを勧めたのだろうか?
「……アーシャさんにここに来るように言われたりしたんですか?」
一瞬の間の後少女が言った。思い当たる節があったのだろう。
>>577
どうやら他の客はいないようだ。
「あー、身体に傷があって見られたくないとか?
大丈夫大丈夫、あたしもこんなんだから」
早口でここはどこそこでここはこれこれでと傷の説明を始めるアーシャ。早口が酷くてあまり聞き取れないだろう。
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>>578
「いえ、傷とかではないんですが・・・。」
「実は私、悪い妖怪を退治するのが本業なのですが、
その時に呪いを受けてしまいまして、それで皆さんに不快な想いをさせるのではと・・・。」
往生際が悪い。
ちなみにギルドでも同様の嘘をついている。
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>>578
「……貴族騎士より、駐在官の方に行った方が良いと言われたが、違うのか?」
アーシャとの話の矛盾に、多少イラつくも、
なんとか押さえて冷静に会話を続ける。
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>>579
「んー、どうしてもっていうなら一人で入ってきなよ
入口は見張ってるからさ」
そういうとアーシャは再び服を着始めた。
「ほら、あたしは気にしないけど、気にする面倒な輩もいるからね
絡まれるのは嫌でしょう? だから獣臭は少し薄めた方がいいわ」
「じゃゆっくり旅の疲れを癒してね。部屋も借りておくから」
一人になれるように脱衣所を出ていく。
だが、途中で振り返り、
「名乗り遅れたけどあたしはアントニーア・リヒャルダ・アウグスタ・シャタウンヘンベルク。長ったらしいからアーシャでいいわ
貴方の配属は第二遊撃隊ね。討伐隊の隊長にはあたしが話を通しておくわ」
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>>580
「顔に出ていますわよ。でもわかります。変わった方ですもんね」
少女の顔が綻んだ。実に優雅に笑う少女だ。
「アーシャさんから言付けを受けていたんですよ。
あたしの紹介で駐在所を訪ねた人は全員第二遊撃隊所属するようにって」
「人事権はあたしにあまり無いのだけど……ほんと無理ばっかり言う方ですよね」
そして手渡された紙には湯屋の地図が描かれていた。
なんとも回りくどい勧誘だ。
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>>581
「は、はい、すみません。」
脱衣所から出て行くのを確認してから服を脱ぐ。
が、途中で振り返られる。
「・・・・・。」
小柄な割に均整のとれた裸身の腰から狐の尾が直接生えており、
笠をとった頭は耳があるべき場所からツノが、頭頂部から狐の耳がピョコンと生えていた。
よくよく見ると眼も何か動物的であり、
衣服を纏っていないのに体からは洗ってない犬のような獣臭がする。
霊障というにはあまりにも自然すぎるほどに。
そのままアーシャを見ながら滝のような汗を流して青ざめて固まっている。
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>>583
「やっぱり可愛いじゃない。可愛い亜人は面倒な男に絡まれやすいもんね」
うんうんと勝手に納得するアーシャ。
ただの人よりの亜人としか思っていないのだろう。
「あ、ボチボチちょっとスケベそうな男が来る頃だから早く済ましちゃいなよー」
ヘラヘラ笑いながら脱衣所を後にした。
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>>582
「無理を言うどころか、仕草にも無理があるぜ。年齢的にな」
地図を受けとる。
「結局、アイツに会えってことか……やな予感がするが、とりあえず行ってみる。手間をとらせたな」
と言い、地図を見ながら湯屋へ向かう。
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>>584
「そ、そうなんです。亜人は人権が無いとか言われたり大変なのでー。」
話に乗ってなんとか誤魔化す。
(はあ・・・田舎で良かった・・・。)
念入りに体を洗い、獣臭を石鹸と花の香りで誤魔化す。
「上がりました。」
汗臭が薄い生乾きの僧衣に着替え、笠を背負って脱衣所から出る。
アイシャドーも落としてすっぴんになると少女のようにも見える。
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>>586
「へー、結構化粧化けするんだ? 羨ましいな
あたしはあんまり化粧似合わないからさー」
>>585-586
湯屋に向かい中に入ると休憩所で二人の女性が談笑していた。
といってもアーシャが一方的に喋っているだけかもしれないが、
「おかえりー駐在官可愛かったでしょ?」
「それと紹介するね。えーっと……この人は可愛い子であの人がちょっとスケベそうなレオンさん」
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>>587
「え・・・ええ、化粧には呪術的な意味もありますから。」
巨大な狐妖怪に化ける所為か化けるという単語でドキッとする。
>>585,587
「あ、ええと、私は神乃(カノ)と申します。東方の狐族の亜人で旅の僧侶です。」
レオン(レノ)が帝都民だと知らないため、
武器を持っていないことから近くの村人ぐらいの認識で気軽に挨拶をする。
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>>587
「お前、まさかそれだけのために……」
早くも呼ばれ方がお前に変わったが、呆れたような態度は相変わらず。
「結局駐在官のところに行っても殆ど何もわからなかったじゃねーか!」
>>588
「東方の狐の……?あ、俺は帝都からきた傭兵のレオン。まぁ、よろしくな」
相手から自己紹介を受けたので、同じく自己紹介をする。
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>>588-589
3人分のあんまり冷えてない牛乳をテーブルに置きアーシャは自分の分を一気に飲み干した。
「んーボンボン騎士はあのロリロリに惚れてるからね
そうすればあたしの部隊に簡単に入れれるじゃない?」
討伐隊内でも多少政治的要素があるのかもしれない。
「カノさんっていうんだね。やっぱ東方系は変わってるねー」
「で、本題討伐なんだけどね……」
討伐隊は3部隊に別れ陽動を目的とした遊撃隊が2部隊。砦を攻撃する本隊に別れる。
陽動を行い戦力を分散し、最終的には3部隊で砦を攻撃するというざっくばらんすぎる作戦だった。
アーシャが言うように指揮官である貴族出の騎士はあまり優秀ではないらしい。
また、強そうな人員は全て本隊にとられ、遊撃隊にはパッとしないのが集められているようだ。
「で、実際配属された連中をテストして使えないのは第一遊撃に押し付けてたら……」
「誰も残らなくてさ、ああやって街の入口で使えそうなの捕まえてたの!
で、ついでにここが第二遊撃の待機所よ」
アーシャらしいといえばらしい行動かもしれない。
悪い予感がするとすれば、この湯屋にある人の気配といえばこの3人と番頭の婆だけだ。
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>>590
テーブルの牛乳の詮を開けながら思った。
"騎士だからと言って、全ての騎士が世間一般の良識を弁えているとは限らない"と。
牛乳を飲み干す。
"いや、そんな事、改めて考えるまでもないことだったな"
此処へ到着してからどたばたしていたが、牛乳のおかげで多少落ち着くことができた。
「行動力は大したものだ。ただ、少しやり過ぎたな」
アーシャ、神乃、しばらく間を空けて番頭へと視線を移していく。
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>>591
「やり過ぎではないよ。あたしたちは勝たなきゃいけないんだからね
ボンボンもロリロリもあんまり当てにはならないからねー
第一遊撃の苦労人には悪いことしちゃったけど」
「あ、番頭の婆は大丈夫耳遠いから!」
が、一瞬婆の目が大きく開きアーシャを睨んだ……ような気がする。
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>>591-592
などと話していると、湯屋の入口の扉が開いた。
「すみません、駐在所の案内で来た者ですけどー」
赤銅色の髪の青年が中をきょろきょろと見回している。
手には地図を持っていて、恐らくはレノと同じような案内でこちらにやってきたのだろう。
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>>593
「あらいらっしゃいませ。入浴料は12万VIになります。足りないならさっさと帰りやがれですよ」
アーシャは番頭のふりをしてエミヤを追い返そうとする。
「300VI……朝晩付なら一晩3500VI」
番頭の婆がそれを阻止した。
「ッチ……で、本当にあのロリロリの案内?
うーん、勝手なことされちゃ困るなー」
「で、あんたも盗賊退治にしにきたスケベ男なのかな?
なんか特技とかある? 例えば料理が得意とかさ。一芸なかったら第一遊撃送りだからねー」
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>>590-593
「ところで私達以外の戦力は―――」
言いかけたところで青年が入ってきた。
その纏っている匂いに懐かしいものを感じてじっと注視する。
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>>592
「そうか。そう思ったなら、多分それが正しいんだろうな」
と、否定はしないが素直に肯定もしない。きっと心がおさないんだろう。
番頭については、これ以上話を拡げないことにした。
何故なら、あの鋭い眼光に睨まれたら、後々厄介な事になりそうだったからだ!
>>593
「よお」
湯屋に入ると、牛乳を飲んでただ寛いでいる友人が居た。
特に改まるわけでもなく、街角ですれ違ったかのような他愛のない挨拶。
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>>594
「いや、それ間違いなくぼったくりだよな?」
法外な額を吹っかけてきた女性に何を言ってるんだとジト目で語りかける。
幸い番頭の婆が話を進めてくれそうなので、それに応じておく事にした。
此処を拠点として盗賊退治に励む……という事で良いのだろう。たぶん。
「ええ、まぁ……助平かどうかはともかく、特技ならそれなりには持ってるかな。
得意というなら弓かな? 外した覚えが殆ど無い程度には命中に自信がある」
効果があるかはさておき、と付け加えて、懐から取り出した幾つもの黒い棒状のパーツを見せる。
軽く手を振るった次の瞬間、一本の弓が青年の手には握られていた。
魔術に関する知識が少しでもあれば、パーツに魔力を通す事で弓を構成したのだと分かるだろう。
「まぁ、今すぐ証明しろって言われると困るけどな」
>>595
(ん……?)
注視されている事に気づいたのか、アーシャとの会話の最中ふとそちらへ視線を向ける。
神乃が感じ取っている“匂い”なるものに気づく筈もなく、軽く会釈してみせた。
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