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一度試して下さい!!

146ラウス:2014/04/05(土) 02:39:17 ID:???
>>143
「ふう……いいえ、警戒されるのは当然です。口だけでは何とでも言えますからね」

武器を降ろしてもらえた事で、精神的な余裕が出来たのだろうか。
態度と話し方が落ち着いた様子になり、温厚な笑みを浮かべている。

「僕が不審人物ではないという事は証明出来ません。
 それでも、貴女達の邪魔をしに来た訳ではないという事だけは、はっきりと述べさせていただきます」

真剣な面持ちで、暗がりの中でもなおレーナの目を見据えて言い放った。

「証拠というには弱いかもしれませんが、僕に関する情報を差し出しましょう。それは――」

スッと左手を差し出すように腕を伸ばした所で、アルビダが青年の左手を指し示した。

>>145
「――おや、もしかしてお気づきでしたか。とすると貴女は……水の扱いに長けている、といった所ですかね?」

感心したように言って、改めて左手を見せる。
特に感知の術が無いであろうレーナには、一見ただの手にしか見えないかもしれない。
だが、アルビダが用意した明かりが射した所で目を凝らせば、薄らと水のような膜に覆われている事が分かるだろう。

「しかし参ったな、こちらの差し出せる情報が無くなってしまった。……まあ、良いか」

こほん、と一つ咳払いをして、

「僕は“不定物に形を持たせる”という魔術が扱えるんです。とは言っても、制限が多くて大した物でも無いんですがね。
 洞窟の前が岩礁だったでしょう? 波が打ち付けていたので、急遽そこで用意しました」

膜を張っていた“海水”が、青年の掌で球体の形を取った。
まるで本物のボールのように軽快に弾んでいたが、二人が確認した後は、先程の膜の形に戻して左手に纏わせた。

「……えーと。それで、信用してもらえたと思って宜しいでしょうか。
 お二人も何か確固たる目的があるようですから、邪魔にならないようには致します。なので僕も奥へ進ませてもらって大丈夫でしょうか?」

アルビダ達が洞窟の奥側に居るので、黙って押し通る訳にもいかないのだろう。


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