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緊急投下用スレ

97829.【もう】【春だよ】:2009/04/08(水) 00:14:23 ID:KJPVofHI
今日もディベートの練習を終えた夕方、私は心労から、自室に戻るや畳に横臥した。
ドアがノックされたのは、それから一分と経たない内だ。
水銀燈先輩が、明日のことで最終的な打ち合わせにでも来たのかしらん?
気怠い身体を起こして、ドアを開けると、そこには予期せぬ人物が……。
 
「ウソっ?!」 
「なにさ、嘘って。そんなに驚いたかい?」
心外だとばかりに、肩を竦める彼女。でも、すぐに人懐っこい笑顔になった。
 
「驚くに決まってるです。来るなら来るで連絡しやがれってんですよ、バカちん!」
「はは……変わりなさそうだね、姉さん。安心したよ」
「蒼星石こそ。……まあ、あがって休むです。今、お茶を煎れるですぅ」
「うん。それじゃ、お邪魔するね」
 
蒼星石の手荷物は少なかった。日帰り旅行のついでに、立ち寄ってみたとか?
IHクッキングヒーターでお湯を沸かしながら、私はチラチラと様子を窺った。
想像だけでは埒が開かないので、単刀直入に切り出す。「独り旅してるですか」
 
「急に思い立ってね。そうそう、来る途中、桜が早咲きしてたよ。すっかり春だねえ」
 
どこか白々しい口振り。この娘は不器用で、誤魔化すのが下手だ。
私が真っ直ぐに見つめ返すと、蒼星石は決まり悪そうに瞳を逸らし、鼻の頭を掻いた。
「ホント言うと、心配してたんだ。姉さんってば最近、メールで愚痴ばかり零してたから」
 
それでか。様子を見てこいと、祖父母にも背中を押されたのかもしれない。
私としても、学園側との会合を明日にして、勇気をくれる援軍を帰したくなかった。
「蒼星石っ! 今夜は泊まってくです。もっとお喋りするですぅ!」
ぎゅーっと抱きしめると、「仕方ないなぁ。よしよし」だなんて、髪を撫でられた。
これじゃあ、どっちがお姉ちゃんだか分からないけど……まあ、いい。
折角だし、妹になりきって、思いっきり甘えてみよう。たまには、ね。




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