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オパール・キッス

4オパール・キッス:2005/11/17(木) 23:59:59

                         4

その頃、地球連邦警察の本部で最終試験を受けていた翔は、無事合格とあいなっていた。
しかも、トップ合格というおまけつきである。
(やったよ! 母さん、合格した。これで一緒に父さんの仇が討てる)
喜ぶ翔の前に、連邦警察長官が歩み寄る。

「翔くんだったね。合格おめでとう……美崎くんのご子息らしいね。なるほど、トップ合格もうなずけるよ。
君のお母さんも超エリートだ。もちろん殉職したお父さんもね。負けないように頑張ってくれたまえ」
「は、はい!」
(やっぱり、父さんも母さんもすごかったんだ……ますます尊敬しちゃうなぁ……)

翔が喜びを噛み締めていると、長官の元にひとりの警官が近づき、耳元でなにやら話し出す。
内容は聴き取れなかったが“美崎”という言葉が出たのを翔は聞き漏らさなかった。
(なんだろう……美崎って母さんのことなのか?)

長官はその警官に促されるようにその場を離れる。
いったいなにが起こったというのだ。母の身になにか……
翔が心配していると一人の男が近づいてきた。
「栗原警視(インスペクター)……」
麗奈の上司でもあり、殉職した父の同期で親友でもあった栗原である。

「翔くん。ちょっといいか?」
栗原はそう言ってその場を離れ、ひと気のないところへ翔を連れ出す。
「じつは、麗奈からの連絡が途絶えたんだ」
「えっ?」

「むろんまだどうのこうのという段階ではない。ただ単に通信機の故障ということも考えられるんだ。
一応君には知らせておいた方がいいと思ってね」
栗原は大丈夫だから安心しろ、と翔を元気づける。
「母さんはどこにるんですか?」
「火星だ。『マルスの導き』というカルト教団に二ヶ月前から潜入捜査をしているんだ。
オパール・キッスの密売組織らしい」

オパール・キッス……翔としてもそれを聞いてはじっとしていられなかった。
それに母のことも気になる。
「連邦警察は動かないんですか?」
「今はその段階ではないようだ。火星支部との連携でことにあたることになるとは思うが。
上層部でどういった判断が下されるか……」

「そんな……、母がもし捕まりでもしていたら」
「もちろんそれも考慮には入れるだろうが、いかんせん情報が少なすぎる。
逆にもし通信機の故障程度なら、下手に動くと彼女の任務に支障をきたすことになるからね」
「で、でも……」
もし正体がばれ、監禁でもされていたとしたら、一秒の遅れが命取りになることだってある。
(火星なら──三時間もあれば行けるな)
翔はそう思い栗原と別れたあとこっそり本部を抜け出したのだった。


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