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【尚六】ケータイSS【広達etc.】

481「胡蝶夢」5/6:2008/10/08(水) 18:10:04
 すると不意に、眠っている筈の尚隆が腕を伸ばし、少年の細い身体を優しく
胸の中に抱き込んだ。その緩慢な動作の所為で、六太は主が寝惚けているのだ
と直ぐに気付いたが、ちょうど額の角の辺りに尚隆の唇が触れ、その温かく艶
かしい感触に思わずふるりと小さく身震いした。
「ちょ……尚隆、くすぐったい──……」
「……六太……」
 僅かに掠れた低い響きの声音でいとおしげに名を呼ばれ、それが寝言と分か
っていても、六太は主の腕の中で寸分も身動ぎ出来無くなってしまう。
 今や、彼に聞こえる凡ての音は、尚隆の規則正しい鼓動と吐息だけだった。
 ──ああ……これが、おれの一番大事なひとなんだ……。
 今更乍にそう強く思い、六太は主の袍子の胸元をぎゅっと握り締めた。二度
とこの手を離さないと言う様に。
 それから、彼はゆっくりと視線を巡らせた。この短時間の内にも、互いの衣
の上には沢山の桜の花片が積もっている。自分の密かな計画が順調に遂行され
つつある事に満足そうな笑みを浮かべながら、六太はそっと瞼を閉じた──お
そらく二度と醒める事の無い、永い眠りに就く為に。

「──た……六太……」
 前髪を優しく梳かれつつ囁く様に幾度か名を呼ばれ、六太はうっすらと眼を
開けた。寝起きの淡く霞む視界で辺りを見廻せば、其処は漉水河岸の桜の森で
は無く尚隆の臥室の牀榻で、時刻も明るい昼間では無く真夜中を少しばかり過
ぎた頃だった。
「……尚隆……?」
 小さく呟き尋ねれば、六太の顔を覗き込みつつほんの僅か、心配そうに狭め
られていた尚隆の眉間がふっと緩む。
「大丈夫か?六太……熟睡しているのかと思えば突然、俺に縋り付いて泣き始
めるから、驚いたぞ」
 微笑いながらそう言って、少年の涙に濡れた頬をそっと拭った。

482「胡蝶夢」6/6:2008/10/08(水) 18:11:45
「……あ……」
 六太は思い出した。昨夜は尚隆と一緒に眠ったのだ。広く温かな男の胸に抱
かれ、深い眠りの淵に身を投じる瞬間、先の春の日に自分が語ったある一言を
不意に思い返していた。
『……おれ、死ぬのは春がいいな……』
 暖かく穏やかな季節に、満開の桜花に囲まれて静かに死んで行きたいと語っ
た己の想いが、そのまま夢となって現れたのだろうか?しかし……。
 ──もし、あれが正夢だとしたらおれたちは──……。
「一体どうしたのだ、六太。急に泣き出したりして……何か、嫌な夢でも見た
のか?」
 幼子を宥める様に、滑らかな頬を撫でつつ尋ねた尚隆に、六太は暫しの沈黙
の後、微笑んで首を振った。
「……ううん、違うよ尚隆。ちっとも嫌なんかじゃなかった……」
 ──おれは多分、嬉しくて泣いたんだ……。
 最後の言葉を心中に仕舞って尚隆の背に腕を廻すと、六太は僅かに驚いた様
子の主の耳許にそっと囁く。
「おれの事なら、もう大丈夫だから……寝よう?尚隆──……」
 寝過ごすと、また帷湍達が五月蝿いからさ、とおどけた口調で付け加えれば
くすりと笑う気配と共に、逞しい腕に優しく抱き返された。

 柔らかな闇に包まれた牀榻の中、六太は再度ゆっくりと瞼を閉じる──耳許
に主の鼓動だけを聞きながら、再び訪れる朝までの短い眠りに就く為に。

 〈了〉

  *   *   *

「胡蝶之夢」…荘子/斉物論
以上、何となく書いておきたかった番外編「夢二題」でした
尚六エピの方も残り一本で大ラス。最後は小松視点の話です

483利広→利達「登途」1/8:2008/11/27(木) 21:04:47
少々間が空きましたが利広→利達ラストエピ投下します
時間的には「南冥」(書き逃げスレ>>484-491)から30年程後の話。

  *   *   *

「──明日から、また暫く旅に出るよ」
 その言葉に、利達が手許の酒杯へ落としていた視線を上げると、石案の向か
い側で弟の利広がにっこりと微笑んだ。
 季春の乙夜も更ける頃、雲海に面した露台で酒杯を酌み交わしている最中の
不意の言葉だった。
 まるで下界の天候でも話題にするかの様に、利広は自らの出立をいつも唐突
に切り出すのだ。
「それは、また急だな。……他国の情勢に、何か気になる事でもあるのか?」
 毎度の事乍ら、その澄んだ翡翠の瞳に僅かな驚きの色を湛えつつ利達が尋ね
ると──何しろ前回の旅から戻って、まだ一月と経ていなかったので──当の
利広はやんわりと微笑んで、軽く首を振った。
「いや、そうじゃないんだけど……ほら、珠晶が登極して、もうすぐ二十年に
なるからね。今の恭がどんな具合か、一度見に行こうと思っていたんだ」
 そう答えつつ、数少ない同業の知人である少女の快活とした姿を思い浮かべ
ていた利広の耳に、兄の静かな問い掛けが届く。
「……帰りは、いつ頃になる?」
 いつの間にか空になっていた弟の杯に酒を注ぎ足しながら尋ねた利達を見返
して、利広は再度、小さく笑った。
「さあね……二箇月後かも知れないし、半年を過ぎるかも知れない。こればっ
かりは、その時になってみないと分からないな」
 何しろ自分は風来坊だから、と冗談混じりに付け加える弟の淡い琥珀の瞳を
見つめ、利達は浅く、しかし長い溜息を吐いた。

484「登途」2/8:2008/11/27(木) 21:09:54
 弟の放浪癖が自分を避ける為の行動であると云う事実に、利達はかなり永い
歳月、思い悩んで来た。
 遥か昔、自分と弟との間に深く暗い溝が刻まれる切っ掛けとなった出来事を
思い出すと、利達の胸は未だ、鈍い痛みに軋む。彼はそのまま、正対する利広
の姿から然り気無く視線を外すと、俯き加減でぽつりと呟いた。
「そうか。──でも、出来るだけ早く帰って来るんだぞ……」
「えっ、……どうして?」
 今まで兄から「気を付けて行って来い」だの「余り危険な事には首を突っ込
むな」だのと忠告された事はあっても、「早く戻れ」などとは終ぞ言われた事
の無かった利広が、少なからず驚きを露にした表情で兄の顔を覗き込む。一方
の利達は、知らず口を突いて出た科白に少なからず狼狽え、掌中の盃を態と弄
びながら答えた。
「いや、その……お前が長く留守にしていると、お母さんと文姫の小言の標的
が俺ばかりになるからな。お父さんは相変わらず、万事あの調子だし……」
 多少どぎまぎとしつつも何とか取り繕う様に返せば、それを黙って聞いてい
た利広の表情は、いつしか利達の良く見慣れた、微苦笑混じりの軟らかなもの
へと戻っていた。
「……ああ、なるほどね。──分かった、出来るだけ善処するよ……」
 そう呟く様に言うなり、利広は己の盃を一息に干した。利達はその姿を見つ
めながら、弟の酒量が以前と比べ格段に増している事に気付く。長い旅路から
戻る都度、まるで酔う事を忘れていくかの様な利広の飲酒の仕方に利達は再度
深い心痛を覚えた。その原因までもが自分にあるのだと云う事実にさえ、彼は
疾うに気付いていたからだ。
「……とにかく、身体だけは大事にするんだぞ。幾ら頑丈に出来ていると云っ
ても、俺達は決して不死身な訳じゃ無いんだからな。──いつぞやみたいに、
旅の途中で妖魔に襲われて大怪我をして帰って来る、なんて肝の冷える事は、
頼むからもう勘弁してくれよ」

485「登途」3/8:2008/11/27(木) 21:11:24
 軽く窘める様な口調で発せられた兄の科白に、利広も石案上へ視線を落とし
たまま、思わず苦い笑みを浮かべる。
 遡る事およそ二年前、彼は長旅からの帰路で妖魔に襲われ、酷い怪我を負っ
た事があるのだ。

 当時、利広は動乱の最中にあった慶東国内の各地を巡っていた。
 六十余年に及ぶ在位の末に登遐した先々代の王の後、その玉座を埋めた女王
の治世が僅か十六年程で潰えたが故に、彼の国は現在に至るまで大いに乱れ、
国中全土に渡り荒廃している。
 利広は、その渦中にある慶の諸州を検分して廻った帰国の途上、瑛州上空で
突如、蠱雕の急襲を受けたのだ。
 常時ならば、妖魔に対する警備の厚い首都州内だから心配無いだろうと高を
括っていたのが仇になった。不意の襲来に虚を衝かれた利広は抜刀する隙も与
えられぬまま、蠱雕の鋭い鉤爪に肩口から胸元までを大きく掻き裂かれてしま
ったのだ。神籍にある彼にとって、その程度の外傷が直接生死に係わる事は勿
論無いが、それでも深手を負った事には変わらない。二十余年前、恭州国の王
に即位した友人への祝いとして贈ってしまった愛騎程では無いものの、かなり
の駿足を持つ現在の乗騎のお蔭で何とかその場を逃げ延び、やっとの事で我が
家──奏南国、隆洽は清漢宮の禁門まで辿り着く事が出来たのである。
 過去、永い期間城を空ける事はあっても、怪我らしい怪我など一度も負った
事の無かった太子が突如全身血塗れで帰還した事に、彼の家族は大きな衝撃を
受けた様だった。
 利広は帰城してからの三日間で、彼がそれ以前の生涯で耳にした分を軽く越
える回数の「莫迦」と云う単語を家族全員──仁の生き物である麒麟の昭彰を
除いて──より頂戴する破目になった。
 利広が怪我の為に牀榻から動けない間、家族が代わるがわる様子を見にやっ
て来たが、中でも一番多く彼の許を訪れたのは兄の利達だった。

486「登途」4/8:2008/11/27(木) 21:14:07
 王宮には勿論、専属の瘍医も看護をする女官達も居るのだが、利達は自分の
仕事が少しでも手隙になる度、弟の枕辺へと足を運んだ。それは、彼が家族の
中で唯一、高い医学の知識を有していると云う理由もあったのだろうが、利広
には、利達が強い自責の念に駆られている様に思えてならなかった。
 弟が怪我を負ったのは、自分を避ける為に態と遠出をした先での事。だから
この責任は凡て自分にある──無言のまま傷口の手当てをされ、繃帯を巻き直
されつつも利広が兄の表情から覚ったのは、そんな切実な想いだった。
 そして、それから三箇月程が経過し、かなり重かった怪我もすっかり快癒す
ると、それを見計らった様に利広は再び、旅の途上へとその身を投じた。恰も
そうする事でしか、自分本来の生き方が見出せないとでも云う様に。
 当然、両親や妹達は「何もそんなに早く出掛けなくても」と彼の出立を何と
か思い留まらせようとしたが唯一、利達だけは「お前の好きな様にすれば良い
さ」と微笑んで言ったのだった。しかし、その貌に複雑な感情を孕んだ翳りが
浮かぶ一瞬を、利広は決して見逃さなかった。

「──あの時は迷惑掛けて済まなかったよ。あれ以来、情勢の不安定な国に行
く時は以前にも増して用心する様になったし、もう心配は要らないから……」
 ほんの数年前の出来事を、遥か遠い昔の思い出の様に感じつつ利広がそう告
げると、向かいの席で己の酒杯を弄んでいた利達が不意に顔を上げた。
「俺は……別に迷惑だなんて思っちゃいない。それに、心配するのは当然の事
だろう?──お前は、大切な弟……なんだから」
 語尾が微かに震え、利達は再び俯く。その様子を黙って見つめていた利広が
暫しの沈黙の後、不意に口を開いた。
「……じゃあさ、今度の旅からも私が無事で戻って来られる様に、兄さんから
ひとつ、御守りを貰ってもいいかな……?」
 その言葉に、利達は軽く瞠目して弟の顔を見遣る。利広に物を強請られた経
験など、幼い時分に数回あったか否かの珍しい事だからだ。

487「登途」5/8:2008/11/27(木) 21:15:12
「御守り?……俺の持ち物なんかで構わないのなら、くれてやっても良いが、
──それで一体、何が欲しいんだ?」
 利達が軽く首を傾げつつ尋ねた瞬間、利広は石案上に両手を突き、素早く身
を乗り出していた。
「────……!」
 薄い唇同士が触れるか触れないかの、まるで一陣の疾風に掠め取られたかの
様な、儚い接吻だった。
 利達が驚愕に全身を強張らせている僅かの隙に、利広はほんの一瞬だけ哀し
げな笑顔で兄の貌を見つめると、そのまま席を立ちくるりと背を向けた。
「……もう寝るよ。明日は早くに発つから──お休み、利達兄さん……」
「利広……!」
 思わず椅子から立ち上がり自分を呼ぶ兄の声にも振り返らず、利広は足早に
その場を後にした。

 雲海の波音響く露台に一人残された利達は、暫しの間、弟が歩き去った石橋
の先を虚ろな視線で見遣っていたが、不意に膝から力が抜け、椅子の上へと崩
れ落ちる様に坐り込んだ。
 彼が利広に口付けられたのは、これで三度目だった。
 最初は、二人ともまだ幼さの残る子供だった頃。そして二度目は、厳かな静
寂に包まれた冬の夜──その二度とも、利広は苛烈なまでの想いの丈をぶつけ
て来た。時に利達自身が戸惑い、恐れを抱いてしまう程に。
 しかし、先程の利広からの接吻は、利達が知る今までの彼とは全く違うもの
だった。
 利達は指先で、そっと唇の輪郭をなぞる──その時ふと、ある人物の面影が
彼の脳裏を過った。それは、利達が遂に五百年以上も忘れられずにいた、切な
さと哀愁を滲ませた笑顔だった。
『……君が好きだよ、利達──……』

488「登途」6/8:2008/11/27(木) 21:16:25
「……杜鵑……」
 消え入る様な呟きと共に、利達の頬を一条の涙が伝う。
 ──そうだ。先刻の利広は、彼と同じ眼をしていたんだ……。
 利達は、思わず両手で顔を覆った。
 ──利広と杜鵑には少しも似たところなど無い。なのに何故、時に二人が酷
く重なって見えてしまうのか。自分は一体、利広に何を望んでいるのか……。
「……俺は──……」
 利達が吐息混じりに発した独語は、忽ち春宵の夜風に運び去られ、音声にな
る事は無かった。

 翌朝、まだ辺りが未明の暗闇に包まれている頃、利広は禁門脇の厩から己の
乗騎を静かに曳き出していた。
「──朝早くから長い距離を走らせてしまうけど、我慢してくれよ。今日から
暫くの間はまた、お前と私の二人旅だ。宜しく頼むぞ……」
 利広がそう言いつつ、騎獣の喉元の柔らかな毛並みを撫でてやると、虎に似
た獣はそのすらりとした頸領を軽く伸べ、諒解したと言わんばかりに小さく喉
を鳴らす。その様子にくすりと笑って、利広は歩を進めた。
 幾つも並んだ騎房の前を通り抜け、厩舎を出る。門衛の兵士に労いの言葉を
掛けつつ巨大な門扉を潜り抜けると、広い露台の中央に灯火を手にした痩身の
人影がひとつ、佇んでいた。
 こんな時刻に、他州から急ぎの伝令でも来るのだろうか──利広が僅かに訝
しんでいると、彼に気付いたらしい人影は速足で此方に向かって近付きつつ、
聞き慣れた低く柔らかな声で話し掛けて来た。
「──利広、良かった。まだ発っていなかったんだな……」
「兄さん?どうして──……」
 利広は予想だにしなかった事態に驚愕しつつ、自らも兄に近付く。彼に手綱
を曳かれたままの獣が、不思議そうに頸を傾げて兄弟の姿を見比べた。
「……お前に、どうしても伝えておきたい事があったんだ……」
 手燭の淡い灯り越しに真っ直ぐ自分を見つめる兄の真摯な表情を見返し、利
広は全身を僅かに強張らせた。

489「登途」7/8:2008/11/27(木) 21:17:40
「兄さん──……」
「利広……以前にも言ったが、俺には昔、好きな人が居たんだ……」
 兄の厳かな告白を聞きつつ利広は軽く眼を細め、そっと俯く。
「──その人は、もうこの世に居ないけれど、俺は未だに彼の事が忘れられな
い。莫迦げていると思うかも知れないが、俺は今でもその人の事が好きなんだ
……だから、お前の気持ちに応えてやる事は──……」
 利達の科白は、眼前を遮る様にして広げられた利広の掌によって、その先を
制されてしまった。
「……利広……?」
 僅かに困惑しつつ尋ねた利達に、利広は俯いたまま静かに微笑む。
「分かってる……無理して忘れる必要はないよ。本当に好きな人を心の中から
消し去る事なんて、例え誰にも出来やしないんだから……」
「……利広……」
 気遣わしげに再度呼ばれた自らの名に応じる様に、利広はゆっくりと顔を上
げた。
「──だから、その人の事を思い出しても兄さんの心が痛まない様になるまで
私はいつまでも待つよ……今までだって、ずっと待ち続けて来たんだ。待つの
は慣れてる……」
 そう呟く様に言って微笑んだ利広の両の瞳が突如、眩いばかりの光を放って
煌めく。利達には、振り返らずともその光景の理由が分かった──たった今、
長かった夜が明けたのだ。
 利達は、持っていた灯火の焔を吹き消し足許に置くと再度、弟の双眸にじっ
と見入った。僅かな俯角で見下ろして来るその琥珀の瞳の情熱は、遥か遠い昔
から、自分唯一人だけに向けられて来たのだ。
 利達は一度、ゆっくりと瞬いてから小さく頷き、静かに口を開いた。
「そうか……では、俺も待とう。この場所で、お前が無事に帰って来る日を、
いつまでもずっと……」

490「登途」8/8:2008/11/27(木) 21:20:52
 利達は緩やかな動作で右手を差し伸べると、弟の若々しく精悍な頬──それ
は数百年前と寸分も変わっていない──に、そっと触れた。
「!──兄さ──……」
 兄からの急な接触に思わず身動ぎ、狼狽を顕にした利広に向かって小さく笑
い掛けると、利達は弟の淡い砂色の髪──眩い晨光を一杯に反射し、恰も麒麟
の鬣の如く輝いている──を優しく引き寄せ抱き締めつつ、その耳許へと囁く
様に語り掛けた。
「……行って来い、利広。お前の望む凡ての場所へ──そして、旅をする事に
疲れた時は、必ず此処へ帰って来るんだぞ。この清漢宮にある窓と扉は全部、
お前の為に、いつでも開けておくから……」
「……兄さん──……」
 感嘆混じりの小さな呟きと共に、それまで所在無げに下ろされていた利広の
両腕がゆるゆると持ち上がり、利達の背にそっと回される。それは、まるで繊
細な宝物を決して傷付けまいとするかの様な、この上も無い優しさに満ちた抱
擁だった。
 利広は、初めてその腕の中に抱き締める事が出来たこの世で唯一人の愛しい
相手に向かって、ずっと心奥に秘めて来た自らの想いの丈を、別の言葉に変え
て、そっと囁いた。
「……兄さん、有り難う。──それから、行って来ます……」

 登り来る朝陽をその背に浴びながら、眛爽の北天に向かって小さく消え行く
利広の騎影を、利達はいつまでも見送っていた。

 《了》

  *   *   *

と云う訳で、ラストは利広がバッサリ振られる話でした。
かなり蛇足っぽい感もありますが、兄弟の関係を
一度きちんとリセットしておきたかったので…
何だか最後まで上手く纏まりませんでしたが
読んで下さった方、どうも有り難う御座居ました。

491名無しさん:2008/12/11(木) 23:41:28
面白いです! 今更ですが、広達探してたどり着きました。
嬉しい作品を拝見できて、感謝です。
気が向かれましたら、また是非、投稿お願いいたします。

492「獲麟」1/6:2008/12/21(日) 13:11:04
何とか安闔日に間に合いましたw
ラストは「初めてのチュウ 小松編」
蓬莱での尚六邂逅エピです

  *   *   *

 彼は独り、浜風に当たりながら未明の渚を歩いていた。
 別段、浜辺に出る用事があった訳では無い。前泊した城下の女の許からの帰
途、少しばかり過ぎた酔いを醒ます為、懐から取り出した肉桂皮の欠片を奥歯
で噛み絞めつつ、入り江を見下ろす高台にある己の屋形へと、遠回りで向かっ
ているところだった。
 今日は当地の領主である彼の父親の主催で、聞き香の会が開かれる。彼は、
ふとその事を思い出し、長く深い溜息を吐いた。風雅な物事を好む父とは対照
的に粗削りな性格の持ち主である彼は、昔からその手の催しが、とにかく苦手
の一辺倒なのだ。
 加えて、前述の通り酷い宿酔の上、鼻腔の奥には昨夜の相手が全身に塗りた
くっていた白粉の匂いが、未だこびり付く様に残っている。こんな調子では伽
羅やら沈香やらの繊細な薫りの差異など嗅ぎ分けられよう筈も無いし、何より
今日の香道の会では、婚礼の日以来、陸に顔を合わせて話した事すら無い正妻
や側室達とも同席しなければならないのだ。面倒事が嫌いな彼にとっては、か
なり由々しきそれらの事態が先刻来、帰途の足取りを余計に重々しいものへと
変えているのだった。
 急病を騙って出席を免れようかとも考えたが、その手は過去に何度も使用済
みだ。流石に今回ばかりは、嫌々乍でも顔を出さぬ訳にはいかないだろう──
鈍く痛む頭を一つ振り、観念の意を込めて再度深く嘆息した時、彼は突如、誰
かに呼ばれた様な気がして、礑とその歩みを止めた。
「…………?」
 訝りつつ辺りを見渡したが、未だ明け初めて間の無い汀には当然、人の気配
など微塵も無い。あと四半刻も経てば、早朝の漁から戻った男達の姿もぽつり
ぽつりと見受けられる様になる筈だが、そんな見慣れた朝の光景にも現在の時
刻では若干、早過ぎる様だった。
 暫しの間、辺りを窺う様にぐるりと見廻した後、彼は引き潮になり掛けたば
かりで未だ柔らかな波打ち際の白砂に踏み込むと、普段は滅多に足を向ける事
の無い岬の岩場目指して、徐に歩き出した。

493「獲麟」2/6:2008/12/21(日) 13:12:27
 彼は不可思議な胸騒ぎを感じていた。其処に行けば、何かが──誰かが自分
を待っているのではないか……そんな確信めいた予感に突き動かされつつ歩を
速め、果たして岩場の陰に力無く横たわる人影を見付けたのだった。
 ──子供……?
 軽く瞠目しつつ、倒れている小柄な人影に近寄った。十歳前後の少年らしい
その子供の傍らに膝を突き細い首筋に指先を宛行えば、弱々しくも確かに脈が
ある。彼は小さく安堵の息を吐いてから、しかし直ぐにその表情を険しいもの
へと変えた。
 凡そ十年前、都で起こった大乱の戦火はその後各地に飛び火し、今ではこの
瀬戸内の小国にまで及ぼうとしている。実際にここ最近、戦禍を逃れた難民達
が隣国から相次いで流れ込んで来ていた。彼等の多くは負傷し、また飢餓に苦
しみながら国境を越え、この海辺の小領地へと逃げ延びて来ており、中には逃
走の過程で命を落とす者も少なからず居た為、この少年は此処まで生きて辿り
着く事が出来ただけでも幸運だったと言えよう。
 怪我は無いかと全身を検分すれば、粗末な衣から伸びる煤と砂泥に汚れた手
足は、大きな傷こそ負ってはいなかったが酷く痩せ細り、少しでも乱暴に触れ
ようものなら、直ぐに折れてしまいそうな程に華奢だった。
「──おい、しっかりしろ……お前、一人か。此処が何処か分かるか?」
 そっと上体を抱き起こし、軽く頬を叩きつつ声を掛ける。少年は不意の刺激
に一瞬だけ眉を顰めた後、瞼を閉じたまま、ほんの微かにその唇を開いた。
「……み、ず……」
 殆ど吐息に紛れたその言葉に一つ頷くと、彼は腰から下げた竹筒を取り、飲
み口の栓を前歯で銜え引き抜いた。
「ほら、水だ。──飲めるか?」
 そう問い掛けつつ、少年の口許にそっと竹筒を宛行う。しかし水を飲むだけ
の体力すら残っていないのか、筒の先からは透明な雫が、少年の顎を伝って薄
汚れた衣の胸元へと、次々に零れ落ちるだけだった。
 彼はその様子に低く舌打ちをすると、噛んでいた肉桂の皮を吐き出し、代わ
りに竹筒の水を口に含んだ。次いで少年の頤をそっと摘み、それ以上仰向いて
しまわない様に固定すると、僅かに開いた小さな唇を自分のそれでゆっくりと
優しく覆った。

494「獲麟」3/6:2008/12/21(日) 13:13:53
「──ん、……っ」
 直後、口を塞がれた事への拒絶を示す様に少年の細い眉根が僅かに寄せられ
身体の脇に垂らされたままの両腕がぴくりと動く。しかし次の瞬間、己の口腔
に流れ込んで来たものの正体に気付いたのか、小さな抵抗は瞬く間に止んだ。
 彼は少年が咳込んでしまわない様、含んだ水を少量ずつ、ゆっくりと相手の
口内に流し込む。長い時間を掛けて水を飲ませながら、その切れ長の眼を薄く
開け、間近にある小作りな顔を見るとも無しに見つめていた。
 今は煤と海砂に汚れてしまっている窶れた頬は、良く見れば肌のきめが細か
く、色も透き通る様に白い。彼の知る城下の子供達は皆、男女を問わず真っ黒
に日焼けしていたから、やはりこの少年は近隣の住民では無いのだろう、と彼
は改めて思った。
 ──戦火を逃れる途中で、親とはぐれたか……。
 遣り切れない思いに軽く眉根を寄せた時、彼の眼前で固く閉じられたままの
瞼を縁取る長い睫毛が、微かに震えた。
 いつの間にか、口に含んだ水を凡て飲ませ終えていた事に其処でやっと気付
き、慌てて顔を離す。
「……おい坊主、大丈夫か。もっと水を飲むか──?」
 少年を腕の中に抱いたまま、その耳許へと囁く様に尋ねるも、反応は無い。
一瞬、悪い予感が脳裏を過ったが、次の瞬間微かに聞こえて来た穏やかな寝息
に、彼は目許を和ませ、今度はほっと小さく溜息を吐いた。どうやら喉の乾き
が収まった事への安堵から、急な眠気に襲われたらしい。
 その、邪気の欠片すら感じられない寝顔に軽く微笑んでから、彼は丸めた己
の羽織を枕に、少年を岩陰の僅かな砂地の上に横たえると、次いで懐から手拭
いを取り出し、竹筒の中に残った水でそれを十分に湿らせた。
 砂上に片膝立ちで坐り込み、濡らした手巾で少年の頬の汚れを優しく拭って
やりながら、彼は先刻来の自分の行動に思わず微苦笑を漏らしていた。
 過去にも流民の世話を焼く事は度々あったし、子供の相手をするのが嫌いな
訳でも無かったが、初めて出逢った名も知らぬ少年の面倒をここまで見てやる
事など、終ぞ経験が無かったからだ。
 ──まったく、我乍ら何とも人の好い事だ……。
 ぼんやりとそう思いながら少年の口許を拭っていた時、ふとその唇に小さな
傷がある事に気付いた。

495「獲麟」4/6:2008/12/21(日) 13:17:29
 少年の珊瑚色をした薄い口唇は、脱水症状と潮焼けの為にかさつき、ささく
れ立ってしまっている。水を飲ませている時には気付かなかったが、少年自身
が無意識の内に噛み締め傷付けてしまったのか、下唇の端にうっすらと鮮血を
滲ませている傷口が見えた。
「…………」
 暫時、無言でその紅い色を見下ろしていた彼は、徐に少年の上へと屈み込ん
だ。その緩やかな動作によって、襟足の位置で簡単に括られただけの長い黒髪
が彼の広い肩の上を流れ、少年の痩せた胸元にさらりと音を立てて落ちる。彼
はそれに構わず再度少年に顔を近付けると、今度は歯列の間から僅かに覗かせ
た舌先で、小さな傷口をそっと舐め上げた。
 乾燥しかさついた唇は、それでも驚くほど柔らかな感触で、近頃では殆ど相
手にする事も無くなった年若い生娘のそれを思い起こさせた。そして、ゆっく
りと動かす舌先にほんの微かに感じた血潮の味に、彼は突如、理由も無く背筋
を戦かせた。
「────っ……!?」
 思わず勢い良く身体を離し、肩で大きく息をする。彼のそんな動揺など露程
も知らず、規則正しい寝息を立てて熟睡している少年の安らかな寝顔を見下ろ
し長い前髪をぞんざいに掻き上げると、彼はその精悍な眉の上の額を、大きな
掌でぴしゃりと叩く様に覆った。
 ──こんな餓鬼相手に一体、何をやっているんだか……。
 再度、深く嘆息しつつ仰向くと、頭上に廂の如く張り出した巨岩越しの空の
色は、気付かぬ内に随分とその明るさを増していた。
 季節は未だ夏の初めだが、元来海辺は陽射しが強く、また砂地の照り返しも
あって、日中はかなりの暑さになる。今はまだ夜明けの涼気が残っているもの
の、陽が昇れば程無くして、此処も蒸し風呂の様になってしまうだろう事は明
白だった。
 ──浜の漁師小屋にでも運んでやるか。
 砂浜を戻った先にある粗末な漁師小屋は、漁を終えた男達が休んだり破れた
網や仕掛けを修繕したりする場所だが、小さな囲炉裏で簡単な煮炊きも出来る
上に、沖の番屋も兼ねている為、確か布団の用意もあった筈だ。自分が事情を
話せば小さな子供の一人くらい、小上がりの片隅にでも寝かせて貰う事は可能
だろう──そう考えを一巡りさせると、彼は依然として深く眠り続けたままの
少年を起こしてしまわない様、その細い身体をそっと抱き上げた。

496「獲麟」5/6:2008/12/21(日) 13:19:32
「──これは若、お早うございます……おや、その子はどうなすったんで?」
 少年を腕に抱いたまま汀の白砂を踏み締め小屋に向かっていると、運良く朝
の漁から戻った男達の集団と搗ち合った。その逞しい肩に大きな網や沢山の魚
が入った籠を担いだ漁師達の表情は、一様に明るい。どうやら、今朝も大漁だ
ったらしい。
 彼は親しげに挨拶をして来る男達に微笑って頷き返しながら、先程声を掛け
て来た初老の漁師に、事情を手短に説明した。
「……ああ、そうでしたか。そりゃ気の毒な事だ──ええ、勿論その子の面倒
は、おれ達が責任を持って見させて頂きますよ」
 他ならぬ若の頼み事ですからな、と言って彼が幼い頃からの知己である男は
人好きのする笑顔を見せた。
「……そうか、すまんな」
 彼も笑ってそれに応えると、男は舟を砂浜に上げ終え、小屋に向かって傍近
くを歩いていた若い漁師達の内、最年少らしき一人を呼び止めた。
「おい、この子を番屋まで運んでやってくれ」
 年長の頭の言葉に急ぎ彼の許へと駆け付けた若者は、その腕から少年を受け
取ろうとし、一瞬後に少し困った様な表情で自分より大分高い位置にある彼の
貌を見上げた。
「──どうした?」
 僅かに訝りつつ尋ねると、如何にも気の良さそうな若者は苦笑混じりに彼の
胸元を指差す。一体何事だろうと下ろした視線の先には、彼の着物の合わせを
きつく握り締めている、少年の小さく華奢な拳があった。
「おや、この坊主と来たら、よほど若の事が気に入ったらしい」
 若は女子だけで無く幼子にもお持てになるんですなぁ、と横合いから揶揄す
る男に軽く苦笑し、その手を解こうと指先を伸ばし掛けたが、しかし彼は直ぐ
にそれを止めた。
「──若?」
 不思議そうな顔で再度見上げて来る若者に、彼は微笑んで首を振った。
「いや、構わん……小屋までは大した距離でも無いからな。俺が運ぼう」
 そう言うと、軽く呆気に取られたままの二人の男をその場に残し、彼は再び
柔らかな白砂の上を歩き出した。

497「獲麟」6/6:2008/12/21(日) 13:20:39
 漁師小屋に向かって歩を進めながら、彼は再度、己の胸元に視線を落とす。
 一国の城主の継嗣にしては些か粗末に過ぎた感のある浅葱色の夏着の衿は、
細い指先がその色を蒼白く変えてしまう程、強い力で握り締められていた。そ
れは恰も『絶対、お前の傍を離れない』と云う決意の表れであるかの様に。
 不思議な子供だ、と彼は思った。整ってはいるが至って平凡な造りの顔立ち
も、折れてしまいそうなほど細く頼りない四肢も、何故か己の視線と心を強く
惹き付け、捕えて離さない……。
 彼は不意に歩みを止め、その腕の中で安心しきった様に眠る少年の、現在は
瞼の下に隠されている両目を覗き込んだ。
「おい……お前は、どんな眼をしている?どんな声で話すんだ……?」
 囁く様に問い掛けると、少年はまるでそれに応えるかの如く、彼の厚い胸板
にそっと頬を擦り寄せて来た。
 ──俺は、お前の笑った顔が見てみたい……。
 小さな身体を抱く腕に力を込めつつ彼はもう一度、その唇でゆっくりと言葉
を紡いだ。
「……だから、早く目を覚ませ──……」
 その途端、少年の黒髪が眩いばかりの金色に光り輝いた。一瞬、驚愕の表情
を浮かべて瞠目した彼は、しかし直ぐにその理由を覚り、小さく笑う。遥か水
平線の先に、黄金色の朝日が丁度その姿を現したところだったのだ。
 思わず目眩む程の朝暉を反射して、未だきらきらと煌めく少年の髪に暫しの
間、無言で見蕩れていた彼は、軈て思い出した様に新たな一歩を踏み出した。

 彼等の頭上には、払暁の紫に染まった昊天が高く広がっている。今日もまた
良く晴れた一日になりそうだった。

 《了》

  *   *   *

・「獲麟」…麒麟を得る事/転じて“絶筆”の意(孔子「春秋」)

498書き手:2008/12/21(日) 13:23:57
 ◆◇◆後書き◆◇◆

…と云う訳で、約一年間に渡って続けさせて頂いた、携帯電話からの読み辛い
SS投下は、今回でひとまず最後になります。
(後半は家人の入院と云うアクシデントに見舞われ、随分と投下ペースが落ち
てしまいましたが…)

物書き初心者の自分が、誤字誤用文章崩壊等の数え切れない赤恥を掻きつつも
投下を続けて来られたのは、偏にこんな駄文を読んで下さる方や「面白かった」
「次も楽しみ」とレスを下さる方がいらした事に尽きます。
皆様、本当に有難う御座居ました。

まだまだ「十二国記」801ネタは山ほどあるのですが、この先、更にマイナーcp
路線を突き進んで行きそうな勢いである事から、今後は他の書き手さん達の邪
魔にならない様、掲示板では無く、別処にてコソーリ&マターリ続けて行きたいと思っ
ております。

加えて、僭越ながら次レスに目次の完全版を置いておきます。cp別検索にお役
立て頂ければ幸いです。

最後になりましたが、一年間の永きに渡り拙スレにお付き合い下さった方々へ
再度心より御礼を申し上げます。
そして、存続が危ぶまれている当板と、過疎化が進む一方の801スレに一日も
早く明るいニュース(新作&新刊)が訪れる事を祈念して『ケータイSS』スレの
締めの御挨拶とさせて頂きます。

499index(改訂/完全版):2008/12/21(日) 13:26:20
《原作時系列準拠SS》◆…尚六 ※…利広→利達 ◎…桓タイ×浩瀚
※「夏日」(-610年)書き逃げスレ>>418-430
◆「獲麟」(-500)>>492-497
◆「流光」(-490)>>244-250
 「秘玩」(-480)朱衡→帷湍 >>71-74
◆「春信」(-480)書き逃げスレ>>407-416
 「菊色」(-390)帷湍×朱衡 >>274-280
 「紅山茶」(-380)成笙→尚隆 >>16-33
※「寒月」(-350)>>251-260
◆「候鳥」(-350)尚隆×利広 >>81-96>>99-153
◆「孤光」(-350)>>154-162
※「竹声」(-300)>>340-344
※「槐安夢」(-300)>>459-476
 「淫藥」(-220)尚隆×利広 >>360-364
◆「残花」(-200)>>282-289>>293-303>>308-331
◆「胡蝶夢」(-200)>>477-482
 「朝陽」(-200) 毛旋→成笙 >>373-391
 「冬星」(-100)尚隆→利広 書き逃げスレ>>453-466
◆※「北垂・南冥」(-100)書き逃げスレ>>472-491
 「蒼蓮華」(-90)阿選→驍宗 >>163-183
 「秋思」(-80)正頼→英章 書き逃げスレ>>437-452
※「登途」(-70) >>483-490
 「蘭容」(-40)英章×正頼 >>268-273
◎「青眼」(-9)>>420-449
◎「白水仙」(-7)>>35-52
◎「梅香」(-6)>>345-350
 「蒿矢」(-2)鳴賢→楽俊 >>2-12
◎「時雨」(-2)>>187-242
◎「夕陰」(-2)>>401-419
 「宵瞬」(-2)青江→丕緒 >>334-339
◆「悲風」(0)>>57-70

《尚六ほのぼのSS》
 「夢見ル富士額」>>75-76
 「甘イ生活。」>>263-265
 「雨ノチ晴レ」>>351-356
 「星ノ棲ム川」>>366-370
 「真夏ノ夜ノ夢」>>392-397
 「月ノ舟」>>451-458

500名無しさん:2009/01/14(水) 23:58:58
姐さん乙!!
いろんなカプの話が読めて楽しかった。
今後に期待!

501名無しさん:2010/08/13(金) 19:22:31
尚六やマイナーCPへの愛が溢れる姐さんの作品大好きです

502名無しさん:2014/01/25(土) 02:24:45
てす


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