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【お気軽】書き逃げスレ【SS】

1名無しさん:2004/11/03(水) 14:07
ここはなんでも書けるスレです。初心者、エロエロ、ムード系、落ち無し、
瞬間的モエ、特殊系、スレ内SS感想等なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
どんなカプでもお気軽にドゾー!!
投稿ルール、スレ説明は>>2、その他意見・質問はまずロビスレへ。

※もちろん個人での派生スレ設立は、さらに大推奨※

232微キチク尚六(?)1:2005/04/27(水) 11:21:39
ろくたんかわいそうなかんじ。時代設定なし。



 王不在時に、政務が滞る事を知らぬようになり早幾年という玄英宮。
けれど稀には王の決が急を要する事も有る。
活気溢れる城の中、延麒六太は官達に不在の王を探すよう促されていた。
正確には、首根っこ掴んででも連れて来い、といったところであろうか。
「ったく、何でおれが…」
「あなたほど、〝王の居場所が分かる〟という性質を生かしている麒麟は
他にはそうは居られぬでしょうねえ」
にこ、と朱衡の笑顔で六太は城を送り出された。

関弓の空の上、とらに騎乗し主を探るべく意識を集中する。間を置かず、
常と変わらぬ太陽の王気はここより大分離れた場所で感じられた。後は
そこに向けてとらを直線に走らせるだけである。

雁の隣国、国境を越えてすぐの辺りの寂れた歓楽街、彼はそこに居た。
夕暮れ時、小さな、やはり寂れた妓楼の門を六太は躊躇無くくぐる。
子供が出入りするような場所ではないため、店の者に咎められる前に
「風漢は」と切り出せば大抵「ああ」と案内される。
案内された房室の扉を押し開ければ、目的の人物、己の王が目に入る。
「…こんなとこに居たのかよ。何やってんだ。朱衡達が切れてんぞ」
軽く溜息を吐く六太に、尚隆は「よお」と手を上げた。

233微キチク尚六(?)2:2005/04/27(水) 11:23:55
突如現れた子供に、房室に居た数人の男達が振り返る。その部屋は酒と、
嫌な空気で満たされており六太は眉をひそめる。
傾き掛けた国の人心は荒み、あまり性質の良くない連中に見えた。

男達の好奇に満ちた視線を無視して、六太は尚隆の側近く寄る。
「急ぎの用なんだ。すぐ帰るぞ。こっからなら城、じゃない…家までとらを
飛ばせばそんなに掛かんねえから…」
「それがな、そうもいかんのだ」
六太は尚隆の腕を取り引いたが、彼は取り合わない。
尚隆によると、毎度の事だが博打で派手に負けて、今その借金の片をどう付
けるか話し合っているところだと言う。
「…どうすんだよ。おれ、立て替える金なんて持ってねえぞ」
「うむ。だからな、またこの店の雑用でも…」
「小間使いをしようってのか?お前、急ぎだって言ってるだろう」
そんな時間無いだろう、と六太が声を荒げれば男達から茶々が入る。
「おい、風漢さんよ。何でも良いが、踏み倒すのだけは勘弁してくれよ」
「分かっておる」
立て膝し、顎に手を当て考えた後、尚隆は突如側に居た六太の腰を抱き引寄せる。
「おいっ、尚隆?」
「今夜一晩、この餓鬼の身体で払う」
六太の訝しげな視線を余所に、周囲の男達――恐らく店の店員、用心棒、そして
博打を打った連中を見渡してそう言った。

234微キチク尚六(?)3:2005/04/27(水) 12:51:20
「ふざけんな、てめー何言ってやがる」
尚隆の借金の形の雑用事を手伝えとでも言うのだろうか。
「そんな小僧よりあんたの方がよっぽど働き手として使えるだろうが」
「今夜、と言ったのだ。分からんか?」
薄く笑い、六太の顎に手を掛け周囲に晒すように上向ける。
「見て呉れは…今一つだが、味の方は悪くないぞ」
どうだ?と問われ、男達は風漢が借金の形にこの子供の身体を売ろうとしている
事を理解した。

男達は六太に注目し値踏みする。そぐわないこの場に現れた時から、この子供の
美しい容姿は人目を引いていたが、良く見れば常人ならぬ、異常と言えるほどの
美形であった。それを今一つと言ってのけるからには、味の方はどれ程のものなのか。
そんな皆の考えを読んだのか、尚隆は六太の衣の襟口に手を掛け、首元から肩口に
かけて覗かせる。
未だ呆然とし、己の置かれている状況が理解出来ずに居たが、その指つきは妙に艶
かしく、六太は背筋に震えが走った。
「鳴き声は、まあ多少喧しいが…そうだな、子供ゆえ肌は良いな」
「尚隆…?お前、何考えて…」
あくまでモノとして扱うように、六太の言を無視して尚隆は取引を続ける。
そして、一通り男達を見渡し言った。
「どうだ?これで貸し借り無しにしては貰えんか?」
男達は互いに顔を見合わせた後、数刻置かずに決を出す。
「…あんたの借金をこの餓鬼一晩でチャラか。悪くねえ」
「餓鬼、しかも男を抱く趣味はねえが、たまには面白そうだ」
ここに至って、六太は漸く理解した。震えだす身で尚隆にしがみ付く。縋る瞳で、
口元は笑みを浮かべながら。
「…嘘だろ?なあ、尚隆、冗談だろ?何なら、おれが今から城に金を取りに…」
「決まりだな」
尚隆は男達の輪の中に六太を軽く突き飛ばし、もう用は無いとばかりに立ち上がる。

235微キチク尚六(?)4:2005/04/27(水) 14:23:40
「悧角、沃飛、連中に手を出すなよ」
身仕度を整えつつ放った言葉は、六太以外その場の誰にも意を捉えかねる事だろう。
部屋を出ようと扉に手を掛けたところ、六太を取り押さえる男の一人から声が掛かる。
「野暮な事を聞く気はねえが…。こいつあんたの何なんだ?子か?」
「俺の子でも弟でもないが、…俺のものだ。下僕だな」
その時、一瞬だが尚隆の面が苦く歪んだ事に、気付いた者は居るだろうか。
「何をしても構わんが、頭にひどい傷が有るで頭巾だけは取らんでやってくれ。」
見たら萎えるぞ、と冷笑を浮かべる尚隆が六太には恐ろしかった。
「やだよ、嫌だよ尚隆…!」
「お前もたまには従者らしく、主の役に立て」
主だの従だの、そんな割り切った関係ではないだろう、…割り切れずにいたのは、自分
だけなのか。
「ちゃんと帰って働くで、明日には迎えに来てやろうよ」
振り返りもせず背を向け出て行く男に、押さえ付けられる中で必死に手を伸ばすも、届
く筈が無く。

狭い臥牀では男達が乗り切れぬだろう、とそのまま床に組み敷かれる。
こんなのは嘘だ。いつでも己が迎えに行けば、尚隆はばつが悪そうに笑い、そんな彼の
頭を小突き、帰り道では剥れた己にご機嫌取りに飴だの煎餅だのを買ってくれ、「餓
鬼じゃねえんだ」などと下らぬ遣り取りを交わし、そして…。
「嫌だ、止めろ!!」
己に跨り体重を掛けてくる男に口ばかりの抵抗をする。男達の、己に注がれる視線が
ただ恐ろしかった。
「そうは言ってもなあ。風漢の借金を返して貰わねえと…!」
「風漢が主なんだろ?文句は主に言うんだな」
「お前は売られたんだよ、風漢に」
その言葉に、強く頭を殴られた。
泣くものか、と思うまでもなく涙は出なかった。心が瞬時に麻痺してしまったのか。

236微キチク尚六(?)5:2005/04/27(水) 15:05:33
四肢を強い力で押さえ付けられ抵抗も出来ぬまま、着物の合わせを左右に開かれ白く
すべらかな肌が露わにされる。
水物の菓子の様に柔らかく潤いが有る肌、そして桜色に色付く両の乳首。それらに、
誰とも知れぬ手が伸びる。
六太は己がこれから何をされるか分かっていた。
男に犯される、こんな屈辱的な行為は尚隆以外には許せるものではなかった。尚隆
以外とは、したくない。
けれど、尚隆によって投げ出されたこの身体。
混濁する意識の中、極度の怒りと、悲しみと、何故、と疑問符が心を占めていた。

男達は容赦無く六太を攻め立てる。
もう如何程の刻が経ったのか、頭部を覆う巾以外は全て取り去られた白い肢体に、
次々と傷痕が残される。柔らかく小さな尻を左右に割り開かれ、果てては入れ替わり
に肉棒を差し込まれるため、六太は下肢を閉じる暇も与えられず、またそうしようと
する意思も次第に潰えていった。
「坊主、可愛いなあ」
「…良い反応しやがる。なんだ?元々風漢の稚児かお前?」
「俺だったら絶対売らねえけどなあ。飽きちまったんかね?」
仰向けで犯されれば床の上ゆえ背が摩擦で痛く、うつ伏せで持ち上げられた尻を突か
れれば、胸と頬が痛かった。
けれど、本当に痛いのは身体ではなく――。


隣国から己が城に向けて、日の沈む方向へ尚隆はたまを走らせる。
既に、この空の上には聞こえる筈の無い六太の悲鳴を聞いていた。

尚隆は六太を憎んでいた。
己に好意を向ける六太を厭うていた。
絶対的に己のものであるのに、絶対的に己のものにはなりえない六太を。
この世における只の装置、と捨て置くにはあまりにも愛しい存在であるそれ。
意思など持たぬ人形に、虜となる愚かな己を肯定出来なかったのだ。




書きたいとこ書いたので終わりますよ…。

237名無しさん:2005/04/28(木) 18:09:18
ねーさん上げてくれたらいいのに。
しかし尚隆の気持ちもなんとなくわかるような。

238名無しさん:2005/05/03(火) 01:40:07
>書きたいとこ書いたので終わりますよ…。

なんかワロタ
>>1の鬼畜楽俊の続き、あなたに期待しております

239名無しさん:2005/05/04(水) 19:47:53
>237
>238
レスありが㌧。鬼畜楽俊は無理ぽ。
自分、ラッブラブでエッロエロな尚六スキーですんで…。
ってか、他の人が続き書いて良いのかな?

240『台輔の勤め』22:2005/05/18(水) 04:11:37
頭の中が白くなっていく。
己のしている行為と、その姿。
六太は目を閉じたまま氾王のものを口中に納め、舌を使う。
「ん、…ふ…っ…」
他の雑念に心を捕られぬようにとも見えるその一心な姿を見下ろし、
氾王は一人笑む。そしてふと、その表情の変化に気がついた。
湯気に濡れた前髪越しに見える六太の頬は赤い。
恥辱のせいもあろう、だが…。
「延麒」
不意に凛とした声で名を呼ばれ、六太ははっと我に帰った。
唇に先端を咥えたまま上を仰ぎ見る。
氾王は首を上に振り、六太にやめるよう指図した。
意味を量りかねて軽く見開いた眼に、氾王の毅然とした、だが穏やかな声が降る。
「もうよい」
「…へっ…?」
思わずおかしな声を出した。
「もうよいと申したのだよ。背を流してくりゃるかえ。おぬしも体を流して上がるがよい」
半ばぽかんとして動けなくなった六太を促すように、氾王の長い指が金の髪に触れる。
「さ、早う。」
背が冷えたのでな、と笑った顔にとりあえず安堵し、六太はゆるゆると体を起こす。
気が変わったのか、そのことにはほっとしつつ、だがとまどいを隠せない。
「でも…なんで…」
「続けたかったかえ?」
「いっ!いや全然!…って、あ…!ごめ…いや、そういうわけじゃ」
挑発するようににやりと笑まれれば慌ててかぶりを振る。
つい本音を口走ると焦り両手をぶんぶん振った。
「あ、いや…。あの、さ…」
そして小さく一つ湧いた不安を口に出してみる。
「おれ…何か失礼なこと…した…?」
我に帰れば、接待役としての今回の立場が頭に蘇る。
願ってもない展開とは言え中断は突然であった。
先程まで己の口で愛撫していた氾王自身は既に形が出来上がっている。
どのような術を用いるつもりであったかにしろ、その状態にしたままで
やめるというのは、如何に六太であっても理解し難かった。
向けられた当然の疑問に氾王は目を伏せて笑った。そして口を開く。
熱くはないかえ、と。
「随分と頬が上気しておる」
言われて六太はかすかな息苦しさを覚えていたことに気付いた。
「え…?うん、少し…暑い」
「大分長居をしたようじゃ。慣れぬ振舞いにさしもの小猿の頭ものぼせたかの」
湯疲れで倒れさせたとあってはこの呉藍滌の名が落ちる、
と、含めるような落ち着いた声が結んだ。





久々に続きを進めに来ました。誰もいない内にコソーリ書いちゃう…

241名無しさん:2005/05/18(水) 23:42:03
氾王さま、お久しぶりです。ろくたんが、んなことしてるというのに
我慢づよすぎです…

242『台輔の勤め』23:2005/05/22(日) 04:41:17
一通り体を洗い、六太は促されるまま自身も肌を清める。
結局なみなみと溢れこぼれる湯には浸かることなく、氾王は湯殿を出ようとする。
埃を流したかった故であるからね、とさらりと言った彼に、
六太はあのさ…と、尋ねたくて仕方のなかったことをためらいながら口に出す。
「それ、どうすんの…?」
ちらと目を向けた、それ、とは氾王自身。
六太によって高ぶった形になったものは幾分元の状態に戻りつつあるものの、
依然雄を鼓舞するかのように角度を保っている。
おずおずと言い憎そうに尋ねてくる六太に、氾王は思いがけぬことが起こったように
一瞬動きを止め、六太の顔をまじまじと見、それから軽く吹いた。
「なに、…うむ、そうじゃの──幼い延麒にはわからぬことやも知れねど」
まともに成人した男なればかようなもの幾らでも鎮める術がある、
と笑いを堪えた声が続いた。
「──その術を知りたいと申すかえ。如何ようにも出来ようぞ。
今なれば…そうだねえ、常に頭にある、我が国の案件を
一つ思い出してくりょう。──わかるかえ?」
男である前に王であるということじゃの、とさらりとした顔が言う。
六太はやおら目を見開いた。
「えっ、本当に?あんた──いや、氾王はそんなんで…萎えるのか!?」
思わず声を高くした六太に、氾王は失笑し、あからさまに眉をしかめて見せた。
「萎えるなどとそれこそ萎えるような言葉を遣うでない。
王とはかようなものじゃ。何時も政事が浮かべば身のしまる思いがする。
私の在りように全てを預けておる国と民とに、常に命の竦む思いを以て向こうておればの」
「…!…」
その毅然とした言葉と物言いに六太は思わず感嘆の吐息をついた。
二の句が継げない。
そういうものなのか。
いや、少なくともこの男──範国国王呉藍滌においてはそうなのだ。
もし次回、尚隆がその気であって己が拒みたい時、言ってみよう。──
六太は一人考えた。
(おれ達がそんな事やってる間も惜しみ無く働き、もしくは
何か心労があって安らかに眠りにつけないでいる民が必ずやいるはずだ)──
だが、その思いはすぐに儚く消えた。
あの尚隆がそんな言葉で萎えるような男でないことを
自分が一番知っている、ということをすぐに思い出したからである。

243名無しさん:2005/06/08(水) 02:15:40
>もし次回、尚隆がその気であって己が拒みたい時、言ってみよう。──
ワロス
尚隆とは別の意味で氾王さまは自在の下半身をお持ちだな。

244『台輔の勤め』24:2005/06/21(火) 03:20:19
(あいつに効くわけねえよなあ…)
六太は溜め息を漏らした。
五百年連れ添った王──彼に、今一瞬でもそのような
「かくあるべき王」の幻想を抱いた己の気の迷いに苦く笑い。

──さて、それぞれ女官に身繕いをさせ湯殿を後にした二人であったが、
背にした女官の内、数名の頬が赤かったのは気にするべくもないことである。


氾王の横を歩く六太の衣装は先程とは趣を異にし、
淡い紫を基調とした華やかなものとなっていた。
女官が自分に嬉しそうに着せるのを半ばげんなりと六太は受け入れたが、
もしかすると彼女らは何着も用意していたのかもしれない。
髪留めや帯などの飾り小物も着物に合わせて品よくまとめられ、
それは六太の瞳の色に良く似合っている。
「…雁にもほんに趣味の佳い女官がいるのだねえ。
日頃の鬱憤を晴らしておるようじゃの」
などと氾王が皮肉を言うのも今は甘んじて受ける。
実際自分も尚隆も服装には全く頓着せず、むしろ面倒としか思わないから、
その感性に秀でた女官には日頃口惜しい思いをさせていたのかもしれない。
今回思い切り好きなようにさせたのだから、
今後も口やかましいことを言われることはないだろう。

245名無しさん:2005/10/14(金) 21:51:57
つ、続き早く・・・・・滅茶苦茶気になるよー

246名無しさん:2005/10/23(日) 00:53:12
おふろでのことを尚隆が知ったら…続き期待してます!

このスレ読み返してました。
「春怨」と「微キチク尚六」、名作だと思います(同じ人かな?)。
ファンです。また書いてもらえたら嬉しいです。

247名無しさん:2005/10/27(木) 18:30:02
>246
舞い上がる様なレスありが㌧です!
「微キチク尚六」…好きな男を思いながらマワされるヒドイシチュ
が書きたかっただけなんて言えません。
「春怨」…流石に今とは尚六観が違って何とも;

文の書き方が未だに良く分からんのですが、尚六キチクものとか
書かせて頂きたいです。来年辺り。今度は同じ人だとバレないように…。

248名無しさん:2005/10/27(木) 21:55:38
来年尚六キチクですか!?
期待しております!!!

249氾六の中の人:2005/11/16(水) 15:44:56
仕事が忙しくて滞ってしまってすみません。
続き書きたい気持ちはあるのですが、遅くなりそうです。
誰か続き書きたい方いましたら、リレーにしてしまっても
いいかなとも思っているのですが…
今更ですねw

250名無しさん:2006/01/21(土) 21:28:38
ここって誰でも小説のせて良いんだよね?

251名無しさん:2006/01/24(火) 20:17:25
うむ 好きなように書くのだ!

252終宴1:2006/02/15(水) 22:14:55
尚隆末期系尚六にチャレンジ精神でお送りします。
(末声までは行きません)



こわいことは、ひとつ。
――尚隆が雁を滅ぼすこと。


常に変わらぬ繁栄を誇る雁国の、木々の静まった真夜中の玄英宮。
延台輔の住まう仁重殿に忍び込む影一つ。

月明かりだけが届く暗闇の臥牀で六太はその気配に気付き、打ち
掛けた寝返りを止めた。
影が帳を捲り牀榻に進入を果たしても、使令共々警戒するでもない。
するとギシ、と臥牀に上がり込む音を立て、既に己を覆う長身の
その正体を確かめる事はせず呟いた。
「…てめー、部屋間違えんな。正寝に帰れ、正寝に」
「あのな、お前に会いに来たのに帰されてたまるか」
「お呼びじゃねえんだよ、帰れ帰れ」
〝風漢〟の出で立ちのまま、豪奢な布団に潜り込んだその人に対する
六太の言葉は冷たいが、口調は冗談めかしていた。決して本心では
ないし、それを分かった上でなのか尚隆は六太を抱き締め、その幼い
柔らかな頬に唇を寄せる。
「俺にはお前が居れば良い…」
「白粉の匂いプンプンさせながら言っても説得力の欠片もねえよ」

253終宴2:2006/02/15(水) 22:23:52
もう遥かな昔、六太は延王の寵となった。尚隆の一となった。
それでも六太が尚隆のただひとりの相手という訳ではなく、彼にとって
女は趣味であるのか、女を愛し、侍らす事は辞めなかった。
六太は彼が女を愛でる事に妬くでもないが、すると尚隆は「妬いても
くれぬ」と臍を曲げるのだ。全く面倒くさい男であるが、そんな莫迦な
ところも愛しく思う。もっともそう思えるのは「己が彼に一番愛されて
いる」事から来る傲慢ゆえであろうか。

被衫の合わせから大きな手が差し込まれ、帯が緩く解かれる。胸や腹、
腹から下肢を愛撫され、月明かりの中白い六太の身体が薄らと色付いて見えた。
互いに裸身で向き合い、尚隆は彼らしからぬやや真面目な視線を送る。
「俺の帰る場所はここだけだ。…ここ、だな」
そう言いつつ六太の下肢を弄り秘所に指を押し入れる。びく、と跳ねた
細い腰を見る目は楽しげだ。
「蓬莱ならば男は女より出で還るのであろうが…」
「…お前、つまんねえ冗談言うなよな」
「つまらんか。本心であるのに」
そうして睦言の代わりに軽口を叩き合った後、夜が更けるまで睦み合った。


それはもう数十年前の夜の事で、時の経った今ではそういった事――身体を
繋ぐ事は無くなった。

254名無しさん:2006/02/17(金) 00:11:23
おお…お?
風漢の格好でしのび込むところが、人目を忍ぶ恋人同士プレイという感じで…!
とりあえず米5㌔買い足ししとかねば

255名無しさん:2006/02/18(土) 01:09:30
いっそ米俵ごと持っていけ。
馴染ませてからいきなり数十年放置プレイとは…尚隆、やるなw

256名無しさん:2006/02/18(土) 20:38:38
おお、更新されとる!
神よ!!

257名無しさん:2006/03/02(木) 05:56:53
変なの来てるので上げますね

258名無しさん:2006/04/19(水) 00:38:45
あげときます。

259終宴3:2006/08/19(土) 01:43:23
王、台輔の身辺を世話をする女御達は女の嗅覚でもって主従の破局を嗅ぎ取っ
た為、玄英宮において「主従がどうやら破局を迎えたらしい」という噂は女官
の間から広がった。
それを耳にした朱衡ら高官達は急ぎ城内に緘口令を敷こうとした。
何しろ常の男女の破局とは違い、一国を巻き込む、国の滅亡をも招きかねない
事件なのだ。真実は置いて、混乱の芽は早々に摘まねばならない。下界に噂が
漏れ伝わる、など有ってはならない。
そうして城内には一時緊張が走ったが、見れば王は以前にも増して出奔するよ
うにはなったが政務を放るでもなく、特に主従が仲違いをしたとも見受けられ
ない。
主従は恐らく以前のような恋愛関係ではなくなり、それによる睦まじさが失せ
たのだろう――官達の見解はこうであった。それならば、政務に国に関わらぬ
のであれば官が口出す事でもない。

だが台輔は麒麟、王を慕うもの。自然、主従の破局は王に原因が有りと思われ
口には出さぬが「台輔、御労しや」という皆の視線を六太は受けるのであった。

尚隆の出奔と共に、六太の出奔も増えていった。そういったものの煩わしさか
ら逃れるために、…己の矜持を保つために。

260終宴4:2006/08/19(土) 02:55:12
その、城での小さな波風となった件は昔の事。

城から出奔した六太は自国内を当てなく飛んでいた。このまま蓬莱まで掛けよ
うか――。だが騶虞に跨り天掛けながら、見下ろした桜は見事で夜中に仄かな
光を放つようであった。

春の終わりの夜中の桜に六太はかつての幻を見た。それは空中を掛け冷える身
体に確かに熱を篭らせる。あれは尚隆を王に迎え四百年が経った頃か。春の宵
口桜の下であの男から「惚れている」と告げられた自分。その幻。それを見る
事は今では酷ではない。
そして連珠のように、初めて尚隆と身体を繋いだ夜を思い出した。あの時もや
はり蓬莱に遊びに行ったのだ。
当時、蓬莱の情勢がかなりきな臭くなっている事は知っていた。だが生来の好
奇心で鳴蝕により飛んだ蓬莱は――。着くや否や、六太は瞬時に血に酔った。
これ程酷い穢れを体験した事が無い。血臭の源。人だけではなくその地に生け
るもの全てが死んでいた。
六太は運悪くも近代兵器による戦争を目の当りにしたのだ。空から撒かれる物
が地に落ち爆音と共に炸裂し、不死の麒麟であってもその命、王と繋がる命を
守れるか危うかった。
麒麟の俊足をもってその地を離れ、すぐに常世に逃げ帰った。

261終宴5:2006/08/19(土) 03:29:26
六太は蒼ざめ、尚隆の、唯一の光の元に帰って来た。生気を失い、地に付かぬ
感覚の脚を必死に動かして。
正寝の牀榻で横になっていた尚隆は明らかに常とは違う六太の様子に驚いた。
身体を起こし牀の上で腕を広げれば、六太はその胸元に縋り付き、泣き出した。
事情を話すように促せば、六太は嗚咽交じりに見て来た蓬莱の姿を語り出す。
「…それはあくまで蓬莱での事だ。こちらでは、雁ではそんな事は起きぬ、…
俺が決してそんな事は起こさせぬ。大丈夫だ。安心しろ」
縋り付いてくる恋人を、尚隆は優しく、だが強く抱き締めた。それでも震えが
止まらず「怖い怖い」と蓬莱での光景に怯え泣く六太を「大丈夫だ」と宥める
事に努めた。そして、安堵を与え、気を紛わすために六太を抱いた。

その夜の事は混乱の内に過ぎ去ったが、その後も暫く体調が優れぬ六太に尚隆は
優しく接したのだ。どんな風に優しかったか、もう記憶は切れ切れで具体的には
思い出せぬが、恋人として優しかった印象は残っている。

それから後、身体を繋ぐようになってから尚隆は己が欲望を全て六太にぶつける
が如く愛してきたし、六太もそれを受け入れていた。
だが、数十年前を機に、そういった事は無くなった。
彼の心は己から離れた。飽きられたのだ。己では彼の心、身体を満たす存在では
なくなったのだ。所詮、麒麟と違い王は麒麟に縛られる事など無いのだ。

今、尚隆は昼には城にその姿を見せるが、夜まで留まる事は無い。

独り寝には慣れた。六太は己の中の主に対する特別な感情――恋慕も風化を認めた。
傷付き心乱される事なく愛人であった昔を懐かしく思い出す事も出来た。

262名無しさん:2006/08/19(土) 05:41:47
おっ、更新されてる(゚∀゚) 神乙!

切ないろくたん、凄く好みだ。

263終宴6:2006/08/23(水) 02:24:55
「お早うございます」
「お早うございます台輔、お起きになって下さいませ」
「ん…おはよ…」
牀の幄が女御によって上げられ、もう何百年と変わらぬ清清しい朝を迎えた。
六太は仁重殿にて大人しく起伏していたが、以前のように「御労しや」といっ
た視線を寄こす者はもう居ない。かつての主従の破局の件は、大分皆の記憶か
ら薄れる位には時が経っていた。

未だ眠気の覚めぬ足取りで立ち上がり、女御達に身支度を任せる。彼女達は慣
れた手付きで六太の被衫に手を掛けるのであるが、昔には、情事の翌朝に自身
の身体を検めると首元や胸元に二、三の痕を得ている事がまま有った為、出来
なかった事だ。そして、朝の仕度の世話から逃げる六太の様子を尚隆は悦に入
ったように笑って見ていたのだが。

今、それとは違った意味で、六太は被衫を纏わぬ自身の身体を見下ろして確認
する。――何の変化もない。
「…どうかなさいました?」
女御の問い掛けに六太は気付き面を上げる。
「いや、何でもない」

朝目覚めたら何の前触れも無く突如として、己の子供の成りが十代後半の青年
の姿に変化しているのではないか。長い手足、大きな掌を持った大人の姿を得
ているのではないか――。
そんな劇的な事が有るのではないか。愚かにもそんなあり得ぬ期待を抱いている。
期待を、天帝に?そうではない。何か超常的なモノに。

別に数百年付き合ってきたこの子供の身体に劣等感を感じるでもない。仮にそ
んなものを感じた事が有ったとしても、過去の事だ。今更だ。なのに無性にこ
の子供の殻を捨てたくなった。
外見はともかく、内面はとうに大人であるのだから。
ここ数年、焦りにも似た感情を六太は強く抱いていた。




過去が飛び飛びで分かり難い…。ゴメー!!

264名無しさん:2006/08/27(日) 18:48:08
神、超乙!萌え萌えですよー!(*´Д`)ハァハァ

しかしこんなに可愛い六太んを捨て置くとは、尚隆めーーー!!

265名無しさん:2006/08/30(水) 00:24:48
おおすげぇ!
せつないろくたん、萌えだーーー!(*´Д`)

266名無しさん:2006/08/31(木) 02:33:53
新しいのキテルー!!!
切なくも気丈な六タンも、今のとこ何考えてるのかよくワカラン尚隆も、
共に気がかりだー!

267名無しさん:2006/09/22(金) 19:28:14
ところで 鬼畜王楽俊 は、もう書かないの?
かなり気になったんだが・・・・・
姐さん、誰かーーーーーーー!!

268名無しさん:2006/11/07(火) 12:50:47
267さんが、らくつんの続き書いてくだせい。
おながい…

269尚+利×六:2007/01/03(水) 01:22:23
誰もいないようなので、今のうちにコソーリと置いていきます。
利広と尚隆が宿の一室かなんかで、六太を襲ってる感じ。3p

条件:挿入なし(指などは可)の濃密でねちっこいエロ

上の条件を守りながら、二人には六太を襲ってもらいます。



ではスタート↓

270尚+利×六:2007/01/03(水) 01:24:33
ふわりとした甘ったるい臭いで六太は眼が覚めた。
頭がぼうっとしている。それになんだか、やけに喉が渇いていた。
体が気だるく、うっすらと熱を持っている。
不快ではないが、ひどく奇妙な感覚。

六太はくらくらする頭を起こした。この甘い臭いは何なのか。
自分は寝る前に香を焚く日課はないし、女官だってそのことを知っている。
ならば誰が・・・・・。
そう思うよりも早く、暖かな陽光のような王気、そしてその持ち主の声が聞こえた。
「よう、眼が覚めたか?」
そちらを見なくても分かる。延王、小松尚隆。
彼は六太の横で、座っていた。
だが、何故彼がここに?

「しょうりゅ・・・、お前なんでここに・・・?」
「私もお邪魔してるよ」
いるんだ、と聞こうとした六太を遮って第三者の声が聞こえた。
「利広・・・・・・」
六太の視線を受けて、利広はひらひらと片手を上げる。
「夜分遅くに御免ね、風漢がどうしても寄ってけって言うから」
「お前が勝手についてきたんだろうが」
笑顔で堂々と嘘を言う利広に、尚隆は顔を顰める。

何故二人がここにいるのだろう。
尚隆はまだ分かる、だが利広まで。
一体何が起こっているのかわからなくて、六太は体を起こそうとする。
が、体に力が入らず寝台に倒れこんでしまった。
なんだかこの香の香りをかいでいると、体がまるで自分のものではないかのように動かしにくくなっていく。
「無理はせん方がいいぞ。お前のために特別な香を焚いたのだからな」
「とく、別、な香・・・?」
上手く舌が回らない。疑問符を浮かべても、二人はただ笑っているだけだ。
―――何かがおかしい。
六太の直感が警報を鳴らしている。二人とも口元を笑みの形に歪めてはいるが、眼がまるで笑っていない。
例えるなら・・・・・・・・・・飢えた獣。その表現がしっくりくるような気がする。
不安げに後ずさる六太に、利広が笑みを深めていった。
「範の特別製の媚薬だよ」


「そういうことだ」
言うなり尚隆が、後ろから六太の首筋を舐め上げた。
「っ!」
びくりと大きく体を震わせた六太を、利広が前から押さえつける。
「な、やめ」
「駄目だよ、六太。最高の気分を味わわせてあげるから、ね」
「無駄なことはせずに大人しくしとけ」
言いながら、尚隆は六太を自分の膝の上に乗せる。
後ろに尚隆。前に利広。
六太はこれから自分が何をされるのか知って、可愛らしい顔を強張らせた。

271尚+利×六:2007/01/03(水) 01:27:26
「あ・・・っ」
尚隆に顎をとられて、後ろから口付けられる。
「ん、や、んぅ・・・・」
何度も何度も、啄ばむような口付け。媚薬によって敏感になった体は、それだけでとろとろに溶かされそうだ。
うっとりと瞳を潤ませる己の麒麟の様子に、尚隆は愛しげにその髪を撫でる。
逃れようと首を振るが、その体は尚隆の逞しい腕によってがっちりと固定されている。
その間に利広は、六太の夜着の着物をするりと肌蹴させる。
上半身の肌を晒した六太に、利広は彼にしては珍しくも見入ってしまった。
平らな胸としなやかな背中。赤みが差した頬に、うっすらと汗ばんだ肌。ほっそりとした体。
その純白の肌は薄暗い部屋の中では、ほんのりと白く輝いているのかのようだ。
女ではなく自分と同じ男で、しかもこんなに小さな子供なのに、やけにそそるものがあった。
いや、あるいはこの姿だからだろうか。
そっと指先で首筋をなぞると、六太は「んん・・」と尚隆の腕の中で身じろぐ。
絹よりも滑らかなその肌は、まるで利広の指に吸い付くかのようだ。
(これが麒麟・・・・・)

利広はゆっくりと顔を下ろすと六太の首筋に顔を埋め、そのまま舌を這わせる。
「やぁ・・・・」
漸く尚隆に唇を開放された六太が、声を上げる。
だが尚隆は、今度はすらりとした背中を下から舐め上げた。
背筋に沿ってゆっくりと丹念に。
「〜〜っ」
ぞくぞくとした寒気にも似た快感が、六太を襲う。
「や、めろ・・よ、触るなぁ・・・・・」
弱々しく抵抗するその腕を掴み上げて、六太の体を押さえつける。
その隙に利広の舌が六太の胸まで降りてきた。
淡く色づいた胸の先端を口に含むと、ちゅと吸い上げる。
「ああっ」
「六太、可愛いね・・・気持ちいい?」
「やめ、ああぁ・・・・ん、・・・はぁんっ」
利広は舐めたり軽く歯を立てたりして六太の胸を苛む。六太は顎を仰け反らせ、利広の頭を掴んだ。
羞恥でどうにかなりそうだが、それ以上に気持ちよくて何も考えられない。
むずがるように首を振ると、麒麟特有の金の髪がさらりと揺れる。
尚隆も六太の背に舌を這わせたまま、反対側の胸の先端を指先で弄り始めた。


>270長すぎたorz
もっと短くしなくては・・・・・

272尚+利×六:2007/01/03(水) 01:30:36
六太のそれは赤く尖って、まるで美味しそうな果実のようだ。
摘んだり、噛んだり、捏ね回したり、引っ張ったりと、二人は散々やりたい放題に、六太の胸を味わう。
「う、ふぅぅっ・・・はぁ・・・ん、や、やめぇ・・・・」
「ここを吸われると気持ちがいいだろう?」
尚隆は舌を小さな耳に侵入させる。
ざらざらとした熱い舌で耳の中を丁寧に嘗め回されると、六太はふるふると切なげに睫毛をふるわせる。
異常なほどに肌が敏感で、二人の愛撫が痛いぐらいだ。
切ない疼きに喘ぐ六太に対して、二人もその表情にこそ出さないが、徐々に焦りはじめていた。
はじめは、優しくあまり怯えさせないようにしてやろうと思っていたが、こうもあられもない声を上げられ、
悩ましげに身をよじられると、散々酷くしてやりたい欲求に駆られる。
大人の男が二人掛りで、小さな子供を強引押さえつけ、辱めている。その背徳的な行為に気分が高揚する。
だがあまりにも酷いことをして、後々に尾を引いてはいけない。
尚隆も利広もお互いを戒めるように、やり過ぎないように自制しながら六太の体を愛していく。
「六太・・・」


疲れたので、今日はここまで

273尚+利×六:2007/01/04(木) 21:05:38
尚隆が再び六太に口付ける。先程よりももっと深い口付け。
舌先が口内に侵入すると、六太は体をびくんと反応させた。
柔らかな弾力のある舌が六太の口内で、我が物顔で蹂躙する。
逃れようとする舌を絡めとり、根元からきつく吸い上げると、六太の体中に痺れが走る。
「んくっ・・・あぅ・・・んんぅ・・・・」
初めて味わう六太の口内を、尚隆はじっくりと堪能する。
すっかり六太の体から力が抜けきったのを悟った尚隆は、ようやく桃色の唇を開放した。
「ん、・・・はあ・・・はぁっ・・・はぁ」
長々とされた口付けに、口の端から飲み込みきれなかった唾液を垂らしながら、六太は必死で乱れた呼吸を整えようとする。

その様子に尚隆も利広も思わず手を止め、小さな麒麟を見つめた。いや、視線が吸い寄せられた。
それほどに、今の六太は魅惑的で艶かしい。
荒い息づかいに合わせて上下する胸の突起は、利広の唾液でまるで熟れたさくらんぼの様にぬらりと光っている。
長い金の髪は乱れ、波打つ寝台の上に大きく広がっていた。
汗ばんで淡い桜色に色づいた肌を、弱々しい火灯りがゆらゆらと妖しく照らし出している。
火照った白い小さな体を震わせながら、それでも玉のような紫の瞳でこちらを睨みつけるその姿は、いじらしく健気だ。
ひどく淫靡に乱れているのに、六太自身が持つ高貴な麗質は少しも損なわれていない。
どころか、暗闇でもほのかな光を放つすらりとした白い四肢と金の髪で、神々しくすら見えた。
本人が意識せずとも周りの者を魅了し、引き付ける。
箍が外れそうになる。

274尚+利×六:2007/01/04(木) 21:10:32
誘われるかのように尚隆が無意識に手を伸ばした。
「厭らしい体だな・・・・ここはどうだ?」
尚隆が胸の突起を弄りながら、もう片方の手を腰に絡みついた夜着の中に伸ばした。
「うぁ・・・や、やめろっ・・・下は」
言うより早く潜り込んだ尚隆の手は、細い腰をなぞり、六太の柔らかな尻を鷲掴みにする。
「ひゃああっ・・・尚、隆・・・やめて、よぉ・・・・」
必死で身をよじり、体をくねらせ、尚隆の手から逃れようとする。
だが、それは見ているものに更なる情欲と興奮を煽るだけであった。

それを見て、利広も口はそのままに両手を夜着の中へ忍び込ませ、六太の双球を握りこむ。
「やめ、ろってばぁっ・・・・こんな、こと・・・・・して、良いわけ、が」
「あれ、まだそんなこと言うのかい?もう体はこんなに反応してるのに」
言いながら、六太の尻を円を描くように撫で回すと、六太は華奢な体を強張らせる。
「気持ちがいいのだろうが、いい加減素直になれ」
尚隆は利広よりもっと遠慮無しに、ぐいぐいと柔らかな尻を揉んだ。
無骨な男の指が撫で回し、揉みながら爪を立てる。
「や、だぁ・・・こんなの、やぁ・・・」
うわ言のように繰り返す六太の言葉を気にかけることもなく、利広は六太の乳首を一際強く吸った。
「はあぁあんっ」
六太が悩ましげな声を上げて、白い裸体をくねらせた。

275名無しさん:2007/01/05(金) 00:42:11
なんか淫らなのキター!!
六タンのエロさに(;´Д`)ハァハァ

276名無しさん:2007/01/05(金) 02:07:54
ちょ、ちょっ、!!
ろくたんいやらしすぎるー!!
ねーさん、挿入無しだなんてひどすぎるよ、
もう、がんがんに入れまくってほしー!! お願い!!!

277尚+利×六:2007/01/05(金) 23:08:19
尚隆は片手で乱暴なぐらいに尻を揉みながら、もう片方の手を乳首から離した。
いやらしい手つきで敏感なわき腹を滑らせ、乱れた夜着の中の細い太ももに触れる。
「ふぅううぅん・・・くぅんっ」
六太は嫌がるように首を振った。
足の付け根をなぞりながら、小さな指先に口付ける。
目じりには透明な涙が浮かんでいた。
尚隆が六太の指を堪能している間に、利広はやっと六太の胸から口を離すと、そのまま顔を下へ移動させた。
胸から腹部にかけて舌を這わせたまま、嫌味な位にゆっくりと。
「風漢、もっと優しくやってあげなよ、そんな乱暴なやり方じゃ六太は気にいらないよ。ねぇ六太?」
「あぅう・・・」
「何を言っとるか、こんなに体を蕩けさせておるのだぞ」
それを証明するかのように、尚隆は六太の双球の間、僅かに秘部からずれた位置で際どく指を動かす。
「はぁ・・・・はぁ・・・・駄目、だ、やめ・・・」
「聞こえないな」
柔らかな尻を撫で回しながら、ついに腹に到達した利広の舌は、へその周りを何度も行き来する。

舐めながら、開いた片手で再び胸を弄ってやると、面白いくらいに六太の体は跳ね上がる。
その拍子に、蕾の周辺を弄っていた尚隆の指が秘部に直接当たってしまった。
六太が大きな眼を見開く。
「んっ」
「気持ちいいか、ん?」
尚隆が獰猛に笑いながら、指をわざと小さく動かすと六太は体を反らして「あ、あ、」と愛らしく鳴く。

278尚+利×六:2007/01/05(金) 23:11:24
「風漢が後ろなら、私は前かな」
利広はにこりと笑って、しかしその瞳に獣のように貪欲な色を浮かべ、手を伸ばす。
しゅるりと音がして、辛うじて下半身を隠してくれていた帯が完全に取れてしまった。
腰に絡み付いていた夜着は完全に取り払われ、六太は無防備な性を晒すことになった。
利広は六太の体相応の幼さの残るそれを、うっとりと見やる。
小さく震える薔薇色の可憐なそれは、しつこいまでの責め苦と媚薬とによって完全に立ち上がっており、蜜をにじませていた。
「そ、そんなとこ見るなよ!見るなってばっ」
六太は顔を真っ赤にして力なく暴れるが、尚隆に軽く秘部を擦られ、くたりと大人しくなった。
「こら、大人しくしろと何度も言っておろうが」
「あっあっああっ」
秘部に入りそうで入らない、際どい位置で指を少し激しく動かしてやれば、六太はすぐに泣き言を上げた。
幼い体が羞恥のあまり乱れる様子は、尚隆の、利広の征服欲をひどく煽る。

「お、願・・・・・・もぅ、や、めてぇ・・・・・」
汗ばんだ金の髪を揺らして、六太が整った顔を歪めると、鮮やかな紫の瞳からは透明な涙がぼろぼろと零れ落ちた。
眼が覚めたらいきなり襲われて。
大の男二人にいいようにされて、得体の知れない薬まで使われて。
羞恥と屈辱で涙を流しながら小さな体を震わせ、本気で怯える麒麟に、尚隆と利広は顔を見合わせた。
「・・・・・・・・六太」
尚隆は小さな背中を撫でながら、宥めるように何度も口付ける。
ちゅ、ちゅと啄ばむような、優しい口付け。感じさせるためではなく、慈しむ為の。
「怯えるな、別にお前を傷つけたいわけではない」
「ん、んぅ・・・」
「大丈夫、痛いことは何もしないよ」
利広も落ち着かせるように、優しく金の髪を梳き、その頬に口付けた。

>>276
挿入書ききれん・・・・すいませんorz
誰か、他の姐さん書いてー!

279名無しさん:2007/01/06(土) 01:08:26
挿入なくてもいいのでもっと苛めまくって(*´Д`)'`ァ'`ァ

280尚+利×六:2007/01/07(日) 22:54:09
この行為が始まってから初めて見せる二人の優しい仕草に、六太は微かに安堵する。
だが。
「単に六太を気持ちよくしてあげたいだけ。だから、安心して身を任せて、ね?」
そう言って利広は六太の足の間に、頭を埋めた。
六太は利広のその行動に驚き、眼を見開くが。
何か言うより先に、尚隆に顎を取られてしまった。
しかし今度は尚隆の唇ではなく、指を咥えさせられる。
「!?」
「舐めろ、少しずつでいいから」

尚隆の腕を掴んで、必死で引き剥がそうとするが敵う筈がない。
六太の口の中に進入した指は、強引に動き回り、舌に触れる。
「くっ、ふぐぅ・・・」
しばらくすると指が抜かれ、ほっと息を吐いたのもつかの間、今度は二本咥えさせられた。
利広は六太の足の付け根を丁寧に、舐めている。
膝からなぞるように、六太の性器に触れるぎりぎりまで何度も何度も行き来する。
六太はいつ利広の舌が、己の中心に触れるのかと気が気ではなく。
しかし舌を動かさずにいると、尚隆が集中しろとばかりに強引に口内を掻き回す。
「んくぅ、ん、んんぅ〜〜〜〜〜〜っ」
六太は悶絶して体を震わせるが、抵抗などできるわけがない。
尚隆に三本目まで舐めさせられたところで、ようやく口を開放された。
はあ、はあと、荒い息を吐くと、その背を軽くさすられる。
「さて、じゃあそろそろかな」
利広は熱い吐息をはき、六太の潤んだ眼を見据えた。
「先にどっちから行く?」
「前からでもいいが・・・・敢えて先に後ろを弄りたいな」
「じゃあ、後ろからね」
前、後ろ、六太には何のことを言っているのか分からない。

281尚+利×六:2007/01/07(日) 22:57:31
「何、する気だ・・・・」
どうせ碌な事でもないには違いない。
体を竦ませる六太に、男たちはにやりと凄みのある笑みを浮かべると、くるりと六太の体を裏返した。
「っ!」
仰向けにさせられた六太の体は、さらに腰を高く持ち上げられる。
まるで獣のような四つん這いの格好。
「やめろっ、何をする気なんだよ!」
涙目で睨みつけるが、二人は意に介さず。
六太の腰を固定すると、尻をぐいと左右に割り開いた。
「ひぁっ・・・」
こうすることで六太の蕾の奥まで丸見えになってしまう。
「綺麗・・・・ほんのり色づいてるね」
「ひくひく動いて・・・・そんなに欲しいのか?」
つんと形のいい尻の奥に、薔薇色に染まった蕾があった。
愛らしいそれを、尚隆と利広は熱心に見つめている。
「いやっ、いやだ、見るなよっ」
尻の間の秘部を熱い視線に晒されている、六太にはその事実は耐え難く、あまりに羞恥に涙を流す。
だが、二人にしてみれば恥辱に悶える六太は可愛くて仕方がない。
「大丈夫だ、そんなに焦らずともすぐに良くしてやるからな」
言って尚隆は六太の尻に顔を埋める。
「っ、やめて・・・・おねがい・・・・そんなとこ」
六太の言葉はここで途切れた。
尚隆の舌が六太の蕾に差し込まれたからだ。

282尚+利×六:2007/01/07(日) 22:59:57
「んくっ!うぅうんんっ!」
にゅるりと無遠慮に六太の中に入ってきた舌は、最初は様子を見るようにゆっくりと出し入れされる。
気持ち悪くて六太は体をぶるぶると震わせるが、そろりと内壁を舐める動きに悲鳴にならない悲鳴を上げる。
「〜〜っ」
あまりに感覚に腕の力が抜け、六太は枕に突っ伏する。
だが腰は尚隆の腕によってしっかりと支えられていたため、自ら尻を突き出すような姿勢になった。
中を広げるようにぐいぐいと動き回る尚隆の舌に、六太は涙を流し、あられもない声を上げ、ぎゅうっと枕を握り締める。
「くぅぅうん!・・・・ふぅぅうう・・・・あうぅんん!・・・・」
必死に抗おうとする六太を押さえつけて、利広が情欲に染まった瞳で六太を見やった。
「六太、そんなに声を上げて・・・・もう体が堪らないだろう?」
「あくっ・・・ああぁあん!や、めてぇ・・・・これ以上はっ・・・・・・・・はあぁ!」
既にまともに返答することもできず、それでも必死で否定の言葉を紡ぐ小さな麒麟の腰に手を伸ばした。
「もっと狂うぐらいよくしてあげるよ」
言って利広は六太の熱くなった中心を、ぐいと乱暴に掴む。
「あっ、だめぇ・・・きゃあぁあぁあんっ!」
びくりと体を震わせると、その抵抗を抑えるように尚隆が舌で抉る様に六太の中を蹂躙する。
最初の余裕はどこへいったのか、いまや利広と尚隆は我を忘れ、夢中で六太の体を嬲っている。
しゅ、しゅ、と利広が六太のそれを強く扱くと、六太は泣きながら腰を振った。
「ひああぁっ、はっ、いやぁああ、もっ、許しっ、うあぁん・・・」
既に媚薬と愛撫によって高められていた体を、前を利広に扱かれ、後ろを尚隆に舐められ、あまりの激しさに六太は限界だった。
本来なら、今までの愛撫で何時イってもおかしくなかったのに、そうならなかったのは二人が六太がイく直前で、ギリギリ加減
していたからだ。

283尚+利×六:2007/01/07(日) 23:06:07
だが、今の責めは容赦がない。
「あっ、ああぁっ・・・もぅいやぁ・・・!」
(はあぁ・・・・っ・・・あっ、奥から、何か・・・!)
六太は熱に浮かされながら、体の芯が異常なまでに熱くなっているのを感じる。
激しくうねるそれが迫ってくるのをやり過ごそうと、六太は体をよじり腰を振る。
だが、どれも無駄な抵抗に思えた。結局迫ってくるそれに飲み込まれてしまいそうだ。
頭も心も快楽に犯されてしまう。

とどめとばかりに尚隆が、六太の蕾を強く吸い上げた。
「っ、やああぁぁぁ!」
体を大きく震わせ、六太は悲鳴を上げた。と同時に、六太の精が弾ける。
精をはき出した六太はやがて、脱力した体をどさりと寝台に預けた。
平らな腹に飛び散った白いそれを、利広は舐めて綺麗にしてやる。

だが、二人はまだ終わらせるつもりは更々なかった。

284尚+利×六:2007/01/08(月) 00:09:58
部屋の中は艶やかしい空気で溢れていた。
「ぁん・・・ん・・・・ふぅ・・・・んっ・・・」
体の芯がうづくような感覚に、六太は眼を覚ました。
そのとき既に、六太の蕾には利広の指が挿し込まれていた。
尚隆がまるで親猫が子猫を慈しむかのように、ぺろぺろと六太の体に光る汗を舐めている。
まだ尚隆たちは六太の体を玩ぶ気なのだ。
二人とも笑っているが、笑っていない。
動けない獲物に群がる獣のようだ。
狩りが成功したら、散々いたぶって食してしまう。
体中がビリビリと快感に痺れ、抵抗する気などとうに失せている。
これは何か、悪い夢なのだろうか。
「ふっ・・・俺、・・・あっ・・・許し・・・もぅ・・・」
最初は可憐に窄んでいたそこは、もうぐちょぐちょに蕩けていた。
しかしそれにも拘らず、ぐちゅぐちゅと蕾に遠慮なしに指を出し入れされながら、口から勝手に紡がれる己の喘ぎ声を聞く。
朦朧とした意識で力なく許しを請う六太の腰は、しかし無意識に誘うように揺らめいていた。
「だめだ、お前の体はまだうづいとるからな、もっといいことをしてやろう」
「淫乱な体が満足するまで、たっぷり楽しまないとね・・・」
既に六太の体にどうしようもないほど酔っている尚隆と利広は、幼い体の中心や蕾、胸の突起をこの上ないほど淫らに責め立てる。
「あぁ・・駄目ぇっ・・んぅっ・・くぅん・・っ・・もぅ・・・・・・」
(あぁ、またっ・・・・・)

285尚+利×六:2007/01/08(月) 00:12:12
尚隆が六太の肉棒を口に含むと、六太は一際大きく体を震わす。
「おねが・・・・・・・・あっ、あぁあぁ・・・・・!」
舐め、吸われ、軽く歯を立てられ。その間も、後ろは利広の指を咥えさせられている。
すでに利広の指は三本まで六太の中に入っていた。
「んー、確かこの辺だったと思うんだけど・・・・」
言いながらぐちぐちと指を動かし、六太のいいところを探る。
「あっ・・また・・・・・だめぇ・・・・俺・・・も、いやぁ・・・・・・・・」
「嘘を言うな。こんなに腰を揺らして。まだ足りんのだろう?心配しなくても、満足するまでとことん良くしてやるから」
尚隆は六太のものを口に含んだままそう言うが、咥えられたまましゃべられては堪らない。
「きゃあぁんっ・・・あ、あぁあ・・・」
思わずイきそうになったところを、ぐっとその根元を押さえられる。
「っ!ふぁあああぁ・・・・・・・・んあっ、あ」
イくにイけず、六太はがむしゃらに腰を振った。
だが、それは結果的に利広の指をもっと深く咥え込む事となる。
「んあぁぁっ・・・・は・・な、で・・・・」
「もう少し我慢してね、六太」

286尚+利×六:2007/01/08(月) 00:14:34
背中を舐めながら、利広は指で六太の中を存分に探ると、
「っ、あんっ」
急に六太が背を反らせた。利広は目的の場所を見つけて、笑みを浮かべた。
普通に見れば好意的な印象を抱かせる穏やかなそれは、しかし今の六太には恐怖を抱かせる笑みだ。
「六太、ここがいい?じゃあもっとしてあげようか」
言うなり、六太の感じる場所を指で激しく刺激しはじめた。
「ひぁあぁあっ!」
六太は涙を流して必死で足掻くが、そんなもので逃げ出せるのならとっくに逃げ出せている。
「くんっ、んくぅ、ふぅっ、・・・あぅっ」
突かれるたびに、婀娜な声をあげ、白い裸体をくねらせ、尻を振る。
「まっ・・・いやっ・・・も、だめっ!しょ・・・りゅ、くちっ、はな・・っ・・・せぇ」
いくらなんでも人の口に出すわけにはいかない。そうでなくても、尚隆は六太の主なのだ。
その言葉が聞こえていない筈はないのに、利広はなおさら強く突き、尚隆は出せと言わんばかりに一層強く吸い上げる。
(あっ・・・あぁ・・・また、あれが・・・ああっ・・・こないでぇ・・・・・)
残った理性で必死に抵抗するが、何が何でも六太をイかせようとする二人の手管に勝てるはずもなかった。
襲ってくる快感のうねりに抗えない。
「ああ、んあぁっ、うあぁあぁっ!!」
全身を震わせながら、六太は高みに登りつめた。

その後、倒れるように気絶した六太を二人掛りで清め、よれよれになった寝台を整え。
翌日、昼過ぎ頃に目覚めた六太に、二人は土下座をして謝ることになった。
大層ご立腹だった六太に、二人は一ヶ月の間口を聞いてもらえなかったらしい。

蛇足だけど、オチつけました
無理矢理終了

287名無しさん:2007/01/10(水) 01:33:04
乙カレー
堪能さしてもらいました(*´∀`)
私的に乳首責めがすごいツボだった。

288名無しさん:2007/01/12(金) 00:57:50
ありがとう!!
挿入なくても大満足でしたm(_ _)m

289腐的酒場:2007/07/24(火) 12:26:52
酒場での尚隆と陽子の会話をひっそり投下。
公衆の面前なので会話だけの軽いコメディです。
いちおう尚六のつもり。
Hっぽいのがないのが嫌な方はスルーよろ。
(おまけに一部、表現がビミョーに景陽っぽいかも)

290腐的酒場(1/6):2007/07/24(火) 12:29:01
 関弓の歓楽街の一画。非公式に玄英宮にやってきた陽子は延王延麒に伴われ、
お忍びで小さな飲み屋にやってきていた。
 酒にはあまり強くない陽子だが、何しろ今回の雁国訪問は表向きは政策の相
談ではあるものの、実際は金波宮でのストレスがたまりにたまっての出奔と大
差ない。おもしろがった延王に勧められるままに酒杯を重ね、半刻も経つ頃に
はすっかりできあがっていた。本来、神仙は新陳代謝が良いとあって酔いにく
いのだが、むろん個人差があるし、短時間に大量に飲酒すれば泥酔することだ
ってある。
 料理の大皿や酒瓶の載った卓子に片方の肘をついて半ば身を乗りだし、もう
一方の手で酒杯をあおりながら「だからですね、景麒が」「そうなんですよ、
景麒が」と愚痴ってくだを巻く様は、その辺の酔っぱらいと変わらない。最初
はおとなしく地味に飲んでいた彼女だが、既に目がすわっている。むしろ若い
女の子だけあって逆に始末が悪いかもしれず、これまた珍しく酔っていた延王
尚隆もさすがに手をもてあましていた。
 陽子の隣に座っている六太も既にふにゃふにゃ状態で、先ほどから卓子に突
っ伏している。身体は十三歳のままとはいえ五百年の蓄積で酒には強い六太だ
ったが。それでも、寝ているのかと思えば時折陽子に茶々を入れたり、脈絡も
なく笑い転げたりしているので、それなりに意識はあるようだ。
「延王!」
 みずからも酔っているとあって面倒になって適当に相槌を打っていた尚隆に、
酒杯をドン!と卓にたたきつけるように置いた陽子が向かいからたたみかけた。
「延王は確かにすごいです。ひとりの男性としても素敵です。何より先達とし
てこの上もなくご尊敬申し上げています。でもね!」
「おい、陽子」
 ここは市井の酒場である。しかもそう大きくもない作りで、大声を上げれば
他の席の談笑を抑えて、酒場全体に容易に響く。
 そんな場で「延王」を連発する陽子に、さすがの尚隆も呆気にとられた。し
かし彼も珍しく酔っているだけに普段より反応が遅れ、その合間に陽子は一気

291腐的酒場(2/6):2007/07/24(火) 12:32:11
にまくしたてた。
「でもねっ、麒麟については恵まれていると思うんです! わたしだって六太
くんがわたしの麒麟だったら、最初からもうちょっとうまくやっていけたと思
うんです!」
 王だ麒麟だとわめく陽子を押しとどめようとしたものの、すっかり酔っぱら
った陽子は意に介さない。こいつは意外と酔うと絡むタイプだな、と尚隆はは
っきりしない頭でうんざりと考えた。確かに普段が真面目であるほど鬱憤もた
まろうし、そこに酒が入ればたががはずれて人間が変わっても不思議はないが。
 店員はもちろん、近くの席に座っていた面々が驚いて彼らを注視したが、何
しろ陽子が完全にできあがっているので、尚隆も何をどう言ったりやったりで
きるわけもない。せいぜい「……延王?」「今、麒麟って言ったか?」とささ
やき交わすのを無視して盃をあおるくらいである。
 通い始めてまだそれほど経っていない店だったが、二度と来られないな、と
尚隆は観念した。小さいながらも、女将手製のうまい料理と酒を出す店だった
のに……。まあ諦めてしまえば、あとは開き直るだけだ。
「今回のことだってね、うちの景麒がなんて言ったと思います?」
 そう言って金波宮でのできごとを一通りまくしたてた陽子のほうは、周囲の
様子など気にかけるふうもない。というより酔いすぎて注意力が散漫になり、
酒場の空気には気づいてもいないようである。
「別にね、わたしは蓬莱に帰りたいと言ったわけじゃないんです! ただ向こ
うのやりかたにも一理あるんじゃないかと! 慶は貧乏ですから、とにかく安
く!早く!手軽に!民の生活を支えることが重要なんですよ。わかります!?」
 今度は拳でドン!と卓上を叩く。料理の皿が揺れてぶつかり合い、がちゃが
ちゃと音を立てた。
「あ、ああ……」
「それなのにあいつときたら、また溜息攻撃の連続! 使令に数えさせたら、
最高で一日八十二回溜息をついてました。八十二回ですよ、八十二回! 信じ
られます? 一日二十四時間として、八時間は睡眠、残り十六時間、なんと十
一分間に一回の割合で溜息をついているんです! あいつは本当に麒麟かって
んだ!」

292腐的酒場(3/6):2007/07/24(火) 12:36:47
「景麒のやつ、それはひどいなぁ」
 卓子に頭を載せてゴロゴロしていた六太が、熱弁をふるう陽子を見上げての
んびり相槌を打った。
「でしょう? 六太くんならわかってくれますよね! 本当に初勅で溜息禁止
令を出せば良かった!」
「今度景麒によく言っとくよー。もっと陽子に優しくしろって」
「ふんっ、もういいんだ、あんな奴! それより六太くん、慶の麒麟になりま
せんか? 金波宮に来てくれたら歓待しますよ!」
「えっ、ホント?」
「ほんと、ほんと。毎日ごちそうしますし、また一緒に堯天で甘味処巡りをし
ましょう!」
「わーい、じゃあ俺、陽子の麒麟になる〜v」にへら〜と笑った六太は陽子の
脇にしがみつき、先ほどまでなついていた卓子の代わりに、陽子に顔をこすり
つけた。「陽子の政務も手伝ってやるしぃ。そうだ、王宮からの抜け出し方も
伝授しちゃる〜」
「わ、本当ですか? 六太くん大好き!」
「陽子〜v」
「おい、六太」
 呆れて咎める声を出した尚隆に、陽子は「延王には景麒を差し上げます。楽
俊は雁の官吏になってしまったし、六太くんくらいはわたしにください!」と
きっぱり言いはなった。
「六太、おまえは雁の麒麟だろうが!」
「えー、だってこんなおっさんより、陽子みたいな美人の女王のほうがいいし
ー」
 わざとらしく唇を突きだして答える六太。陽子は腰に手を当て、勝ち誇った
ように胸を反らした。
「ふふふ、延王、こればかりはわたしの勝ちですね!」

293腐的酒場(4/6):2007/07/24(火) 12:39:12
「だがな、陽子」
「何です?」
「おまえ、まだ処女だろう?」
「……今の蓬莱では、女性にそういうことを尋ねるのはセクハラと言って犯罪
ですよ」
「わかりやすく説明しようとしてやっているんだ。六太の基準は俺だぞ。処女
のおまえに六太を満足させられるわけがないだろうが」
 陽子がむせた。「え、え、ええええーっ!?」卓子に両の拳をついて、思いっ
きり身を乗り出す。
「六太はな、色の道を極めた俺が毎晩可愛がって――」
 ガツン!という音がして、なぜか頭上から降ってきた料理の大皿が見事に尚
隆の頭に命中した。
「――!」
 声もなく頭を抱えてうずくまる尚隆。陽子の横で仁王立ちになった六太が、
大皿を投げたときの体勢のまま片手を振り上げ、真っ赤な顔で「こ、こ、公衆
の面前で何恥ずかしいこと言ってんだ!」とわめいた。しかし公衆の面前で身
分をばらしてしまっていることには気づいていないところが、間抜けな酔っぱ
らいである。
「おまえ、俺を殺す気か!?」
「神仙がこれくらいで死ぬわけないだろ!」
 しかし驚いたのも束の間、陽子はなぜか目を輝かせた。
「以前、斡由の乱の小説で、延王と延麒のラブラブシーンを見たことがあるん
ですが、やっぱりアレ、本当だったんですかっ?」
「違う! あれは嘘! こいつとそうなったのはつい最近――あ!」
 いったんは大きく腕を振って否定したものの、しっかり自分で関係をばらし
てしまった六太は自分で口を抑えた。しかしもう手遅れである。おまけにかな
り酔っていながらいきなり激しく動いたことでさらに酔いが回ったのか、気分
が悪くなったらしい。ふたたび椅子に座り込むなり、「うう、気持ちが悪い、
目が回る。吐きそう……」と両手で口元を覆って頭を垂れた。
「もしかしてつわり?」とボケる陽子。期待に目がきらきらしている。
「こっちの世界に妊婦はおらん。それにこいつは男だ。まったく飲み過ぎおっ
て。おい、女将」

294腐的酒場(5/6):2007/07/24(火) 12:41:15
 尚隆は固まっている女将を呼ぶと、苦しそうな六太を吐かせてやった。その
拍子に頭巾が取れて六太の濃い金髪があらわになる。それまで静かだった周囲
がどよめくが、もう開き直っているとあって無視する。自分の隣に椅子を並べ
て寝かせ、頭は自分の膝の上に載せてやる。もはや六太は意識がもうろうとし
ているようで、目をつぶって「うーん」と唸っているだけだ。
 陽子は息を吐くと、酔っぱらって上気した顔のまましみじみと言った。
「やっぱり六太くんの髪は綺麗だなぁ。景麒の髪なんか、同じ金髪でも白っぽ
くて冷たい感じなんですよね。性格があらわれているっていうか」
「この髪が褥に広がる様は美しいぞv」
 目をカマボコ型にしてにやける尚隆。こうなると巷のスケベ親父とどこも変
わらない。陽子はくやしそうに唇をかんだ。
「くっ……。仕方がない、六太くんは諦めます。そういえば延王が蓬莱にいた
時代は戦国時代ですもんね。男同士の関係も普通だったんですよねえ……。で
も官には何も咎められないんですか?」
「ふふん、道を失わない限り、王が何をしようと勝手だ。それに王と麒麟が異
性の場合に限っていえば、野合の例はくさるほどあろうが」
「でも慶では……」
「慶がその手のことに厳しいのは、単に予王が景麒に恋着して国を傾けたから
に過ぎん。それと女王への忌避とな。おそらく男王と麟の組み合わせだったら、
今の慶だとて大して問題にならんだろうよ。要するに景麒とそうなりたいなら、
早く治世を安定させろということだ」
「べ、別に、そんなことは!」いきなり話を向けられた陽子は、うろたえて耳
まで赤くなった。「で、でもそういうのって、麒麟のほうは嫌がらないんです
か? ――あ、王の命令には逆らえないのか……」
「麒麟が王に従う生き物だからと言って、嫌なことは嫌だと言うぞ。その上で、
命令とあれば仕方なく従うだけだ。予王の場合はさすがにそんなことを命令で
きなかったのだろうな。それで景麒に拒まれて精神を病んだのだろう。ちなみ
に六太は俺に惚れておるから、嫌も応もなかったぞv」
「のろけてますね……」
「ふっふっ」

295腐的酒場(6/6):2007/07/24(火) 12:44:13
「腹が立つので、やっぱり六太くんをください。というか少し貸してください。
一ヶ月、いえ、半月でもいいです」
「莫迦を言え」
 一蹴して莫迦にしたように顔をそむけ、酒杯を傾けた尚隆に、陽子は思わせ
ぶりに沈黙したあとで言った。
「……以前金波宮でふざけて、男性が女装、女性が男装したことがありました
よね。六太くんの女装がとっても可愛くて衆目を集めたあれです」
「おう、覚えているぞ」
 少し興味を覚えた尚隆が、片眉を上げてちらりと陽子を見やる。陽子はここ
ぞとばかりに婉然とほほえんだ。
「実はあれから女官たちが六太くんを着飾りたがってまして、是非とも言いく
るめ――いえ、お願いしてまた訪問していただけないかと脅され――いえ頼ま
れていたんです。六太くんに似合いそうな衣装や飾りもいろいろ揃えてまして」
「ほう。それは俺も興味があるな」
「でしょう? うちの女官たちは言いくるめるのが得意ですし、他国の王宮で
よってたかって迫られたら、いくら六太くんでも着ざるを得ませんよ♪ うま
くいったら絵姿を延王にも差し上げるというのはどうです?」
「それではつまらん。付き添いとして、俺も金波宮に行こう」
「だめです。延王まで来たら、朱衡さんがまた怒ります」そう言うと陽子は尚
隆のほうに身を乗りだし、意味深な微笑を口の端に浮かべた。「――さらに慶
国産の白酒をつけるのはどうです? いろいろな銘柄の献上品がたくさんある
のですが、今年のはなかなか出来が良いようですよ。それに六太くんをお返し
にあがるときは女装させたままということで」
「よし、それで手を打とう」尚隆も身を乗りだし、卓子の上で陽子とがしっと
手を組んでにんまりと笑った。
 既に両王とも自分たちの邪な世界に浸っており、周囲の様子など気にも止め
ていない。それまで周囲で聞き耳を立てていた客たちが、あまりにも低次元な
王たちの会話にガックリとなったのも、もはや他人事だった。

-終-

296腐的酒場(後書き):2007/07/24(火) 15:05:38
小説にはまってからまだ四ヶ月という十二国記初心者なので、
おかしいところは目をつぶっていただけると嬉しい。
これでも自分で書いた中では
出来は良いほうなので投下してみました。

いちおう脳内設定がいろいろあって、その流れでのssです。
ただし脳内設定の部分は、さすがに一般向けに書き換えました。

297名無しさん:2007/07/25(水) 11:11:24
age

298名無しさん:2007/07/28(土) 15:43:29
おお新作尚六ジャマイカ
コメディ路線好きだから楽しく読ませて貰いました(*´∀`*)

299名無しさん:2007/07/29(日) 17:19:27
これは共感の持てる陽子さんですね。
やっぱぁっゅの乱に興味深々なわけかw
腐女子でも王になれるとはステキ世界だ。

300王后(1/4):2007/08/04(土) 00:32:34
コメディっぽい尚六ネタです。
オチてないので、ほんとに書き逃げ。
誰かオチつけてくれたらなぁ……。

----------------------------------------------------------------------

 妙な噂を聞いた朱衡は、足早に王の元を訪れた。そこには冢宰の白沢の姿が
あり、何やら延王尚隆と相談しているところだった。
「主上、少しよろしいでしょうか」
 朱衡が問うと尚隆は、手にした書類をひらひらとさせながら「ああ、わかっ
ている。これのことだろう」と笑って手招きした。
「では……王后をお迎えになるというのは本当なのですか?」
「さすがに耳が早いな」
「本気ですか?」
 朱衡は内心の焦りを隠せない。この王が延麒六太と理無い仲であることは、
雲海の上では既に周知のことだ。そのために宰輔が本来住まうところの仁重殿
から、延麒が居室を正寝の正殿近くに移して既に一年。しかもそれは血や穢れ
を厭う麒麟の性質から王に近づけない場合を考慮してのことであって、支障が
ない限りは王と臥室を同じくしている。
 なのになぜ今さら后を迎えて、あえて波風を立てようというのか。
 尚隆は「むろん」とあっさり答えて、署名と玉璽の押印をした書類を差し出
した。朱衡はその文面を見て目が点になった。
「……台輔はご存じで?」
「そもそもその台輔が言ったのだぞ、『后妃を娶ってもいい』とな。せっかく
進言してくれたのだから、ありがたく受け入れてやろう」
「あなたというかたは……」
 朱衡は溜息をついた。これは宰輔に対する王の意趣返しだとわかったからだ。

301王后(2/4):2007/08/04(土) 00:34:41
「俺もあれから、おまえが言ったことをよく考えてな。この際、后を迎えるこ
とにした」
 執務室の書卓で書類をめくりながら、尚隆がこともなげに言った。側の榻で
面倒臭そうに官からの奏上文を眺めていた六太がハッとして顔を上げる。尚隆
のほうは書類から目を離すこともない。
「そ、そうか。わかった」
 内心の動揺を隠して、何とか六太は答えた。なぜいきなりこんな話題が出て
きたのかわからなかった。
 先日、「后妃を迎えてもいいんだぞ」と自分が言ったのは確かだ。尚隆が慰
められるのならそれでもいい、いや、そのほうがいいと思ってのことだ。
 しかし当の尚隆が、その提案を即座に一蹴したのではなかったか。
 その主の反応に、せっかく気を利かせてやったのに、と腹立たしく思った反
面、ほっとしたのも事実だったが……。
「お、俺、そろそろ広徳殿に行かないと」
 六太は急にそわそわとするなり、周囲に散らばった書類をとりまとめ、堂室
を走り出るように退出していった。その後ろ姿を、主がほくそ笑んで見送った
とは知らずに。

302王后(3/4):2007/08/04(土) 00:36:58
 それでも夕餉に王と再び顔を合わせる頃には、六太は少なくとも表面上はい
つもと変わらない様子を取っていた。尚隆の顔を窺うように何度かちらりと見、
やがて意を決したように言う。
「俺、臥室を移らないとまずいんじゃないか。やっぱり元のように仁重殿に―
―」
「別にこのままでかまわんだろう。それに仁重殿はもう靖州府の一部になって
おろうが」
 六太はむっとなった。麒麟が、后を迎えるはずの王と同じ臥室で過ごしてど
うするというのだ。
「后になる女が可哀想だろ! 俺たちのことは絶対に言うなよ! それに王后
が来たら、もうおまえとは同衾しないからな!」
「主上、台輔、失礼いたします」
 そこへ冢宰の白沢が書類を片手に現れたので、さすがの六太も口をつぐんだ。
六太の怒号は堂室の外まで聞こえていたはずだが、百戦錬磨の白沢はまったく
動じず、平然と王に報告した。いわく、これまで長らく本来の使い方をされて
こなかった後宮なので、王后のために整えるに当たって何かと面倒なのだとい
う。
「それに台輔の臥室を後宮に移すにあたり、広徳殿や内殿とさらに遠くなるた
め、政務がいっそう疎かになるのではと疑う諸官から不満が出る恐れもなきに
しもあらず――」
 淡々と報告する白沢に、六太はぽかんとなった。話が見えない。
「六太は臥室を移ると言っておるが」
「しかし後宮よりはこちらの正寝のほうが執務室に近うございますな。天官長
とも相談いたしましたが、臥室などはこれまでのように主上とご一緒なさり、
形式的な居室のみ後宮に設けられるのがよろしいかと」

303王后(4/4):2007/08/04(土) 00:39:07
「……ちょっと待て。何の話をしている」
 六太が口を挟んだ。白沢は顔色を変えず、おっとりと答えた。
「ですから王后は本来、後宮の北宮に住まわれるものですが、台輔が王后にお
なりになるに当たってはこの際、特例で――」
「その書類を見せろ!」
 六太は血相を変えて、白沢が持っている書類の束をひったくった。急いでぱ
らぱらとめくると、現れたのは、宰輔延麒に王后の称号を与える旨の簡潔な文
と御名御璽。
「しょうりゅうぅぅぅー!」文面を尚隆に向けて詰め寄る六太。「なんなんだ、
これは!」
「見てわからんか?」
 六太は、座っている尚隆の襟首をつかんだ。
「おーまーえーはーっ!」
「なんだ? 后妃を娶ってもいいと言ったのはおまえだろう」
「后妃ってのは女がなるもんだろが!」
 尚隆は、手を振って白沢の退出を促した。白沢は何事もなかったかのように
頭を下げて退出していった。
「王も麒麟も正式な婚姻ができるわけでもなし、子も持てん。ならば后が男で
も別にかまわんだろう」
「あのなあっ!」
 脱力しそうになりながらも、六太は必死に踏みとどまった。

----------------------------------------------------------------------

……これだけ。
しょーもない( ´ー`)フゥー...

304名無しさん:2007/08/04(土) 10:25:51
>>300-303
おおお尚六ではいつか必ずぶつかる王后ネタ…いいですね。王宮公認で萌えまくり!
尚隆はけろっとしてるけれどあながち冗談でもない感じだとなおいいです
ろくたん愛されてるなー

続き…
その日の夜に王后イメクラでらぶらぶえちーなどいかがでしょうか…

305名無しさん:2007/08/04(土) 11:17:41
>>304
あー、もしかしなくても王道ネタだったのですね。
十二国記初心者なので余所様のネタを知らずに投下しちゃいました。
スミマセン(´Д`;)

実は王后ネタはもう一個あって、自分ではそっちのほうが気に入ったので、
違うほうを投下させてもらいました。

ちなみに気に入ったほうの台詞を一部だけ抜き出すとこんな感じ。
これもうまい人が加工してくれたらいいなーと他力本願で妄想。

-----
「寵姫に見捨てられるとは、俺も長くはないかな」
「誰が寵姫だ。俺は男だって言ってんだろ」
「何なら王后の称号をやろうか」
「阿呆。俺を十二国中の笑い者にする気か」
「なに、ふたり一緒に笑い者になれば良かろう」
「おまえなー……」
Hのあとで、
「王后の称号なんて下すなよ。そんなことをしたらおまえを捨ててやる。
捨てられたくなかったら、俺と同衾するだけで我慢しとけ」
-----

うちの六太はなにげに尚隆より強いですw

306名無しさん:2007/08/05(日) 21:39:00
>>305
304ですが、流れ的にここではスレチになるかと思いましたのでロビースレの461に
ご相談を書かせて頂きました。ご覧頂ければ幸いですノシ

307腐的酒場2(1/5):2007/08/09(木) 19:07:29
>>290-295の続編と思ってください。
慶で陽子におもちゃにされ (なんか誤解を招く表現)、
帰国してからも尚隆に遊ばれてぶちきれた六太の鳴賢視点のお話。


----------------------------------------------------------------------

 やっとのことで卒業が決まった鳴賢は、既に官吏として玄英宮で働いている
楽俊とともに、「卒業祝いをしてやる」と言った風漢に連れられて高級料亭で
呑んでいた。
 その風漢が延王その人であることを知ったのはつい最近。六太が宰輔である
ことはとっくに知っていたが、これにはさすがに顎がはずれるほど驚いた。こ
れまでにも風漢と差し向かいで呑んだことは何度かあるが、王と知って同じよ
うに振る舞うのは難しかった。
 それでも酒杯を重ね、うまい料理をたらふく食べれば、風漢自身は相変わら
ず気安いし、だんだん気がほぐれてくる。
 そうして、それなりに和やかに一同が談笑していたとき。
「尚隆ー!」
 院子に向けて開け放たれていた窓から、騎獣らしき大きな獣にまたがった人
物が、ものすごい雄叫びを上げて乱入してきた。その勢いと怒号の凄まじさに
驚いた鳴賢と楽俊は椅子から転がり落ちた。
 結いあげた髪に玉を長く連ねた歩揺を何本も差し、精緻な縫い取りを施した
豪奢な衣装に身を包んだ美少女。風になびくその髪は神々しいまでの金色。
 ――麒麟!?
 少女は騎獣から飛び降りると、幾重にも重ねた裳裾を翻してつかつかと榻の
風漢に歩み寄った。その合間に騎獣が床に沈むようにかき消えたので、鼠姿の
楽俊とともに床に座りこんだままの鳴賢は「あわわ」と蒼白になった。
 少女は外見に似合わぬ乱暴さで、榻にゆったりとかけていた風漢の襟首をつ
かんで揺さぶり、「今すぐ勅命を解けーっ!!」と叫んだ。どこかで聞いたよう
な声。
「よ、よう、六太」
 さすがに腰が引きぎみの風漢がそう声をかけたので、鳴賢は愕然とした。
「今すぐ、解けったら解けーっ!!」
「そっちのふたりが固まっとるんだがな」

308腐的酒場2(2/5):2007/08/09(木) 19:09:55
 美少女、いや六太は首を巡らせて鳴賢たちを見やった。言われてみれば、そ
れは確かに六太の顔だった。薄化粧を施し、どこから見ても絶世の美少女にし
か見えないが。
 しかし既に目が据わっており、風漢の言葉にも「それがどーした」といわん
ばかりである。というより「もう限界」という魂の叫びが背景に点滅している
のが見えるようだった。
 六太は、ふん、と鼻を鳴らすと風漢に目を戻した。
「俺はなぁー、もう二週間も女装させられてんだよ。おまけに髪まで結いあげ
て山のように簪を差しやがって。麒麟の鬣は結うもんじゃねえんだよ! わか
ってんのか、てめえ!」
「しかし似合っとるだろうが」
「俺は男だっ! 勅命を解けったら解けっ!」
「一ヶ月間、女装しろと言ったあれか」
「そうだ」
「断る」
 六太は口元をヒクッと引きつらせた。
 ちなみに楽俊のほうは王宮に出仕している関係上、六太が女装させられるに
至った経緯を知っていたので、突然の乱入から立ち直ったあとは決まり悪そう
に、そして気の毒そうにひげをそよがせているだけである。
「王がいったん口にしたことを撤回したら示しがつかんだろうが」
「今、上に氾王と氾麟が来てんだよ」
 六太は声を押し殺すようにして言った。いつになく低音の声音で、凄みをき
かせている。風漢は固まりながらも「ほう?」と言った。
「お前がいなくなってから一週間! 政務を肩代わりさせられているだけじゃ
なく、俺ひとりであいつらの接待させられてんだよ! 毎日毎日、朝昼晩と着
せ替え人形やらされてんだよ! この苦しみがおまえにわかるか!?」
「ほう、それは見たかった――あ、いや」
 ぷつん、と六太のこめかみの血管が切れる音を、鳴賢は聞いたような気がし
た。
 六太は襟首を離して風漢を乱暴に突き飛ばすと、「沃飛!」と叫んだ。途端
にその足元から人妖が浮かび上がるようにして姿を現したので、鳴賢はふたた
び床にへたりこんだ。
「安心しろ、あれは台輔の女怪だ」
 楽俊が鳴賢の服を引っ張って耳打ちする。

309腐的酒場2(3/5):2007/08/09(木) 19:11:59
 そうしている間に六太は、衣装一式らしいかさばる布の固まりを女怪から受
け取り、それを榻に投げ置くと、ふたたび風漢の襟首をつかんだ。
「麒麟は王の半身、王と麒麟は一心同体だよなあ? 俺の苦しみはおまえの苦
しみだよなあ?」そう言ってあざけるような冷笑を浮かべる。「おまえも女装
しろ」
「おい……」
「安心しろ、簪も山ほど持ってきた。この際だ、俺が結ってやる。勅命を解か
ないっていうんなら、せめて苦しみは分かち合わねーとな。言っとくが、おま
えが脱走したせいで今日で二日ほど寝てないからな、容赦はしねぇぞ」
 そう言うなり六太は、風漢の髪を結っていた紐を素早くほどき、ついでその
まま相手を榻に押し倒すと、帯を解いて服をはぎにかかった。
「たたたた、台輔っ!」焦った楽俊が口を挟んだ。「こ、こ、ここにおいらた
ちもいます! おふたりだけじゃねぇです!」
「そうです!」
 鳴賢もたまらず楽俊に加勢する。何しろ髪をほどき、胸元をはだけた美丈夫
の王と、それに迫る美少女の図という、ある意味妖しすぎる光景が眼前に展開
されているのだ。
「妻もいない、彼女もいない寂しい男ふたりとしては、目の前でいちゃつかれ
ると、とっても目の毒ですっ」
 なぜか楽俊とは少し視点がずれている鳴賢であった。
「どこがいちゃついてんだよ、どこがっ」
 振り返った六太が、すかさず突っ込んだ。しかしある意味、確かにいちゃつ
いているように見える。というか美少女が美丈夫を榻に押し倒しているように
見える。
 その反応を見て、風漢が「ふむ」とおもしろそうに顎をさすった。
「そうだ、六太。せっかくだから鳴賢たちに酌をしてやれ」
「なっ……!」
「勅命であるぞ」
 奥の手を使われて抵抗を封じられ絶句した六太に、風漢はにやりとした。怒
りで真っ赤になった六太は、
「〜〜〜〜っ」と声を出せずに肩を震わせて立ちつくした。風漢はその細い両
肩に後ろから手を置いて、楽俊と鳴賢のほうに正面を向かせて言った。

310腐的酒場2(4/5):2007/08/09(木) 19:14:01
「わが国の麒麟はさすがに美人であろう。こんな美少女に酌をしてもらえる機
会はそうはないぞ。今日は鳴賢の卒業祝いだ。宰輔ともども盛大に祝ってやろ
う」
「鳴賢!」と六太は救いを求めるように叫んだ。「友達だろ〜っ?」
 友達。確かに友達だ。彼が宰輔であることを知らない頃、よく一緒につるん
で遊んだものだ。しかし。
 何しろ今目の前にいるのは、どう見ても絶世の美少女。確かにこれほどの美
人に酌をしてもらえる機会などもう二度とないかもしれない。
 彼女いない歴数年に及ぶ鳴賢の心は、妖しい誘惑に揺れ動いた。
「いや、その……」へたりこんでいた床から椅子に座り直した鳴賢は、照れ隠
しに頭をかいた。「確かにこんな美人に酌をしてもらえれば嬉しいけど……」
「鳴賢!?」
「ほら、六太。勅命を果たさぬか」
 にんまりとした風漢に促された六太は、憤りをこらえながら、仕方なく酌を
して回った。
 むろん鳴賢も「六太に悪いな」と思わなかったわけではない。だがそれより
も、すまなさそうに控えていながらちゃっかり楽俊も酒杯を差し出したのを見
て、「おまえもまだ彼女いないしなぁ」と同病相憐れむほうに行った次第であ
る。
 ふたりに酒をつぎ終えたところで、六太は「もうやってらんねぇ!」と叫ん
だ。邪魔な裳裾を膝まで大胆にめくるなり、椅子に胡座をかいてどっかと座り
こみ、自分も酒杯をあおる。
「この裏切り者! 楽俊も鳴賢も覚えてろよ!」
「はは……」
 慈悲深いはずの麒麟に睨まれて冷や汗を流しながら、乾いた笑いを漏らすふ
たり。その六太に、風漢は飄々として「こっちも頼むぞ」と自分の酒杯を差し
出した。
 六太は相変わらず怒りで真っ赤になったまま立ち上がると、主の酒杯に酒を
そそいだ。風漢はその顔を見上げて、「何をふてくされている、もっとこっち
に来んか」と肩に腕を伸ばすなり自分のほうに引っ張った。不意をつかれてよ
ろけた六太は、風漢の胸元に倒れ込むように抱き寄せられて慌てた。

311腐的酒場2(5/5):2007/08/09(木) 19:16:03
「怒った顔も美しいな、ん?」
 至近距離で顔をのぞき込まれた六太は、今度は狼狽と羞恥で真っ赤になった。
見守る鳴賢たちも同じように真っ赤になって固まった。
「風漢!――じゃなくて主上!」鳴賢が叫んだ。「だから目の毒なんですって
ば。いちゃつくのは王宮に帰ってからにしてくださいっ」
 風漢はにやりと笑った。
「なるほど、そう言われればそうだな。ではそろそろ俺は引き上げるとするか」
酒杯を飲みほして立ち上がる。「おまえたちはまだ呑んでいていいぞ。支払い
はもう済ませてあるから、ゆっくりしていろ」
 そう言いながら風漢は、傍らの六太を片腕に抱えた。「はーなーせーっ!」
とジタバタする六太。しかし何しろ体格も力もまるで違う上、普段よりずっと
動きにくい装束をまとっているとあって抵抗のしようがない。
 風漢が六太をしっかりと押さえ込んだまま、どこへともなく「悧角」と呼び
かけると、さきほど六太が乗ってきた騎獣が床から姿を現した。同時に女怪の
沃飛も姿を現し、六太が榻に置いたままの衣装一式を抱えてふたたび六太の影
の中に消える。
「ではまたな」
 風漢は六太を抱えたまま悧角の背にまたがると、開いた窓からそのまま飛び
去っていった。「ばかやろーっ!」という六太の雄叫びだけを残して。
 ふたりが去った窓をしばらく呆然と見つめたあと、やがて鳴賢は言った。
「なあ、文張」
「なんだ?」
「おまえ、王宮で苦労していないか?」
「いんや、別に」
「そうか……」
「とりあえず、人間、何でも慣れたほうがいいと思うぞ」
「おまえ、悟ったな……」
「まあ、とりあえず呑め」
「ああ」
 鳴賢はうなずくと椅子に座り直して酒杯を取った。玄英宮に官吏として出仕
したあとの苦労を想像し、今夜は思いっきり呑もうと思った。

-終-

312名無しさん:2007/08/10(金) 01:19:09
六太の美少女?っぷりににやにやし、人前でいちゃつき光線
出しまくりな小松にもにやにやしました。乙。
それと鳴賢よ、

>「妻もいない、彼女もいない寂しい男ふたりとしては、目の前でいちゃつかれ
>ると、とっても目の毒ですっ」

ツッコむところはそこなのかw

313体の相性(尚六):2007/08/10(金) 19:25:21
熱暑にうだった勢いでくだらないショートショートを投下。
ありがちな話という感じですが、
枯れ木も山のにぎわいということで。

しかしこの酷暑はどうにかなりませんか……。

-----

 六太が、自分たちの関係にいずれ破局も訪れうると覚悟をしていることはわ
かっていた。――つまり尚隆が六太に飽きることを、だ。
「それはありえんと言っておるだろう」
 尚隆が何度言っても、六太は疑いの目を向けるのをやめない。
「なんでそう言い切れるんだよ?」
「だからなあ……」頭をかきながら、この際、白状してしまおうと開き直る。
「感情以前の問題だ。つまりだな、何というか、体の相性がだな」
「?」
「女とやるより、おまえとやるほうがいいのだ」
「はあ?」
「もしかしたらおまえは他の男に抱かれても感じるのかもしれんが、俺のほう
はもともと衆道の趣味はないから、どうせ抱くなら女のほうがいい。しかし正
直に言って、これまでおまえほど快感を感じた女はおらんのだ。だから仮にお
まえに惚れておらなんだとしても、おまえを抱けぬというのは困る」
 六太は絶句して口をパクパクさせた。
「だが抱けばどうしたって情がわく。……わかったか」
「それって……」
「……」
「俺の体が目当てってことかっ!」
 真っ赤な顔で怒鳴る六太。尚隆は頭痛がして額を抑えた。
「だから、そういう話ではないというに……」

314307:2007/08/11(土) 10:45:03
>>312
楽しんでいただけたようで嬉しいです。
何せエロがないと、ここに投下していいんだろうか、
なんて躊躇しちゃうもんで励みになります。

実は鳴賢スキーだったりもする自分です(≧∇≦)

315後朝(前書き):2007/08/13(月) 19:04:08
夏祭りの前にエロ風味の尚六を投下します。初Hの翌日のつもり。

そういう関係になる前から尚隆と六太は同じ牀榻を使っていたという設定ですが、
これは六太の体調が悪いというか (失道じゃないです、念のため)、
そんな理由から回復を願って王の側に置いただけのことであって、
別にやらしいことはまったく起こらず。

でもいろいろあって、ついに小松さんがやっちゃいました……という感じ。


最初のイメージではあくまでキス止まりで、
初々しいろくたんの様子がほほえましいロマンス風だったのに、
書いているうちにちょっと尚隆が暴走してしまいました。

316後朝(1/4):2007/08/13(月) 19:06:11
 ――台輔のご様子がおかしい。
 朝議の場で諸官がすぐに気づいたほど、六太の様子は前日までと異なってい
た。
 まだ体調が万全ではないため、以前のように玉座のすぐ側に立つのではなく、
そこに椅子を置いて座っているのだが、その椅子の上で少しでも王から離れよ
うとするかのように、不自然に反対側に寄って体を固くしている。おまけに眼
前にかしこまる官はもちろんのこと、朝議の間に入ってから王のほうを見よう
ともしない。いや、そもそも正寝からここまでやってくる間も、いつものよう
に王と連れだってはいたものの会話はなく、なぜかほんのりと顔を赤らめてう
つむいていたのだが……。
 朝議のあと、ふと冢宰の白沢が「台輔、いかがなさいました?」と尋ねると、
六太ははじかれたように顔を上げた。
「んっ? べ、別に?」
「何やらお顔が赤いようですが……」
「そ、そう? あ、なんかちょっと暑いかなー、なんて。はは」
 六太は焦ったような笑みを浮かべてどもりながら答えた。白沢が心配してい
たのは彼の体調のことだったが、態度に不審があっても特に具合が悪いように
は見えなかったので、訝しく思いながらもそれ以上追求しなかった。何よりず
っと宰輔につきっきりだった王が、別に心配するふうでもなく、口の端ににや
にやとした笑いを浮かべていたからだ。
 ――どうやら王には原因がおわかりらしい。それも別段、深刻な問題ではな
いと見える……。
 そのまま内殿で政務に就く王に、六太は宰輔として官とともに付き従った。
だが妙におとなしい。王にも官にも声をかけることなく、特に用事がないかぎ
りは堂室の壁際の榻に座ったままなので、白沢もそちらをちらちらと気にせず
にはいられない。以前のようにだらしなく榻に寝そべるとか胡座をかいている
ならともかく、きちんと両膝を揃えてそこに手を置き、体を固くして顔を伏せ
ているのだから、気にしないほうが無理というものだ。
 やはりここは念のために、黄医に診せたほうが良いのではないだろうか。そ
う白沢が考え始めたとき。
 書卓で書類に目を落としながら、記載内容に関する官の説明を聞いていた尚
隆が顔を上げ、隅にいる六太のほうをまっすぐに見た。
「六太、おまえ今朝からおかしいが、どうかしたのか?」
「えっ?」いきなり声をかけられて仰天した六太が榻から飛び上がり、声が裏
返った。「べ、別に、何でも、ないけど?」
 尚隆が溜息をついた。が、その仕草がどうもわざとらしい。いよいよ白沢が
首をひねり始めたとき、
「おまえたち、少し出ていろ。俺は六太と話がある」
 官にそう言って尚隆が人払いを命じた。

317後朝(2/4):2007/08/13(月) 20:32:14
 執務室でふたりきりになると、尚隆は椅子を引いて六太に向き直った。六太
のほうは榻の上でうつむいたまま、耳まで赤くなっている。
 昨日の今日とはいえ、あまりの初々しさに尚隆は苦笑した。――そんな振る
舞いをされると、却って煽られるのがわからんのか……。
 時々やんちゃが過ぎるとはいえ、普段の六太は実年齢にふさわしく取り澄ま
した表情をしている。年端もいかない少年という外見に似合わず、度胸もある
し多少のことではうろたえたりしないのだ。
 それが今は、珍しく自分の感情を取り繕うこともできずにあからさまな狼狽
を見せている。尚隆の顔を直視することもできずに何かというと赤面する。
 そんなに動揺していたら官にはもろばれだろうに、と尚隆はおかしくなった。
 もっとも身の回りの世話をする女官たちには既に、ふたりの関係はばれてい
るはずだ。なぜなら褥の様子を見れば、昨夜何があったのかは一目瞭然。これ
まで牀榻をともにしていたのは、あくまで王の側にいるほうが麒麟である六太
の体に良いのではという陽子の意見を取り入れたがゆえだったし、女官たちも
それを承知していたわけだが、もはやそれだけではない。肉体を交えた以上、
彼らは立派な愛人同士だ。六太としては、思いがけない展開だったろうが。
「ちょっとこっちに来い」
 尚隆は六太を手招いた。六太はびくっとして、赤らめた顔をおずおずと上げ
た。その様子をこの上もなくいとしく思いながらも、いじめてやりたいという
矛盾した衝動に駆られる。いったいどんな反応を見せるのだろう……。
 躊躇している六太をさらに顎で促すと、六太は仕方なく立ち上がり、主の側
に歩み寄った。
「ここに座れ」
 と、自分の膝を示す尚隆。途端に狼狽の度合いを深めた六太だったが、主の
命に逆らえるはずもない。体を固くしたまま、膝の上に浅く横向きに腰掛ける。
顔を伏せた六太のかすかな震えが膝から伝わる。
 尚隆はうつむいている六太の肩に手をかけると、有無を言わさず胸元に抱き
寄せた。
「しょ――!」
 動転して胸を押しのけようとする六太を強引に押さえ込み、その唇に接吻す
る。深く貪るように口づけられたあとやっとのことで離してもらえた六太は、
尚隆の腕の中でぐったりとしてあえぎながら、それでも相手を押しのけようと
力なく無駄な抵抗を見せた。

318後朝(3/4):2007/08/13(月) 22:04:06
「だ――め……。見られ、ちゃう……」
「人払いをしてあろうが。それに見られても別に構わんだろう」
「だ、だって」
「五百年もの治世を敷いた王と麒麟だぞ。大抵のことは俺たちの自由になろう
が。それにこんな光景を見たら、官のほうで慌てて目をそらしてくれよう」
 そう言いながらも尚隆は愛撫の手を止めなかった。六太の官服の胸元をはだ
け、細い首筋に顔を埋める。相変わらず六太は逃れようとしていたが、どうし
ても力が入らないらしい、結局は主になされるがままになっている。尚隆はそ
のまま、なめらかな首筋から乳首にかけて丹念になめ、ついで耳の穴に舌の先
を差し込んで、ぞろりとなめた。
「あ……!」
 六太は思わず官能的な声を漏らしてのけぞり、尚隆の服を握りしめた。尚隆
はしつこく耳の穴をなめたり息を吹きかけたりしながら、「感じるか?」とさ
さやき、愛撫を深めていく。その手管に、もはや六太には抵抗する気力もない。
 尚隆は腰が抜けたようになった六太の小柄な体を抱き上げると立ち上がり、
先ほどまで六太が座っていた榻に仰向けで寝かせた。既に乱れている彼の官服
の前を裾まではだけ、下着ごと袴を太股の半ばまで手早く引き下ろす。そうし
て何をされているのか自覚する隙を与えず、その華奢な腰をむき出しにするな
り、とっくに固くなっていたものを口に含んだ。
 六太は反射的に体を引こうとしたものの、腰をしっかり押さえられていて身
動きがとれない。尚隆は性の快楽に慣れていない相手の動揺にはまったく頓着
せず、容赦のない愛撫を加えた。
「――!」
 強い刺激にさらされた六太は、最後の抵抗だとでもいうかのように目をきつ
く瞑り、あえぎ声が漏れないように口元に握り拳を当ててこらえた。その必死
の抵抗をうち砕こうと、尚隆はさらに執拗に攻め続ける。もっとも六太自身は
気づいていないようだが、その腰は既に愛撫に合わせてわずかに振られ始めて
いた。
 こういうとき男は便利だな、と尚隆は頭の片隅でほくそえんだ。女の場合は
こう簡単にはいかない。生娘なら――尚隆は処女を抱いたことはなかったが―
―なおさらだ。だが男なら、どれほどの堅物であっても、初めての経験でも、
ここを刺激すれば簡単に快感におぼれる。それが恋人の手によるものならなお
のこと。

319後朝(4/4):2007/08/13(月) 22:06:11
 何とか声を漏らさないよう懸命にこらえ続ける六太だったが、そのくぐもっ
たうめき、鼻に抜ける悩ましい吐息が、逆に相手をいっそう刺激することをわ
かっていないようだった。
 別に時間をかけるつもりもなかったので、尚隆はそのまま容赦なく吸ったり
なめ上げたりして、幼い体を絶頂に導いた。
「あうっ!」
 ついに六太は全身を震わせてのけぞり、こらえきれずに快感のうめきを上げ
た。尚隆は放たれたものをすべて口で受けて貪欲に飲み込んだ。綺麗に後始末
をしてやり、六太の官服を整えてぐったりとした体を抱き起こす。
「また今夜、な」目を瞑ったまま榻に背をもたれて荒い呼吸を繰り返す六太の
肩に腕を回し、低い声で官能的にささやく。「もっと可愛がってやるぞ」
 そう言いながらも片手は未練たっぷりに、六太の股間を服の上からゆっくり
と撫でまわした。六太はぼんやりとした態で尚隆の腕を押しのけようとしたが、
すっかり力の抜けた体で果たせるはずもなく、結果的に単に手を添えたにすぎ
なかった。萎えたばかりのものが刺激でまた固くなる。それを知っていっそう
激しく複雑に指先を動かしながら、尚隆はわざと卑猥にささやいた。
「また勃ってきたな。あれでは足りなかったか? ん?」
「あっ……ん」
 もはや理性の半ばまで飛んでしまったのだろう六太は、焦点の定まらぬ目で
尚隆の腕にしがみつくと、あえぎながら腰を主の手にこすりつけた。
「夜までお預けだ。楽しみに待っておれ」
 そう言ってぎりぎりまで煽って興奮させておきながら、尚隆は軽く口づけた
だけで意地悪に愛撫の手を止めた。そうして放心したような六太を榻にきちん
と座らせると、尚隆はそこから離れて官を呼びに行った。

 執務室に戻ってきた諸官はあたりに漂っている妙な雰囲気に戸惑ったが、御
前であるだけにさすがに口にはしなかった。ただ六太が顔を赤くして榻に座っ
たままなのは変わらなかったので、いったい王と何を話したのだろうと不思議
に思う。しかも先ほどよりずっと顔も赤く、髪も乱れている上に何やら呼吸も
早いようだが……。
 白沢を始めピンときた官もいないではなかったが、何しろ今は政務が優先。
何よりも王があからさまに知らぬふりをしているので追求することもできず、
執務が続けられたのだった。

320名無しさん:2007/08/18(土) 23:10:04
攻められるろくたん可愛すぎ・・・・(*´∀`*)
続編キボンというか初夜編キボン

321名無しさん:2007/08/18(土) 23:20:17
>焦点の定まらぬ目で尚隆の腕にしがみつくと、あえぎながら腰を主の手にこすりつけた。

うおぉぉぉお・・・積極的なろくたん激萌・・・・

322(尚隆+利広)×六太(前書き):2007/08/20(月) 07:35:44
315-319です。
>>320
ありがとうございます。実は初夜編はあまり色っぽくないので遠慮。
続編のほうはちょっと長めなので (その割に内容は大したことない)、
できれば他の方の作品投稿を挟んでから上げたいと思います。

さて連日の暑さに脳をやられ、つい出来心で
くだらない3Pを書いてしまったのでこちらを先にうpします。
もっともさほどエロくはないので、箸休め程度にでもとらえていただければと。
というかエロって書けない……。
また微妙に景陽、尚陽が入っております。

六太と妙に体の相性が良い尚隆は、
王と麒麟だからか? これも天帝の目論見か? それとも偶然?と疑い。
たとえば利広とでも六太は感じるのか?と思って利広に試させちゃいます (おい)。
六太のほうはさすがに抵抗するものの、尚隆とだけ感じるわけでもないなら、
尚隆との相性は王と麒麟ゆえではないとわかるから、と言われて押し切られます。
哀れ、ろくたん……。

陽子サイドの話は省略。

323(尚隆+利広)×六太(1/3):2007/08/20(月) 07:37:45
 六太は主以外の愛撫に反応しまいと懸命にこらえた。しかし早くも快感に冒
されてしまった腰は彼の意志とは反対に、すんなり利広を受け入れたまま、さ
らなる快感を求めてみずから激しく動いていた。
「ああっ、あっ、あっ――」
 力の入らない両腕では上体を支えきれず、六太は地面に突っ伏した。そのま
ま尻だけをつきだした格好で、後ろからの利広の激しい突き上げがもたらす快
楽に耐える。
「これ、は……いいね」利広は目を細めてあえいだ。六太の細い腰を両側から
強くつかみ、顎をのけぞらせて荒々しく腰を動かす。「私も、こんなにいい体
は初めてかもしれない。締まりがよくて、吸いつくようで……。それにあえぐ
声もいい。うう、早々にいきそうだ……」
「おい、中に出すなよ」
 風漢が釘を差すと、恍惚としていた利広は露骨に嫌そうな顔を向けて「なん
で」と言い返した。
「どうせ最初で最後なんだから、中に出させてくれてもいいと思うけど」
「阿呆、六太は俺のものだ。中に出せるのは俺だけだ」
「挿れるのはいいわけ?」
「今回は特別だ。二度と挿れさせてはやらん」
「ちぇっ、けちだなぁ」
 利広はそう言いながら諦めたように自分のものを引き抜くと、地面に向けて
精を放った。
「はあ……。でもすごく良かった……。風漢はいつもこんなにいい思いをして
いるわけか」
「まあな」
 そう言うと風漢は、うつぶせになったままぐったりとしている六太の腰を自
分のほうに引き寄せた。

324(尚隆+利広)×六太(2/3):2007/08/20(月) 19:10:26
「どうだ、六太。利広にやられるのは俺より良かったか?」
 いまだあえいでいた六太は声を出せず、代わりに必死に首を振った。利広は
笑った。
「どうだか。挿れたばかりでも腰を振ってすごく感じていたよね。単に風漢に
遠慮しているだけじゃないの」
「抜かせ」風漢は六太の尻を持ち上げると、さっきまで利広が犯していた場所
に自分のものをあてがった。「今度は俺だ、六太。利広なんかよりずっといい
思いをさせてやるぞ」
「言ってくれるね、風漢。百年の長がある私に向かって」
「ふん、六太が惚れているのは俺だぞ。恋人にやられるほうがずっと感じるに
決まっておろうが」
 当初の目的はどこへやら、風漢はそう言うと、遠慮なく一気に根元まで挿入
して突き上げた。
「あうっ!」
 六太はうめいて顎をのけぞらせた。既に全身の力が抜けていた彼の四肢は自
分を支えきれず、地面の上で、風漢の容赦ない腰の動きに引きずられるだけだ
った。
「あ……っ! はあ、ん、あん……っ!」
 六太の頭の中はもう真っ白で、何が何やらわからない。利広から解放されて、
やっと恋人の愛撫を身に受けているという安堵もあるだろう。素直に絶頂への
道を駆け上がっていく。
 やがて六太が快楽の絶叫をあげてくずおれた。ついで腰の動きを早めた風漢
も、すぐに満足のうめきを上げて果てた。そのまましばらく六太の腰をかかえ
て呼吸を整えていた風漢は、ゆっくりと自分のものを引き抜くと、六太の体を
地面に横たえた。

325(尚隆+利広)×六太(3/3):2007/08/20(月) 19:12:28
「あーあ。一回だけなのに、これ見よがしにたくさん出しちゃって」
 六太の秘所からこぼれて太腿から地面に伝う大量の白濁液を見やり、利広が
呆れたように言った。風漢はにやりと笑って「ちょっとたまっていたからな」
と答えた。
「何にしても、私とでも六太は感じたわけだし、私もすごく良かった。王と麒
麟だから相性が良いってわけじゃなさそうだね」
「そのようだな。陽子も俺のほうが景麒よりずっといいと言っていたし」
 利広は目を丸くした。
「風漢、景王にも手を出したわけ?」
「なに、俺はあいつの疑念を煽っただけだ。陽子が一番感じるのが景麒なら、
天帝の掌の上で踊らされているだけかもしれん、とな。だが他の男のほうが感
じるのなら、陽子は自分の自由意志で景麒と恋愛をしていることになる。しか
し陽子は他の男なぞ知らんし、まさか比較するためだけに臣下と寝るわけにも
いくまい。だから協力してやったまでだ」
「屁理屈だね……」
「何とでも言え」
 そういうと風漢は放心している六太を抱えおこし、体を綺麗に拭いて後始末
をしてやってから服を着せてやった。
 そのさまを見守っていた利広は肩をすくめた。そしていい思いをしたのは事
実なので、まあいいか、と考えた。


---
ちなみに(尚隆+悧角)×六太というアレな続編もあったりします。
なぜだか無性にろくたんをいじめたくなってしまいまして(´Д`;)
そこでは尚隆がかなり鬼畜というか壊れていたりしますが、
暑さに脳がやられるとこうなるのね……という感じです。

326名無しさん:2007/08/21(火) 00:47:33
うpされてるーーー!!

ろくたんを苛めるなんて尚隆なんてうらやま、いや、酷い奴
姐さん、尚+悧×六もうpキボンヌ、お願い!!

327名無しさん:2007/08/21(火) 16:32:48
姐さん乙!
六太が他の人に犯されるのってシリアスじゃ重いけど
このくらいの軽さでだったらめたくそに萌えるーーーーー!
自分も同じく尚+悧×六もうpキボンヌ!

328322-325:2007/08/21(火) 19:36:45
>>326
えっ、要するに獣○ってことですけど、需要あるってことですか?(;・∀・)
構わないようであればそのうち、様子を見てうpしますけど……いいのかな。

>>327
いや、そのぅ。続編は倍以上も長さがあって、
おまけに尚隆が壊れてるんで、今回のほどには軽くないかも、です。
尚隆に命令された悧角にろくたんが陵辱されちゃう展開なんで。
もっとも自分の文はエロっぽくないというか淡々としていると思うので、
その意味では、他の書き手さんのより印象はずっと軽いんでしょうけど。

329名無しさん:2007/08/22(水) 00:02:48
|゚Д゚)コソーリ <それでも読んでみたいかも・・・・

330322-325:2007/08/22(水) 19:22:01
>>329
了解です。じゃ、近いうちに続編をうpさせてもらいますね。
この手のシチュが苦手な人はスルーよろ。

331(尚隆+悧角)×六太(前書き):2007/08/24(金) 19:46:28
>>323-325の続編です。
前作と尚隆の性格が少し変わりました。というか壊れちゃいました。
おまけになぜか利広に代えて悧角を加えての3Pです。

こんなアブノーマルなシチュの発想ってないと思っていたのに自分にビックリ。
悪いのは今夏の酷暑か、ろくたんの可愛さか。
なぜだか急に、ろくたんを無性にいじめたくなってしまったんですよねえ……。

悧角とは無理矢理だし、何より尚隆が鬼畜だったりするので、
苦手な方はご注意ください。このままだと失道まっしぐらって感じ。
でも尚隆はともかく、意外と悧角は気に入っていたりするのはナイショヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ


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