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【お気軽】書き逃げスレ【SS】

308腐的酒場2(2/5):2007/08/09(木) 19:09:55
 美少女、いや六太は首を巡らせて鳴賢たちを見やった。言われてみれば、そ
れは確かに六太の顔だった。薄化粧を施し、どこから見ても絶世の美少女にし
か見えないが。
 しかし既に目が据わっており、風漢の言葉にも「それがどーした」といわん
ばかりである。というより「もう限界」という魂の叫びが背景に点滅している
のが見えるようだった。
 六太は、ふん、と鼻を鳴らすと風漢に目を戻した。
「俺はなぁー、もう二週間も女装させられてんだよ。おまけに髪まで結いあげ
て山のように簪を差しやがって。麒麟の鬣は結うもんじゃねえんだよ! わか
ってんのか、てめえ!」
「しかし似合っとるだろうが」
「俺は男だっ! 勅命を解けったら解けっ!」
「一ヶ月間、女装しろと言ったあれか」
「そうだ」
「断る」
 六太は口元をヒクッと引きつらせた。
 ちなみに楽俊のほうは王宮に出仕している関係上、六太が女装させられるに
至った経緯を知っていたので、突然の乱入から立ち直ったあとは決まり悪そう
に、そして気の毒そうにひげをそよがせているだけである。
「王がいったん口にしたことを撤回したら示しがつかんだろうが」
「今、上に氾王と氾麟が来てんだよ」
 六太は声を押し殺すようにして言った。いつになく低音の声音で、凄みをき
かせている。風漢は固まりながらも「ほう?」と言った。
「お前がいなくなってから一週間! 政務を肩代わりさせられているだけじゃ
なく、俺ひとりであいつらの接待させられてんだよ! 毎日毎日、朝昼晩と着
せ替え人形やらされてんだよ! この苦しみがおまえにわかるか!?」
「ほう、それは見たかった――あ、いや」
 ぷつん、と六太のこめかみの血管が切れる音を、鳴賢は聞いたような気がし
た。
 六太は襟首を離して風漢を乱暴に突き飛ばすと、「沃飛!」と叫んだ。途端
にその足元から人妖が浮かび上がるようにして姿を現したので、鳴賢はふたた
び床にへたりこんだ。
「安心しろ、あれは台輔の女怪だ」
 楽俊が鳴賢の服を引っ張って耳打ちする。


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