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【お気軽】書き逃げスレ【SS】

1名無しさん:2004/11/03(水) 14:07
ここはなんでも書けるスレです。初心者、エロエロ、ムード系、落ち無し、
瞬間的モエ、特殊系、スレ内SS感想等なんでもщ(゚Д゚щ)カモーン!!
どんなカプでもお気軽にドゾー!!
投稿ルール、スレ説明は>>2、その他意見・質問はまずロビスレへ。

※もちろん個人での派生スレ設立は、さらに大推奨※

211心の傷痕:2004/12/18(土) 01:43
六太は、これは悪夢かもしれないと思った。決して今の醜い姿を恥じてはいない。
この姿は尚隆を守り通した、尚隆への愛の証しだ。しかしこの仰々しい輿やら、
美しい女が着るような衣やら化粧やら。似合わなさ過ぎる…。
跳ねあがりそうな心臓を抑えているうちに尚隆の部屋に輿は降ろされた。
「なんだお前達。こんな大げさにしろと言った覚えはないぞ」
と案の定の尚隆の声だ。何時になく怒気をはらんでいるようにさえ聞こえる。
人々は尚隆によってさっさと部屋から追い出された。すぐに約束通り部屋は真っ暗に
なったようだ。
「六太、たいへんな騒ぎになったようで済まなかったな。暗くとも俺が運んでやる故、
輿から出てこい」
六太は勇気を振り絞って輿を出るしかなかった。
輿から降りると、暗闇の中に薄明りを浴びたように尚隆の姿がぼおっと見える。
部屋は真っ暗だが、王気のせいだ。麒麟である六太には明りがなくともぼんやりと
尚隆の姿が見えたのだった。尚隆にはそのことは知られていないはずなのに、
尚隆の表情に嫌悪感はない。尚隆はオレのことを本心、気味悪がってはいない。いや、それ
どころか、オレの王はなんと優しい慈しみ深い表情をしているのか、と六太は胸が
熱くなった。
 そして尚隆も。六太はその事実を知らなかったが、尚隆にも六太と同じく相手の
姿が暗闇の中でも見えていた。六太の場合よりもはっきりと。麒麟の放つ光燐。
それはおそらく王と麒麟の繋がりが通常より深い場合にのみ見えるものなのだろう。
かつてこれほどまでに深い絆で結ばれた王と麒麟がいなかったため一般には知られて
いない事実ではあるが。美しく装ったこの世のものとも思えぬほどの麒麟の姿に
尚隆の心はうわずった。これほどまでに美しい者を抱けるとは、なんという僥倖。
尚隆の心はうち震えた。美しいものを救い上げ、愛を交わす場所へとそっと横たえる。
しばらく手を触れずにただその美を観賞した。そして静かに手を伸ばして触れる。
その瞬間、その美の化身は、びくん、と身を引いてしまった。
「い、いやっ…尚隆、ごめん、オレ、お前の気持ちはわかった。嬉しいよ。
でも、やっぱりだめだ。こんななりでそんなこと、自分が許せない。オレの王が
醜い者とそんなことするなんて。頼む、勅命を取り下げてくれ」
涙ぐみながら壁際に逃げて震えている。そんな姿を見せつけられると
尚隆は自分がこの美貌の者を捕まえて狼藉をはたらく無礼者になったような気分となった。

212名無しさん:2004/12/18(土) 01:45
ここまで書いた。「心の傷痕モエモエ」を書いてくれた姐さん、
続き書いてくれないかなあ。このあとちょっとまだ思いつけません。

213心の傷痕:2004/12/18(土) 11:36
 尚隆の胸は罪悪感で痛んだ。六太は姿を見られることはないと信じてここへ来たの
だ。それなのに見えてしまうとは。これは自分にも予想外であった。しかし尚隆はもう
抑えられない自分を感じていた。
「勅命をそう簡単に取り下げるわけにはいかん。
 真に命じる。勅命だ、従え」
 その声は六太をいたわる優しさに満ちたものでありながらも断固としていた。
「や、いや…」
「大丈夫だ」
励ますような語調でありながら、荒くなりそうな息を抑えている風情。
尚隆は自分の行為により六太に植えつけられてしまった恐ろしい記憶を拭い去って
やりたいと感じながらも、あの狼藉者達がいやがる六太の様子に煽られた気持ちも、
今ならわかるような気がした。美しい者が切なげにいやがる姿は男の劣情を煽らず
にはおかないのだ。
 尚隆は完全に気持ちがうわずり、もうわけがわからないほどだった。今晩は六太の
ための行為にするつもりだったのに、自制がきかない。
 それからはもう、ただ夢中だった。
 六太のほうはといえば、なんとか自制がきかなくなる前に逃げきろうと必死だった。
逃げ様とした体勢から、うつ伏せ状態で、逞しい尚隆の体の下に組み敷かれていた。
細い腕を尚隆の両手が敷布の上に抑えつける。
「あっ、やっ…」
いやいやをするように体をよじる。その悶えるような下半身の動きに尚隆の劣情はさらに
煽られた。
「六太、…六太…」
少しうわずった声で名前を呼びながら背中に優しく口付けてくる。
双方なにがなんだかわからなくなるうちに、いつのまにやら体勢はかわり、尚隆の唇が
六太の肉棒を捉えた。
「あっ、…あうっ…ああん」
抗議するような調子を帯びた甘い声に尚隆の中心は痺れ上がった。
口に含んだまま、両手の指が蕾の近くにまわされる。左右の手の指が小さな尻の双丘を
割り、それぞれの中指と薬指が蕾の左右にに触れるか触れないかのあたりを円を描く
ようにいやらしく揉みあげる。
さらに様々な甘い責め苦がいつまで続くのかと思った頃、ようやく六太の蕾の入り口に
尚隆のものの先端があたった。それが欲しい気持ちが高ぶり己の肉棒からは先走った
雫を恥ずかしく滴らせながらも、六太は尚隆を醜い生き物とは交わらせまいと必死で
尻を捩った。逃げるために体がせり上がる。
「逃げるなどして俺を悲しませるな」
尚隆のかすれた声が聞こえる。優しくいやらしい愛撫が続く中、とうとうそれは六太の
切ない部分に押したてられてしまった。
「あう! ああんっ!」
六太は絶望の声をあげたが、それすらも甘いものになってしまう。
もう抗えない、六太だって欲しいのだ。主を醜いものから守りたい気持ちとは裏腹に
六太の蕾はいやらしく収縮して尚隆自身をきつく絶妙に締め上げ、その動きは
自分の中に入れられたものを味わいつくそうとするかのようだった。

214心の傷痕モエ:2004/12/19(日) 11:32
は・・はう(大汗)御免なさい〜!姐さん!
時期が時期で・・オフ作業に手と頭を取られたりしていまつ・・
頭ん中は妄想で一杯なんですがははは

腰から登ってくる感覚に尚隆は軽く呻いた。
たまらんな・・・。
既に抗うことを止め、小さく震えながら己のものを咥え込む六太の秘所に、
より深く、ゆっくりと己を沈めて行く。
「・・・・あぁ・・・」
その質量に耐えかねてか苦しげに、しかし甘い吐息がその口から漏れる。
苦しげにそおして切なげに寄せられた眉、細い肢体、甘い声。
この上なく大切にしてやりたい気持ちと、粉々に壊してしまいたくなる嗜虐性。
相反する己の感情を沈めようと、ゆっくりその再奥まで己を収めると、
そのまま動かずにその相手、愛しい半身を見つめる。

一方六太は、逃げ切れずに主に犯される自分の身体に駆け上る快感に翻弄されて
身動きも侭ならず、ただその身を震わせる。
ゆっくりと進入してくる尚隆を、自分の身体はゆっくりと締め付けながらも
もっと奥へと引き込むように蠢くのを自身で感じる。
だめだ、と思っているはずなのに、確かに喜びを感じる自分も誤魔化せず、
六太は混乱する。
そんな自分を気遣うように労わるように、入ったまま尚隆は動かない。
そっと目を開くと、射るような視線を感じる。
己の顔に、肌に、善人に感じる視線に、自然身体が熱を持つ。
その視線を感じる肌が、焼けるようだ。
でも、その熱は、自身を焼くというよりは、ぞの熱で自身を溶かすように感じられて
自然に涙が溢れ、言葉が紡がれる。
「・・ごめん・・な。俺はお前のものなのに、こんなに醜くなって・・」

一瞬目を見張った尚隆は、すぐさま破顔した。
「ばかめ・・、それはもう止さんか。俺はお前が良いと言っとるだろう。」
その身体が、ゆっくりと律動を刻み始める。
「はっ・・あ・・ああ・・」
それはすぐさま六太の身体に快感を呼び起こしていく。

215心の傷痕モエ:2004/12/19(日) 11:42
あう・・続き書きたい〜〜
が・・野暮用が・・
イクのは夜までまってぇ〜

そして、自分でビックリ!セルフ突っ込み逃げます!

善人ってナニ?・・→全身と打ったと思われ・・・・ピー

216名無しさん:2004/12/19(日) 23:41
>215
姐さんまた書いてくれてよかった!
待ち望んでいたけど、でも用事があるときは焦らないで〜。焦らせてしまったかな?
書いてくれるなら年越してとかでも待ってますから、
オフがんばってください。

217『台輔の勤め』16:2004/12/23(木) 20:53
氾王はまずその長い髪を洗う。六太は台座に近寄り、湯を使いそれを手伝う。
洗いあげた細くしなやかな髪を手持ちの櫛で漉き、香油を振った布でくるむと
氾王はうむと頷き、口元に笑みを浮かべた。
「大分心地良うなったわ。先程までの埃はどうにもかなわぬ」
「じゃあ…背中流すな」
言って再び後ろへ回ろうとした六太の腕を、氾王のそれがくいと掴む。
「よい、そなたを先に流してくりょう」
「いっ…!いいよ俺は!」
「湯世話の者が汚れていては具合が悪かろうよ」
抵抗するものの、引かれた腕を無闇に振り払うことはやはり出来ず、
六太は結局氾王の前に向かい合う体勢となった。
台座に座る氾王とその前に立つ六太の目線は同じ高さだ。
濡れた指が頬に触れ、六太はぴくりと顔を背ける。流した視線の内にくすりと笑った瞳が映った。
「あ…」
するりと儒伴が肩から下ろされた。身じろぎした六太の脇に両腕を入れ軽く持ち上げると、
開いた脚の間にその体を挟むように引き寄せる。
「…そなたはじっとしておれ」
口を開くのを牽制するように先に釘を刺され、六太は仕方なく頷いた。
余りにも近くにある氾王の体は既に触れてはいるが、ならばせめて何も見ないようにと瞼を伏せる。
何しろ、こうして間近で他人の裸体に接したことがない。尚隆だけである。
不思議なことだが、実際己の肌を晒すのはそこまで抵抗を感じることではなかった。
それは己の本質が麒麟という名の『獣』であり、獣形をとる時には無論何も身に付けていない為であるからなのか。
とにかく今、六太は己の裸体が晒されることよりも、
氾王の肢体を見つめていることの方に耐えがたい戸惑いがあったのである。
そんな六太の胸中を知ってか知らずか氾王は、目を閉じてあたかも諦観の様を呈する六太の姿に唇を緩ませた。
(さても、こと対人に関しては傍若にして奔放な子供とばかり思っていたが…)
…面白い。
このような表情をするとは。
恥じらいに耐えかねて瞳は伏せたままの六太の唇から、かすかな溜め息が長く吐かれた。
腰紐に手をかければびくりと息を飲む。
氾王は堪えきれず吹き出した。
「そう怖がるでない。取って食おうなどと思ってはおらぬよ」
六太はこわごわ目を開ける。
「いいよ…俺、自分で洗うよ」
ふ、と氾王の眼が細まったのを見たと思った次の瞬間、視界に影が射し六太の体が固まった。

218『台輔の勤め』17:2004/12/23(木) 21:52
突然己の唇を覆ったやわらかなもの、それが氾王の唇であると認識するまでしばらくかかったように思う。
「〜〜〜…───!!」
抵抗する間もなく口中へ差し入れられた温かく濡れた舌。
それはそのまま躊躇することなく六太の舌を絡めとり、吸い上げる。
乱暴では決してないものの、攻める舌に迷いはなく、余すところなく口内を味わい尽される。
捕われた六太の唇が隙間から声を漏らした。
「んっ…ん…っ…んん〜〜〜…!」
相手の肩を両手で掴んで離れようと試みるが、肌に爪を立てる事が出来ない為うまく力が入らない。
六太の顎を唾液が伝う。息が苦しい。
力一杯顔を振ろうとした時ようやく解放され、六太は肩で息をした。
「はぁっ、はぁ…っ…」
一通り呼吸を紡いで涙目で見上げれば、そこには悪戯に瞳を煌めかせた氾王の微笑。
「な、に…。何なんだよ…」
薄い紅はとれたはずなのに一層赤みを増したように見える六太の唇は吸われたことによるものだ。
ふふ、と氾王が笑う。その顔は悪戯が成功した子供のそれ。
だが、揺らめいたその美しい瞳は不思議な妖しさを秘めていた。
「これで口は綺麗になったじゃろ」
「何言って…──、っ!」
不意に六太の背がびくんと反る。腰を降りた腕が着物の裾をまくり上げたのだ。
「…紐を解かれるのが嫌なら無理強いはせぬ」
笑いを含んだ声が耳元で囁き、腿の裏を撫で上げていく掌の感覚に六太は全身をこわばらせた。
「ちょ、ちょ…っ、やめ…!」
腿の付け根までゆるりと撫で上げた手が、双丘へ伸びる。
「や…!」
着物の下には何も着けていない。小さな丸い膨らみを、氾王の掌が直に包みこむ。
いつの間にか六太の体はぴたりと氾王の胸に押し付けられていて、その肩幅の中にすっぽりと収まっていた。
抱きすくめられたような体勢で、容易に身動きもとれなくなっている。
「あっ…あ…─!やめ…ろよ…っ…!」
強く、だが優しく揉みしだかれ、腰におかしな感覚が走るのを感じた。
胸にかすかな恐怖が沸き上がる。
氾王は何も言わず、六太の尻を両の掌で撫でる。
円を描くように大きく、時折軽く揉み込むようにしながら。
六太の顔は氾王の鎖骨のあたりにあって、肝心の相手の表情は見えない。
六太は抗議の声を上げながら眉を寄せ、息を荒くしていく。
両側から広げられた長い指が、膨らみの中心へと触れていく。
「あ…っ!やだ──、やだっ、て!…」
掠れた叫びが上がる。

219名無しさん:2004/12/23(木) 22:59
姐さん、六太がかわいいよ!!
氾王妖しい!!しかもテクニシャン!!
続きプリーズ!!

220心の傷痕モエ:2005/01/02(日) 16:35
あの最初の時のように、媚薬に侵されている訳ではない。
己の妄想の尚隆に抱かれている訳でもない。
はっきりと自分の身体で尚隆を感じられる幸せに酔い、
ゆっくりと己の中を突き上げられる感覚に、意識も飛びそうになる。
「んっ・・・あ・・あん・・・はっ・・しょ・・しょうりゅ・・・っ・・」
たまらず名を呼んでその背にしがみ付くと、同じようにきつく抱き返してくれる。
それが嬉しくて、その胸元に額を寄せると頭上から尚隆の静かな声が降る。
「六太・・すまん・・」
意味のわからぬ謝罪の言葉に、顔を上げると視線がぶつかる。
「俺にはお前の姿が見えているんだ。」

「え・・そ・そんな・・」
その余りの告白の衝撃怯えて、思わず身をよじって逃れようとするけれど
かっちりと身体を捉えられて動けない。
「逃げるな!」
尚隆のきつい言葉に思わず身がすくみ、動けなくなる。
「・・逃げないでくれ・・・」
しかし、続いた言葉は小さなつぶやきだった。
その声にドキリとして、思わず主に視線をもどす。
「お前が傷ついたのは俺の罪だ。お前が醜くなった自分を恥じねばならんのなら
その咎は俺にある。皆からその姿を隠したいならそれを俺が止める事は出来ん。
しかし、俺の前でまでその姿を隠すことは無い。」
尚隆の大きな手が頬を包むのを感じる。
「そもそも、お前の姿が変わったくらいで何で俺がお前を疎んじると思うんだ。
あまり俺を侮ってくれるな。
お前の姿を見たとて、お前の中の俺は萎えてはおらんだろうが。
これでも俺が信じられんのか?」
言われて今の自分の状況に思い至って、顔が熱くなる。
真摯なその視線にに見つられて、胸が高鳴る。
「こんな俺でも、お前の傍にいても良いのか?」
「そう誓ってくれたのでは無かったか?俺の側を離れるな」

ようやく気付いた。
尚隆の傷は俺自身だったんだ。
あの乱で、尚隆と生き延びた事に恥じることは何も無かった。
けれども、変わってしまった自分の姿を自分自身が受け入れられず、
尚隆から逃げ回る事によって、尚隆を傷つけ続けていたんだ。
そんな俺を、己の罪だと言って、責める事もせず見守ってくれた主の思いが嬉しくて
自分が情けなくて、たまらず涙が溢れた。
「ごめん・・ごめん、しょうりゅう・・」

221心の傷痕モエ:2005/01/02(日) 16:55
「・・泣くな・・」
涙を舐め取るように優しく尚隆が頬に口付けてくれる。
「おれ・・もうはなれないっ・・から・・・っ・」
言葉は、きつい口付けに奪われた。
口腔を犯され、息も奪われ苦しいけれど、
きつくなる愛撫や律動ももう構わない。
ただ全身で尚隆を感じられる、その幸せな感覚を六太はひたすら求めた。

あけおめです・・・
新年からこんなモノ書く愚かな私。
今年も尚六萌えで走れそうですよ。
きっと落ち用意されてたんでしょうにすまないです216>の姐さん。
懲りずに続投乞いまする。

222『台輔の勤め』18:2005/01/02(日) 23:51
氾王の指先が双丘の谷間をなぞる。
と、次の瞬間、六太は声を上げて背を反らせた。
「──ひっ…!」
何かぬるりとしたものが窪みに触れたのだ。
「や…やっ…、な、に…っ!?」
触れている質感は指のそれ。だがぬるぬると擦りつけられているものは──
「…そなたを洗ってくりょうと申したであろ」
耳元に響いた笑いを含んだ囁きに、それが洗料であることを悟る。
「いっ…!いいよっ、…やだって!そこ、は…っ…!」
顔を赤くして叫ぶ六太の抵抗は、氾王の体に封じられて全く動きに出せない。
ふふ、と愉快げに笑う声が湯殿に溶ける。
「忘れたかえ。…私は梨雪のようにそなたを愛でてくりょうとも申したぞ。
我が半身、梨雪は常に湯殿ではかように私に身を任せておるぞえ。…のう、」
延台輔、と声が続く。
長い指が優しく、六太の窪みをほぐすように撫でる。
「嘘っ…!──あ、や…っ──!」
片方の手が前に回り、反応し始めていた六太の花芯を捉えた。
掌にゆっくりと包みこまれびくん、と大きく体が跳ねる。
「あ─…あ…っ…」
六太は喘いだ。
ぬるりと握られた花芯は素直に反応しゆるゆると立ち上がり始める。
息が上がる。
氾王は静かに含み笑うと共に、前後への愛撫をきつくしていく。
花芯をしごくように上下に擦り上げ、親指の腹でその先を撫でつけてやると
六太の喉から声にならない喘ぎが上がる。
後口は強弱をつけて何度もくすぐり、円を描くように動かしたその指を徐々に狭めて中に沈めた。
「──っ!」
その瞬間、肩先に六太の爪が食い込んだ。大きく跳ねたその小さな体を押さえこみ、
内部に押し込んだ指先を少しずつ進めていく。
「…のう、台輔」
耳を刺激する甘い囁き。
「洗うという行為は身を清める儀式じゃ。表面だけ磨き上げても無粋よ…
常より目につかぬ、かように奥まった処から丹念に清めぬとの」
特にそなたのこと、と笑いが言葉を紡ぐ。
「…山猿の所有印が残っておるやも知れぬ」
六太は身を震わせて頬を朱に染めた。
「今度の滞在中、おぬしは私の麒麟じゃ。私の手で清めておくに不都合があろうかえ?」
六太は返す言葉につまる。
「そん…なの、詭弁だろうが…っ」
やっとそれだけ口にしたものの、語尾は掠れ、甘い喘ぎが口をついてしまう。
くちゅくちゅと卑猥な音が耳につく。
己の中を巧みに掻き回す指、前を優しくしごきあげる指がもたらす快感に、
六太は眉を寄せて耐えていた。

223『台輔の勤め』19:2005/01/03(月) 00:53
「ひ…──あぁ…!」
下肢から駆け昇る快感に腰が震える。
内部を犯す指はいつの間にか数を増し二本となっていた。
どうしてわかるのだろう、氾王の指先は器用に六太の弱い箇所を探り当て、
そこを執拗に攻めてくるのだ。
六太の先端に蜜が滲む。
執拗な愛撫に己の体が高まっていくのを押さえられない。
目尻に涙が溜っていくのがわかる。
緩急をつけた抜き差しと併せるように前を包み込んで擦り上げる掌の動きも激しくなる。
「ふ…、おぬしの中が熱うなってきたね…。気持ち良いかえ」
あまりの恥ずかしさに何も答えられない六太の、知らず腰が揺れる。
(元来過敏であるようにも見えるが…それにしても随分と開発されておるようじゃの)
撫でつけた洗料だけではなく、今は六太の先端から溢れる蜜が掌を濡らしている。
しごきあげる度にくちゅりくちゅりと水音を立て、
唇からは押しとどめられない甘い嬌声が上がる。
入念に攻め立てる中、六太の掠れた声がかろうじて囁いた。
「も…、や…!だめ…」
やめて、と切なく語尾が消えた。それを聞いた氾王は声もなく笑い、指の動きを早める。
「や、や…あ…っ──!」
大袈裟な程に大きく震えた体に、容赦なく快楽を与えていく。
敏感な箇所を指の腹で強く擦り、握った花芯を一際激しくしごきあげた。
「…っ!〜〜〜──!!」
直後大きく体を震わせた六太の内部がきつく収縮し、握り締めた掌の中のものが弾けた。
声にならない声を上げた六太の全身から一瞬力が抜け、がくりとその膝が折れる。
「…達したかえ」
へたりこみそうになった体を支え起こし、氾王は精を放った六太の
上気した表情を見やって微笑んだ。
荒い息をつき、ぼんやりと潤んだ瞳を向けてくる綺麗な子供の顔を満足げに眺める。
「…可愛らしい顔よ。気持ち良かったかえ」
囁いて目を細めてやれば、慌てたように頬がたちまち赤くなった。
「──おやおや、私が汚れてしまったようじゃの」
悪戯な目をして紡がれたその言葉に六太が目をやれば、
氾王の下腹に己が放った痕跡が散っているのが見えた。
「あ…」
あまりの恥ずかしさといたたまれなさに、すぐに反応を返せず、
六太はとりあえず下を向いて目を伏せる。

224名無しさん:2005/01/04(火) 01:00
氾王はこの後、さらに……なことをなされるのでしょうかっ? うわぁっ!!
は、はやくぅ〜

>221
姐さん、新年早々相変らずノリがいいですね〜。
私のほうは落ちは今のとこ思いついてないです。
もし思いついたら書いてネ。私も考えてみます〜

225名無しさん:2005/01/04(火) 01:19
氾王様のテクにハァハァ
尚六前提なのが更にモエー
純愛好きだけどこういうのもイイ!

226名無しさん:2005/01/05(水) 04:01
氾六に萌える日が来るとは思わなんだよ
氾王様好い!!

227『台輔の勤め』20:2005/01/11(火) 02:57
「背を流して貰う前にこちらを流して貰わねばならぬな」
その言葉に、六太は己が汚してしまった氾王の下腹に再び目をやる。
その下方まで視界に入るのは致し方なかったが、
今の今まで見ないようにしていたその部分が目に入ると、やはり意識せずにはおれなかった。
瞼を伏せた六太の様子を見て氾王はくすりと口の端を上げた。
「…今更照れておるか。可笑しなことよ。お主の王と何か違うものでもついておるかえ?」
見慣れたものじゃろうが、と悪戯めいた声音が笑う。
「そういう…わけじゃ…。別に、照れてるわけじゃねえよ…」
口を尖らして見せるものの、その頬はやはり赤く染まっている。
氾王は六太の体を引き寄せ、口付けた。
先程とは違う、ついばむような軽い口付けを六太も甘んじて受ける。
鼻先を合わせたまま、穏やかな低い声が囁いた。
「…さて、賢明な台輔には、どうするかわかっておるね…?」
六太は目を開く。眼前にある、細められた氾王の瞳が妖しく揺らぐのを見た。
「…口を清めたと申したね」
「……!」
その意図するところの行為に思い当たり、六太は抗議の声を上げようとする。
が、氾王の瞳に囚われて果たせない。
長い指が優雅に動いて六太の頭を撫でた。
促すようなその動作に、六太はあきらめるしかないことを悟った。
膝を折り、氾王の両脚の間に体を沈める。
下腹に唇を寄せ、先程放った己の精を舐め取っていく。
それは矜持高い麒麟にとって屈辱的な行為に他ならなかった。
…が、余りに未知な成り行きと行為であるが故に、
六太の心は本来感じるべき感情を見失い、半ば呆然となってしまっていたのである。
残りの半分は諦観であった。今回の責務に対して己が果たす役割の重要さを、
皮肉にも台輔たるその麒麟の本性が熟知していたのである。
氾王は六太の頭を撫で、愛らしく結われた金の髪を優しく梳く。
素直に全て舐めとり、息をついた六太の唇を伸ばした指でなぞった。
顎にかけた指をくいと持ち上げれば、上気した顔と目が合う。
幼さの残る容姿に浮かぶその表情は、やや眉を寄せた呆としたものであったが、
かすかに震えた菫色の瞳にとまどいの影が射していることは容易に読み取れた。
(…これは愛らしいことよ)

228『台輔の勤め』21:2005/01/11(火) 04:00
口元を緩め、ふ、と笑う。
「台輔…」
六太は氾王の笑みを見つめる。
「…そなたの舌は好い」
その口で、私を清めて貰えるかえ、と、ひどく優しい声が頭に降った。
――六太は息を呑んだ。
「おぬしも雁の麒麟、いくらこ度側仕えと申せ、私に頭は垂れられまい。
…が、この台座は丁度良い高さよの。その舌が私を洗ってくりゃるに不都合はなかろうよ」
言葉もない六太に含ませるように、それとも、と優しい声が続く。
「…この雁は、湯世話に侍ったというに客に体を洗わせたまま
置き捨てるような振る舞いを己に許す台輔がおる国かえ?」
六太は瞳を震わせ、優雅に微笑む氾王の顔を見上げる。
「…なん、か、…きたねえ…それ」
一瞬目を丸く開き、直後氾王は声を上げて笑った。
「ははは、汚いと申すか!…ふふ、さすがに延麒よの、
真から娘のようにはなれぬな。…」
暴言を気にするでもなく愉快気に面を崩した氾王は、
破顔したままじゃがな、と声音だけを低くした。
「…延麒なれば聡いはずよ。先刻も申したと思うたが。
台輔としてこれほど見事に歓待の役を果たしてみせたそなたなら」
覚悟を決めておったのではないかえ。
氾王の紡ぐ言葉に六太は反論の余地もなかった。
「――何、構わぬよ。無体はせぬと申したからね。
…ただ、常より大人振った延麒という子供、しかし内実その見目違わず、
やはり子供であったとね、範の官には知れたところになろうがね」
…六太は観念した。
「…わかった」
短く呟くと顔を伏せ、先程触れた部分に再び舌を這わせる。
しばらく逡巡した後、おずおずとその頭が下げられた。
心持ち変化しかけている状態であるかのようなそのものの、先端に舌先で触れる。
六太は目を閉じた。
唇を開き、口中に納めていく。舌の上をぬるりと過ぎていくそれは、
六太が唇を前に進めるごとに硬くなっていくようであった。
「ん…」
膨れていくにつれて押し上げられた先端が口中の奥を突き、
六太の喉から声が漏れる。

229「囚われた獣」1:2005/03/14(月) 16:51:46
*尚隆の王朝末期*

 酒に酔っているのとも違う不思議な熱が己の頭を蝕んでいる。だが、そのような感覚も
一瞬で、妙に狂おしい熱情にかき消されてしまう。
 そう、延王尚隆は破滅への道へ踏み出していた。それは本来己を助ける者であるべき
はずの麒麟の魅力に惑わされた為か、単に最愛の者を愛しすぎた為か、もはや自分
でも捉えられなかった。まともな思考能力さえ、いくばく残っているのか。ただ、
愛したい、守りたい気持ちだけがとめどなく湧き出でて苦しいほどに胸がつまる。
 ただただ自室へと足を速める。そこには極上の檻に入れた美しい恋人が待っているのだ。
玉をちりばめた銀の檻。そこへ駆けつければ最愛の者は菫色の瞳で上目遣いに見上げ、
「ね、遊んで」
とかわいらしく甘えてくれるだろう。
 延王尚隆は息を切らせながら自室の扉を開けた。

230「囚われた獣」2:2005/03/14(月) 17:20:21
 檻の中に金色の髪が見える。尚隆は懐から木の実を取り出しながら近づく。
「一人で寂しかったろう、すまぬな」
 寂しさに耐えかね縋るように檻に身を寄せて出迎える恋人がそこにいる…はず
だった。
 だが檻の中には、くずした胡座の上に片肘をついて頬を支えている少年が一人。
「どうしたのだ、何故駆けよって出迎えてくれぬのだ」
「血の臭いがするんだよ。いつも言ってるじゃねーか。いい加減にしてくれ」
「寂しかったろう? 遊んでやるぞ」
「遊ぶって何すんだよ。こんな檻の中で。つまんねーや」
 六太は以前の尚隆を思い出し、ため息が出た。昔は尚隆はこんなじゃなかった。
いつでも自由でいさせてくれたし、二人で街へ行き、楽しく遊んだものだった。
 一方、尚隆のほうも悲しげに息をつく。何かが違う。何かが…。
 それでも気を取り直して檻の間から桃を差し入れた。
「そら、桃だ。お前の好物であろう」
「いつも桃ばっかり…。いーかげん飽きたんだよ」
と言いながらも仕方なく手をのばして桃を受け取る。がつがつと齧るが、尚隆の手
から桃に移った血の臭いが鼻につく。それでも食べなければ飢えてしまうので
仕方がない。本当は食べ物にけちなんかつけたくない。腹が満たされるならなんでも
いいはずだ。そう、本当は桃にではなく尚隆に文句をつけたいのだ。
 そんな六太を尚隆はうっとりと眺めている。自分ではなく空想の中の美しい恋人を
見ている…そう六太にはわかっていた。愛らしく儚げな麒麟。王に愛され守られる
ことだけを願い、かわいらしく甘え、王に縋るように生きている…
何故、尚隆は現実が見えなくなってしまったのだろう。何故そのような架空の恋人を
六太に重ねるようになってしまったのか。

231「囚われた獣」3:2005/03/14(月) 17:57:24
 尚隆の頭の中では現実とは違う光景が展開されていた。
尚隆が部屋に入った途端、駆けよって来る六太。
「遅いじゃないか、尚隆。オレ、寂しくて。一人じゃつまらないよう。
遊んでよ」
「よしよし、遊んでやるぞ」
尚隆は檻の隙間から手を入れて六太の頭を撫でた。
「その前にまず食べ物だ。さ、桃だ。お前の好物であろう」
「ありがとう」
菫色の瞳で上目遣いに見上げられ、さらににこりと微笑まれ、尚隆は六太かわいさの
あまり恍惚となる。小さな口が桃を齧るのを尚隆はにこにこと眺めながら
「さて、今日は何をして遊ぶかな。いつものように鞠や玩具で遊ぶのも良いが、
のんびりするのも悪くないな」
六太が食べ終わると口のまわりを布でぬぐってやる。
「ね、ここから出して。尚隆のすぐそばに行きたいんだ」
もちろんだ、と鍵で扉を開け、六太の体を抱き上げて出してやる。
自然と首に手を廻してしがみつく六太に、己への信頼を感じとり満たされる気分だ。
そのまま長椅子へと運ぶ。長椅子の上に六太を降ろすと頬に軽く口づける。
「くすぐったい。尚隆にも」
もうすぐ六太の唇が己の頬に触れる…そう思ったとき
「やめろよー! 離せー!」
ぎゃあぎゃあという叫びとじたばたする感触で尚隆は別の世界へと引き戻された。
六太の足が尚隆の体を強く打った。

232微キチク尚六(?)1:2005/04/27(水) 11:21:39
ろくたんかわいそうなかんじ。時代設定なし。



 王不在時に、政務が滞る事を知らぬようになり早幾年という玄英宮。
けれど稀には王の決が急を要する事も有る。
活気溢れる城の中、延麒六太は官達に不在の王を探すよう促されていた。
正確には、首根っこ掴んででも連れて来い、といったところであろうか。
「ったく、何でおれが…」
「あなたほど、〝王の居場所が分かる〟という性質を生かしている麒麟は
他にはそうは居られぬでしょうねえ」
にこ、と朱衡の笑顔で六太は城を送り出された。

関弓の空の上、とらに騎乗し主を探るべく意識を集中する。間を置かず、
常と変わらぬ太陽の王気はここより大分離れた場所で感じられた。後は
そこに向けてとらを直線に走らせるだけである。

雁の隣国、国境を越えてすぐの辺りの寂れた歓楽街、彼はそこに居た。
夕暮れ時、小さな、やはり寂れた妓楼の門を六太は躊躇無くくぐる。
子供が出入りするような場所ではないため、店の者に咎められる前に
「風漢は」と切り出せば大抵「ああ」と案内される。
案内された房室の扉を押し開ければ、目的の人物、己の王が目に入る。
「…こんなとこに居たのかよ。何やってんだ。朱衡達が切れてんぞ」
軽く溜息を吐く六太に、尚隆は「よお」と手を上げた。

233微キチク尚六(?)2:2005/04/27(水) 11:23:55
突如現れた子供に、房室に居た数人の男達が振り返る。その部屋は酒と、
嫌な空気で満たされており六太は眉をひそめる。
傾き掛けた国の人心は荒み、あまり性質の良くない連中に見えた。

男達の好奇に満ちた視線を無視して、六太は尚隆の側近く寄る。
「急ぎの用なんだ。すぐ帰るぞ。こっからなら城、じゃない…家までとらを
飛ばせばそんなに掛かんねえから…」
「それがな、そうもいかんのだ」
六太は尚隆の腕を取り引いたが、彼は取り合わない。
尚隆によると、毎度の事だが博打で派手に負けて、今その借金の片をどう付
けるか話し合っているところだと言う。
「…どうすんだよ。おれ、立て替える金なんて持ってねえぞ」
「うむ。だからな、またこの店の雑用でも…」
「小間使いをしようってのか?お前、急ぎだって言ってるだろう」
そんな時間無いだろう、と六太が声を荒げれば男達から茶々が入る。
「おい、風漢さんよ。何でも良いが、踏み倒すのだけは勘弁してくれよ」
「分かっておる」
立て膝し、顎に手を当て考えた後、尚隆は突如側に居た六太の腰を抱き引寄せる。
「おいっ、尚隆?」
「今夜一晩、この餓鬼の身体で払う」
六太の訝しげな視線を余所に、周囲の男達――恐らく店の店員、用心棒、そして
博打を打った連中を見渡してそう言った。

234微キチク尚六(?)3:2005/04/27(水) 12:51:20
「ふざけんな、てめー何言ってやがる」
尚隆の借金の形の雑用事を手伝えとでも言うのだろうか。
「そんな小僧よりあんたの方がよっぽど働き手として使えるだろうが」
「今夜、と言ったのだ。分からんか?」
薄く笑い、六太の顎に手を掛け周囲に晒すように上向ける。
「見て呉れは…今一つだが、味の方は悪くないぞ」
どうだ?と問われ、男達は風漢が借金の形にこの子供の身体を売ろうとしている
事を理解した。

男達は六太に注目し値踏みする。そぐわないこの場に現れた時から、この子供の
美しい容姿は人目を引いていたが、良く見れば常人ならぬ、異常と言えるほどの
美形であった。それを今一つと言ってのけるからには、味の方はどれ程のものなのか。
そんな皆の考えを読んだのか、尚隆は六太の衣の襟口に手を掛け、首元から肩口に
かけて覗かせる。
未だ呆然とし、己の置かれている状況が理解出来ずに居たが、その指つきは妙に艶
かしく、六太は背筋に震えが走った。
「鳴き声は、まあ多少喧しいが…そうだな、子供ゆえ肌は良いな」
「尚隆…?お前、何考えて…」
あくまでモノとして扱うように、六太の言を無視して尚隆は取引を続ける。
そして、一通り男達を見渡し言った。
「どうだ?これで貸し借り無しにしては貰えんか?」
男達は互いに顔を見合わせた後、数刻置かずに決を出す。
「…あんたの借金をこの餓鬼一晩でチャラか。悪くねえ」
「餓鬼、しかも男を抱く趣味はねえが、たまには面白そうだ」
ここに至って、六太は漸く理解した。震えだす身で尚隆にしがみ付く。縋る瞳で、
口元は笑みを浮かべながら。
「…嘘だろ?なあ、尚隆、冗談だろ?何なら、おれが今から城に金を取りに…」
「決まりだな」
尚隆は男達の輪の中に六太を軽く突き飛ばし、もう用は無いとばかりに立ち上がる。

235微キチク尚六(?)4:2005/04/27(水) 14:23:40
「悧角、沃飛、連中に手を出すなよ」
身仕度を整えつつ放った言葉は、六太以外その場の誰にも意を捉えかねる事だろう。
部屋を出ようと扉に手を掛けたところ、六太を取り押さえる男の一人から声が掛かる。
「野暮な事を聞く気はねえが…。こいつあんたの何なんだ?子か?」
「俺の子でも弟でもないが、…俺のものだ。下僕だな」
その時、一瞬だが尚隆の面が苦く歪んだ事に、気付いた者は居るだろうか。
「何をしても構わんが、頭にひどい傷が有るで頭巾だけは取らんでやってくれ。」
見たら萎えるぞ、と冷笑を浮かべる尚隆が六太には恐ろしかった。
「やだよ、嫌だよ尚隆…!」
「お前もたまには従者らしく、主の役に立て」
主だの従だの、そんな割り切った関係ではないだろう、…割り切れずにいたのは、自分
だけなのか。
「ちゃんと帰って働くで、明日には迎えに来てやろうよ」
振り返りもせず背を向け出て行く男に、押さえ付けられる中で必死に手を伸ばすも、届
く筈が無く。

狭い臥牀では男達が乗り切れぬだろう、とそのまま床に組み敷かれる。
こんなのは嘘だ。いつでも己が迎えに行けば、尚隆はばつが悪そうに笑い、そんな彼の
頭を小突き、帰り道では剥れた己にご機嫌取りに飴だの煎餅だのを買ってくれ、「餓
鬼じゃねえんだ」などと下らぬ遣り取りを交わし、そして…。
「嫌だ、止めろ!!」
己に跨り体重を掛けてくる男に口ばかりの抵抗をする。男達の、己に注がれる視線が
ただ恐ろしかった。
「そうは言ってもなあ。風漢の借金を返して貰わねえと…!」
「風漢が主なんだろ?文句は主に言うんだな」
「お前は売られたんだよ、風漢に」
その言葉に、強く頭を殴られた。
泣くものか、と思うまでもなく涙は出なかった。心が瞬時に麻痺してしまったのか。

236微キチク尚六(?)5:2005/04/27(水) 15:05:33
四肢を強い力で押さえ付けられ抵抗も出来ぬまま、着物の合わせを左右に開かれ白く
すべらかな肌が露わにされる。
水物の菓子の様に柔らかく潤いが有る肌、そして桜色に色付く両の乳首。それらに、
誰とも知れぬ手が伸びる。
六太は己がこれから何をされるか分かっていた。
男に犯される、こんな屈辱的な行為は尚隆以外には許せるものではなかった。尚隆
以外とは、したくない。
けれど、尚隆によって投げ出されたこの身体。
混濁する意識の中、極度の怒りと、悲しみと、何故、と疑問符が心を占めていた。

男達は容赦無く六太を攻め立てる。
もう如何程の刻が経ったのか、頭部を覆う巾以外は全て取り去られた白い肢体に、
次々と傷痕が残される。柔らかく小さな尻を左右に割り開かれ、果てては入れ替わり
に肉棒を差し込まれるため、六太は下肢を閉じる暇も与えられず、またそうしようと
する意思も次第に潰えていった。
「坊主、可愛いなあ」
「…良い反応しやがる。なんだ?元々風漢の稚児かお前?」
「俺だったら絶対売らねえけどなあ。飽きちまったんかね?」
仰向けで犯されれば床の上ゆえ背が摩擦で痛く、うつ伏せで持ち上げられた尻を突か
れれば、胸と頬が痛かった。
けれど、本当に痛いのは身体ではなく――。


隣国から己が城に向けて、日の沈む方向へ尚隆はたまを走らせる。
既に、この空の上には聞こえる筈の無い六太の悲鳴を聞いていた。

尚隆は六太を憎んでいた。
己に好意を向ける六太を厭うていた。
絶対的に己のものであるのに、絶対的に己のものにはなりえない六太を。
この世における只の装置、と捨て置くにはあまりにも愛しい存在であるそれ。
意思など持たぬ人形に、虜となる愚かな己を肯定出来なかったのだ。




書きたいとこ書いたので終わりますよ…。

237名無しさん:2005/04/28(木) 18:09:18
ねーさん上げてくれたらいいのに。
しかし尚隆の気持ちもなんとなくわかるような。

238名無しさん:2005/05/03(火) 01:40:07
>書きたいとこ書いたので終わりますよ…。

なんかワロタ
>>1の鬼畜楽俊の続き、あなたに期待しております

239名無しさん:2005/05/04(水) 19:47:53
>237
>238
レスありが㌧。鬼畜楽俊は無理ぽ。
自分、ラッブラブでエッロエロな尚六スキーですんで…。
ってか、他の人が続き書いて良いのかな?

240『台輔の勤め』22:2005/05/18(水) 04:11:37
頭の中が白くなっていく。
己のしている行為と、その姿。
六太は目を閉じたまま氾王のものを口中に納め、舌を使う。
「ん、…ふ…っ…」
他の雑念に心を捕られぬようにとも見えるその一心な姿を見下ろし、
氾王は一人笑む。そしてふと、その表情の変化に気がついた。
湯気に濡れた前髪越しに見える六太の頬は赤い。
恥辱のせいもあろう、だが…。
「延麒」
不意に凛とした声で名を呼ばれ、六太ははっと我に帰った。
唇に先端を咥えたまま上を仰ぎ見る。
氾王は首を上に振り、六太にやめるよう指図した。
意味を量りかねて軽く見開いた眼に、氾王の毅然とした、だが穏やかな声が降る。
「もうよい」
「…へっ…?」
思わずおかしな声を出した。
「もうよいと申したのだよ。背を流してくりゃるかえ。おぬしも体を流して上がるがよい」
半ばぽかんとして動けなくなった六太を促すように、氾王の長い指が金の髪に触れる。
「さ、早う。」
背が冷えたのでな、と笑った顔にとりあえず安堵し、六太はゆるゆると体を起こす。
気が変わったのか、そのことにはほっとしつつ、だがとまどいを隠せない。
「でも…なんで…」
「続けたかったかえ?」
「いっ!いや全然!…って、あ…!ごめ…いや、そういうわけじゃ」
挑発するようににやりと笑まれれば慌ててかぶりを振る。
つい本音を口走ると焦り両手をぶんぶん振った。
「あ、いや…。あの、さ…」
そして小さく一つ湧いた不安を口に出してみる。
「おれ…何か失礼なこと…した…?」
我に帰れば、接待役としての今回の立場が頭に蘇る。
願ってもない展開とは言え中断は突然であった。
先程まで己の口で愛撫していた氾王自身は既に形が出来上がっている。
どのような術を用いるつもりであったかにしろ、その状態にしたままで
やめるというのは、如何に六太であっても理解し難かった。
向けられた当然の疑問に氾王は目を伏せて笑った。そして口を開く。
熱くはないかえ、と。
「随分と頬が上気しておる」
言われて六太はかすかな息苦しさを覚えていたことに気付いた。
「え…?うん、少し…暑い」
「大分長居をしたようじゃ。慣れぬ振舞いにさしもの小猿の頭ものぼせたかの」
湯疲れで倒れさせたとあってはこの呉藍滌の名が落ちる、
と、含めるような落ち着いた声が結んだ。





久々に続きを進めに来ました。誰もいない内にコソーリ書いちゃう…

241名無しさん:2005/05/18(水) 23:42:03
氾王さま、お久しぶりです。ろくたんが、んなことしてるというのに
我慢づよすぎです…

242『台輔の勤め』23:2005/05/22(日) 04:41:17
一通り体を洗い、六太は促されるまま自身も肌を清める。
結局なみなみと溢れこぼれる湯には浸かることなく、氾王は湯殿を出ようとする。
埃を流したかった故であるからね、とさらりと言った彼に、
六太はあのさ…と、尋ねたくて仕方のなかったことをためらいながら口に出す。
「それ、どうすんの…?」
ちらと目を向けた、それ、とは氾王自身。
六太によって高ぶった形になったものは幾分元の状態に戻りつつあるものの、
依然雄を鼓舞するかのように角度を保っている。
おずおずと言い憎そうに尋ねてくる六太に、氾王は思いがけぬことが起こったように
一瞬動きを止め、六太の顔をまじまじと見、それから軽く吹いた。
「なに、…うむ、そうじゃの──幼い延麒にはわからぬことやも知れねど」
まともに成人した男なればかようなもの幾らでも鎮める術がある、
と笑いを堪えた声が続いた。
「──その術を知りたいと申すかえ。如何ようにも出来ようぞ。
今なれば…そうだねえ、常に頭にある、我が国の案件を
一つ思い出してくりょう。──わかるかえ?」
男である前に王であるということじゃの、とさらりとした顔が言う。
六太はやおら目を見開いた。
「えっ、本当に?あんた──いや、氾王はそんなんで…萎えるのか!?」
思わず声を高くした六太に、氾王は失笑し、あからさまに眉をしかめて見せた。
「萎えるなどとそれこそ萎えるような言葉を遣うでない。
王とはかようなものじゃ。何時も政事が浮かべば身のしまる思いがする。
私の在りように全てを預けておる国と民とに、常に命の竦む思いを以て向こうておればの」
「…!…」
その毅然とした言葉と物言いに六太は思わず感嘆の吐息をついた。
二の句が継げない。
そういうものなのか。
いや、少なくともこの男──範国国王呉藍滌においてはそうなのだ。
もし次回、尚隆がその気であって己が拒みたい時、言ってみよう。──
六太は一人考えた。
(おれ達がそんな事やってる間も惜しみ無く働き、もしくは
何か心労があって安らかに眠りにつけないでいる民が必ずやいるはずだ)──
だが、その思いはすぐに儚く消えた。
あの尚隆がそんな言葉で萎えるような男でないことを
自分が一番知っている、ということをすぐに思い出したからである。

243名無しさん:2005/06/08(水) 02:15:40
>もし次回、尚隆がその気であって己が拒みたい時、言ってみよう。──
ワロス
尚隆とは別の意味で氾王さまは自在の下半身をお持ちだな。

244『台輔の勤め』24:2005/06/21(火) 03:20:19
(あいつに効くわけねえよなあ…)
六太は溜め息を漏らした。
五百年連れ添った王──彼に、今一瞬でもそのような
「かくあるべき王」の幻想を抱いた己の気の迷いに苦く笑い。

──さて、それぞれ女官に身繕いをさせ湯殿を後にした二人であったが、
背にした女官の内、数名の頬が赤かったのは気にするべくもないことである。


氾王の横を歩く六太の衣装は先程とは趣を異にし、
淡い紫を基調とした華やかなものとなっていた。
女官が自分に嬉しそうに着せるのを半ばげんなりと六太は受け入れたが、
もしかすると彼女らは何着も用意していたのかもしれない。
髪留めや帯などの飾り小物も着物に合わせて品よくまとめられ、
それは六太の瞳の色に良く似合っている。
「…雁にもほんに趣味の佳い女官がいるのだねえ。
日頃の鬱憤を晴らしておるようじゃの」
などと氾王が皮肉を言うのも今は甘んじて受ける。
実際自分も尚隆も服装には全く頓着せず、むしろ面倒としか思わないから、
その感性に秀でた女官には日頃口惜しい思いをさせていたのかもしれない。
今回思い切り好きなようにさせたのだから、
今後も口やかましいことを言われることはないだろう。

245名無しさん:2005/10/14(金) 21:51:57
つ、続き早く・・・・・滅茶苦茶気になるよー

246名無しさん:2005/10/23(日) 00:53:12
おふろでのことを尚隆が知ったら…続き期待してます!

このスレ読み返してました。
「春怨」と「微キチク尚六」、名作だと思います(同じ人かな?)。
ファンです。また書いてもらえたら嬉しいです。

247名無しさん:2005/10/27(木) 18:30:02
>246
舞い上がる様なレスありが㌧です!
「微キチク尚六」…好きな男を思いながらマワされるヒドイシチュ
が書きたかっただけなんて言えません。
「春怨」…流石に今とは尚六観が違って何とも;

文の書き方が未だに良く分からんのですが、尚六キチクものとか
書かせて頂きたいです。来年辺り。今度は同じ人だとバレないように…。

248名無しさん:2005/10/27(木) 21:55:38
来年尚六キチクですか!?
期待しております!!!

249氾六の中の人:2005/11/16(水) 15:44:56
仕事が忙しくて滞ってしまってすみません。
続き書きたい気持ちはあるのですが、遅くなりそうです。
誰か続き書きたい方いましたら、リレーにしてしまっても
いいかなとも思っているのですが…
今更ですねw

250名無しさん:2006/01/21(土) 21:28:38
ここって誰でも小説のせて良いんだよね?

251名無しさん:2006/01/24(火) 20:17:25
うむ 好きなように書くのだ!

252終宴1:2006/02/15(水) 22:14:55
尚隆末期系尚六にチャレンジ精神でお送りします。
(末声までは行きません)



こわいことは、ひとつ。
――尚隆が雁を滅ぼすこと。


常に変わらぬ繁栄を誇る雁国の、木々の静まった真夜中の玄英宮。
延台輔の住まう仁重殿に忍び込む影一つ。

月明かりだけが届く暗闇の臥牀で六太はその気配に気付き、打ち
掛けた寝返りを止めた。
影が帳を捲り牀榻に進入を果たしても、使令共々警戒するでもない。
するとギシ、と臥牀に上がり込む音を立て、既に己を覆う長身の
その正体を確かめる事はせず呟いた。
「…てめー、部屋間違えんな。正寝に帰れ、正寝に」
「あのな、お前に会いに来たのに帰されてたまるか」
「お呼びじゃねえんだよ、帰れ帰れ」
〝風漢〟の出で立ちのまま、豪奢な布団に潜り込んだその人に対する
六太の言葉は冷たいが、口調は冗談めかしていた。決して本心では
ないし、それを分かった上でなのか尚隆は六太を抱き締め、その幼い
柔らかな頬に唇を寄せる。
「俺にはお前が居れば良い…」
「白粉の匂いプンプンさせながら言っても説得力の欠片もねえよ」

253終宴2:2006/02/15(水) 22:23:52
もう遥かな昔、六太は延王の寵となった。尚隆の一となった。
それでも六太が尚隆のただひとりの相手という訳ではなく、彼にとって
女は趣味であるのか、女を愛し、侍らす事は辞めなかった。
六太は彼が女を愛でる事に妬くでもないが、すると尚隆は「妬いても
くれぬ」と臍を曲げるのだ。全く面倒くさい男であるが、そんな莫迦な
ところも愛しく思う。もっともそう思えるのは「己が彼に一番愛されて
いる」事から来る傲慢ゆえであろうか。

被衫の合わせから大きな手が差し込まれ、帯が緩く解かれる。胸や腹、
腹から下肢を愛撫され、月明かりの中白い六太の身体が薄らと色付いて見えた。
互いに裸身で向き合い、尚隆は彼らしからぬやや真面目な視線を送る。
「俺の帰る場所はここだけだ。…ここ、だな」
そう言いつつ六太の下肢を弄り秘所に指を押し入れる。びく、と跳ねた
細い腰を見る目は楽しげだ。
「蓬莱ならば男は女より出で還るのであろうが…」
「…お前、つまんねえ冗談言うなよな」
「つまらんか。本心であるのに」
そうして睦言の代わりに軽口を叩き合った後、夜が更けるまで睦み合った。


それはもう数十年前の夜の事で、時の経った今ではそういった事――身体を
繋ぐ事は無くなった。

254名無しさん:2006/02/17(金) 00:11:23
おお…お?
風漢の格好でしのび込むところが、人目を忍ぶ恋人同士プレイという感じで…!
とりあえず米5㌔買い足ししとかねば

255名無しさん:2006/02/18(土) 01:09:30
いっそ米俵ごと持っていけ。
馴染ませてからいきなり数十年放置プレイとは…尚隆、やるなw

256名無しさん:2006/02/18(土) 20:38:38
おお、更新されとる!
神よ!!

257名無しさん:2006/03/02(木) 05:56:53
変なの来てるので上げますね

258名無しさん:2006/04/19(水) 00:38:45
あげときます。

259終宴3:2006/08/19(土) 01:43:23
王、台輔の身辺を世話をする女御達は女の嗅覚でもって主従の破局を嗅ぎ取っ
た為、玄英宮において「主従がどうやら破局を迎えたらしい」という噂は女官
の間から広がった。
それを耳にした朱衡ら高官達は急ぎ城内に緘口令を敷こうとした。
何しろ常の男女の破局とは違い、一国を巻き込む、国の滅亡をも招きかねない
事件なのだ。真実は置いて、混乱の芽は早々に摘まねばならない。下界に噂が
漏れ伝わる、など有ってはならない。
そうして城内には一時緊張が走ったが、見れば王は以前にも増して出奔するよ
うにはなったが政務を放るでもなく、特に主従が仲違いをしたとも見受けられ
ない。
主従は恐らく以前のような恋愛関係ではなくなり、それによる睦まじさが失せ
たのだろう――官達の見解はこうであった。それならば、政務に国に関わらぬ
のであれば官が口出す事でもない。

だが台輔は麒麟、王を慕うもの。自然、主従の破局は王に原因が有りと思われ
口には出さぬが「台輔、御労しや」という皆の視線を六太は受けるのであった。

尚隆の出奔と共に、六太の出奔も増えていった。そういったものの煩わしさか
ら逃れるために、…己の矜持を保つために。

260終宴4:2006/08/19(土) 02:55:12
その、城での小さな波風となった件は昔の事。

城から出奔した六太は自国内を当てなく飛んでいた。このまま蓬莱まで掛けよ
うか――。だが騶虞に跨り天掛けながら、見下ろした桜は見事で夜中に仄かな
光を放つようであった。

春の終わりの夜中の桜に六太はかつての幻を見た。それは空中を掛け冷える身
体に確かに熱を篭らせる。あれは尚隆を王に迎え四百年が経った頃か。春の宵
口桜の下であの男から「惚れている」と告げられた自分。その幻。それを見る
事は今では酷ではない。
そして連珠のように、初めて尚隆と身体を繋いだ夜を思い出した。あの時もや
はり蓬莱に遊びに行ったのだ。
当時、蓬莱の情勢がかなりきな臭くなっている事は知っていた。だが生来の好
奇心で鳴蝕により飛んだ蓬莱は――。着くや否や、六太は瞬時に血に酔った。
これ程酷い穢れを体験した事が無い。血臭の源。人だけではなくその地に生け
るもの全てが死んでいた。
六太は運悪くも近代兵器による戦争を目の当りにしたのだ。空から撒かれる物
が地に落ち爆音と共に炸裂し、不死の麒麟であってもその命、王と繋がる命を
守れるか危うかった。
麒麟の俊足をもってその地を離れ、すぐに常世に逃げ帰った。

261終宴5:2006/08/19(土) 03:29:26
六太は蒼ざめ、尚隆の、唯一の光の元に帰って来た。生気を失い、地に付かぬ
感覚の脚を必死に動かして。
正寝の牀榻で横になっていた尚隆は明らかに常とは違う六太の様子に驚いた。
身体を起こし牀の上で腕を広げれば、六太はその胸元に縋り付き、泣き出した。
事情を話すように促せば、六太は嗚咽交じりに見て来た蓬莱の姿を語り出す。
「…それはあくまで蓬莱での事だ。こちらでは、雁ではそんな事は起きぬ、…
俺が決してそんな事は起こさせぬ。大丈夫だ。安心しろ」
縋り付いてくる恋人を、尚隆は優しく、だが強く抱き締めた。それでも震えが
止まらず「怖い怖い」と蓬莱での光景に怯え泣く六太を「大丈夫だ」と宥める
事に努めた。そして、安堵を与え、気を紛わすために六太を抱いた。

その夜の事は混乱の内に過ぎ去ったが、その後も暫く体調が優れぬ六太に尚隆は
優しく接したのだ。どんな風に優しかったか、もう記憶は切れ切れで具体的には
思い出せぬが、恋人として優しかった印象は残っている。

それから後、身体を繋ぐようになってから尚隆は己が欲望を全て六太にぶつける
が如く愛してきたし、六太もそれを受け入れていた。
だが、数十年前を機に、そういった事は無くなった。
彼の心は己から離れた。飽きられたのだ。己では彼の心、身体を満たす存在では
なくなったのだ。所詮、麒麟と違い王は麒麟に縛られる事など無いのだ。

今、尚隆は昼には城にその姿を見せるが、夜まで留まる事は無い。

独り寝には慣れた。六太は己の中の主に対する特別な感情――恋慕も風化を認めた。
傷付き心乱される事なく愛人であった昔を懐かしく思い出す事も出来た。

262名無しさん:2006/08/19(土) 05:41:47
おっ、更新されてる(゚∀゚) 神乙!

切ないろくたん、凄く好みだ。

263終宴6:2006/08/23(水) 02:24:55
「お早うございます」
「お早うございます台輔、お起きになって下さいませ」
「ん…おはよ…」
牀の幄が女御によって上げられ、もう何百年と変わらぬ清清しい朝を迎えた。
六太は仁重殿にて大人しく起伏していたが、以前のように「御労しや」といっ
た視線を寄こす者はもう居ない。かつての主従の破局の件は、大分皆の記憶か
ら薄れる位には時が経っていた。

未だ眠気の覚めぬ足取りで立ち上がり、女御達に身支度を任せる。彼女達は慣
れた手付きで六太の被衫に手を掛けるのであるが、昔には、情事の翌朝に自身
の身体を検めると首元や胸元に二、三の痕を得ている事がまま有った為、出来
なかった事だ。そして、朝の仕度の世話から逃げる六太の様子を尚隆は悦に入
ったように笑って見ていたのだが。

今、それとは違った意味で、六太は被衫を纏わぬ自身の身体を見下ろして確認
する。――何の変化もない。
「…どうかなさいました?」
女御の問い掛けに六太は気付き面を上げる。
「いや、何でもない」

朝目覚めたら何の前触れも無く突如として、己の子供の成りが十代後半の青年
の姿に変化しているのではないか。長い手足、大きな掌を持った大人の姿を得
ているのではないか――。
そんな劇的な事が有るのではないか。愚かにもそんなあり得ぬ期待を抱いている。
期待を、天帝に?そうではない。何か超常的なモノに。

別に数百年付き合ってきたこの子供の身体に劣等感を感じるでもない。仮にそ
んなものを感じた事が有ったとしても、過去の事だ。今更だ。なのに無性にこ
の子供の殻を捨てたくなった。
外見はともかく、内面はとうに大人であるのだから。
ここ数年、焦りにも似た感情を六太は強く抱いていた。




過去が飛び飛びで分かり難い…。ゴメー!!

264名無しさん:2006/08/27(日) 18:48:08
神、超乙!萌え萌えですよー!(*´Д`)ハァハァ

しかしこんなに可愛い六太んを捨て置くとは、尚隆めーーー!!

265名無しさん:2006/08/30(水) 00:24:48
おおすげぇ!
せつないろくたん、萌えだーーー!(*´Д`)

266名無しさん:2006/08/31(木) 02:33:53
新しいのキテルー!!!
切なくも気丈な六タンも、今のとこ何考えてるのかよくワカラン尚隆も、
共に気がかりだー!

267名無しさん:2006/09/22(金) 19:28:14
ところで 鬼畜王楽俊 は、もう書かないの?
かなり気になったんだが・・・・・
姐さん、誰かーーーーーーー!!

268名無しさん:2006/11/07(火) 12:50:47
267さんが、らくつんの続き書いてくだせい。
おながい…

269尚+利×六:2007/01/03(水) 01:22:23
誰もいないようなので、今のうちにコソーリと置いていきます。
利広と尚隆が宿の一室かなんかで、六太を襲ってる感じ。3p

条件:挿入なし(指などは可)の濃密でねちっこいエロ

上の条件を守りながら、二人には六太を襲ってもらいます。



ではスタート↓

270尚+利×六:2007/01/03(水) 01:24:33
ふわりとした甘ったるい臭いで六太は眼が覚めた。
頭がぼうっとしている。それになんだか、やけに喉が渇いていた。
体が気だるく、うっすらと熱を持っている。
不快ではないが、ひどく奇妙な感覚。

六太はくらくらする頭を起こした。この甘い臭いは何なのか。
自分は寝る前に香を焚く日課はないし、女官だってそのことを知っている。
ならば誰が・・・・・。
そう思うよりも早く、暖かな陽光のような王気、そしてその持ち主の声が聞こえた。
「よう、眼が覚めたか?」
そちらを見なくても分かる。延王、小松尚隆。
彼は六太の横で、座っていた。
だが、何故彼がここに?

「しょうりゅ・・・、お前なんでここに・・・?」
「私もお邪魔してるよ」
いるんだ、と聞こうとした六太を遮って第三者の声が聞こえた。
「利広・・・・・・」
六太の視線を受けて、利広はひらひらと片手を上げる。
「夜分遅くに御免ね、風漢がどうしても寄ってけって言うから」
「お前が勝手についてきたんだろうが」
笑顔で堂々と嘘を言う利広に、尚隆は顔を顰める。

何故二人がここにいるのだろう。
尚隆はまだ分かる、だが利広まで。
一体何が起こっているのかわからなくて、六太は体を起こそうとする。
が、体に力が入らず寝台に倒れこんでしまった。
なんだかこの香の香りをかいでいると、体がまるで自分のものではないかのように動かしにくくなっていく。
「無理はせん方がいいぞ。お前のために特別な香を焚いたのだからな」
「とく、別、な香・・・?」
上手く舌が回らない。疑問符を浮かべても、二人はただ笑っているだけだ。
―――何かがおかしい。
六太の直感が警報を鳴らしている。二人とも口元を笑みの形に歪めてはいるが、眼がまるで笑っていない。
例えるなら・・・・・・・・・・飢えた獣。その表現がしっくりくるような気がする。
不安げに後ずさる六太に、利広が笑みを深めていった。
「範の特別製の媚薬だよ」


「そういうことだ」
言うなり尚隆が、後ろから六太の首筋を舐め上げた。
「っ!」
びくりと大きく体を震わせた六太を、利広が前から押さえつける。
「な、やめ」
「駄目だよ、六太。最高の気分を味わわせてあげるから、ね」
「無駄なことはせずに大人しくしとけ」
言いながら、尚隆は六太を自分の膝の上に乗せる。
後ろに尚隆。前に利広。
六太はこれから自分が何をされるのか知って、可愛らしい顔を強張らせた。

271尚+利×六:2007/01/03(水) 01:27:26
「あ・・・っ」
尚隆に顎をとられて、後ろから口付けられる。
「ん、や、んぅ・・・・」
何度も何度も、啄ばむような口付け。媚薬によって敏感になった体は、それだけでとろとろに溶かされそうだ。
うっとりと瞳を潤ませる己の麒麟の様子に、尚隆は愛しげにその髪を撫でる。
逃れようと首を振るが、その体は尚隆の逞しい腕によってがっちりと固定されている。
その間に利広は、六太の夜着の着物をするりと肌蹴させる。
上半身の肌を晒した六太に、利広は彼にしては珍しくも見入ってしまった。
平らな胸としなやかな背中。赤みが差した頬に、うっすらと汗ばんだ肌。ほっそりとした体。
その純白の肌は薄暗い部屋の中では、ほんのりと白く輝いているのかのようだ。
女ではなく自分と同じ男で、しかもこんなに小さな子供なのに、やけにそそるものがあった。
いや、あるいはこの姿だからだろうか。
そっと指先で首筋をなぞると、六太は「んん・・」と尚隆の腕の中で身じろぐ。
絹よりも滑らかなその肌は、まるで利広の指に吸い付くかのようだ。
(これが麒麟・・・・・)

利広はゆっくりと顔を下ろすと六太の首筋に顔を埋め、そのまま舌を這わせる。
「やぁ・・・・」
漸く尚隆に唇を開放された六太が、声を上げる。
だが尚隆は、今度はすらりとした背中を下から舐め上げた。
背筋に沿ってゆっくりと丹念に。
「〜〜っ」
ぞくぞくとした寒気にも似た快感が、六太を襲う。
「や、めろ・・よ、触るなぁ・・・・・」
弱々しく抵抗するその腕を掴み上げて、六太の体を押さえつける。
その隙に利広の舌が六太の胸まで降りてきた。
淡く色づいた胸の先端を口に含むと、ちゅと吸い上げる。
「ああっ」
「六太、可愛いね・・・気持ちいい?」
「やめ、ああぁ・・・・ん、・・・はぁんっ」
利広は舐めたり軽く歯を立てたりして六太の胸を苛む。六太は顎を仰け反らせ、利広の頭を掴んだ。
羞恥でどうにかなりそうだが、それ以上に気持ちよくて何も考えられない。
むずがるように首を振ると、麒麟特有の金の髪がさらりと揺れる。
尚隆も六太の背に舌を這わせたまま、反対側の胸の先端を指先で弄り始めた。


>270長すぎたorz
もっと短くしなくては・・・・・

272尚+利×六:2007/01/03(水) 01:30:36
六太のそれは赤く尖って、まるで美味しそうな果実のようだ。
摘んだり、噛んだり、捏ね回したり、引っ張ったりと、二人は散々やりたい放題に、六太の胸を味わう。
「う、ふぅぅっ・・・はぁ・・・ん、や、やめぇ・・・・」
「ここを吸われると気持ちがいいだろう?」
尚隆は舌を小さな耳に侵入させる。
ざらざらとした熱い舌で耳の中を丁寧に嘗め回されると、六太はふるふると切なげに睫毛をふるわせる。
異常なほどに肌が敏感で、二人の愛撫が痛いぐらいだ。
切ない疼きに喘ぐ六太に対して、二人もその表情にこそ出さないが、徐々に焦りはじめていた。
はじめは、優しくあまり怯えさせないようにしてやろうと思っていたが、こうもあられもない声を上げられ、
悩ましげに身をよじられると、散々酷くしてやりたい欲求に駆られる。
大人の男が二人掛りで、小さな子供を強引押さえつけ、辱めている。その背徳的な行為に気分が高揚する。
だがあまりにも酷いことをして、後々に尾を引いてはいけない。
尚隆も利広もお互いを戒めるように、やり過ぎないように自制しながら六太の体を愛していく。
「六太・・・」


疲れたので、今日はここまで

273尚+利×六:2007/01/04(木) 21:05:38
尚隆が再び六太に口付ける。先程よりももっと深い口付け。
舌先が口内に侵入すると、六太は体をびくんと反応させた。
柔らかな弾力のある舌が六太の口内で、我が物顔で蹂躙する。
逃れようとする舌を絡めとり、根元からきつく吸い上げると、六太の体中に痺れが走る。
「んくっ・・・あぅ・・・んんぅ・・・・」
初めて味わう六太の口内を、尚隆はじっくりと堪能する。
すっかり六太の体から力が抜けきったのを悟った尚隆は、ようやく桃色の唇を開放した。
「ん、・・・はあ・・・はぁっ・・・はぁ」
長々とされた口付けに、口の端から飲み込みきれなかった唾液を垂らしながら、六太は必死で乱れた呼吸を整えようとする。

その様子に尚隆も利広も思わず手を止め、小さな麒麟を見つめた。いや、視線が吸い寄せられた。
それほどに、今の六太は魅惑的で艶かしい。
荒い息づかいに合わせて上下する胸の突起は、利広の唾液でまるで熟れたさくらんぼの様にぬらりと光っている。
長い金の髪は乱れ、波打つ寝台の上に大きく広がっていた。
汗ばんで淡い桜色に色づいた肌を、弱々しい火灯りがゆらゆらと妖しく照らし出している。
火照った白い小さな体を震わせながら、それでも玉のような紫の瞳でこちらを睨みつけるその姿は、いじらしく健気だ。
ひどく淫靡に乱れているのに、六太自身が持つ高貴な麗質は少しも損なわれていない。
どころか、暗闇でもほのかな光を放つすらりとした白い四肢と金の髪で、神々しくすら見えた。
本人が意識せずとも周りの者を魅了し、引き付ける。
箍が外れそうになる。

274尚+利×六:2007/01/04(木) 21:10:32
誘われるかのように尚隆が無意識に手を伸ばした。
「厭らしい体だな・・・・ここはどうだ?」
尚隆が胸の突起を弄りながら、もう片方の手を腰に絡みついた夜着の中に伸ばした。
「うぁ・・・や、やめろっ・・・下は」
言うより早く潜り込んだ尚隆の手は、細い腰をなぞり、六太の柔らかな尻を鷲掴みにする。
「ひゃああっ・・・尚、隆・・・やめて、よぉ・・・・」
必死で身をよじり、体をくねらせ、尚隆の手から逃れようとする。
だが、それは見ているものに更なる情欲と興奮を煽るだけであった。

それを見て、利広も口はそのままに両手を夜着の中へ忍び込ませ、六太の双球を握りこむ。
「やめ、ろってばぁっ・・・・こんな、こと・・・・・して、良いわけ、が」
「あれ、まだそんなこと言うのかい?もう体はこんなに反応してるのに」
言いながら、六太の尻を円を描くように撫で回すと、六太は華奢な体を強張らせる。
「気持ちがいいのだろうが、いい加減素直になれ」
尚隆は利広よりもっと遠慮無しに、ぐいぐいと柔らかな尻を揉んだ。
無骨な男の指が撫で回し、揉みながら爪を立てる。
「や、だぁ・・・こんなの、やぁ・・・」
うわ言のように繰り返す六太の言葉を気にかけることもなく、利広は六太の乳首を一際強く吸った。
「はあぁあんっ」
六太が悩ましげな声を上げて、白い裸体をくねらせた。

275名無しさん:2007/01/05(金) 00:42:11
なんか淫らなのキター!!
六タンのエロさに(;´Д`)ハァハァ

276名無しさん:2007/01/05(金) 02:07:54
ちょ、ちょっ、!!
ろくたんいやらしすぎるー!!
ねーさん、挿入無しだなんてひどすぎるよ、
もう、がんがんに入れまくってほしー!! お願い!!!

277尚+利×六:2007/01/05(金) 23:08:19
尚隆は片手で乱暴なぐらいに尻を揉みながら、もう片方の手を乳首から離した。
いやらしい手つきで敏感なわき腹を滑らせ、乱れた夜着の中の細い太ももに触れる。
「ふぅううぅん・・・くぅんっ」
六太は嫌がるように首を振った。
足の付け根をなぞりながら、小さな指先に口付ける。
目じりには透明な涙が浮かんでいた。
尚隆が六太の指を堪能している間に、利広はやっと六太の胸から口を離すと、そのまま顔を下へ移動させた。
胸から腹部にかけて舌を這わせたまま、嫌味な位にゆっくりと。
「風漢、もっと優しくやってあげなよ、そんな乱暴なやり方じゃ六太は気にいらないよ。ねぇ六太?」
「あぅう・・・」
「何を言っとるか、こんなに体を蕩けさせておるのだぞ」
それを証明するかのように、尚隆は六太の双球の間、僅かに秘部からずれた位置で際どく指を動かす。
「はぁ・・・・はぁ・・・・駄目、だ、やめ・・・」
「聞こえないな」
柔らかな尻を撫で回しながら、ついに腹に到達した利広の舌は、へその周りを何度も行き来する。

舐めながら、開いた片手で再び胸を弄ってやると、面白いくらいに六太の体は跳ね上がる。
その拍子に、蕾の周辺を弄っていた尚隆の指が秘部に直接当たってしまった。
六太が大きな眼を見開く。
「んっ」
「気持ちいいか、ん?」
尚隆が獰猛に笑いながら、指をわざと小さく動かすと六太は体を反らして「あ、あ、」と愛らしく鳴く。

278尚+利×六:2007/01/05(金) 23:11:24
「風漢が後ろなら、私は前かな」
利広はにこりと笑って、しかしその瞳に獣のように貪欲な色を浮かべ、手を伸ばす。
しゅるりと音がして、辛うじて下半身を隠してくれていた帯が完全に取れてしまった。
腰に絡み付いていた夜着は完全に取り払われ、六太は無防備な性を晒すことになった。
利広は六太の体相応の幼さの残るそれを、うっとりと見やる。
小さく震える薔薇色の可憐なそれは、しつこいまでの責め苦と媚薬とによって完全に立ち上がっており、蜜をにじませていた。
「そ、そんなとこ見るなよ!見るなってばっ」
六太は顔を真っ赤にして力なく暴れるが、尚隆に軽く秘部を擦られ、くたりと大人しくなった。
「こら、大人しくしろと何度も言っておろうが」
「あっあっああっ」
秘部に入りそうで入らない、際どい位置で指を少し激しく動かしてやれば、六太はすぐに泣き言を上げた。
幼い体が羞恥のあまり乱れる様子は、尚隆の、利広の征服欲をひどく煽る。

「お、願・・・・・・もぅ、や、めてぇ・・・・・」
汗ばんだ金の髪を揺らして、六太が整った顔を歪めると、鮮やかな紫の瞳からは透明な涙がぼろぼろと零れ落ちた。
眼が覚めたらいきなり襲われて。
大の男二人にいいようにされて、得体の知れない薬まで使われて。
羞恥と屈辱で涙を流しながら小さな体を震わせ、本気で怯える麒麟に、尚隆と利広は顔を見合わせた。
「・・・・・・・・六太」
尚隆は小さな背中を撫でながら、宥めるように何度も口付ける。
ちゅ、ちゅと啄ばむような、優しい口付け。感じさせるためではなく、慈しむ為の。
「怯えるな、別にお前を傷つけたいわけではない」
「ん、んぅ・・・」
「大丈夫、痛いことは何もしないよ」
利広も落ち着かせるように、優しく金の髪を梳き、その頬に口付けた。

>>276
挿入書ききれん・・・・すいませんorz
誰か、他の姐さん書いてー!

279名無しさん:2007/01/06(土) 01:08:26
挿入なくてもいいのでもっと苛めまくって(*´Д`)'`ァ'`ァ

280尚+利×六:2007/01/07(日) 22:54:09
この行為が始まってから初めて見せる二人の優しい仕草に、六太は微かに安堵する。
だが。
「単に六太を気持ちよくしてあげたいだけ。だから、安心して身を任せて、ね?」
そう言って利広は六太の足の間に、頭を埋めた。
六太は利広のその行動に驚き、眼を見開くが。
何か言うより先に、尚隆に顎を取られてしまった。
しかし今度は尚隆の唇ではなく、指を咥えさせられる。
「!?」
「舐めろ、少しずつでいいから」

尚隆の腕を掴んで、必死で引き剥がそうとするが敵う筈がない。
六太の口の中に進入した指は、強引に動き回り、舌に触れる。
「くっ、ふぐぅ・・・」
しばらくすると指が抜かれ、ほっと息を吐いたのもつかの間、今度は二本咥えさせられた。
利広は六太の足の付け根を丁寧に、舐めている。
膝からなぞるように、六太の性器に触れるぎりぎりまで何度も何度も行き来する。
六太はいつ利広の舌が、己の中心に触れるのかと気が気ではなく。
しかし舌を動かさずにいると、尚隆が集中しろとばかりに強引に口内を掻き回す。
「んくぅ、ん、んんぅ〜〜〜〜〜〜っ」
六太は悶絶して体を震わせるが、抵抗などできるわけがない。
尚隆に三本目まで舐めさせられたところで、ようやく口を開放された。
はあ、はあと、荒い息を吐くと、その背を軽くさすられる。
「さて、じゃあそろそろかな」
利広は熱い吐息をはき、六太の潤んだ眼を見据えた。
「先にどっちから行く?」
「前からでもいいが・・・・敢えて先に後ろを弄りたいな」
「じゃあ、後ろからね」
前、後ろ、六太には何のことを言っているのか分からない。

281尚+利×六:2007/01/07(日) 22:57:31
「何、する気だ・・・・」
どうせ碌な事でもないには違いない。
体を竦ませる六太に、男たちはにやりと凄みのある笑みを浮かべると、くるりと六太の体を裏返した。
「っ!」
仰向けにさせられた六太の体は、さらに腰を高く持ち上げられる。
まるで獣のような四つん這いの格好。
「やめろっ、何をする気なんだよ!」
涙目で睨みつけるが、二人は意に介さず。
六太の腰を固定すると、尻をぐいと左右に割り開いた。
「ひぁっ・・・」
こうすることで六太の蕾の奥まで丸見えになってしまう。
「綺麗・・・・ほんのり色づいてるね」
「ひくひく動いて・・・・そんなに欲しいのか?」
つんと形のいい尻の奥に、薔薇色に染まった蕾があった。
愛らしいそれを、尚隆と利広は熱心に見つめている。
「いやっ、いやだ、見るなよっ」
尻の間の秘部を熱い視線に晒されている、六太にはその事実は耐え難く、あまりに羞恥に涙を流す。
だが、二人にしてみれば恥辱に悶える六太は可愛くて仕方がない。
「大丈夫だ、そんなに焦らずともすぐに良くしてやるからな」
言って尚隆は六太の尻に顔を埋める。
「っ、やめて・・・・おねがい・・・・そんなとこ」
六太の言葉はここで途切れた。
尚隆の舌が六太の蕾に差し込まれたからだ。

282尚+利×六:2007/01/07(日) 22:59:57
「んくっ!うぅうんんっ!」
にゅるりと無遠慮に六太の中に入ってきた舌は、最初は様子を見るようにゆっくりと出し入れされる。
気持ち悪くて六太は体をぶるぶると震わせるが、そろりと内壁を舐める動きに悲鳴にならない悲鳴を上げる。
「〜〜っ」
あまりに感覚に腕の力が抜け、六太は枕に突っ伏する。
だが腰は尚隆の腕によってしっかりと支えられていたため、自ら尻を突き出すような姿勢になった。
中を広げるようにぐいぐいと動き回る尚隆の舌に、六太は涙を流し、あられもない声を上げ、ぎゅうっと枕を握り締める。
「くぅぅうん!・・・・ふぅぅうう・・・・あうぅんん!・・・・」
必死に抗おうとする六太を押さえつけて、利広が情欲に染まった瞳で六太を見やった。
「六太、そんなに声を上げて・・・・もう体が堪らないだろう?」
「あくっ・・・ああぁあん!や、めてぇ・・・・これ以上はっ・・・・・・・・はあぁ!」
既にまともに返答することもできず、それでも必死で否定の言葉を紡ぐ小さな麒麟の腰に手を伸ばした。
「もっと狂うぐらいよくしてあげるよ」
言って利広は六太の熱くなった中心を、ぐいと乱暴に掴む。
「あっ、だめぇ・・・きゃあぁあぁあんっ!」
びくりと体を震わせると、その抵抗を抑えるように尚隆が舌で抉る様に六太の中を蹂躙する。
最初の余裕はどこへいったのか、いまや利広と尚隆は我を忘れ、夢中で六太の体を嬲っている。
しゅ、しゅ、と利広が六太のそれを強く扱くと、六太は泣きながら腰を振った。
「ひああぁっ、はっ、いやぁああ、もっ、許しっ、うあぁん・・・」
既に媚薬と愛撫によって高められていた体を、前を利広に扱かれ、後ろを尚隆に舐められ、あまりの激しさに六太は限界だった。
本来なら、今までの愛撫で何時イってもおかしくなかったのに、そうならなかったのは二人が六太がイく直前で、ギリギリ加減
していたからだ。

283尚+利×六:2007/01/07(日) 23:06:07
だが、今の責めは容赦がない。
「あっ、ああぁっ・・・もぅいやぁ・・・!」
(はあぁ・・・・っ・・・あっ、奥から、何か・・・!)
六太は熱に浮かされながら、体の芯が異常なまでに熱くなっているのを感じる。
激しくうねるそれが迫ってくるのをやり過ごそうと、六太は体をよじり腰を振る。
だが、どれも無駄な抵抗に思えた。結局迫ってくるそれに飲み込まれてしまいそうだ。
頭も心も快楽に犯されてしまう。

とどめとばかりに尚隆が、六太の蕾を強く吸い上げた。
「っ、やああぁぁぁ!」
体を大きく震わせ、六太は悲鳴を上げた。と同時に、六太の精が弾ける。
精をはき出した六太はやがて、脱力した体をどさりと寝台に預けた。
平らな腹に飛び散った白いそれを、利広は舐めて綺麗にしてやる。

だが、二人はまだ終わらせるつもりは更々なかった。

284尚+利×六:2007/01/08(月) 00:09:58
部屋の中は艶やかしい空気で溢れていた。
「ぁん・・・ん・・・・ふぅ・・・・んっ・・・」
体の芯がうづくような感覚に、六太は眼を覚ました。
そのとき既に、六太の蕾には利広の指が挿し込まれていた。
尚隆がまるで親猫が子猫を慈しむかのように、ぺろぺろと六太の体に光る汗を舐めている。
まだ尚隆たちは六太の体を玩ぶ気なのだ。
二人とも笑っているが、笑っていない。
動けない獲物に群がる獣のようだ。
狩りが成功したら、散々いたぶって食してしまう。
体中がビリビリと快感に痺れ、抵抗する気などとうに失せている。
これは何か、悪い夢なのだろうか。
「ふっ・・・俺、・・・あっ・・・許し・・・もぅ・・・」
最初は可憐に窄んでいたそこは、もうぐちょぐちょに蕩けていた。
しかしそれにも拘らず、ぐちゅぐちゅと蕾に遠慮なしに指を出し入れされながら、口から勝手に紡がれる己の喘ぎ声を聞く。
朦朧とした意識で力なく許しを請う六太の腰は、しかし無意識に誘うように揺らめいていた。
「だめだ、お前の体はまだうづいとるからな、もっといいことをしてやろう」
「淫乱な体が満足するまで、たっぷり楽しまないとね・・・」
既に六太の体にどうしようもないほど酔っている尚隆と利広は、幼い体の中心や蕾、胸の突起をこの上ないほど淫らに責め立てる。
「あぁ・・駄目ぇっ・・んぅっ・・くぅん・・っ・・もぅ・・・・・・」
(あぁ、またっ・・・・・)

285尚+利×六:2007/01/08(月) 00:12:12
尚隆が六太の肉棒を口に含むと、六太は一際大きく体を震わす。
「おねが・・・・・・・・あっ、あぁあぁ・・・・・!」
舐め、吸われ、軽く歯を立てられ。その間も、後ろは利広の指を咥えさせられている。
すでに利広の指は三本まで六太の中に入っていた。
「んー、確かこの辺だったと思うんだけど・・・・」
言いながらぐちぐちと指を動かし、六太のいいところを探る。
「あっ・・また・・・・・だめぇ・・・・俺・・・も、いやぁ・・・・・・・・」
「嘘を言うな。こんなに腰を揺らして。まだ足りんのだろう?心配しなくても、満足するまでとことん良くしてやるから」
尚隆は六太のものを口に含んだままそう言うが、咥えられたまましゃべられては堪らない。
「きゃあぁんっ・・・あ、あぁあ・・・」
思わずイきそうになったところを、ぐっとその根元を押さえられる。
「っ!ふぁあああぁ・・・・・・・・んあっ、あ」
イくにイけず、六太はがむしゃらに腰を振った。
だが、それは結果的に利広の指をもっと深く咥え込む事となる。
「んあぁぁっ・・・・は・・な、で・・・・」
「もう少し我慢してね、六太」

286尚+利×六:2007/01/08(月) 00:14:34
背中を舐めながら、利広は指で六太の中を存分に探ると、
「っ、あんっ」
急に六太が背を反らせた。利広は目的の場所を見つけて、笑みを浮かべた。
普通に見れば好意的な印象を抱かせる穏やかなそれは、しかし今の六太には恐怖を抱かせる笑みだ。
「六太、ここがいい?じゃあもっとしてあげようか」
言うなり、六太の感じる場所を指で激しく刺激しはじめた。
「ひぁあぁあっ!」
六太は涙を流して必死で足掻くが、そんなもので逃げ出せるのならとっくに逃げ出せている。
「くんっ、んくぅ、ふぅっ、・・・あぅっ」
突かれるたびに、婀娜な声をあげ、白い裸体をくねらせ、尻を振る。
「まっ・・・いやっ・・・も、だめっ!しょ・・・りゅ、くちっ、はな・・っ・・・せぇ」
いくらなんでも人の口に出すわけにはいかない。そうでなくても、尚隆は六太の主なのだ。
その言葉が聞こえていない筈はないのに、利広はなおさら強く突き、尚隆は出せと言わんばかりに一層強く吸い上げる。
(あっ・・・あぁ・・・また、あれが・・・ああっ・・・こないでぇ・・・・・)
残った理性で必死に抵抗するが、何が何でも六太をイかせようとする二人の手管に勝てるはずもなかった。
襲ってくる快感のうねりに抗えない。
「ああ、んあぁっ、うあぁあぁっ!!」
全身を震わせながら、六太は高みに登りつめた。

その後、倒れるように気絶した六太を二人掛りで清め、よれよれになった寝台を整え。
翌日、昼過ぎ頃に目覚めた六太に、二人は土下座をして謝ることになった。
大層ご立腹だった六太に、二人は一ヶ月の間口を聞いてもらえなかったらしい。

蛇足だけど、オチつけました
無理矢理終了

287名無しさん:2007/01/10(水) 01:33:04
乙カレー
堪能さしてもらいました(*´∀`)
私的に乳首責めがすごいツボだった。

288名無しさん:2007/01/12(金) 00:57:50
ありがとう!!
挿入なくても大満足でしたm(_ _)m

289腐的酒場:2007/07/24(火) 12:26:52
酒場での尚隆と陽子の会話をひっそり投下。
公衆の面前なので会話だけの軽いコメディです。
いちおう尚六のつもり。
Hっぽいのがないのが嫌な方はスルーよろ。
(おまけに一部、表現がビミョーに景陽っぽいかも)

290腐的酒場(1/6):2007/07/24(火) 12:29:01
 関弓の歓楽街の一画。非公式に玄英宮にやってきた陽子は延王延麒に伴われ、
お忍びで小さな飲み屋にやってきていた。
 酒にはあまり強くない陽子だが、何しろ今回の雁国訪問は表向きは政策の相
談ではあるものの、実際は金波宮でのストレスがたまりにたまっての出奔と大
差ない。おもしろがった延王に勧められるままに酒杯を重ね、半刻も経つ頃に
はすっかりできあがっていた。本来、神仙は新陳代謝が良いとあって酔いにく
いのだが、むろん個人差があるし、短時間に大量に飲酒すれば泥酔することだ
ってある。
 料理の大皿や酒瓶の載った卓子に片方の肘をついて半ば身を乗りだし、もう
一方の手で酒杯をあおりながら「だからですね、景麒が」「そうなんですよ、
景麒が」と愚痴ってくだを巻く様は、その辺の酔っぱらいと変わらない。最初
はおとなしく地味に飲んでいた彼女だが、既に目がすわっている。むしろ若い
女の子だけあって逆に始末が悪いかもしれず、これまた珍しく酔っていた延王
尚隆もさすがに手をもてあましていた。
 陽子の隣に座っている六太も既にふにゃふにゃ状態で、先ほどから卓子に突
っ伏している。身体は十三歳のままとはいえ五百年の蓄積で酒には強い六太だ
ったが。それでも、寝ているのかと思えば時折陽子に茶々を入れたり、脈絡も
なく笑い転げたりしているので、それなりに意識はあるようだ。
「延王!」
 みずからも酔っているとあって面倒になって適当に相槌を打っていた尚隆に、
酒杯をドン!と卓にたたきつけるように置いた陽子が向かいからたたみかけた。
「延王は確かにすごいです。ひとりの男性としても素敵です。何より先達とし
てこの上もなくご尊敬申し上げています。でもね!」
「おい、陽子」
 ここは市井の酒場である。しかもそう大きくもない作りで、大声を上げれば
他の席の談笑を抑えて、酒場全体に容易に響く。
 そんな場で「延王」を連発する陽子に、さすがの尚隆も呆気にとられた。し
かし彼も珍しく酔っているだけに普段より反応が遅れ、その合間に陽子は一気

291腐的酒場(2/6):2007/07/24(火) 12:32:11
にまくしたてた。
「でもねっ、麒麟については恵まれていると思うんです! わたしだって六太
くんがわたしの麒麟だったら、最初からもうちょっとうまくやっていけたと思
うんです!」
 王だ麒麟だとわめく陽子を押しとどめようとしたものの、すっかり酔っぱら
った陽子は意に介さない。こいつは意外と酔うと絡むタイプだな、と尚隆はは
っきりしない頭でうんざりと考えた。確かに普段が真面目であるほど鬱憤もた
まろうし、そこに酒が入ればたががはずれて人間が変わっても不思議はないが。
 店員はもちろん、近くの席に座っていた面々が驚いて彼らを注視したが、何
しろ陽子が完全にできあがっているので、尚隆も何をどう言ったりやったりで
きるわけもない。せいぜい「……延王?」「今、麒麟って言ったか?」とささ
やき交わすのを無視して盃をあおるくらいである。
 通い始めてまだそれほど経っていない店だったが、二度と来られないな、と
尚隆は観念した。小さいながらも、女将手製のうまい料理と酒を出す店だった
のに……。まあ諦めてしまえば、あとは開き直るだけだ。
「今回のことだってね、うちの景麒がなんて言ったと思います?」
 そう言って金波宮でのできごとを一通りまくしたてた陽子のほうは、周囲の
様子など気にかけるふうもない。というより酔いすぎて注意力が散漫になり、
酒場の空気には気づいてもいないようである。
「別にね、わたしは蓬莱に帰りたいと言ったわけじゃないんです! ただ向こ
うのやりかたにも一理あるんじゃないかと! 慶は貧乏ですから、とにかく安
く!早く!手軽に!民の生活を支えることが重要なんですよ。わかります!?」
 今度は拳でドン!と卓上を叩く。料理の皿が揺れてぶつかり合い、がちゃが
ちゃと音を立てた。
「あ、ああ……」
「それなのにあいつときたら、また溜息攻撃の連続! 使令に数えさせたら、
最高で一日八十二回溜息をついてました。八十二回ですよ、八十二回! 信じ
られます? 一日二十四時間として、八時間は睡眠、残り十六時間、なんと十
一分間に一回の割合で溜息をついているんです! あいつは本当に麒麟かって
んだ!」

292腐的酒場(3/6):2007/07/24(火) 12:36:47
「景麒のやつ、それはひどいなぁ」
 卓子に頭を載せてゴロゴロしていた六太が、熱弁をふるう陽子を見上げての
んびり相槌を打った。
「でしょう? 六太くんならわかってくれますよね! 本当に初勅で溜息禁止
令を出せば良かった!」
「今度景麒によく言っとくよー。もっと陽子に優しくしろって」
「ふんっ、もういいんだ、あんな奴! それより六太くん、慶の麒麟になりま
せんか? 金波宮に来てくれたら歓待しますよ!」
「えっ、ホント?」
「ほんと、ほんと。毎日ごちそうしますし、また一緒に堯天で甘味処巡りをし
ましょう!」
「わーい、じゃあ俺、陽子の麒麟になる〜v」にへら〜と笑った六太は陽子の
脇にしがみつき、先ほどまでなついていた卓子の代わりに、陽子に顔をこすり
つけた。「陽子の政務も手伝ってやるしぃ。そうだ、王宮からの抜け出し方も
伝授しちゃる〜」
「わ、本当ですか? 六太くん大好き!」
「陽子〜v」
「おい、六太」
 呆れて咎める声を出した尚隆に、陽子は「延王には景麒を差し上げます。楽
俊は雁の官吏になってしまったし、六太くんくらいはわたしにください!」と
きっぱり言いはなった。
「六太、おまえは雁の麒麟だろうが!」
「えー、だってこんなおっさんより、陽子みたいな美人の女王のほうがいいし
ー」
 わざとらしく唇を突きだして答える六太。陽子は腰に手を当て、勝ち誇った
ように胸を反らした。
「ふふふ、延王、こればかりはわたしの勝ちですね!」

293腐的酒場(4/6):2007/07/24(火) 12:39:12
「だがな、陽子」
「何です?」
「おまえ、まだ処女だろう?」
「……今の蓬莱では、女性にそういうことを尋ねるのはセクハラと言って犯罪
ですよ」
「わかりやすく説明しようとしてやっているんだ。六太の基準は俺だぞ。処女
のおまえに六太を満足させられるわけがないだろうが」
 陽子がむせた。「え、え、ええええーっ!?」卓子に両の拳をついて、思いっ
きり身を乗り出す。
「六太はな、色の道を極めた俺が毎晩可愛がって――」
 ガツン!という音がして、なぜか頭上から降ってきた料理の大皿が見事に尚
隆の頭に命中した。
「――!」
 声もなく頭を抱えてうずくまる尚隆。陽子の横で仁王立ちになった六太が、
大皿を投げたときの体勢のまま片手を振り上げ、真っ赤な顔で「こ、こ、公衆
の面前で何恥ずかしいこと言ってんだ!」とわめいた。しかし公衆の面前で身
分をばらしてしまっていることには気づいていないところが、間抜けな酔っぱ
らいである。
「おまえ、俺を殺す気か!?」
「神仙がこれくらいで死ぬわけないだろ!」
 しかし驚いたのも束の間、陽子はなぜか目を輝かせた。
「以前、斡由の乱の小説で、延王と延麒のラブラブシーンを見たことがあるん
ですが、やっぱりアレ、本当だったんですかっ?」
「違う! あれは嘘! こいつとそうなったのはつい最近――あ!」
 いったんは大きく腕を振って否定したものの、しっかり自分で関係をばらし
てしまった六太は自分で口を抑えた。しかしもう手遅れである。おまけにかな
り酔っていながらいきなり激しく動いたことでさらに酔いが回ったのか、気分
が悪くなったらしい。ふたたび椅子に座り込むなり、「うう、気持ちが悪い、
目が回る。吐きそう……」と両手で口元を覆って頭を垂れた。
「もしかしてつわり?」とボケる陽子。期待に目がきらきらしている。
「こっちの世界に妊婦はおらん。それにこいつは男だ。まったく飲み過ぎおっ
て。おい、女将」

294腐的酒場(5/6):2007/07/24(火) 12:41:15
 尚隆は固まっている女将を呼ぶと、苦しそうな六太を吐かせてやった。その
拍子に頭巾が取れて六太の濃い金髪があらわになる。それまで静かだった周囲
がどよめくが、もう開き直っているとあって無視する。自分の隣に椅子を並べ
て寝かせ、頭は自分の膝の上に載せてやる。もはや六太は意識がもうろうとし
ているようで、目をつぶって「うーん」と唸っているだけだ。
 陽子は息を吐くと、酔っぱらって上気した顔のまましみじみと言った。
「やっぱり六太くんの髪は綺麗だなぁ。景麒の髪なんか、同じ金髪でも白っぽ
くて冷たい感じなんですよね。性格があらわれているっていうか」
「この髪が褥に広がる様は美しいぞv」
 目をカマボコ型にしてにやける尚隆。こうなると巷のスケベ親父とどこも変
わらない。陽子はくやしそうに唇をかんだ。
「くっ……。仕方がない、六太くんは諦めます。そういえば延王が蓬莱にいた
時代は戦国時代ですもんね。男同士の関係も普通だったんですよねえ……。で
も官には何も咎められないんですか?」
「ふふん、道を失わない限り、王が何をしようと勝手だ。それに王と麒麟が異
性の場合に限っていえば、野合の例はくさるほどあろうが」
「でも慶では……」
「慶がその手のことに厳しいのは、単に予王が景麒に恋着して国を傾けたから
に過ぎん。それと女王への忌避とな。おそらく男王と麟の組み合わせだったら、
今の慶だとて大して問題にならんだろうよ。要するに景麒とそうなりたいなら、
早く治世を安定させろということだ」
「べ、別に、そんなことは!」いきなり話を向けられた陽子は、うろたえて耳
まで赤くなった。「で、でもそういうのって、麒麟のほうは嫌がらないんです
か? ――あ、王の命令には逆らえないのか……」
「麒麟が王に従う生き物だからと言って、嫌なことは嫌だと言うぞ。その上で、
命令とあれば仕方なく従うだけだ。予王の場合はさすがにそんなことを命令で
きなかったのだろうな。それで景麒に拒まれて精神を病んだのだろう。ちなみ
に六太は俺に惚れておるから、嫌も応もなかったぞv」
「のろけてますね……」
「ふっふっ」

295腐的酒場(6/6):2007/07/24(火) 12:44:13
「腹が立つので、やっぱり六太くんをください。というか少し貸してください。
一ヶ月、いえ、半月でもいいです」
「莫迦を言え」
 一蹴して莫迦にしたように顔をそむけ、酒杯を傾けた尚隆に、陽子は思わせ
ぶりに沈黙したあとで言った。
「……以前金波宮でふざけて、男性が女装、女性が男装したことがありました
よね。六太くんの女装がとっても可愛くて衆目を集めたあれです」
「おう、覚えているぞ」
 少し興味を覚えた尚隆が、片眉を上げてちらりと陽子を見やる。陽子はここ
ぞとばかりに婉然とほほえんだ。
「実はあれから女官たちが六太くんを着飾りたがってまして、是非とも言いく
るめ――いえ、お願いしてまた訪問していただけないかと脅され――いえ頼ま
れていたんです。六太くんに似合いそうな衣装や飾りもいろいろ揃えてまして」
「ほう。それは俺も興味があるな」
「でしょう? うちの女官たちは言いくるめるのが得意ですし、他国の王宮で
よってたかって迫られたら、いくら六太くんでも着ざるを得ませんよ♪ うま
くいったら絵姿を延王にも差し上げるというのはどうです?」
「それではつまらん。付き添いとして、俺も金波宮に行こう」
「だめです。延王まで来たら、朱衡さんがまた怒ります」そう言うと陽子は尚
隆のほうに身を乗りだし、意味深な微笑を口の端に浮かべた。「――さらに慶
国産の白酒をつけるのはどうです? いろいろな銘柄の献上品がたくさんある
のですが、今年のはなかなか出来が良いようですよ。それに六太くんをお返し
にあがるときは女装させたままということで」
「よし、それで手を打とう」尚隆も身を乗りだし、卓子の上で陽子とがしっと
手を組んでにんまりと笑った。
 既に両王とも自分たちの邪な世界に浸っており、周囲の様子など気にも止め
ていない。それまで周囲で聞き耳を立てていた客たちが、あまりにも低次元な
王たちの会話にガックリとなったのも、もはや他人事だった。

-終-

296腐的酒場(後書き):2007/07/24(火) 15:05:38
小説にはまってからまだ四ヶ月という十二国記初心者なので、
おかしいところは目をつぶっていただけると嬉しい。
これでも自分で書いた中では
出来は良いほうなので投下してみました。

いちおう脳内設定がいろいろあって、その流れでのssです。
ただし脳内設定の部分は、さすがに一般向けに書き換えました。

297名無しさん:2007/07/25(水) 11:11:24
age

298名無しさん:2007/07/28(土) 15:43:29
おお新作尚六ジャマイカ
コメディ路線好きだから楽しく読ませて貰いました(*´∀`*)

299名無しさん:2007/07/29(日) 17:19:27
これは共感の持てる陽子さんですね。
やっぱぁっゅの乱に興味深々なわけかw
腐女子でも王になれるとはステキ世界だ。

300王后(1/4):2007/08/04(土) 00:32:34
コメディっぽい尚六ネタです。
オチてないので、ほんとに書き逃げ。
誰かオチつけてくれたらなぁ……。

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 妙な噂を聞いた朱衡は、足早に王の元を訪れた。そこには冢宰の白沢の姿が
あり、何やら延王尚隆と相談しているところだった。
「主上、少しよろしいでしょうか」
 朱衡が問うと尚隆は、手にした書類をひらひらとさせながら「ああ、わかっ
ている。これのことだろう」と笑って手招きした。
「では……王后をお迎えになるというのは本当なのですか?」
「さすがに耳が早いな」
「本気ですか?」
 朱衡は内心の焦りを隠せない。この王が延麒六太と理無い仲であることは、
雲海の上では既に周知のことだ。そのために宰輔が本来住まうところの仁重殿
から、延麒が居室を正寝の正殿近くに移して既に一年。しかもそれは血や穢れ
を厭う麒麟の性質から王に近づけない場合を考慮してのことであって、支障が
ない限りは王と臥室を同じくしている。
 なのになぜ今さら后を迎えて、あえて波風を立てようというのか。
 尚隆は「むろん」とあっさり答えて、署名と玉璽の押印をした書類を差し出
した。朱衡はその文面を見て目が点になった。
「……台輔はご存じで?」
「そもそもその台輔が言ったのだぞ、『后妃を娶ってもいい』とな。せっかく
進言してくれたのだから、ありがたく受け入れてやろう」
「あなたというかたは……」
 朱衡は溜息をついた。これは宰輔に対する王の意趣返しだとわかったからだ。

301王后(2/4):2007/08/04(土) 00:34:41
「俺もあれから、おまえが言ったことをよく考えてな。この際、后を迎えるこ
とにした」
 執務室の書卓で書類をめくりながら、尚隆がこともなげに言った。側の榻で
面倒臭そうに官からの奏上文を眺めていた六太がハッとして顔を上げる。尚隆
のほうは書類から目を離すこともない。
「そ、そうか。わかった」
 内心の動揺を隠して、何とか六太は答えた。なぜいきなりこんな話題が出て
きたのかわからなかった。
 先日、「后妃を迎えてもいいんだぞ」と自分が言ったのは確かだ。尚隆が慰
められるのならそれでもいい、いや、そのほうがいいと思ってのことだ。
 しかし当の尚隆が、その提案を即座に一蹴したのではなかったか。
 その主の反応に、せっかく気を利かせてやったのに、と腹立たしく思った反
面、ほっとしたのも事実だったが……。
「お、俺、そろそろ広徳殿に行かないと」
 六太は急にそわそわとするなり、周囲に散らばった書類をとりまとめ、堂室
を走り出るように退出していった。その後ろ姿を、主がほくそ笑んで見送った
とは知らずに。

302王后(3/4):2007/08/04(土) 00:36:58
 それでも夕餉に王と再び顔を合わせる頃には、六太は少なくとも表面上はい
つもと変わらない様子を取っていた。尚隆の顔を窺うように何度かちらりと見、
やがて意を決したように言う。
「俺、臥室を移らないとまずいんじゃないか。やっぱり元のように仁重殿に―
―」
「別にこのままでかまわんだろう。それに仁重殿はもう靖州府の一部になって
おろうが」
 六太はむっとなった。麒麟が、后を迎えるはずの王と同じ臥室で過ごしてど
うするというのだ。
「后になる女が可哀想だろ! 俺たちのことは絶対に言うなよ! それに王后
が来たら、もうおまえとは同衾しないからな!」
「主上、台輔、失礼いたします」
 そこへ冢宰の白沢が書類を片手に現れたので、さすがの六太も口をつぐんだ。
六太の怒号は堂室の外まで聞こえていたはずだが、百戦錬磨の白沢はまったく
動じず、平然と王に報告した。いわく、これまで長らく本来の使い方をされて
こなかった後宮なので、王后のために整えるに当たって何かと面倒なのだとい
う。
「それに台輔の臥室を後宮に移すにあたり、広徳殿や内殿とさらに遠くなるた
め、政務がいっそう疎かになるのではと疑う諸官から不満が出る恐れもなきに
しもあらず――」
 淡々と報告する白沢に、六太はぽかんとなった。話が見えない。
「六太は臥室を移ると言っておるが」
「しかし後宮よりはこちらの正寝のほうが執務室に近うございますな。天官長
とも相談いたしましたが、臥室などはこれまでのように主上とご一緒なさり、
形式的な居室のみ後宮に設けられるのがよろしいかと」

303王后(4/4):2007/08/04(土) 00:39:07
「……ちょっと待て。何の話をしている」
 六太が口を挟んだ。白沢は顔色を変えず、おっとりと答えた。
「ですから王后は本来、後宮の北宮に住まわれるものですが、台輔が王后にお
なりになるに当たってはこの際、特例で――」
「その書類を見せろ!」
 六太は血相を変えて、白沢が持っている書類の束をひったくった。急いでぱ
らぱらとめくると、現れたのは、宰輔延麒に王后の称号を与える旨の簡潔な文
と御名御璽。
「しょうりゅうぅぅぅー!」文面を尚隆に向けて詰め寄る六太。「なんなんだ、
これは!」
「見てわからんか?」
 六太は、座っている尚隆の襟首をつかんだ。
「おーまーえーはーっ!」
「なんだ? 后妃を娶ってもいいと言ったのはおまえだろう」
「后妃ってのは女がなるもんだろが!」
 尚隆は、手を振って白沢の退出を促した。白沢は何事もなかったかのように
頭を下げて退出していった。
「王も麒麟も正式な婚姻ができるわけでもなし、子も持てん。ならば后が男で
も別にかまわんだろう」
「あのなあっ!」
 脱力しそうになりながらも、六太は必死に踏みとどまった。

----------------------------------------------------------------------

……これだけ。
しょーもない( ´ー`)フゥー...

304名無しさん:2007/08/04(土) 10:25:51
>>300-303
おおお尚六ではいつか必ずぶつかる王后ネタ…いいですね。王宮公認で萌えまくり!
尚隆はけろっとしてるけれどあながち冗談でもない感じだとなおいいです
ろくたん愛されてるなー

続き…
その日の夜に王后イメクラでらぶらぶえちーなどいかがでしょうか…

305名無しさん:2007/08/04(土) 11:17:41
>>304
あー、もしかしなくても王道ネタだったのですね。
十二国記初心者なので余所様のネタを知らずに投下しちゃいました。
スミマセン(´Д`;)

実は王后ネタはもう一個あって、自分ではそっちのほうが気に入ったので、
違うほうを投下させてもらいました。

ちなみに気に入ったほうの台詞を一部だけ抜き出すとこんな感じ。
これもうまい人が加工してくれたらいいなーと他力本願で妄想。

-----
「寵姫に見捨てられるとは、俺も長くはないかな」
「誰が寵姫だ。俺は男だって言ってんだろ」
「何なら王后の称号をやろうか」
「阿呆。俺を十二国中の笑い者にする気か」
「なに、ふたり一緒に笑い者になれば良かろう」
「おまえなー……」
Hのあとで、
「王后の称号なんて下すなよ。そんなことをしたらおまえを捨ててやる。
捨てられたくなかったら、俺と同衾するだけで我慢しとけ」
-----

うちの六太はなにげに尚隆より強いですw

306名無しさん:2007/08/05(日) 21:39:00
>>305
304ですが、流れ的にここではスレチになるかと思いましたのでロビースレの461に
ご相談を書かせて頂きました。ご覧頂ければ幸いですノシ

307腐的酒場2(1/5):2007/08/09(木) 19:07:29
>>290-295の続編と思ってください。
慶で陽子におもちゃにされ (なんか誤解を招く表現)、
帰国してからも尚隆に遊ばれてぶちきれた六太の鳴賢視点のお話。


----------------------------------------------------------------------

 やっとのことで卒業が決まった鳴賢は、既に官吏として玄英宮で働いている
楽俊とともに、「卒業祝いをしてやる」と言った風漢に連れられて高級料亭で
呑んでいた。
 その風漢が延王その人であることを知ったのはつい最近。六太が宰輔である
ことはとっくに知っていたが、これにはさすがに顎がはずれるほど驚いた。こ
れまでにも風漢と差し向かいで呑んだことは何度かあるが、王と知って同じよ
うに振る舞うのは難しかった。
 それでも酒杯を重ね、うまい料理をたらふく食べれば、風漢自身は相変わら
ず気安いし、だんだん気がほぐれてくる。
 そうして、それなりに和やかに一同が談笑していたとき。
「尚隆ー!」
 院子に向けて開け放たれていた窓から、騎獣らしき大きな獣にまたがった人
物が、ものすごい雄叫びを上げて乱入してきた。その勢いと怒号の凄まじさに
驚いた鳴賢と楽俊は椅子から転がり落ちた。
 結いあげた髪に玉を長く連ねた歩揺を何本も差し、精緻な縫い取りを施した
豪奢な衣装に身を包んだ美少女。風になびくその髪は神々しいまでの金色。
 ――麒麟!?
 少女は騎獣から飛び降りると、幾重にも重ねた裳裾を翻してつかつかと榻の
風漢に歩み寄った。その合間に騎獣が床に沈むようにかき消えたので、鼠姿の
楽俊とともに床に座りこんだままの鳴賢は「あわわ」と蒼白になった。
 少女は外見に似合わぬ乱暴さで、榻にゆったりとかけていた風漢の襟首をつ
かんで揺さぶり、「今すぐ勅命を解けーっ!!」と叫んだ。どこかで聞いたよう
な声。
「よ、よう、六太」
 さすがに腰が引きぎみの風漢がそう声をかけたので、鳴賢は愕然とした。
「今すぐ、解けったら解けーっ!!」
「そっちのふたりが固まっとるんだがな」

308腐的酒場2(2/5):2007/08/09(木) 19:09:55
 美少女、いや六太は首を巡らせて鳴賢たちを見やった。言われてみれば、そ
れは確かに六太の顔だった。薄化粧を施し、どこから見ても絶世の美少女にし
か見えないが。
 しかし既に目が据わっており、風漢の言葉にも「それがどーした」といわん
ばかりである。というより「もう限界」という魂の叫びが背景に点滅している
のが見えるようだった。
 六太は、ふん、と鼻を鳴らすと風漢に目を戻した。
「俺はなぁー、もう二週間も女装させられてんだよ。おまけに髪まで結いあげ
て山のように簪を差しやがって。麒麟の鬣は結うもんじゃねえんだよ! わか
ってんのか、てめえ!」
「しかし似合っとるだろうが」
「俺は男だっ! 勅命を解けったら解けっ!」
「一ヶ月間、女装しろと言ったあれか」
「そうだ」
「断る」
 六太は口元をヒクッと引きつらせた。
 ちなみに楽俊のほうは王宮に出仕している関係上、六太が女装させられるに
至った経緯を知っていたので、突然の乱入から立ち直ったあとは決まり悪そう
に、そして気の毒そうにひげをそよがせているだけである。
「王がいったん口にしたことを撤回したら示しがつかんだろうが」
「今、上に氾王と氾麟が来てんだよ」
 六太は声を押し殺すようにして言った。いつになく低音の声音で、凄みをき
かせている。風漢は固まりながらも「ほう?」と言った。
「お前がいなくなってから一週間! 政務を肩代わりさせられているだけじゃ
なく、俺ひとりであいつらの接待させられてんだよ! 毎日毎日、朝昼晩と着
せ替え人形やらされてんだよ! この苦しみがおまえにわかるか!?」
「ほう、それは見たかった――あ、いや」
 ぷつん、と六太のこめかみの血管が切れる音を、鳴賢は聞いたような気がし
た。
 六太は襟首を離して風漢を乱暴に突き飛ばすと、「沃飛!」と叫んだ。途端
にその足元から人妖が浮かび上がるようにして姿を現したので、鳴賢はふたた
び床にへたりこんだ。
「安心しろ、あれは台輔の女怪だ」
 楽俊が鳴賢の服を引っ張って耳打ちする。

309腐的酒場2(3/5):2007/08/09(木) 19:11:59
 そうしている間に六太は、衣装一式らしいかさばる布の固まりを女怪から受
け取り、それを榻に投げ置くと、ふたたび風漢の襟首をつかんだ。
「麒麟は王の半身、王と麒麟は一心同体だよなあ? 俺の苦しみはおまえの苦
しみだよなあ?」そう言ってあざけるような冷笑を浮かべる。「おまえも女装
しろ」
「おい……」
「安心しろ、簪も山ほど持ってきた。この際だ、俺が結ってやる。勅命を解か
ないっていうんなら、せめて苦しみは分かち合わねーとな。言っとくが、おま
えが脱走したせいで今日で二日ほど寝てないからな、容赦はしねぇぞ」
 そう言うなり六太は、風漢の髪を結っていた紐を素早くほどき、ついでその
まま相手を榻に押し倒すと、帯を解いて服をはぎにかかった。
「たたたた、台輔っ!」焦った楽俊が口を挟んだ。「こ、こ、ここにおいらた
ちもいます! おふたりだけじゃねぇです!」
「そうです!」
 鳴賢もたまらず楽俊に加勢する。何しろ髪をほどき、胸元をはだけた美丈夫
の王と、それに迫る美少女の図という、ある意味妖しすぎる光景が眼前に展開
されているのだ。
「妻もいない、彼女もいない寂しい男ふたりとしては、目の前でいちゃつかれ
ると、とっても目の毒ですっ」
 なぜか楽俊とは少し視点がずれている鳴賢であった。
「どこがいちゃついてんだよ、どこがっ」
 振り返った六太が、すかさず突っ込んだ。しかしある意味、確かにいちゃつ
いているように見える。というか美少女が美丈夫を榻に押し倒しているように
見える。
 その反応を見て、風漢が「ふむ」とおもしろそうに顎をさすった。
「そうだ、六太。せっかくだから鳴賢たちに酌をしてやれ」
「なっ……!」
「勅命であるぞ」
 奥の手を使われて抵抗を封じられ絶句した六太に、風漢はにやりとした。怒
りで真っ赤になった六太は、
「〜〜〜〜っ」と声を出せずに肩を震わせて立ちつくした。風漢はその細い両
肩に後ろから手を置いて、楽俊と鳴賢のほうに正面を向かせて言った。

310腐的酒場2(4/5):2007/08/09(木) 19:14:01
「わが国の麒麟はさすがに美人であろう。こんな美少女に酌をしてもらえる機
会はそうはないぞ。今日は鳴賢の卒業祝いだ。宰輔ともども盛大に祝ってやろ
う」
「鳴賢!」と六太は救いを求めるように叫んだ。「友達だろ〜っ?」
 友達。確かに友達だ。彼が宰輔であることを知らない頃、よく一緒につるん
で遊んだものだ。しかし。
 何しろ今目の前にいるのは、どう見ても絶世の美少女。確かにこれほどの美
人に酌をしてもらえる機会などもう二度とないかもしれない。
 彼女いない歴数年に及ぶ鳴賢の心は、妖しい誘惑に揺れ動いた。
「いや、その……」へたりこんでいた床から椅子に座り直した鳴賢は、照れ隠
しに頭をかいた。「確かにこんな美人に酌をしてもらえれば嬉しいけど……」
「鳴賢!?」
「ほら、六太。勅命を果たさぬか」
 にんまりとした風漢に促された六太は、憤りをこらえながら、仕方なく酌を
して回った。
 むろん鳴賢も「六太に悪いな」と思わなかったわけではない。だがそれより
も、すまなさそうに控えていながらちゃっかり楽俊も酒杯を差し出したのを見
て、「おまえもまだ彼女いないしなぁ」と同病相憐れむほうに行った次第であ
る。
 ふたりに酒をつぎ終えたところで、六太は「もうやってらんねぇ!」と叫ん
だ。邪魔な裳裾を膝まで大胆にめくるなり、椅子に胡座をかいてどっかと座り
こみ、自分も酒杯をあおる。
「この裏切り者! 楽俊も鳴賢も覚えてろよ!」
「はは……」
 慈悲深いはずの麒麟に睨まれて冷や汗を流しながら、乾いた笑いを漏らすふ
たり。その六太に、風漢は飄々として「こっちも頼むぞ」と自分の酒杯を差し
出した。
 六太は相変わらず怒りで真っ赤になったまま立ち上がると、主の酒杯に酒を
そそいだ。風漢はその顔を見上げて、「何をふてくされている、もっとこっち
に来んか」と肩に腕を伸ばすなり自分のほうに引っ張った。不意をつかれてよ
ろけた六太は、風漢の胸元に倒れ込むように抱き寄せられて慌てた。


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