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ネタバレ@ファラミア/*  2

1萌えの下なる名無しさん:2004/05/12(水) 00:20
薄幸のゴンドール大将、後のイシリアン大公にして27代執政ファラミア殿に
原作・映画込みで萌えるスレ。
多彩なカプ萌え(攻受不問)から単体萌えまでこちらでどうぞ。

■『萌える子馬亭』の約束(必読)■SS投稿時には必ずお読み下さい。
http://0024.hiho.jp/pony/fellowship_rule.html

■前スレはこちら(過去ログ倉庫)■
http://0024.hiho.jp/pony/last_log/index.html

9675:2004/06/03(木) 22:41
>89-91様
大将にとっては貴重な貴重な
「私だけの兄上」の時間ですね。
二人ともなにもせずともいるだけで色っぽいです。

>94様
いやー、あの後こんな展開になっていたのか。
もっとちゃんと夢を覚えていればよかった。
姐ちゃん、果報者や〜。
それにしても兄上、袖の下が必要な場面に
ぶちあたるたびに、「弟の秘蔵写真」をばらまいて
窮地を切り抜けていたのか。知らなかった。

でも、本当に一体なんのアニメだったんだろう。
藤子アニメ「ファラえもん ボロ太の大冒険」とか……。

97萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 00:18
>>96
>藤子アニメ「ファラえもん ボロ太の大冒険」とか……。

ファラえもんはボロ太が「たすけて〜」と叫んでもすぐには
助けてくれなそうだなぁ。w
「一体何故そのような状況になったのか、一度ご自分の胸に
聞いてみてはいかがですか?」とか言って。
でも結局最後にはブツブツ言いつつ助けてくれる。

98萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 01:18
>>96-97
で、ではライバルはジャイアラとスネレゴでしょうか((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ジャイアラに激しく言葉責めされる兄上を見かねて、言葉責めで応戦するファラエモソ。
それを楽しげにヲチするスネレゴ(・∀・)ミンナ ナカヨシダネ!

99萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 15:38
割り込みすみません。

>95様
怖いもの見たさでキャラデザだけでも、爆死版大将を拝みたかったです。
爆死版の続きは、もう出ないんでしょうね。残念です。

フィギュアご入手おめでとうございます!
ネットで見た限りではパッケージがよさげなだけに、
肝心のフィギュアが微妙だったというのは惜しいことです。
フィギュアは、小さいサイズの詰め合わせにしてくれれば良いのにと。
小さいものなら、多少作りが微妙でも仕方ないとか思えるので。

>96=74様
失礼千万はたらいた上、ご光臨までいただいて、
かたじけないです。

既に、74様の夢とは別物になり果ててるので、
先に謝罪させてください。
兄上は、外見内面ともに優秀な弟がさぞや自慢なのだろうと。
兄上が出す年賀状は(あれば)、弟の写真です。

さて、兄上は気づいてませんが、弟も兄上写真のコレクションを持っています。
兄上所有のコレクションは、微笑ましい画像ばかりですけども、
弟所有の兄上写真のコレクションは、人には見せられない感じで。
写真は門外不出で、その存在と共に墓の中まで大将が持って行きます。

気になるアニメですけども、
「ファラえもん〜」は、藤子映画の常として、
泣ける良い話に仕上がってと信じてます。
物語は、異世界での出会いと別れとか。<誰とですかと。
別れの辛さに大泣き&落ち込むボロ太を慰めるファラえもんの株は、
天井知らずに上がり放題です(という己の願望です)。
ファラえもんでなければ、
キテレツファラミアとボロ助で、大百科とか。
やなせたかしで、姉妹→兄弟変換して、
「ファランパンナちゃんと、ボロールパンナちゃん」とか。

…言い逃げ。

100萌えの下なる名無しさん:2004/06/04(金) 21:42
・・・そしてエオバーガーキッドと。


・・・・・・言い逃げ。

101萌えの下なる名無しさん:2004/06/05(土) 01:40
WOW!もう100スレですか。
記念に・・・も何にもならないけど、夜更けに小ネタを投下させて頂きます。

<ボロ/ファラ しるけ有り>
直接的描写はありませんが、何しろ近親ネタの上、呆れるほどへぼんなので、
イヤな方にはスルー推奨。1スレ分しかないし。









彼の手はいつも優しい。
その手で、彼は私の手を取り、唇で触れ、
「美しい手だ。本来は剣や弓を持つべき手ではない。平和な時代でさえあれば」
と言う。
「でも、それではあなたのおそばにいられない。生も死も共に、との誓いは果たせない」
私は答える。
彼の手はまた、私の髪に触れ、頬に触れ、そして私の体を辿る。
「ああ、しかし、おまえの部下たちは優秀だ。しっかりした盾となっておまえを護り、おまえの体に忌わしい傷を残さない」
「それは名誉でしょうか」
と、私は言う。
彼の体には、大きさも形も様々な傷痕が数多くある。それは彼の名誉だ。
怖れず怯まず、常に先頭に立って、わが国とそこに住む人々を護ろうとした証し、彼の意志と誇りと愛情の表象。
むしろ敬虔な気持ちで、私はその傷痕のひとつひとつにくちづける。
くぐもった声を上げ、彼は私を押しとどめる。
「おまえは、目に見える傷などつけてはいけない。おまえのいちばん深い傷は、見えない所にあるのだから。そして、それを癒すすべを、私は持たぬのだから」
なぜか、涙が溢れそうになる。こぼれ落ちる前に、彼の唇がそれを吸い取り、そしてまた、私の唇に触れる。
自分の涙の味がするキス。その後の温かい抱擁。
「こうしていて下さるだけでいい・・・」
私の声はかすれる。
「不思議だ」
と、彼は言う。
「おまえは、倫理や道徳を重んじる人間だと思っていた。それなのに、このことについては何のためらいもないのだな。初めから」
そう言われることの方が、私には不思議だった。なぜなら私は、これを人倫にもとる行ないだと考えたことは一度もないからだ。
「あなたはためらっている?今でも?」
「おまえは弟だ」
「そう。だから・・・」

彼の手はいつでも優しい。
その手が、私の髪を撫で、涙を拭い、肩を抱き寄せ、私の体をしっかりと抱きしめてくれる。そして、そのまま寄り添って眠る。
子供の時も今も、そのことに何の変わりがあるだろう。その絆を更に完璧なものにする為に、いったい何のためらいが必要だと言うのか。
罪だと言うなら、確かにこれは二重の罪。しかし、私にとっては二重の祝福。

「いつでも、おまえの望む通りにする」
結局、彼はそう言うのだ。
「おまえの望まぬことは何ひとつしない」
あにうえ、と呼びかけると、彼はそっと首を振った。
「名前を呼べ」
「・・・ボロミア」
より深く、より完璧なキスが、それに応えてくれる。
愛しているか、と問うことさえしない。それは既に自明のことなのだから。
生まれた時から、私がその中にあった愛。私の知るただひとつの愛が、ここにあるのだから。


・・・・・・失礼しました。もう寝ます。

102萌えの下なる名無しさん:2004/06/05(土) 01:54
SSが読みたいとか、叫んでもいいですか。
3日あいてないのに欲求不満なんて、贅沢杉ですか。

>>100

>・・・そしてエオバーガーキッドと。
××バーガーキッドってどんなキャラだったかな、と
ぐぐってみたところが…。はまりすぎて!笑い死ぬかと。

唐突に、SSを貼り付けていきます。
>15にある、セオドレド×ファラミア話の割愛部分にして、
導入部です。出して良いものか迷ったのですが。
手持ちをはき出せば、しるけ部分にも勢いがつくかと。
得体の知れない名無しのお嬢さんが出てきます。
カップリングがないので、登場人物を列記しておきます。
4〜5分割で。

<ファラミア/ローハンの娘さん/ボロミア/セオドレド> 1
















「お前の見識が立派なのは、わたしも感心せざるを得ないところだ。しかし、見聞の方はどうかな」
 と、彼の兄は思ったらしい。本人の前でそう口にしたのだから、間違いはない。余計なお世話だと思いもしない弟は、兄、ボロミアの勧めに従って、彼が言うところの「見聞を広める」ための旅に出立することとなった。
 兄が提案した行き先は、ローハンだった。異を唱える理由はどこにもなかった。ファラミアにとって行き先などどこでも構わないようなものだったし、ローハンならばむしろ願ったりだった。
 デネソールは、ファラミアのローハン行きを快諾した。ボロミアの口添えが功を奏したばかりでなく、執政家の人間が若い内から近隣諸国の統治者の知遇を得ておく事は、ゴンドールにとって有用だという判断からだろうと、ファラミアには思われた。
 旅には、ボロミアが同行することに決まった。ローハンが、ファラミアにとって初訪問の地だということもあり、デネソールの後継者が顔を見せるのは、礼儀にかなったことだった。ただ、執政家の人間が、二人も同時に国を留守にするのは決して望ましい状態だというわけではない。ボロミアの滞在は、最小限にとどめておくことになり、そのためボロミアは、ファラミアを送り届けて翌日には、故国に引き返す形で話が整った。
 ボロミアの同行は、ファラミアにしてみれば嬉しくもあり、申し訳なくもあった。
 そのままを伝えるとボロミアは、わたしもたまにはあの国の駿馬が見たいのだよ、と言って笑った。もう一つ、と、ファラミアが聞いてもいない事をボロミアが付け加えた。セオドレドに会えるからな、とボロミアは機嫌良く言った。セオドレドが、現ローハン国王のセオデン王の世継ぎでボロミアとは同い年である程度の事は、ファラミアも聞き知っていた。セオドレドを話題にするボロミアがあまりに愉快そうだったので、ファラミアの内には、まだ見ぬセオドレドに興味が湧くのだった。
 話が整うと、兄弟は、最小限の荷物と手回りの者を伴って、早速といった体で旅だった。

 到着した兄弟は、ローハン王セオデンの歓待を受け、その日の夜は、兄弟のためにと、身内だけを集めたささやかな宴に招かれた。
 セオデンは、恐縮する兄弟をよそに早々に宴の席を辞していった。年寄りのお守りはつまらないだろうから、と、客人には聞こえぬよう、彼の息子に耳打ちをして。
 残された格好になった若い者三人は、床に敷かれた毛織物の上に車座になって、酒を酌み交わした。セオドレドは、兄弟の従者達もこの場に呼ぶつもりでいたらしかった。ボロミアは、それを遠慮した。戦場を離れて主従が同じ場所で共に飲み食いする習慣は、兄弟の国には無かったので、兵達が緊張するからというのがその理由だった。
 セオドレドのその申し出を、ボロミアから聞かされたファラミアは、これが見聞を広めるということかと、妙なところで感心したものだった。
 セオドレドが、ファラミアの杯に酒を満たしながら、上から下までファラミアの姿を眺め回した。
「ファラミア殿は、まことご立派になられた」
 感慨深げなセオドレドの物言いは、ファラミアには意外に思えた。
「わたしの気のせいでなければ、ですけれども。まるで、セオドレド殿は過去わたしに面識があられたように聞こえるのですが」
「気のせいなどではなく、わたしは、お小さい頃のあなたにお会いしておりますよ」
 セオドレドが、ファラミアの顔を真っ直ぐ見て微笑む。さて、対照的なのがボロミアだった。それまで機嫌良く酔っていたと思えば、今はセオドレドをまるで睨み付けるように見ている。気付かないファラミアではなかった。
「どうしました」
「いや」と、ファラミアに向き直ったボロミアの顔からは、先ほどまでの険は消え、いつもの顔で笑って見せてさえいた。

103102:2004/06/05(土) 02:01
>>101女神様
リロードすれば良かったと、今ほど思ったことはないです。
それ以上に、ご降臨うれしいです。ありがとうございます!
今はまともに感想を書ける気がしないので、お詫びとお礼だけで
失礼させてください。
SSを堪能できる明日が、楽しみです。

104101:2004/06/05(土) 10:22
>102様
こ、こちらこそすみませんでした。よりにもよって、あのへぼ・・・と言うか
へっぽことバッティングだなんてすごい災難に遭わせてしまい、申し訳ありません。
どうか、アレのことは捨ておいて、続きをお書き下さい。セオドレドのお話、私も
楽しみにしておりましたので。

105102:2004/06/05(土) 15:12
>>101=104様

こちらのうっかりにも関わらず、あたたかいお言葉、
ありがとうございます。落ち着きました。そして、楽しみにしていた
SS拝見しました。

萌えの方は、落ち着くどころではないです。
なんでも望むとおりにとか言いながら、自分の満足もしっかり
追っちゃう兄上が、すごく兄上らしくて好きです。
兄上としては、大将の体には、ちょっとも傷がついちゃいけないんですね。
自分は、傷なんて気にしないし、傷だらけのくせに(笑)
部下をいつの間にか「愛する民」ではなくて、弟を守るための盾として
見ちゃってるなんて、弟ばか(萌えワードです)兄上の本領発揮かと!

そして愛する対象には枷なんかないと思うし、そう言い切っちゃう
潔い大将が好きです。大将に大いに同感です。
なんで、あの兄弟はあんなにお互いしか見えないのかと。
なんでと言いつつ、生まれながらなのだろうと決めてかかってるのですが。
そこがまた、萌えポイントだったりします。

いとおしさたっぷりの兄弟をありがとうございます。
本当に、この兄弟ってば、一緒にいるだけでなんといいますか、
あやしげな空気を醸しすぎです。
自分にとっては、兄弟の萌えポイントがこれでもかと凝縮されたSSでした。

それなのに、壊れた萌え方しかできなくて、申し訳ないです。
萌えでお返しできれば良いのですが。力の及ぶ限りやらせていただきます!

106101:2004/06/06(日) 00:39
>105様
ひー、あの、あまりのへぼんさに自分でもろくに読み返していないような代物に
過分なお言葉、痛み入ります(汗
ひと言余計な付け足しをすると、弟君って、アタマはいいかも知れないけど、
或る面でどうしようもなく何かが欠落した人だという印象があるのですよ。
原作、映画、fan-fic(w ごっちゃになった勝手なイメージですけどね・・・

107萌えの下なる名無しさん:2004/06/06(日) 14:24
お引越し後初カキコ&初投稿(絵)です。

>89女神様を拝見し、「二人とも酔ったらどうなるのか」と思ったのが発端ですが、
女神様とこの御兄弟とは別物のような気がしますだ。オラドコデマチガッタダカ(´・ω・`)
http://souko.s4.xrea.com/fellowbbs1/bbsnote.cgi
のNo.182になります。






4コマ目がないのは仕様です。

108萌えの下なる名無しさん:2004/06/06(日) 21:48
>>101=106様

>或る面でどうしようもなく何かが欠落した人

分かる気がします。簡単に分かった気になっちゃいけない事かもしれませんが。
紙一重すれすれといえば、大将に失礼かもですが、でもそう思ってます。
頭のいい人は、一般人とは、どこかずれてるという偏見持ちです。
理屈に合うことだけが、人を動かしてるのではないと。そういうところを
理解しきれないんでは、など。

兄上が言う、いちばん深い見えないところにある傷に実は、興味津々なのですが。
いずれ、突っ込んで書かれるご予定などお持ちでしたら、たいへんうれしいです。
(クレクレ厨は嫌われます)。

>>107女神様

兄弟の酒盛りを絵で見られるなんて、思ってもみず。
興奮してなにがなんだかです。すみません。
イラストの感想をご迷惑かもですが、書かせていただきたく!
そちらはイラストの方に、レスさせてください。

109萌えの下なる名無しさん:2004/06/07(月) 23:17
>101様
兄上は罪の意識にさいなまれながらも光を求め、
弟はおだやかに微笑んだままで
地獄に落ちていくのも厭わない、そんな兄弟でしょうか。
といっても、中つ国に「地獄」の概念があったわけではないのでしょうが。

>102様
セオドレドのファラミア馬鹿一代、
続きを楽しみにしています。

>107様
お好きでなかったら申し訳ないのだけど、
ちょっと坂田靖子さん風のとぼけた雰囲気が
なんともいいですねえ。
兄上、果たしてどんな反応を示すのやら。
(坂田さんには常々、執政家やハセヲさんの優雅な生活
を書いてもらえたらなあ、なんて思っています。)

110萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 18:52
>102のつづきを貼らせてください。
まとまりなくて申し訳ないです。

<ファラミア/ローハンの娘さん/ボロミア/セオドレド> 2















「セオドレド殿。その話は蒸し返さない方が我々のためではないだろうか」
 困惑混じりの表情で、ボロミアはセオドレドを見ていた。
「なぜです。私にとっては思い出すのに心地良い、微笑ましい記憶なのですが」
「あれが微笑ましい」
 ボロミアの提案を、一向に意に介さないセオドレドに対して、ボロミアは、むっつりと黙り込んでしまった。
 話が飲み込めないままに、ファラミアは反目する二人の顔を交互に眺めた。その視線が、セオドレドのものと合った時、セオドレドは僅かに肩をすくめた。
「言ってしまえば何の事はないお話です。私は、ファラミア殿ご生誕の儀に、父の供でゴンドールを訪問させていただいたことがあるのです。ファラミア殿にはご両親と、ボロミア殿が付き添われていたのを記憶しておりますが」
「セオドレド殿」
 まるで言葉を遮るかのように、幾分きつい色を含んだボロミアの低い声が響いた。
「承知しました。この話はこれまでに致しましょう」
 赤子だった自分の記憶にない祝いの席で、ボロミアにとって何か面白くないことがあったに違いない。でなければ、セオドレドが今、聞かせたような事は既にボロミアの口からもたらされていただろう。何か分かるかとファラミアはボロミアの表情に気を付けたが、そこから意味のある感情を読み取ることは、ファラミアにも出来なかった。
「そんなお顔をなさらずとも、私は、ファラミア殿を取るような事はしませんよ」
 セオドレドは、ボロミアの顔を面白そうに覗き込んでいた。ボロミアの機嫌は、ますます怪しくなっていく。また、ボロミアはそれを隠そうともしなかった。
「取るだの取らないなどと、人の弟を掴まえて物のように言われるか」
「何をかいわんやです。誰より、それを理解しているのが私でしょうに。物であれば、見合った対価を払えば得られるものをです」
 セオドレドは、笑った。
 ボロミアは、目に見えて憮然としていた。二人の会話を聞きながら、薄々ではあるけれども、ボロミアにとってのわだかまりが何であるのかが、分かってきたようにファラミアには思えた。だから、ファラミアは自分の兄を抱き締めたい衝動にかられたが、場が場であるだけに、とりあえず忘れることにした。
 それにしても、とファラミアは思う。
 憮然としつつもセオドレドの物言いを許しているところを見ると、ボロミアは、セオドレドをかなり好ましく思っているのだろう、と。

 酒も進み、夜も深まりはじめただろう頃、ふと、ボロミアがセオドレドの耳に何事かを囁いた。受けたセオドレドは神妙に頷いた。そして、ファラミアは、思いもしなかった言葉を、ボロミアの口から聞いた。
「これから、わたしはセオドレド殿と折り入っての話があるので、先に休んでいなさい」
「お話、ですか」
「申し訳ない。お部屋にはお世話をさせていただく者を控えさえておりますゆえ、ご不便のないよう、何なりとその者にお申し付け下さい」
 セオドレドが、ファラミアに頭を下げた。
 突然の事に、決して釈然とはしないものの、年長者二人にそう言われると、ファラミアは承諾せざるを得なかった。
 宴はお開きとなった。兄弟のためにと整えられた一室に、セオドレドはファラミアとボロミアを案内してくれた。
 そこは一見して申し分の無い寝室だった。たっぷりした広さの部屋には、天蓋のついた寝台が二つ見えた。天井に届き、外側に向かった壁面全てに備えられたガラスの入った扉の向こうはテラスになっていて、その向こうは、おそらく庭園である。日の光の元で見たなら、緑がよく映えるだろう。外を眺められる位置には、居心地のよさげなソファと背の低い机の対があり、別の壁面には、物を書くのにいかにも適した、机と椅子が備えられているのだった。そうして、セオドレドは一人の女性を、部屋付きの者だと言って二人に会わせた。
 ボロミアは、もはや不機嫌ではなかった。
「ではファラミア。セオドレド殿のご厚意だ。兄に遠慮なく、休ませていただくよう」
「不調法にて、ご不便をおかけするやも知れませぬが、部屋係も出来るだけの事は致しますゆえ」
「お心遣い、かたじけのうございます」
 ファラミアはセオドレドに一礼し、同い年の二人が、自分の前からどこかに消えるのを見送った。
「何かの困りごとが起こればお呼び立てすることもありましょう。その時にはお願い致します」
 そう告げて、ファラミアは部屋係を下がらせた。

111萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 18:53
<ファラミア/ローハンの娘さん/ボロミア/セオドレド> 3













 初めて訪れた土地の見知らぬ部屋に一人になって、ファラミアは嘆息した。
 テラスに続くガラスのはまった扉の前に立って、すっかり闇に覆われた外の風景と、続いて、空に目を向けた。
 様々のことがありすぎた。
 旅の過程は思い出しても愉快なものだった。見る物、聞く物すべてが物珍しいとまでは行かなかったが、ボロミアの言葉の通りに、書物で見ていた事物を肌で感じることもあったし、書物にないものを多々目にした。道すがら、ボロミアは、自分が見聞きした諸々の事の話を、ファラミアに語った。それらは、ファラミアの興味を満たしてくれるものだった。いざ到着してみても、セオデン王やセオドレドが見せた歓待は思いの外居心地が良く、ファラミアを快くさせた。
 解せないのは、ただ一点だけだった。
 ファラミアは、次の誕生日が来れば二十歳になる。既に、兄の後ろについて回らなければ気が済まない子供ではなくなっているとはいえ、ボロミアがここにきて、自分を一人放っておくのに不思議な感じが拭えなかった。なぜなら、この年齢になってなお、ボロミアは、何かにつけてファラミアの世話を焼きたがっていたからである。そもそも、この旅にファラミアが出ることになったのも、ボロミアの意向といえば意向だったはずである。
 敢えて付け加えるならば、ボロミアが自分を一人にした割に、己だけはやたらに楽しげな様子だったのが、ファラミアにとってあまり愉快なことではなかった。ファラミアは、ここに来る前から、セオドレドに会うのを楽しみにしていたボロミアを思い出し、自分を納得させるしかなかった。数日の逗留を許されているファラミアとは違い、ボロミアは明日の朝にはここを発つ身だ。別れれば、二人が次に会うのはいつとも知れない。だから、時間は惜しいのだろう。
 それにしても、だ。
 理屈で理解したところで、心に生じた引っかかりが消えるわけではなかった。
 我ながらつまらない事ばかり考えている、と一人ごちたファラミアは、ボロミアの言う通りに、さっさと休んでしまうことに心を決めた。
 丈高いローハンの者に合わせているに違いなく、二つ並んだ寝台は、並のゴンドールの者よりよく育った兄弟にとっても十分な大きさがあった。その真っ白な上掛けに、客人のために用意された清潔そうな部屋着がきちんとたたまれて置かれていた。
 ファラミアは、それを有り難く借りることにして、のろのろと着替えると、ベッドの一つに腰掛けた。寝ようとは決めたが、眠いわけではなかった。
 すると、扉を叩く音がした。ボロミアが帰ってきたのかも知れない。などという考えがファラミアの頭をかすめた。
 ファラミアは立ち上がり、自分で扉を開けた。

112萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 18:56
<ファラミア/ローハンの娘さん> 4
大将に女性が絡みます。苦手な方はご注意願います。












 しかし、開いた扉の向こうに立っていたのは、偉丈夫ではなかった。
 夜半の訪問者は、二人いた。一人は、既に見知った部屋係だった。その彼女が、まだ少女といっても差し支えないだろう年齢に見える女性を傍らに連れていた。
 嫌な感じがした。
 これから休むところだと告げようとするファラミアの機先を制して少女が口を開いたので、ファラミアは口を挟む機会を失った。少女は、ファラミアに深々と頭を下げた。
「遠方より、ようこそいらっしゃいました。大切なお客様が、ご退屈なさらぬようお相手を務めさせていただきますよう、言いつかって参りました」
 少女の言葉が終わると、部屋係もお辞儀をして見せた。
 今となっては、疑問は何もなかった。
 ボロミアは、是非ともファラミアをこの部屋に一人にしたかったに違いなかった。だから、ボロミアはセオドレドと消えたのだ。そうすると、目の前の少女はボロミアがセオドレドに頼んで寄越させたのであろう。そう考えれば、少なくとも辻褄は合う。
 ありがた迷惑な話ではあったが、恐らくはファラミアのためにと、お膳立てしてくれた年長者二人を、無碍にすることなど出来ない相談だった。何せ一人は自分の兄であり、もう一人は一国の世継ぎかつ、自分がしばらく世話になる相手である。
「お心遣い、恐れ入ります」
 ファラミアが少女に片手を差し出した。少女は、その手に戸惑いを隠せないままの視線を落とし、それから、彼女の隣に控えた部屋係の顔を仰いだ。部屋係の女性の目配せを受けた少女は、差し出された手に、おずおずといった風情で己の手を重ねた。少女は、働き者を思い出させる手をしていた。
「それでは、お休みなさいませ。ご用がありましたら、いつでも隣にお声がけを」
 部屋係は、少女を客の寝室に残して、一礼すると部屋を出た。しばらくは聞こえていた足音も、やがてやんだ。
 取り繕いようもなく落ちつかなげな少女を、ファラミアは部屋のソファに導いて座らせた。
 自分はといえば、机に備え付けられた椅子をソファの傍らに運んで来、そこに腰を下ろした。見上げてはくるものの、どこに視点を定めて良いのか迷っているらしく、彷徨っている少女の視線がファラミアの気持ちを暗くさせた。
 少女が身につけている上等の薄衣は、蝋燭の薄明かりの下でも、少女に似合っているように見えた。けれども、それを少女が決して着慣れている様子はなく、少女からふわりとのぼる甘やかな香りすら、少女には馴染んでいないようだった。少女の、膝の上にきちんと揃えられた両手には、心なしか不自然な力が入りすぎているのが見て取れて、ファラミアはどうにも痛ましい気持ちに襲われた。しかし、それら一切を、ファラミアはおくびにも出さなかった。
「わたしは、まだあなたに名乗っていなかったね。わたしは、ファラミアと申します。数日の間、こちらにお世話になる者です。どうぞ、よろしく」
 目を合わせて語りかけると、少女が口を開こうとした。が、ファラミアは敢えて言葉を繋いだ。
「あなたの名前を、わたしは知らない方が良いかと思う。理由は聞かないでいただきたいのだが。よろしいですか」
 なるべく穏やかに、少女に告げた。
「わたくしは−−」
 細く、上ずった声が少女の口から漏らされた。
「わたくしは、わたくしのお役目を言いつかっております。わたくしは、ファラミア様のお言葉に、否はもうしあげません」
 言うと、唇を引き結んだ。
 どうあって、明らかにそれを生業にしているわけではない様子の彼女が、ここに来るよう定められたのか。ファラミアは、心中に去来する様々を押して微笑んだ。

113萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 18:58
<ファラミア/ローハンの娘さん> 5
大将に女性が絡みます。苦手な方はご注意願います。














「あなたは、物語はお好きですか。歌は、いかがです?」
 伏し目がちだった少女が、大きな瞳を更に大きく見開いて、ファラミアの顔をまじまじと見つめた。
「わたしは、それらを好んでおります。ここは、わたしにとっては初めて訪れた土地です。わたしの知らない伝承や、物語をお聞かせいただければ、大いに役立ちますし、慰めになるのですが」
 少女の喉から、戸惑いの色を含んだ息がかすかに漏れる。
「立派なお国から来られた、立派なお客さまをご満足させるようなものを、わたくしが、お聞かせできるとお思いでしょうか」
「立派、などとおっしゃる」
 ファラミアは、緩く首を振った。
「わたしが思うところによれば、人にとって本当に価値あるものとは、ひとびとが、その暮らしのうちに持っているものです。わたしは、書物に親しみますけれども、ひとびとが経験しているものがあってこそ、それらが価値あるものとして現れるのですよ。何より、書物では得られないものを見聞するために、わたしはこちらに参ったのです」
 ファラミアの言葉に、少女は、目を瞬かせた。
「わたくし、そのようにおっしゃる方には、はじめてお目にかかりました。失礼でなければ、わたくしが存じているものごとを、お話出来ると思います」
 初めて、少女の顔に明るさを見て、ファラミアは目を細めた。
「それは、わたしにとって、ありがたい言葉です。あなたは、わたしを喜ばせてくれる」
 目に見えて恐縮する少女を前に、ファラミアは笑みを絶やさない。
「お話とは素晴らしいものですが、その前にもっと、楽しくなることがあると思いますよ。何か、飲み物をお願いしてきましょう。甘い菓子が、お好みでないなんて事は無いでしょうね?」
 何かを言いつのろうとする少女を、手でやんわりと制して、ファラミアは椅子を立った。「あなたが、あなたが言いつかったことに忠実であろうとするように、わたしのわがままを叶えるよう言いつかってる方もおられるのですよ」
 そうして、ファラミアは部屋を出て部屋係の詰めている隣室に向かった。
 ファラミアが一人で部屋に戻ってからほどなくして、部屋には、葡萄酒と色とりどりの菓子が乗った盆が運ばれてきた。
 ソファと対になった台に盆を置いて係の者が部屋を辞すと、残った二人は、盆を覗き込んだ。ファラミアが機嫌良さそうに笑うのにつられたのか、少女も自然に笑みを見せるようになっていた。
「さて、この素敵な葡萄酒を、わたしにいただけますか」
 ファラミアが差し出したグラスを、少女は慣れない手つきながら葡萄酒で満たした。
「そして、わたしは、あなたに差し上げましょう」
 カップの一つに少女の手を添えさせ、ファラミアが葡萄酒を注いでやった。ファラミアの方から、軽くカップ同士の縁を触れ合わせ、葡萄酒を一口飲み下す。ファラミアが頼んだとおりに、甘い葡萄酒だった。
「口を潤して、お腹がくちくならなければね。弾む話も弾まないというものです」
 そして、共犯者の顔で少女の顔を見、笑った。

 夜がとっぷりと更けて、葡萄酒の瓶が空になった頃、少女のまぶたが重くなってきたようにファラミアには見えた。それでも、睡魔と必死に戦っているらしい。少女が、はっきりと目を閉じることは無かった。これが潮時だろうとファラミアは思った。

114萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 19:00
<ファラミア/ローハンの娘さん> 6
大将に女性が絡みます。苦手な方はご注意願います。















「さて。わたしは、もう休みますが」
 ファラミアの一言に、少女がはじかれたように顔を上げた。恐らくは飲みつけていない酒を、それなりに口にしたため、その顔は赤く染まって見えた。
「幸い、寝台は二つあります」
 ファラミアは、兄弟に一つずつ用意された寝台を視線で示し、少女に向き直った。
「誤解しないでいただきたいのは、わたしがこう言うのは、あなたに、同じ寝台に入りたくないような、何かの欠点があるからではありません。あなたが語ってくれたお話に、わたしは満足させていただきました。ですから、あなたは、十分に言いつかったという役目を果たしている、とわたしは思います。そして、あなたは、わたしの言う通りに、わたしの使う隣の寝台に入って、休まなければなりません。なぜなら、あなたは、わたしの言葉に、否とは言えないはずですからね」
 噛んで含めるように、そんなに年の変わらないように見える少女に対して、ゆっくりと話して聞かせる。
「お言葉のままに、いたします」
「上出来です」
 今すぐにでも眠り込んでしまいたいくらいなのだろう、気丈に振る舞おうとしてはいるものの、少女の口調はおぼつかなくなっていた。足下も怪しいものだと、ファラミアは伺いを立てることなく少女の手を取り、体に気を付けながら寝台に連れて行った。それでもいくぶんか、ためらいを見せる少女を促し、布団に潜り込むのを確かめてから、ファラミアは少女にお休みを言った。
 そうして、自分の寝台に寝転がると、明日は兄が部屋に来るだろうから、その前に起き出さねばと心を決めて、ファラミアも眠りに落ちた。

 翌朝は、思っていたよりも早く、まだ外がほの明るくなりかけた頃に目が覚めた。
 隣の寝台を覗くと、少女は眠っているようだった。
 寝台から起き出し、少女からは死角になる位置を選んで手早く着替えた。部屋係が詰めているはずの、隣の部屋を訪れて、昨夜に飲食したものの片づけと、湯を頼み、居住まいを整える。
「まだ、お休みになっている方がおられるのでね。ごくお静かにお願いいたしますよ」
 と、念を押すことも忘れなかった。
 すっかり支度が調うと、少しばかりの心の痛みには目をつむり、夜が明けきらないうちにと少女に目覚めを促した。少女は、目を開けた。夢の中をたゆたっているようで、像を結んでいないだろう視線だけがファラミアに向けられていた。彼女の頭が、状況を把握するのを待って、ファラミアはその顔に微笑みかけた。
「お早うございます」
 声を潜め、囁くように告げる。目覚めた少女は、寝台から跳ね起きた。
「お早うございます。このような姿はお目にかけて良いものではありませんのに。申し訳ございません」
 寝台を立ってうなだれる少女の、寝乱れて皺の寄った着衣を、どこから見ても立派になるようにファラミアは整えてやった。
「あなたは、あなたに定められたおつとめを十分に果たされましたよ。わたしは、あなたが、わたしを大変満足させてくださったと、しかるべき方にお伝えさせていただきましょう。ただ、今は、ご自分の場所に戻らなければなりません。じきに、わたしの連れが、この部屋に来るはずですが、あなたが彼と顔を合わせるのは、わたしの望むところではありませんので」
「おっしゃる通りに致します」
 少女は、彼女なりの礼を取ると、早々にファラミアの前を辞そうとした。
「待ちなさい」
 声をかけられた少女は立ち止まり、踵を返してファラミアの元に歩み寄った。次の言葉を待つような表情を浮かべた少女の額に、ファラミアは唇を押し当てた。どう反応してよいものか分からないのだろう。動きを止めてしまった少女に、ファラミアは穏やかに微笑んだ。
「これは、わたしの国での挨拶で、感謝のしるしです。わたしは、あなたが、わたしのために大変よくつとめてくれたと思いますので。さあ、お隣のお部屋に行けば、あなたはきっと安心しますね」

115萌えの下なる名無しさん:2004/06/08(火) 19:03
<ファラミア/ボロミア> 7 【ラスト】
大将と兄上。














 昨夜に、少女を招き入れたときのようにファラミアは手を差し出した。今度は、少女は間違えなかった。重ねられた手を引いて、ファラミアは彼女を扉まで見送った。
 一人になったファラミアは、ソファに体を投げ出した。備えられていた水差しから自分でグラスに水を取り、一息にあおった。朝は少しずつ近づいてきてはいたものの、人々の活動が始まる時間にはしばらくあるようで、外からの物音はごく僅かに過ぎない。二度寝というのも業腹ではあるしと、ファラミアは天井を振り仰ぎ、目を閉じた。

 朝の日差しが強くなる前に、ボロミアは、自分たちにとあてがわれた部屋に戻ってきた。扉を一応叩いてみるものの、初めから返事は期待してはいないようで、ファラミアの声が返るのを待つこともなく、扉を開いて体を部屋に滑り込ませた。
 まず様子を窺った寝台には誰の気配もないと見て初めて、ボロミアは部屋の中を見回した。
「何をなさってるんですか」
 ソファに身を投げていたファラミアは、座り直してボロミアを見ていた。
「ファラミア」
 探していた人物を見つけると、ボロミアは大股に歩み寄り、ファラミアの隣、体が触れ合うほどの近くに座って、ファラミアの顔を覗き込むように見た。
「朝が早すぎるようだが。何か不都合でもあったか」
 怪訝な顔、というより、何かを心配しているかのようなボロミアに、ファラミアは笑って見せた。
「ありません。昨夜は、わたしなりに、大いに楽しませていただきました」
 何を楽しんだとは、ファラミアは言わなかった。
「そうか」
 あからさまにボロミアがほっとした顔を見せたので、ファラミアは大きく息をついた。
「今日はもう、発たれるのですね」
「ああ。王へのご挨拶が叶い次第、発つ」
「…お気を付けて」
 少しばかり力の無いファラミアの声をどう取ったのか、ボロミアは、いつも見せる笑顔で力強く言った。
「続く滞在の事は、セオドレド殿にくれぐれもとお願いしてある。わたしがいなくても、何ら不安に思うことは無い」
「何もかもお世話をかけます。ありがとうございます。…今は、少し休みます」
 閉じた目はそのまま、ファラミアは呟いた。
「疲れたか」
「そうですね。昨夜は、いささか夜更かしが過ぎました」
「たまには良いとも」
 力のない声の調子に、ボロミアは弟の顔を覗き込むと、寝るのに具合が良くなるよう、体の位置を変えてやる。
「食事には、起こして下さいよ」
「兄を信頼せぬか」
 そう言って、ボロミアは笑った。笑うと、それにつられて体が揺れるので、触れ合ったファラミアの体も心地良く揺さぶられた。
 今日の陽が、いつもよりも寝坊であれば良いのに、とファラミアは心の中だけで呟き、昨夜は自分の元に無かった体温を、体の深くにまで感じながらまどろみの中に身を委ねた。

116>102,>110-115:2004/06/08(火) 19:10
スレを、これでもかと消費してすみません。
板の趣旨を考えると、申し訳なさ倍増です。

次なるお目汚しは、
セオドレド×ファラミアにて、【完】としたいです。

117萌えの下なる名無しさん:2004/06/10(木) 10:05
>>102,>>110-115女神様
続きが読めて嬉しかったです。これがあのセオ/ファラにつながるのですね。
いたいけな娘さんを気遣う大将、素敵です。自分だって二十歳そこそこなのに。
しかし、この大人で紳士な人が、セオドレドにはされるがままになってしまう
のですか!?(w
と言う訳で、そちらの続きもよろしくお願いいたします。

>>107女神様
兄弟のほのぼのバカップルぶり・・・好きです(w

しかし>109様。坂田さんは指輪があまりお好きでない、どころかそもそも
読んでいないという話を、以前エッセイで書かれていた記憶があります。
あの方の絵でホビットたちとか見てみたい気はするのですけどね・・・

118萌えの下なる名無しさん:2004/06/11(金) 10:05
>109様、>117様
お声をかけてくださってありがとうございます。
切りの良いところまで。とりあえず、2分割で。
なんかツッコミどころ満載ですが、ご勘弁ねがいたく。

>>30の続き
<セオドレド×ファラミア/キス程度> 1















 寝台が置かれている側は想像していたよりも、広く感じられた。
 セオドレドに促されて、ファラミアは寝台の縁に腰掛けた。部屋の主はとえいえば、寝台の脇にしつらえられた飾り棚に向かい合っており、何かを手に取り上げているように見えた。
「広いですな」
 敷布に片手を這わせ、柔らかく織られた上等の木綿が持つ手触りを心地良く確かめながら、目にしたままをファラミアは告げ、自分が履いているブーツを片方ずつ、足から抜いて、揃えると自分が座っている物の下に潜り込ませ、腰かけるだけではなく体の全体を寝台に上げた。
 自分の体のせいではない重みで、寝台が沈み込む感じがした。顔を向けると、セオドレドが隣に同じく腰を下ろし、かれの体の陰になる側に、棚から取ったものだろう何かを、寝台の隅へと手から離しているところだった。
 自分に見える横顔からは何も読めなかった。
 ファラミアは、寝台の隅々に視線を投げてから、セオドレドに向き直った。
「この広さなら、馬と一緒にでも寝られそうですな」
 セオドレドは、燭台の明かりの下でも分かる、世にも奇妙な顔をした。
「さすがに馬は寝台に上げませんが」
「冗談です」
 笑って良いのかどうかセオドレドが迷っているように見えたので、黙って寝台の縁で膝を抱えたところに、遠慮無しな体がファラミアの体に寄り添わせされた。肩と肩、腕と腕、それに腰が触れ合うと、否応なくその存在を突きつけられている気分に囚われた。それを、手っ取り早く自分の内に馴致しようではないかと、その肩口に顔を寄せて意識的に大きく呼吸をすると、嗅ぎ慣れないにおいが体を満たしてくるようだった。
 土地が変われば、空気の匂いが変わると聞いたことがあった。確かに、この国に近づくにつれ、故国と違う空気が周囲に濃くなっていくのは感じようとせずとも、感じられた。その、ゴンドールにあるのとはまったく異質な匂いを、この国の世継ぎもまた身の内に持っていた。馴染みの無いそのにおいに、好意を抱くか嫌悪になるかは、まだいずれにも振れるだろう事だったものの、これから決まるのだろうそれがどちらになるのかは、ファラミアにとっては間違いなくセオドレド次第だった。
 ファラミアの後ろ頭の髪に手が回されてきて、自分の頬に自然と落ちてくる髪が、長い指で耳の後ろに取りのけられたのが分かった。暖かい手と指が頬を這っていき、ゆるくうねりのある髪を、指の間に髪の細い束を通すようにして、横顔から後頭部にかけて梳き、ファラミアの耳にかけた。それが、くすぐったくて−−いや、まるで誰かがいつも自分に対してそう接してくるように、幼子扱いされているように感じられて−−ファラミアは声を殺して笑った。セオドレドはといえば、そんなファラミアに目を細くしてさえいたので、急に自分の行いが、状況に相応しくないような気がして、早々に笑いを引っ込めることが出来た。
 ややあって、セオドレドが口を開いた。
「お互いの、好きなものの話をしましょう」
 セオドレドの提案に、ファラミアが顔を上げると、靴を自分の足から取りのけながら、セオドレドは言葉を足した。
「ただし若干、趣向を加えてです」
 靴を脱いでしまい、ファラミアに体を向かい合わせて、寝台の上へと座り直したセオドレドの方へ、ファラミアは、抱えていた膝から腕をほどいて身を乗り出した。
「それはなかなかに面白そうです。して、いかなる」
「一言につき、一つの口づけを」
 ファラミアは実のところ面食らったが、おくびにも出さなかった。そうしたことは、得意だと自認していた。何も好きこのんで身につけたわけではなく、さもなくば日々がままならぬ事だと自ら知れたときに、体得を選択せざるを得なかった技量だった。
 セオドレドの狙いが言葉それ自体なのか、それに付随する接触なのか判じかねたが、おそらくは両方だろうと思い至って、随分と欲張りな話ではないかと、半ば呆れ、半ば感心させられた。ファラミアの興味を強く引いたのは、行為でも言葉でもなく、セオドレドの出方だったが。

119萌えの下なる名無しさん:2004/06/11(金) 10:07
<セオドレド×ファラミア/キス程度> 2
 2分割予定が3分割に。すみません。















「では、言いだした方からお願い致しましょうか」
「願ったりです。では、馬と」
 少しの迷いもなく返ってきた答えが、いかにも名馬の産地と名高い国の世継ぎらし過ぎて、ファラミアは、この五つ年上の丈高い青年を、自分の兄にそうしているように、抱き締めたくなったのだが、衝動は叶わずに消えた。ファラミアが行動を起こす前に、唇をセオドレドのそれに触れられたからだった。かすめるように一瞬だけで離れた口づけとも呼べないような感触に、ファラミアは堪えきれず、肩を震わせて笑った。子供の挨拶でも、もう少しはまともに成されるものではなかったか。一度に全てを白日の下に晒さず、探られているのだという可能性は、経験が深いとも言えず、加えてそうした趣味も持たないファラミアには、さっぱり浮かばなかった。
「わたしの番ですな」
 真っ先に頭に去来したものを、ファラミアは口にしなかった。不審げな顔がファラミアを見ていたのに気付いたけれども、何食わぬ顔で言葉を継いだ。
「白の塔…は、ミナス=ティリスに来られたのならご存じでしょうが」
 説明を加えるつもりもなく、自分に与えられたのと同じだけの、軽い口づけを、ファラミアはセオドレドの唇に与えた。
 触れられるのと自ら触れるのと、どちらも同じくすぐったさをファラミアの内に沸き上がらせた。理由は分かっていた。やはり彼はどこか、自分の兄を思い出させるのだ。セオドレドではなく自分自身に責のあるそれが、ファラミアにはひどく恨めしかった。
「他には。馬が、すべてでしょうか」
「まさか。わが父もです」
 言葉が終わると、柔らかい感触がファラミアの唇を包んだ。触れ合わされるだけにせよ、初めのものよりも口づけらしい口づけに、ファラミアは目を閉じた。まるみを帯びた弾力を、お互いにいい加減味わって、それらは離れた。
「わたしは、歌が好きですよ」
 自分の物ではない唇の感触が消えぬうちに、セオドレドのそれに口唇を触れ合わせると、セオドレドの舌が歯に阻まれて行き先を失うまで、唇を割って口腔に入って来、並びの良いファラミアの歯に舌を触れさせながら、唇の狭間を急がず慌てず、左右にゆっくりと撫でていった。唾液に滑らされる舌が心地悪いわけではなかったが、いつ終わるとも知れない気がして、自分の舌先を伸ばして唇に挟まれた舌をつつくと、顔を触れるか触れないか程度にだけ離して、セオドレドが笑った。
「可愛らしい従兄弟たちも好きです」
 言葉を交わす暇も惜しいとでも言いたげなセオドレドから、唇を包み込むように、ファラミアは深く口づけられた。緩やかに何度か唇を吸われたので、自ら上下に唇を薄く割った。すかさず、舌が歯の上下の間に差し出され、上顎の内側をなぞってくる。緩い動きを止めない舌の裏側に、自分の舌先を触れさせると、舌縁を辿るようにセオドレドのそれが触れてきたと思うと、舌を触れ合わせたまま口を吸われた。さて、どうしたものかと考えている内に、ファラミアは開放され、一息入れることが出来た。
「書物も好きです」
 ファラミアは喉の奥で笑った。セオドレドは訝っているようだったが、人物を挙げ始めたセオドレドに対して、自分は物ばかりを口にしているのが可笑しかったのだとは、告げなかった。そうして、セオドレドの唇に唇を触れた。申し合わせていたわけでもないのに、どちらともなく舌がお互いの口腔を求めた。それまでよりもはっきりと舌が触れ合わされたせいだろう、セオドレド自身という他には、何にも喩えようがない味と、匂いがした。まだ、体に馴染んでいるわけではないけれども、決して不快ではない味が口中に広がり、鼻を抜ける。

120萌えの下なる名無しさん:2004/06/11(金) 10:08
<セオドレド×ファラミア/キス程度> 3 【とりあえずラスト】















 喉を小さく上下させて、口腔に溢れ始めた唾液を、ファラミアは少しずつ喉奥に流した。触れ合っていた舌が引かれたと思うと、再び合わさったときには、舌と共に唾液がファラミアの口中に、ねっとりと入り込んできた。思わず目を見開き、舌を使って、彼のものだか自分のだか、既に判然としないものではあったが、それでもセオドレドのものはセオドレドにと、自分の口腔にある舌に思うだけの唾液を擦りつけた。お互いの舌の間で、なめらかにそれらが混ざり合うと、もう一度喉を使う必要に迫られて、ファラミアは舌を引いた。
 セオドレドが閉じた口の内側で舌を口腔に擦りつけているのが、外側からから様子で分かった。
「ファラミア殿は行為を楽しんだ事が無いとおっしゃいましたが」
 何を思ったのか急に真顔で言われたことに、ファラミアはつい苦く笑った。
「自分が望みもしない相手と、何事であれ、楽しめるものですか」
「さすれば、今ある私の心中は、ご理解いただけましょう」
 締まった腕が背に伸ばされたと思うと、体を抱き込んできた。正直な人柄だと、ファラミアは初めて、彼の内にあるいくばくかを見た気がした。自分とて嘘はつかないが、しかし、それは正直さとは異なる性質のものだと思う。自分の内に無いものは、時にひどく好ましいものだ。
 自分の物よりも広い背にファラミアは迷わず腕を回し、その必要が無いほど体が触れ合っているにもかかわらず自分の体を、セオドレドのそれに寄せた。ぼんやりとした温かさを、体が味わっていた。このまま眠っても良いくらいだという思いを、ファラミアは打ち消した。それでは、せっかくの機会が不意になってしまうではないか。
「続けましょう」
「ファラミア殿ですよ」
「わたしは、セオドレド殿がおっしゃる番だと思いましたが」
 ファラミアにも見覚えのある顔を、セオドレドは見せた。先には、冗談を言ったときだったか。
「私は、ファラミア殿が好きですと、申し上げているのです」
 即答されて、ファラミアはセオドレドの顔を、それまでになくまじまじと見つめた。何故自分なのかと問うても仕方がない事は、ファラミアは既に知っていた。セオドレドは、言うに決まっている。ファラミアがファラミアだからだと。永遠に何の理解の助けにもなりそうもない言葉を、二度聞く気には到底なれなかった。

121118-120:2004/06/11(金) 10:11
色々と、のろくてすみません。まだ終わりません。
大将へんな人でごめんなさい。

女神様のご光臨、皆様の萌え話お願いしたいです。

122萌えの下なる名無しさん:2004/06/11(金) 23:52
>>118-120
お待ちしてました女神様!>>22の続きが読めて嬉しいです・・!
大将がなんだかとてもかわいらしいー。いったいどうなっちゃうの!
セオドレドのゆったりした攻め口がまたたまらない!くらくらしちゃいます・・。

123萌えの下なる名無しさん:2004/06/12(土) 12:19
>>118-120女神様
自分も相手のこともけっこう冷静に観察しつつ、流されていく大将・・・
あああ・・・

124萌えの下なる名無しさん:2004/06/12(土) 20:15
>122様、>123様
のろくさい話にお付き合いくださって、本当にありがとうございます。
なんとお礼を言って良いのかです。

>>120の続きなのですが。今回3分割で。
まだ終わらないのがなんとも申し訳ない限りです。

<セオドレド×ファラミア/脱衣程度)> 1 












 決して小柄とはいえない青年二人が体を伸ばしてなお、十分な広さを持った寝台の上で、二人は互いに体のぬくもりを与え、与えられていた。唇を触れ合わせながら、セオドレドの手に着衣の上から胸を探られると、喉の奥からくぐもった音が、どうしようもなく漏れた。今、セオドレドが要求している物を自覚したファラミアは、手を伸ばし、自分のものではなくセオドレドが着ているものを剥ごうとした。どうせ、お互いいつまでも着衣ではいないのだ。それならば、自分のものを自分で脱ぐという誰憚ることのない当たり前の行為よりは、セオドレドを脱衣させるという、二度とその機会が巡ってこないかも知れない行為を選ぶ方が、よほど有意義ではないか。しかし、蝋燭が投げかける不確かな明かりと自分の手の感触だけを頼りに、見慣れぬローハンの衣装を自分の意のままにすることは、さしものファラミアにも簡単ではなかったので、ファラミア自身に、そのつもりは無かったが、むきになっていたに違いない。
「ファラミア殿、ファラミア殿」
 笑いながら、セオドレドにファラミアの手は押しとどめられた。セオドレドといえば、片手をファラミアの服の合わせにちゃっかりと触れて、迷うことなく着衣をほどいていくのだから、たまったものではなかった。こんな些細な事でさえ、自分は、彼と比べても何も知らないのだと、ファラミアは思い知らされたような気がした。
 いい加減衣服を緩まされてしまうと、普段は確かに体を守るのに役立つ衣類も、鬱陶しく体の邪魔をしているだけに思えてくるのが不思議だった。そうしたファラミアの心中を知ってか知らずか、セオドレドはファラミアの腕を自分の背からやんわりと取りのけて、ファラミアが申し訳程度に引っかけているだけになった服を、ファラミアの体から、寝台の端っこに移した。
 ファラミアも逆らうつもりはないどころか、セオドレドの手を助けるために腕を伸ばしたり腰を持ち上げたりしたのだが、セオドレドの視線が、飾りたてる物が何もない自分の体を、何か眩しいものでも前にしているかのような目で隈なく見つめていくので、さすがに落ち着かない気分に襲われた。
 それではと、手をセオドレドの衣服にかけてみたものの、いっそのこと布切れを裂いてしまえれば話が早い上に、楽だろうにという埒もない思いを味わっただけだった。ほとんど何も成し得なかった手を、セオドレドがやんわりと掴んで、その衣服を留めている部分に導いたおかげで、ようやく目的が果たされることになったときには、無力感に溜息がつい漏れた。セオドレドはファラミアの手だけに任せず、自分で服を脱ぎ捨てるとファラミアの背を、両腕で引き寄せた。
 着衣で触れた時とはまるで比べ物にならない身体の、圧倒されるような存在感は、いつになくファラミアの気分を高揚させた。
 立てられたセオドレドの両膝の間に体を置く格好になって初めて、ファラミアはセオドレドの身体を自分のごく間近に見た。片手をすぐ目の前の肩に預けて膝立ちになると、大きな手に腰を支えようとでも言うのか、両腕に掴まれた。特段害は無いだろうと、任せ切りにして、セオドレドが自分にそうしたように、体の隅々まで見逃すまいと視線を落とし、鍛えられた筋肉の隆起の一つ一つの谷を、指で辿った。
 戦場でさぞかし役に立つだろう締まった体は、目にも肌にも心地良いとファラミアは思う。誰が植え付けた価値観だか、と、答えを知りすぎるほど知っている自分を、ファラミアは自分自身からはぐらかした。
 無骨であるのに滑らかさを持つ裸の皮膚は、ファラミアの意のままに差し出され、二度ほど顔を見ただけの他人に触れさせて、いかなるわだかまりを持つ様子も無い。
 決して愛撫ではなく、あくまで鑑賞でしかないファラミアの行為を、セオドレドは楽しんでさえいるようにファラミアには感じられた。むしろ、気にかけられているのはファラミアの方だった。
「面白いのですか」
 見事としか表現の仕様がない造形に、つい夢中になっていたファラミアだったが、頷く事で応える。
 そのとき、胸にちくりとした痛みが走った。

125萌えの下なる名無しさん:2004/06/12(土) 20:18
<セオドレド×ファラミア/触れ合う程度> 2

















 体の内のものなのか、外のものなのか、いずれにも覚えがあるファラミアは、彼には珍しく混乱した。ファラミアには自由に己の体を触れさせながら、セオドレドは、ファラミアの胸に顔を寄せ、その皮膚のごく僅かな面積を、ひどく彼の唇に吸った。痛みは一つに止まらなかった。少しずつ場所を変えて繰り返し与えられる、体のどこであるともなく痺れさせるような疼痛の連続に、姿勢を保持するのが耐え難くなり、膝立ちで持ち上げられていた腰を、自分の足に落として正座する格好になった。それでも、まだファラミアが求める、落ち着くという事態が叶わないと知れると、意識せずとも両腕を自分の体の後方に引き、寝台について体を支える助けとした。
 腰を抱えるようにして持ち上げる力を感じた。と思うと、後ろから片足にだけ膝裏にセオドレドの腕が入り込んで、足をセオドレドの肩近くまで高くすくい上げられた。突然のことに新たに平衡を得る暇もなく体は、腕の支えでは足りず背から寝台に倒れ込んだ。何事を理解する間も与えられぬまま、片足を折り曲げて持ち上げられ寝台に仰向かされたファラミアの体を、セオドレドは自分の体の下に抱き込んでいた。
 腕に抱えられた片方の足をセオドレドの肩に乗せられて、普段にない自分の体の形が余りにも無防備過ぎはしないかと、ファラミアを落ち着かない気分にさせた。
「苦しくは、ありませんか」
 セオドレドが顔を覗き込んだので、目と目が合った。幸い、鍛錬の成果もあり体が硬い方では無かったので、取らされた姿勢によって体が辛いということはなかった。だが、苦しくなければそれで万事、事も無しとはいかない。
「奇妙な感じがします」
 ファラミアの答えに、問いかけた者は笑って見せただけだった。そうして、何の予告もなくファラミアに心づもりもさせず、ファラミアの一番敏感な部分に指を触れさせてきた。
 息を飲んだ弾みに、喉が高く鳴ったのが、自分の発した音ながら−−あるいは、そのためか、ひどく耳についた。おそらく、身体を合わせているセオドレドにも聞かれているだろう。だから、ファラミアは当然のこととして、謝罪の言葉を口にした。
 セオドレドが困惑するのだとしたら、ファラミアの反応というよりも、むしろそれに対してファラミア自身が見せる対応だと、ファラミアは思ってもいないのだろう。それが火を見るよりも明らかで、セオドレドはファラミアに再び笑ってみせるしかなかった。
「ご自分の、なされることについて、これ以上は何もおっしゃいませぬよう」
 生来のものなのか、彼の生き様がそうさせたのか、見る者を安心させずにはおかない表情を、セオドレドは持っていた。だから、ファラミアは安んじていさえすればそれで良いはずだった。なのに、少しだけ、忌々しさが残るのは何故なのだろう。
 返答として、言葉の代わりにファラミアは腕を持ち上げ、セオドレドの背に回した。
 体にかかってくる、決して楽ではないが無理のない重みも、自分の体を抱く腕の強さも、触れ合っているせいか汗ばんで感じる彼の体が持つ匂いも、ファラミアはすべて自分のものとして、内に取り込もうとしていた。加えて、自分の下腹に無駄としか思えない異物感を与えてくる、セオドレドが持つ欲の、あからさまな発露の一端も。それもまた、かれの紛れもない、しかもより深い部分にある一部にはちがいないばかりではなく、自分とて、器官としては同一のものを有するものだ。にも関わらず、それが持たされている意味は、それぞれで決して同じではないように思えて、仕方が無い。
 それを分けるものの正体を渇望する自分を、ファラミアは自覚していた。おそらく、セオドレドはファラミアがまだ知らぬ答えを、その内に持っているのだ。そうでなければ、セオドレドは、自分に何を教えるというのだろう。
 欲求が明らかになればファラミアは、迷わなかった。そうして、ファラミアの関心を体現したセオドレドのものに、手探りに手を伸ばして、触れた。熱いのは、自分の掌なのかそれとも彼なのか。少しも理由がないのに、めまいがしそうだった。自分が理解しきれないものの、正体が知りたかった。だから、手の中に収まらない彼のものである器官を、掌に転がして、何かを探るように、指をその余裕なく張った表面に隈無く這わせていった。
 自分の身の上に置かれた大きな体が、僅かの間だが落ち尽きを失って身じろいだ。
 その体の持ち主の指が、自分が触れたのと同じ部分を、全体としてきつく戒めるのを感じたのと、胸を中心に、先ほどまでとは比べ物にならないほどの、強い痺れが走っていったのは、ほぼ同時だった。

126萌えの下なる名無しさん:2004/06/12(土) 20:20
<セオドレド×ファラミア/触れ合う程度> 3 【とりあえずラスト】















「ぅあ…」
 意図しない自分の声に、保持しているつもりの平静さが揺らぐのを、いよいよ抑えきれなくなりそうだった。せめて、声は自分がそれを本意として表しているのではないのだと、伝えらたなら、多少なりとも楽になれるだろう。ただ、つい先ほど念を押してきたセオドレドの言葉の意味が理解出来ないファラミアではなく、ならば、いかに空しい努力を必要とされようが、自分の内で処理する他は無かった。だから、ファラミアはせめて口を引き結んだ。
 固い、おそらくは健康的な歯に、胸の申し訳程度の突起が挟み込まれていた。適度に手心は加えられているにしても、滅多にない場所を押しつぶされる感覚と、そこが歯に食い込まれる感覚の双方は、仮に、どちらか一方だけだったにせよ、それだけでおそらくはファラミアには過剰だっただろう。決して己が選べるものではないが、口を開くのを自ら、良しとしないファラミアは、そうするともなく喉だけで呻いた。歯が当たっていく場所を微妙に変えながら、それに噛み合わされていくのは、ただ刺激を受け続けるよりも、よほど堪え辛かった。緩むとつい体を弛緩させることが叶う瞬間を期待するのだが、分かっている事ながら、安堵の息をつく間も無く、新たに加えられる刺激によって、儚い望みとして期待は潰えるのだ。いっそ、与えられるのが純粋に痛みのみだった方が、自分にはましかも知れないと思うところに、なめらかで温度のある舌に、目で見たわけではないが、歯の痕を残しているに違いない部分の周囲から中心を、執拗に撫でられた。
 上下の唇を合わせておくことはもはや叶わず、何を求めてなのか断続的に漏れ出る自分の声は、聞こえないことにした。
 セオドレドのものに触れていた指には、いかに意識しようとも、もう力が入らなかった。持て余した挙げ句、寝台の上に落ちるに任せて投げ出した腕を、セオドレドの背に戻すことも出来なかった。
 急に、自分のものではない呼吸がかかる皮膚を、過剰に熱く感じた。だが、ある部分が他より多少余計に熱を持っていようがいまいが、もはやどうでも良い事だった。すべて解放されるか、すべてを熱に委ねるか。選択肢はどちらかしか無かったし、選択はすでになされていた。
 気怠さと高揚感という相反するものを同時に、自分の身の内に突きつけられてくるのが堪えがたく、ファラミアは身をよじった。が、せっかく変えようとした姿勢は、セオドレドの体重に空しく押し戻された。望むと望まないとにかかわらず、ファラミアの体は従順に、セオドレドの意に従う他、どのようにもやり様がないのだと、今更ながら思い知ることになった。
 それでも自分の、ファラミアにしてみれば無駄に鋭敏なものを包み込んだセオドレドの手は、やはり、温かかった。
 それだけで、体のどことはいわず、痺れていくようだった。セオドレドのその手に、やんわりとした動きを与えられると、いや増していくその、落ち着かないが不快ではない感覚に、頭の先から足のつま先までを、自分の意志に関係なく支配されていくような気がした。
 汗ばんだ手をファラミアは掴む物もなく、きつく握りしめた。そうしたものの、それが余りにも空疎で、固められたばかりの指は、すぐに自らの意志でほどかれた。
 顎の裏側の、やわらかな皮膚にセオドレドの唇が触れたのは分かったが、それは、自分の喉が反らされているからだと、気付くことはなかった。ある意味急所としか言えない箇所を、異国の王子の前に晒してファラミアは、何をすることもなかった。無防備な喉の、皮膚がセオドレドの唇に与えられるちくりとした痛み混じりの痺れと、ゆるやかな、それでいて身体のすべてを、あるいはそれ以上のものをさらって行きかねない感覚とに苛まれて、ファラミアに出来ることといえば、それを望まないまま、息を乱すことくらいだった。

127>124-126:2004/06/12(土) 20:26
だんだん、言い訳が出来ない感じに。
すみません。後1,2回で終わるのではと思われます。

128萌えの下なる名無しさん:2004/06/13(日) 09:22
>124-126女神様!
大将ぎこちなくかわいらしく萌え萌えで、こんな感想はさむのも
大変恐縮なのですが、流麗な文章をとーっても楽しみにして
おります。だから長くなった言い訳なんてなさらないで下さいですよー。

129萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 00:11
>128様
心優しいご感想くださってありがとうございます。
空気が読めない奴なせいか、つい優しいお言葉に甘えてしまいます。
文章は、ときどき意味が通らないのを平気で見過ごしてます。ごめんなさい。

ところで、すごくエロくさい大将が見たいんですけど、そういうネタどなたか
お持ちじゃないでしょうか。

以下、妄想垂れ流しなので、なま暖かくスルーでお願いできれば(汗)

第二次性徴を迎えて兄上に一から面倒を見られる大将とか。
某エロゲーのパクリでアレですが、自分の不注意で、大切な人が生死の境を彷徨う羽目に
陥ってしまったために自分自身を許せなくなり、その自分に罰を与えようと、
自分から誘って恋人でも何でもない関係の人に体を任せる大将とか。
フロドは、大将率いるレンジャー部隊に囚われた時、夜中に人に言えないものを
見てるんじゃないかとか。

…大将スレの品位を一人で貶めてる気がしてきました。失礼しました。

130萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 09:01
>129様
品位も何も、しょせん我らは同じ闇の世界の、更に隠れ里の住人でございますよw
私も、イシリアンの森の中やヘンネス・アンヌーン周辺では何が起きているか
わかりゃしない、などと思いつつも、自分では書けませぬ・・・
と言うより、自分の文章では萌えられません。でも、人様がご提供下さるおさかな
なら、おいしく頂けます。
ので、まずはセオ/ファラの続きをよろしく(て、結局催促してますw)。

131萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 15:10
セオドレド×ファラミア、こっそり続きます。ペース落ちてます。2分割くらいで。

>130様
心強いお言葉ありがとうございます。
そして、ご催促頂けてるうちが花です。たぶん。

>自分の文章では萌えられません。
今までは無かった、つまらない妄想が止まらないのはそのせいかと!
自分がだらだらしてるせいで、おさかなのお裾分けをいただき損ねてるかも
知れないとか思うと、いてもたってもいられず。

<セオドレド×ファラミア/しるけうっすら/ファラミア馬鹿、再び> >126の続き 1













 時折、強張りを見せるファラミアの体は、その中心も例外ではなく、そこへと触れたセオドレドの指に確かな感触で押し戻す力を加えていた。
 セオドレドにはそれが、ひどく愛おしかった。
 愛しいものの体に回した腕を伸ばし、それが得も言われぬ心地良い手触りを持つ事を、己の皮膚で知ったその髪に指を触れさせた。そうすると、浅い息を繰り返しながらも、首がほんの僅か左右される。そこに、何を映そうというのだろう、ファラミアの目が、自分の顔を見上げてくる。それまでになく心細く見える年若い彼の、頭を自分の肩口に抱き寄せ、自分の耳の近くにその吐息を聞いた。浅く、止まらない溜息に似た色を帯びて繰り返される呼吸は、その持ち主が意図しようがすまいが、セオドレドの体の芯を、深く、否応なくくすぐってくる。自分ではない何かの力に動かされでもしたかのように、セオドレドが自分の内にある欲の、普段は眠っているその源を、自分の指に包んでいるファラミアのその部分に押しつけてやると、無意識だろう、抱えた足の内側に入る不自然な力が入るのと、肌にかかる息が、吐き捨てるような荒さを含むのが分かった。
 愛しいものを巻き込んだ指をきつく締めると、体の下でファラミアがそれと分かる音をたてて、息を飲んだ。
 それでも、口は開かれなかった。
 つい今しがた自分が告げたことを、この状況にあっても律儀に覚えているのだろう。それがまたいじらしくも愛おしさを掻き立ててくる。今、この時にあっても、ファラミア自身、そして自分自身さえをも含めた誰をはばかることなく、思う様この体を抱き締められたらどんなに良いかという衝動にかられる。
 こんなにも自分を捉えずにはいない生き物が存在するなどとは、あの、初めてゴンドールを訪れ、執政家の面々に面会した幼い日を迎えるまでは、考えてもみなかった。あるいは、子供の自分が見た夢であったやも知れぬと。自分自身が年月を経てあの時と同じ自分ではなくなろうとも、思いが募りこそすれ消えることは無かったし、今、自分が目に見、肌を触れているのは、疑うべくもない現実そのものだろう。
 歳月は人を変える。−−時に、己の想像の無力さを感じざるを得ないほどに、素晴らしく。
 かつて、自分はかれを宝物だと思った。今、かれを形容するための言葉は、持てそうにもなかった。敢えて名付けようにもそれは、愛だの恋だのでは決してなかった。支配を望むわけでもなかった。唯一確かなのは、どのような意味においても、かれに望まれたいと欲している自分だけだった。
 つまらない連想で、ふと、頭の隅をかれの兄の姿が掠めた。
 年齢のせいばかりではなく、ファラミアよりは遙かに自分と近しい関係にあるボロミアは、愚かにも、近くに在りすぎてそれが、いかなる価値を持つのか本当には理解していなかった。あるいは、傲慢にも。−−傲慢。そうかも知れない。そこに在るのがボロミアにとっては、当然過ぎるほど当然なのだろうゆえに。
 血のつながりの名の下に、いや、それさえ言い訳にしか過ぎないのだとでも言いたげに見えるほど、求め、求められるのが呼吸する事よりも、まるで当然であるかのように振る舞うのを、自分は目の当たりにさせられた。ボロミアだけではない。成人した後にセオドレドが初めて、二人揃って見た兄弟は、だ。
 それはそれで構わなかった。ボロミアと、自分とはまるで違う場所に立っているのだから。どちらがより幸福だろうかなどと比べる必要すらなかった。それぞれが思いたいように思い込んでいればそれで良い。それで全てだ。
 いくら触れても足りない唇に、唇を深く重ねて、呼吸のために乾いたファラミアの口腔に、濡れた舌を入れてやり、潤いを求めるファラミアの舌が、おぼつかない様子ではあるが、十分に湿っている舌に絡み、粘りを帯びた水分を自分の舌に舐め取っていくのに、舌を合わせた。そうしながらも、ファラミアの様子を見ながら、狭くした指でかれの先の終わりまでを、上下させていく。ファラミアは気付いていないのだろうが、寝台に伸びていたはずの足が、いつの間にか膝を曲げて立てられて、強ばったまま時折震えていた。呼吸のために大きく膨まされる胸も、どこか苦しげに見えたが、僅かたりとも、手を緩める気はなかった。

132萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 15:13
<セオドレド×ファラミア/文字通りしるけあり> 2















 汗が、形の良い額に張り付かせた、乱れてなお彼の顔立ちを映えさせる色の薄い髪を、頭に回した手の指で退けてやりながら、引き込まれるようにファラミアの表情を見つめた。そして、セオドレドは、自分の知る限り誰の物でもない頬に、自分の頬を重ねた。汗を滲ませてはいるものの、繊細な、セオドレドから見てもまだ若い体が持つ皮膚は、まるで吸い付くようで、願望が勝るがゆえの思いこみに過ぎないにしても、それが自分を受けいれようとしているかに思えて仕方がなかった。
 なぜだか、ファラミアが、不意に表情を緩めたのが見えた気がした。落ち着く筈のない呼吸は相変わらずだったが、ファラミアは、寝台に預けていた腕をゆるゆると持ち上げて、セオドレドの髪に指を差し入れて、絡ませた。
 セオドレド自身さえ思わないことに、身に鳥肌が立った。
 ファラミアの中心にあるものをゆるく上下していたセオドレドの指が、ファラミアにしてみれば、無理な力でそれを締め上げた。
 突然の事に、ファラミアは高く声が上がるのを、とどめることが出来なかった。
 咄嗟に、年長の彼の名を呼ぼうとしたが、加えられた行為に意味を持った言葉は奪われた。絞られた指が、激しいまでの性急さで、ファラミアの体を誘おうとしていた。体にきついはずなのに、セオドレドの望むままに反応を返している自分のままならない部分を、ファラミアは心の内で呪おうとした。が、それも長くは続かなかった。逆うのを望んだところで逆らいきれない、身体の内から出口を要求してくる苛烈な感覚だけを、ファラミアはいつしか追っていた。片方の足を不自然な形に縛められ、出会って間もない見知らぬ異国の人間の体に体を拘束され、自ら選ぶこと無しに、まるでセオドレドの意志の他には何も自分を動かし得ないのだとでも言いたげに、体は無邪気なほどに追い立てられていく。セオドレドの強い腕がファラミアの肩の片側を、痛みさえをも覚えるほどの力で、寝台に押さえつけていた。ファラミアは、火がついたように叫んだ。身も世もなく体の自由を求めた。そのファラミアを待っていたのは、セオドレドの手の内に、無駄に体液を放出する瞬間だったけれども。
「…っん」
 背と腰が、セオドレドの体に阻まれずに済む程度まで跳ねた。後は、正体なく弛緩するだけだった。息を継ぐことのみで精一杯である中で、ファラミアはセオドレドの顔に、目を向けずにはいられなかった。ファラミアの体から溢れた、放置すれば決して清潔とはほど遠くなる液体を受けて、ファラミアが見たセオドレドもまた、乱れた自分の呼吸に対峙していた。茫然自失に見えるのは、自分の目がくるっているからだろうかと、ファラミアは、普段通りにはきかない頭の片隅にぼんやりと考えた。
 セオドレドは、初めに放った布切れを手探りに見つけて手を拭い、肩に抱え上げていたファラミアの足を寝台に横たえさせて、ファラミアの身のあり方をファラミアの意志に委ねた。

133萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 15:20
<セオドレド×ファラミア/しるけあるかも程度> 3 短いです。【とりあえずラスト】














「ご気分はいかがです」
 問いかけに、ファラミアは首を横に振り、セオドレドに自ら体を添わせた。
「…わたしには、申し上げられません。セオドレド殿を疑ってのことではなく、わたし自身の問題ではありますが、おそらく、何か言えばそれと意図せずとも嘘になりかねません。わたしは、それを望みませんので。…今は、確かに物が言えそうにも、ないのです」
 語尾が弱くなるのを、自覚したがどうにもならなかった。自分自身にとってさえ曖昧模糊なものとしてしか把握できない己の姿など、本当は誰の目にも晒したくはなかった。だから、自分の頭を、自分の片腕に顔を縦断させて抱えた。ただ、見る者が違えば、たとえ両者が同一のものを目にしているとしても、そこから得られる認識は異なるのだという、考えずともごく当たり前でしかない事実が、すっかり失念されていたので、セオドレドが一体、今のファラミアに何を見ているのかなどということは、ファラミアの思い至るところではなかった。
 背中側から伸ばされてきた腕が、両の腋を通り肩を拘束したと思うと、体を引きずられた。
 引きずった張本人は、大人二人が三人でも楽に寝られそうなほどたっぷりとしていて、かつ、見るからに柔らかそうな枕に背を預け、見ようによってはだらしなく体を伸ばして、その上にファラミアの体を仰向かせて引き上げた。無駄を蓄える気配はかけらもないファラミアの腹筋の上で、ファラミアの背後から体に回された腕が、取るに足りない程度の拘束力を発現させて、交差させられていた。セオドレドの両足の間から胸にかけて背を伸ばすと、ちょうどファラミアの頭がセオドレドの肩先に触れた。
 セオドレドは、ファラミアが落ち着きを回復するのを待っていたのかも知れない。息がようやく整った頃に首を少しだけ傾けて、間近にあるセオドレドの顔を見上げると、ファラミアも決して嫌うことができない、件の笑顔が目に入った。そして、セオドレドの肩が、ファラミアの頭を押しやって顔の傾きの角度を変えさせたと思うと、瞬きをしている間に、口づけられた。隙間もなく深く触れ合わされる唇の内側には、いずれの者にとっても既に、それがどちらのものであるかの区別など無いに等しかった。口中を繰り返して吸われると、自分の精が解放されたときのように頭の芯が働かなくなりそうで、何の解決にもならないと知りつつも、目を閉じた。
 一つの感覚が塞がれると、他に向けられる神経は意識せずとも敏感さを増すのだろう。セオドレドの体が与えてくる温度と、セオドレドのにおいが、皮膚に染みるようで心地良かった。自分のものではない滑らかな舌も、唇も、その味も。
 片方の足の、内側をセオドレドの手が筋肉の動きに沿って、撫でていた。その手に身を委ねて視界を得ぬまま、身を包み込むような温かさの内にたゆたうのは、ファラミアにしてみても決して悪いものではなかった。

【続きます】

中途半端な量が、はみ出すなんて…。ごめんなさい。
いつ終わりそうとか嘘になるので、もう言いません。
女神さまのご光臨、みなさまのご歓談お願いします。

134萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 20:51
はい!はい!ここにもこっそりエロを待ちわびている者がおります!
女神様、私の分までこれからもどんどんファラミア様を気持ち良くしてしまってくださいますよう!

ローハンガール、かわゆかったです。
贅沢を申し上げるならセオ/ファラに至る過程もリクエストしたく。

135萌えの下なる名無しさん:2004/06/14(月) 22:19
エロと素敵な連ドラを待たれているところすみません。
おつまみ置き逃げします。しるけ系のお話ではないです。
これを含め5レス分です。

前半(0/3)は現時点での「劇場版オンリー」のやさぐれ気味の大将視点、
後半(1〜3/3)はそれを踏まえた旅の仲間な複数とどたばたです。

受け取り方は人それぞれだとは思うのですが
・執政を継いでいるかどうかあれじゃわからないよー
・戴冠式もなんだかお客さんっぽいんだけど…
・式典中エオウィンとは隣にいたから笑いあっただけ?
・王の手エピソード無し(今のところ)→王様ともたいした接点無いんじゃ?
という、劇場版のみで最大限寂しい解釈から自己フォローしました。

ちょっと前の映画板本スレで、エオウィンとのことでいろいろ
書かれてたのを見て、ついつい書いたは書いたのですが、
最後まで書いてたら今になってしまいまして。

これで「ちっがーう!」と怒らない方だけ…
テーマ?は家出する大将、時はエレスサール戴冠式の日です。

それでは次から4レス、You must come with me.Now.

136135〜:2004/06/14(月) 22:21
<ネタバレ無し劇場版のみ大将・0/3>















空が青い。こうやって、思い切り天を仰いだのは久しぶりな気がする。

父が、いない。兄も、いない。自分を縛るものは、もう何もない。

青い、どこまでも青い空の下での戴冠式の中、私の胸には涼しい風が吹いていた。
還ってきた王という人物は、自分はほとんど知らない人物であったけれども、
来るべき時代を象徴するような、深くゆるぎない何かをたたえた人物であることはわかった。
戴冠式には、来賓にまぎれてこっそり出席してみた。出席してよかったと思う。
自分も含んだ古い時代が終わったことが実感できた。
もう自分は大将ではないだろうし、何くれとなく支えてくれた副官も、
死地に赴く自分に着いて来てくれた部下達も、既に誰もいない。
もう自分には、何も誰も残ってはいないのだ。

…自分だけ何故助けられたのか、自分が助かったところでどうなるというのか、
その煩悶もまだ少し残ってはいたけれど、それはもう真綿で首をしめられるような
息苦しさをもたらしはしなかった。どのみちこの思いは、おそらく今後一生連れて
歩くしかないのだ。さしあたって肝心なのは、自分は助けられて今生きているという事実。

式典はまだ続いていたが、王が通り過ぎた後にこっそり抜け出してしまった。
勝手知ったる城内にするりと紛れ込んで、さてこれからどうしようか。
このまま自分がミナス・ティリスに留まることは、新しいゴンドールにとって
いいこととは思えなかった。人々は自分の後ろに父の姿を思い出すだろうし、
兄の影を見て嘆くだろう。旧体制の面影は、新しい時代には鬱陶しい枷にしかなりえない。

…いや、それは単なる言い訳かもしれない。
人々が思い出すのは良かれ悪しかれ兄や父であって、目の前にいる「ファラミア」は
それを映す鏡に過ぎない、「ファラミア」を見ている人など、これまでもこれからも
いないのだという現実を思い知らされることに、耐えられないだけなのかもしれない…

…どこか、遠く離れた街でひっそり暮らそうか。
いや、傷もだいたい癒えたことだし、いっそ旅に出てみるのはどうだろう。
そうだ、もっとこの世界を見てまわりたい。
焦燥に駆り立てられることなく、寂寥にとりつかれることもなく、
まっさらな気持ちで見てまわりたい。
山も河も森も、きっと今までとは違う姿で目に映るだろう。
イシリアンを越えて、ローハンも越えて、どこまでも行ってみよう。
…そういえばさっき隣にいたひとは、ローハンの姫君らしい。綺麗なひとだったな。

そんなことを考えて、考えた自分に気づいて、心の中でちょっと笑った。
なんだろう、こんなこと考えられたのは、そんな余裕ができたのは、いつ以来だろう。
そうだ、旅に出よう。ここ数年のレンジャー暮らしで野宿は慣れてしまったし、
無茶をしなければ自分の身ぐらい自分で守れるだろう。

そこまで考えて、ひとつ、思い切り伸びをしてみる。
さて、善は急げ、準備をしなくては。
心には、涼しい風がまだ吹いているのがわかる。
振り返って窓越しに見た空は、まだどこまでも泣きたくなるほど青かったけど、
目に浮かんだ涙はこぼれなかったし、哀しいけれど悲しくはなかった。

137135〜:2004/06/14(月) 22:22
<大将と旅の仲間複数・1/3>















「さてアラゴルン、いやエレスサールよ、今後のことなのだが」
式典を無事に終えて、来賓達も思い思いに歓談しつつ大広間まで戻ってきた頃。
還ってきた王にガンダルフが話しかけてきた。
「そなたを補佐する執政のことで、話がある」
エレスサール王は心得ているように頷いて応えた。
「もちろんファラミア殿に執政を継いで働いてもらいたい。私には彼の助けが必要だ」
自分達が黒の門に出撃している間、独裁者を失って揺れるゴンドールを執政家の生き残りとして
しっかり統率し、これまで彼の父だけが携わっていた政治的諸事万端をきちんとまとめて
まるまる引き渡してくれたファラミアを、交わした言葉は少なくとも既に王は信頼していた。
それを見て、白い魔法使いも安心したように頷いた。
「新しい時代に、まことふさわしい新しい執政といえる」
しかし、王は何かに気づいたようにふとあたりを見回した。
「そういえばその彼はどこに…?式典中は見かけた気がするのですが…」
白い魔法使いは、そういえばその当人をしばらくほったらかしにしていたことに気づいた。
「はっ、うっかりしておった!…そもそも今日、式にいたのか?」

ガンダルフと今日の主役のエレスサールまで自分を探し回っているとはつゆ知らず、
元々少ない私物をさっさとまとめて馴染んだレンジャーの装束に身を包んだファラミアは、
すでに馬上の人になってミナス・ティリスの回廊を進んでいた。
しばらく進むと、背後から声がした。
「ファラミア!」
最近彼と知り合いになった小さい人が、彼に向かってまっすぐに駆けてくる。
ファラミア自身はほぼ意識がなかったために実感はないのだが、その小さき人が
自分の命の恩人であることは伝え聞いていたし、深く感謝もしていた。
「ペレグリン・トゥック、どうなされた。式典は?」
馬ごと振り向きつつ、少し距離をおいてその相手に向き合う。
「アナタがいなかったから、探してたんです。これからどうするのかなあって…
でも…どこかへ、行ってしまうの?」
その答えと問いに、ファラミアは視線を落としてわずかに微笑んだ。
この小さき人は自分を探してくれたのだろうか、自分を見てくれていたのだろうか、
そんな思いが彼の脳裏をよぎる。しかし、気持ちは全く揺らがなかった。
そしてピピンも、その微笑から既に答えを読み取っていた。
「…お元気で…そうだ、ホビット庄にも遊びに来て!美味しいものやビールやパイプ草、
たくさん用意して待ってるから!」
それを聞いたファラミアは、ふわりと微笑んだ。
それは以前の彼からはとても想像がつかない、晴れ晴れとした優しい微笑みだった。
「…ありがとう…いろいろ、本当に。…では、ペレグリン、お元気で!」
そう言うと彼はまた馬を返し、背中越しに軽く片手を振ってピピンに最後の別れを告げると、
軽い速足で馬を走らせはじめた。もう振り向くことも思い残すこともない…
そんなファラミアの後姿を、泣きそうに微笑んでピピンは見送った。

138135〜:2004/06/14(月) 22:23
<大将と旅の仲間複数・2/3>















ピピンがこっそり広間に戻った時、こっそりだったのだがあっさりギムリに捕まった。
「どこへ行っておった?まったく、すーぐ何かしでかすからな」
「友達のお見送り…何かあった?」
その問いには、いつの間にか隣に来たレゴラスが答えてくれた。
「うん、ファラミアって人を探してるんだって。これからのことで」
答えながらレゴラスは、目の前のホビットの目が泳いだのを見逃さなかった。
「?…何か、知ってるんだね?ピピン、話して。…ガンダルフ!」
逃げかけたホビットの首根っこは、エルフの王子とあうんの呼吸を持つドワーフに
よってしっかりと捕まえられていた。

「ばっかもん!なんで止めなかった!というか、ヤツもヤツだ!どうして毎度そういう
自虐的で悲観的な発想になるんだか!デネソールも息子の一人二人ちゃんとしつけとけ!」
お互い見ず知らずなエレスサール達とファラミアの間をちゃんと取り持ってやるのを
忘れていたこと、そもそもファラミア本人のことをすっかり忘れていたことを棚に上げて
怒鳴り散らしつつ、ガンダルフは中庭へ出た。戴冠式の準備等忙しかったのもあるのだが、
それを彼に手伝わせるということを考えていなかった自分にも腹が立っているらしかった。
「執政」として、どこかに役目を作ってやっておけばよかった…今更後悔する。
「ガンダルフ、あれ!」
いつの間にかガンダルフを追い抜いていたレゴラスが、彼ならではの身軽さで
目もくらむような高さの中庭の縁の上に立って身を乗り出し、彼方を指差している。
そこには、まだ戦闘の爪跡が残るペレンノールを駆けていく一騎のレンジャーの姿が
かろうじて見て取れた。

「彼は、笑ってるんじゃないかな…」
エルフの目で見たのか、レゴラスがつぶやいた。他の者にはもちろん目では全く
見えなかったのだが、ピピンだけは同意の言葉を告げた。
「うん、僕もそう思うよ…そんな気がする」
このまま行かせてあげて欲しい、その思いを瞳にこめて傍らの魔法使いを見上げた
ピピンだったが、魔法使いはその思いを察しはしてもあっさり一蹴した。
「ダメだ。今から追いかけるぞ。彼にはまだ教えなければならんことがある…
誰の代わりでもなく彼が彼自身として必要とされていることと、愛されているということを」
瞬間曇ったピピンの表情が、ぱっと明るくなって思い切り頷いた。

139135〜:2004/06/14(月) 22:24
<大将と旅の仲間複数・3/3>















飛蔭に乗った白い魔法使いにあっさり追いつかれ、しかも戻る道中に杖で小突かれながら
くどくどとその性根について説教されたファラミアが、大変気まずい顔で
ミナス・ティリスに戻って来たのはそれから少し後のことだった。
中庭までガンダルフに引きずられるように連れて来られると、その場にいた数名の中から
2人のホビット〜1人はファラミアが知っている、先ほど別れの挨拶を交わしたはずの
人物だった〜が飛び出してきて笑いながら彼の両腕にぶら下がって来た。
何がなんだか状況が全くわからなく、ぼんやりとした表情でその重みに耐えている
ファラミアに、還ってきた王がにやにやと笑いながら告げた。
「お帰り。短い間だったけど、家出は楽しかったか?我が執政殿」
呆然と目を瞬かせていたファラミアは、その言葉を聞いてはっとしたように何かを
言おうとしたが、彼が発しようとした言葉は他の数名の騒ぎに飲み込まれてしまった。
「面白い人だね。もっと真面目な人なのかと」
「ふん、まだまだ若いのう。拗ねとるだけだろ?」
「前にも思ったんですけど、結構びっくりすることしますよねキャプテンファラミア」
「サム!…僕、目が覚めてから貴方とちゃんとお話してませんでした。あの後のこととか、
貴方に何があったのかとか、いろいろお話したいです」
口々に話しかけられ、ファラミアはますます混乱した。自分に何が起こっているんだろう、
この人達は誰に何を言っているんだ?自分に語りかけているのか?私に?何故?
その混乱ぶりを微笑ましく、そして少し痛ましく見てから、王は再び彼に呼びかけた。
「ファラミア」
すがるように自分に向けられた揺れる薄青い瞳を、包み込むような気持ちで正面から
見返しながら、王は言葉を続けた。
「ここが、このミナス・ティリスとゴンドールの国が、君の家だろう?
いや、これまでに何があっても、どういう思いがあろうとも、ここは紛れもなく
君が君として守ってきた家で、故郷で、これからも守っていく場所なんだ。
他の誰の代わりでもない、ファラミア自身として…ね。みんなそう思っているんだよ。
君にここにいて欲しいんだよ…これからも頼む、執政殿」
ファラミアは何も言葉を返さなかったが、その潤んだ瞳は彼がその言葉と思いを
まっすぐに受け止めたことを雄弁に語っていた。

それからファラミアは不意にしゃがみこんだ。横のホビット二人を抱え込むように
手を回し、一瞬うつむいてから顔を上げて、目の前にいる一人一人を見渡して言った。
「私は、まだみなさんのことをよく知らない。だからその…知りたいと思うんだが」
その様子を見て、彼は今やっと本当に救われたのではないだろうか、とガンダルフは
思いながら、杖を振り回してその間に明るく割り込んだ。
「あーほらほらみんな中に入らんか。時間はたっぷりある、茶でも飲みながら
ゆっくりおしゃべりしようじゃないか…全く世話の焼けるやつばっかりじゃな」
一同は笑いさざめきながら、青い空の下にそびえる明るい白い塔の中へと入っていった。

その日、ゴンドールで27代目の執政が任命された。王が還り来た日の出来事だった。




おしまい。

140萌えの下なる名無しさん:2004/06/15(火) 01:03
>135-139様

>来賓にまぎれてこっそり出席
って、大将・・・w
でも、なんだかすごく切なくて、3/3まで読んだら、じんとして涙まで出てきて
しまいました。本当にねえ、大将、特に映画版大将には、いろんな意味で幸せに
なってほしいですよ。
そう言えば「王の手」のシーンて、画像としてはかなり前から出回っていて、
子供向けのフォトノベライズにまで載っているくらいだから、当然SEEに入れて
くれるものと信じています。





SEEでは、戴冠式とイシリアン大公御夫妻の結婚式を一緒に執り行なっちゃう、
大盤振舞いなんだか経費削減なんだか判らない王様が見られるという噂を
聞いたことがありますが・・・本当なんでしょうか?

141萌えの下なる名無しさん:2004/06/15(火) 01:17
通りすがりに失礼いたします(作品読んでないのにすみません)。

お話の前の<1/3>というのは、3分割分のうちの1つ目、つまり
「これから3レス分使用して投稿するから、雑談等の方はお気をつけ下さい」
という注意であるので、今回の>134-139様のような場合は
<*/4>とするべきではないでしょうか。
それほどレスが活発でないので、そんなに気にすることもないのでしょうが……

こちらのスレは女神様が絶えずご降臨で羨ましく思っているのですが、
長編投稿の際の分割数がなかったり(目安としてでも入れるべきでは?)
他スレ住人ながらちょっとハラハラしていたもので、
差し出がましいとは思いましたが、長文で苦言呈させていただきました。

142萌えの下なる名無しさん:2004/06/15(火) 02:22
(;´Д`)やれやれ

143萌えの下なる名無しさん:2004/06/15(火) 21:12
>>141>>142
申し訳ありません、どうか謝らせて下さい。
長文を分割数無しに投稿した者です。
141様のおっしゃる事、その通りだと思います。
投稿の際には目安を入れるべきですし、私のした事はマナー違反だと思います。
本来なら全て書き上げてからアップロードすべきでした。しかも分かっていて
したのですから確信犯です。本当に申し訳ありません。
また、皆様大人ですからおっしゃいませんでしたが、スレ寡占状態を見苦しく
お思いの方もいらっしゃったと思います。あえて苦言を呈してくださった
141様に感謝します。
スレの住人様方、女神様方、どうぞお気を損じて下さいませんよう。
心優しい皆様、どうかお聞きくださるよう。
土下座して済む物ならします。見えないと思いますけど土下座してます。
畳の上ですから痛くありませんけどごめんなさい。

個人的には最近他スレが活発化してきてとても嬉しいです。節操無しですので
レゴギムも大好物ですしメリピピスレのSSには涙ぐみました。アラボロスレの流れに
噴き、烽火リレーには前板より心躍らせていました。今はサムフロスレに
女神様が御降臨してくださるのをお待ちしています。
本当に申し訳ありませんでした。
そしてこれからも子馬亭に女神様がたくさん来てくださるのを楽しみにお待ち申し上げております。

144萌えの下なる名無しさん:2004/06/16(水) 00:53
>135-139女神様

泣きました、泣きましたとも、笑いながら泣かせていただきました。
大将〜・゚・(つД')・゚・  幸せになって下さいまし〜
しかし、
>そういえばさっき隣にいたひとは、ローハンの姫君らしい。綺麗なひとだったな。
って見るべきところはしっかり見てるんですね、大将w

145萌えの下なる名無しさん:2004/06/16(水) 09:56
>135-139様

大将は自分を、「ゴンドールのキャプテンファラミア」ではなく、
ただのファラミアとして受けいれることが出来たのだろうなと。
本当は親兄弟が生きてるときからただのファラミアとして
愛されてたはずで、だからこそ、旅の仲間のあの言葉なのでしょう。
自分については無頓着な大将、かわいかったです。

146SS投下 1/6:2004/06/16(水) 10:08
万年カレンダー、昨日はヘンネス・アンヌーンでぐれていた頃の大将、
本日は父君なんですね。という訳でーーー

<ネタバレ@ ファラミア/父君 ファラミア/兄君 しるけなし>

・第三紀3003年くらい。兄25歳、弟20歳の設定。
・/で区切ってあるのは、単にファラミア視点という意味。

多分6レス使う筈ですが、いつまで経ってもしるけもエロも色気も出てこない
話で、特に前半は、父と子がただただ陰険に会話しているだけという萌え所の
なさ・・・
それでも良いという方はおつきあい下さい。



ボロミアが、アンドゥイン河口を騒がせていた海賊を掃討してミナス・ティリスに還って来たのは、春たけなわの頃であった。
高齢の父に代わり、二十五歳にして、既に白の塔の総大将との名を冠されていた彼の戦果は、往年の英雄、ウンバールの海賊たちを一網打尽にした後、忽然と姿を消した、かのソロンギルにこそ及ばぬながら、その年齢を鑑みれば称賛に値するものであり、父執政は、
メレズロンドに於て大々的な祝勝会を設けたのであった。
その後、ボロミアは、白の塔の下層で、気心の知れた部下たち、そして都に残っていた弟のファラミアと共に内々の祝宴を開き、エールの樽をあけ、呑み語らった。
その時、ボロミアは弟に向かい、おまえも二十歳になったことだし、共に轡を並べ、ゴンドールとその都の為に戦おう、と言った。
「我らが共に行けるよう、私から父君にお願いしてみよう」
と言う兄の言葉を、ファラミアは誇らしく聞いていた。

ファラミアが執政デネソールの呼び出しを受けたのは、翌日の午後のことだった。
彼の父親でもある執政は、大広間の執政の椅子に座し、彼を待っていた。
「我が子ファラミアよ。そなたもそろそろ、実戦の場で部隊を率いることを学ぶべき時期が来た。執政の子、ゴンドールの大将と称されるにふさわしい働きを示すべき時がな」
低いがよく通る声で執政は言った。
勿論ファラミアも、初陣はとうに済ませ、戦術や用兵についても体系的に学んではいた。
「今朝、そなたの兄が予の許に参り、次に出陣する際には是非そなたを伴いたいと、願い出て行った」
では、ボロミアは約束を守ってくれたのだと思い、再び誇らしい気持ちと、そして兄への感謝と愛情が、ファラミアの胸に湧き起こった。
しかし、執政は
「予は彼に即答はしなかった。これはそなたの身に関わることゆえ、そなたに先に伝えるのが道理であるからだ」
と前置きした後、冷然と言い放った。
「残念ながら、その願い出は却下する」
ファラミアの心も一気に冷えた。
とは言え、これは、幼い頃より憶えのある経験に過ぎない。希望を抱かされ、それが一転して失望に転じるなど、特に父の前では、何度も繰り返されたことであった。
「そなたらは幼き頃より、共に同じ戦場に手を携えて行こうと口約束をしておったそうだが、ゴンドールの執政は、子供の戯言などに取り合ってはおれぬ」
父の言葉の陰に、かすかな嫉妬めいたものが見える。と、ファラミアが感じたその時、父は、その心を見抜くかのようにこう言った。
「その理由は、第一に、執政の息子を二人ながら同じ場所で失う危険は冒せぬからであり、第二に、それと関連するが、戦力を分散させるに当たっては、それぞれ信頼するに足る指揮系統を築くことが必要とされるからだ。以上により、予はそなたにイシリアンの野伏の統轄を命ずる」
失望は既に落胆に転じていたが、ファラミアは、なんとかそれを表情に出すまいとだけはした。
「イシリアンの守りは殊の外肝要であるが、そなたはそこで、そなたの兄とは異なる戦いをなさねばならぬ。山や森の中で、忍び寄る敵の影を少しずつ、だが確実に切り崩すに当たっては、戦略も用兵も、これまで机上で学んだ理論はさして役に立たず、むしろ実戦で得ることの方がはるかに多くなるであろう。そなたには老練の野伏共をつけてやる。彼らから多くを学ぶがよい。またそれは、そなたにはそういう場の方が適していると見込んでのことだ」
そう述べてから、執政はふと語調を変え、
「家臣たちやボロミアは、またさぞ、そなたを不憫がることであろうな」
と言った。

147Sons(タイトルです)2/6:2004/06/16(水) 10:13
一応下げます。














背筋に冷たいものが走るのを、ファラミアは感じた。父の命令にすぐにも諾と答え、この場を立ち去りたいほどだった。
「他人に不憫な者と思わせておくのも才能の一つとして利用できるようになるなら、予もそなたをそう呼んでやってもかまわぬが、して、そなた自身は己を不憫と思うか」
「思いませぬ」
かすれた声で、ファラミアは答えた。父は頷き、
「賢明だ。予もそなたを不憫だなどとは全く思っておらぬ」
と言った。
「分け隔てなく育てたなどと言うつもりは毛頭ない。実際、予はそなたら兄弟を分け隔てしてきたが、それは、ボロミアが世継ぎの長子で、そなたがそうではないからであり、他意あってのことではない」
本当に他意はないかと問う意思は、ファラミアにはなかったが、それにしても父は何を言いたいのであろうかという疑問は、彼の気持ちを落ち着かなくさせた。
彼の父は、表向きの言葉の裏に、常に別の意味を持たせつつ話をする人間だった。そして、そのことを読み取れぬ相手を軽蔑し、反面、それを見透かす者を嫌悪する類いの人物でもあった。
「そなたの立場が、予にも身に覚えのある位置であればなおさらだ」
と、父は意外なことを言った。
「ボロミアがゴンドールの希望の光であるなら、そなたは彼の影に位置することを運命づけられた者だ。予が、かつてこの都で星の鷲と呼ばれた者の影と見なされたように」
「ソロンギル」
ファラミアはその名を口にした。それが、父にとっては禁句に等しいものと承知の上だったが、しかし、それを耳にしても、デネソールが顔色を変えることはなかった。
「彼は大将の器を持ち、多くの者は、その上に王者の風格をさえ見出していた。ほどなくして、ソロンギルは賢明にも都を去って行ったが、彼奴がいる間、予は執政職の何たるかに深く思いを致すところとなった」
父がいかなる意図を以てその話をしているかは、依然として判らない。
「しかるに、現在ソロンギルの位置にいるのはボロミアであり、そなたの立っている場所は、かつて予のいた場所である。それは予が意図したことではなく、そなたらの資質によるものだ。かつ、執政の長子はそなたではなくボロミアであり、わが家系に於て長子相続の原則が崩されることもまたない。そして、これをこそ不憫と言うのだ」
と、父はまたもその言葉を用いた。
「かつて、彼が予に、執政が王になれる機会はないのかと問うたことがあったが、おのが立場と職務を受容すればよいそなたより、優れた王者の資質を持ちながら執政の跡取りたることを義務づけられたボロミアの方こそが、予は不憫でならぬ」

148Sons 3/6:2004/06/16(水) 10:18
続きます。ちょっと短いけれど、区切りの都合です。














一瞬の綻びに、ふと肩の力が抜けた。
これまで、言葉を換え、表現を弄して父が述べてきたことは、つまるところ、そこに帰結するものだったのかと思えた。
しかし、その時ファラミアの胸に去来したものは、決して怒りでも軽侮でもなく、むしろ父への同情だった。そして、そのような感情を抱いてしまったことを、父に気どられてはならぬとも判っていた。
加えて奇妙なことに、父の言葉からは、彼が既に「王還ります時」の予兆を得ているようにさえ感じられたが、それについても今は触れまいと思い、ファラミアは更に表情を引き締め、心を堅固に閉ざして、ただ、
「先ほどのご命令は確かに承りました」
とのみ言った。
「よろしい」
と、執政は言った。
「そなたは、そなたの意志により、その資質にそった方法で兄の佑けとなる道を選択した。しかし、敢えて問うが、兄の影となることに不満はないのだな」
「ありません」
と、ファラミアは答えた。不満と言えば、当分兄から離れなくてはならないことだけだったが、それを父に伝える必要もない。
「白の塔の総大将はボロミア一人であり、兄上の佑けとなれることは、私の誇りでもあります」
そして言った。
「しかしながら、父君、それは義務感によるものではなく、愛情に基くものです」
「愛だと?」
父の薄い唇が引き歪んだ。
「予の前で、軽々しくそのような言葉を口にするでない。また、そなたの申すそれは、いかなる類いの愛か」
再び、背筋に緊張が走る。
「兄弟としての愛です、もちろん」
鋭い灰色の目が、刺し貫くようにファラミアに向けられる。が、やがて、
「まあよかろう」
唇の歪みが、冷笑めいた形に変わった。
「いずれにせよ、愛などというもので人は動かぬぞ、聡明なるファラミアよ。このような時代にあっては特に、人はその運命の僕であり、義務の奴隷に過ぎぬのだから。大将と呼ばれる身となれば、その意味を噛みしめることにもなろう。まして、この先もはや、そなたの兄に護ってもらう訳にもいかぬとなればな」
そして、最後の命令が下った。
「出立の準備はこちらで整える。それまで待機し、大河の東岸の地理をもう一度頭に叩き込んでおくのだ」

149Sons 4/6:2004/06/16(水) 10:22
すみません!うっかりsage忘れました。
ああ、緊張で手が震える・・・
ここから兄君が登場します。












大広間を出た後、疲労感が一気に押し寄せてきた。
一対一で父と話す時には常に緊張を強いられてきたが、それは、父も遠回しに述べたように、自分たちの資質に似通ったものがあり、それをお互いに疎ましく感じながら、なお悪いことには、疎ましく思い合っていることさえも十分認識している為だったかも知れない。
その時、塔の入り口の大扉が開き、廊下の向こうからボロミアがこちらに歩いて来るのが見えた。
「ファラミア」
彼は立ち止まり、兄を待った。
「父君には今朝、一度お目通り頂いたのだが、また呼び出しを受けた。おまえの方はどんなお話だった?」
ファラミアは、ゆっくり首を振った。
「ご自分でお訊き下さい」
しかし、彼は、こう付け足さずにはいられなかった。
「執政の君は、子供の戯言になどつきあっては下さらないそうです」
「どういう意味だ」
兄は眉を顰め、弟の顔を覗き込むようにした。
「何があった。父君からまた何かーー言われたのか」
この人はいつもこんな顔で自分を見るのだ、とファラミアは思った。
自分が赤ん坊の頃から、五歳の時も十歳の時も、二十歳になっても、おそらくこれから先もずっと。
そして、父から面と向かってあのようなことを聞かされた後でも、ボロミアに対する自分の愛情と信頼が微塵も揺るがないのが、我ながら不思議なくらいだった。そこで揺らぐほどの思いであればいっそ楽だったのに、とさえ思えた。
そのまま、彼の胸に顔を埋め、子供のように泣き出してしまいたい。
そうしたところで、おそらく兄は驚くこともなく、肩を抱き、髪を撫でて、何も心配することはないと言ってくれるだろう。幼ない日々、そうであったように。
だが、ファラミアは、すんでの所でその衝動を抑え、
「どうぞ、父君の許に」
とだけ言った。
背中に兄の視線を感じつつ歩き出したファラミアは、途中一度だけ振り返った。
「どうやら私は、弓を修練しなくてはいけないようです、兄上。今度見て頂けますか」
ボロミアの顔が明るくなった。
「もちろんだとも。弓でも剣でも、何でも見てやるぞ」
この笑顔を憶えてさえいれば、どれほど離れていても、自分は自らを保っていけるだろうと、ファラミアは思った。
ーーー私たちは決して、互いを不憫な者だなどと思い合っているのではありません、父君。
胸にその言葉を収め、自分も兄に微笑を返して、ファラミアは白の塔を辞した。

                  ○

150Sons 5/6:2004/06/16(水) 10:26
まだ続きます。














弟の処遇について、ボロミアは執政に強く反対したらしいが、日頃長男に甘い父ではあっても、今回は
「執政の長子と謂えども、執政の決定を覆す権限はない」
と一蹴し、その半月後、ファラミアはイシリアンに向かうこととなった。さすがに愛では動かぬと言ったお方だけのことはあると、ファラミアはむしろ冷めた気持ちで、その成り行きに身を委ねていた。
彼が出立する二日前、ボロミアは、いかなる名目でか、執政の名代としてローハンに使いに出されていた。その時、ファラミアは見送りに出ることすら許可されなかったが、しかし、彼自身の出立に当たっては、執政自ら
「イシリアンは今がいちばん緑の美しい季節だ。それはまた、そなたたちの活動にとっても有利なものとなろう」
と、珍しく気遣いめいたことを口にしたのであった。

そして、北イシリアンにはいって、ファラミアは父の言葉の正しさを知ることとなった。
ヘンネス・アンヌーン周辺の森林は、森の空気を嫌うオーク共はもちろん、地理に不案内な異国の敵たちに対しても格好の防御となっていたし、何より、滴る緑や咲き乱れる花たちは、間近にあるかの忌わしき国の瘴気も、人の心をも浄化する作用があるように思えた。
自分より実年齢も実戦の経験も勝る部下たちが、何やら同情的な視線を送ってくることに、当初は閉口したが、彼らについて、山中を細い抜け道一つ一つに到るまで踏査するのは、辺りにどのような敵が潜んでいるか判らない緊張の下であっても、却って開放的な気分を与えてくれた。
体も神経も酷使するのは、余計なことを考えない為にも都合がよかったが、疲労感はあの白い石の都で父と対峙する時より少ないくらいだったし、平地での戦さとはおおよそ勝手の違う、この地形や環境ならではの戦術戦法を老練な部下たちから学び、討議しあうことは、思わぬ充実感をもたらし、なるほど、父は確かに自分に適した任務を与えてくれたと、今更ながら感心するくらいだった。
執政からは、時折、敵情に関する便りが送られてきたが、不思議なのは、前線に位置する自分たちの得た情報より、都からのそれの方が、より早く、正確な場合が間々あるということだった。
ボロミアからの便りは殆どなく、あったとしても、執政を通じての情報交換や業務連絡の類いであったが、互いに任務に追われる身とあってはそれもやむなしと思い、それ以上のことは考えないようにした。

ファラミアが再び都に戻ったのは、実にその半年後、木々の葉が黄金色に変わり始める頃のことだった。これから迎える冬に備える為と、とりあえずの休暇の意味もあった。
慰労の宴の席上、執政は、次子の前では滅多に見せることのない笑顔と共に、
「我が子よ、父の見込みは正しかったであろう」
と言った。ファラミアも素直に
「はい、父君」
と答えた。実際、離れてみて改めて、父への敬意を持ち直すようになっていたからでもあった。
父の傍らに控える兄は、その時には何も言わなかった。
ただ、ファラミアがミナス・ティリスの大門を通って戻った時、ボロミアは自ら馬に乗り、わざわざ最下層の広場まで迎えに来てくれていた。
野伏の装束に身を包んだ弟の姿を初めて見た時、彼は表情を曇らせた。
「日に焼けたな」
暫しの沈黙の後、兄は言った。
「それに随分痩せたようだ」
「ご心配頂かなくとも、兄上、私はあちらではきわめて充実した日々を送っております。木立ちの中で矢を射ることにもかなり熟達しました。また見て頂けたらと思います」
「ああ、弓でも剣でも見てやろう」
兄は、出立前と同じ言葉を口にした。それから、
「だが、今の私は、むしろおまえが書庫で古文書や巻物に読みふける姿が見たいと思う」
そう言って、どこか寂しげにほほえんだ。

151Sons 6/6:2004/06/16(水) 10:29
ラストです。どうにか6分割に収まりそうです。














宴の後、ファラミアが自室に戻ろうとすると、長い廊下の中ほどに、先に出ていたボロミアが立っているのが見えた。
「ファラミア大将」
と、彼は声をかけてきた。
「もうそう呼ばなくてはいけないな。私の望んだ形ではなかったが、ゴンドールの平和のため相携えて行くには、父君のおっしゃる通り、これが最善であったのかも知れない」
並んで歩き出しながら、兄は弟の肩に手を置いた。
「おまえを誇りに思うぞ、弟よ」
「私もあなたの弟であることを誇りに思います、総大将殿」
「もうおまえを守る必要もないのだな」
そう言って、ボロミアは、再会した時と同じ微笑を浮かべた。
自分の肩を抱く兄の手、以前に変わらぬその温かさを十分感じながらも、ファラミアは言った。
「私も、もはや子供ではありません。自らのいるべき場所も、あるべき姿も弁えております。ですから、私を憐れんで下さる必要も、もうないのですよ、兄上」
「憐れみ?」
問い返して立ち止まり、兄は弟の顔を見た。
「そんな風に思ったことはない。幼き日より、私はただ、おまえに執政の子として相応しい処遇を、また、より良い生き方をと・・・」
言いかけて、彼は不意に言葉を切った。
「いや・・・」
ボロミアは髪をかき上げながら、ひとり言のように呟いた。
「今回の件に関しては、それは嘘だな。いや、おまえの身が心配だったのは本当だが・・・」
「ボロミア?」
半年前別れた時とは、異なる何かを湛える灰緑色の瞳を、ファラミアは見た。
「私は、おまえの姿が見えないのが寂しかっただけだ。おまえが私の傍らにいないのが、ただつらかった」
妙に早口で、ボロミアは言った。
「おまえに会いたかった」
自分の中で、張りつめた弓の弦が切れるような音を立てるのを、ファラミアは聞いた。半年間抑えこんでいたものが溢れ出す。
「兄上・・・」
目を伏せ、ファラミアは頭を兄の肩にもたせかけた。
「私もあなたに会いたかった。兄上・・・兄上・・・」
震える声で口にすると、兄は片手でその頭を引き寄せ、もう片方の手を肩に回して、そっと抱きしめてくれた。
「よく帰って来た」
都でも王宮でもなく、自分の帰るべき場所はここしかないと、温かい腕の中で、ファラミアは感じていた。
「私たちは兄弟だ」
その想いに応えるかのように、ボロミアの声もまた、熱と震えを帯びる。
「何があっても、どれほど離れても、そのことに変わりはない。それを変えることは何ものにもできはしない」
互いの鼓動が一つに重なり、そして、その時初めて、ごく自然なことのように、二人の唇も重なり合っていた。


ーーー父君・・・

脳裡に浮かぶ灰色の冷厳な眼差しに向けて、彼は語りかける。

あなたはやはり間違っておられる。
あなたの理解も認識も超えた所に、それはある。私の頭ではなく、私の胸の内に、この身の奥に、それは確かに存在する。
私を動かす唯一のもの。私たちは二人だけでそれを育ててきた。
そして父君、それを生み出したのは、あなたであるというのにーーー

152146-151:2004/06/16(水) 10:40
>設置様
保管の際は、3、4、6それぞれの頭に一行空け願います。

<言い訳>
実は原作父君がわりと好きだった私。執政殿に対する巷でのあんまりな扱いには
涙を禁じ得ません。だからと言って、自分の書いているものが救済になるとも
思えませんが、次男坊に対する屈折しまくった愛情の片鱗でも感じて頂ければ
幸いです。
ソロンギルの話は余計と言えば余計なのですが、父君こちらにも屈折した愛憎を
抱いていそうなので、ちょっと触れてみました。

・・・にしてもmind reader同士の会話って疲れそー。書く方も疲れました。

153萌えの下なる名無しさん:2004/06/16(水) 16:31
弟が巣立ちの時期を迎えてちょっぴりさびしんぼな兄上(*´Д`) '`ァ '`ァ
愛情表現が複雑骨折してる父上(*´Д`) '`ァ '`ァ

そして
戦地が別となれば、これが今生の別れになるかもしれないと
毎度毎度出立前夜は5割増で濃厚な一夜を過ごすと予想。


(*´Д`) <・・・・・・。
(; ゚∀゚)=3

おいしく頂きました。ありがとうございます女神様!

154萌えの下なる名無しさん:2004/06/16(水) 23:26
>146-151様

後半、理屈ではない兄弟の愛情に、ひたすらに萌えました。
素直な兄上につられるのか、大胆に兄上と触れ合う大将に萌え。

前半、父上がソロンギル殿に抱いていた感情は、なかなかに複雑で、
父上の人生というものを考えさせられました。
大将にかつての自分を投影しているくだりには、大いに頷かせていただきました。
勝手な解釈ながら、立場の類似を認めればこそ、大将について理解もし、
甘やかしも出来ないのが父上かもと。
その父上に同情を感じる大将は、大人の格好良さをお持ちで、素敵。
惚れ直しました。

155<父上にとって大将とは?>1/2:2004/06/17(木) 21:44
二番目の息子は兄弟の父にとって、いかなる意味を持っていたのか。
人それぞれ解釈の違いをご理解いただける方向け。

以下ご注意。

・萌えなし・しるけなし・原作準拠。
・死に向かう父上・兄上死にネタ・死にかけ大将・デネソール視点。
・とにかく暗いお話。

>146-151女神様の素敵SSと共通した部分を含みますが、
これは、父の日が近いので父親話という発想に基づいた偶然の産物です。

2レス分使用させて頂きます。

<デネソールとファラミア、デネソールとボロミア/しるけなし>・1/2















 堅牢を世に誇ったミナス=ティリスの、城門が燃えていた。
 瀕死の状態ながらも帰館を果たした、もはやたった一人の息子は、黒の息の元に囚われようとしていた。
 デネソールが何より愛した長子も、彼なりに愛した妻も、とうにここにはいなかった。賢明にも最後まで父の元に残った二人目の息子さえ、仮に、運良く一命を取り留め得たところで、黒の息により、元のままの息子ではいられまい。その時には、もはやファラミアであってファラミアではない悪しき何かが、息子の肉体という殻を纏い、その悪しき者が戴くに相応しい主の元へと赴くのだろう。
 そのような勝手が許されて良い筈が無い。
 いかにあろうと、これは自分の息子だ。よって、これは誰にもやらぬ。悪しき存在にはいわずもがな、たとえそれが魔法使いだろうが、いずれ還り来る王だろうが、だ。

 自分は、旧い時代に生きた。自分の生の根拠は常に、そこに存在した。来るべき次代にではない。
 時代が、音を立てて動いていた。必然により、世のあり方は変わろうとしていた。動き始めた流れは誰であろうとゆるがせられぬ。人の子が、無力だからではない。動かせぬものこそを人は、運命と呼ぶからだ。
 その奔流の中にあっても、己の意志で決定されうる事は、必ず存在する。それは、己自身に対する己の処遇というものだ。
 
 虫の息にある息子が、もう一度口を開くやも、などというささやかな望みは、事ここに至っては、己を空しくさせるばかりだった。

***

 きっかけは忘れた。イムラドリス探索行へ単独で出立する直前だったと、時期については記憶している。おそらくは、ずっと心の内にあったのだろう。尊敬してやまぬ父に、珍しくボロミアが意見した。
「父上は、ファラミアを愛してはおられぬのですか」
 弟への愛情を隠そうともしない兄らしい言葉には、無条件に頬が緩んだ。
「なぜそのように聞く」
「父上のなさりようは、わたしとファラミアでは、幾分異なるよう思われてならぬのです」
「兄弟といえど、別個の人格であるという事に、よもや異存はなかろうな。個にはそれぞれ相応の接し方がある。そなたとて、そなたにとって同じく親とはいえ、この父と先に逝った母と、同一の態度を見せてきたとは言うまい」
 立派な体躯を持ち、総大将にふさわしく育ったゴンドール執政家の長子は、俯いた。
「そなたがいくつの時であったか。随分と、この父に対して我を主張し、手を焼かせおったな」
 思わぬところで話題が自分に移り、ボロミアは内心首をかしげた。

156<父上にとって大将とは?>・2/2:2004/06/17(木) 21:45
<デネソールとボロミア、デネソールとファラミア/しるけなし>・2/2

















「その時分の所行については、申し訳なく存じます。ただ、お言葉ながら、父上。あれは、人というものが形成途上にある折、必要な過程の一つであると、自らご教示下さったかと記憶しておりますが」
「わしは、過去を蒸し返してそなたを責めておるのではない。そなた、己の我によって父の愛情を失うかも知れぬとは、後にも思わなんだか」
「…実を申せば、些かもございません」
「であろうな。そして、そなたの認識は、たとえ無根拠にせよ正しい」
「有り難く存じます」
「そなたの目には余るらしい、あれに対するわしのやりようにも、そなたの弟は異を言わぬ。わしの見立てでは、そなたに不平不満を漏らした事すらなかろう。何故か?」
 目にしない事までをも見通しながら、なぜ肝心要である理由は分からぬのかと、喉まで出掛かった言葉をボロミアは飲み込んだ。ボロミアにとっては、相手が父親でなければ、手が出ていたかも知れない物言いに、声が震えた。
「それこそが、ファラミアが父上を、深く愛しているからではございませぬか」
「さもあろう。そなたがどう判断しようが、事実として、わしはあれを理解しておる。それだけではない。あれ自身もまた、わしを理解しておる。そなたの言う愛、とやらを持つばかりではなくな。ファラミアは、何事においてもわしの言に否は唱えず、従順を常とするのはそなたも知るところであろう。ゆえんは、今、申したところの理解にある」
 父親の言葉に、呼吸すら忘れたかのように耳を傾けていたボロミアの表情は、かつて結果として、泥で縄をなう程度の役にしか立た無かった詩歌の講義中にだったか、偶然垣間見たそれを思い出させた。
「そなたに言うべき事は全て伝えた。下がるがよい」
 ボロミアが父親の前を辞す前に、親子は、お互いへの慈愛に満ちた抱擁を交わした。
 ファラミアの助けになる言葉を、兄弟の父親から引き出すことは適わなかったと、ボロミアは思った。ゆえに、ボロミアは、その会話を己一人の胸に納めたまま旅立ち、逝った。

***

 今や、目の前にいる息子は、口をきくことも叶わなかった。
 己と同じ血を引き、同じ見える目を持つ息子にして、己が生涯で持ち得た最大の理解者、ファラミア二世は、ただ横たわり、父が手を差し伸べようとも決して触れる事の能わぬ死の淵を、孤独のうちに彷徨い続けていた。
 
 時、ここに至れり。

 息子が、己の知る息子であるうちに、己が決めた場所に共に赴こう。最後まで共にあった息子は、最後まで己が連れて行こう。たった一人で、自分の与り知らぬ場所に行かせたりはせぬ。なぜなら、ファラミアは我が子である。それ以上、何を言うことがあろうや?
 命令一下、執政家の忠実なる部下たちは、旧時代最後の執政、そして、ゴンドールの大将ファラミアの父親であるデネソール最後の下命を叶えるべく、動き出した。

 それは、父が与えるどのような処遇にも、決して揺るがぬ愛情と誤ることのない理解を以て応じる息子の思いの上に、それと知って依存し、彼の存在の限り彼に甘え続けてきた父の、一度たりとも父を裏切ることがなかった二人目の息子に対する、最後の甘えだった。

//おわり

157萌えの下なる名無しさん:2004/06/17(木) 23:30
>155-156様
えー、上の方でヘリクツ大魔王な執政殿を書いた者です(w
そうなんですよ、父君とご次男て、実はちゃんと、と言うか誰よりも理解しあって
いたと思うのですよ。理解しあっているから売り言葉買い言葉になってしまうと
いう・・・。ご次男に必要なのは果たして「理解」だったのか、とも思いますし。
間にはいって心痛める兄君には、それこそ理解や納得はできない、親子の在り方
でしょうね。

さて、執政殿にあんまりな扱いをしてくれた筆頭は、実はPJだったりする訳ですが、
某サイトさん情報によると、映画の父君、いまわの際にちゃんと
"Faramia...My son..."
と言って下さっているのだそうです。My son.のところは音声にはなっていない
のですが。よかったね、大将・・・とも言いにくいですよね。あの状況じゃ。

158萌えの下なる名無しさん:2004/06/18(金) 07:53
>146さま
>155さま

 映画での父上の扱いに憤慨していたことさえも懐かしく思えてしまうほど、
デネソールとしての息子ファラミアを想う心情に感動しました。
それと同時に、こう云った解釈をすんなりと納得させてくれる演技を見せてくれた
俳優さんの素晴らしさに、改めて感謝してしまいます。
 お二方共、素敵なお話をありがとうございました。

159萌えの下なる名無しさん:2004/06/18(金) 09:30
>157
Faramiaじゃなくて-mirだろ!これじゃローマ字だよ、と自分自身に言っておくw

これだけじゃ何なので、某所で見かけたネタ。
映画の執政ご一家の共通点は「鼻」だけにあらず。「美しい手」もあるのよ。
ちょっと中の人話に傾くけれど、お三方とも、大きいけどゴツくない手で、細く
長いきれいな指をしている。その手であんなこととかこんなこととか・・・と
妄想してしまったことは内緒w
本編では殆ど手袋をしていた弟君が、SEEではその美しい手をふんだんに見せて
下さることを期待しておきます。(何か間違っている気が・・・)

160萌えの下なる名無しさん:2004/06/18(金) 17:37
ああデネソール&ファラミア大将・・・このスレにお邪魔したのは初めてですが、こんなによいお話を見せていただけるとは!
失礼致しました。

>>146女神様
>>155女神様

素晴らしいSSをありがとう!。・゚・(ノД`)・゚・。

161萌えの下なる名無しさん:2004/06/18(金) 19:46
>159
あと、兄弟の中の人はどっちも「(国)の代表的セクシー俳優(w」ですよね。
父上の中の人ももしかしたら・・・とか言ってみる(w

セクシー一家(*´Д`)

162萌えの下なる名無しさん:2004/06/18(金) 21:38
父上の中の人もせくしぃデスヨ!!

ああ、ココ最近女神様日和で萌え萌えー

163萌えの下なる名無しさん:2004/06/19(土) 11:08
162タンと同じく、女神様日和で萌え萌えー

ファラミア様は、パパ&兄との関係が一番萌え
ゴンドールを代表するセクシー兄弟&父ということで…

164<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 1/6:2004/06/20(日) 15:05
個人的嗜好を除くご意見は適宜。

<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 1/6 >133の続き

【苦手な方】護身推奨。専用ブラウザ+NGワード指定orスルー。
【整理】>102,>110-115→>15-22→>28-30→>118-120,>124-126,>131-133
【私信】派生元現行スレご関係者各位 ご英断感謝。

6レス分予定。未完結。以下続く。














「体に、傷が付くかも知れません」
 セオドレドの言葉の意味が咄嗟に分からず、ファラミアは目を開いた。
「出来る限りのことはさせていただきますが。慣れてはおられないのでしょう」
 セオドレドが溜息を漏らすのを、ファラミアは初めて見た。セオドレドは、身を寝台の縁の側に寄せて、飾り棚から取り上げておいたたらしい何かを拾い上げていた。
「わたしは、傷も痛みも慣れております」
 ファラミアはほんの僅か、体を伸ばした。別に嘘ではなかった。鍛錬にせよ、まだ経験が少ないとはいえ、実際の戦においても、少しの傷もなく終えることなどほぼあり得なかった。
「そうでしょうとも。…本来は、そうあっていただきたくは無いのですが」
「ご心配は有り難く思いますが、このような世に、人々のあり方に対し大いに責任を持つべき家系の人間として生まれたからには、当然果たすべきつとめです」
 思わしげな目がじっと見つめてくる。
「私は、世を恨めしく思わずにはいられません。ファラミア殿も、それに、私の可愛らしい従兄弟も−−彼女はまだ幼いのに、剣の訓練をさせろと言って聞かないのですが。剣を持つこと自体はともかく、その先にあるのが戦場であるからには、おいそれと願いを叶えるわけにもいきません。大事な者を危地に置きたいと、願う者はおらぬというのに」
 意外な気がした。案外と心配性らしい。まるで誰かのようだと思い、そう思う自分に対して、首を振った。
「戦場でなくとも剣の技能が、彼女自身を救うということもありましょう。…ご心配はごもっともに思いますが」
 何もかも、自分らが背負おうとするのは、年長者の、あるいは同じ年に生まれた二人の習い性なのだろうかという思いが、ふと頭を掠める。ただ、彼らはなにも理解してはいない。広い背中の後ろに安住し、守られたいなどと、誰が思うというのだろうと。大事な者は危険から遠ざけておきたいというならば、その気持ちは誰であれ同じであろうと、なぜ気付かないのだろう。自分とて例外ではない。セオドレドの幼い従兄弟とやらも、おそらく。
「お聞き苦しい愚痴でしたな。面目ない。私に、お体を向かい合わせていただけますか」
 頷いて、セオドレドの手の助けも借りつつ、体の向きを変えた。腰骨の上に足をまたぐ格好になって、体の安定を図るため、セオドレドの肩に腕を預け、背で腕を交わらせて左右それぞれに掴まった。いかなる思いをもってか、セオドレドの腕が、ファラミアの体を息ぐるしさを感じさせるほどに抱き締めた。溜息と共にすぐに緩められたそれが、自分の背中で、ゆっくりとだが仕事をする気配がしていた。少しだけ首を巡らして見ると、セオドレドが手にしているのは、ガラスで出来ているらしい華奢な細工を持った小さな瓶だった。そこから、セオドレドが中身を彼の手に垂らすと、立ち上る甘い香りがファラミアにまで感じられた。
「冷たいようでしたら、ご勘弁を」
 セオドレドは自分の手の内に香りの良いそれを馴染ませると、ファラミアの後ろに手を這わせ、狭間を探った。
 セオドレドの体温が移ったそれは、冷たさを感じさせることなど一切無かったが、予想していたとはいえ、慣れない場所へ与えられた慣れない感触には、思わず身を竦ませた。ファラミアの感覚に間違いがなければ、皮膚を覆ってなま暖かさを感じさせるそのものの正体は、油だった。人の手が触れることの無い場所に油にまみれた指を滑らされると、ファラミアもさすがに、落ち着くどころではなくなった。意図しないで腰がセオドレドの身体をずり上がり、自分の後ろを揉みしだく無骨な指から、逃がれようとした。しかし、それが許されない事は、すぐに知らされた。ファラミアの片足に掛かった手が、彼の足の外側へそれを引いて、その場所から動かせないよう腕で抑えつけてきた。あまり安定感があるとはいえない姿勢を取らされて、セオドレドの体からずり落ちないよう、ファラミアはそれまでよりも強く、手にした肩にすがった。

165<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 2/6:2004/06/20(日) 15:06
<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 2/6
















「大丈夫です。それほど辛くはありません。…初めは」
 明らかな含みのある物言いと声色に、全身が粟立った。狭間の中心がセオドレドの指に、緩やかにだが押さえられていた。苦痛というほどのものは無かった。油が、驚くほどの滑らかさで、セオドレドの、背丈に見合って長い指を、ファラミアの内側にくわえ込ませた。潤滑に優れていたお陰で、騒ぐほどの痛みを与えられずに済んだと言っても、否定しようのない異物感に、ファラミアの口から常ならぬ呻きが漏れた。
 本来、そこにあるべきではない、他人に所属する身体の部分は、決して長居をしなかった。が、まったく居なくなるわけでもなかった。浅い場所まで後退させた指に、セオドレドは瓶から油を足してきた。伸ばされた指を伝い、ファラミアの身体の内側と繋がっているその場所から、ファラミアの後ろの狭間にも、ねっとりと這うように、それは訪れた。もし、これが自分の体のためにも必要なものなのだと、ファラミア自身が納得していなければ、是非も問わず拭い取っていただろう。そういう類の、強烈な違和感を持つそれは、彼の指と、自分の肌を行くのには足りず、そこから溢れて自分の体の表面をゆるゆると流れて降り、おそらくは、初めにこの寝台でファラミアが触れた、素晴らしく清潔な敷布に染みていた。一度付着してしまえば、拭いようのない油の染みにどんな意味があるのか、当事者の片方であるセオドレド自身はともかく、当然いるだろう彼の部屋の世話をしている者はどう見るだろう。ふと、ファラミアは人ごとなのか、自分の事なのか判然としない不安にかられた。
 セオドレドは、彼が自分で洗うわけでもないだろう真っ白な布を汚して、何も構ってはいないようだった。だから、こうした事態は、セオドレドにはよくあることなのかも知れない、というよりも、間違いなくそうなのだ。
 自分の内側を再び訪れた異物に、思考は唐突に途切れた。一度味わわされたからといってすぐになじめるものではない。それでも、異物感に慣れる事だと、ファラミアは自分に言い聞かせたものの、理屈で割り切ったところで堪えることが叶わない何かに内側から突き動かされたように、顔をセオドレドの首に伏せた。
 なるべく手加減しながら歯を当てると、不思議に少しは気が済んだ。セオドレドが、喉の奥で笑った音が、聞こえたような気がした。身体のどこへたりとも無駄に力が入らないよう、ファラミアは意識して呼吸を深くし、自分の身体でなければ何であれ構わなかったものの、さしあたって、五感にはっきりと感じられるセオドレドの皮膚の事だけを頭に上らす事に決めた。そうして、散漫なのが最も望ましくない事だろうと、目を閉じた。改めて触れてみたセオドレドの肌とはいかなるものかと、興味のあるなしに関わらず無理矢理、感覚をそこに向けさせた。尋常ならざる事態にあっても、まだ感覚は正直だった。服の上からは決して想像もつかない滑らかさに、うっすらと滲む汗のにおい。それから−−。
 舌をセオドレドの皮膚につけてみると、かすかに塩の味がした。その分かりやすいものを除いた何かが、セオドレドの味なのだろうかと、ファラミアは、不意に愉快になって、セオドレドの肌をゆるゆると舐めた。とはいえ、本当は味などどうでも良い事だと自覚していた。ただ自分は、何かをしていなければ安定を保てない気がして、何にでも良いからすがりたかったのだ。
 自分を支える体から、深い息が吐かれた。
 何を思い描いて良いのか見失ったまま、ファラミアは、自分の体の芯を、かすかに上がってくる覚えのある感覚は、気のせいだと思う事にするしかなかった。そうでなければ、一度上り詰めることを思い出してしまった体は、それと望まず、簡単にそちらに向けてさらわれて行ってしまうだろう。

166<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 3/6:2004/06/20(日) 15:06
<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 3/6
















 異物は、ファラミアの中を探っていた。身体の内側で動かされるその度に、くぐもった声が漏れたが、それは、意識して聞かないことにした。異物感は決して消える事がなかったが、それだけではない感覚を、体は確かに覚え始めていた。自分のことであるのに、自分自身奇妙な感じがした。しかも、それは、決して歓迎されざるものである異物感に取って代わるのかとさえ思えるほど、だんだんと存在を増し、それを意識せよとファラミアに聞きたくもないのに強弁し続けていた。音声ならば耳を塞げば、あるいは身体を遠ざければ足りる。しかし、自分の身の内のことは、如何様にもしがたいだけだった。
 だからファラミアは、気を逸らそうと、握力の限りにセオドレドの肩を手の内に掴んだ。内側を探る動きが、一瞬だけ、止まった。セオドレドにしてみれば、それは長年に渡り鍛え抜かれて完成された戦士が持つ力で加えられた暴力沙汰でしかなく、本音を言うならば、堪ったものではない強さを持っていた。それでも、何を言う気もなかった。ファラミアの望みならば、多少行きすぎた痛みといえど、甘受出来た。それよりも、ファラミアの体が、どこまで耐えてくるのかが気に病まれた。
 考えても始まらなかった。どのみち成されることに心を痛めるなど、馬鹿馬鹿しい事ではないか。気休めかも知れないが、余計な事は声色には出さず、セオドレドは告げた。
「少し、きつくなりますが。大丈夫です」
 返答はなかったが、頷くのが分かった。ファラミアの息づかいに耳を傾けながら、セオドレドは指を加えた。ファラミアの呼吸が、詰められたようだった。しかし、止めるわけにはいかなかった。ファラミアが、もし何かを耐えなければならないとしたら、まだ、これからの事だった。

 全身が、一つの感覚に支配されようとするのを、ファラミアは感じていた。恐怖とは違う。いや、恐怖かも知れない。自分自身どちらでも良いと分かり切っていることが、頭の中を行き来するのを止められなかった。感情に適当な名前を付けたところで、何の助けにもなるものではない。確かなのは、これは自分が望んだ事であり、そして、自分は逃れられないということだけだった。
 親切にも予告された通り、セオドレドが己の身の内側に指を増やすたび、身体が悲鳴を上げた。息苦しさと、下肢への誤魔化しようのない圧迫感とに、ファラミアの身体は苛まれていた。せめて、内側を穿つものをじっと動かさずにいてくれればと思う。思うが、声はもう出なかった。セオドレドの肩にすがり、ひたすら呻いた。それでも、声を上げずに済んでいる事だけは、救いと言えるのかも知れなかった。

 ファラミアの体温は、心地良かった。何ひとつお互いを隔てる邪魔も無く、それ以上なく直接にファラミアに触れている指にしみこむその温みには、指に触る内側の感触と共に、つい引き込まれそうになる。十分触れている筈であるのに、更に強くそれを感じたいと、セオドレドは念じる。念じながら、内側を貪る。ファラミアの、初めて聞く声は、セオドレドには媚薬に等しかった。それなのにどうしてここまで、時間をかけていられるのかと、己自身を訝りさえした。自分の身にそそり立つものは、手指ではなくこちらにファラミアを寄越せと、煩いくらいに訴えかけ続けているというのに。

167<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 4/6:2004/06/20(日) 15:07
<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 4/6

















  しかし、セオドレドは決して忘れてはいなかった。何故、ファラミアがここに、こうしているのかを。
 顔を合わせぬまま過ぎた日々の後にも失せなかった滑稽なくらいの彼への思いこみは、ファラミアの姿形によるものでは、おそらくない。とはいえ、それが何者であれその内側に存在するものが、外側に必ず影響しないわけがない。だから、一目のうちにファラミアが自分を執着させずにはおかなかったのも、不思議はないといえばないが、その、内側に有しているものこそが、セオドレドにしてみれば、一つの奇跡だった。
 どのような物事にせよ、かれは一度は身の内に取り込み、そして、決して元の形ではその内に留めないのだろう。かれの内側に入れられたものは、どんなものでも、かれだけが持つ何かによって繰り返して濾され、かれにしか持てない、はじめとは別の形をした、きれいな何かになって、かれの内に堆積して彼自身を形作っていくのだ。誰しもが、そのようなもので構成されていくのかも知れないが、方法ではなく結果が、唯一見えるものなのだ。
 それが何かは知らない。が、ファラミアは、少なくともセオドレドにとって好ましいもので出来ている。
 ファラミアにとって、持ち合わせる濾紙は多様なほど、そして、漉されるのを待つ材料は、数多いほど良いのだろう。
 セオドレドに対する同情でも欲でも、ましてや、愛などというものでもなく、ファラミアは、ファラミア自身のために、今ここに、こうしている。欲深くも、素材を求めて。
 なるほど、かれは貪欲な教えられる者で、自分は親切極まりない教え手ではないか。たとえそれが、自分の身の内に、彼にとって咀嚼すべき何かが存在しうる間だけであってもだ。今、この時だけを見れば、異を挟む隙もないくらいこの関係は、確かなもので、そして、それは、人の一生から見れば、おそらくは、瞬きする間ほどもない僅かな時間でしかないだろう。
 だが、その今こそが、セオドレドにとって、恐らく最初で最後の好機だった。
 ファラミアにとって、真実自分が何者であるのかは、自分が教え手などという面白くとも何ともないものではなくなったその時に立っていられる場所から、初めて、決まっていくのだ。
 ファラミアは、見られるだけのものを、見れば良い。望むものを望むだけ得れば良い。この腕の中にあるものと引き替えとするのに、僅かでも惜しむべきものが、この身のどこにあるだろうか。

「ファラミア殿」
 呼びかけられたのは知れたらしいが、ファラミアは、顔を上げることも出来ないようだった。
 見える限りセオドレドが覗き込んだ顔は、どこをどう取ろうが虚ろだった。ファラミアには聞こえないように、ほんの僅か溜息を吐いて、セオドレドは瓶に入った油を、自分の煩い場所にいい加減に垂らすと、間違って中身をぶちまければさすがに面倒になるからと、身体を置いている場所から、入れ物を遠ざけた。
 今や、肩に触れているだけで精一杯らしく、力の無いファラミアの片手を、自分の肩から引きはがし、油を中途半端に浴びせたせいで、鈍く光を反射させている己の鬱陶しく主張する場所に導いた。掴んだ手は逆らわなかった。触れた場所を、自分の手の動きで導き、上下させてやると、さすがに肩を震わせていた。セオドレドの望みのまま、形だけにせよファラミアの手が、自分の欲を、彼自身の身に受けいれるための準備を整えていく様には、なかなかに高揚感を煽られた。が、それだけだった。

168<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 5/6:2004/06/20(日) 15:08
<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 5/6

















 自分が何か、許されざる罪を犯しているような気に、セオドレドはいきなり襲われた。
 今、自分が手に抱いているものは、特別なのだ。二十年近く待ち、ようやく再びまみえた磨かれた宝物を、自分が得手勝手に扱えるなどと、有り得ることではない。思いこもうとする一方で、言い訳でしかないと思い始めている自分もまた、いるのだ。今更、くどくどと迷っているのが何よりの証拠ではないかと。
 真実を一言で言うなら、これは欲情だ。ご教授だのというきれい事に飾ったところで、この行為は、彼への欲情によって動いている。これは、その止めどのない発現でしかない。
 おそらくは自分の言葉を信じて、慣れない身体を任せている彼を、それと望まず裏切るのだろうか、自分は。考えるほどに身が竦んだ。揺らぐ自分の心を打ち消すように、セオドレドはファラミアの内から、入り込める限りの数と深さで抉っていた指を、ゆっくりと引き抜いた。
「あ…」
 安堵からなのか、自分の声などもはや意識してはいないのか、顎を反らしたファラミアの頬が自分の肩に触れ、切ない喘ぎと吐息に、首筋をくすぐられていく。
 セオドレドは、もう迷ってはいられなかった。ファラミアの腰を自分の腰の上にさし上げるよう両手に持ち上げ、ファラミアには彼自身の膝で、体重を支えるよう誘導した。定まらない体に、難儀している様子のファラミアの肩口に何度も口づけ、殊更優しげな口調を作って、囁いた。
「何一つ、困難な事はございません。ゆっくりと、腰を落として座る。なすべきは、たったそれだけです」
 それだけ、などで在るはずはないと知っていながら事も無げに告げたのは、意識しての事だった。事に至れば嫌でもその身に知れることを、わざわざ事前に語り、不安の材料を余分に与える必要など、これっぽっちもない。
 ファラミアは、セオドレドが驚くほど素直に頷いた。
 思い通りにならないらしい身体を、もどかしさを隠そうともせず緩慢な動きでセオドレドに預けてくる。体重が降りてくる前に、自分で自分の抜き差しならないものをファラミアの狭間にあてがい、ファラミアが間違いない場所に降りてこられるよう、自分自身を手で支えた。
「苦痛は、ほんの初めだけです。ご心配は無用に」
 声色を作って知った嘘を重ねる。初めだろうが終わりだろうが、経験を重ねて体が行為に慣れるまでは、辛いに決まっているのは分かり切ったことだった。正確を期すならば、初めがとりわけ辛い、というべきところを、ファラミアへの気休めというより、ファラミアの翻心を恐れる余りに、自分自身のために嘘ばかりを並べ立てる。それに何の抵抗も無い自分に、嫌悪を感じないわけではない。が、自分が手に入れようとしているものと比べれば、些細なものでしかなかった。
 ともかく、欲しいのだ。仮に、彼が今身を引こうとしたならば、それを笑って受容することなど到底出来そうにもないくらいに。最初で最後の好機に、後も先もない。失うわけにはいかない。ここは勝手知ったる自分の寝室だ。傷つけまいという選択を捨てさえすれば、人一人どうにも出来ない事などないとばかりに、自分は行動出来るのだろう。それは、考え得る限り最悪の事態だった。だから、それを回避するためならば、嘘など安い物だとさえ思う。

169<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 6/6:2004/06/20(日) 15:08
<セオドレド×ファラミア/しるけあり> 6/6 【今回ラスト】















 支えた身体が震えた。
 他人の一部を受けいれようとした場所に、その狭さには到底見合いそうもない体積を持つものが触れて、気後れしたのかも知れなかった。正直なところ、焦れた。ならば、せいぜい、焦らされておこうではないか。
「難しいのですか。それとも、抵抗感があられる」
 ファラミアは、進みもせず、かといって引きもせず、言葉なく首を振るばかりだった。
「少し、休みましょうか」
 片方の膝の上に腰を落とさせ、片手に包み込んだ顔を自分の方へ向かせ、口づける。舌をファラミアの口腔で誘うが、弱々しく触れてきただけで、すぐに力を失った。そんな様も愛おしいといえば愛おしく、両の腕をまだ完成途上の若い体に回して、抱き寄せた。
「わたしには、教わる資格が、無かったのかも知れません」
 訥々と漏らされる言葉に、セオドレドは舌打ちをしたいような気分になった。今ファラミアが告げたのは、今、もっとも耳にしたくない言葉ではなかったか。が、それを言っても始まらない。逃がさなければ、それでいい。
 乱れた髪に、乾いている方の指を差し入れ、子供にするのと変わらぬ程度に、ゆるくかき回し、頬に顔を寄せた。
「何を、教わるおつもりでしたか」
「…頭で、物を考えぬ事をと」
「成る程。ファラミア殿は、まだしっかりと頭を働かせておられる。もっとも、ご無理と悟れば中途で終えるのも、賢いやり方と言えましょう。ファラミア殿のご判断であれば、私も何も申しますまい」
 突き放す言葉は本心などではなく、最後通牒を突きつけられる羽目になるかもしれない賭けだった。ファラミアは、あるいは烈火のごとく怒るかも知れない。そうすれば、ファラミアにとって自分は、教え手ではない何者かにはなれるわけだ。多分、無能か、忌み嫌われる者という位置で。
 自虐的な考えが浮かんで、セオドレドは苦く笑った。
 表情を見られていないのを良いことに、自分の肩口で俯いて下唇をかみしめているファラミアに、畳みかけていく。
「今、ファラミア殿にとって私は何者です。そして、ファラミア殿は?」
 セオドレドの視線に、それまでになくきつく射抜かれて、ファラミアは喉を詰まらせた。それでも、まっすぐにセオドレドに顔を向け、目を見据えた。誇りと矜持のいずれかでも、ファラミアの内に無かったならば、それすらも決して出来なかっただろうが。だが、それだけだった。彼の、直接の血縁者を除いては誰一人として聞くことが無いような、張りを失った弱々しい声が、セオドレドに答えた。
「セオドレド殿は、教え手で…私は、教わる者です」
 そして、それきりファラミアは口をつぐんだ。ファラミアは、決して目を閉じようとはしなかった。その代わり、ファラミアは何度も瞬きをした。はっきりと目を開けば、そこには濡れた双眸が恐らく見えるのだろう。しかし、ファラミアは、それをセオドレドの目に晒すのを、自分に許さなかった。
「ならば、どうなさいます」
「…仰るとおりに、と」
 ファラミアは、緩慢にだが自分から腰を上げた。

【続く】

170<エオメル/ファラミア>カップリングなし 1/2:2004/06/21(月) 19:19
執政一家萌えのところ失礼します。
セクシー執政一家話、おいしくいただきました。
兄貴スレとどちらか迷ったのですが、大将好きなのでこちらに。
エオメル/ファラミアのしょーもない小話です。

登場人物…エオメル/ファラミア、ちょい役…エオウィン 
名前だけ登場…エレスサール、ロシーリエル
ネタバレ原作追補編前提、指輪戦争終結後、エオメル視点、カップリングなし

これを含め、2レス使用させていただきます。

<エオメル/ファラミア/カップリングなし> 1/2















 エオウィンと、ゴンドール執政家のファラミアが婚約したというので、両者の身内を集めての会食が持たれた。エオウィンの実兄であるローハン王・エオメルも、当然その場に出席した。幸せそうな妹の笑顔を複雑な気分で眺めつつも、会は、和やかな空気の内に締められた。
 エオウィンが席を外した時、エオメルはちょっとした違和感に気付いた。原因は、ほどなく自分の義弟にとなるファラミアにあった。気のせいでなければ、ファラミアは、瞬きしないで対象物をじっと見つめていられる猫のように、自分の顔を注視していた。
 ゴンドール執政家といえば、表だって口に出すのはさすがに憚られてはいたが、人間性に加え、男性としての性的魅力に満ちた人物ばかりであると、エオメルの故国・ローハンでも、もっぱらの評判だった。ご婦人方にとっては、真実かも知れぬと他人事として聞いていたエオメルだったが、実際に噂の人物を目の前にすれば、それが己の浅はかな誤認であったと、認めざるを得なかった。
 そのファラミアに長々と見つめられては、さしものエオメルとて心安らいではいられなくなった。だから、エオメルは、ことさら落ち着いた顔を作ったつもりで、ファラミアの元に歩み寄った。
「突然に失礼を。先ほどから、私の方をご覧になっておられたようですが。ご用がございましたか」
「いえ」
 ファラミアは、目を細くして笑った。笑うとまた、それが眩しく感じられてエオメルには珍しく、視線を合わせての会話が困難であるように思わされた。
「ローハンの方は、お国で一番美しいものを、惜しげもなくわたしに下されました」
 ファラミアは言ったが、惜しくないわけがない。エオメルは心中で毒づいた。しかし、妹の幸せのためである。余計な波風は立てまい、と自分を戒めた。
「それが、エオウィンの望みであるからです」
「やはり、兄君であるエオメル殿にとっても、エオウィン姫は、ローハンで一番美しいものなのでしょうね」
 間接的にせよ、身内を手放しで褒められて、エオメルは単純に表情を緩ませた。
「もちろんです」
「そこで、わたしは思ったのです。エオウィン姫がローハンで一番美しいなら、その、たった一人のご兄妹であるエオメル殿は、ローハンで二番目にお美しいのかも知れぬと」
「は?」
 その人物を評する基準として勇猛果敢さはともかく、美を持ち出されたことの無かったエオメルは、間抜けな声で応じざるを得なかった。
「それで、ご結論は」
「血のつながりは、ご兄妹に全ての形質を受け継がせるものではない、ということでした」
 エオメルは、決してファラミアから美的に称揚される事を期待していたわけではなかった。しかし、面と向かっての低評価を、喜ぶ輩もいない。
「お二人とも、何のお話ですの」
 折良くエオウィンが戻ってきて、話が途切れた。
「エオウィン姫が、いかにお美しいかというお話を、エオメル殿とさせていただいていたのですよ」
 エオウィンは顔を赤くして目を伏せた。自分には決して見せることのない、どこの乙女かという可愛らしい姿を、事も無げに妹から引き出すファラミアに対し、エオメルは逆恨みまがいと分かっていながら、この、可愛いが可愛くない年上の義弟に、先ほどの礼も含めて、いずれ目に物見せてくれようと、心の中で誓った。

171<エオメル/ファラミア>カップリングなし 2/2:2004/06/21(月) 19:25
<エオメル/ファラミア/カップリングなし> 2/2















 復讐の機会は、思わぬところから訪れた。
 エオメルは、義弟となったファラミアの叔父、ドル・アムロス大公イムラヒル大公イムラヒルの息女であるロシーリエルと縁合って夫婦となる事になった。
 それを知らせたときのファラミアの顔は、エオメルには痛快極まりなかった。しかしその様子は、一方で、拭いきれない違和感を湧き起こさせた。
「義弟殿。それではまるで、ご自身が花嫁の父のようです」
「何とでもおっしゃるが良い。わたしが、彼女をどれだけ可愛らしく思っていたか、義兄殿はご存じないのですから」
 未だに、ファラミアはエオメルを「ぎけいどの」と呼ぶ。兄と呼べというのも酷な話だろうと、エオメルも薄々は理解していた。彼にとって「兄上」とは、旅の途上に落命したボロミアの他に存在しえないのだろうから。
 幾度かローハンに立ち寄っていたボロミアの武勇は、エオメルも知るところであったし、実はかなり尊敬もしてたので、彼を見舞った悲劇を、今はゴンドールの王となったアラゴルンから初めて聞かされたときには、それほど近しい関係にあったとも言えない自分でさえ、悲痛な思いがしたものだった。それが、たった二人の兄弟であれば、その心中はいかばかりであろうか。
 末子として生まれているせいか、ファラミアが彼よりも年若い者、か弱い者に殊更情をかけるのは、エオメルも知るところとなっていた。ただし、会食時の態度から言っても、野郎は対象外らしかったが。 
 それでもエオメルは、不意に鼻の奥につんとした痛みを感じた。
「義弟殿の大切な従姉妹殿を泣かせるような真似は、このエオメル、決して致しませぬと、ここに誓いましょう。ですから、どうぞ、お心を安らがせ下さい」
 涙ながらに熱弁をふるうエオメルに、ファラミアは寂しげに笑って見せた。
「義兄殿のお気持ち、確かに頂戴致しました」
 そして、エオメルの額に、柔らかいものが触れた。
「な、何ですか、これは」
 口づけられたのだと気付いて、エオメルはファラミアから数歩飛び退き、自分の手で額を抑えた。
「感謝の気持ちです。義兄殿は、わたしに下さらないので?」
「なぜ、私が」
 まだあたふたとして、酒酔いでもないのにろれつが回らないエオメルに向けて、ファラミアは穏やかに言った。
「誓いを立てる時に口づけを贈り合うのが、わたしどもの習わしなのです。それで、義兄殿は正式に誓われるのですか。それとも、お取り下げなさるのですか」
「取り下げるなど」
 後に引けるはずもなく、エオメルは大股にファラミアに歩み寄り、目を不必要なまでにきつく閉じて、ファラミアの額に唇を触れさせた。
「ありがとうございます。わたしも、これで心安らげましょう」
 微笑むファラミアは、いつかの会食の折と同じく、やはりエオメルの目にも魅力があるものとして映った。
 美しい妻に義理の弟。幸せそうな妹。それらを思うと、エオメルは、自分がとんでもない幸福の中にいるように思えて、また涙ぐんだ。

 かねてより昵懇の仲であるゴンドール王エレスサールから、ゴンドールにかくなる習わしなど存在しないという真実を告げられるまでの、ほんの短い幸せだった。

//終わり

172170-171:2004/06/21(月) 19:30
訂正。

>170 二段落目。
誤>エオメルは、義弟となったファラミアの叔父、ドル・アムロス大公イムラヒル大公イムラヒルの息女〜
正>エオメルは、義弟となったファラミアの叔父、ドル・アムロス大公イムラヒルの息女〜

以上です。

173萌えの下なる名無しさん:2004/06/21(月) 20:17
>170-171女神様
かわいい兄貴と大将、すごく素敵なお話でした。
ほのぼのでしみじみ。彼らはこれからきっといい「家族」に
なるんだなあと暖かい気持ちに。ありがとうございました。

174萌えの下なる名無しさん:2004/06/21(月) 20:49
>170-171様
兄貴、なんか可愛いなあ。大将、あんたやっぱりヘンな人だw
両国の友好と発展を象徴するかのようなお話、ありがとうございました。

>164-169様
続きが読めて嬉しかったです。しかもまだ続く!?
いつも、「ひー、この先どうなっちゃうの」とドキドキしながら読ませて
頂いていますが、ぎりぎりまで高まる緊張がどう決着するか、見届けたいですね。







いろいろたいへんな思いもされたかと思いますが、あなたのSSを待っている住人も
いることをお忘れなく。
私も、前スレから何回かSSを投下させて頂いておりますが、普段は一住人として、
それこそ多彩な萌えを楽しんでいます。セオファラも、今までなかった視点での
展開に心惹かれます。ぜひ完結までつきあわせて頂きたいですね。

175萌えの下なる名無しさん:2004/06/22(火) 22:13
大将の多彩な萌え万歳。
そこで、大将萌え選手権@ゴンドール。※くだらないネタが許せる人向け。

大将に多彩に萌えてる者の筆頭は、言わずと知れたベ(ry。
ゴンドールに、もし大将ファンクラブがあったら、この人は絶対入ってる。
会員ナンバーは当然一桁台。
当然グッズコレクター。
これまでレアアイテムゲットのために、オークションに身代傾くほどつぎ込んで、
妻にしかられたのも、一度や二度ではきかない。でもオークションは止められない。
地下でこっそり行われてるオークションで、ベ(ryがいつも競り負けてしまう
宿命のライバルの正体は、多分兄上(知らない方が幸せなこともある)。

業務日誌に続いて、大将がどうしたばかりの秘密日記を書くのが、ベ(ryの日課。
立場上、隠れ大将萌えなせいで善良そうなホビットには反動から、つい次々と本音が。
大将萌えこそ我が人生。

しかし、ベ(ryは、兄上の恐ろしさと特権を知らない…。

176萌えの下なる名無しさん:2004/06/22(火) 23:16
大将は大将で兄上ファンクラブの会長とかしてそうですね(w
名誉会長は父君か?
そう言えば以前、ゴンドールの財政の為にご兄弟のブロマイドを売り出す父君
・・・とかいうネタがありませんでしたか?しかし、兄と弟がお互いの分を
買い占めにかかり、僅かに残った弟君の分はベ(ryがかき集めてしまった為、
結局財源確保にはならなかったり。

ベレファラもいろいろ妄想はしているのですが、どうにもへぼんな設定しか
思いつかず・・・報われているんだかいないんだか、または報われなくても
幸せ、なのか、そのポジションの微妙さが好きです(w
出会ったばかりのホビットも、息子までも、自分の萌えに洗脳しようという
はた迷惑なヤツでもあるな・・・W

177萌えの下なる名無しさん:2004/06/23(水) 21:16
>ゴンドールの財政の為にご兄弟のブロマイドを売り出す父君
「ブロマイド」で検索したら、前スレ70番でネタが出てました。
それのことかな?

コピペ「イオナズンのガイドライン」
ネタ一部いただきました。>176様



面接官「特技は大将萌えとありますが?」
ベ(ry 「はい。大将萌えです。」
面接官「大将萌えとは何のことですか?」
ベ(ry 「執政家のご次男を慕うことです。」
面接官「え、次男?」
ベ(ry 「はい。次男です。実の父親から、長男の代わりにお前が死ねば良かったとまで言われます。」
面接官「・・・で、その大将萌えはミナス・ティリスにおいて働くうえで何のメリットがあるとお考えですか?」
ベ(ry 「はい。執政殿の命令に反逆して大将のお命を死守します。」
面接官「いや、ミナス・ティリスには大将の命を狙うような輩はいません。それに命令に反逆するのは犯罪ですよね。」
ベ(ry 「でも、近衛兵にも勝てますよ。」
面接官「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね・・・」
ベ(ry 「ペレグリン君や自分の息子を、大将萌えに洗脳出来るんですよ。」
面接官「ふざけないでください。それにペレグリン君って何ですか。だいたい・・・」
ベ(ry 「ホビットです。小さい人とも言われてます。ペレグリン君というのは・・・」
面接官「聞いてません。帰って下さい。」
ベ(ry 「あれあれ?怒らせていいんですか?語りますよ。大将萌え。」
面接官「いいですよ。語って下さい。大将萌えとやらを。それで満足したら帰って下さい。」
ベ(ry 「運がよかったな。今日は語り尽くすには時間が足りないみたいだ。」
面接官「帰れよ。」



キングゲイナーのがはまりそう。

178萌えの下なる名無しさん:2004/06/24(木) 12:12
そうきたか(w
キングゲイナーコピペも好きなんだけど、そっち方面の才能がなく、自分じゃ書けない・・・
職人さんカモーンですだ。

179萌えの下なる名無しさん:2004/06/24(木) 17:44
自分も無理っす。
まじで言うとSS女神様のご光臨もいただきたい。

元ネタ ゲイナー告白
シャア専用板 続・コピペ参上?キングゲイナー ヨリ
繋ぎにドゾ-(AA略




そうだ!
どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ!
職人さん!
光臨キボンだァー! 職人さん! 待望しているんだ! 職人さんー!
レスをする前から
光臨キボンだったんだ!
光臨キボンなんてもんじゃない!
職人さんの技をもっと知りたいんだ!
職人さんの技はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
職人さんを賞賛したいんだァ!
勢い余って新スレに移行しちゃうくらい賞賛したーい!
心の声は
心の叫びでかき消してやる! 職人さんッ! キボンだ!
職人さんーーーっ! 待望しているんだよ!
ぼくのこの心のうちの叫びを
きいてくれー! 職人さーん!
萌え対象が同じになってから、職人さんを知ってから、僕は君の虜になってしまったんだ!
待望ってこと! 光臨キボンだってこと! スレ住人に振り向いて!
職人さんがスレ住人に振り向いてくれれば、ぼくはこんなに苦しまなくってすむんです。
優しい君なら、スレ住人の心のうちを知ってくれて、ぼくに応えてくれるでしょう
ぼくは君をスレ住人のものにしたいんだ! その卓越した技と卓越したすべてを!
誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
投下を躊躇わす輩がいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
でも職人さんがぼくのキボンに応えてくれれば戦いません
ぼくは職人さんを讃えるだけです! 君の技の奥底にまで礼賛をします!
力一杯の礼賛をどこにもここにもしてみせます!
礼賛だけじゃない! 心から君に尽くします! それが僕の喜びなんだから
喜びを分かち合えるのなら、もっとふかい礼賛を、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
職人さん! 君がスレの中にベ(ry/大将しるけたっぷりSSを投下しろというのなら、やってもみせる!


ついでに原文。

そうだ!
どうせ聞こえるなら、聞かせてやるさ!
サラ!
好きだァー! サラ! 愛しているんだ! サラァー!
エクソダスをする前から
好きだったんだ!
好きなんてもんじゃない!
サラの事はもっと知りたいんだ!
サラの事はみんな、ぜーんぶ知っておきたい!
サラを抱き締めたいんだァ!
潰しちゃうくらい抱き締めたーい!
心の声は
心の叫びでかき消してやる! サラッ! 好きだ!
サラーーーっ! 愛しているんだよ!
ぼくのこの心のうちの叫びを
きいてくれー! サラさーん!
クラスが同じになってから、サラを知ってから、僕は君の虜になってしまったんだ!
愛してるってこと! 好きだってこと! ぼくに振り向いて!
サラが僕に振り向いてくれれば、ぼくはこんなに苦しまなくってすむんです。
優しい君なら、ぼくの心のうちを知ってくれて、ぼくに応えてくれるでしょう
ぼくは君をぼくのものにしたいんだ! その美しい心と美しいすべてを!
誰が邪魔をしようとも奪ってみせる!
恋敵がいるなら、今すぐ出てこい! 相手になってやる!
でもサラさんがぼくの愛に応えてくれれば戦いません
ぼくはサラを抱きしめるだけです! 君の心の奥底にまでキスをします!
力一杯のキスをどこにもここにもしてみせます!
キスだけじゃない! 心から君に尽くします! それが僕の喜びなんだから
喜びを分かち合えるのなら、もっとふかいキスを、どこまでも、どこまでも、させてもらいます!
サラ! 君がツンドラの中に素っ裸で出ろというのなら、やってもみせる!

180萌えの下なる名無しさん:2004/06/24(木) 17:56
リクエストのものではなくて申し訳ないです。
「ユッキーはそれから2年後に死んだ。」ネタ、大将バージョンで。

できれば映画で接触のあるメンツだけで、と思ったのですが、
ベレゴンド親子だけ入れてしまいましたw
人数をちょびっと削ってあるのと、内容いろいろウソっぱちですが、笑って許して・・・

そしてゲイナーネタ!私も激しくきぼん!







父上と兄上が亡くなってからもう随分経ちました。
あの戦争が終わり、王が還ってきた今では、思い出す回数がほんの少しだけ
減ったかもしれません。
ゴンドールにいないみなさんには、戴冠式以来なかなか会えていません。
だから最後にお会いしたのは、もう何年前なのでしょう。
ベレゴンドはその忠誠を買われて白の部隊隊長です。
早くも鬼隊長とか呼ばれて、みんなに畏れられています。
べアギルもついに入隊してしまいました。理想の隊員像は父親だそうです。
ピピンはホビット庄に帰郷後パパになったそうで、しかも子供に私の名前をつけたらしく、
オメデトウというかなんというか・・・気恥ずかしいです。
エオウィンは現在イシリアンに住んでいます。私がミナス・ティリスで執務中は
絶賛文通中、週末婚というものになってしまいました。
五通に一通はすごい手料理付の返事が返ってくる、可愛い奥さんです。
ミスランディアは西へ渡ったらしいです。西の国でまた花火を上げているのでしょうか。
高齢に見えますがあの方達の年齢の感覚はわからないので、ぜひもう一旗揚げてほしいです。
フロドも西の国らしいですね。もう指輪をころがすこともないのでしょう。
サムはホビット庄長になったのですが、時々手紙で庭の手入れについて教えてくれる
親切なホビットです。
そういえばあの時にいたもう一人・・・ゴラムってどうなったんでしょうね。

そして私は今・・・
いろいろあったのですが、まだ執政をやっています。
王はまたオーク狩りと言って外に出てしまいました。
お強いのはわかっていますが、ちょっと心配です。
私自身は、あれから戦闘には参加していません。
・・・しかし兄上、そして、父上。私は最近思うんです。
できることならあの日のオスギリアスに戻って、貴方達とお酒でも飲みたいって・・・

181萌えの下なる名無しさん:2004/06/24(木) 19:22
"Remember today, little brother."

・゚・(つД`)・゚・

182萌えの下なる名無しさん:2004/06/24(木) 20:05
>180
笑いながら読んでいたら、最後にきて・・・
SEEの特典にはいっている、執政ご一家&ゴンドリアンの記念写真は、わが心の
アルバムにおいても宝物ですよ。

話はそれるけど、他の所で書けないのでここで、というネタ。
どこで見たかは忘れましたが、オスギリアスでの兄上演説後、兵士たちの間を
すり抜けるように大将が駆け寄って行く大将の姿が*ヲトメ*だった・・・と
いうので見直したら、本当でした(w
おまけに、海外でもそれがツボだった人がいるのか、某所でそこのカットが
キャプられてるし・・・
(以下、微妙に中の人話なので下げます)




総じてあの追加エピソードの、中の人の演技って・・・元来、天然な芝居など
決してしない演技派だけに、兄上の前でだけヲトメなファラたん、というのが
彼の解釈なのか!?と思うと、萌えていいんだかいけないんだか。

183182:2004/06/24(木) 23:15
ごめん。後半に書いたようなことはレスを求めている訳じゃないのだ。
ただこう、胸にたまっていたものを吐き出したかっただけなのだ。
(ここ以外に持っていきようのない話題だしw)
そんな訳で、引き続き職人さん&女神様降臨キボンヌ。

184萌えの下なる名無しさん:2004/06/25(金) 00:48
ユッキーネタ>180様GJ!





コピペ 元ネタ "ところでめぐみって萌えないか?"

キングゲイナーはどなたか頼みます。

原作ネタバレ映画混合で語り手は兄上。元ネタのノリの兄上が許せる人だけ。













ところでゴンドールのファラミア大将というのは萌えぬか?
萌えぬか?

あれは、善良なホビットに誘導尋問を仕掛けるのですぞ? 黙っておれば、可愛い髭面の弟なのであるが…
夜な夜な辺境の警備をしておるし。美味しい扱いは父上からいただけぬし…… 涙目の上目遣いを振りまくし。口も上手であるし・・・

しかし 萌えるのですぞッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うおおぽおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
誰よりも!!ゴンドール内の誰よりもッ!!中つ国の誰よりも萌えるッッッッッ!!!!!!
萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え萌え!!!!!

ファラミアの頭を抱えてその髪の毛のにおいを嗅ぎますぞッ!!!!!
ファラミアの簡素な野伏衣装をめくりあげて足を擦りあげてやりますぞッ!!!!!
ファラミアのその帷子を静かに解いて野戦服の上から胸を撫で付けてもいますぞッ!!!!
ファラミアは寝間着は何を使っておりましたかな!?絹のローブか不正直者には見えぬという不思議な衣服であったか?不思議な衣服一択!!
ファラミアは石鹸は何を使っておりましたかな?ドル・アムロスの海草石鹸か?東夷製は不許可!!
ファラミアは下着はちゃんと高価にしてケバ立たない逸品を使っているのですぞ600年以上も風雨に晒された得体の知れぬ腰布は不許可!!
ファラミアは銀器の他では葡萄酒は飲みませぬぞ!生水を直に飲みませぬぞ!死者の沼地に生息する魚はつままぬ!!
ファラミアは作戦前の食事でさえ食前の黙想は欠かしませぬ!不調法な思いをしたホビットが弁明すれば、主人への礼はわれらとてしますと、追い打ちをかけますぞ!!
バター付きパンは両手ではむはむ食すのですぞ!その時上目使いでこちらを見ますぞっ!!そして恥ずかしそうに微笑みますぞッ!
当然じゅうの肉なぞ口にしませぬ!!塩漬け肉か干した果実!!
もしくは上等の赤チーズですぞ!そしてファラミアと親密なキスを交わすと上等の赤チーズの味が交換されるのですなチクショー!!

おさらば

185萌えの下なる名無しさん:2004/06/27(日) 02:05
ちょっと前、リオソの兄上スレで、弟は盾乙女と結婚したけど兄上はどんな
女性を妻に選ぶのか、という話題が出たことがあって、その一連のレスを
読みながら、「要するに兄は弟みたいなタイプ、弟は兄に似た感じの人を
妻に選ぶ(選んだ)のですね?そうなのですね!?」と書き込みたくなる心を
必死で抑えておりました・・・

186萌えの下なる名無しさん:2004/06/27(日) 23:31
>>184
我慢してたけど最後のおさらばで吹いてしまった

187萌えの下なる名無しさん:2004/06/28(月) 00:40
>184
通りすがりの者ですが
不調法な思いをしたうえ追い打ちをかけられたホビットのファンとして
吹きながら肯いてしまいますた。

188<セオドレド/ファラミア> 1/4:2004/06/28(月) 13:37
流れ遮ります。4レス分予定。
苦手な方は護身推奨。
嗜好を除く要素についてのご意見は適宜。


<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 1/4

>169の続き 未完結 以下続く。

【整理】>102,>110-115→>15-22→>28-30→>118-120,>124-126,>131-133,>164-169
【私信】>164-169へのレスをありがとうございました。












 このような事態にあっても、賢明であるのだ。
 そう思うと、セオドレドは、誰が一体そうさせているのかも忘れて、涙の一つもこぼしたいような気分に襲われた。
 他人の助けなど必要無しに、ファラミアは自分の成すべき事を成す事が確信されたので、一切の手出しは無用であるどころか、障害にしかならないだろうと、両腕は自分の肩幅で背中側について、ファラミアが受けいれなければならない部分だけを別に、セオドレドは楽な姿勢をとった。
 ファラミアは間違いなく知っているのだ。行為は、自身の意志で、自身の手により成された事であるのだと、誰の目にも明らかに、というよりはむしろ自身が得心行く形を作らなければならないということを。
 ならば、自分に出来る事など、せいぜいが、ファラミアにとって都合良くなるよう、大人しく身体を差し出しているくらいのものだ。そして、ファラミアは、彼自身が欲しているものを自分で見出し、その所在と在り方を自ら知るだろう。
 なりゆきは決して悪くはない。彼も自分も、自らの欲しているものを満たし、望むものを得るのだ。まれに見る双方共にお得な取引ではないか、これは。
 それを取引だと信じているのが、ファラミアだけであり、そう信じさせるようにし向けたのが、他ならぬ自分だとしても。
 ファラミアの片手が、セオドレドの肩を掴んで彼自身の身体の安定の助けにしていた。余りにも僅かなので、触れ合っていなければ分からないだろうくらいに、それが小刻みに震えているのが知れた。彼の別の手は、自分が受容すべきセオドレドの部分を、間違えないよう保持するために使われていた。
 事ここに至って、肩を緊張させたのは、セオドレドの方だった。
 自分のものよりも高い位置にある顔を、とても見開く気にはなれない目を細くして仰ぐと、間近に見えたそれは、見間違いでも、愚かな願望が見せる幻でもなく、薄く、笑みを浮かべていた。どんな表情を返して良いのか決めかねているところに、ファラミアの顔が近づけられ、唇が額にやんわりと触れてきた。セオドレドは、つまり、和めば良いのだと得心して、腕に体重を預けるのを片方だけ放棄すると、その手でファラミアの頬をまさぐった。一瞬だけ、くすぐったがる子供のような表情を浮かべたファラミアは、次に気付いたときにはもう、その残滓さえ窺えないくらい、セオドレドが見たはずの心地良いもの全てを、顔から消し去っていた。
 セオドレドの下肢に跨った格好で浮かされていたファラミアの腰が、沈んだ。触れ合わされるべき部分の、体温が交換される形になると、頭の上に聞こえる呼吸が意識してだろう、深くなった。やり方さえ誤らなければ、触れ合った異物の行き場は、それがどんなにあり得ない事としか思えなかろうが、一つしかなかった。
 声も出なかった。
 蝋燭の薄明かりだけが暖かみを醸すほの暗い部屋は、人の呼吸だけが支配しているようだった。
 行為の行方を逃すも逃さないも、ファラミアが自身で選択するさじ加減一つで決まるのだと、ファラミアも理解しているに違いない。そして、ファラミアは捕らえる方に、確実に進んだ。決して望んでの事ではないだろうが、セオドレドの目に映ったファラミアは、煩悶をその表情に伴わせていた。もっとも困難な部分が窮屈そうに身の内に飲み込まれたところで、息を入れようというのか静止したファラミアの背に、セオドレドは片腕だけを回した。必要な体勢を維持しているだけでやっとだろう体を抱き締める代わりに、ファラミアが自らの体重を支え、落とし方を加減しているのに使用している膝を、もう片手で容赦なく払った。姿勢を崩させないために背は支えてやったが、制御を失った体は、自然の摂理に逆らえる筈もなく、下にしていたセオドレドの体に触れるまで、止まらなかった。
 ファラミアの口から、身も世もないような叫びが上がった。
「うあ…」
 高い声が途切れた後も、どのようにして落ち着けば良いのかを探しあぐねているように、ファラミアは声を絞り出し続けていた。

189<セオドレド/ファラミア> 2/4:2004/06/28(月) 13:39
<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 2/4













 他人の一部をセオドレドが望む以上の形で、身の内側にすっかり飲み込んだ愛しいものの背を押して、体をセオドレドは自分の胸に倒させた。他人の出方を構える場合ではないせいか、要求されたまま簡単に身体を預け、ファラミアは僅かの身じろぎも自分に禁止しているかに見えるほど、じっとして動かなかった。それはそうだろう。と、セオドレドも思う。ファラミアは、痛みには慣れているとは言ったが、受けいれたその場所には、生身をヤスリで削がれる程度の苦痛は、当然受けているに違いないので。
 知りながらも、折角触れ合った腰を勝手に浮かされないように、ファラミアの膝の裏に手を入れて、片方ずつ足を真っ直ぐにさせた。
 ついおとといまでは姿を見ることさえ叶わなかったファラミアが、これ以上の身体的接触は望みようもないほど近くにいる。
 それが、全てであるようにセオドレドは思う。一方で、身体は苦痛の一歩手前に、向き合っているのも事実で、行きすぎは何にせよ、本来はそうではないものでさえ、好ましくないものへとその性質を変化させてしまうのだ。
 生身の他人を受けいれた場所を自分の意志で弛緩させる術を、無理もない事だがファラミアは持ち合わせてなかったので、行為に慣れない体は、ファラミアにとっても、苦痛を増すばかりだというのに、加減をしらずセオドレドの身を締め上げてきていた。その証左と言って良いのか、さすがに声こそは上げなかったが、自分の腰の上に体重の全てを預けているファラミアの息は、自然荒くなっていた。
 ファラミアに苦痛を味わわせたいわけではなかった。だから、ファラミアが見せている姿は、どこかセオドレドの胸の内まで苦しくさせるものだった。
 それなのに、否定しようのない恍惚感は、抗いがたくセオドレドを突き上げていた。それを振り捨てるように、ファラミアの顔を覗くと、彼自身が向かい合っている感覚を持て余しているのだろう事が、ファラミアの表情からはありありと見て取れた。彼は、形の良い眉を寄せ、うつむき加減に息が乱れるに任せていた。
 セオドレドは手を伸ばし、呼吸の妨げにならないよう、ファラミアの耳を隠している髪に触れた。
 汗のために、それはしっとりとして指にも、掌にも張り付いてきた。濡れているのは、自分の手かも知れないが、どちらでも良かった。その内側では各々が勝手な物に目を向けているにしても、事実として、今、自分とファラミアは同じ物を分かち合っているのだ。そう思うと、身体には何も原因が無いのに、目眩さえしそうだった。それは、遠い昔に初めてファラミアを見たときの感覚に、少しだけ似ていた。
「んん、ん…」
 意味をなさないうめき声と共に、多分、手持ちぶさただからだろう。ファラミアの両腕がセオドレドの背に回されてきた。
 正直で無防備で、一見頼りなさげに思える姿には、これはどんなに、か弱く保護が必要な生き物なのだろうと、つい惑わされそうになりさえした。だが、セオドレドは幻惑を真実であるかのように自分に思いこませようとするほどには、お人好しにはなれなかった。それでも、ファラミアの体が寄り添わされると、自分自身、それが何であるのか決して理解してるとは言い難い自分の心の内にあるどこか深い場所が、充足を訴えてくるのが明瞭に知れた。
 今感じるそれと、同時に、ファラミアの内側で脈打つ欲惚けたものの存在も認めつつ、さて、身体の充足とそれと、どちらにより重きをおくべきなのだろうかと思いかけ、やめた。まるで別の部分に属しているものが、直接の比較の対象になりうるわけがなかった。自分とボロミアと、どちらのあり方が、より幸福であるのかを考えるのが無意味であるのと同様、意味をなさない比較でしかない。

190<セオドレド/ファラミア> 3/4:2004/06/28(月) 13:40
<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 3/4















 ファラミアの呼吸が割合と落ち着いてきたのを見計らい、それは、結び合わせる事が出来るものであるということすら、忘れてしまったかのようなファラミアの唇に口づけた。柔らかく唇をはむ事で応えてくるファラミアに、セオドレドは少しだけ安堵した。
 セオドレドの思うところによれば、必要なのは、ファラミアの体を僅かでも慣らすだけの時間だった。
 だから、セオドレドが掛けた言葉に深い意味は、本来は無かった。
「好きなもののお話を、致しましょうか」
 余裕が無いなりに訝しげな顔が、セオドレドに向けられてきた。
「あれは…終わりでは」
 意識と体を保持しているだけで精一杯だろうに、唐突な問いかけにも答えを返さないではいられない律儀さは、誰に教わったのだろうかと思わされる。どこまでも好ましく、同時に、何故かある部分では痛々しい。
 それでいて、ファラミアは、自分の気を逸らすためだけに、自分の頭を預けている他人の肩口に、緩く額を擦りつけてくる。場合によっては、行為に伴うただの儀礼、あるいは小賢しい演技である以上の感想を得られるものではないそれも、今、行為を見せている者の手にかかった途端、自分が何故ここにあるのかという、最も頭から追い出してはならない事さえをも、簡単にはぎ取っていってしまいかねない、魔法か何かのように思えて仕方がなかった。それは、ファラミアが負うべき責ではなく、だからこそ、セオドレドにとっては質が悪いものとして作用するのだ。その程度を自覚することは、まだ、セオドレドにも容易だった。
「はじめに挙げたのは私、途切れた時も私でした。ということはです、」
 皆まで言わないうちに、ファラミアの顔が緩慢にセオドレドの方に向けられた。
「そう。ファラミア殿の番が一つ分、残っております」
 ファラミアの口が何か言葉を紡ぐかのように開かれかけたが、すぐに、忙しない息の一つと共に失せたのに、がっかりしなかったといえば、嘘になる。
「ファラミア殿は、口を休めて、身体を使うのをご希望ですか」
 言わんとすることが理解されたのだろう。ファラミアは大儀そうに首を小さく何度か振った。予想はしていた。だから構わないはずなのに、セオドレドは急いている自分に気付いた。
「それで結構です」
 言葉を掛けながら、セオドレドがファラミアの腰の後ろに手を回し、尾てい骨に押し当てた指を、腰の終わりまで撫で上げると、ファラミアの体がセオドレドの腰の上で、跳ねた。体に、それまでよりも一層強く、背に食い込むかと思わされるほどファラミアから腕を巻き付けられて、セオドレドはようやく自分が成すべき事を自分の身に、取り戻せたかのような気になれた。
 顔を肩に伏せたファラミアの呼吸は、それまでになく荒く、肌に熱かった。
 観念したのか、ほんの呟くほどの声が、耳をくすぐってきたけれども、意味を持った言語としては聞こえてこなかった。
「何と、おっしゃったのです」
「何…も、と」
「あれらの他、何も?」
 ファラミアは、何も無いと言った。ファラミアの口から漏らされる掠れた音から、なんとか意味が取れたそれは、セオドレドが考えるところによれば、少しだけ本当で、少しだけ嘘だった。

191<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 4/4:2004/06/28(月) 13:42
<セオドレド/ファラミア/しるけあり> 4/4 【今回ラスト】














 ファラミアは適当な何かを口にすることもできただろうが、そうはしなかった。だから、いい加減な答えは決して返さないという意味では、その言葉は本当だった。しかし、生を受けて二十年近くになろうかという人間が好ましく思っている事物が、片手に足りないほど挙げたそれで全て、などという事が有り得るだろうか。ファラミアは、そんな言葉を他人に信じてもらえるなどと、本気で考えているのだろうか。だから、皆無だというファラミアの言葉には、故意か否かは知らないが、間違いなく少しの嘘が混入されている。
 ファラミアが、答えるべきものを持たないのではない。口にするのを憚っているのか、あるいは自分の内でそれを、存在しないことにしているのだ。
 口に出来ない何かを、ファラミアは胸の内に、自分自身それを抑圧しながら抱え込んでいる。恐らく、好ましく思っているものであるにも関わらず、だ。要は、それは人目に晒せないほど大切なものだ。つまり、ファラミアが見せたのは、彼自身の自己欺瞞である。そう考えるとしっくりきた。
 とはいえ、ファラミアが口にしないそのものが、セオドレドにしてみればあまりにも見え透いているのに、他人である自分にさえ明らかなものを、自分自身からも隠しおおそうとしている事こそが、セオドレドにはあまり愉快ではなかった。
 路傍の花の一つ一つにいちいち注目し、感嘆する者はそうはいない。しかし、同じものが一輪だけ仰々しい庭園の奥深くに人目を憚るようにひっそりと大切そうに置かれていたならば、どうだろう。どんなに価値のある植物であるのかと、多くの者が思うのではないか。つまり、大切に仕舞い込み、他人の目から遠ざけようとすればするほど、隠された物は、隠している者にとってどんなに重大であるのかが、露見されるのだ。
 そんなことにすら、ファラミアは本当に気付いてはいないのだろうか。
 それにしても、もし、その諸々が真実ならばあまりの扱いではないか。と、セオドレドは思う。望まない言葉を口にする事からは逃れられないならば、何でも良い、僅かでも好ましい何かの名前を挙げるという類の事で、ファラミア自身は苦しい言葉から逃れられる上に、目の前にいる人間の安心が買えるのは明々白々だというのに、ファラミアはセオドレドの心情を安らがせるためになるそれさえ、与えようともしないのだ。それとも、その可能性すらも頭に上らないのだろうか。

 賢明で知に貪欲で、内面を裏切らないうつくしい姿形を持ち、そして、何も知らないファラミア。

 セオドレドが望まれたいと渇望を抱く対象は、紛れもないそのファラミアだった。
 さて、一体、自分は絶望すれば良いのだろうか。
 自問の答えは、考えるまでもなく否だった。今は今、これからはこれからだ。
 分からないなら、確かめれば良い。欲しければ手を伸ばせばいい。手をつかねていては何も変わらない。許されるか否かは、自分が決めることではない。けれども、選択の結末が、どのような形で着地するにしても、それは自分の行為によるものなのだ。誰一人として例外などない。ファラミアも、自分も。
 ならば、成すべき事は一つしかない。ファラミアが既にそうしたように、選択を成すことだ。
 セオドレドは、自分の体の両脇にそれぞれ伸ばされたファラミアの足の、両膝に腕を入れ抱えると、触れ合った場所が少しも離れないよう注意を払いつつ、否を言わせる暇を与えず、自分よりも細いファラミアの体に、じわりと体重を押しつけた。

 【続く】

192萌えの下なる名無しさん:2004/06/29(火) 01:51
>185
言われてみれば確かに(w
そしてこんな風景を考えました。
ネタスレの方が相応しいような話なのでちょっと下げます。


<<MHK(ミドルアース放送協会)の番組・「中つ国・この人3017」でのひとコマ>>









―― ここで、お二人に理想の女性像を伺ってみましょうか。(一同微妙な笑い)
   初めにボロミアさん、貴方の理想は?

B「そうだな、わたくしの場合、出過ぎず己の分を弁えた者が良い。
  といって、自分の意見なく従う者では駄目だ。芯は強く持たなくてはな。

―― なるほど、おしとやかだけれどもしっかりとした女性ですか。ではファラミアさんは?

F「私は兄とは違って(二人顔を見合わせて笑い)、活動的な人が好きです。
  傍にいて、活力を与えてもらえるような。私自身が屋内に篭りがちなので・・・

B「無理に引っ張り出して日に当ててやれねばならんのだ。(笑い)

F「(笑い)そう。それくらい元気な方がいいですね。

――ずいぶん好みが分かれましたね。では次に、容姿の好みを聞いてみましょう。

B「容姿?(しばらくの間)・・・そうだな、(ファラミアを見てから)腰の細い方が良い。(笑い)

――細身が好みですか。では小柄な人の方が?

B「(再びファラミアを見て)いや、身の丈にはこだわらん。さすがにトロルほどあると困るが。

――ははは。(どんな女だYO) ファラミアさんは?

F「(ボロミアをじっと見て) 肉感的な方が好み、ですね。

――おっと、意外ですね。

F「そうでしょうか。(笑い)ああ、でもウルク=ハイほどになるとちょっと勘弁していただきたい。

――あはははは。(だからどんな女だYO!)あとそれから、顔立ちなどはどうですか?

(二人、顔を見合わせる)

B「(ファラミアを見ながら)目の色は青。髪はふわふわとした巻き毛で、色はそうだな、
  わたくしと同じくらい。高貴な血を色濃く表した顔立ちをしていて、

F「(ボロミアを見ながら)緩く巻いた癖毛を肩の辺りまで。瞳は緑、日に透かすと綺麗な
  金に変わる茶色の髪をしている人で、

B/F「(同時に)鼻は高めで。

―― (なんでこんな具体的なんだろう・・・)あ、ありがとうございました。
 えーでは次のコーナーですが〜・・・


(以下割愛)

193萌えの下なる名無しさん:2004/06/29(火) 21:58
>188-191様
そろそろおいで下さるかと思っておりましたぞ(w
緊張感が途切れぬ展開に、そしてファラミアの(本人あまり自覚してなさそうな)
痛々しさにハラハラです。まだ続くって、そんな・・・でも、これだけ心理描写を
書き込んでいらしたら当然ですね。おとなしく次を待ちます。

>192様
公共の電波(ってどこから!?)を使って何を語っているのか、この兄弟は!
これじゃ父上も引き離したくなる訳だ、と同情申し上げ・・・いや、そんなことで
同情されてもお困りでしょうな。
実は>185を書いたのは私なのですが、つまらぬネタをふくらませて下さって、
ありがとうございました。

194萌えの下なる名無しさん:2004/06/30(水) 11:19
理想の女性談義にかこつけて、公衆の面前で
お互いを自慢し合ってるのですねこの兄弟は。

二つ返事で出演を承諾した兄上(※目立つの大好き)に
渋々同調してみたものの、よく考えてみれば、兄上と一緒に
仕事が出来る上に、どさくさに紛れて兄上語り(別名のろけ)を
する絶好のチャンスではないかと思い直してノリノリな大将。
ではありますまいか。

仲良し兄弟に、父上ジェラシー(※実は混ざりたい)。






コピペ。
元ネタ「アンパンマンにインタビューしました」
ファラミアver.











執政家次男にインタビューしました。

Q1「あなたの名前はなんですか?」
A1「ファラミア二世」

Q2「お仕事は?」
A2「主に名を言うもはばかるアレに困ってる中つ国の助けになる事」

Q3「休息がもらえない時、痛くはないのですか?」
A3「正直、めちゃくちゃ痛い。一度泣いた」

Q4「嫌いな人は誰ですか?」
A4「名を言うにはばかる者」

Q5「本当ですか?」
A5「はい」

Q6「本当の事を言って下さい」
A6「父上」

Q7「それはどうしてですか?」
A7「自軍が負けた次の日、よくわたしの野伏部隊の中に傷病兵を混ぜるから」

Q8「それはどうしてですか?」
A8「たぶん嫌がらせ」

Q9「ペレグリンさんをどう思いますか?」
A9「声は可愛い」

Q10「愛妻、エオウィンをどう思いますか?」
A10「どっちかというと、小さい人の方の料理の腕前を、妻のにして欲しかった」

Q11「ファラミア一世という偽物がいますが」
A11「意味わからん」

Q12「一番嫌いな味方は?」
A12「ベレゴンド」

Q13「それはどうしてですか?」
A13「いや・・・誰でもあれはヒク」

Q14「マドリルに一言」
A14「お前だけ原作にないぞ」

Q15「いやな思いでとかありますか?」
A15「前に一度、命からがらで退却に成功したとき、戦況報告やら作戦会議やら次なる任務やらのために、ほんのちょっとしか休んでないのに、部屋に呼ばれた」

Q16「誰にですか?」
A16「父上」

Q17「それはどうしてですか?」
A17「たぶん嫌がらせ」

Q18「駄目になった部下をよくどこかに放逐しますが、あれはその後どうなるんですか?」
A18「ただの野伏になる」

Q19「では野営地などはどこにあるのですか?」
A19「君達の行かないあたりだけどひみつ」

Q20「でも、その元部下が喋ってたという情報もありますが」
A20「えっ!!??」

195192:2004/07/01(木) 01:28
>193-194
きっとこの前後で、お二人とも互いのことをこれでもかと公共の電波に乗せて
中つ国全土に発信しておられることでしょう(w
聞いただけでオナカイパーイになりそうだ。

そしてMHKネタを引っ張って恐縮ですが(w
話があったとき、極めて乗り気な兄上が大将を強引に引っ張り出すのではないかと予想。

<<以下、MHK出演決定時の光景>>






B「ファラミア、MHKから出演依頼がきていたので、承諾しておいたぞ。
F「そうですか、楽しんできてくださいね。
B「なにを他人事のように言っている?もちろんお前も行くのだ。
F「��(゚д゚) そのような話は初耳ですが!
B「そうだったか?では今聞いたので問題なかろう。「中つ国・この人3017」という番組だ。知っているな?
F「(´д`;)
 ・・・?たしかその番組、ゲスト一名が原則では?
B「そうか、では今回が特別なのだな(´∀`)
F「・・・なにかなされましたか、兄上。
B「人聞きの悪い。局の上層部に確認を取っただけだ。ミナス・ティリスの双翼たるゴンドールの大将を、
 よもや一人しか呼ばぬなどという愚かな事はなさらぬだろうな、と。
 彼らは快く承知してくれたぞ(´∀`)アオイカオシテタケドナー
F「・・・貴方という人は。
B「いいではないか、たまにはこのような仕事であっても。・・・それとも、わたくしと一緒では不満か?(´・ω・`)
F「不満など!嬉しいに決まっているではありませんか!
B「では共に出てくれるな?
F「もちろんです。
B「(・∀・)ではこの依頼受諾書にサインをしておくように。
F「えっ(・д・;)既に承諾なされたという話では・・・
B「あちらにはな。お前からの承諾は今もらうところだ。(´∀`)
F「・・・(・ω・;)(謀られた?)



そして物陰からパパン。

壁 |Д゚)
D「・・・(何故執政家3人で出演するよう掛け合わんのだ(゚Д゚#)ゴルァ!)
D「・・・・・・(゚Д゚)
D「(´・ω・`)

  ● λ..........................
パラソティア


--------------------
おそまつ。


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