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SS投下スレ

93エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:23:31
CASE7【竈門炭治郎(レグ@メイドインアビス)、七海やちよ(フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはstrikers)、キルバス(七草はづき@アイドルマスター シャイニーカラーズ)】

「炭治郎、くん……」

血を吐き倒れる少年の姿を映すやちよの瞳に宿るのは絶望。
殺し合いに抗う決意、魔法少女として人々を守る使命、どんな状況だろうと諦めない意思。
そんなものがこの場で何の役に立つ。
圧倒的な暴力の前には、自分を動かすものなど何一つとして無意味だと思い知らされた。

ハルバードを支えに傷だらけで立ち上がろうとするやちよは、ただ後悔していた。
やはり自分の願いが皆を殺す。
同行を申し出た少年の押しに負け、あくまで協力者であって仲間じゃないと言い訳した結果がこれだ。
少年も、自分に与えられた体も死んでしまう。
自分の願いのせいで。

「アァ…ウォーミングアップにもならねェな。まだ仮面ライダーどもの方がマシだ」

人間達の絶望を、地球外生命体はつまらなそうに切って捨てる。
成程、褐色肌の少年も金髪の女も戦う力はあった。
少年はやたらとしぶとく、女の方は素早い。
しかし足りない、それだけではまるで足りない。
同族や実の弟からも恐れられたブラッド族の王には届かないのだ。

(エボルトの奴も適当な事言いやがって…)

人間だから負けた、自身に滅びを与えた弟の言葉は鮮明に思い出せる。
おちょくられたのかと仮面の下で顔を顰める彼の意識を呼び戻したのは、顔を上げた少年の声。

「お前、は…そんな力を持っているのに…どうして…!殺し合う道を、選んだんだ…!?」
「勘違いするなよ。俺が殺すのはお前らだけじゃなく、このゲームを仕組んだ連中もだ。そうやって全部殺して、最終的には俺諸共全部吹き飛ばして後には何も残らない。そういう光景を想像するだけで胸が躍るだろ?」
「ふざ…けるな……!!」

血反吐を零しながらも少年は叫び、立ち上がる。
残された手は少ない、だがここで負ける訳にはいかない。
掌を向ける彼に迷いは無かった。

「お前は、ここで倒す…!やちよさんも、誰もお前には殺させない…!」

94エイプリールフール ◆ytUSxp038U:2023/04/02(日) 00:24:18



これは一つの可能性。
とある世界で、誰かが始めた物語。

CHANGE BATTLE ROYALE -ALTERNATIVE-

95 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:37:15
先にこちらへ仮投下します

96 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:38:37
うん?急にどうした?
人を殺して罪悪感は無いのかって?
いきなりな質問だなおい。
そういう突っ込んだ話はもっと親交を深めてからのが普通じゃねぇのか?
ああ分かった分かった、答えてやるからそんな怒るなよ。

お前らは鼻をかんで使い終わったティッシュに愛着を持つか?
用が済んだらゴミ箱に捨てるだろ?
そういうこった。

まだ聞きたいことがあるのか?
俺も暇じゃ無いんだがねぇ…
ああ、はいはい。
答えてやるからそう怒鳴るなって。
ったく、そんな掴んだらシャツが皺になっちまうだろ。

皆を騙して何も感じないのか?
おいおい俺だってそこまで冷血漢じゃあねぇぞ?
嘘ついたのは本当でも、たまに感動してウルッとしたり?騙して悪いなぁなんて思ったりもしたよ。

どうせそれも嘘だろだぁ?
ははっ、お前さんも酷ぇこと言うねぇ。

まぁ、その通りなんだけどな。

97 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:39:46



振り返ると、これまで歩いて来た道が私の足元まで続いているのが見える。
凸凹で転びそうな所もあれば、舗装されてすいすい行ける所だってある。

ずうっと遠くの方に見えるのは子供の頃の自分。
色んな事をしたいと未知への好奇心に溢れていた、何にでもなれると無邪気に信じた私。
絵本に登場するヒロインにだってなれる、そんな風に笑っていた私。

でも純真無垢なままでは先に進めない。
成長していくと同時に、憧れ幾つも忘れていった。
前へ進むにつれて、沢山の夢を諦めた。
大人になるというのは現実を知るということ。
私もその例に漏れず、仕方ないと言い訳を重ねて自分を無理矢理納得させる。
良く言えば物事を現実的に考えられる、悪く言えば冷めてつまらない。
そういう大人の道に足を踏み入れていた。

だから、あの日起こったのは私にとって運命だったんだと思う。
あの時間にあの場所を歩いていなければ。
あの人を見つけていなかったら。
袖のボタンを直してあげようと思わなかったら。
きっと私は今も、何かが欠けている道を歩き続けていたのだろう。

前を見ると、遥か向こうまで続く道があった。
どこまで続いているのかは分からない。
進んで行けばきっと多くの難題が立ち塞がり、泣きたくなるような辛い目に遭ってしまう。
そんな予感がする程に、長い道。

ああだけど、辛くて苦しいだけでないとも分かる。
彼が私の手を引いて、新しい世界へと連れ出してくれたから。
好きな事をただ全力でやるのは間違っていないと、彼が教えてくれたから。
満天の星空のように輝く舞台からの景色を、大好きな人達と一緒に見れたから。
心の底からアイドルが楽しいって言える。
だからこの先も、もっと楽しい未来が待っていると信じられる。

98 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:40:31
忘れていた好奇心と、ちょっぴりの不安に背中を押され一歩踏み出し、





空に大きな穴が開いた。





飲み込まれていく。
私が歩いて来た過去も、歩く筈だった未来も。
創るのは途方も無い時間と努力が必要だけど、壊すのはあっという間。

いつかの夢が消える。
いつかの諦めが消える。
いずれ来る苦労が消える。
いずれ来る幸福が消える。

私という人間を創り上げた道が無くなって、私という人間を創り上げる道が無くなっていく。

引き返す道も進む道も失って、残されたのは今に留まるだけの心許ない足場だけ。
底なんて見えない穴の真ん中にポツンと佇むしか出来ない。

そんな私を、赤い大蛇が鎌首を擡げ見下ろしていた。

99 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:41:14



雨を憂鬱に感じたのは久しぶりかもしれない。
屋根を叩き地面で弾ける雨粒の音に、千雪はふとそんな風に思った。

鉛色のどんよりした雲に覆われた空は見ているだけで気が滅入る。
お気に入りの服が濡れて重みを増し喜ぶような趣味は持ち合わせていない。
雨の日が好きか嫌いかと聞かれたら、大声で後者を叫んだりはしないけれど。
歓迎できる日で無いと言うのは本当のこと。

だけど雨と聞いて思い出すのは、ここ最近の胸が弾む思い出ばかり。

二人きりの事務所で、雑誌のアンケートに何を書くか悩んだ時。
彼との会話の中で新しい自分を見付けられた。

偶然見つけた、何かを大事そうに抱えながら走っていた彼。
それが自分へのホワイトデーのお返しと知った時の喜び。

雨宿りの場所で選んだ観覧車の中。
滴る水すら彩りの一つに変えた夜景を、彼とふたり占めした高揚感。

急な土砂降りに見舞われたとある日。
猫と犬のようにはしゃぎながら、事務所まで駆け出した光景だって忘れてはいない。

あれだけ憂鬱な雨の日でさえ、今はこんなにも楽しいと感じられる。
アイドルの世界へ飛び込んだのは、決して間違いなんかじゃないと胸を張って言える。

なのにこの場所ではどうだ。
悪意に溢れた者達が平然と人の命を奪い取る。
自分よりも年下の少年少女が惨たらしく殺される様をむざむざと見せつけられた。
まるで今の自身の心情をこれ以上ないくらいに表す、そんな空模様。
殺し殺されなんて世界、ニュース番組やフィクションの世界でしか知らなかった千雪でも分かる。
天候が悪化するのと同じように、この先もっと沢山の悲劇が降り掛かるのだと。

100 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:42:02
それを巻き起こすのは殺し合いを仕組んだ主催者か。
優勝という餌に食いついた危険人物達か。

「アイドルにしちゃ、随分と辛気臭い顔だな」

或いは、己の肉体に巣食う蛇か。

文具店の奥にある従業員用のトイレ。
手洗い場に設置された鏡に映るのはこの世で最も見慣れた顔。
誰よりも知っているその顔が、見た事の無い軽薄な笑みを浮かべている。
気味の悪い感覚だ。
自分の体を動かしているのが自分では無いなんて。
千雪の内心を知った上で、エボルトはあくまで自分のペースを崩さずに言う。

「そんな顔してると折角の綺麗な顔が台無しだぞ?」
(……こんな状況で笑顔になれる訳が無いでしょう)
「ああ、そりゃ正論だ」

リップクリームを使わずとも瑞々しい唇から出た、飄々とした声。
鏡が映し出すのは憂鬱とは程遠い、へらへらした表情。
辛気臭いと言われても千雪に見えるのは、自分であって自分ではないその顔だけ。
それともこの男には、意識のみとなったこちらの姿が見えているとでも言うのか。
聞いたところでマトモな答えが返って来るとは期待していないので、疑問には蓋をしておく。

「落ち込んでる女に気の利いた言葉くらいは掛けてやりたかったんだがねぇ。中々上手くいかねぇもんだ。娘にも呆れられちまうなこりゃ」
(娘さんがいるんですか?あなたに?)
「今はおっかねぇ女の残り滓が精神(なか)に入っちまってる、可愛くて手のかかる娘がな。悪い男に騙されないかこっちはいつもひやひやしてるよ」

今頃どうしてんのかねと呟いた声色に、本心からの不安は全く感じられない。
娘がいるのが事実だとしても、真っ当な親子関係で無いのは察せられる。
件の娘の話を続ける気は無いようで、あっさりと別の話へ切り替えた。

101 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:42:56
「ま、このままお喋りに興じるのも良いが、長々やってると相棒が起きちまうんでね」

相棒、誰を指して呼んでいるのかは千雪も知っている。
雨宮蓮、エボルトとはバトルロワイアルで最も長く行動を共にする少年。
現在は事務室まで運び、ソファーの上に寝かせてある。
ペルソナと仮面ライダーの力を駆使して、殺し合いを止めるべく奔走しているのはエボルトの視界を通して千雪も見て来た。
先程の戦いで、怒りのままに仲間の仇を討った光景も。

(蓮君は…大丈夫なのかしら……)
「さぁな。自分で持ち直せりゃ何よりだが、傷心期間が長引くようならフォローしてやるさ」

肝心のフォローが善意によるものではないのが大いに不安である。
蓮が所謂『非日常』の世界に生きる人間だとは分かる。
しかし肉体こそ成人した青年だが、精神はまだ10代の高校生。
大崎姉妹を始めとして、283プロに在籍する少女達と同年代だ。
そんな少年が心身共に幾度となく傷付けられ、仲間を失い、殺しに手を染めた。
一番近くで見ていた千雪は何度ハラハラしたことか。
一人の大人として蓮を支えてあげたいと思う反面、自分の言葉が蓮の助けになれるのか確かな自信がある訳でも無い。
何より蓮と話そうにも、肉体の主導権を握るエボルトが許可しない限りは不可能。
つくづく見ているだけで何も出来ない自分が嫌になる。

(プロデューサーさんなら……)

どんな時だって283プロのアイドル達を支えてくれた彼なら。
蓮が相手でも、彼の心の傷を癒せたのだろうか。
ここにいない人間の力をアテにしたって無意味であり、そもそもプロデューサーが殺し合いに巻き込まれていないなら喜ぶべきだろうに。
身勝手な期待をした自分への嫌悪で苦い思いが広がる。

「相棒に関しちゃ一旦置いといてだ、そろそろお前の話を聞かせて貰いたいんだがねぇ」

千雪の内心を知ってか知らずか、少しばかり急かすような言葉を掛ける。
感傷に浸らせてくれる時間は与えてもらえないようだ。

(街に着く前にも言いましたけど、あなたが望んでるような話は多分出来ませんよ…?)
「そいつは聞いてから判断する。とにかくお前が話さなきゃ始まらねぇ」

前置きは良いから早く話すよう要求された。
千雪自身は自分の話が何かの役に立つとは到底思えないが、エボルトの言うように具体的な内容を口にせねば始まらない。
暫しの躊躇を見せるもややあって知っている限りの事を話し始める。

102 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:43:48
殺し合い以前に覚えている最後の光景は普段通りの、本当に普段と変わらない一日だった。
寮の自室で目を覚まし、近所の公園まで軽く走って。
事務所でプロデューサーと軽い雑談に花を咲かせ、雑誌の撮影の仕事が入っていたので現場に向かったのが昼過ぎ。
大きな問題も起こらず、周りの人間が不審な様子を見せたとかも一切無い。
プロデューサーも、顔を合わせた283プロの少女達も至っていつもと同じ。

その筈だったのに気が付いた時にはもう、体の主導権を奪われていた。
何がどうしてそのようになったのか、前後の記憶はあやふや。
千雪が意識を取り戻したタイミングは最初の定時放送が流れる少し前、シロがルブランを襲撃した辺り。
切っ掛けと呼べるものが何か正確には不明だが、確かあの時は地図をチェックしたんだったかとエボルトは思い出す。
追加された複数の施設の中には千雪とも縁の深い283プロの名が記されており、もしやそれが原因なのだろうか。
だとしたら随分軽い理由である。

とはいえその時は意識こそ目覚めたものの、明確にエボルトが千雪の存在に気付いたのはもう少し後。
アーマージャックを始末しようとした時だ。
千雪自身の意思で無くとも、自分の体で参加者を殺害しそうになり動揺が一際大きく鳴ったあの瞬間にエボルトは千雪の意識が覚醒していると分かった。

(私から話せるのはこれくらいですけど…)

説明を聞き終わりエボルトは一言も発さない。
役に立つ情報が得られず落胆しているか、そうだとしても千雪には本当にこれが話せる全て。
いつもと変わらない日常を過ごし、何の前触れも無しに突然体を奪われた。
短く纏めるとこれだけ。

「…なァ千雪」

しかしエボルトには、そう単純な話とは思えなかったらしい。

「今の話、自分で言ってておかしいとは思わなかったのか?」
(え…?いえ、特には……。何が言いたいんですか?)
「一つだけ引っ掛かってるんだけどな?どうしてお前は、自分がボンドルド達に攫われた時の記憶が無いんだ?」
(それは……)

聞き返され言葉に詰まる。
何でと聞かれても覚えていないから答えようが無い。
口を噤んだ千雪へ言い聞かせる為に、或いは自分で言って考えを纏める為にか一つの仮説を語り始めた。

103 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:44:38
まず大前提としてボンドルド達がバトルロワイアルの正式な参加者として登録したのは、精神側の者達のみである。
仮の肉体を動かし自分以外の者を殺して優勝を目指すのは、名簿に記載された精神側の参加者しか認められていない。
言ってしまえば肉体の持ち主の意識は殺し合いにおいて邪魔な存在。
ではそのような邪魔な意識はどうすれば良いか。
一番手っ取り早いのは、準備段階の時点で肉体側の意識を消す事だろう。
余計な真似を防ぐために予め始末しておく。
最も効率的であり、仮にエボルトが主催者側にいてもそうする。

と、このように主催者達は最初から肉体側の意識を必要としていない。
精神側の参加者が殺し合いに連れて来られた時や、肉体を入れ替えられた時の記憶を覚えていないのは、余計な情報を与えない為と考えれば納得がいく。
だが肉体側の意識まで覚えていないのは何故だ?
主催者達の情報を知られるにしても、正式な参加者と違い肉体だけ奪って殺すとしか見ていない連中である。
わざわざ精神側の参加者と同じく記憶を消した上で殺すというのは、念を入れての行動にしても余計な手間ではないか。

そこでエボルトが立てた仮説。
今現在自分と会話をしている千雪は、元から千雪の肉体に宿っていた精神ではない。
殺し合いの最中に新しく生まれた桑山千雪という精神である。
エボルトに体を奪われていると言っても、肉体の構造は殺し合いの前と同じ。
脳が無事であるなら、新たに千雪の人格が生み出される可能性も否定はできない。
主催者に関する記憶を覚えていないのも当然だ。
何せその記憶を持っているのは、今ここに存在する千雪では無いのだから。
肉体の精神を消したのに後になって新しく生まれるなど、主催者にとって想定外の事態というのも納得がいった。

「とまぁ、俺が思い付いたのはこんなとこだな。これだと残念ながらお前の元々の精神はとっくに消されちまってるがね」

偶然にも斉木楠雄が柊ナナに語った三つの仮説、内の一つと同じ内容をそんな言葉で締めくくる。
あっさりと告げられた仮説に、当たり前だが冷静ではいられない。

(なん、ですかそれ……そんなの…そんなのって……!)

自分の体がちゃんと動かせたら、きっと真っ青な顔になった。
それくらいに動揺し声も震えを抑えられない。
ここにいる自分は実は後から生まれていて、本物の桑山千雪は既に死んでいる。
なら今の自分は何なんだ、覚えている記憶は全て消された方の精神が体験したものに過ぎないと言うのか。
自分という存在が曖昧に感じられてならない。
それに肉体側の精神が殺されているというのも到底受け入れ難い。
だってそれは千雪のみならず他の参加者も、甘奈や真乃もこの世にはいないと言っているようなものじゃないか。
それらしい理由を付けた所で、理解を拒み納得を拒否する内容だ。

104 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:45:33
「まぁ落ち着けよ。あくまでそういう可能性もあるってこった」
(……っ)

人の心を掻き乱しておいてどの口が言うのか。
反射的に返そうとするも言葉が実際に出はしない。
分かっているからだ、この男に正論をぶつけても意味は無い。
エボルトという男は余りにも異常過ぎる、体の主導権を奪われ今に至るまでにそう理解しているから。

アイドルをやっていればファンからの羨望や好意の目を強く感じるのは多々ある。
だが肯定的な目もあれば、同じくらい否定的な目もあるのが世の常。
同業者からの嫉妬や、アンチと呼ばれる者からの悪意を向けられる事も少なくはない。
表面上は気遣いを見せても邪な感情が見え隠れする者、素っ気無い態度を取りつつこちらを心配してくれる者。
良くも悪くも注目を集めてしまうのがアイドルという職業。
自分で選んだ道に後悔は無くとも、この世界にいて自然と感情の察知へ敏感になった。

では千雪がエボルトの言葉や態度から感じ取ったのは何か。
軽口で弄び愉悦に浸る悪意?
或いは他人への気遣いが抜け落ちた無神経?

どちらも違う。
千雪がエボルトから感じ取ったものは「無」である。

言葉だけ聞けば人間らしいのに、そこに宿る感情は何も無い。
飄々とした言葉を、まるで台本を読み演技しているかに感じられる。
いや、実際にはもっと無機質だ。
千雪も仕事でドラマの出演経験があるから分かるが、役者だって演技をする時には自分の感情を震わせて役をこなす。
エボルトにはそういったものが一切存在しない、まるで機械から音声が流れているかのよう。

この男は生きている、生きて言葉を交わしている、なのに生きているという熱を微塵も持ち合わせていない。
故に千雪はエボルトに戦慄を抱く。
自分の体を乗っ取った存在の得体の知れなさに、じわじわと侵食されるかの如き恐怖を抱くのだ。

105 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:46:33
「俺が言っておいて何だが、本当にそうだって決まった訳じゃあねぇぜ?」

嘘は言っていない。
エボルト自身も今のはあくまで仮説の一つして語っただけ。
殺し合い開始当初から考えていた、千雪の肉体にはブラッド族の能力を利用される形で憑依している可能性も捨てきれない。
千雪の体でブラッド族の能力を使える事実からも、どちらかと言えばそっちの方が可能性は高いとは思う。
が、それだって断定出来る程に明確な根拠は見つけられていない。
結局のところ、何が正しいのかはボンドルド達主催者にしか現段階では知り様が無かった。

「だからお前が心配する連中もまだ死んだと決まってはいねぇ。実際どうなってるかはともかくな」
(…余計な一言を付け加えないでください)

一方的にこちらを動揺させておいて、本当かどうかは分からないとは。
言ってやりたい山程の文句を飲み込み、苦々しく一言だけ返す。
甘奈と真乃がまだ無事でいる可能性を信じたいが、どうしたって悪い想像も思い浮かべてしまう。
本当に、どうして自分達が巻き込まれたのだろうか。
恨みを買うような真似をしていないアイドルを巻き込んでボンドルド達は何がしたいのか。
皆目見当も付かない。

「ああ、それに関しちゃ少しは思い付くぜ?」
(……他人の思考を勝手に読まないで欲しいんですが)
「おっと、そいつは悪かったな」

明らかに悪いとは思っていない返事もそこそこに、再び仮説の説明に入った。

「ボンドルドは殺し合いに勝ち抜けば新しい未来を切り開く鍵を手に入れられる、お前が起きる前の放送でアイツはそう言ったよ」
(人が殺されるような場所で、新しい未来も何も無いと思いますけど……)
「疑問は最もだが重要なのはそこじゃねぇ。その鍵ってのは、本当に俺達全員が手に入れられるものだと思うか?」

これまた言葉に詰まる質問だ。
鍵と言われても具体的にどんなものなか分かない。
だが疑問を含んだ言葉から、エボルトはボンドルドの言う鍵を参加者が手に入れるかは怪しいと思っているのだろうか。

106 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:47:32
「ボンドルドは鍵を手に入れる資格は参加者一人一人が持ってると言った。つまりは俺達全員平等に優勝の可能性があるって話かもしれねぇが、そうとは限らないかもな」
(嘘を吐かれたって言いたいんですか?)
「いや?資格自体は持ってるんだろうよ。ただ奴さん方が望んでいる鍵を手に入れる参加者ってのは、最初(ハナ)から絞られてるんじゃねぇかって話だ」

参加者全員に優勝の可能性はあると仄めかした。
しかし実際には限られた者のみが勝ち残れる、と言うよりはボンドルド達の望み通りの結末になるよう仕込まれている。

(それって…出来レース、みたいな感じですか…?)
「大雑把に言っちまえばそうだな。参加者の中には連中にとっての『本命』がいて、他はそいつの引き立て役か、それか『本命』程じゃねえが丁度良いサンプルか何かだろうよ」

参加している側は自分達にもチャンスがあると思い込み、実際には最初から優勝者は決まっている。
大多数の人間にネビュラガスを注入したが、計画の要と見ているのは二人だけ。
ビルドとしての力を順調に強化する戦兎と、胎児だった頃からエボルトの遺伝子を持つ万丈のみ。
エボルトにとっての本命があの二人であるように、ボンドルド達にもそういった者が参加者に紛れている筈。
千雪にも覚えがある話だ。
アプリコットのオーディションで、運営側が甘奈を選ぶと最初から決定していた時のように。
一時期アルストロメリアの間で険悪とまではいかずとも、気まずい空気が流れたのは覚えている。

「で、本命の可能性が今のところ一番高いのが……柊ナナだ」

直接の面識は無い、ミチルから信頼できる相手として聞かされた程度。
しかし精神と肉体の両方が主催者と関係しているのは、現在得ている情報だけでもナナ一人しかいない。
エボルトの仮説が正しいなら、これまた酷い話だ。
ナナの精神と斉木の身体を使った実験の巻き添えを食らったようなものではないか。
ボンドルド達の被害者という点ではナナと斉木も確実にその枠に入るが。

「俺の仮説が合ってるにしろ違うにしろ、柊ナナと接触して損はねぇ」

主催者に関する情報を得られる可能性は高く、会っておきたい所と改めて方針の一つに付け加える。
ミチルの名前を出せば多少はスムーズに情報を引き出せるだろう。

まさかナナが既に戦兎と接触しており、自分の抹殺を決めているとはエボルトにも知る由が無かった。

「取り敢えず聞きたい事は大体聞けたんで、相棒の所に戻るとしますかね。ああ、話し相手が欲しいってんならもうちょいお喋りでも続けるか?」
(…結構です)
「冷たいねぇ」

自分では愛しのプロデューサーの代わりにはなれないらしい。
けらけらと形だけの笑みを作りながら、蓮の眠る事務室へと向かった。

107 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:48:18
○○○


これは夢だとすぐに分かった。
同じような体験を数時間前にもしているから。
きっとこれも自分の視点ではない。
あの時と同じ、仮の肉体となった探偵の見ている景色。

左翔太郎の過去の記憶を再び見ているのだろう。

『あの子を……あの子を頼んだぜ…』

目の前に男が倒れている。
白いスーツを赤く染め、命の灯りが今にも消え掛かっている男が。

男の手がこちらへと伸び、ポスンと頭に何かを被せられた。
それは帽子だ。
スーツと同じ色で、切れ目の入った帽子が何故か宝物のように感じる。
知らない男なのに、彼が帽子を託してくれたのが嬉しくて。
でもそれ以上に自分がこの帽子を被るのが重く、どうしようもなく悲しい。

『……よしてくれ…俺に帽子は早い…!』

こんな形で託されたくなかった。
男が生きて、この先も成長をその目で見続けてくれて。
いつか本当に認められた時に、帽子をかぶせて欲しい。
自分が体験したのではないのに、そう強く思わずにはいられない。

『……似合う男になれ』

まるでこちらの不安を察したような言葉。
それっきり男は一言も発さない、指先一本も動かない。
命の終わりを目の当たりにするのは初めてでないのに、知らない相手なのに。
胸が締め付けられる。
自分の中から大切なものが欠け落ちた、そんな喪失感が襲って来た。

『おやっさあああああああああああああああん!!!』

涙が止まらない。
喉が枯れるくらいに叫んでも尚、この身を苛む悲しみは消えそうも無かった。

108 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:51:14



「――っ!!」

目を覚ますとやけに寒く感じた。
空気が冷たいと言うのだろうか、でもこの感じは妙に懐かしさがあるような。

不思議な感覚を疑問に思う前に、あれからどうなったのかを考える。
エボルトとゲンガーと共に白い仮面ライダーと戦い、光に包まれてから記憶が無い。
二人は無事なのか、承太郎達は今も戦っているのか。
目を覚ましたなら急いで彼らの無事を確認しなくては。
逸る気持ちに逆らわず体を起こし、ふと鏡を見た。

「なっ…」

驚きの声を思わず出してしまったのは仕方ないだろうと、誰に対してか分からない言い訳を浮かべた。
いやしかし、これは本当に驚いて当然だ。
何せ鏡に映っているのは、正真正銘自分の顔なのだから。
翔太郎さんではない、雨宮蓮の顔がぽかんと口を開けこちらを見つめている。
眼鏡こそ見当たらないが、あれは間違いなく自分の顔。

一体何がどうなっているのか分からない。
まさか自分は白い仮面ライダーとの戦いで死んでしまい、ここはあの世だから元の体に戻ったのか?
それともあの殺し合いは全て夢の中の出来事だったとでも言うのか?

「いいや、お前はまだ生きている。そして残念ながらあれは夢などではない」

答えをくれたのは自分ではない、聞き覚えのある声。
そちらへ振り向くと、まず最初に目に飛び込んだのは鉄格子。
高校生には縁の無いだろうソレも、自分にとっては馴染み深い。
鉄格子を挟んだ先にいる「彼ら」を見て、ようやく自分がどこにいるのか分かった。

109 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:52:29
「間抜け面を晒して主を待たせるな囚人!」
「少しは自分の立場を自覚してください」

片や激昂し、片や淡々と自分を責めるのは双子の看守。
髪型、帽子、眼帯の位置こそ違えど顔は瓜二つの少女。
そして彼女達の更に奥へは、長い鼻を持った老人の姿。

間違いない、ここはベルベットルームだ。
殺し合いが始まってからは一度も来れなかったが、今になってまた訪れられるとは。

「お前が驚くのも無理はない。我らがお前に干渉するのを、あの者達は強く制限していたのだからな」

やはりと言うべきか、ベルベットルームへ来れなかったのもボンドルドの仕業だったようだ。
色々と謎の多いここの住人達にも何らかの細工をするとは、改めて主催者は得体が知れない。
それでも彼らが無事なのを知れたのは良かったと思う。

→【無事でほっとした】
【生きてるならもっと早く言え】
【暫くここで寝かせて】

「……ふん、お前が心配なんて百年早い」
「あなたに心配される程、私達は軟ではありませんよ?囚人」

片方は何故か不機嫌そうにそっぽを向き、もう片方は少しだけ笑いながらそう言った。
友好的とは言えないが、自分の知っている通りの彼女達の反応に逆に安心する。

「我らが安易に干渉出来ぬよう策を弄したのは事実だが、我らの存在が消えた訳ではない。とはいえ制限自体は未だ継続している。これまでのようにお前の支援はまず不可能だろう」

支援が出来ない。
思わず双子を見ると苛立ちと憂いを含んだ声で、自分達の主の言葉を肯定した。

「主が仰った通りです。記録した囚人名簿からのペルソナ召喚が不可能になっています。原因については現在調査中ですが…」
「同じく、処刑道具もどういう訳か機能しない。全くあいつら…!我らにふざけた真似を…!!」

怪盗団として活動する際、ベルベットルームからの支援は度々助けになった。
パレスを攻略し、パレスの主を撃破し、時にはメメントスを探索する。
彼女達の協力でペルソナの力を強化したお陰で、ピンチを潜り抜けた場面も少なくない。
しかし殺し合いではそれらを受ける事は不可能。
巻き込まれた当初から分かってはいたが、これまでよりも厳しい戦いになるようだ。

110 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:53:17
「確かにこれは予期せぬ事態だが、お前の更生はまだ続いている。現にお前は既に新たな絆を手に入れたようだ」

共犯者と嵐を呼ぶ園児。
この地で得た絆はそのまま自分の力になった。
新たに得た二つのペルソナの存在は、ワイルドの能力が健在である証拠。
戦う為の力なら、今も変わらず宿っている。
弱い自分に、理不尽を押し付ける世界へ反逆する意思は変わっていない。

それなのに自分はまた守れなかった。
ミチルが殺されるのを防げず、やったのは殺害者を怒りのままに袋叩きにして命を奪った事のみ。
悪党を改心させる怪盗団でも、風の都を守る正義のヒーローでもない。
自分勝手に暴力を振るう悪人と同じではないのか。

こんな自分にまだ出来る事は……

【ない】
→【ある】
【分からない】

…………ある。
殺し合いはまだ終わっていない。
なのに戦う力が、誰かを守れる力がある自分が全てを投げ出すなど許されない。
ペルソナ使いになった忘れられない運命の日。
アルセーヌの問いかけに抗うと答え、仮面を引き剥がした自分自身の選択を誰が裏切るものか。

何より、仲間達だって皆生きている。
自分が支えになると決めた少年、しんのすけはミチルのお陰で生き延び、今もどこかで戦っている筈だ。
アーマージャックと戦った時もそう。
ミチルの勇気が自分達の助けになってくれた。

完全に吹っ切れてはいない。
でも言い訳を重ねて戦いから目を逸らすのは。
今を生きている者達を見ない振りするのは違う。

111 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:54:14
「ミチル……」

助けてやれなくて済まない。
だけどしんのすけを逃がしてくれた事は絶対に無駄にはしない。
遅くなってしまったけど、もう届かないかもしれないけど言わせて欲しい。

「しんのすけを守ってくれて、ありがとう…」





―――我は汝……汝は我……

―――汝、ここに新たなる契りを得たり

―――契りは即ち、 囚われを破らんとする反逆の翼なり

―――我、「信念」のペルソナの生誕に祝福の風を得たり

―――自由へと至る、更なる力とならん……



|信念のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました|





「どうやらまた一歩、更生を進めたようだな」

言われて頷く。
自分の内にまた一つ、新たな力が宿ったのを感じた。
犬飼ミチルという少女を表すのにこれ以上ないくらい相応しいアルカナ。
彼女とはもう二度と会えない、育んだ絆までは失われていない。
自分の勝手な想像かもしれないけど、ミチルが背中を押してくれたから新たなペルソナを得られたように思う。

ステータスを確認すると、攻撃以外に回復スキルも兼ね備えている。
それもまたミチルの優しさが表れているようで、彼女らしい力だ。

112 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:55:46
「…っ」

散って逝った仲間へ思いを馳せていると、急に視界が安定しなくなった。
この感覚には覚えがある。
現実世界へと戻る時間が近付いている合図だ。

「そろそろ時間か…。次はここに来れるとは限らん。だが忘れるな、お前の更生はまだ終わっていない。囚われである己の運命を変えたくば、足掻く他ない」

彼なりの激励だろうか。
ベルベットルームから再び殺し合いの舞台へ戻る自分に、そんな言葉が向けられる。
そうだ、まだ何も終わっていないなら戦うしかない。
戦って、馬鹿げた殺し合いの幕を下ろすしかないんだ。
今一度決意を固め、目覚めの瞬間を静かに受け入れようとする。

「……■■の分際で我を阻むとは…」

その寸前、ふと聞こえた長鼻の主の言葉。
聞き違いだろうか、自分が知る彼とは思えない苛立ちが含まれていた気がしたのは。





「よっ、起きたか?」

目を覚ますと至近距離で顔を覗き込まれていた。
吐息が当たる程に近い。
長い睫毛も、薄桃色の唇も、シミの一つも見当たらない白い肌もよく見える。

「…………!!!!??!!」

言葉になっていない叫びを上げ後退ろうとし、落ちる感覚がしたのは直後である。
どすんと尻から床に落ち、痛みがじーんと浸透。
思わず腰のあたりを擦りながらよろよろ立ち上がると、何が面白いのか共犯者がけらけら笑っていた。

「その青い反応はまだ抜けねぇなァ。いい加減慣れて欲しいもんだ」

肩を竦めて言うが、そっちこそいい加減女の人の体になっている自覚を持って欲しい。
恨めし気に見ても涼しい顔で受け流される。
まぁ分かってはいたけど素直に文句を聞き入れる奴ではない。
自分がいる場所を見回すと、見覚えの無い部屋だった。
エボルトがここまで運んでくれたのだろうか。

「白いのに二人揃って吹っ飛ばされてな、お前は気を失ってたから起きるのを待ってたのさ。流石に気絶したまま放置も出来ないからな」

どうやらまた眠っている間、エボルトの世話になったらしい。
素直に礼を告げるとひらひらと手を振りながら、「相棒なんだから当然だろ?」と返された。
胡散臭い仕草だが口には出さず、代わりにあの場で戦っていた皆はどうなったかを聞く。
返って来たのは分からないの一言。
同じ場所へ吹き飛ばされた自分以外はどうなったのか不明。
ならば一刻も早くゲンガー達と合流しなくてはならない。
体はまだダルいけど、少しの間だけでも寝ていたお陰か動けない程の疲れでも無い。

113 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:56:43
それに今の自分にはミチルとの絆で得た力もある。
重傷を負っている仲間がいれば、この力で助けられる筈だ。
こうしてはいられないと外へ出ようとすると、エボルトから傘を手渡された。

「ずぶ濡れになりたいんならいらねぇだろうがな」

自分の意識がベルベットルームを訪れている間、既に準備は済ませていたのか。
もう一度礼を言うと肩を竦められた。
そのまま揃って部屋を出て、文具が散乱しているスペースを抜け外へと向かう。
雨はまだ止んでいない。
傘をさし仲間達との合流へと出発する時、何気なく共犯者へ問い掛ける。

「寝ている間に何か起きたりしたか?」

聞かれた当人は特に顔色も変えず、さらりと答えた。

「いや?なーんにも無かったよ」


【D-6とD-7の境界 街/午後】

【雨宮蓮@ペルソナ5】
[身体]:左翔太郎@仮面ライダーW
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、SP消費(大)、体力消耗(中)、怒りと悲しみ、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情
[装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品×3、ダブルドライバー@仮面ライダーW、ハードボイルダー@仮面ライダーW、、スパイダーショック@仮面ライダーW、ランダム支給品0〜2(煉獄の分、刀剣類はなし)、T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、両津勘吉の肉体、ジューダスのメモ
[思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。
1:ゲンガー達と合流に向かう。
2:仲間を集めたい。
3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。
4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。今どこにいるんだ?
5:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。
6:逃げた怪物(絵美理)やシロを鬼にした男(耀哉)を警戒。
7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。
8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。
9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う
[備考]
※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。
※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。
※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。
※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。
※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。スキルは以下の通りです。
・フレイラ
・ディアラマ
・リカーム(死亡した参加者の蘇生は不可能)
・マハフレイラ
※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。

114 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:57:41
【エボルト@仮面ライダービルド】
[身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、千雪の意識が復活
[装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、エターナルソード@テイルズオブファンタジア、???????
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、煉獄の死体、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル
[思考・状況]
基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。
1:■■からの連絡を待つ。
2:ゲンガー達と合流に向かう。
3:蓮や承太郎を戦力として利用。
4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。
5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。
6:自身の状態に疑問。
7:出来れば煉獄の首輪も欲しい。どうしようかねぇ。
8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。
9:柊ナナにも接触しておきたい。
10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。
11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?)
12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。
13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか?
[備考]
※参戦時期は33話以前のどこか。
※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。
またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。
※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。
また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。
エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。
※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫)
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。















(蓮君には言わないんですか…?)
(今はまだ、な)

115 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:58:40



時は蓮が目を覚ます数分前に遡る。

「戻ったぜ…っと、まだ寝てるか」

事務室へ戻ったエボルトだったが蓮は意識を落としたまま。
もう少し余裕を持って千雪と話しても問題は無かったかもしれない。
適当な椅子に腰を下ろし天井を見つめる。
考えなければならない事は山ほどあるのだ、座って体を休めている間にも頭は動かしておくに限る。

(千雪の精神が消される気配は相変わらず無しと…。となりゃあ主催者が腰を上げる何かを引き起こせるチャンスはまだあるか)

先程も考えたが、主催者が体の意識を消しに来るとはつまり向こうから参加者に接触するということ。
問題は主催者を動かす為の具体的な方法。
身体側の参加者が精神側の参加者に取って代わるなど、過度の干渉が起こるのをボンドルド達は歓迎していない。
となると、シンプルながら効果を期待できそうな方法が一つある。

肉体の主導権を千雪本人に返す。
エボルト自身は一度意識を引っ込めて、千雪が自由に元の体を動かせるようにする。
アーマージャックを始末した直後、エボルトは千雪が自分の口で会話が可能な状態にした。
ということはエボルトの意思一つで更に千雪を解放してやれる。
そうなればボンドルド達には宜しくない状況の完成だ。
精神側の参加者を差し置いて、不要と見なした身体側の意識が平然と行動しているのだから。
試しに蓮が眠っている今、千雪に体の主導権を一時的に返却しようかと考え、

116 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 21:59:35
「……やめとくか」

却下との判断を下した。
何せ自分はまだ首輪を解除していない。
そのような状況で意図的に主催者との接触を図った結果、肉体のみならず精神も不要として首輪を爆破される可能性も十分考えられる。
仮に実行するにしても、もう少し検討する必要があるだろう。

加えて千雪へ肉体を本当に明け渡せるかも、今となっては正直分からない。
主催者は身体側の精神の復活を良しとしない。
それなら、その気になれば千雪を自由に動かせる自分の能力を放置しておくだろうか。
ひょっとしてエボルトが気付いていないだけで、千雪に体の主導権を返せないような制限を課せられているんじゃないか。
実際に試さない事には確信を持てないが、否定出来るだけの材料も持ち合わせていない。
何にしても、今すぐに行動を起こすのは控えておく。

「いずれは勝負に出なきゃならねぇかもしれんが、今はもうちょい慎重に行かせてもらうぜ」

焦って腹の括り時を見誤れば全てがおじゃんだ。
慎重になり過ぎてチャンスを逃すのも以ての外。
とにかく柔軟かつ冷静に考え、ここぞという場面での最適解を弾き出す。
元の地球での計画も同じだ。
最上が開発したエニグマなど想定外の事態もあったが、どうにか乗り切って来た。
思考停止だけは避けねばなるまい。

一度頭をリセットしようと水を取り出そうとする。
残念ながらルブランのコーヒーは無く、作れる者は未だ夢の中。
苦みは強いが酸味とコクは癖になる、喫茶店のマスターをやっていた自分からしても文句の付けようがない上手さ。
あれをもう一度味わえる機会は果たして今後あるのやら。
仕方なしに味気ない水分補給を行うべく、デイパックの口に手を突っ込み、

「…………」

手に何かが当たった。
水の入ったペットボトルではない。
コンビニで売っている弁当の容器ではない。
地図や名簿などの紙でもない。
デイパックに入っている物のどれにも当て嵌まらないソレを掴み、ゆっくりと手を引き抜く。

117 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:00:35
外に出した右手が握っているのはエボルトが初めて見る物、ではない。
むしろ地球に来てからは毎日目にしているし、常に使用している。
長方形の薄い、掌に乗っかる程度の大きさの板。
スマートフォンである。
現代人にはほぼ必要不可欠の電子機器、どこにいても使える他者との通信手段。
そんな日常のツールが自身の手元にある事実が、エボルトには不可解でならない。

何故ならエボルトのデイパックにスマートフォンは入っていなかった。
後から手に入れたシロのデイパックにもである。
しかし現実としてスマートフォンは確かにエボルトのデイパックの中にあった。
見落としたつもりは無い。
それまで無かった道具が突然デイパック内に出現する現象、それはバトルロワイアルの参加者なら既に一度体験している。
名簿とコンパスをデイパックに転送した、主催者の技術。

「……」

起動させると早速気付いた。
SNSにメッセージが一件届いている。
戸惑っていても時間の無駄だ、一切の躊躇なしで確認の為に開く。

『届いてるか?』

画面に表示されたのはその一言だけ。
届いているとはスマートフォンがデイパックの中に届いたことか。
このメッセージを見ているかの確認か。
それとも両方か。

『ああ、届いてるよ。一応聞いておくが、まさか送り主を間違えたなんて言わないよな?』

スラスラと文字を打ち込み送信。
10年も暮らしていれば地球産の電子機器だって余裕で使いこなせる。
時間を置かずに返事が返って来た。

118 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:01:15
『そんなヘマはしない。エボルトだろ?私はお前に頼みたいことがあるからスマホを送った』
『使い走りに選んで頂き光栄だな。だが何故30人は残ってるだろう参加者の中で俺なんだ?』

当然の疑問をぶつける。
まさかとは思うがランダムに選んだのでは無い筈だ。
生き残っている中でエボルトを選んだのには、相応の理由があるに違いない。

『私だって本当は他に頼れるならそっちに頼みたかった。けど大っぴらに頼むとボンドルド達に私が参加者と接触したってバレるだろ。お前は秘密裏に動いてくれそうだし、一応殺し合いには乗ってない』

返信を一文字も見逃さず読み、思考を高速で動かす。
頼れるならそっちに頼みたかったという文面、それにエボルトの方針を把握しているような内容。
ボンドルドの名前を出し、奴に自分の行動がバレるのを恐れている。
つまりこの人物は参加者達の動向を把握可能な立場、主催者側の人間。
何らかの理由でボンドルドの意に反する何かを行おうと、独自にエボルトに連絡を取った。

『色々と知っているようだが、こっちはお前の事を何も知らないんだがな。ボンドルドに逆らう理由はなんだ?贔屓してた奴が脱落してヤケクソにでもなったか?』

あえて神経を逆撫でする内容で返信を行う。
冷静沈着な奴ならともかく、そうでないなら…

『そうじゃない!!!私だって本当は協力なんてしたくなかった!!!!殺し合いだって知ってたら、それにあいつまで巻き込まれてるって分かってたら誰が手を貸すか!!!』

口で直接言えない怒りを文章でぶつけているのだろう。
わざわざ「!」マークを複数付けているのがその証拠。
相手がどんな体でどんな怒り顔をしているか、文章だけでは想像も付かない。
しかし読み取れる情報ならばある。
この人物は主催者側にいると言っても、殺し合いには全く乗り気ではない。
ボンドルド達が殺し合いを起こすと知らないまま協力させられ、気付いた時には引き返せなくなった。
更に「あいつまで巻き込まれていたら」という部分、親しい者が参加しているのを後から知ったのだろうか。

何もかもがこの人物には想定外。
このまま最後までボンドルドに協力する気にはなれず、反抗する道を選びその第一段階としてエボルトに連絡を取った。
動機は何であれ主催側の人間とのパイプを得られたのは間違いない。

119 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:02:07
『そいつは悪かったよ。お詫びと言っちゃあ何だが、出来る限り協力はしてやるさ。ただこっちの質問にも色々と答えてもらうぜ?』

主催者側にいるなら、有している情報の量も相応の筈。
聞かない理由は無い。

『私の知ってる範囲の事は答えるけど今はあんまり余裕が無い。だから次の連絡を待て』

返答は少しばかり肩透かしを食らうもの。
すぐにでも情報を開示してはくれないということか。
焦らされて良い気分はしない。

『協力を漕ぎつけといてこっちの聞きたい事には答えないってか?ちょいとセコいんじゃねぇのか?』
『しょうがないだろ、私だって危ない立場でお前に連絡してるんだ。とにかく次に連絡したらちゃんと見ろよ。それから、一緒にいるあいつの助けになってくれ』

あいつが誰を指しているのか。
名前は出さずともエボルトと今一緒にいる参加者は一人だけ。
ソファーの上で目を閉じた青年にチラリと目をやる。
却って謎が増えた気がしてならない、それでも今後使えそうな手札(カード)を入手できた。
向こうの詳細な状況は知る由も無いが、いつボンドルド達にバレてもおかしくはないリスクを背負っている。
ここでしつこく食い下がって相手から更に余裕を奪っては、折角の情報源を失ってしまう。

一先ずは相手の言う通り次の連絡を待つ。
その前に一つだけ質問があった。

『なら最後に教えてくれ。お前さんのことは何で呼べば良い?』
『私のことは……――』

120 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:03:04



メッセージでのやり取りを終え、スマートフォンを仕舞う。
あの人物に関する情報を他者に明かすつもりは今のところ皆無。
大っぴらに蓮や他の参加者に情報を伝えて、あの人物の裏切り行為がボンドルド達にもバレては一大事だ。
別に心配はしていないが貴重な情報源を失うのは痛い。
それに万が一を考えれば、主催者とのパイプというアドバンテージを独占しておくのも悪い手ではない。

(さて…どうするかねぇ……)

やるべきことは多い。
ゲンガーや承太郎、黎斗との合流。
自分達より街で先に戦っていた連中とも情報交換が必要。
しんのすけが行方不明なら探す必要があり、特に蓮は絶対に捜索に行くだろう。
ホイミンを探しに行ったいろはとジューダスの動向も気になる。
未だどこにいるのか分からない戦兎や、殺し合いで重要な役目を背負わされていると推測するナナとも会っておきたい。

それといい加減煉獄を始めとして、死体から首輪を入手したいところだ。
首輪解除のサンプルは一つでも多い方が良いし、モノモノマシーンで装備を増やす為にも首輪は欲しい。
今後もディケイドや櫻木真乃の体の参加者が変身したライダーを相手にするなら、戦力増加の機会を見逃せない。
とはいえ蓮は死者の首を刎ねるのを良しとするような性格でないのが厄介だ。
承太郎にしたって新八の首輪が欲しいと言っても、素直に承諾はしないだろう。

今後の方針の多さに反して動かせる体はアイドルの体一つ。
全く骨が折れる所の話ではない。
何にしても、主催者側からのコンタクトはバトルロワイアルをボンドルド達も予期せぬ方へと転がす起爆剤だ。
ポケットに仕舞ったスマートフォンをチラと見やり、薄ら笑いを浮かべ呟く。

「精々仲良くやろうぜ?『ナビ』」

その名前が雨宮蓮に、怪盗団のリーダーにとってどんな意味を齎すか。
今はまだ、誰も知らない。

121 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:03:49
【D-6とD-7の境界 街/午後】

【エボルト@仮面ライダービルド】
[身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、千雪の意識が復活
[装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、エターナルソード@テイルズオブファンタジア、スマートフォン@オリジナル
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、煉獄の死体、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル
[思考・状況]
基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。
1:ナビからの連絡を待つ。
2:ゲンガー達と合流に向かう。
3:蓮や承太郎を戦力として利用。
4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。
5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。
6:自身の状態に疑問。
7:出来れば煉獄の首輪も欲しい。どうしようかねぇ。
8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。
9:柊ナナにも接触しておきたい。
10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。
11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?)
12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。
13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか?
[備考]
※参戦時期は33話以前のどこか。
※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。
またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。
※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。
また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。
エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。
※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫)
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。
※制限で千雪に身体の主導権を明け渡せなくなっている可能性を考えています。

【スマートフォン@オリジナル】
主催者側の『ナビ』がエボルトのデイパックに転送した携帯電話。
外見は普通のスマートフォンと変わらない。
通話機能などがどうなっているかは現在不明。

122 ◆ytUSxp038U:2023/04/09(日) 22:04:43
仮投下終了です
問題があれば連絡をお願いします

123修正版 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:23:55
シンチェンジ本スレ62を以下のように変更します

鞄を漁り中の道具を確認し、使い方も理解した。
彼は他の同胞を見下すだけあって、知能も非常に高い。
支給された道具は複数のモンスターを使役し、特殊な鎧を纏う効果を持つ。



鞄を漁り中の道具を確認し、使い方も理解した。
彼は他の同胞を見下すだけあって、知能も非常に高い。
支給された道具は特殊な鎧を纏い、更には武器も同時に出現する。

124修正版 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:28:44
本スレ63と死亡表記、並びに支給品説明を以下のように変更します

起きた事を説明すれば、別の参加者に襲われたで片付く。
呼び出したモンスターが一瞬で殲滅に追いやられ、彼自身も重傷を負った。
そう付け加える必要があるが。



起きた事を説明すれば、別の参加者に襲われたで片付く。
振るった槍を逆に両断され、鎧の上からでも耐え難い痛みを味合わされた。
そう付け加える必要があるが。


○死亡表記
【ゴブリンロード@ゴブリンスレイヤー(身体:佐野満@仮面ライダー龍騎) 死亡】



【ゴブリンロード@ゴブリンスレイヤー(身体:初瀬亮二@仮面ライダー鎧武) 死亡】


○支給品
【インペラーのデッキ@仮面ライダー龍騎】
仮面ライダーインペラーに変身するカードデッキ。
レイヨウ型モンスターのギガゼールと契約している。
ギガゼールは集団で行動する習性を持ち、他のゼール系モンスターと意思疎通する能力を有している。
その為インペラーはゼール系モンスターを種族ごと支配下に置いている。




【戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
戦極凌馬が開発設計した変身ベルト。
ロックシードを装填しアーマードライダーに変身する。
イニシャライズ機能が搭載されており、最初に使った人間以外は変身出来ない。

【マツボックリロックシード@仮面ライダー鎧武】
アーマードライダー黒影の変身に用いるロックシード。
量産型の戦極ドライバーに装填した際は黒影トルーパーに変身する。

125 ◆ytUSxp038U:2023/04/23(日) 01:29:57
以上で修正を終了します
何かありましたら連絡をお願い致します

126 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 20:47:05
「この体の元の持ち主の名前はクトリちゃんっていう女の子なんだ……」

彼女の名前は衛藤可奈美。元の世界では刀使として荒魂という存在から人々を守っていた。

そして現在彼女は青空の髪で凪の海ような眼を持つ少女クトリ・ノタ・セニオリスの体になっていた。

127 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 20:54:40
「私は誰を犠牲にして叶えたい願いはないから……だから私はこの戦いを止める! クトリの体を少し借りるね!」

刀使の少女は戦いを止めるために戦うことを決意する。

128 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/14(金) 21:06:48
【衛藤可奈美・刀使ノ巫女】
【身体】クトリ・ノタ・セニオリス
【状態】健康
【装備】御刀 千鳥
【恩考・状態】この戦いを止める。誰も死なせない。
1 絶対に誰も死なせない。全てを守る。
・参戦時期 アニメ完結後
投稿終了です。

129 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:35:07
再びこちらに投稿します。タイトルは【運命】です。

130 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:47:31
「またとんでもないことに巻き込まれましたね……」

手鏡で自分の姿を見てそう呟く黒髪の少女井ノ上たきな。

「とりあえず……この体について調べないとですね」

たきなはタブレットで自分の体の本来の持ち主の情報を確認する。

今のたきなは銀髪で赤いドレスのような服装をした少女の体になっていた。

131 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 10:58:13
「名前は運命……ムジカートとして大切な人のために戦い抜いた少女……」

たきなは自分の体の持ち主の情報を確認すると、少し黙ってからこう呟く。

「運命……少しだけあなたの体を借ります。この戦いを止めるために!」

たきなはこの戦いを止めるために戦うことを決意する。

132 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 11:10:29
【井ノ上たきな・リコリス・リコイル】
『身体』運命『コゼット・シュナイダー』・タクトオーパス
『状態』健康
『装備』拳銃
『恩考・状態』基本方針・このふざけた戦いを止める。
1 戦いを止めて、誰も死なせない。
2 黒幕を捕まえる。

投稿終了です。

133 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 11:11:42
ちなみにたきなの参戦時期はアニメ1期完結後です。

134 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:36:49
再びこちらに投稿します。タイトルは【リコリスの少女】です。

135 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:41:49
「他人の体で殺し合いさせるとか……ありえないんだけど……」

そう呟く少女の名前は錦木千束。

136 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:55:51
「とにかく今はこの体の持ち主の情報を確認にしないと」

千束はそう言いながらタブレットで情報を確認する。現在の彼女は赤髪の少女の姿になっていた。

「佐藤麗華……それがこの体の持ち主の名前なんだね。それでアイドルなんだ……すごいね!」

佐藤麗華という少女はどうやらアイドルらしい。

「この体を持ち主に返すためにもこの戦いを止める!絶対に誰も死なせない!」

戦いを止めることを決意する千束。

137 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 21:59:48
【錦木千束・リコリス・リコイル】
『身体』佐藤麗華・22/7

138 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 22:09:14
『状態』健康
『装備』拳銃
『恩考・状況』基本方針・この戦いを止める、絶対に誰も死なせないし、殺させない。
1 この戦いを止めて、体を持ち主に無事に返す。
2 絶対に誰も死なせない。
参戦時期
アニメ1期完結後。

139 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/15(土) 22:10:06
投稿終了です。

140 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:21:20
再びこちらに投稿させていただきます。
タイトルは【太陽の少女と自称イケメン】

141 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:34:01
「殺し合いなんて絶対にだめだよ……止めないと!」

彼女の名前は川咲さくら。元の世界ではサニーピースというグループに所属するアイドルである。

「まずは私が借りてる体の持ち主さんのことを確認にしないと……」

さくらはタブレットで体の元の持ち主について確認する。現在の彼女は金髪の少女になっていた。

「名前は藤間桜ちゃん……私と同じ名前なんだね! それにアイドルなんだ! すごいな……!」

どうやら彼女が借りてる体の持ち主は偶然にも同じ名前でアイドルだったらしい。

142 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 20:42:52
さくらがタブレットで情報を確認にしていると誰が近付いて来た。

「あなたも参加者ですが……?」

そこに現れたのは黒髪の少女。その少女がさくらに参加者か聞いてくる。

「琴乃ちゃん!?」

さくらはその少女を見て驚いていた。どうやらその少女はさくらの知り合いだったらしい。

「私は琴乃ちゃんではありません!! 劉備軍一のイケメン!! 趙雲です!!」

「琴乃ちゃんがおかしくなった!?」

これからどうなるのか……。

143 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 21:04:18
【川咲さくら・アイドリープライド】
『身体』藤間桜・22/7
『状態』健康
『装備』なし
『恩考・状況』・基本方針・この戦いを止める。
1 誰も死なせたくない。
2趙雲さんと協力する
3 体を持ち主に返す。

144 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 21:05:44
参戦時期はアニメ終了後です。

145 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 21:12:40
【趙雲子龍・新解釈三國志】
『身体』長瀬琴乃・アイドリープライド
『状態』健康
『装備』槍
『恩考・状況』・基本方針・さくら殿と一緒に行動する。
1 さくら殿と行動する。
2姿が変わっても私が劉備軍一のイケメンです!
3身体を持ち主無事の返す。

参戦時期は赤壁の戦いが終わった後。

146 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/16(日) 21:13:37
投稿終了です。

147 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 14:47:56
再びこちらに投稿します。タイトルは【夢を結ぶ少女と絶剣と呼ばれし少女】

148 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 14:49:39
再びこちらに投稿します。タイトルは【夢を結ぶ少女と絶剣と呼ばれし少女】

149 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 15:07:42
「人の体を入れ替えて殺し合いをさせるなんて……許せないわね」

彼女の名前は白井夢結。元の世界ではリリィとしてヒュージ呼ばれる存在から人々を守るため戦う少女である。

「今はこの体の持ち主の情報を確認する必要があるわね」

夢結はタブレットで情報を確認する。今の彼女は黒髪の少女の体になっていた。

「この体の持ち主は十条姫和さん……刀使として荒魂と呼ばれる存在から人々を守るために戦う少女……私たちリリィと似ているわね……それに彼女は家族を亡くしているのね……」

家族を亡くしていることにどうやら夢結はなにかを感じたらしい。

「姫和さん……あなたの体を少しだけ私に貸してくれる? この戦いを止めるために!」

夢結はこの戦いを止めることを決意する。

150 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 15:23:57
そして、夢結から少し離れた場所に別の少女がいた。

「まさか死んだかと思ったら……大変なことに巻き込まれたな……。だけど、誰かの体を使って殺し合いなんて絶対にだめだよ!」

彼女の名前はユウキ。元の世界では絶剣と呼ばれ、本来の彼女は既に亡くなっているはずなのだが……現在は茶色の髪の少女になっていた。

「この体も早く持ち主に返さないと……!」

ユウキの今の体は戸田ジュンと呼ばれ少女のものらしい。

夢結とユウキそれぞれがどうなるのか……

151 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 15:33:16
【白井夢結@アサルトリリィ】
『身体』 十条姫和@刀使ノ巫女
『状態』健康
『装備』小烏丸
『思考・状況』・基本方針・この戦いを止めて、体を持ち主に返す。
1この戦いを止める。誰も死なせるつもりはない。
2体を持ち主に無事に返す。

152 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 15:45:04
【ユウキ『紺野木綿季』@ソードアート・オンライン】
『身体』戸田ジュン@22/7
『状態』健康
『装備』剣
『思考・状況』・基本方針・この戦いを止めて、体を持ち主に返す。
1この戦いを止める。まずは誰かと出会わないと。
2体を持ち主に無事に返す。

153 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/17(月) 15:45:46
投稿終了です。

154 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 19:54:34
再びこちらに投稿します。タイトルは【トップアイドルを目指す少女とワールドダイスターを目指す少女】です。

155 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 20:04:07
「あなた!! 私の身体を返しなさい!!」

「それはアタシのセリフよ!! あなたこそ私の身体を返しなさいよ!!」

森の中で言い合いをする二人の少女。斎藤ニコルとカトリナ・グリーベルである。どうやらお互いの身体が入れ替わったらしく……

「どうしてお互いの身体が入れ替わってるのよ!!」

「そんなのアタシが知りたいわよ!!」

しばらく言い合いした後、お互いに落ち着きを取り戻した二人は情報の確認をするのであった。

156 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 20:15:10
「本当にあなたはワールドダイスターを知らないの?」

「聞いたこともないわね……? あなたこそ22/7というアイドルグループは知らないの?」

「そんなグループ聞いたこともないわよ……」

お互いに情報を確認して、二人はある結論に至る。

「どうやらアタシたちはお互い別の世界から来たようね……」

「信じられないけど……そうみたいね……」

ニコルとカトリナはお互いに違う世界から来たらしい。

「アタシはこんなふざけた戦いを止めて元の世界に帰るわよ!」

「それは私も同じよ! 絶対に元の世界に帰るわよ!」

お互いに元の世界に帰るために行動することを決意する二人。

(それにしても彼女の声は藤間さんに似ているわね……)

ニコルはそんなことを思っていた。

157 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 20:22:22
【斎藤ニコル@22/7】
『身体』カトリナ・グリーベル@ワールドダイスター
『状態』健康
『装備』なし
『思考・状況』・基本方針・戦いを止めて、身体を取り戻して元の世界に帰る。ただ人は殺さない。
1私の身体を取り戻して元の世界に帰る。ただ人は殺さない。
2カトリナさんの声は藤間に似ている気がする……?

158 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 20:29:57
【カトリナ・グリーベル@ワールドダイスター】
『身体』斎藤ニコル@22/7
『状態』健康
『装備』なし
『思考・状況』・基本方針・戦いを止めて、身体を取り戻す。人殺しは絶対にしない。
1身体を取り戻して元の世界に帰る。ただ人殺しはしない。

参戦時期はニコルはアニメとゲーム完結後。カトリナはアニメ完結後です。

159 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/19(水) 20:30:40
投稿終了です。

160 ◆bLcnJe0wGs:2023/07/21(金) 10:07:15
投下させて頂きます。

161もふもふ ◆bLcnJe0wGs:2023/07/21(金) 10:10:57
 会場内にあるビジネスホテルの一室───

「う〜ん… あら? なんだか首周りがモフモフしますわ?」

 その場所で目覚めた、一人(?)の参加者。
 意識を取り戻すと、青白い手や真っ白な沢山の羽根、そしてそれと同色の装束が自身の視界の中にあるのを目にした。

(これは…ニンゲン…いや、それとは別の種族…?)

 その身体を起き上がらせる。
 どうやら、二足歩行が可能な様であり、立ち上がってからベッドに向かって数歩だけ歩き、腰をかけてタブレットにデータとして入っている身体のプロフィールを確認する。

 それによると、この身体には『ラタトスク』という名前があり、元いた世界で銀河宇宙の意思なるものによって生命あるものを滅ぼす為に生み出されたのだが、
 本人はプライドの高い性格故にそれに従わないことを誓い自身のエゴで世界支配を目論んでいたことや、
 彼が使える能力やそれらの制限に関する情報が記されている。

 (ウフフ。でも、元のワタシの毛のようなふわふわの羽根飾りに燃えるほのおのようなキレイな色の髪、気に入りましたわ。)

 しかし、その身体に精神を入れられた彼女である『モフリアス』は彼の本来の性格やまだ試してもいない能力はともかく、
 その容姿は気に入ってしまったようだ。

「もしかしたら、たるおやまろうこん達も巻き込まれているかも知れませんわ。
 特にまろうこんはとてもキケンなので心配ですわ!」

162もふもふ ◆bLcnJe0wGs:2023/07/21(金) 10:12:14
 支給品の確認を終えた彼女はベッドを降り、カーテンと窓を開けると身体側にある浮遊能力を使い、そのまま空中へと飛び立った。

 ─それは、この場所に居るであろう危険な参加者達から、殺し合いの脅威にさらされている者達を助ける為に。

【モフリアス@バケモン混沌のダンジョン 罵愚の探検隊】
[身体]:ラタトスク@新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ
[状態]:
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3(確認済み)
[思考・状況]基本方針:危険な参加者から殺し合いに反対的な参加者を守る。
[備考]
※参戦時期は少なくとも本編に登場した後。
※イモータルとしての不死性は制限によりなくなっています。
※ダークホールを用いたワープは他者の視界に入っている範囲であれば可能。
※身体側が持っているその他の能力制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。(精神側は把握済み)

163 ◆bLcnJe0wGs:2023/07/21(金) 10:12:57
投下終了させて頂きます。

164 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/21(金) 23:57:03
再びこちらに投稿します。タイトルは【長瀬麻奈】です。

165 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 00:10:47
「まさか成仏したかったと思ったら……今度は別の人の身体になってるなんてね……」

彼女の名前は長瀬麻奈。元の世界ではアイドルとして活躍していたが、事故で死亡してしまい、その後、幽霊になり、色々あって成仏したはずなのだが……今はユナという少女の身体になってしまったらしい……。

「他人の身体を使って殺し合いさせるとか……どうかしてるわね……。 さて、これからどうしようか……」

一度幽霊になり、今度は別の少女の身体になった彼女はどうするか。

166 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 00:23:00
【長瀬麻奈@アイドリープライド】
『身体』ユナ@ソードアート・オンライン オーディナル・スケール
『状態』健康
『装備』なし
『恩考・状況』基本方針・まずは誰とかと会わないと
1 この身体を持ち主に無事に返さないと。
2 誰と会って情報交換かな

参戦時期はアニメ完結後です。

167 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 00:23:34
投稿終了です。

168名無しさん:2023/07/22(土) 14:52:32
書き込みテスト

169 ◆bLcnJe0wGs:2023/07/22(土) 15:27:37
投下させて頂きます。

170Darkness And White ◆bLcnJe0wGs:2023/07/22(土) 15:28:54
 (まったく…また知らない世界に連れて来られて殺し合いをしろと言われるなんてね…
 今回は首輪がない代わりに魂を消す見えない壁があるとはね…)

 会場内のとある場所。
 ベンチに腰を掛け、基本支給品の食料と飲料水を口にするコートを着用したの女性の姿があった。

(まったく…最初に呼ばれた殺し合いじゃ食料なんて支給されなかったのに、こっちは基本支給品なんてものがあって誰にでも水と食料が配られてるのね)

 基本支給品。それは彼女がまだ本来の身体を持っていた頃、最初に招かれた殺し合い。
 それも、食料がまともに得られるものではない状況の中だった。
 その際は元いた世界で出来た友人で、人間の少女である『あい』と一緒に巻き込まれた。
 連れて来られた世界の日本では『バトルロワイアル法案』というものが施行されており、高齢化対策の為に食料の供給を規制される等して殺し合いが推奨され、国内にいる者達も反乱対策の為爆弾付の首輪をはめられた。
 自分とあいもその殺し合いの為の舞台装置のような扱いを受ける為に元の世界から拉致された。
 その結果あいとの友情が崩壊し彼女を殺しそうになったが、逆に自分が殺されることになった。

(さて、腹ごしらえは終わりね?次は辺りを見渡すとしましょうか?)

 食事を終え、周辺を見渡す。
 それも、以前の殺し合いの時にあっさりと殺されることがない様に。
 余りの空腹でタブレットもまともに確認せず食事をとった為、身体側のプロフィールは確認していないが、そうだからと今更確認する余裕は彼女にない。

171Darkness And White ◆bLcnJe0wGs:2023/07/22(土) 15:29:30
【ビアンカ(どうぶつの森)@テラカオスバトルロワイアル】
[身体]:ドゥネイル@続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ
[状態]:腹八分目、発狂気味
[装備]:
[道具]:基本支給品(うち食料一食分、水一本の内4/1程消費)、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:今度こそは生き残る。
1:まずは周辺を見渡す。
2:余裕があればランダム支給品と身体側のプロフィールを確認したい。
[備考]
※参戦時期は少なくとも第1期177話であいに殺された後。
※身体側のプロフィールを確認していません。

172 ◆bLcnJe0wGs:2023/07/22(土) 15:30:07
投下終了させて頂きます。

173 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 18:54:38
再びこちらに投稿します。タイトルは【リリィとして生きた少女】です。

174 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 19:03:52
「私……生きてる?」

彼女の名前は一柳結梨。元の世界ではリリィとしてヒュージと呼ばれる存在と戦う少女であり、彼女はヒュージとの戦いで死亡したはずなのだか……

「私はなんで生きてるんだろう……? それに違う人の身体になってる……」

今の彼女は和泉沢愛生という少女の身体になっていた。

「梨璃、夢結……私はどうすればいいかな……?」

彼女はこれからどうするのか……?

175 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 19:16:38
【一柳結梨@アサルトリリィ】
『身体』和泉沢愛生@恋愛フロップス
『状態』健康
『装備』グングニル【結梨の元の世界の武器】
『恩考・状況』基本方針・現在考え中
1私はどうすればいいかな……?
2この身体の持ち主さんは困ってないかな……?

176 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/22(土) 19:17:29
投稿終了です。

177 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 09:57:16
投下します

178 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 09:58:58
その男は、愛の為に戦った。

仮面を被り、嘘(ブラフ)に固め、ただ愛する者の側にいた。
犯罪にも手を染め、多くの人々を自分のエゴの巻き添えにした。
世界から拒絶された少女を、誰からも崇拝される救世主へとプロモーションした。
それは、彼女を憧れと崇拝の対象とし、永遠の幸福を与えるため。
全ては『新時代の女神』の完璧な理想郷を作るため。

誰にも理解されなくて構わない。
これこそ彼女にとっての幸せで、それを影ながら支えるのが自分の役目。
『これが愛だ、愛は何よりも強い』のだと。
男はそう胸を張って言える。
自分の愛が間違っていないのだと確信を得ていた。

その愛が失敗に終わったとしても、男は最後まで自分のエゴに従った。

殺し合いに呼ばれ、男は理解した。
これはやり直し(redo)の機会なのだと。
人生は何度だってやり直せる。男がずっと信じてきたことだ。
願わくば今一度、後悔なき選択を。
今度こそ新時代の女神に相応しき、完璧な理想郷を。

彼に与えられた肉体もまた、愛する女の為に戦った男。
支給された仮面の下で、男は再び愛する者の名を叫んだ。

「小夜子ォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

【ブラフマン@Caligula2】
[身体]:橘朔也@仮面ライダー剣
[状態]:健康、仮面ライダーギャレンに変身中
[装備]:ギャレンバックル+ラウズカード(A〜10)@仮面ライダー剣
[道具]:基本支給品、スゲーナスゴイデストランプ×3枚@クレヨンしんちゃん、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]基本方針:もう一度、リドゥを。
1:優勝してリグレット(小夜子)を新時代の女神にする。
[備考]
※参戦時期は本編退場後です。
※肉体の参戦時期は少なくても深沢小夜子を失った以降。プロフィールに各種共演作品の情報が載っているかはお任せします。

[意思持ち支給品状態表]
【エスデス@アカメが斬る!】
[身体]:スゲーナスゴイデストランプ(から召喚される雛形あきこ)@クレヨンしんちゃん
[状態]:正常
[思考・状況]基本方針:殺し合いを楽しむ
[備考]
※参戦時期はお任せします。

【スゲーナスゴイデストランプ×3枚@クレヨンしんちゃん】
ブラフマンに支給。
「ヘンダーランドの大冒険」に登場した魔法のトランプ。1回の使用に1枚消費。
作中で3回呼んだので3枚支給。
このロワでは1978年1月27日生まれ水瓶座のA型、出身地は東京、特技は日本舞踊、趣味は絵とピアノ、
スリーサイズは83、57、85、24、今年大ブレイクの予感(1996年当時)って評判のピチピチギャル、通称おヒナの召喚に効果を固定されている。
召喚から一定時間経過で消滅する。

【ギャレンバックル+ラウズカード(A〜10)@仮面ライダー剣】
ブラフマンに支給。
仮面ライダーギャレンに変身するためのベルトとカードのセット。付属ラウズカードはダイヤのA〜10。
強化フォームに必要なラウズアブゾーバーおよびJ、Q、Kのラウズカードは入っていない。

※ラウズカードが精神チェンジ対象となる場合、支給品あるいは肉体を変更します。
また、肉体側でダイヤカテゴリーのアンデッドが参戦した場合、該当のラウズカードを除外します。

179 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 09:59:53
投下終了です、
タイトルは「仮面ライダーアウトサイダーズep.3 2023年7月23日配信開始」です

もう一本投下します

180 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 10:02:09
さてさて…
これにてうしおととらのながぁいお話はおしまいだ。
あん、何?寂しいって!?
この国から妖怪達がいなくなって悲しいと…
あんたらはいうのかい…
ふっふっふっ。
いいかね、よォくお聞き。
人間は土に生まれて土に死ぬ…
土に死ねば、この世に再びかえってはこない…
にもかかわらず……
その土からすらこの世に立ちかえってくるもの。
それが、妖怪なのだよ。

だから、
だからさ、
ひょっとして…
いつの日か…










#center(){&sizex(7){「おぎゃあああああああああああああ」}}


&sizex(7){白面の者}
&sizex(7){0歳}


【白面の者@うしおととら】
[身体]:高橋べべべべ@ベベベベベイビー
[状態]:健康、筋肉隆々
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:全てを滅ぼす
1:それはそうとせっかく赤ちゃんになれたので少しオギャる
[備考]
・参戦時期は最終話で討たれて消えゆく際に赤ちゃんになりたくなった瞬間です。

181 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 10:02:46
投下終了です
タイトルは
「ヘイ、オギャーって産まれた時にはもっと光っていたっけな」です

182 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 10:26:50
再びこちらに投稿します。タイトルは【時雨】です。

183 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 10:34:56
「まさかこんなことに巻き込まれるなんてね……」

彼女の名前は時雨。元の世界では艦娘として人々と海の平和を守るため戦っていたが……彼女は最後の戦いで死亡したはずなのだが……

「他人の身体で殺し合いさせるなんて許せない……! それにまさか平行世界の夕立にの身体になるなんて驚きだよ……」

今の彼女の身体は妹の夕立の身体になっていたが
どうやら平行世界の夕立の身体らしい。

「ごめん、夕立……少しだけ君の身体を借りるよ……この戦いを止めるために!」

時雨は戦いを止めるために動くことを決意する。

184 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 10:41:00
【時雨@艦これ いつかあの海で】
『身体』夕立@艦これ アニメ1期&劇場版
『状態』健康
『装備』艦娘の装備 拳銃
『恩考・状況』基本方針・この戦いを止める。夕立の身体を無事に返す。
1この戦いを止める。人殺しはしない。
2 夕立の身体を無事に返す。
3 平行世界にも艦娘はいるんだね……

参戦時期はアニメの最後の戦いの後です。

185 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 10:41:31
投稿終了です。

186 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 19:51:03
再びこちらに投稿します。タイトルは【狼】です。

187 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 19:58:28
「まさか死んだと思ったら……他人の身体になって、殺し合いをさせられるとはな……」

彼の名前は織田信長。本能寺の変で死亡したはずなのだが……今の彼は別の世界の織田信長の身体になっていた。

「俺を殺していいのは徳川家康だけだ!! 他の奴に殺されてたまるか!!」

これからどうする……織田信長。

188 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 20:03:27
【織田信長@どうする家康】
『身体』織田信長@戦国無双4
『状態』健康
『装備』剣
『思考・状況』基本方針・殺し合いに興味はない。元の世界に帰り家康に会う。
1俺を殺していいのは家康だけだ!
2この世界の殺し合いに興味はない……

189 ◆C77Ws.YZnQ:2023/07/23(日) 20:03:57
投稿終了です。

190 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:52:13
投下します、タイトルは「ユメトユメ」

もう一作分の投下宣言もします

191 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:54:03
☆岸辺颯太

「こんな殺し合い早く止めさせないと!」

魔法少女ラ・ピュセルこと岸辺颯太は駆け出した。
元の世界では16人の魔法少女による無慈悲なゲームに巻き込まれている真っ最中にこの世界に呼ばれた。
男子中学生でありながら魔法少女として活躍する正義感の強い少年は、当然この殺し合いも打開するために動いていた。
そんな彼に与えられた肉体もまた、別の魔法少女である。
白を基調としたセーラー服。フリルで縁取られたスカート。白い花飾り。
颯太にとって見覚えのある姿。

「ってこれ小雪の身体じゃないか!」

それは、魔法少女『スノーホワイト』こと姫川小雪の身体。
颯太の幼馴染であり、同じ魔法少女仲間である。

「……魔法少女アニメだと、こんな入れ代わり展開もあったりするけど……」

颯太は魔法少女だが、思春期真っ最中の男子中学生でもある。
こんなシチュエーションを考えた事が無いと言えば嘘になる。
ましてや幼馴染の子の身体になってしまったのだからそりゃもう興奮が凄い。
邪なことをどうしても考えてしまうのは無理のない話。
中学生男子だもの仕方ない。

「いけない、今はそんなこと考えてる場合じゃない……そ、そうだ、そうこう時は」

顔を挙げ、遠くを眺める。
思い浮かべるのは母親の顔。
その瞬間、呼吸も鼓動も静まり返る。
身体の熱が自然と冷めてゆく。
これは、周りの魔法少女達に余計な邪念を抱かなくするために生み出した、彼なりのルーチンである。

「……うん、まあ、よし……大丈夫だ」

男子中学生が行うには大層キツい行為であるが。

仕切り直す。
幼馴染の身体というのは、ある意味では幸運だ。
どんな肉体になるか分からない状況下で、この身体は心強い。
使える魔法も分かっている。
プロフィールを確認するまでもない。

(……流石に見るのはやめておこう)

192 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:55:00
というより、幼馴染の個人情報を見るのは抵抗があった。
もしかしたら知られたら困るような事が書いてあるかもしれない。
颯太は紳士だった。

(……困った事になった)
「誰かいるのか?」

不意に声が聞えた。
これは肉体となっている『スノーホワイト』の固有魔法『困っている人の心の声が聞こえるよ』だ。
彼女の固有魔法は相手の困り事を聞き取ることが出来る、人助けに特化した魔法だ。
その姿を与えられている今、颯太にも同様の魔法が使えた。

そしてその声はよく聞いてみれば、聞き覚えのある声であることが分かる。

(……急いで帰らなくと)
「この声、まさか小雪か!」

声の聴こえる方へ一目散に駆け出す。
姫川小雪、優しくて可愛くて正しい魔法少女ことスノーホワイト。
この身体の本来の持ち主。
人の困り事を解決する、よろず相談魔法少女。
争い事が嫌いで弱虫で泣き虫で、戦いに向いていない彼女までも呼ばれているのなら、すぐに守らなくてはいけない。
彼女を守るとあの日、剣に誓ったのだから。

「大丈夫か!…………え!?」

そこに居たのは、鎧に身を包んだ竜の角を付けた少女。
無表情、無感情、無愛想でありつつも騎士のような高潔さと、ある種の色気を併せ持つ外見。
剣と鎧で武装した、颯太のよく知る魔法少女の姿であった。

「ええ……えっと、その身体」

それは、本来の自分の身体。
声をかけられた少女は、魔法少女『ラ・ピュセル』の姿をしていた。
彼女は、颯太の姿を見て僅かに驚きを見せた。

「そ、その身体は……、ぼ」

しかしそれも一瞬。颯太が言葉を言い終える前。
挨拶も無しに駆け出し、颯太へと剣を振り下ろす。
真っ直ぐに振り下ろされた剣を、颯太は身体を捻り回避。
振り向きざまに脚を狙った剣筋を跳躍し躱す。
普段の癖で剣を構えようとした手は空気を掴むだけに終わり、慌てて跳躍し距離を取る。

「何をするんだ!」

颯太の頭に疑問符が浮かぶ。
この魔法少女は小雪なのか、と。
自分の知っている小雪は臆病な少女のはずだ。
なのに似ても似つかぬ動きでこちらに攻撃を仕掛けた。小雪だったら絶対にやらないことだ。
ならば、たまたま小雪と声が似ていたのを誤解してしまっただけだろう。
颯太はそう結論付ける。

そう思うと、自分の不甲斐なさに怒りが湧いてくる。
肉体が入れ替わっている今、声だけで判断するのは安易過ぎた。
この殺し合いの場では安易に近づくよりも、様子を見るべきであった。
自分の油断で、何よりも大切な幼馴染の身体を傷物にするかもしれなかった怒りが身を包む。
ましてや相手が他でもない自分の身体なのだから。

颯太にとって、魔法少女とは戦うヒロインの象徴だ。
強大な敵に立ち向かい、大切な物を守るためには諦めない戦士。
人を殺そうとする者を魔法少女とは認められない。ましてや自分の姿であっては論外だ。

193 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:55:37
そうは思っていても優位は覆せず、颯太は防戦一方だ。
元々『スノーホワイト』は単純な力押しに弱い魔法少女だ。
心を読む魔法を持つとはいえ、急な動きに対応するには限度がある。
かつての一件後、幾多の鍛錬を潜り強くなった『スノーホワイト』の身体。
それでも、本来戦い向けの魔法少女ではない事には違いない。
単純な破壊力比べであれば、戦う魔法少女である『ラ・ピュセル』のほうが上回る。
ましてや颯太は幼馴染の身体を気遣い、強気な攻撃に出ることができず、回避に専念するほかない。
そのうえ得意武器も無い状態だ。
追い詰められるのも時間の問題であった。

硬直状態の最中、『ラ・ピュセル』の姿の相手はデイパックから、種のようなものを取り出した。
瞬間、周囲に閃光が広がり、身動きが取れなくなる。
相手が投げたデクの実は、当てた者の動きを少し封じる効果を持つ。
戦場ではその瞬間だけで勝負は決まる。
剣が颯太の身体を貫いた。


♢♢♢


心の声が聴こえない。
ラ・ピュセルの肉体を与えられた少女が真っ先に思ったことはそれだった。

精神として入っている者の名は―――
―――『魔法少女狩り』スノーホワイトこと姫川小雪。

魔法は魔法少女に変身していなければ使えない。
姫川小雪が『スノーホワイト』ではない今、心の声を聞く魔法は使えない。

(そうちゃんの身体、か)

身体として配られたのは、何年も前に亡くなった幼馴染の『ラ・ピュセル』。
自分を守る為に他の魔法少女に立ち向かい、亡くなった筈の少年。
あの頃と何一つ、寸分の狂いもないままで、自分の肉体として充てがわれている。
唯一違うところは、彼はこんな仏頂面では無いことだ。

194 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:57:14
懐かしさは感じるが、そればかりに浸っている場合ではない。
心の声を聞く魔法が使えない今、いつものように先読みする戦いは叶わない。

(……殺し合い)

かつての魔法少女試験を彷彿とさせる殺し合い。
あの頃の姫川小雪は守られるだけの少女だった。
何も自分で選べず、戦おうともせず、結果的に生き残ってしまっただけの少女。
自分が何もしなかったせいで幼馴染のラ・ピュセルも、先輩魔法少女も、自分を助けようとした魔法少女も、みんな失った。

強くなりたかった。変わりたいと思った。
戦うことを選び、訓練を積み、一時の判断が死を招く修羅場に身を置いた。
人助けの魔法を戦闘向けに。相手の困り事を解決する優しい魔法を、相手の知られたくない弱みを知る魔法へと変えた。
よろず相談魔法少女から、魔法少女狩りと呼ばれ畏怖される存在へと変わった。

いつしか夢は呪いと化した。
どれだけの重圧にも折れることなく戦う。
どれだけ苦しくて、どれだけ疲れて、何も考えたくなくなっても。
亡くした者達に恥じぬよう戦い続けた。戦い続けなくてはいけなかった。
清く、正しく、美しく、自分の信じる魔法少女の姿を貫く。
どれだけの道程でも、それでも夢を見てる。変わってしまった今でも、こっそり夢見てる。
スノーホワイトは、姫川小雪は、夢を見る。
あなたのために理想を求める。
すべては―――の為に。

(早く戻らないと)

3日以内という時間制限は焦りを産む。
スノーホワイトは夢を見ている。
本来の魔法少女狩りスノーホワイトであれば、ウタなる魔法少女の身体を奪った魘夢へと立ち向かったであろう。
しかし、ここにいるスノーホワイトは本来のスノーホワイトではない。

『スノーお姉ちゃんがプクの味方をしてくれれば、きっと上手くいくと思うんだ。』

敵対していた魔法少女プク・プック。
彼女の魔法はどんな相手だろうと『お友達』にしてしまう。
姫川小雪がこの殺し合いに呼ばれたのは、まさにその魔法を受けていた時だった。
今の小雪は、あらゆる優先順位をプク・プック様を第一に考えるようにされてしまった。
自分の為さねばいけないことよりも。

195 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:58:02
全てはプク様の夢、『世界中の魔法少女全員とお友達になる』を叶えるために。
敵も味方もどろどろに溶けて、魔法の装置の中でみんな永久にエネルギーを取り出される存在となる。
なんて素晴らしい理想か。
プク様はスノーホワイトを必要としている。プク様の笑顔のためであれば、どんなことでも出来る。
急いで帰って手助けをしなくてはいけない。

かつてのデスゲームを経験した小雪にとって、殺し合いに乗るのはやりたくない事だった。
それでもやらなければいけなかったし、これからやらなくてはいけないことだ。
自分の肉体が他人に渡っていることを知ったとき、真っ先に思ったのは肉体プロフィールで自分の情報が知られてしまうことだ。
手の内が知られては、今後のプク様の不利益に繋がるかも知れない。
それに自分の魔法で心を読まれてしまってはこの殺し合いにおいて動きづらくなる。
だから、今のうちに殺しておくべきだと判断した。

相手が自分の身体だからこそ、その弱点は手に取るように分かった。
対する魔法少女はまだ自分の身体を使いこなせていない。
自分の得意武器は薙刀だ。突き刺す、弾く、斬るといった動作はある程度は剣術にも使い回せる。
小雪はそのまま、自分の姿の魔法少女を刺し殺すつもりであった。
だけど、ほんの一瞬、少しだけ身体が止まった。そうだ、止めてしまった。
原因があるとするのなら。

(そうちゃんの身体……)

『ラ・ピュセル』は騎士だ。
騎士とはお姫様を守る盾。
争うことのできない、優しい君の剣。
だから、『ラ・ピュセル』の身体である以上、『スノーホワイト』を殺す事を無意識的に拒んだ。
拒んでしまった。

「うん……でも、もう大丈夫」

顔を挙げ、遠くを眺める。
思い浮かべるのはプク・プックの笑顔。
その瞬間、呼吸も鼓動も静まり返り、心が安らぎ、落ち着いていく。
焦りから生まれた身体の熱は、いつの間にか冷めて、別の熱意が高まっていゆく。
もう同じ失敗はしないだろう。

しかし、夢とはいつか覚めるもの。
自分の心の声は、聞こえない。
今は、まだ。

【スノーホワイト(姫河小雪)@魔法少女育成計画】
[身体]:ラ・ピュセル(岸辺颯太)@魔法少女育成計画
[状態]:健康、プク・プックによる洗脳中、ラ・ピュセルに変身中
[装備]:ラ・ピュセルの剣@魔法少女育成計画
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2、デクの実×9@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面
[思考・状況]基本方針:元世界への迅速な帰還。
1:優勝し、身体を取り戻して帰還する。願いの権利はプク様の為に使う。
2:情報が流れる前に自分の身体の持ち主を殺す。(精神が颯太であることには気付いていない)
3:身体を取り戻してここから脱出出来る方法があれば、それでもいい
[備考]
※参戦時期は『魔法少女育成計画QUEENS』にてプク様の魔法を受けて『お友達』になっている時期です。
※時間経過により徐々に正気に戻ります。最低でも24時間後には正気に戻りますが、精神状態によってはもっと早く戻ります。
※肉体の参戦時期は参加者ラ・ピュセルと同じです。
※変身を解除しても魔法少女状態で受けたダメージはリセットされないものとします。

【デクの実×10@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面】
スノーホワイト(姫河小雪)に支給。
10個セットで支給。
『出現後、一定時間が経過するか、ダメージを与えると激しい光を発しながら爆発するアイテム。その光に触れた者は、しばらく目くらましの状態になり、身動きが取れなくなる。さらに、投げて相手に当てても同様の効果が得られる。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』でも敵をひるませる効果があり囲まれたときなどに役立つ。』(スマブラXでのフィギュア名鑑)


【ラ・ピュセルの剣@魔法少女育成計画】
※支給品ではなく、ラ・ピュセルの魔法で発現する剣。
名称については下記資料本から。
ラ・ピュセルの魔法『剣の大きさを自由に変えられるよ』で大きさを変えることが出来るロングソード。魔法少女に変身すると自動的に背負っている。
本人の意思で自由に出したり消したり出来る。通常時は1メートル幅40センチ。
魔法でサイズを5倍や半分以下など自在に大きさを変化可能。鞘だけ大きくなどもできる。
持っている必要はなく、視界の範囲内であれば自由に大きさを変えられる。
非常に頑丈であり、魔法少女の攻撃を受けても傷一つ付かない。

なお、ラ・ピュセルの魔法でこの剣以外を大きくすることは出来ない。
背負っている大剣のサイズを変化させる(魔法少女育成計画オフィシャルファンブック)
固有の武器である大剣の大きさを自在に変化できる(TVアニメ魔法少女育成計画ファンブック)
など微妙に表記揺れがあるが、魔法で大きくすることが出来るのはこの剣だけと見て良いだろう。

196 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:58:35
☆ラ・ピュセル


颯太は元の世界では、強敵と戦い勝利する自分を夢想していた。
正々堂々と戦い、お互いを認め合う。
魔法少女アニメのそんなシチュエーションが好きだった。
しかし、現実はそうはいかないものだ。
一方的な殺し合いで相手とわかり会えるなんてありえない。
裂傷を負った肩を抑えつつそんなことを思った。
白いコスチュームがほんの少し赤く、妖艶に染まる。

「何だよ、これは」

『スノーホワイト』の魔法「困っている人の心の声が聞こえるよ」は、身に付けた当初から随分変わった。
深層心理や考えたという自覚を持たない声まで聞くことが出来る。
そのことを、この頃の颯太は知らない。
今まさに自分が殺されるその瞬間、相手から聞こえたのは、
『スノーホワイトを傷つけたくない』という心の声。
今しがた殺そうとしたものを、守ろうとする矛盾した言葉。
その瞬間、攻撃が僅かに止まり、支給品の『だっしゅつボタン』が発動。
致命傷となる前にその場を離れることが出来た。

「何なんだよ……僕にどうしろっていうんだ……」

冷静さを見失うと、真実と真理にたどり着くことはできない。
この頃の岸辺颯太は未来で自身に起こる悲劇も、姫川小雪が選ぶ道もまだ知らない。
ましてや二人の夢が塗りつぶされてしまったなんて、分かるはずもなかった。


【ラ・ピュセル(岸辺颯太)@魔法少女育成計画】
[身体]:スノーホワイト(姫河小雪)@魔法少女育成計画
[状態]:健康、スノーホワイトに変身中、困惑
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(剣の類は無い)、だっしゅつボタン(使用済み)@ポケットモンスター
[思考・状況]基本方針:魔法少女として皆を守る
1:自分の身体の魔法少女に対処する。(精神が小雪であるとは思っていない)
2:どうにか本来の肉体を取り戻す。
[備考]
※参戦時期は『魔法少女育成計画(原作1巻)』、森の音楽家クラムベリーと戦う直前です。
※肉体の参戦時期は参加者スノーホワイトと同じです。
※変身を解除しても魔法少女状態で受けたダメージはリセットされないものとします。
※まだ魔法を完全に使いこなせていません。深層心理の先読みなどはもう少し慣れないと完全に使いこなすのは難しいでしょう。
※魔法で聴こえる声は『精神側の声色』で聞こえます。
※肉体プロフィールを確認していません。現状する予定もありません。


【だっしゅつボタン@ポケットモンスター】
ラ・ピュセルに支給。
もたせて わざを うけると せんとうから だっしゅつして てもちと いれかわる ことができる。
このロワでは攻撃を受けた際に自動発動し、持ち主をランダムなエリアに転移させる。
一回使うと使えなくなるが、『リサイクル』などの特性で再利用することが出来る。

197 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 21:59:14
投下終了です
もう一本後で投下します

198 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 22:09:19
他にいなそうなので投下します
タイトル「DQM新作発表記念」

199 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 22:12:04
その魔物は、障害物だった。
英雄が悪を討つ過程に存在する、道端の石ころ。
英雄譚においては、彼の意志も、話した言葉も語られなかった存在。
魔物のエリートと称された天才にとって、そんな目で見られることは屈辱でしかなかった。


■■■


「な、なんだこの生き物はッ!おそろしく腹が減る!それに眠くて敵わん!」

パッショーネのギャング、チョコラータは焦っていた。
彼に与えられた身体はいねむりポケモンのカビゴン。
その不思議な生き物は、
『ねむっているとき いがいは エサを たべつづける。1にちに 400キロ たべないと まんぷくに ならない。』
という性質を持つ。

「400キロだとお!?」

カビゴンは460.0kgの体重を誇り。その9割近くの食料を必要とする。

一般的には小さい動物ほど、一日に必要な食料の割合は大きくなる。
モグラなどの小動物は一日に体重の半分ほどの食料を食べねば餓死する。
自然界における最大の動物であるクジラは一日に数トンの食料を食べるが、それでも体重の5%に過ぎない。
この生き物はその比ではない。
身体の大きさに対して必要な食料の割合がめちゃくちゃだった。

「まさか私がカビを使うからこんな身体したとでも言うのか!」

『カビが はえていても くさっていても だいじょうぶ。カビゴンの いぶくろは なんでも しょうかできるのだ。』

「ええい、眠気が止まらん!」

『まいにち 400キロの エサを くう。 くってるはじから いねむりを はじめ ねむったままでも くっている。』

デイバッグの食料は一瞬で空になった。
人間三日分の食料などなんの足しにもならない。
優れた頭脳を持つチョコラータと言えど、コンディションが完全でなければ最適に回らない。
無駄な肉を切り離すことも考えたが、身体の作りを調べ切れていない現時点では自殺行為だ。
急いでこの場を離れ、食料の補給とスタンドを活かせる場所へと移動せねばいけなかった。
そんなときに、胸部を鎧のように固め、マントを羽織った少年がこちらに向かってくるのが見えた。

「クッ、こんな時に!」

チョコラータのスタンド、グリーンディの強さはロケーションに左右される。
現在の位置より少しでも低い所に移動することで、相手を殺人カビに覆わせるスタンド。
高所であるほど効果を発揮するが、チョコラータがいるのは平坦な住宅地だ。
すばやさの低いカビゴンでは高所への移動は間に合わない。

ならば、とプロフィールに記載の能力に頼る。
口元にエネルギーを溜める。
身体に溜め込んだエネルギーを「はかいこうせん」として放つワザ。
ヒスイの地において、人々に多くのトラウマを与えたそのワザは、当たればひとたまりもない。
当たればだ。

「マホトーン」

少年はただ一言呟く。
それだけで口元に溜まっていたエネルギーが消滅した。
ポカンと口をあけたままのチョコラータに対し、もう一言、言葉を紡ぐ。

「ラリホー」

それは、死への導き。


■■■

200 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 22:13:40


英雄(ヒーロー)にも思えるその姿。
その実態は、殺した死体の皮を真似て、形を歪めて身に纏うヴァンバイア。
魂として入った者の名前はバズズ。
2度地獄から舞い戻った、暗黒の魂。

殺した理由など、特にない。しいて言えば試用だ。
今殺した生き物の胸元に手を入れて心臓を取り出し、飲み込む。
今の身体、佐神善の持つ模倣(コピー)の能力の試用。
プロフィールによると本来はヴァンパイアの心臓が変化した遺灰物というものを取り込むことで、相手の能力を模倣する。
ヴァンパイアでない存在の心臓での模倣は可能か試す必要があった。

バズズには、邪配合と呼ばれる他の魔物を取り込む事によりその力を増す、禁忌の術の経験がある。
異世界における進化の秘法とも共通するとされ、急激な成長を引き起こす。
この殺し合いに呼ばれる前は、同じロンダルキアの悪魔たちアトラス、ベリアルと融合し、破壊神シドーの力を得た事もある。
身体が変われど、精神はその使い方を覚えている。

戦う相手が破壊神すらも上回る化物達(モンスターズ)ならば、その力を上回るほどの力がバズズには必要だった。
2度の死を経験した悪魔は、それしか頭に無かったし。それ以外が残っていなかった。
宿敵の力を恐れ、みっともなく逃げ出そうとした自分の姿を思い出すたびに、はらわたが煮えくり返る。

「まあ……悪くねぇか」

模倣は、結果としては成功した。
劣化品ではあるが、チョコラータのスタンド、グリーンディを模倣することが出来た。
バズズは非常に狡猾な魔物だ。
攻撃呪文だけでなく。ラリホー、マホトーン、ザラキと言った絡め手も使える。
その中に織り交ぜるなら、使い勝手がいい。

「……殺し合いねぇ」

2度の地獄を経験した悪魔は油断はしない。
呪文に長けていて、与えられた身体も強いとはいえ慢心しては同じことになる。
英雄を殺すのは、歪んだ人間の意志。
かつて、死の間際にほんのわずかな闇を撒いただけで、人間達は英雄に恐怖を抱いた。
そのことを思い返しながら、悪魔は次なる餌を求める。

「待っていろ……ロラン」


&color(#F54738){【チョコラータ@ジョジョの奇妙な冒険 (身体:カビゴン@ポケットモンスター) 死亡】}


【バズズ@ドラゴンクエストモンスターズ+】
[身体]:佐神善@血と灰の女王
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1〜3
[思考・状況]基本方針:ロランを倒せる力を得て、再び復讐する
1:強者を餌として力を得る。
2:疑念をバラまいて攪乱する。
3:ロラン(ローレシアの王子)がいれば殺す。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。ただしアトラスおよびベリアルの魂は宿っていません。
※DQM+およびDQ2で使用した呪文は使えます。他シリーズで使用した呪文についてはお任せします。
※肉体の参戦時期は燦然党の決戦後、堂島正の遺灰物を取り込む前です。
※チョコラータを取り込んだことで、疑似的なグリーン・デイが使えるようになりました。
カビゴンの技も覚えたかもしれません。

201 ◆N9lPCBhaHQ:2023/07/23(日) 22:14:25
投下終了です
滑り込み投下申し訳ありません

202譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:20:08
一度こちらの方に投下します。

203譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:20:48
一度こちらの方に投下します。

204 ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:21:41
一度こちらに投下します。

205 ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:22:41
パズーの知り合いは、敵1人しかいなかった。
恐らく優勝を企んでいるであろうムスカ大佐に、警戒心が募る。
その反面、シータやドーラがいないことには安堵を覚えた。
彼女らが肉体として利用されていることも無い。
なので、隣にいるパートナーにタブレットを見せることにした。


「なあ。君が知っている人はいたのか?」



リンクは覚束ない手で、画面をスクロールさせる。
言葉を話せぬ獣と言え度、元の魂は人間であるため、文字を読むことは可能だ。
人ならざる手でタッチされた名前は『チャット』。
彼の元パートナーであり、共にタルミナを冒険した仲間だ。


「仲間なのか?」


コクリと首を縦に振る。人の言葉も理解できる以上、はいかいいえで答えられる質問なら返答可能だ。
他にも、時間がかかるが

「じゃあ、支給品を確認したらチャットを探すことにする。それでいいな?」


コクリと頷いたのを確認すると、パズーは支給品を確認し始めた。
次に出てきたのは、青い色をしたオカリナだった。
形状でそれが楽器だと分かったが、演奏できそうにないし、ましてや護身用にもなりそうにない。
彼は炭鉱の町で働いていた時、朝を告げるトランペットを吹いていたが、それとこれとは別だ。
ハズレの支給品かと落胆するが、その瞬間何かが動いた。


「うわ!!……なんだ。驚かさないでくれよ。」


電光石火の速さに驚くが、その正体が分かってしまえばさほど恐ろしいものではない。
リンクが凄い速さ動いただけだ。その口にはオカリナが咥えられている。


「…まさか、元の身体の持ち物だったのか?」


目の前の相手が、人の物を急に強奪するような粗暴な性格の持ち主でない。
出会ってからさほど時間の経っていない関係だが、パズーはリンクをそう思っていた。
尤も、リンクは元の世界では人の部屋のツボを叩き割り、宝箱の中身を盗んでいたのだが、それはナシにしておこう。
何の変哲もないオカリナだと思っていたそれが、リンクにとって馴染みのある物だとすぐに判断した。

206譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:23:38
事実、そのオカリナはリンクの冒険のカギになったアイテム。
ハイラル王家に伝わる秘宝は、ハイラルでもタルミナでも幾度となく彼を助けた。
時を巻き戻し、時を重ね、時を遅め。時には逝けぬ者を浄化し、そして道を切り開いてきた。


オカリナの先端を口に付け、演奏しようとする。
だが、音が鳴るだけで、楽曲にはならない。
それもそのはず。その楽器は人のためにデザインされたものであって、ポケモンが演奏できるようにはなってない。


仕方がなく、パズーにオカリナを返すことにした。
その様子が落ち込んでいるのだと、ポケモンの言葉が分からない彼にも分かる。


「そうだ。さっきエンムって奴が、『ある施設で身体を取り替えることができるかもしれない』って言ってたよな?
そこで人の身体を貰ったらどうだ?」

パズーの言うことが妥当だ。
勿論、素直にポケモンの身体になってくれる人がいるのかという疑問もあるが、今はそれに期待するしかない。
まあ、世界にはポケモンどころか、生き物ですらないなんとかバニアの人形になりたい奴もいるそうだが。


続けてパズーが中から出したのは、一冊の本だった。
武器じゃなかったことに落胆するも、何かに使えるかもしれないと思い、タイトルに注目する。


「ウタの歌?何だこれ、ダジャレじゃないよな……。」

一体なぜこんなものが入っているのか。
疑問を感じながらも、中身を開いてみる。


「新時代……私は最強……逆光……。」


中身は楽譜だった。恐らくウタという者が歌っていた曲なのだろう。
そこで、パズーは思い出した。
ウタというのは、エンムという者の肉体の名前だったと。
同名の別人という可能性も無くは無いが、明らかに何か関わっていると考えるのが妥当だ。
殺し合いをするついでに、自分の元の肉体が作っていた歌でも貰っていけというのか。
あまりに馬鹿馬鹿しくて捨てた所、またもリンクが咥えて拾って来た。

「……必要ってことか?」


彼の表情からして、それを捨ててはならない物だと判断したのだと、パズーにも理解できた。


リンクがウタの楽譜を拾って来たのも、当然の話だ。
彼の冒険の中で、オカリナの奏でる曲は、常に活路を開いて来た。
目覚めのソナタ、ゴロンのララバイ、潮騒のボサノバ、抜け殻のエレジー。そして、月へ行くカギになった誓いの号令。
主催者にムジュラの仮面が関わっている以上、ここでも時のオカリナが、そしてこの楽譜が何等かの役に立つと考えた。

207譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:24:16

そして、パズーがもう1つ思い出したことがあった。
ウタの身体こそは現在エンムが持っているが、その魂はこの殺し合いのどこかにいることを。
誰の肉体の中にいるのかは不明だが、この楽譜、もしかすればこのオカリナとウタを会わせれば何かが起こるかもしれない。


(意外と、探さなければならない人は多いのかもしれないな……)


パズーには誰も知らぬことだが、ウタが求めていた少年の肉体を持った者が、彼女を探している。
この奇妙な縁は、偶然か必然か。



【B-2/早朝/1日目】

【パズー@天空の城ラピュタ】
[身体]:モンキー・D・ルフィ@ONE PIECE
[状態]:健康
[装備]:ヒスイ地方のモンスターボール@ポケットモンスターシリーズ(Pokémon LEGENDS アルセウス)
[道具]:基本支給品 時のオカリナ@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 ウタの歌の楽譜@ONE PIECE Film RED 
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。
1:リンクと共にウタ、チャットを探す
2:この楽譜とオカリナ、主催者は何か関係あるのか?
3:ムスカには警戒。
4:ルフィという海賊は危険な人物じゃなかったことには安心。
[備考]
※本編終了後から参戦とします。
※ルフィの肉体の細かい参戦時期は後続の書き手にお任せしますが、少なくとも新世界編以後のものとします。
※ルフィのプロフィールにウタと幼馴染であるといった情報が書かれてません。


[意思持ち支給品状態表]
【リンク@ゼルダの伝説ムジュラの仮面】
[身体]:コリンク@ポケットモンスターシリーズ(Pokémon LEGENDS アルセウス)
[状態]:健康
[思考・状況]基本方針:ムジュラの仮面を倒すために月に行く
1:オレを出した、目の前にいる人物(パズー)と共に行動
2:オレが知っている、月やムジュラの仮面についての情報を伝えたい
[備考]
※ゲームクリア後からの参戦とします。
※コリンクとしての性別はオスとします。
※技構成などは後続の書き手にお任せします。


【支給品紹介】


【ウタの歌の楽譜集@ONE PIECE Film RED 】

パズーに支給された曲集。『新時代』を始めとするウタが作中で歌っていた曲の楽譜が載っている。
なお、作詞作曲はどちらもウタということになっている。


【時のオカリナ@ゼルダの伝説 ムジュラの仮面】


ハイラル王家に伝わるオカリナ。特別な力を秘めており、然るべき場所で然るべき曲を奏でれば、何かが起こる。
名の通り、時間を操ることに――――――――――――――――――ちょっと待てよ!?









ボールの中で、リンクは思考する。
時のオカリナが、『本当に救いとなる道具なのか』ということだ。

208譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:27:22

疑問は2つある。
仮に自分が人間の肉体を手に入る、あるいは他の方法でオカリナを吹けることになったとする。
そこで『時の唄』を奏でた場合、時間を巻き戻せるのかということだ。
当たり前の話だが、ムジュラの仮面を含めて時間が巻き戻された話は知らない。
知っているのは自分とチャット、ついでに幸せのお面屋だけのはずだ。
だが、時の唄1つで殺し合いをリセットすることが出来るのは、いくら何でもムシが良すぎではないか。
エンムあたりがその対策をしていてもおかしくはない。


そして、2つ目の疑問は『時の唄』は、常に時間を巻き戻すために使われていた曲ではないということだ。
確かにリンクがハイラルにいた時から知っていた曲だが、タルミナに来るまではその使い道は違っていた。
奏でても時間の巻き戻しは出来ず、トライフォースの紋様の付いたブロックを消したりすることしか効力が無い。


タルミナではないこの場所で、オカリナを奏でても、そのままの力を発揮するのだろうか。


そしてもう一つ。これはリンクにも知らないことがある。


パズーに支給されていたウタの曲集。
白紙だったので放っておいた最後のページは、実は白紙では無かったことを。
そこに書いてあった曲は、禁断の歌。
ある力を持った者が歌えば、歌の魔王、トットムジカを呼び出す。


如何なる世界の者で在れ、現れれば最期、甚大な被害をもたらすであろう。
海賊の少年が手にした道具は、救いとなるか破滅となるか。

209譜面上のジグソーパズル ◆vV5.jnbCYw:2023/10/07(土) 00:28:36
投下終了です。キーアイテムを出したので、もし問題があるなら修正、あるいは破棄します。

210 ◆5IjCIYVjCc:2023/11/26(日) 23:13:52
進捗報告を兼ねて、チェンジロワの第三回放送の参加者向けの部分をここに先に仮投下します。

211 ◆5IjCIYVjCc:2023/11/26(日) 23:14:33


黒い雲が空を覆い尽くしてから5時間。
太陽の光も届いてない暗い空に、ようやく変化が訪れる。

それまで大量に降っていた雨が、一瞬で急にピタリと止まる。
同時に、雲が動き、島の上空から離れていく。
それにより、空の様子が島から見えるようになる。

しかし、そこにはもう陽は無い。
太陽は既に、西の地平線の彼方にほとんど沈んでいた。
そこから日光が届く時間も、瞬く間に過ぎるだろう。

けれども、空は確かに晴れた。
雲の無いその空は、星もいくつか見え始めていた。
月も、1日経った分だけ満ちた状態で現れていた。


やがて、空の様子に変化が現れる。
6時間前、12時間前と同じく、島の中央付近の上空に、ホログラム映像が現れる。
もちろん、島中にあるテレビ等の画面にも、同じ映像が流れ始める。


そこに映し出されたのは、これまた前回・前々回とは違う人物の顔だ。

現れたのは、一人の少女だった。
この人物の容姿は、紫色の髪に、大きめな眼鏡をかけているのが特徴的だ。
また、頭には右側にアンテナの付いたヘルメットを被っている。

『よ、よぉー…。初めましてだな、みんな』
『第三回定期放送の時間だぞー…』

映像の少女は引きつった笑顔を浮かべながら話し始めた。

『私の名前は…佐倉双葉。身体の方は…ルッカという』
『えっと…まあ、私のことは置いておいて、とりあえず…死亡者を発表する』

佐倉双葉と名乗る人物がそう言うと、これまでと同じように画面が切り替わり、死亡者の精神側と身体側の顔写真を順に映す映像が流れ始める。

『姉畑支遁…その身体の名はクリムヴェール』
『犬飼ミチル…その身体の名は東方仗助』
『ヴァニラ・アイス…その身体の名は立神あおい』
『産屋敷耀哉…その身体の名は鬼舞辻無惨』
『絵美理…その身体の名は竈門炭治郎』
『鬼舞辻無惨…その身体の名はミーティ』
『空条承太郎…その身体の名は燃堂力』
『グレーテ・ザムザ…その身体の名はスカラベキング』
『ゲンガー…その身体の名は鶴見川レンタロウ』
『胡蝶しのぶ…その身体の名はアリーナ』
『環いろは…その身体の名は高町なのは』
『脹相…その身体の名はデンジ』
『バリー・ザ・チョッパー…その身体の名はトニートニー・チョッパー』
『悲鳴嶼行冥…その身体の名は坂田銀時』
『ホイミン…その身体の名はソリュシャン・イプシロン』
『メタモン…その身体の名は神代剣』
『両面宿儺…その身体の名は関織子』


『以上、17人が今回の6時間での死亡者だ』
『…………うん、ちょっと……はりきりすぎじゃない…か?』

発表が終わったことで、映像が再び切り替わる。


『……うん、それじゃあ次は、禁止エリアを発表する』

『今回禁止エリアとなるのは、【D-3】、【D-6】、【G-5】の3ヵ所だ』
『今から2時間後、午後8時に、これらのエリアに入れば首輪が爆発するようになる』
『今、これらのエリア、もしくはその近くにいる者達は、すぐにでも移動を開始することを推奨する』
『……………こんなことでは、死なないでほしい』


『…それから、今禁止エリアと発表した【G-5】についてだが…実は、ここの地下にある通路の中に、前の放送で話していたモノモノマシーンがあった』
『そしてこのモノモノマシーンは、禁止エリアが有効になる前…この放送後すぐに利用不可能になることが決定した』
『何でも…今の参加者達の位置関係的に、ここに誘導しても殺し合いの進行はあまり良くならないと判断されたかららしい』
『……わ、私が決定したんじゃないから、私に文句は言うなよ…』


『あと…分かる人には分かることを、伝える』

『………今は、【G-3】と【C-5】にある電話ボックスは、繋がっている』
『けども、使えるまではあとだいたい1時間くらいかかるらしい』


『あとそれから、地図上に記されるべき「施設」は、この6時間で全部発見された…らしい』
『まあ…気になるなら、地図を確かめて、行ってみればいいのかな…』



212 ◆5IjCIYVjCc:2023/11/26(日) 23:16:12
『それじゃあ、私から話すことはこれで全部かな…』

『…雨も上がったみたいだし、みんなの今後が良いものになることを祈るよ』
『それじゃあ、元気でね…』

そう言って佐倉双葉は、話を打ち切って放送を終えようとする。





ところが、映像はここで消えなかった。
話はまだ、終わっていなかった。

『…………ん?え?は?何?』

突然、佐倉双葉の様子に異変が起きる。
彼女の表情は、何かに驚いている感じになる。
視線の先も、映像を撮しているであろうカメラの方から、その奥にあるものへと変わったようだった。
何か、想定外の出来事があったようだ。


『え?これを読めって?』

佐倉双葉は、撮影カメラの奥の方に手を伸ばし、そこにいるであろう者から紙を一枚受け取ったようだった。
その紙は、折りたたまれた状態にあった。
彼女はそれを開き、中身を確かめた。

『…………………………はあぁ!!?』

内容を見た彼女は、驚愕の表情を見せる。
その後、少しの間沈黙し、ゴクリと息を飲んだ。

『………えっと、突然だが、我々主催陣営の「ボス」からの伝言が届いた』
『なんでも…今回の放送で参加者の人数が半分以下になったから、これまで生き残ってきた者達への褒美として、情報をほんの少しだけ与える、とのことらしい』
『そ、それじゃあ………伝言を読もう』

佐倉双葉は声を少し振るわせながらそんなことを話す。
そして、少量の冷や汗をかきながら、紙に書かれた内容を読み上げた。




『私は、「■」である』

『…………そして、今の私は、「■■■」でもある』





『………えっと、はい!伝言はこれで以上!これで今度こそおしまい!それじゃあさよなら!』

紙の内容を読み終えた後、佐倉双葉は慌ただしい様子を見せながらそう言って話を打ち切った。
その後、空中の画面は消え、後には暗い静寂な夜が残されていた。

213 ◆5IjCIYVjCc:2023/11/26(日) 23:17:02
仮投下は一先ずこれで終了とします。
なお、本投下する際は内容に修正・変更等の可能性があります。

214 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 18:56:19
修正箇所を投下します

本スレ850を以下のように修正します

「こいつは大分前の現在地だが、この連中が病院に集まったのはほぼ確定だろうよ」

エボルトが指さすのは蓮から借りた、二つ前の放送時点での参加者の現在地を記した地図。
病院近くには5名の画像があり、彼らが聖都大学附属病院を無視したとは考えにくい。
画像の者達は全員放送で名前を呼ばれていない。
となると、D-3の禁止エリア外だった病院内へ留まり続けた可能性は十分考えられる。
残念ながら出て行く羽目になってしまったが。

最後にG-5、地下通路の一部は双葉が口にしたように殺し合いの進行に良い影響を与えないから。
地下通路内にあったモノモノマシーンが使え無くなれば、残りは網走監獄に設置された一台だけ。
戦力強化を図りたい者達はこぞってもう一台の方を目指すだろう。

「ボンドルド達は残る参加者を監獄周辺に集めようとしてるってこと?」
「施設が無い北東の森よりは残ったモノモノマシーンの方が、向かう価値はあるだろ?」
「そうやって網走監獄の方に行くと…病院を出た者達とかち合う可能性が高いな」
「日付が変わるまでの6時間で殺し合いを終わらせる気なのでしょうか…?」

残った者達を一堂に集めて一気に優勝者を出そうという魂胆か。
もしそうなら網走監獄周辺はとんだ激戦地と化すのは間違いない。
その前に、病院にいる者達と合流しておくべきというのがエボルトの考えだ。
単純に協力可能な数が増えれば、その分やれることも多くなる。
ディケイドや白黒の仮面ライダーへの対抗は勿論、首輪を解除可能な人材がいるかもしれない。
ひょっとするとミチルの友人である柊ナナがいたり、しんのすけが彼らに保護されているといった可能性とて否定はできない。
危険な参加者との遭遇の確率も増加する一方で、メリットは決して低くない。



「こいつは大分前の現在地だが、この連中が病院に集まったのはほぼ確定だろうよ」

エボルトが指差すのは蓮から借りた、二つ前の放送時点での参加者の現在地を記した地図。
病院には3名の、病院近くには5名の画像がそれぞれ表示されている。
画像の者達は坂田銀時の体である悲鳴嶼行冥は死亡したが、残りは全員生存。
(実際には脹相も脱落となったが体を入れ替えられた為気付けなかった)
となるとD-3の禁止エリア外だった病院内留まったか、或いは病院から北西の施設や南西の街に移動した可能性が考えられる。
残念ながら病院からは追い出される羽目になってしまったが。

最後にG-5、地下通路の一部は双葉が口にしたように殺し合いの進行に良い影響を与えないから。
地下通路内にあったモノモノマシーンが使え無くなれば、残りは網走監獄に設置された一台だけ。
戦力強化を図りたい者達はこぞってもう一台の方を目指すだろう。

「ボンドルド達は残る参加者を監獄周辺に集めようとしてるってこと?」
「施設が無い北東の森よりは残ったモノモノマシーンの方が、向かう価値はあるだろ?」
「そうやって網走監獄の方に行くと…病院を出た者達とかち合う可能性が高いな」
「日付が変わるまでの6時間で殺し合いを終わらせる気なのでしょうか…?」

残った者達を一堂に集めて一気に優勝者を出そうという魂胆か。
もしそうなら網走監獄周辺はとんだ激戦地と化すのは間違いない。
その前に、西側の参加者達と合流しておくべきというのがエボルトの考えだ。
単純に協力可能な人数が増えれば、その分やれることも多くなる。
ディケイドや白黒の仮面ライダーへの対抗は勿論、首輪を解除可能な人材がいるかもしれない。
ひょっとするとミチルの友人である柊ナナがいたり、しんのすけが彼らに保護されているといった可能性とて否定はできない。
地図の位置情報を信じるなら、しんのすけはC-1に設置されたフリーザの宇宙船まで脱出させられた。
元々いた東側のエリアと正反対の場所にいるとは流石に驚きだ。
ともあれ大まかな場所が判明し放送で生存も確定した以上、益々以て西へ向かう必要性が増してくる。
危険な参加者との遭遇の確率も増加する一方で、メリットは決して低くない。

215 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 18:58:57
本スレ851を以下のように修正します

アルフォンスが出会った女の名前には蓮とエボルトも聞き覚えがあった。
風都タワーへの出発前、ゲンガーが信用できる仲間として挙げた内の一人。
神楽がアルフォンスとの遭遇後どうなったかは不明。
だが死亡者の中に含まれなかった為、無事病院へ到着したと見て良い筈。
仮に病院付近の5人が全員殺し合いに乗っていて徒党を組んでいる場合、神楽は危険人物が陣取る魔城へ単独で足を踏み入れたことになる。
多勢に無勢、袋叩きに遭って惨たらしい末路を迎えても不思議は無い。
実際には神楽が脱落したとの情報は無く、殺し合いに反抗する者達と合流出来たと考える方が自然だ。
せめて地図の内容が現在地を示すものだったら、もっと正確な情報を把握できたのだが。
そこまでの利便性は残念ながらない。



アルフォンスが出会った女の名前には蓮とエボルトも聞き覚えがあった。
風都タワーへ出発する前の情報交換で、ゲンガーが信用できる仲間として挙げた内の一人。
神楽がアルフォンスとの遭遇後、具体的にどうなったかは不明。
だが死亡者の中に含まれておらず、地図上では病院近くに画像が表示されている。
仮に病院付近の参加者が全員殺し合いに乗って徒党を組んでいる場合、神楽は危険人物が陣取る魔城へ単独で足を踏み入れたことになる。
多勢に無勢、袋叩きに遭って惨たらしい末路を迎えてもおかしくない。
実際には神楽が脱落したとの情報は無く、病院付近の5人と共にいるらしい事からも、殺し合いに反抗する者達と合流出来たと考える方が自然だ。
せめて地図の内容が現在地を示すものだったら、もっと正確な情報を把握できたのだが。
そこまでの利便性は残念ながらない。

216 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:01:33
本スレ867を以下のように修正します

甜花と共にいたらしい猿の画像は、二回目の定時放送の際死亡者の中に見つけた。
どうして貨物船が参加していたのかはともかく、甜花の近くでも殺される者が現れたのは事実。
恐ろしい目に遭っていないだろうか、エボルトの言葉に同意はしたくないが酷い怪我だってしているかもしれない。
考えれば考える程甜花が心配で堪らなくなる。



甜花と共にいたらしい猿の画像は、二回目の定時放送の際死亡者の中に見つけた。
定時放送後に位置が更新され彼女と共にいただろう青髪の少女(精神は男)の脱落も、ついさっきの放送で知ったばかり。
どうして貨物船が参加していたのかはともかく、甜花の近くでも殺される者が現れたのは事実。
恐ろしい目に遭っていないだろうか、エボルトの言葉に同意はしたくないが酷い怪我だってしているかもしれない。
考えれば考える程甜花が心配で堪らなくなる。

217 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:03:00
遠坂凛と雨宮蓮の状態表を以下のものに修正します

【遠坂凛@Fate/stay night】
[身体]:野原しんのすけ@クレヨンしんちゃん
[状態]:疲労(大)、精神的ショック(大)、乗車中
[装備]:スゲーナ・スゴイデスのトランプ×1@クレヨンしんちゃん
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品0〜2(煉獄の分、刀剣類はなし)、煉獄の首輪
[思考・状況]基本方針:他の参加者の様子を伺いながら行動する。
1:エレン・イェーガーの家を調べる。あんまりのんびりしてられないわね。
2:キャメロットと行動、グリードはどうしようかしら。
3:サーヴァントシステムに干渉しているかもしれないし第三魔法って、頭が痛いわ。
4:私の身体に関しては、放送ではっきり言われてもうなんか吹っ切れた。
5:身体の持ち主(野原しんのすけ)を探したい。多分雨宮君達の方が先に見付けそうね。
6:アイツ(ダグバ)倒せてないってどんだけ丈夫なの。っていうかもっとヤバくなれるってなんなのよ。
7:アルフォンス、ちょっとマズいことになってない?
8:施設とかキョウヤ関係者とか、やること増えてきたわね……
9:亀?カメラ?どういうことなのよ。
10:ある程度戦力を揃えて、安全と判断できるなら向かうC-5へ向かいたかったけど……もうそれどころじゃないわ…
[備考]
※参戦時期は少なくとも士郎と同盟を組んだ後。セイバーの真名をまだ知らない時期です。
※野原しんのすけのことについてだいたい理解しました。
※ガンド撃ちや鉱石魔術は使えませんが八極拳は使えるかもしれません。
※御城プロジェクト:Reの世界観について知りました。
※地図の後出しに関して『主催もすべて把握できてないから後出ししてる』と考えてます。
※城プロ、鋼の錬金術師、ポケダンのある程度の世界観を把握しました
※ゲンガーと情報交換してます。

【雨宮蓮@ペルソナ5】
[身体]:左翔太郎@仮面ライダーW
[状態]:ダメージ(中)、疲労(極大)、SP消費(中)、体力消耗(大)、怒りと悲しみ(極大)、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情、運転中
[装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+T2サイクロンメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW、三十年式銃剣@ゴールデンカムイ、ハードボイルダー@仮面ライダーW
[道具]:基本支給品×6、ダブルドライバー@仮面ライダーW、スパイダーショック@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル)、耀哉の首輪、ジューダスのメモ、大人用の傘
[思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。
1:西側のエリアに向かい、しんのすけや協力出来る一団やと合流する。
2:仲間を集めたい。
3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。
4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。フリーザの宇宙船にいるみたいだ。
5:どうして双葉がボンドルド達の所にいるんだ?助け出さないと。
6:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。
7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。
8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。
9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う。
[備考]
※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。
※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。
※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。
※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。
※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。
※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。
※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。
※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。
※アルフォンスとのコープ発生により「塔」のペルソナ「セト」を獲得しました。スキルは以下の通りです。
・ワンショットキル
・アギダイン
・マハスクカジャ
・火炎ガードキル

218 ◆ytUSxp038U:2023/12/16(土) 19:04:07
以上で修正の投下終了です
何か問題がありましたら連絡をお願い致します

219 ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:54:51
決闘ロワの一作目の仮投下をします。

220二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:57:23
肉体派おじゃる丸を撤退させることに成功した黒の剣士ことキリトとI ♡ 人類の文字が書かれた黄色いシャツの男こと空は友好的な参加者と接触するべく行動を移そうとしていた。
彼らのいる場所はD-8の孤島に位置する。
逃げられた肉おじゃも元々はこの狐島に立たされていたが、支給品を使って本島に転移されたと想像がつく。
キリトとしては中央部分に人が集まると思い、提案したが、空の案で北東に行くことを決定した。
理由としては地図の方角から端に配置された参加者は移動して、人が集まりやすい場所に行くだろう。
そこで移動して来る参加者を待ち伏せみたいな形で接触するということだ。
勿論、ゲームに乗っている人物と会う危険性もあるものの、空としては中央に集まりすぎて、下手をすれば危険人物同士の乱戦に巻き込まれて命を落とす可能性を考慮し、最初は北東に向かい、参加者と会うことを決めた。
只でさえ、お互いの仲間がいるか不明で、情報もない。
ここは慎重に動くことを決めた。

「空、交渉役はあんたに頼っていいか?」
「任せろ、俺はこういうのに強いからな」

キリトは肉おじゃとの襲撃で相手がチートカードを出されて、終わりかと思った瞬間、空は相手の先を読んで罠を発動させてピンチを乗り切れた。
自分も洞察力はあるけどそこまでではない。
今までに会った仲間の中で空は心理戦に滅法強く、ずば抜けている。
まるで嘘を見抜く能力があると思うくらいに。

(いざという時は俺がしっかりしないと)

だからといって戦闘では空一辺倒にしない。
空は肉弾戦向きではないので、キリトが前線で支えてやらないといけない。

「あのおっさんの襲撃で流れたけど、磯野の放送で言っていたが、俺達は異世界に集められている」
「そんなことがあり得るのか?」
「これは連中が嘘を言っていない。事実だが、俺と白は日本からディス・ボードという世界に召喚された形になったというものあるが、証拠を得たのが、このデュエルカードだ。俺が今いる世界にはこのカードゲームはなかった、キリトもこれのこと知らなかったしな」
「確かに納得だな」

空は無数の世界があると虚言を言う理由がないとして参加者は異世界から集められている結論が出た。
最も空白が単純なゲームで決まる世界に呼ばれたのもあるというのが大きかった。
それでなくても一早く気づくのに時間の問題だ。
肉おじゃの襲撃前にキリトがデュエルカードを知らなかった時点で、他者を納得させる証拠を見つけた。
キリトは元の世界でデュエルという遊びはなく、情報交換でその存在を初めて知った。
パラレルワールドから集められたという最初は信じられなかったが、空の根拠のある説明で素早く理解した。

「空は今いる世界と言ったけど、空は日本に戻るつもりはないのか?」
「日本にはもう未練はない。ディス・ボードに来てから空白にとって合っている世界だから」
「そうか」

空は日本=前の世界では白共々、居場所がなく、亡き両親からも疎まれていた。
生まれる世界を間違えたのではないかと思うほどに。
神によってディス・ボードに召喚されてから人類種(イマニティ)を救う目的は最初は成り行きだったが、十六種族(イクシード)とのゲームを通して、仲間や協力者が出来、本当の居場所を見つけた。

「でも、キリトは違うだろ」
「ああ、俺のいる日本には大切な人や仲間が待っている」

キリトは両親から疎まれていないが、10歳の頃に本当の家族でないことを知って、疑心暗鬼になり、距離を置き、仮想世界に逃避していた。
SAO事件に巻き込まれてから様々な出来事を通して、現実世界と仮想世界は同じで、相手を想う気持ちが大事ということに気づき、大切な人や、仲間、協力者が出来、家族と歩み寄れた。
SAO事件以降も新たな仲間が増えていき、コミュニティーが広がっていったが。

221二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 22:58:36
「キリト彼女いるの!?」
「そうだよ」
「マジか。俺は未だに空童貞十八年で脱却してないのに」
「空もいつかいい人見つかるさ」

彼女がいることに空は羨ましいと思ったのだった。
それから歩きながらお互いのことを語った。
遊戯は違うがゲーマー仲間であること、義理の妹がいること、メタ発言だが、声が似ている等など。
ここに来てキリトと空は共通点が多く、話も合うことに気づいた。

「何というか、似てる部分が少しは多いな」
「共通な話題があるなら、俺達、対等な親友になれそうだ」
「それは・・・・・・気持ちだけ受け取っておく。仲間としてなら一緒に付き合う」

キリトはとある一件で同年代の同性の親友を喪っている。
彼が亡くなったショックで心身ともに甚大な絶望を味わった程。
今では立ち直っているが、喪った心の傷は簡単に拭えない。
心に大きな穴を埋められず、同年代の同性の友人を作ることが出来なくなった。
空はその条件が限りなく近いのもあって、彼には申し訳ない気持ちがいっぱいだ。
でも、彼とは馬が合うのは事実で信頼もしている。

「何があったかは言わんが、困ったことがあるなら力になる」
「分かった」

空は一瞬の間がある時点で「親友」の言葉に何があったのか大体察した。
この場所に巻き込まれる前に悲しい出来事があったのだろう。
それが何かは不明だが、触れるべきではないと判断した。
今後も仲間として、支えるが、仮にキリトから親友になりたいと言うなら、喜んで受け入れる。
最も空は日本で碌に友達がおらず、少し、欲しい気持ちもあった。

その時だった、夜空から見たことがない一人の男が浮かび上がったのは。





「あいつら人の命を何だと思ってるんだ!!」

放送が終わった後、キリトは憤慨していた。
檀黎斗なる新たな主催の一人が現れたと思ったら、本当の神を名乗る葛葉紘汰という男にエルフの容姿をしたツインテールの少女が殺された。
それだけでなく、アプリの配信で小学生くらいの女の子が金髪の男に殺されるグロすぎる悪意ある映像まで見世物にされた。
更にキリトと空は無事だったが、黎斗によって運試しで理不尽に命を奪われただろう人達もいる。
今まで対峙してきた各事件の元凶はおろかあのPoHを超えるほどのどうしようもない奴らだ。
もし、犠牲になった三人の知り合いがいたらどういう心境をしていたか想像は難しくない。

「同感だ。何が神だ、人類を舐めすぎだ」

檀黎斗より、葛葉紘汰のほうが神に相応しいのは一目瞭然だ。
見ている限りでは、お人好しで無謀だったが、正義感が強く、最後まで諦めなかった。
空白を異世界に召喚した、神のテトだって悪意はなく、命を奪い合うゲームを一切提案してない。
それに対し、あのゲームマスターは神を気取る傲慢な男にしか見えない。
空も改めてこのデスゲームの後味の悪さに内心は腹が立って仕方ない。

「とりあえず名簿を見る。仲間がいるかもしれないし」
「そうだな」

222二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:00:26
二人はそれぞれ恋人や仲間が殺し合いに巻き込まれないことを気が気でなかったり、特定の人物がこの場所に来ているか願ったりしながらタブレットを開き、名簿を確認した。

「白すらいないのか」

正直、ステフといづな、ジブリールらはこのゲームにいないことに喜ぶべきだ。同時に、白がいないのは致命的だ。
天才である白がいればどんな確定要素を見つけ出し、ゲームの攻略に近づけていた。
空白が揃わないのは空にとってかなり痛手だ。
白がデスゲームに巻き込まれないことに一瞬だけ安心してしまったので、複雑な気持ちだ。

「俺はいなかったけど、キリトは?」
「何で、何であいつがいるんだ!!」

キリトに声をかけた直後、名簿を見ながらかなり険しい顔をしている。
その様子だと問題のある人物がいるのだろう。

「俺の仲間はいなかった。だが、最悪なことにこのデスゲームに確実に乗る奴がいる」
「誰だ?」
「PoHという奴だ」

アスナやクラインら他の仲間達がこの殺し合いにいないのは安心だ。
しかし、よりによってこのゲームで呼ばれてはいけない男、PoHがいるのは最悪だ。
SAO事件を通して、最悪のレッドプレイヤーで殺人ギルドのラフィン・コフィンのリーダー。
本性は外道以外になく、ラフィン・コフィンと攻略組が煽動され、潰し合わされた。
ラフィン・コフィン討伐戦で姿を現さずに、陰で嘲笑っていた。
その後もUWで姿を現し、ラフィン・コフィン討伐戦と似たやり口で再び惨劇を起こそうとした。

「そんなに腐りきった奴がいるか」
「PoHはあの時、杉の木にしたはずなんだ」

キリトはPoHの末路を語った。
UWでPoHと一騎打ちの末、打ち勝ち、二度と現れないよう大木にしたはずだった。
だからこそ、名簿で名を見つけた際、衝撃を隠せずにいた。
自力で大木から抜け出すのは不可能なのだから。

「それが事実ならハ・デス達は底知れない恐ろしさがあるな」

葛葉紘汰が神から人間に戻したのを考えると杉の大木から解放させる何らかの力があってもおかしくない。
そう思うとハ・デス達の強大さを身に染みた。
その反面、あくまで可能性の話だが、ハ・デスと磯野が何も知らされていない事実を動揺しているのを見る限り、一枚岩ではないのが、低くなく、力で従わせているか、それぞれ違う思惑があるかもしれない。
それに警備或いはセキュリティを頑丈にするのが普通だが、神とはいえ、葛葉紘汰が主催陣営に簡単に乗り込んだ件もおざなりな面があった。

「それと檀黎斗のことだが、勘だが、ヒースクリフって奴と似ているような感じなんだ」

あのデスゲームの主犯だった茅場昌彦ことヒースクリフは天才量子物理学者でゲームデザイナーを担当し、あの事件が起こるまで彼のことを憧れていた。
その後、茅場はヒースクリフとしてSAOでプレイヤーを監視しながら、ある勢力を立ち上げた。
ヒースクリフは旧アインクラッドで本来なら99層クリア後に100層でラスボスとして立ちふさがるはずだったこと。
死後は、仮想空間で観測者として見守るようになった。

『神であり最強のラスボスとしても君臨している私を倒せたら、ゲームクリアということ君たちを元の世界へ帰してやろう』

この発言でヒースクリフと同類だと理解してしまったのだ。
黎斗が本当に挑んで来てもハ・デス達が許容するとは考えにくい。

223二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:01:52
「なるほどな。ヒースクリフが関与してる可能性は?」
「明らかにない。檀黎斗と類似しているが、方針が違う」
「聞く限りだと低いな」

ヒースクリフは事実上の単独犯だったのに対し、檀黎斗はハ・デス達と手を組んでいる。
彼は一切、ルールを捻じ曲げず、フェアだったが、連中はデュエルに関しては改善してくれたが、それ以外はプライドも欠片もない。
そもそも、今のヒースクリフはハ・デス達に協力するとは到底思えなかった。
仮に協力したとしても特に黎斗はあの性格だと反目して、主催陣営は直ぐに空中分解した可能性が高い。

「でも、SAOっていうのを連中が盗んでたら話は別だ」
「確かにあり得なくはない」

黎斗達がSAO事件を技術やNPCの存在の件を含め参考にしたのなら、こんな大規模な殺し合いを準備できたのかもしれない。
あくまで仮説なので何とも言えないが。

「奴らに関しては関係のある人物と接触すれば、後々、分かるだろ。ところでデュエルを確認し直す」

主催の話を切り上げ、空は再度デュエルのルールブックを確認した。
黎斗によるルール改変が起きたが故、説明書に追加した箇所が記載されていないか念入りにチェックしていた。
カードゲーム方式では死なずに済むのは癪だが、ありがたいけど、逆にリアルファイト方式では今まで通り、命の危険性があるのは変わらない。
ついでにシンクロとエクシーズの試運転をし、あっさり使いこなした。
デュエルといえばキリトは殺された小学生くらいの少女に関するある疑問を思い出した。

「あの少女は何故、デッキの使い方を理解していなかったんだ?」
「説明書を記載していないのは考えにくいし、紙束デッキもあり得ないしな」

これについては主催が説明書を配布ミスや紙束デッキをわざと支給したとも思えなかった。
空自身に説明書も配られたお陰で直ぐにルールを把握し、肉おじゃ戦で完璧に使いこなしている。
空が持っている轟惑魔のデッキだって、徹底的に組み込まれている。
黎斗の放送でデッキは『強力なアイテム』と伝え、デュエルディスクとデッキ以外没収され、平等なのが分かるので後者の線も薄い。
となると単純な答えしかない。

「恐らく、本当にルールを理解していないであろう」
「それか使い方を確認する前に金髪の男に襲われた可能性もある」

そうでなければ、考えもなしにモンスターを出さないだろう。
ルールを把握していたら、最善策は正面から戦わずに魔法・罠カードを使って、時間を稼いで逃げるが勝ちだ。
この理由も仮定の一つで真相は永遠に開示しないだろう。
だが、最大の不運は同行者と巡り遭えなかったことだった。
キリトと空があの場にいれば死なずに済んでいたであろう。
デュエルのルールを空から教えを乞う未来があったかもしれない。

デュエルのルールブックアプリを再度、隅々まで全て読んだ空は次の話題に移った。

「危険人物についてだが、俺達が最初に遭遇したおっさんにPoH、女子小学生を殺した金髪の男だな」
「金髪の男はアプリからの配信で情報を手に入れたのが大きいけど・・・・」

キリトは再度、女子小学生が金髪の男に殺される理不尽さに助けることができなかった悔しさしかない。
気の毒ではあるが、金髪の男の情報が入ったのは皮肉としか言いようがない。

「あの金髪の男は参加者の中では上位に位置する存在だ」
「俺も只者ではないのはひしひしと伝わってくる」
「金髪の男に負けるつもりはないが、今はまだ仲間を集めるのが優先だ」

224二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:03:36
金髪の男は槍を使っているとしか、現在はそれしか情報がない。
支給品という勝負を左右する不確定要素もあるので侮れない。
白がいない今、金髪の男のような上位クラスの攻略は時間がかかるだろう。
当たり前だが、ここには白と遜色ない天才がいないのは明白だ。
でも、獣人種(ワービースト)とのゲームでは勝てたのは空白の力があったというのもあるが、仲間や協力者がいたのが大きかった。
このデスゲームでも仲間の存在が鍵になってくる。
白の穴を埋められるか分からないが、人類の可能性を信じている。

「PoHは俺に任せてくれないか。あいつとは俺が決着を付ける」

『何度もお前の前に現れる』という捨て台詞は本当に現実になってしまった。
PoHは確実に自分を狙ってくるし、今頃、誰かを襲い、悲劇を起こさせているだろう。
また自分の前に現れるなら覚悟しないといけない。
今度こそPoHと決着を付けて、長きに渡るラフィン・コフィンの因縁を終わらせる。

「だが、危なくなったら加勢する」
「肝に銘じておく」

これはキリトだけの問題ではない。
いずれ他の参加者にも直面するので、空は釘を刺した。

黎斗の放送が始まる前に遭遇した変なおっさん(肉おじゃ)の戦闘力は可もなく不可もなし。
ただ、誰かと手を組まれたり、時間が経つにつれて、チートカード以外にも装備が充実になり得るかもしれないので油断しない。

「檀黎斗に人質になった少女の関係者も警戒しておかないとな」
「それって・・・・美遊という少女救う為にその関係者が殺し合いに乗る事態か」
「人質がいるのにその関係者を呼ばないのはまず有り得ない」

空は美遊という少女の関係者も巻き込まれていることを放送の時点で確信していた。
キリトは空に明言されるまで考えてなかったが、美遊が人質にされるもう一つの最悪のケースを察した。

「奴らのことだ。ゲームを円滑に進めるために人質を餌にして煽らせているな」
「檀黎斗達がやりそうなことだな」
「勿論、ゲームに乗らずに人質奪還の方針だったら問題はない。万が一、馬鹿なことをしでかす可能性も考慮する」

キリトは主催に対し、苦々しい顔をするしかなかった。
もし、美遊の関係者が本当に殺し合いに乗っていて、対峙してしまったら、説得に成功できるか分からない。
美遊の関係者がこのデスゲームに乗っていないのを願うしかない。

継国縁壱という人物に関して、情報が皆無で余り話題にならなかった。
しかし、空は主催が特別扱いし、何故か嫌な予感がしたのでキリトに最大限の警戒をするよう忠告した。

「と、まあ、俺達が知っている範囲の警戒すべき危険人物だ」

キリトは改めて空の洞察力に驚かされた。
様々な視点や最悪の場合も考えており、彼は抜かりがなく、有能だ。
このデスゲームを打破するには、空の駆け引きが重要になる。

「もう移動しようか」
「そろそろ、狐島から出ないとな」

孤島にはキリトと空しかいないが故に変なおっさん(肉おじゃ)の時みたいに情報交換中に襲撃がないのはよかったと思う。
だが、この島に配置されたが為に出遅れてしまうであろう現状だ。
ここに留まっても事態は好転しないし、何も始まらない。
当初の方針通り、参加者と接触して、仲間を集める。

225二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:05:25
出発する前に二人のゲーマーはそれぞれの思いがある。

(檀黎斗、てめぇは俺が止める)

今のキリトの状態はUWと一緒だ。
痛覚があるのはいつも通りだが、UW同様、血も出るだろう。
それはPoHも言えることで、黎斗に調整を施されたのだと推測する。

黎斗はゲームに対する情熱は本物だ。
黎斗とヒースクリフは類似しているようで違う部分がある。
ヒースクリフは神を名乗らずに、傲慢でもない、なにより、バレた後も逃げずに堂々と自分に勝負を挑んだ。
SAO事件を起こして、かなりの犠牲を出したのは許されるものではない。
それでも、彼には彼なりの追い求めていた理想があったのは確かだった。
間接的に家族と修復する切っ掛けを作っており、彼を恨むことはできなかった。
黎斗はヒースクリフと違い、自称神を名乗り、今も笑いながらどこかで高みの見物をしている。
奴はヒースクリフに遠く及ばない、キリトは主催打倒の挑戦を受ける。

(檀黎斗。あまり、人類を舐めるんじゃねぇ)

空も黎斗に宣戦布告し、このデスゲームの攻略に挑戦を受ける。
黎斗がゲームに対する熱があるのだけは認める。
殺し合いには当然、乗らずに仲間を作り脱出して主催者にゲームを挑む。
神への挑戦はディスボードの世界と同じだが、違うのは黎斗が邪悪な神様気取りのみだ。
今度のゲームは現実の『戦争』で本当に死んだら終わりで今までにやったゲームとは訳が違った。
空白が揃わないのも興味本位か、ビビッて二人参加させるのを恐れているか、或いは別の理由かもしれない。
盟約もなく、都合が悪いとルールを改ざんする連中に絶対に負けない。
白は不在で、少々、手こずるかもしれないけど、それでも我々が勝つ。

「空黒(くうこく)に敗北の二文字はない」
「何だ空黒って言うのは?」
「白がいない今、脱出までの間、俺とキリトは臨時でコンビ名を名乗ろうと考えていた。空は俺の名前そのもので、キリトはイメージカラーが黒だし。勝手に名前を付けるのは駄目だったか?」
「賛成だ。気に入った」

空は主催に対し、宣言を表明する。
平行してコンビ名が決定し、改めて結成する。
二人のゲーマーは仲間を集めるべく歩き出した。

その後、キリト達は海辺に着いたが、海面が広がっており、肝心な島に上陸する方法はあっさりと解決していた。
そこにはいくつかのモーターボートが配置されていた。
主催陣営が孤島からスタートしたが故の救済措置なのは察しがつく。
キリト達が選んだのは高級で木材の美しいほうだ。

「俺はリアルでバイクの免許を取っているからいけなくはないが、空は出来るのか?」
「ゲームで鍛えたから問題ない」
「突っ込み要素はあるが、俺が操縦する」

空は明らかに素人で不安な箇所はあるのでモーターボートの運転はキリトに任せる。
走行中に襲撃されるのを考慮し、その時は仕方なく交代して、キリトが対処し、空は操縦を担当する。
幸い、操縦はご丁寧にマニュアルが用意されており、二人は読んで理解した。

「本島に上陸する前に地図の外を確かめに行く」
「望みは薄いけど、調査しない訳にはいかないもんな」

226二人だけは二人信じてる ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:07:10
キリトも会場外の水平線の向こう側は気になっていた。
しかし、主催者も対策を立てない程馬鹿ではない、明らかに連中の干渉を受けるだろう。
本島には当然だが、船やモーターボートを配置するはずがない。
リスクはあるが、海の調査ができるのはキリトと空しかいない。

「出発進行」

モーターボートを出航し、会場外へ進路を定めた。
発進した当初は操縦がぎこちなかったが、徐々に慣れていき難なく操縦出来た。

隣には一緒に戦ってくれる元の相棒はいないが、新たな相棒は互いを信頼しているから。

【D-8 海上/一日目/深夜】

【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、高級木材のモーターボート@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:地図外を調査しに行く。調査後、D-7の本島に上陸する
3:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
4:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレット・サークル) 》及び《弾道予測線(バレッド・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリパルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。

【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(轟惑魔)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状態]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:地図外を調査しに行く。調査後、D-7の本島に上陸する
3:主催者と関係ある人物と接触する
4:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
5:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び轟惑魔デッキの回し方を把握しました
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。

227 ◆2fTKbH9/12:2024/01/01(月) 23:08:32
決闘ロワの一作目の仮投下を終了します。

228 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:32:37
決闘ロワの二作目の仮投下します。

229マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:35:02
「会場の外に出たら起爆。そりゃ、当然か」

空達は地図の外を調査するべく、会場外の直前まで来て見たのはよかった。
このまま脱出が可能か確認するため、会場の外に出た瞬間に首輪の警告が鳴った。
想定内であるが、外からの脱出は不可能でその先に何があるか不明だ。
直ぐに旋回し、このまま当初の目的であるD-7に上陸する。
収穫がない訳でもなく、地図の外の調査報告を他の参加者に共有できるのだから。
空としては海面の中も調べたかったが、まだ夜で暗すぎるのもあるが、絶対に用意されないだろうウェットスーツがなく当然ながら断念。

「案の定、外からの脱出は不可で微妙な成果だ」
「他の人に外の件を伝えるだけでマシだな」

その後、キリト達は無事、北東のD-7に到着した。
途中で襲撃は起きなかったけど、モーターボートを流石に放置はせずにデイパックに仕舞った。
突然、空はある物を思い出した。

「キリト念のためハズレの支給品を見せてくれないか?」

肉おじゃに襲われる前にキリトは唯一のハズレの支給品があると言った。
空の支給品はデュエルディスクとデッキ以外主催に没収されてしまった。
だからこそ、例え、役に立たない物でも意外なとこで活用できると考えている。

「いいけど、この変な古い物だ」
「古代の遺産か」

キリトはデイパックから片方の角が生えた埴輪だった。
余りにも間抜けな面をしたデザインだ。

「お主達は誰だ?」
「喋った!?」
「誰だと言いたいのこっちだ」

すると声が聞こえ、埴輪が喋ったのだ。

「余の名はリリス。5000年も生きている魔族だ」
「俺はキリト、こっちが空だ」
「ってかここはどこだ?状況が分からぬのだ」
「空、如何やら何も知らないみたいだ」
「実はな」

リリスは状況を把握するべく、キリトと空に事情の説明を求めた。
ここは殺し合いに巻き込まれたこと、檀黎斗達によるデスゲーム開始宣言が行われたことなど伝えた。
リリスは最初こそ戸惑いを隠せなかったが、あっさりこの状況を受け入れた。
何故デイパックにいつの間にか入れられた記憶が皆無だ。
如何やら、支給品扱いでも参加者と同様な処置を取るようだ。

「余のぞんざいに扱うとは何事だ!!」
「それはごめん」
「直ぐに起きなかったお前も悪い」

因みにキリトがリリスを放置したのは故意ではない。
殺し合いが始まった直後もあって、慎重すぎていたが故、埴輪を手に取ったが、反応がなかったらしく、即デイパックにしまってしまった。
結局、ずっと熟睡し、2度目で外に出して、ここでようやく起きたのが真相。
キリトも悪気はなかったといえ、全く気づかずに放置した件を謝罪しているに今に至る。
最もリリスも封印が解かれる前も肉叩きやドアストッパーにされて、雑に扱われていたので今に始まったことではないが。

「余は5000年も生きておるのに空は何故、驚かん」
「俺の知る限り、お前以上に長寿がいるんだ。ドヤ顔で自慢されてもな」

230マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:36:47
リリスは自己紹介をした際、長寿であるのをドヤ顔していたのだ。
キリトは驚愕したが、空は一ミリも反応がなかった。

そもそも空は天翼種(フリューゲル)のジブリールは6407歳なのは知っているし、他にも六千年前に起きたらしい大戦にも存命している種族もいることは多少は把握している。
逆にキリトはUWという世界で200年、300年も長生きしている人もいるが、流石に5000年はいないので驚愕した。
古代からずっと生きてきたのは理解しているものの、空にとってはそれと比べると霞んでしまっていた。

「余はいずれ世界を征服する魔族だぞ」
「冗談はよせ」
「あんたは根は悪人じゃないの、分かっている」
「本気だぞ」

キリトと空は短いやり取りでリリスの人柄を既に理解した。
確かに欲に忠実で尊大で、更に言うなら抜けているなど二人は敬う気は全然ない。
本質は悪ぶっているだけで本気で人を平気で傷つける魔族ではないことだ。
例え、しょうもないことで悪い事をしても詰めが甘かったり、自滅が想像するので全く危惧はなかったりする。

「それより、リリスは知っている人はいるのか?」

キリトは名簿をリリスの目の前に置いた。
そこで驚愕しかなかった。

「え!? ほぼ全員集合ではないか!!」

そこには、吉田優子、千代田桃、陽夏木ミカン、吉田良子、吉田清子、小倉しおんの名が載っていた。
シャミ子の友人、佐田杏里はいないのが幸いだ。

リリスはキリトと空に自分の一家の子孫と知り合いの魔法少女、シャミ子の友人がいることを話した。
六人の特徴と全員殺し合いに乗るわけがないことも伝えた。

「あんたの知り合い多いな」
「危険な人物がいるよりはマシかもな」
「シャミ子らが無事であればいいが・・・」

リリスも不安がないと言えば噓になる。
このバトルロワイアルは吉田一家や知り合いが無事でいられる保証はないのだから。
桃、ミカンは自衛出来るが、手に負えない人物とやったらどうなるか分からない。
シャミ子と小倉は持ち前の機転で乗り切ってくれると信じている。
良子は軍師と言える程、頭脳明晰だけど、まだ幼く、誰かに保護しないと危ない。
特に清子は戦える力がなく、心配だ。
不安要素は多々あるが、気が合わなくても死んだら悲しまないわけがない。
六人全員が無事に再会を祈るしかない。

「リリスの知り合い探しを付け加えるとして、リリスには今後の方針と放送後に俺とキリトと出し合った情報量を頭に叩き込んでおけ」

現在、これから参加者と接触し、そのために北東に行って、捜索すること。
主催の謎の目的に関する仮説や危険人物の詳細情報など伝達した。

「お主、良子以上に優秀かもな」

良子も頭の回転は速いが、下手すると空はそれを超えるほどの有能な人物だ。
あくまで推測だが、空は参加者の中で優秀な頭脳なら間違いなく三本の指に入るだろう。
全然、参加者と出会っておらず、今は確信できないが。

231マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:38:15
「しかし、魔法少女と魔族がいる世界か」
「平行世界とは檀黎斗とやらも大胆だな」

リリスも最初こそ参加者は異世界から集められたと空から聞き、半信半疑だったが、デュエルカードを説明し、リリスも元の世界にこのカードゲームを知らない時点でパラレルワールドの存在を理解した。
空達はリリスのいる世界を聞き、大体、把握している。

「如何にも争いが起きそうなんだが・・・」
「安心しろ。今は穏健派な魔法少女が大半を占めていて、余らも無害なまぞくも多いし、お主らが思っている程、争いはない。」
「それなら、よかった」

キリトはUWで起きた人界と暗黒界との戦争を連想していた。
リリスが闇の一族、光の一族のことを聞かされて、異界大戦の二の舞が起きた可能性を心配していたが、何事もないみたいで安心している。
多摩市の人々は優しさに溢れているらしいので平和が一番だと思った。
リリスに全て事情を話したキリトと空は再出発をした。





「誰も会わないではないか」

再度移動を始めたが、あれから参加者と接触出来ずにいた。
C-6に来ては見たけど、人っ子一人見当たらない。
リリスが捜しているシャミ子達すら遭遇していない。
空は何も進展がないのではと一瞬、考え出すくらいに。

その時、音が聞こえて、遠くに1台の車が走っていた。

「あっちに車が走っているぞ」
「やっと人と会えるのか」
「接触するが、車にいるのがゲームに乗っていない人とは限らないぞ」
「分かっている」

遠いが、十分な距離もあり、キリトは警戒しながら車に向けて手を振った。
しかし、気づく気配はなく、段々と遠ざかっていた。
これで車に乗っている人は危険人物ではないのは明白だが、同時にキリト達がいるのに明らかに周りを確認していない様子だ。
キリトは走り出し駆けようとしていた。

「もういいキリト、無駄な体力を使うな」
「そう、だな。追いかけても見失うだけだな」
「手を振ったのに分からんとかとんだ愚か者だ」

キリトは追いかけかけたが、空に静止されて、冷静になった。
空とリリスは車にいる者に大いに失望していた。
並行して空は何者かに意図的に避けていると推測しているが、証拠が弱い部分も多く、断定は出来なかった。

もし、車に乗っていた主こと冴島鋼牙と柊ねむが彼らに気づいていたら当然、車を止めて接触していただろう。
否、鋼牙はともかく、ねむは車の窓を眺めキリト達を目撃したが、直感からキリト達と接触したらねむにとって死活問題になると感じていた。
危惧する通り、空はねむの隠している本質を時間がかからずに見破っていたかもしれない。
空達は魔戒騎士の情報を得て、主催にいる黒い騎士に関する考察をしていただろう。
だが、鋼牙は一瞬で周囲の確認を怠る大きなミスをし、キリト達の接触を逃してしまった。
後の遭遇する二人とゲーマーの二人を加えた六人で二人のマーダーと戦う未来があった。
全部IFの世界で時間を戻すことはあり得ないのだから。

232マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:39:58
車を追うのを断念した後、それから参加者の捜索をC-6からC-7に移っていた。
C-7を隈なく捜し回っているが、この付近も見つからず仕舞いだ。

「この辺りも誰もいないか」

車に無視される形になってから、巡り合わせもなく、収穫もない。
リリスはげんなりしつつあった。
でも、端っこにいる可能性もあるので捜さない訳にもいかない。
少し、歩いたら建物を発見した。
それは空の知っている建物だからだ。

「エルキア大図書館が何である?」
「知っておるのか」
「今いる世界のイマニティの図書館だ」

忘れる訳がない。
元々は人類種(イマニティ)の所有物だったが、昔、天翼種(フリューゲル)にゲームに負けて奪われてしまった。
後に空白の具象化しりとりというゲームに勝って、所有権を取り戻したが。
以降は情報を得たい時はこの図書館に寄っている。
空はエルキア大図書館を見つけたことにより、新たに方針が思い浮かんだ。

「キリト、リリス寄り道してしまうが、俺は図書館を調べたい。もしかしたら、手掛かりが残っているかもな」

可能性は高くないが、何かしら情報があるなら調べておく必要がある。
この会場の全体の仕掛けや秘密、主催の情報等、断片的でも残っているなら見逃さない。
中の構造も本物かそれも見ないといけない。

「その前に参加者の捜索が優先だな」
「だな。捜索後は図書館に寄る。リリスもそれでいいな?」
「仕方ない、お主の見知った場所だし、道草に付き合ってやろう。」
「決まりだな」


空はエルキア大図書館を見つけた際、もう一つのプランを考えていた。
それはエルキア大図書館に6,7人(支給品扱いは除く)くらい集まったら二手に分かれるというもの。
大人数で動かずに固まっていると情報収集にどうしても遅れが生じてしまう。
エルキア大図書館を調べても手掛かりがないなら時間が短縮するが、有力な情報を得たら長時間かかり、話が別になる。
特にリリスみたいに知り合いがいる場合、早く合流させてあげたい気持ちもある。
参加者を捜索する組と図書館に残って情報を集める組に分けて、効率よくするということだ。
前者は西か中央辺りで捜索させ、後者の空を含む居残り組は図書館の調査終了後にD-6の近場の島に向かう。

だが、5人以下の場合は固まるしかない。
一般人やサポート系が何人かいて、別行動するとどうしても戦力が偏ってしまう。
万が一、金髪の男みたいな上位クラスの力を持った者や手を組んでいる連中が来ると対処が難しくなる。
集まらなかったら知り合いがいる人には申し訳ないが、我慢して貰う。
デメリットは上記の通り、情報収集の出遅れだ。
あの車の面子がこちらに気づいていれば仲間にして、負担を減らせたかもしれなかったと残念すぎた。
どっちにしろD-6の近場の島に行くのは変わらない。

少なくとも一回目の放送前後にはエルキア大図書館を調べ始める。
この案は北東で参加者の捜索後、キリト達に話す。
友好的な参加者と接触できた場合、一気に話したほうが早い。


空達はエルキア大図書館を一時、後にし、まだ人がいるかもしれない近辺の捜索を再開した。

233マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:42:14
【C-7 国立エルキア大図書館付近/一日目/黎明】

【キリト@ソードアート・オンライン(アニメ版) 】
[状態]:疲労(小)
[装備]:カゲミツG4@ソードアート・オンライン、ごせん像@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す
1:空と共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる
4:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
5:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はソードアート・オンライン
アリシゼーション War of Underworld終了後
※遊戯王OCGのルールをだいたい把握しました
※アバターはSAO時代の黒の剣士。
GGOアバターに変身することも出来ます。GGOアバターでは《着弾予測円(バレッド・サークル) 》及び《弾道予測戦(バレッド・ライン) 》が視認可能。
その他のアバターに変身するためには、そのアバターに縁の深い武器が必要です。SAOのアバターのみキリトを象徴するものであるためエリュシデータやダークリバルサー無しでも使用出来ます。SAOアバター時以外は二刀流スキルを発揮出来ません。これらのことはキリトに説明書に記されており、本人も把握済みです。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※空と空黒というコンビ名を結成しました。

【空@ノーゲーム・ノーライフ(アニメ版) 】
[状態]:健康
[装備]:デュエルディスクとデッキ(轟惑魔)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品、高級木材のモーターボート@現実
[思考・状況]基本方針:ハ・デスと檀黎斗を倒す。あまり人類ナメるんじゃねぇ
1:キリトと共闘する
2:北東で参加者を捜す
3:2の後、エルキア大図書館に寄り、調べる。二手に別れるかは人数と戦力状況による
4:主催者と関係ある人物と接触する
5:変なおっさん(肉おじゃ)、PoH、念のため美遊の関係者を警戒
6:金髪の男(ポセイドン)、継国縁壱を最大限に警戒
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後
※遊戯王OCGのルール及び轟惑魔デッキの回し方を把握しました。
※主催陣営はSAO事件を参考にしたと推測しています。
※キリトと空黒というコンビ名を結成しました。

【キリト、空の地図外についての共通認識】
・マップの端に出たら首輪による警告音が鳴り、それでも留まったら起爆する。
・水平線の向こう側の外側は現状不明。

【ごせん像@まちカドまぞく】
キリトに支給
リリスが封印されている依り代。
封印前はシャミ子しか聞けなかったが、封印が一部解除されてからはシャミ子以外にも声を届けることができた。
参戦時期は原作4巻(アニメ2期)終了後。

『施設紹介』
【国立エルキア大図書館】
イマニティが所有する図書館
館内にはたくさんの本が置かれており、知識が豊富である。
地下にも本があり、そこで具象化しりとりゲームが行われた。

234マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 16:43:04
二作目の仮投下を終了します

235 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:53:47
決闘ロワの二作目の仮投下の>>231>>232を修正します。

236マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:55:44
「しかし、魔法少女と魔族がいる世界か」
「平行世界とは檀黎斗とやらも大胆だな」

リリスも最初こそ参加者は異世界から集められたと空から聞き、半信半疑だったが、デュエルカードを説明し、リリスも元の世界にこのカードゲームを知らない時点でパラレルワールドの存在を理解した。
空達はリリスのいる世界を聞き、大体、把握している。

「如何にも争いが起きそうなんだが・・・」
「安心しろ。今は穏健派な魔法少女が大半を占めていて、余らも無害なまぞくも多いし、お主らが思っている程、争いはない。」
「それなら、よかった」

キリトはUWで起きた人界と暗黒界との戦争を連想していた。
リリスが闇の一族、光の一族のことを聞かされて、異界大戦の二の舞が起きた可能性を心配していたが、何事もないみたいで安心している。
多摩市の人々は優しさに溢れているらしいので平和が一番だと思った。
リリスに全て事情を話したキリトと空は再出発をした。





「誰も会わないではないか」

再度移動を始めたが、あれから参加者と接触出来ずにいた。
C-6に来ては見たけど、人っ子一人見当たらない。
リリスが捜しているシャミ子達すら遭遇していない。
空は何も進展がないのではと一瞬、考え出すくらいに。

その時、遥か遠くに1台の車が走っていた。

「あっちに車が走っているぞ」
「やっと人と会えるのか」
「あの様子だと余らと余りにも離れすぎておる」
「そんな」

一台の車を見かけた時には地平線を見るように遥か先に距離が開きすぎており、真っ直ぐに向かって即見えなくなってしまった。
間に合わなかった事実に三人(内一人は支給品扱い)は大いに落胆した。
キリト達から見ると車は後ろ姿で止めに四km以上も離れていたのが大きな不運だ。
だが、キリトは走り出し駆けようとしていた。

「もういいキリト、無駄な体力を使うな」
「そう、だな。追いかけても見失うだけだな」
「余もこれは仕方ない」

キリトは追いかけかけたが、空に静止されて、冷静になった。
空は危惧していたが、狐島に配置されるデメリットは参加者の接触を逃し、出遅れることだ。
接触を逃し続けると情報面で不利になり、最悪、全滅であろう。
あの車とは生きていれば再会出来るだろうし、キリト達は次に切り替えた。

もし、あの車にいた面々、冴島鋼牙と柊ねむの近くか隣のエリアに配置されていれば簡単に接触して出遅れることはなかっただろう。
今回ばかりは最悪のタイミングでアンラックを呼んでしまった。
もしも、キリト達は鋼牙達と接触に成功し、その際、空はねむの隠していた本質を時間が掛からずに見破り、敵対する理由がないとして、空の交渉力でやちよ達と共闘するよう持ち込むことは可能だったであろう。
そして、主催にいる漆黒の騎士についての考察もしていただろう。
後の遭遇する二人とゲーマーの二人を加えた六人で二人のマーダーと戦う未来があった。
全部IFの世界で時間を戻すことはあり得ないのだから。

237マゾクの心得 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:57:59
車を追うのを断念した後、それから参加者の捜索をC-6からC-7に移っていた。
C-7を隈なく捜し回っているが、この付近も見つからず仕舞いだ。

「この辺りも誰もいないか」

車に無視される形になってから、巡り合わせもなく、収穫もない。
リリスはげんなりしつつあった。
でも、端っこにいる可能性もあるので捜さない訳にもいかない。
少し、歩いたら建物を発見した。
それは空の知っている建物だからだ。

「エルキア大図書館が何である?」
「知っておるのか」
「今いる世界のイマニティの図書館だ」

忘れる訳がない。
元々は人類種(イマニティ)の所有物だったが、昔、天翼種(フリューゲル)にゲームに負けて奪われてしまった。
後に空白の具象化しりとりというゲームに勝って、所有権を取り戻したが。
以降は情報を得たい時はこの図書館に寄っている。
空はエルキア大図書館を見つけたことにより、新たに方針が思い浮かんだ。

「キリト、リリス寄り道してしまうが、俺は図書館を調べたい。もしかしたら、手掛かりが残っているかもな」

可能性は高くないが、何かしら情報があるなら調べておく必要がある。
この会場の全体の仕掛けや秘密、主催の情報等、断片的でも残っているなら見逃さない。
中の構造も本物かそれも見ないといけない。

「その前に参加者の捜索が優先だな」
「だな。捜索後は図書館に寄る。リリスもそれでいいな?」
「仕方ない、お主の見知った場所だし、道草に付き合ってやろう。」
「決まりだな」


空はエルキア大図書館を見つけた際、もう一つのプランを考えていた。
それはエルキア大図書館に6,7人(支給品扱いは除く)くらい集まったら二手に分かれるというもの。
大人数で動かずに固まっていると情報収集にどうしても遅れが生じてしまう。
エルキア大図書館を調べても手掛かりがないなら時間が短縮するが、有力な情報を得たら長時間かかり、話が別になる。
特にリリスみたいに知り合いがいる場合、早く合流させてあげたい気持ちもある。
参加者を捜索する組と図書館に残って情報を集める組に分けて、効率よくするということだ。
前者は西か中央辺りで捜索させ、後者の空を含む居残り組は図書館の調査終了後にD-6の近場の島に向かう。

だが、5人以下の場合は固まるしかない。
一般人やサポート系が何人かいて、別行動するとどうしても戦力が偏ってしまう。
万が一、金髪の男みたいな上位クラスの力を持った者や手を組んでいる連中が来ると対処が難しくなる。
集まらなかったら知り合いがいる人には申し訳ないが、我慢して貰う。
デメリットは上記の通り、情報収集の出遅れだ。
あの車の面子と接触に成功出来ていたら仲間にして、負担を減らせたかもしれなかったかもしれない。
どっちにしろD-6の近場の島に行くのは変わらない。

少なくとも一回目の放送前後にはエルキア大図書館を調べ始める。
この案は北東で参加者の捜索後、キリト達に話す。
友好的な参加者と接触できた場合、一気に話したほうが早い。


空達はエルキア大図書館を一時、後にし、まだ人がいるかもしれない近辺の捜索を再開した。

238 ◆2fTKbH9/12:2024/01/03(水) 23:59:23
決闘ロワ二作目の仮投下の修正は終了します。

239 ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:42:00
決闘ロワの三作目を仮投下します。

240Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:47:45
PoHは月の邂逅後、狐島からわざわざ泳いで脱出した。
月を絶望させて上機嫌になっていたが、今は何とも言えない気分になっていた。

「しんどいぜ」

原因は月を追ってG-2の本島から狐島へ泳いで往復したことだ。
そもそも本来、PoHのスタート地点は本島の某所の街である。
獲物を探す為に地図だと5マス分わざわざ南西へと大きく移動した。
月を発見したのはいいが、どういう訳か狐島という安全とは言い難い場所に行ってしまったのだ。
月を追跡する為に行かざるを得なくなった。
下半身が濡れたがそれは問題ではない。
往復する形で泳いだのが面倒臭かったのだ。
月を絶望させていなかったらテンションが下がったかもしれない。

気分を変えて一時、南西から離れて新たな行き先を決めていた。
地図の中央に向かう予定だ。
それに南西で狩りを始めたら逆に月が自分を追って来る可能性もある。
直ぐに月と再会するのは簡単だけど、それではつまらない。
別の方角に向かうことにする。
しばらくしてから南西に行くかは保留にしておこう。

移動しようとした矢先に突然、金色のカブトムシがPoHの周りに宙を舞う。

「俺を選んでくれたな」

そう言うとデイパックからブレスレットを取り出し、右腕に巻き付けた。
この言葉を指していたのは金色の昆虫メカことカブティックゼクターだ。

「ちょいと、実験してみるか」

カブティックゼクターはブレスレットに鎮座した。
先程、交戦した男と同じ掛け声を口にした。

「変身」
『HEN-SHIN』
『CHANGE BEETLE』

PoHの全身が装甲に覆われていく。
その姿は上半身も三又の角も黄金で王様を思わせるような感じだ。
右肩にはショルダーアーマーが装備されている。

その名は仮面ライダーコーカサス。
秘密機関ZECTが別世界線にて開発したコーカサスオオカブト型のマスクドライダーシステムだ。

実はPoHの最後の支給品がとても有力な物があった。
見せしめで殺された葛葉紘汰が言っていた仮面ライダーという変身アイテムだ。
いい物を当てたと思いきや簡単にカブティックゼクターに選ばれなかった。
宝の持ち腐れだと思った。この時までは。

でも、カブティックゼクターはPoHが資格者に相応しいか内密に見極めていた。
そして、月との戦闘を観察して今、カブティックゼクターに認められたに至る。

「システムは異なっているが、悪くねぇな」

241Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:51:01
仮面ライダーに変身出来た途端、気分を取り戻した。
紘汰と月とは変身アイテムの形状は違うが興味深かった。

「あれを試すか」

最初にコーカサスの説明書を確認し、頭の片隅に置いておくだけだった。
あれの効果を試すなら丁度良かった。

「クロックアップ」
『CLOCK UP』

すると物凄い速度で移動を始めた。
それはクロックアップという能力だ。
これに変身した時のみ流れてくるタキオン粒子を操作し、超高速移動が出来るらしい。
常人では目視出来ない速さを上回る。
効果を試したら思っていた以上だ。

思うように移動している最中だった......

『CLOCK OVER』

何故か急にクロックアップが解除されたのだ。
PoHはその答えを直ぐに理解する。

「無敵じゃねぇのを知っただけでも充分だ」

この能力は強力だが、過信しないほうが身のためだ。
連発も不可なのは確認出来た。
決める時に決めないといけない。

変身を解除した後、地図を見るとクロックアップのお陰でF-3の南側に移動していた。
狩りでもないのにクロックアップを使用したのは月を撒くのが目的であくまで実験段階。
ここまで来れば月と直ぐに再会はしないだろう。
この会場の中央へと歩き出した。

PoHは知る由もないが、無惨と滅がこの付近に滞在していた。
運がいいのか悪いのか定かではないが、PoHは戦闘音を聞くことも彼らに遭遇するもなかった。
彼はそのことに一切、気づくことはなかった。





橋を渡り終えたPoHは歩みを進める。
そんな中PoHは思考を纏めている。
月を追うのに夢中でそれ所ではなく後回しにしていた。

(そういや閃光は来てねぇな。なら、あいつと一緒にいる仲間に変更するか)

新たな考えが浮かび上がった。
キリトの愛人アスナと言う女がいないのは残念だが、いなくても充分だ。
奴は今頃、このデスゲームに乗らずに仲間を作っているのだろう。
アスナの代わりに今の同行者或いは現在の相棒をターゲットにして、目の前で殺し、キリトを追い詰める。
そして、キリトを最高の愛情を持って殺す。

242Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:52:42
(あの神様気取りが反故にするなら.......)

PoHが危惧しているのは、最後の一人として生き残っても、主催が渋って、最終的には自分も始末する最悪の事態だ。
諸事情でPoHは韓国系の犯罪組織に拾われて、いくつもの汚れ仕事をしてきた。
故に長年、裏の世界で暗殺者としての勘からそう考えた。
ハ・デスと磯野がいい例かもしれない。
仮に自分にも殺しに掛かるなら、主催も皆殺しに含める。

(まあいい、その時になれば分かるさ)

今はこのバトルロワイアルを愉しもう。
狩りはまだまだ始まったばかりだ。
序盤でこれについて考えるのは今はまだいい。
何れにせよ最悪も想定しておこう。

気を取り直しPoHは新たな狩り場を求めて歩き続ける。

一つだけこの時点のPoHには預かり知らぬのがある。
それは心意システムである。
想いの力があれば色々な事象を発動できる。
それが歪んだ想いや憎悪だろうと関係ない。
扇動の心意も問題なく引き起こせるのにPoH自身は知らない。

あれからかなり時間が経過し、誰とも遭遇せずに進展はない。
地図の中央辺りに来ても見られずにいた。

その矢先、向こうで戦闘音が聞こえた。

「お待ちかねの狩りの時間だな」

PoHは戦闘音がした方向へ走って行った。





結論から言ってPoHは気配を隠して様子見を決めた。
ようやく狩りの時間に在り付けると思ったら、遠目にてある存在に気づけたのだ。
自称神様が紹介したレッドプレイヤーがこの場にいてそれ所ではない。
ぱんだ荘に隠れて継国縁壱の実力を確認することにした。

縁壱と相対するのが五人の日本人だ。
まず、あの集団の中で一番強いのは軍服の男だ。
相当な手馴れで血盟騎士団に入ってもおかしくない実力だ。
剣捌きも中々やるみたいだ。

次にマシなのは黒服の陰キャラのような男だ。
場数を踏んでいるのもあって悪くない。
遠目で発見した際は同じ黒のせいでキリトと危なく間違いかけたのは内緒。
仮にキリトがいたら静観せずに飛び出していただろう。

女三人ははっきり言って論外。
恐らく、月同様、支給品で補って強化しただけだろう。
ズブの素人で全体の足を引っ張っている印象だ。
本気でやれば一人ずつ二秒も掛からずに終わる。

243Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:54:33
肝心な侍の実力はどんでもなかった。
無駄な動きと隙を見せる気配がない。
軍服の男が優勢になったと思いきやそれをあっさり跳ね除けた。
主催が用意しただけある。

(あんなバケモンに隙なんてあんのか?)

余りにも強すぎて見たことないが、アインクラッドの百層のフロアボスと遜色ないと考えた。
この序盤で手を出すべきではないと決断した。
あの侍は全参加者からラスボスとして無視出来なくなる。
攻略する方法を見つけるまで放置で良いだろう。

(つまみ食いしても罰は当たらねえよな)

PoHは見ていることしか出来ない黒服の男と女三人に視線を向けていた。
軍服の男と侍が戦闘中に四人を狩りの時間にする。
月との邂逅以降、参加者との接触がなかった。
扇動させる火種もなさそうなので、ちょうどコーカサスの性能を試す実験台にしよう。
クロックアップ以外にもスペックを把握するにはいい機会だ。
狩りの最中に先に軍服の男が負けたら直ぐに逃走するのを忘れない。

ここでウエイトレスの女が何らかのカードを取り出した。
これは自分が使用したカードと同類だ。
連中に動きを見せた。
そして、カードを掲げた。

(させねえよ)

邪魔をするべく動き出そうと・・・・・・


すると不快な笑い声がした途端にウエイトレスの女が殺された。
笑い声の正体は道化師のような和風装束の男だ。
ウエイトレスの女を殺った下手人は小学生くらいの女だ。
突然の乱入によってPoHは静観を延長する。
あの様子だと手を組んでいると即理解する。

黒服の男が突撃したら、リンボと言う陰陽師によって呆気なく叩き潰された。
如何やらあの陰陽師は流石に侍程ではないが、只者ではない。
未来のPoHなら後にある組織の上司になるガブリエル・ミラーに匹敵或いはそれ以上と評しただろう。

オレンジ髪の女が剣で斬りかかる途端、女子高生が乱入し、一蹴した。
盗み聞きした会話で最上と言う女子高生も手を組んでいるらしい。
この女も月とは比べ物にならない程の邪悪で容赦なくウサギを虐殺した。

(こいつは傑作だ。あのメスガキ狂ってるな)

PoHは今でも笑いを堪えている。
角が生えた赤髪の女と良子と呼んでいるメスガキは何と姉妹らしい。
何でも姉の為に殺し合いに乗って、残らせるべく手を汚したそうだ。
参謀と自称したことから嘗て自分が立ちあげた組織ラフィン・コフィンの幹部ジョニー・ブラックと同じ立ち位置だと考えた。
ラフコフと攻略組よる惨劇と同じくらい面白い物を見れて満足だ。

244Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:56:16
(あいつら終わったな)

どう考えても自分が手を出さなくても終了だ。
どんなフィナーレを飾るか楽しみにした時だった。

(あれは)

別の二人の日本人がこの戦場に乱入し、オレンジの髪の女を助けたのだ。
ヒーローは遅れて到着する。お手本のような場面だ。
それを見たPoHは面白くなかった。
しかもマゼンタ色の仮面ライダーと剣士の女は強い。

『という展開はまたいずれ。此処はこれにて御免』

あの台詞から撤退するつもりらしい。
PoHももう離れるつもりでいた。
この場に残っても意味がなくそれどころか次に自分が侍の標的にされるであろう。
キリトも現れる気配はなくこの場にいる連中に聞けなかったのは残念だ。
それに陰陽師達に用がある。
空飛ぶ絨毯で飛び去って行くと同時に人知れずにぱんだ荘から離れて行き、絨毯を追いかける。





「面白くなって来たじゃねえか」

PoHは走り続けていた。
陰陽師達に接触する為に。
それは彼らと一時休戦をして、手を組むのが目的だ。

PoHはこのデスゲームで大分認識を改めざるを得ない。
最初に遭遇したのが月であるが故に若干余裕があると思えた。
しかし、自称神が用意したレッドプレイヤーの実力を始め陰陽師一味や乱入した実力のある偽善者のアジア人によって兜の尾を締めさせてくれた。
この場は終始、静観を徹底したお陰で単体では遅れを取る気は毛頭ないが、組んだら面倒だと知っただけでも儲け物だ。

最初はラフィン・コフィンのような集団を結成しようと考えた。
陰陽師一味の有力さと陰陽師にほんの少しだけ興味を持ったことで気が変わったのだ。
あの集団は陰陽師がリーダー格だが、女子高生のほうが冷静に見える。
四人の日本人を横取り行為は頂けなかったが、代わりに面白い物を見れたのでなかったことにする。

あの陰陽師は明らかに自分と似た本質だと気づいたから。
他人の本質を見抜き矜持、信念等を平気で踏みにじみ愉悦を感じる所は共感出来る。
奴の邪悪さは下手すれば自分を超えているだろう。
信用は一切、出来ないが同じ同類として、一時休戦を申し込んで損はしないはずだ。
陰陽師は直感だが、恐らく、人間でないだろう。
殺し合いに乗っている日本人と手を組むのは反吐が出るが、ラフコフの構成員みたいに利用尽くして最終的に捨てれば問題ない。
勿論、断られる可能性もあるので迎撃と撤退の準備も怠らずに慎重に交渉する。
仮に交渉に成功しても全員が利用し合う関係で利害一致しただけに過ぎず、自分に憧れていた馬鹿ばかりのラフコフの構成員とは違う点だ。
同行するにしろ別で行動するにしろ用心もする。

理由はまだある。陰陽師一味と手を組めたらキリトを殺させない為と遭遇する確率を上げる為。
いくらキリトといえども陰陽師一味相手に多勢に無勢で一溜まりもないかもしれない。
その為には釘を刺しておくが、約束を保証する可能性は低いだろう。特に陰陽師は。

245Round ZERO〜Ruffin Coffin Evil ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:58:01
それにしても繰り返すが手を組めたらメスガキの姉をレッドプレイヤー側にさせるのも面白そうだ。
先程はいい物を見れたけど、手を組めたらそれはそれ、これはこれだ。
姉妹共々後戻り出来ない方向に行かせるのも悪くない考えだ。
その役目は陰陽師に任せても構わない。
奴もどうせ同じことを考えているであろう。

(さて、連中の方向は――――だ)

遥か彼方へ行った絨毯に乗っている陰陽師一味を追っている最中だ。
連中の行き先を把握出来たのは一足早くあの場から離れた判断力と前方を見れたのもあるが、一番は飛んでいると目立っていたお陰で行き先を完全に特定した。
後は飛行し続けると目立つのでそう遠くに行かないだろうと推測する。
PoHはこの交渉を吉と出るか凶と出るかはまだ誰にも分からない。


【E-5/一日目/早朝】

【PoH@ソードアート・オンライン】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:エリュシデータ@ソードアート・オンライン、カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト、シフトチェンジ(現在使用不可)@遊戯王OCG
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:この決闘を楽しむ。
1:陰陽師一味に接触して、一時休戦&手を組むのを交渉する。
2:あのアジア人(月)は今後どうなるやら。楽しみだ。
3:この剣でキリトだけなくその相棒或いは同行者も殺す。
4:アジア人は優先的に殺すか扇動していく。
5:手を組めた場合はメスガキ(良子)の姉(シャミ子)をレッドプレイヤー側にさせるのも悪くない考えだ。
6:主催も皆殺しにするのも視野に入れる。
[備考]
※参戦時期はラフィン・コフィン討伐戦より後です。
※コーカサスの資格者に選ばれました。
※アニメ版で披露した扇動の心意は問題なく作用します。


※リンボ一派の方向先を把握しました。詳細は後続の書き手にお任せします。


【カブティックゼクター(コーカサス)+ライダーブレス@仮面ライダーカブト】
PoHに支給
マスクドライダーシステムの一つ。
資格者が変身ツールのブレスレット型のライダーブレスを装着する。
コーカサスオオカブト型メカのカブティックゼクターを資格者が装備することでコーカサスに変身する。

246 ◆2fTKbH9/12:2024/01/06(土) 15:59:14
決闘ロワ三作目の仮投下を終了します。

247 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:11:34
前半部分のみ先こちらへ投下します

248 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:12:21
一つの争いが終わればまた新しい争いが始まる。
一人が死ねば二人目の死者が必ず現れる。
なれど、再び争いが起こるまでには一時の静寂が訪れる。
それは奇妙な運命に導かれた、あるスタンド使いが始めた殺し合いでも同じ。

今宵語られるは次の舞台が整うまでの繋ぎ。
或いは、決して断ち切ることのできない因縁の物語。





幸運と言って良いのだろう。
魔法のじゅうたんで戦場を去ってから、これといったトラブルにはぶつからなかった。
道中またしても面倒な輩に目を付けられる事態も考えていたが、嬉しいことに取り越し苦労で済んだ。
神様もお情けくらいは掛けてくれるらしい。
皮肉気な笑みを隠さずに独り言ち、エボルトは地面へ降りる。
目的地であるフリーザの宇宙船まではまだ遠い。
近くに設置された聖都大学附属病院は禁止エリア内で、立ち寄るのは不可能。
にも関わらず移動を中断したのは、ここまで自分達を運んだ道具が原因。

「こりゃ無理か」

橋を渡って草原を進み、いざ山を経由の段階まで来たは良い。
問題は魔法のじゅうたんではこれ以上進めないこと。
飛行する際の高度が低いせいで、木々が聳え立つエリアを追い越して移動が出来ない。
速度が出せる為平地での移動にこそ役立てるものの、欠点が無いわけでもなかった。
下手に低空飛行で突っ切って木に引っ掛かり破けるとなり、使える道具を一つ失いたいとも思わない。
よって、ここからは徒歩で行くしかないだろう。

249 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:13:07
「ったく、アイドルに肉体労働させるなんざ気が利かねぇな」

愚痴を零しつつトランスチームガンを取り出す。
ボトルをセットし、手早くブラッドスタークに変身完了。
電子音声と火花が散る音が鳴っても起きない相棒を担ぎ、山中へと足を踏み入れる。
変身後の身体能力なら蓮を運んでの移動も、生身より体力を使わずに済む。
ブラッドスタークの機能なら、敵襲にも賊座に対処可能。
変身しない理由を探す方が大変だ。

舗装などされていない山道を駆ける。
オリンピック選手など目でない速度を出しながらも、足音は一切聞こえない。
ブラッドスタークには直線戦闘のみならず、暗殺にも向いた機能が複数搭載されている。
音を立てず、標的の背後へ一気に接近可能なバトルシューズもその一つ。
高機能なセンサーを持つ仮面ライダーならまだしも、生身の人間相手なら存在を気取らせないくらい容易い。

木々の間から時折こちらを覗き見る星々には一切関心を抱かず、黙々と進む。
やがて進行方向に変化が訪れた。
代り映えのしない緑の檻の中にポツンと建つ、木造の一軒家。
どこをどう見ても自然に作られるものではない。

(確か……ああ、竈門家だったか?)

地図に載っていた施設の中に、そんな名前があったのを思い出す。
ジューダス達が戦った痣の少年が同じ姓なのは放送で知った。
ということはここは竈門炭治郎の住まいか。
我が家まで巻き込まれてご愁傷さまと、欠片も同情の籠っていない謝罪を口にし近付く。
動体反応は検知されない。
赤外線センサーを起動し調べても、確認出来たのは無人の空間のみ。
問題無いと分かり、遠慮なく上がり込む。

250 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:13:51
『戸の開け方も知らない奴が来たのかねぇ…』

破壊された入り口を見やり眉を顰める。
余程切羽詰まって、戸を開ける時間も惜しいとばかりに飛び込んだのか。
誰がやったにしろ何とも野蛮だ。
続けて目に飛び込んだのは、物言わぬ何者かの頭部。
生前の顔はおろか、性別すらも判別不能の惨い有様だ。
大方首輪を手に入れてから泣き別れした頭を放置、そんなところだろうと興味無く結論付ける。
まさか街で別れた魔術師の体とは思わず奥へと移動。
やはり人どころか虫の一匹も見当たらない。
担いだ相棒を畳の上に寝かせ、変身を解き一息つく。

「ま、ちょいと休憩しても罰は当たらないだろ」

ダグバとの戦闘直後は他の殺し合いに乗った参加者との接触を避けるのもあって、すぐにあの場を離れた。
魔法のじゅうたんとブラッドスタークでの移動で大分距離を離し、多少は体力回復の時間に充てられる。
戦兎やしんのすけに会うのが遅れるのは避けられない。
しかし流石に自分も蓮も消耗が激しい。
ディケイドを始め敵対する参加者との交戦を考えれば、コンディションに気を遣うのは間違っていない。

腰を下ろしだらしなく姿勢を崩す。
相棒は寝たきり、体の持ち主もダグバの一件で相当憔悴してるのか咎める様子はない。
壁にもたれかかりぼんやり室内を眺める。
電気製品の類は一切置かれておらず、明かりと言ったら少し開けた障子戸から入り込む月の光くらい。
古き良きとは言っても古過ぎやしないだろうか。
少しの間休めれば良いので贅沢を言う気は無いが、施設を設置するにしても現代らしい民家では駄目だったのかと思わなくもない。

デイパックを開けコンビニ弁当を取り出す。
失われた体力を取り戻すにはとにかく体を休ませ、食べるしかない。
デミグラスソースがたっぷりかけられたオムライスを口に運ぶ。
疲れ過ぎていると逆に食欲も湧かないのか、咀嚼が酷く億劫だ。
水で無理やり流し込みながら完食。
ルブランのカレーに比べれば決して良いとは言えない食事を終え、ぼんやり天井を見上げること十数分。
ふと思い出したようにもう一度デイパックに手を伸ばした。

251 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:14:28
「……」

指に引っ掛けた参加者共通の拘束具(アクセサリー)を眺める。
アルフォンスによると、錬金術で解除を試みたが失敗したらしい。
何でも錬金術そのものは発動したが、首輪への錬成は無効化された。
聞いた内容を思い出しながら、指先にブラッド族のエネルギーを収束。
攻撃手段として敵に放つ威力と範囲優先とは違い、此度は首輪をピンポイントで狙えるよう調整。
自分の能力なのだから、これくらいの操作は難しくない。
レーザー状に放たれた一筋の光は室内を赤く照らし、首輪を貫き――

「やっぱり、そうなるよなぁ…」

納得いったとばかりに頷き、無傷の首輪を見やる。
レーザー状のエネルギーは首輪に当たった瞬間に消えた、というよりは吸収された。
不可思議な現象に驚きは無い、エボルトにとってはむしろ予想通りの結果。

薄々おかしいとは思っていた。
ディケイドやオリジナル態に放ったエネルギー波は今の比でないくらいに広範囲。
全身にダメージが行き渡るよう放ったのだから、当然首輪にもエネルギー波が当たったに決まっている。
だというのに、首輪への衝撃でオリジナル態達の頭部が吹き飛ぶ事態は起きていない。

奇妙な例はまだある。
エボルトが手に持つ首輪の装着者、名簿に累の母と記載された女を殺した自称ヒーロー。
アーマージャックはしんのすけが放った特大のエネルギーとの撃ち合いに負け、相当な傷を負ったと蓮から聞いた。
実際、トドメを刺した時のアーマージャックは満身創痍と言って良い程の姿だったのは覚えてる。
だがそんなダメージを与えるレベルのエネルギーなら、首輪が衝撃に耐え切れず爆発する方が自然ではないか。
現実にはアーマージャックの首輪に何らかの破損は見られなかった。

そして今しがた行った実験。
これらの結果からエボルトは一つの仮説を立てる。

252 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:16:19
(こいつにはエネルギーの吸収装置か何かが仕組まれてる、ってとこか?それも自分への被害だけを綺麗に吸い取る、そんな仕掛けが)

何故破壊されてもおかしくないエネルギー波が直撃しても無傷なのか。
恐らくは首輪にエネルギーが接触すると、それを吸収し無効化する仕掛けが施されている。
無効化と言っても恩恵に与れるのはあくまで首輪のみであって、装着された参加者の肉体には影響がない。
放送前のオリジナル態との戦闘を例に出すと、首輪周辺のエネルギー波だけが吸収、他はそのままオリジナル態の肉体を痛め付けた。
深く考えなくても当たり前の話だ。
もし首輪が参加者へのエネルギー攻撃を無効化するなら、殺し合いの進行にいらぬ枷を付けたに等しい。

錬金術に関して詳しくは聞いていない。
とはいえ発動の際に何らかのエネルギーが発生するのであれば、立てた仮説の通りだ。
錬成エネルギー(仮)が首輪の装置で吸収され、錬金術による干渉が無効化された。

「で、何でそんな装置を付けた?」

推察が正しいとして、次に生まれる疑問。
何故主催者は首輪にエネルギー吸収の仕組みを施したのか。
アルフォンスが錬金術で首輪を無効化するのを防ぐ為?
それは分かる、首輪への錬成対策として見事に役割を果たしている。
しかしだ、アルフォンス曰く参加させられている中で知り合いはバリーと、変則的な途中参加を果たしたグリードの二名。
どちらも錬金術師では無い。
たった一人の能力への対策をするくらいなら、そもそもアルフォンスを参加させなければ良いだろうに。
余程千翼とかいう体で暴れ回って欲しかったのだろうか。
どうにも読めない主催者の狙いに、天井へ向ける視線が鋭さを増す。

253 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:17:06
「…………狙いが違うのか?」

吸収装置を首輪に付けた理由はアルフォンスの対策。
が、若しかすると錬金術に関しては副産物に過ぎないのではとの考えがよぎった。
錬成エネルギーやブラッド族のエネルギーではない、主催者が本当に集めたかったものが別に存在する。
別のナニカの吸収がそもそもの目的であって、錬成エネルギーの吸収は都合良く使われたおまけ。
首輪の役目とは、殺し合いで発生した何らかのエネルギーを回収し主催者の元へ集める装置。
その何らかのエネルギーこそ、『亀でありカメラ』の黒幕の狙いなんじゃあないか。

全ては推測だ、確実にそうとは言えない。
自分がとんだ的外れなことを考えている可能性とて、否定はできない。
なれどもしこの考えが正しいならば。
複数の並行世界を巻き込んでまで殺し合いを開き、そうまでして欲するエネルギーが実在すると言うのなら。
主催者を始末し、そのエネルギーを我が物にできれば――。

「…まぁ、まずは自分の首輪とおさらばしてからが先だがなァ」

考えが正しいにしろ違うにしろ、首輪を外したいのは同じ。
アルフォンスが言っていた通り、錬金術に頼らない昔ながらの方法。
工具を使った分解で何とかするしか無く、エボルトの知る限り可能な知識と技術の持ち主は戦兎だけ。
早急に会いたいところだが今どこにいるのやら。
とりあえず、もう少し休んでおくかと欠伸を一つ漏らし、

「……」

侵入者の気配を感じ取った。

254 ◆ytUSxp038U:2024/02/07(水) 01:18:26
投下終了です
首輪について

※首輪にはエネルギーを吸収する装置があり、錬成エネルギーやブラッド族のエネルギー波などが当たっても吸収される。
※主催者はこの装置を使い殺し合いの会場で発生する何らかのエネルギー(差異エネルギー)を回収している。

以上をエボルトの考察として出しました
これらが◆5IjCIYVjCc氏の構想と食い違ったりなど問題があれば該当箇所を削除しますので、お手数をおかけしますが連絡をお願いします

255 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:04:34
これは、可能性の物語





「おやおやおやおや」

無数のモニターへ映し出される光景に、普段の口癖も心なしか弾んでいる。
有り得ぬ邂逅、有り得ぬ戦闘、有り得ぬ悲劇、有り得ぬ死。
五感へ送られる全ての情報が予想外。
ヒーロー番組に見入る子供のように、一秒たりとも見逃すまいと画面へ食い付く。

「随分嬉しそうだねぇ。僕らにも君達にも想定外の事態だって言うのに」
「だからこそですよ。これ程に興味深いデータが取れるとは…いやはや、年甲斐も無く胸が躍ってしまいます。

仮面の下で一体どんな笑みを浮かべているのやら。
紅白髪を揺らす女の呆れも意に介さず、黎明卿の視線はモニターに固定されたまま。

矢に選ばれたスタンド使いも、混沌と闇の化身も予想だにしなかった、新たな殺し合いを。

256 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:05:11
【アイドル×ギターヒーロー】


「あばばばななあぎゃああああああ!!!」
「ひっ、ひぃっ……!」

唐突な事態に大崎甜花は後退る。
彼女の目の前にはおさげ髪の少女、後藤ひとりが泡を吹いて倒れていた。
出会った当初こそお互いおっかなびっくりだったものの、ぽつぽつと会話を続けそこそこ花を咲かせていたのに。
お互いアイドルとバンドをやっていると話し、何と無しにこう言った直後だ。

『あと……配信とかも、偶にやったり……」
『あ、そうなんで――え?』

甜花は気付かなかったが、この時ひとりの脳内へ電気のように映像が駆け巡った。
アイドルの配信、しかも見た目は喜多郁代と同じような陽キャの美少女。
視聴者数も再生回数もとんでもない、そんな中コメント同士でこんな会話が繰り広げられる。

『やっぱギターヒーローより甜花ちゃんだよな!』
『それなwwww甜花ちゃんかわゆすwww』
『ギターヒーローとか秒で忘れたわww』

ネガティブ全開の妄想で勝手にダメージを受け、あっという間に気絶。
何が何やら分からない甜花を更に困惑させるように、ひとりが素早く起き上がる。

「あー…ひとりちゃんが驚かせちまったな」

気まずそうに頬を掻く少女の顔には、クッキリと傷痕が浮かんでいた。

257 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:05:55
【殺人鬼×妖】


美少女同士の交流と、知らない者が見たらそう口にする光景があった。

「お互い災難な目に遭ったね斗和子さん」
「はい、まさかまた殺し合いに巻き込まれるなんて…」
「ああ…おっと、そこは窪みになってるから気を付けた方が良い」

エスコートするように自然に手を引き、安心させる笑みを作る。
しかし視線が向かう先は相手の顔では無く握った手。
細くて白い、芸術品と見紛う美しさ。
冷え性なのか女性にしては冷たい、それもまた吉良吉影を興奮させる一つのスパイス。
失った男性器の代わりに、女性器から熱い蜜が溢れ出る。

(今は落ち着け…機会が来たらその時は……)

新たな恋人が手に入る瞬間を想像し、心の中でほくそ笑む。
そんな殺人鬼を見つめる少女の瞳は、墨をぶち撒けたようにドス黒く染まっていた。

258 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:06:32
【刺青囚人×裏切り者】


「ニャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

絶叫と共にキャルは逃げ出した。
涙と鼻水を垂れ流し、ニャオハの顔は子供の落書きのよう。
尤も、今のキャルにそのようなものを気にしてられる余裕は髪の毛一本ほども無い。
逃げなければ、少しでも『アイツ』から離れなければ――

「待って下さああああああいっ!逃げないで!恐がらなくても大丈夫だから!」

一体どの口で大丈夫などと言うのか分からない変質者。
可愛らしい顔と純白の翼が台無しに思える、大蛇の如きペニスをそそり立たせた天使。
キャルを見付けるや否やスパッツを脱ぎ捨て、鬼ごっこが始まったという訳である。
捕まったらどうなるかは考えるまでも無い

「ニャン!ニャニャーン!ニャアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!(ユ゛ウ゛キ゛ィ゛〜!!コ゛ロ゛助゛〜!!ペ゛コ゛リ゛〜ヌ゛〜!!誰かだじゅげでええええええええええええええええっ!!!!)」

259 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:07:44
【帝王×吸血鬼&退治人】


ゴクリと唾を飲む音が異様に大きく聞こえた。
目の前にいるのは長身の青年。
さぞや女性受けするだろう爽やかなマスクの持ち主。
だが本能が強く訴える、こいつは決して紳士然としたハンサムボーイなんかじゃあない。
もっとおぞましい、決して相容れない“悪”であると。

「つーわけだドラ公。後は任せた」
「なにがつーわけなのかねアホルドくん!?最初のシリアスな出だしを無視し過ぎだろ!」
「るっせぇ!良いからやれって!お前今はムカつくメスガキだけど、強さは元のクソ雑魚とは比べ物にならねえんだしよ」
「だからと言って…おい押すな押すな!幼女の背に隠れて押し出すな!ビジュアルの良さが台無しになってるぞ!?」
「ふっ、良く聞けドラルク。あんなヤバそうな相手と殺り合って、この顔に傷でも付いてみろ。イケメンが台無しになるってのはそれだけで罪なんだぜ?」

緊張感の無い漫才を繰り広げる二人組を、DIOは冷めた目で見据える。
男の方は正直どうでも良いが、もう一人の幼女は違う。
人間の体となっても分かる、元の自分と同じ強大な力を秘めた夜の種族だ。
利用か排除か、いずれにせよまずは話をせねば始まらない。

全てはこのDIOが完全勝利を収める為に。

260 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:08:18
【亡霊×悪鬼】


「しっかしまぁ、とんでもねぇなその体」

顎を擦りながら呟く志々雄真実の瞳が映すのは、規格外のサイズを誇る男性器。
自分の体である柱の男を知った時も驚いたが、今の驚きは下手をすればそれ以上だ。
まさか人間では有り得ぬ巨根を持ち、あまつさえソレを剣として振るうとは。
世界は広いとつくづく思い知らされる。

「それはこちらも同じだ…よもや…鬼以外にも化生の類がいたとは…」
「俺からすりゃ、その鬼ってのも十分驚きなんだがな。ま、そこは深く考えなくても良いだろうよ」
「同感だ…肉体が何であれ…我らがやる事はただ一つ…」

機械仕掛けの剣を構え、獰猛に笑う志々雄へ黒死牟も笑い返す。
敵は強い、肉体の力もさることながら真に脅威なのは剣の腕。
黒死牟をして見事と言う他ない剣術の持ち主、相手にとって不足は無し。

幕末の亡霊と上弦の壱、剣に生きた怪物達の宴はまだ始まったばかり。

261 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:09:02
【ヒーロー×ヒーロー】


怒りを乗せて振るわれた剣を、舌打ち交じりに躱す。
武器はあるのに打ち合いができない。
元の肉体以上の耐久力があるのに避けるしかない。
なにせ敵の攻撃は強度を無視して死を届かせる、万物両断の魔剣。
全く持って腹立たしいが、今の自分でさえ殺され兼ねないのだ。

「ちょこまかするな悪党め!」
「テメェこそ鬱陶しいんだよコスプレ野郎!」

罵倒を叩きつけ合う二人の男。
句楽兼人とアーマージャックが敵意を剥き出し殺し合うのに時間は掛からなかった。
互いに我こそがヒーロー、他の紛い物は必要無しと考える傲慢が服を着て歩いているような男達だ。
ヒーローになりたかった医者、力への不安から暴走した風来坊。
彼らの魂を陵辱するに等しい暴力を振るい、唾を飛ばして喚き散らす。
目の前の偽ヒーローは必ず殺すと。

「ぶっ殺してやる…!」

距離を取って両腕にエネルギーを集中。
怪獣を倒した光線技発動の予兆に、句楽も決着を急ぐべきと決断。
撃たれる前に斬れば良い、吸血鬼の身体能力を駆使し急接近を果たす。

勝者がどちらになろうと、ヒーローとは程遠い災厄なのは同じだ。

262 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:10:10
【城娘×戦争狂】


何故と問うた少女へ、超人はくつくつと笑みを零し答えを返す。
戦争が好きだから、と。

「私の方からも問おう、お嬢さん。君は何を以て闘争に臨む?
 ブリテンが誇る英雄の居城、騎士物語とは名ばかりの愛憎と裏切りに満ちた没落劇の舞台よ」

血のように赤く光る瞳がキャメロットを捉える。
人では無い機械仕掛けの目、なれどそこに宿るは機械にはない純然たる人の狂気。
信念は無いのか、誇りはないのかと問い質せばきっとこう答えるだろう。
あるとも、それらを秘めて私は戦争をするのだと。
決して相容れないし理解も出来ない、だがこの男にとって譲れぬものがそこに秘められているならば。

「私は、物語を守る騎士として剣を振るいます」

全霊を以て打ち倒すまで。

263 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:11:05
【星狩り×歌姫】


「で?いい加減答えは決まったか?」
「っ……!」
「おいおいまさか、あれだけ考える時間をくれてやったのに分かりませんなんて言う気じゃないよな?」

蛇に巻き付かれたみたいに気持ち悪い。
飄々と言葉を紡ぐ女へ返す言葉が思い付かず、ウタに出来たのは俯き唇を噛み締めることだけ。

体を奪われた、殺し合いに巻き込まれた。
不運の連鎖はこれだけでは終わらない、むしろ今ウタに降りかかった事態こそが最大の不幸かもしれない。
目の前でケラケラ笑う一人の女。
吐き出す言葉を毒に変えてこちらを蝕む、蛇の如き怪人物に遭ってしまったのが運の尽き。

「お前が嫌だって言うのは勝手だ。だが――」
「分かってるよ……」

逃げ出せば良い、全部放り投げればどんなに楽なことか。
だけど出来ない、出来る筈がない、そんなことは許されない。
救世主という立場が、根付いた祝福(呪い)がウタを逃がさないのだから。

「そんなの…アンタに言われなくたって…!」
「なら話は簡単だろ?」

ヘラリと嗤い蛇は歌姫の手を取る。
全ては己の目的を果たす、それだけの為に。

星狩りの怪物は再び救世主(ヒーロー)を創造(ビルド)する。

264 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:11:57
【無能力者×悪魔】


「何なんだ…お前は何がしたい……?」
「カカカ!そう硬くならずにスマイル、スマイル」

警戒と困惑をふんだんに籠めた視線も意味を為さない。
とびっきりの美少女に微笑まれ、柊ナナは歯噛みする。
何故、どうしてこうなったと繰り返し問い掛けたとて、望む答えは返って来ないだろう。

殺し合い、危険過ぎる能力者の体、そして目の前の少女。
ロトムちゃんと呼ばれたカメラを回す姿は、悪質な配信者に見えなくも無い。
だがナナの直感が告げて来る。
これを前に僅かでも気を緩めるのは間違いだと。

「さてさて皆様盛り上がってますし、ここらでタイトルをドーン!と出しましょうか。
 んんー、そのまんまな気もしますがここはやっぱり――」



『CHANGE ROYALE×SIN CHANGE ROYALE』

265 ◆ytUSxp038U:2024/04/01(月) 00:16:53
【魔術師×なんか小さくてかわいいやつ】


「美味しい?」
「ン…!」

ほっぺたが落ちる程に美味い。
そんな喩えが思い浮かぶ程に満面の笑みで、少女はむちゃうまプリンなる菓子を口に運ぶ。
整った顔立ちもあって、まるで小動物のような愛らしさを遠坂凛は感じた。
少々おかしな方へと向かいつつある思考を戻し、改めて状況を整理すべく話しかける。

「それで…アンタの方も伊地知さんと気が付いたらここにいたのよね?」
『ああ。君の方も殺し合いを強制されたのは同じなんだな」

カタカタと柄を鳴らす剣との会話を続けるも、現状を解決できそうな情報は無い。
難しい顔で黙り込むジャガイモ頭の少年に、むちゃうまプリンを少女は差し出す。
金髪のサイドポニーを揺らし心配そうに覗き込まれ、凛は思わず呆れ笑いを浮かべた。

「食べたいとかじゃないけど…もらっておくわ。ありがとね」
「エヘヘ…」

体は5歳児でも、これでは自分の方が保護者みたいだ。







4月1日START


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