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番外企画スレ

1731名無しさん:2022/04/13(水) 21:14:03
>>1730
「そんな、まさか!?やめろ、消えるな!!セイバーッッ!!!」

最後に残った英霊同士の勝負が決した
フォーリナー・セフィロス、セイバー・草加雅人が消え去り、最後まで立っていたマコトと、そのマスターであるチノが優勝者となった
シャアに取り押さえられた後も自らの同盟者であるセイバーが勝利を掴むと信じて疑わなかったムスカだが、その非情なる現実を突きつけられたことでついに気力を失い無抵抗となった
こうして聖杯戦争は終幕となり、もう争うことも、これ以上の犠牲もなく、空島に平穏が戻る――と、誰もがそう思っていた

「…待て、何か様子がおかしい」
「見ろ、あの青い巨大な立方体の輝きが、どんどん弱まっている…?」
「それに、さっきから続いていた振動も治まらないです」
「いや、むしろどんどん強くなっている…?」
「…もしや、まさか!?」

その場にいた一同が異変に気付き困惑する中、何かに気付いたムスカがシャアを振り払って近くにある石碑、巨大飛行石の元にある制御盤らしきものに触れた何かを確認し始めた
やがて「ははっ、あははははっ…」と乾いた笑い声をあげたムスカの口から、二つの空島があと少しで崩落してしまう事を告げられる
飛行石の情報を解析した結果、バーン亡き後も巨大飛行石の膨大な魔力に頼って浮遊機能を維持していたバーンパレスだが、その飛行石の魔力も枯渇しかかっており限界を迎えてしまうことが分かったのだ
たとえ聖杯で願い飛行石に魔力を注いでもそれは一時しのぎに過ぎず、その魔力も使い尽くせばまた同じ事になるだろう
ここまで数々の犠牲を払いつつも戦い抜いた末にもたらされた終末の兆しはその場にいた全員に衝撃を与える、何かできることはないかと口論するがどれも現実味がなく徐々に焦りと絶望の色が増幅していった

「みなさん、まだ諦めてはいけません…!こういうときこそ、かっとビングです!!」

だが、万事休すな状況下にあってもチノだけは最後まで諦めずにいた
なんの根拠もない、純粋な心から出てきた言葉が、諦観に支配されかけていたこの場において強く輝いているように見えた
そんな彼女の意志に呼応するかのように、シャアが彼女の前に出て手を差し出した

「これは分の悪い賭けになるかもしれないが…チノ、君のその想いを信じて、奇跡に賭けてみようではないか」

シャアは、自身のポケットの中で不思議な温かみを発していたT字型の物体、サイコフレームを取り出してチノに手をかざすように言葉をかけた
この素材を何故シャアが持っているのかは本人を含めて誰にも分からない、ただこの世界で気付いた時には彼の持ち物の中に紛れていたのだ
それは一度宿敵のアムロの手に渡ったはずのものだが、もしかしたらアムロがアクシズショックを起こした際にシャアと一緒にこの世界にやって来てしまったのかもしれない、とシャア自身は推測しているが定かではない
なにはともあれ、このサイコフレームには“人の意思を物理的な力に変えて膨大なエネルギーを生み出す”サイコ・フィールドという力を発生させることがあり、顕著な例だと地球に落下寸前の小惑星アクシズを押し返してしまう程のオカルトじみた特性を秘めたオーパーツである
あの時の不思議な出来事やアムロの言葉を回顧したシャアはチノ達にも簡略に説明し、この空島の崩壊を防ぐべく人の意思に賭けてみることにした

シャアが差し出した手の上のサイコフレームにチノが手を重ねると、その不思議な温かみや輝きは強さを増した
ピーターもまた想いを乗せるべく手を重ねるとその分も増していったが、しかしまだ奇跡を起こすにはほど遠い様子であった
そこへムスカも手を重ねる、ラピュタの崩壊を経験した彼もまたいても立ってもいられなくなったのか、あるいはこの空島に住む人々を少なからず想ってのことなのか
さらには傷付いたクルーゼも手を重ねた、人々のエゴに絶望して世界の破滅を望んでいた彼もまたジェネシスの光に呑まれる前に自分を倒してくれた少年の事を思い返しつつ、人の意思に賭けてみることにしたのだ

それぞれに想いには強弱の違いがあれど、この状況をなんとかしたいという統一された強い意思に感応したかのように、サイコフレームが自身を包んでいた手々を優しく弾いて宙を漂い始め、巨大飛行石周辺を周回し始めた
五人の意思が一つの超常事象を起こし、さらにはその想いを魔力に変換して飛行石に供給し始めたが……未だに破滅の振動は止まず、未だ空島の限界を押し留められない
それでもこの場に生き残ったマスター達が諦めずに願い続ける最中、本来は現世の存在ではないマコトは彼ら彼女らとは別の行動をとった

「聖杯よ、聞いてくれ!俺達の想いを、仲間から繋いだ想いを、ここで終わらせる訳にはいかないんだ!」
「それに俺は人の意思、人の可能性を信じたい!だから、この空島に生きる人々全ての想いを、この空島の平和を望む想いを、あの飛行石とサイコフレームにかき集めてくれ!!」

マコトが聖杯に願った瞬間、彼の想いが空島にいる全ての人々に届き、ムー島とレムリア島の危機を止めたいと思う人々の膨大な意思が、魔力となった想いが、サイコフレームへと集約されていく
さらに不思議な現象が起こる、マコトやこの場にいる生者の想いに触発されたかのように、これまでに散っていった仲間達の姿が光の輪郭として浮かび上がっていた
さらなる超常事象にチノ達は驚嘆しつつ、彼らもまた自分達を応援してくれていると感じ取っていた



――この時、チノとマコトだけが別の事も少し頭によぎっていた
もしかしたら、おっこ、木場、まりな、炭治郎、雲雀、などこれまで出会い別れた仲間達が、目に見えぬ形で自分達に力を分け与え続けていたのではないか、と
これまで繋いできた想いがチノやマコトに加護として作用し、魔力をどれだけ大量に消耗しても最後まで倒れずに戦い続けられたのは、この場にいない仲間達のおかげではないか、と
そんな都合が良すぎる想像を思い描く程に、今目の前に起きている光景に感化された二人は、仲間達への感謝の想いに心が満たされその瞳から雫が溢していた





(まさか、こんなところで貴様と再会するとはな)
(なっ、アムロ!?なぜ、お前がここに!!?)
(それは、話すと長くなるが――)

そう言いつつ簡略化した事情によると、シャアより数百年前にこの世界に喚ばれて色々あった後に亡くなったという
その際一緒にνガンダムもやって来たがアクシズショックの影響でガラクタ状態であり、この世界では修復不可能なのでムー島の山中に置き去りにせざるおえなかった
そしてνガンダムに残っていたアムロの残留思念がサイコフレームの共鳴とシャアの存在によって呼び起こされた、と推察混じりに語られた

(俺は未だに貴様を許すことはない――)
(だが、お前が人の可能性を信じて、この事態を収拾させたいと想うならば……シャア、俺も協力する)
(アムロ…だが、亡霊みたいな存在になった貴様に、何ができるというんだ!)
(あの時と同じさ…この残滓を使い切ってでも、世界に人の心の光を見せてやるだけだ!)

そう言った後に、アムロの思念はムー島にあるνガンダムへと戻っていく
もはやその機体を動かす事は叶わない、内部の機器も殆どが使い物にならないタダの置物なのだが、アムロの意思が意地を押し通してνガンダムのサイコフレームを強制的に増幅させて共鳴による相乗効果を生み出した
この結果、レムリア島とムー島でサイコ・フィールドの効果範囲および力が強まり、やがて大きな光が両島を包み込んだ


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