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番外企画スレ
1
:
管理人★
:2020/10/27(火) 16:39:53 ID:???
通常の妄想ロワとは違う企画を実施する際はこっちで盛り上がろうー。
1551
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 20:57:41
ランサー・宮本明とバーサーカー・エレンが戦っている場所は廃工場である
喫茶店の店主が勾留されていた施設から学校までの途中にある人気がない場所であり、ここでなら彼らも思う存分に戦うことができた
特にバーサーカーは立体機動装置による三次元移動が活かせるため、全力を出さないランサー相手にも戦い易かった
だが令呪により強制的に戦意を高めたランサーが殺しに来たため、バーサーカーも敵を倒すべく巨人化を選択する
二騎以外は誰も居ない静寂に雷鳴が轟く、接近したランサーはバーサーカーを中心に発生した衝撃に吹き飛ばされ、進撃の巨人が顕現する
こうして始まった第二ラウンドだが、実を言うとバーサーカーにとって状況が良くなる訳ではなかった
状況を整理しよう、まずバーサーカーは狂化が発動していない状態だと筋力・耐久・敏捷はDランクに留まりランサーのパラメータには及ばない
建物を破壊しながら広範囲に攻撃することはできても、素早く動くランサーに瓦礫などの障害物を利用されて上手く捉えることができないのだ
たとえ攻撃を当てても見掛倒しのパワーでは相手の全力を突破することは難しく、また敵に攻撃を当てられようものならば打たれ弱い
一方、巨大で出鱈目な攻撃を仕掛ける化け物達と戦い殺してきたランサーはこういった戦いにも慣れており、地形も利用した戦術で巨人を翻弄する
特に宝具の『丸太』や『吸血殲鬼』が「巨人」という化け物にも有効なため、上手く攻撃を当てれば大きなダメージを期待できる
しかし現状では片腕を失ったためせっかくの馬鹿力を発揮することができなくなっており、かろうじて巨人の攻撃を丸太で打ち合うことで対抗できるが、とにかく弱体化している状態である
また片腕のため生前ほどのアクションが取りづらく、さらに丸太を左手で抱えれば自由に動かせるのは両足のみとなりできる行動も制限されている
とまぁ各騎の性能を見てみるとエレン側が不利なようにも見えるが、まだそれだけでは戦いは決まらない
バーサーカーの狂化が発動していない、つまり理性が残っている状態であり戦い方を工夫することができる
鉄槌の巨人の力で大きな鉄槌を作り出し周囲を破壊する、廃工場の高い場所へと移動して巨人の頭部を狙っていたランサーはその脅威を回避するが足場を失う
さらにランサーが地面に降り立ったところで硬質化の棘を生み出す、続けざまの攻撃によりランサーは回避したものの多少のダメージを受けてしまう
鉄槌の能力でバーサーカーは猛攻を続ける、マスターに負担を掛けてはしまうがここでランサーを倒さなければ自分の身が危ない
しばらくバーサーカーの攻勢が続き、ランサーはじわじわとダメージを受けていく
その最中にランサーはマスターとの魔力供給のパスが切れたことを感じ、誰かが狂人に成り果てた胡桃を止めてくれたことを察する
胡桃については色々と想うところがあるランサーだが、これ以上の悲劇がなくなった事に対して安心感を抱いていた
だが令呪の束縛からは逃れられなかった、未だ『死ぬ気で敵を倒せ』を履行しなければならず、さらに最後の宝具『命ノゼンマイ』が強制発動してバーサーカーとの戦闘を続行する
自身のマスターが死亡した時にスキルを含めたステータスが1ランク上昇、Cランク相当の単独行動のスキルを獲得する、宮本明の生き様が再現された能力によりランサーはバーサーカーへの反逆を試みる
(ただし「要石」を失った状態なので宝具の連発は難しくなり、ランサーは丸太一本で巨人と相対することに)
マスターの胡桃を失い孤高の戦士となったランサーは宝具のブーストもあり巨人と真っ向勝負を仕掛ける
巨人の鉄槌と丸太で打ち合い、硬質化した槍の茨を丸太で破壊し、折った槍片を片手で掴んで巨人に向かって全力投射する
敵のさらなる強化に押し返され始めた事にバーサーカーは驚愕し、槍片の数々を巨体に受けて倒れてしまう
この好機を逃さず、ランサーは巨人の上に飛び乗り頭部を丸太で何度も殴打した
やがて巨人が動かなくなり蒸気を発した頃合いにランサーは勝利を確信し、『死ぬ気で敵を倒せ』の束縛からも解放された
背中に強力な衝撃を感じてバランスを崩し、ランサーは巨人の骸に倒れ込む
なにかと振り返ると、自分の背後から伸びる細長い棒槍と、人間状態のバーサーカーが近くに立っていた
そしてバーサーカーは容赦なくアンカーを引っ張り、雷槍を爆発させた
実は、バーサーカー・エレンは進撃の巨人のうなじには存在していなかった
巨人化した際にエレン本体は硬質化能力で作り出した結晶体を瓦礫の中に隠し、進撃の巨人を戦闘端末として操りランサーと戦っていたのだ
これは先代の鉄槌の巨人が駆使していた戦術であり、進撃の巨人がランサーに打倒される辺りでエレンは硬質化を解除してランサーの背後に移動したのだ
進撃の巨人の骸がエレン本体の気配をかき消し、全力を出し切って令呪の呪縛から解き放たれたランサーが緊張から弛緩したこともあって気付かれることなくトドメを刺すことに成功したのだった
【宮本明@彼岸島 死亡確認】
1552
:
名無しさん
:2022/03/08(火) 21:46:46
戦闘こそ雲雀の圧勝のような形で終わったが、ランサーの腕を使用して胡桃から受けた一撃は響いている。思った以上に傷が深い
一見すると圧勝したかのような結末だが、多大なダメージを受けたせいか若干ふらつく。
「やあ、小動物」
「アサシンさん……!」
チノ達が待っていた場所まで戻ると、チノの表情が少しだけ明るくなった。
「おかえりなさい、アサシンさん」
チノはずっとアサシンの心配をしていた。
雲雀を信じて送り出したマコト兄ちゃんとは違い、こういう場に慣れていないことが大きいだろう。
「アサシン。ランサーのマスターは……」
「倒したよ」
クリミナルにそれだけ返事をすると、アサシンはその場に寝転び始める
「ふわあ……」と呑気にあくびをするアサシンにチノが問い掛ける。
「アサシンさん、その怪我は……」
「かすり傷さ」
負けず嫌いの雲雀は自分が多大なダメージを受けたこと、元からそれほど多くもない魔力を消耗したことを誰にも教えない。
「小動物。君の名前はなんだい?」
雲雀は竈門炭治郎が命を賭して守ろうとした小動物の名前を聞いた。
「チノです。香風智乃です」
「ふうん。変な名前だね」
「アサシンさんの名前は……」
「雲雀恭弥」
自分の名をチノに告げると雲雀は目を瞑った。
「僕の眠りを妨げたら、咬み殺すよ」
「それは怖いです。マコトさん、雲雀さんが起きないように見守りましょう」
「雲雀。お前は本当に身勝手なやつだな」
かつて青空を掴み取った戦士は、戦いとは無縁の少女と共に孤高の浮き雲の眠る姿を見守る。
雲雀恭弥。この激闘で色々と失ったが、新たな仲間が出来た気がする
今までよくわからないやつだったし、未だによくわからないが炭治郎が居ない今でも彼のことを信用しても良さそうだ
1553
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 09:06:56
>>1534
ホメロスはこの後、チノの指名手配を取り下げてクルーゼと結んだ休戦協定を解除することに決めた
グレイグとお揃いの誓いのペンダントを眺め、自分の行いを改めて見つめ直す
色々と複雑な思いこそあるが、セイバーの背中を見て何か大切なものを思い出した彼は一人の騎士として聖杯戦争よりも島の統治を優先するように方針を変える
ホメロスにはもうサーヴァントもいないし、セイバーの勇姿を見て憑き物が落ちたような感覚すらした
1554
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 09:38:42
>>1541
その時ちょうど、パン屋の店主が帰ってきたことを、霊体化して周囲を見張っていた巧がピーターに念話で伝えた。
人形兵を妖路歴程にしまって霊体化するマズルカと、そそくさと裏口から表に出るピーター。
そしてパン屋店主とココアは再会する。
ココアは、配達中にいなくなってごめんなさい、散らかった店の片づけをする予定だったのに、と謝った。
パン屋店主はココアの無事を喜んだ。
配達中、姿が見えなくなったと思ったら、どこかで轟音が響いてきた。
周囲を探し回っても見つからなくて、心配した。と。
ココアは店主の寛大さと優しさに感極まった。
そしてココアは考えた。この店主が自分の巻き添えにならないようにするには…。
「明日から世界一周の旅に行ってください!!」
ダメだこりゃ、と霊体化した巧とマズルカは思った。
(ルカちゃん!魔法でなんとかできない!?)
(ううん、ちょっと無理…。)
困惑するパン屋だったが、ココアの熱心というより必死なアピールに何かを感じたようだ。
ココアに対して
心配してくれてありがとう。すぐにここから離れる。自分の事は心配しなくていい。
と、応じ、明日にでも島の外に行くと言った。
1555
:
名無しさん
:2022/03/10(木) 10:22:57
ピーターはある程度落ち着いて他の主従や自分の状況を顧みる余裕ができたことで、
各々が事情を抱えている事を今更ながら実感した。
元々若さゆえに無茶に走ることも多いが、今度巨人のバーサーカー(エレン)と遭遇してもいきなり激高したりすることはなさそうだ。
1556
:
名無しさん
:2022/03/11(金) 07:52:36
>>1541
「グリーンゴブリンか。俺の知り合いにも、似たような奴がいたな……」
グリーン・ゴブリンの話を聞いた巧はその狡猾な性格に草加を思い出して苦い顔をした。
ノーマンという人格は凶悪じゃないようだが、元人間のオルフェノク達と戦ってきた巧は彼を殺し、罪を背負う決意をする
迷ってるうちに人が死ぬなら、罪を背負ってでも戦うことを選ぶ男が乾巧だ
グリーンゴブリンとノーマンの関係性にココアやマズルカは驚いたが、真剣に話すピーターの表情を見て嘘偽りない情報だと認識する
1557
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 09:09:43
>>1412
のモブ住人の語る異変はやはり聖杯戦争の影響だったか…。
当時も権力者の中にマスターは一定数紛れ込んでいたようだ
1558
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 12:06:40
雲雀の眠る姿を眺めながらチノはまりなちゃんの最期の言葉を思い返していた
『チノ。まりなの想いも繋いでくれるよね……?』
想いを繋ぐ。
それは木場も言っていたことだけど、今まで普通の日常を謳歌していたチノにはまだ深く理解出来ていない。
だけれど彼女達が心から望む大切なことだということは、チノにもわかった。
『チノ……生きて……。それがまりなの想いだから……チノとマコトだけでも……』
死にかけの状態でまりなちゃんから託された「生きて」という想い。願い。
まりなちゃんは最初こそチノを敵視していたが、本人と接しているうちに友達になっていた。
まりなちゃんを友達と認識していたのはチノも同じで、ライダーやおっこやまりなちゃんの死は悲しい。もちろん炭治郎の死も悲しい。
それでもチノは前を見て進まなければならない。
言葉こそ聞こえなかったが、死に際の炭治郎が自分やまりなちゃんに何かを訴え掛けていた。
足がすくんで動けなかったけど、きっと炭治郎は自分達に「逃げろ」と言ったのだとチノは受け取った。
『俺に出来なかったことを……想いを、繋いでほしい……』
そしてライダーも。
木場もまた、チノやまりなちゃんを庇って死んだ。
もしもあの時に自分達を庇って大ダメージを負っていなければ医者を倒せて、ライダーも生きていたかもしれない。
チノは木場の死に心を傷めたが、彼が最期に憎悪から解き放たれて安らかに眠る姿を見て少しだけ救われた気がする。
木場勇治は心からまりなちゃんやチノを守りたいと思ったから庇い、そして信用出来るクリミナルに想いを託した。
ライダーに庇われ、炭治郎に守られ、まりなちゃんに生きてほしいと願われた。
だからチノは生きなければならない。
どれだけ辛いことがあっても前を向いて進まなければならない。
「マコトさん。想いを繋ぐのって大変ですね……」
「そうだな……」
マコト兄ちゃんはチノを見る。
自分だけならともかく、こんな少女にも想いを背負わせるなんて、あまりにも過酷なことだろう。
しかし散っていった仲間達はもう帰って来ない。そして彼らが命を賭してでも守り、願われたチノは彼らの分まで生きなければならない。
「散っていった友の想いを繋ぐことは大変だ。でもみんなのために俺達が出来ることは、もうそれくらいしかない」
自分が想いを背負った三人の父さんも、既にこの世にいない。
そのうち一人は覚悟を決め、自らが殺めた。彼は決して褒められた人間ではなかったが、それでもマコト兄ちゃんの父さんだ。
想いを背負い、罪を背負い、マコト兄ちゃんは生きている
「はい。だから私も、がんばって想いを繋ぎます……!」
マコト兄ちゃんの言葉を聞いてチノは奮起する。
ライダーや炭治郎やまりなちゃんは死んだ。
それでも彼らが託した「生きてほしい」という想いはまだチノの中で生きている
「ああ。一緒にがんばろう、チノ!」
マコト兄ちゃんが手を差し伸べる。
チノは少しだけ困惑した後、握手をしようとしていることに気付いた。
「改めてよろしくお願いします、マコトさん」
チノとマコト兄ちゃんは固く握手を交わした
1559
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 14:31:52
バーサーカー・エレンが戻ってきて、シャアはクリミナル・深海マコトと話した。
シャアはチノを外の島への船に乗せ聖杯戦争から離脱することを求める。
ちなみに元のfate世界とは違い、この世界ではサーヴァント、もしくはマスターが島の外へ出ると
霊核を維持できなくなり数時間から1日程度で消滅するらしい。
それは聖杯戦争のルールとしてこの世界の聖杯からサーヴァント達に与えられた知識であり、
聖杯が嘘をついているわけでもない限り疑う余地はないと思えた。
マコトは葛藤した。
チノやまだ見ぬココアを元の世界に帰せないことになる。
しかし彼女たちに他の願いを持つであろう貪欲な主従を倒すことはできるのだろうか。
それならばこの世界で命だけでも守ることが、既に散っていった仲間に報いることなのではないだろうか?
たしかにゴブリンのような民間人を狙う悪辣な主従はいる…
それらを倒すために自分が傷つくのは構わない。
しかしそれでチノ達の命を危険に晒すことが本当に正しい選択なのだろうか?
このシャアという男、手段は選ばないようだが今までの行動からするに根っからの悪人というわけではないようだ。
彼のような聖杯戦争参加者の行動に委ねてしまっていいのではないか?
マコトはチノと目を合わせ、自分はサーヴァントという存在であり、たとえもう一度死んでも座に帰る、
いわば幽霊のような存在であることを告げた。
そしてココアと合流出来たら自分の事は気にしなくていい、命を守るためならシャアの提案に乗り
この島から出ても、いや、場合によっては令呪で捨て駒にしても構わない、と告げた。
チノはそんなことしません!と言いたかったが、マコトの真剣な瞳に何も言えなかった。
1560
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 14:46:23
これはこの聖杯戦争が始まる前のこと。
「此度の聖杯戦争の準備が整ったようだな」
島の最深部にある広間。
そこにはこの地に封印された大魔王バーン、そして魔王と対峙するムスカがいた。
前回の聖杯戦争にて聖杯を破壊され、願いを叶えられなったムスカは諦めず国王となり、草加と共にこの地の仕組みについて入念に調べた。
そうしてたどり着いたのがこの場所であった。
そうしてバーンから事の顛末を聞き、自分たちの願いを叶えるべく彼と取引し、今までその準備を行なっていた。
後はしばらくこの地を離れ、戦争が始まれば潜伏させている自分の手の者に情報を送らせ、頃合いを見て再び島に戻ればいい。
それまでにこちらは準備をじっくりと行い、戦力を整えることが出来る。
あの屈辱から再び聖杯を手にする計画が大詰めを迎えようとしていた。
「貴方とはあくまで聖杯戦争が始まるまでの関係だ。それ以降は敵同士、どちらにしろ自分以外の主従を滅ぼすつもりの者とは手を組めるはずもない。
あくまで我々が取引したのは早期に聖杯戦争を始めるためにすぎない」
「そうだな、開始の周期を早めるためにうぬらと取引をした。この封印がある限り、余自らは動くことは出来んからな」
「逆にこちらはその封印がある限り、そちらに手は出せない。それは今の貴方を討つことが叶わないということでもある」
全陣営の思惑を統一できるかという懸念もあったが、前もって徒党を組みバーンだけを倒すという方法が不可能だったのはこのためであった。
聖杯の顕現はある程度のサーヴァントが脱落するまで始まらない。
そして顕現が始まるのに必要な魔力が貯まり始めるのはバーンの封印が解けてからのこと。
つまり聖杯で願いを叶えるにはこの大魔王を討つことを前提に動く必要がある。
だがそれはムスカにとって悪いことばかりではなかった。
他の主従を消耗させる存在としてバーンはうってつけの存在。
そしてその情報アドバンテージを自分たちだけが所持してることは小さくない。
今回の聖杯戦争で呼ばれる主従がどのような者たちか思案する。
そうしてムスカは広間を後にしたのだった。
1561
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 15:35:16
>>1559
おっこ、ライダー、まりなちゃん、炭治郎に加えて更にマコト兄ちゃんまで失う。
それはチノの望まない結末だが、迷いのない真剣な瞳を向けられて勇気を出せなかった。
『逃げろ、早く』
声を発せない状態で、それでも必死に目で訴えかけてきた炭治郎を思い出す。
あの時は恐怖で足がすくんで逃げられなかった。幸い生き残ることは出来たが、あのままだと自分やまりなちゃんまで死んでいた。
全てが終わったあとに後悔しても遅い。
『チノ……生きて……。それがまりなの想いだから……チノとマコトだけでも……』
まりなちゃんの言葉を思い返す。
彼女はチノだけではなく、マコト兄ちゃんにも生きてほしいと言っていた。
「まりなさんは、マコトさんにも生きてほしいと言ってました」
生きてほしい。
それはサーヴァントにとって非常に難しい願望だ。
それくらいチノにだってわかる。マコト兄ちゃんに説明されたことは理解出来ている。
それでも――
「マコトさんも生きてください。自分だけで背負わないでください」
深海マコトはきっとすごく重い荷物を背負っている。
それはどれも大切モノで、だから背負うなとは言わない。
「私もみなさんの想いを背負いますから……」
香風智乃は深海マコトの自己犠牲を許さない。
それは雲母坂まりなの意志でもあり、願いでもある。
「それにマコトさんだけ死んでしまったら、まりなさんに怒られます」
だからチノは自分なりにがんばって、託された想いを繋ぐ。
「きっとココアさんも、そんなこと望みません」
香風智乃の知る保登心愛は。
お姉ちゃんはそんな人じゃないから。
「……わかった」
珍しく譲る気もなさそうなチノの姿勢にマコト兄ちゃんは観念する。
出会ったばかりの頃に比べて、今のチノは随分と強くなかったように感じた
友との出会いや別れ。そして彼らの想いが彼女を強くしたのだろう。
「チノ。約束通り、俺がお前を元の世界へ帰す。それまでは俺がお前を守る」
「はい。お互いがんばりましょう、マコトさん」
迷いは晴れ、二人の心に青い空が差し込む。
それはダントンを倒した時に見た、あの綺麗な青空のようだった
1562
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 15:35:55
大きく数を減らしていた半グレは、一騎当千のセイバーの前に秒殺されていく
根本的な火力の差は態勢が整わなかった半グレが散発的に発射してくる銃や爆弾ごと紅蓮の炎で焼き尽くしていく
このままでは相馬どころかレジィごと殺されない
「使うしかないか……キャスター! 時間を稼げ!」
相馬は叫ぶとガチャガチャとアタッシュケースを開け、モタモタとベルトを巻いた
『Standing by……』
「使けにくいな……変身!」
『――complete』
この空島には似合わない電子音声と共に相馬の体に走った黄色いライン、そこから全身を包む閃光が放たれる
数瞬後、そこには黒いボディスーツのようなものに黄色いラインが入った鎧に身を包んだ相馬がいた
一方その頃、ムー島の王宮ではこれもオーパーツな無線がベルを鳴らしていた
「私だ、ムスカ大佐だ」
「久々だね、大佐」
「そろそろ来る頃だと思っていたよ。レムリア島で軍事施設からも略奪があったと聞いた。やはり、あちらの政府が抑えていたようだ。喜びたまえ、君のベルトの所在がわかったのだから。」
会話していたのは八年前の聖杯戦争の主従であるムスカとライダー・草加
王族軍人から謀略によりムー島の国王の地位を手に入れたムスカこそ今回の聖杯戦争を強行した『主催者』である
彼は過去の経験から聖杯戦争の期間中、最初の一週間程度を外遊することで身の安全を確保していたのだ
そして聖杯戦争の激化によって自然に帰国の理由をつけ、NPCのように振る舞っていたのである
一方、逸話によって宝具を実体化したまま紛失したライダー・草加
八年間どこにあるか不明だったせいで今回の聖杯戦争にも今まで関われないでいたが、レジィ達が盗み出し相馬が宝具を発動してくれたおかげで、彼はベルトの位置を特定できた
ライダーの宝具は誰であろうと公平に力を授ける
たとえマスターであっても、サーヴァントに並び立つ程の力を振るえるのだ――その命と引き換えに
1563
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 15:58:04
>>1562
相馬がカイザに変身したことは致命的なミスとも言えるけど、変身者が死亡するというデメリットまでは知ることが出来ないから仕方なかった
しかしカイザの圧倒的な力を得た相馬はカイムとほぼ互角に戦い、レジィの援護もあって徐々に押していく
春花が強さ的に戦力外ということもあってこの戦闘は実質2VS1になっていた
そしてベルトの位置を特定した草加は邪悪な笑みを浮かべると現地へ向かうことに決めた
カイザに変身した者の末路を彼は当然、知っている
1564
:
名無しさん
:2022/03/13(日) 20:49:03
元から喧嘩が強い相馬と自身が変身するタイプの宝具であるカイザギアは非常に相性が良い
カイムが得意とする斬撃もカイザブレイガンで対処。元々ナイフを武器とするだけあって刃物の扱いに長けている
加えてカイザブレイガンは銃撃も可能とする。
相馬が容赦なく春花を狙って発射する度にカイムはマスターを守るために庇わざるを得ない
焦った春花は目の前のキャスターとそのマスターを絶対に殺すように令呪を使い、更にカイムをブーストする
今回の戦闘で二度目の同じ令呪だ。必然的に戦況は変わり、カイムはレジィと相馬を相手に拮抗する
それは皮肉にも草加が到着するまでの時間稼ぎのようになっていた
1565
:
名無しさん
:2022/03/14(月) 18:30:16
ブーストした速度とパワーで2人相手に拮抗するカイムの戦いは凄まじかった。
パワーアップして対応していた相馬だったが、カイムの剣術の間合いを見誤り傷を傷を負ってしまうほどだった。
レジィと相馬は念話で合図を送り、あえて左右二手に分かれた
カイムとまともに戦うのではなく無視して掻い潜り春花を狙うような動き
カイムはサーヴァントであるレジィを止める為に動き、アンヘルを召喚してマスターである相馬にブレスを吐かせようとする。その直前
相馬「令呪を以て命ずる。切り札を使え!」
レジィは令呪にブーストされて目にもとまらぬ早業で「切り札」たる契約書を使用
出現させたのはこの世界の軍部が「万が一、空島外部から船などで攻め込まれた時の為の防衛兵器」の契約書。
これは現実世界の「ロケットランチャー」に相当する兵器だった。
レジィはこれをカイムに向けない。
無視して相馬を狙って口に火炎を溜めるドラゴンに式神と化したロケランを発射した。
「グオオオオオオオオオオオ!!」
ドラゴンは放つ直前の炎とロケランの爆発で炎に包まれた
しかしレジィはその間に僅かに隙ができてカイムに斬り捨てられる…ことはなかった。
レジィに迫りくるカイムの全身からバキバキボキと骨の砕ける音やジュウジュウと肉の焼ける音が響き、剣が空を斬った。その体にレジィの召喚した刃物が突き刺さる。
レジィはカイムの真名を見抜いていたのだ。
竜を従える英雄、だけでは解らなかった。
だが、レジィは見ていたのだ。
半グレ達をなで斬りにしながら剣の外装が変わっていた事や
相馬に傷を負わせた時に剣が一瞬長剣に変化していた事を。
それらの情報を加えて導いた答え。
かの英霊はレッドドラゴンと契約せし復讐の王子カイム
その弱点、契約相手のドラゴンと苦痛を共有し、片方が死ねばもう片方も死ぬ!
1566
:
名無しさん
:2022/03/14(月) 18:31:11
春花は願った。アンヘルの叫びと同時にカイムの全身が悲鳴を上げるのを。
そして願った。「令呪で命じる!死なないでカイム!」
状況を見て迷わず最後の令呪を切る。その決断力は称賛に価するといえた。
だがそれは間違いだったのかもしれない。
話が飛ぶようだが、春花はココアとアーチャーの主従と闘った。
そしてココアは令呪を全て失い、アーチャーはセイバーの攻撃を受けても生きていたが、敗北した。
結果的に横槍は入ったが、あの時点でもセイバーにはまだ余力があり、令呪も残っていた。
最後の宝具がセイバーに向けられていたとして、ダメージは受けただろうが生き残ったのはセイバーだっただろう。
だが、奇妙なことがある。
確かに元々、殺し合いをする戦士であったセイバーと、
いわば競技者でしかなかった決闘者のアーチャーでは元々の力の差が大きかったのだろう。
しかし、それにしてもココアが令呪を三画全て使ったのにも関わらず
春花たちが令呪を一画も使わず、しかも余力を残して勝てたのは……?
それは願いの中身が関係していたとは考えられないだろうか。
もしもココアがアーチャーに生きて欲しいという気持ちの他に、
「セイバーを倒して」と願っていたら、結果はどうなっていただろうか。
カイトのプレイスタイルがより攻撃的で捨て身なものとなり、
モンスターの攻撃が実際の数値より強い威力を伴ってカイトを追い詰めたりはした可能性は無いか。
…もちろん、これはただの仮定の話であり、検証もしようもなく誰にも答えは出せない。
戦闘の結果を述べる。
令呪により、カイム自身がアンヘルと契約で繋がった事で受けた、瀕死になるような傷は癒された、
しかしアンヘルの受けたダメージは甚大であり、令呪一画のみでは契約で繋がったカイムとアンヘル、
両者の傷を十分に癒すには至らなかった。
そしてカイムは、レジィの事は無視してでも春花の身を守るため、相馬に向かって全力で剣を投擲した。
その剣は相馬の腕を斬り落とす。
しかし、相馬は一瞬早く銃撃を行い、春花の命を奪った。
もしも3画目の令呪を重ねて「敵を殺せ」と命じられていたら…
戦闘続行と加虐体質のスキル、そして尽きぬ殺戮の意志を持つカイムは
たとえその直後に腕が引き千切れようと、平時の全力以上で相馬に剣を放ち、一瞬早く届いた剣は春花を救えたかもしれない。
意味のない、そんな仮定の話。
【野咲春花@ミスミソウ 死亡確認】
1567
:
名無しさん
:2022/03/14(月) 19:21:45
>>1566
† † † † †
魔力なくしてサーヴァントは存在し得ず。
すなわち、マスターなくして彼らは存在し得ない。
厳密には、英霊の召喚および現界に用いる魔力は、聖杯――
小聖杯が行うことになる。
聖杯こそが不可能を可能とする。
是は、大聖杯が万能の願望機であるという傍証として考えられる。
ただし。
召喚した後のサーヴァントの肉体維持、その他、戦闘行動等による逐次消費。
これらの魔力については、すべてマスターが受け持つことになる。
更に言えば――
マスターはサーヴァントにとっての“現世への寄る辺”となる。
召喚された英霊は、その時代の人間であるマスターを要石として現世に留まるのだ。
やはり、マスターなくして彼らは存在し得ない。
ならば、マスターを失えば?
英霊本来の性質にも依るが、多くはただちに消滅する。
マスターを失った時点でサーヴァントは寄る辺を失い、現世から霧散する。
単独行動スキルを有していれば一日から数日間は肉体を維持できるが、単独行動スキルはアーチャーのクラス特性であり、他クラスのサーヴァントには当てはまらない。
だが、例外は存在する。
神話、伝説、逸話に於いて長期の単独潜入等の相応の活躍を果たした英霊は、クラスに依らず単独行動スキルを有する可能性がある。
故に、マスターを殺害した直後でも決して油断するな。
更なる例外が――
大量の魔力消費による霧散の抑制、肉体の維持である。
一例が、魂の“摂取”による魔力補充・維持となる。
我ら魔術師にとって魂の“摂取”は必ずしも禁ではない。
しかし、過剰に行えば神秘の漏洩を容易に招く。
例外の例外が発生した場合、速やかに――適切な処置を行う他にない。
(古びた一冊のノートより抜粋)
† † † † †
サーヴァントはマスターからの魔力供給で現界を保ち、さらにマスターは英霊が世界に留まるための要石としての役割を持つ
そのため、スキル「単独行動」を持たない限り、例え魔力があったとしても手足が重くなり、現界を保つために使用する魔力量も増える
詳細に言えば魔力が「活動するためのエネルギー」、マスターとの契約が「現世に留まるための要石」であり、マスターを失うと「エネルギー」と「要石が失くなった負担」2つの魔力を自力で捻出しなくてはならなくなる、ゆえに主を失ったサーヴァントはすぐに消える運命にあるのだ
だから、目の前でマスター・野咲春花を失い、魔力供給の源を失ったカイムは急激に体が重たくなる感覚に陥り膝を突いてしまう
さらには召喚したアンヘルも光の粒子となっていく、もはやカイムに相棒を維持するだけの魔力の余裕はなく、アンヘル自身も口惜しく思いながら消えていった
最後の令呪でカイムの致命傷は治癒されたものの、もはや目の前の二体の敵に抗うだけの力は発揮できない
それでも、令呪二画による敵の殲滅を命じられたカイムは最後の力を振り絞って相馬とレジィに立ち向かった
たとえ令呪で命じられていなくとも、彼は最後まで戦場から離れることはあるまい
たとえ、それが命を散らす自殺行為であろうとも
【カイム@ドラッグオンドラグーン 霊基消滅】
※「Fate/prototype 蒼銀のフラグメンツ」より現界についての記述を抜粋しました。
※その他、英霊の現界についての補記は仮投下スレの1093を参照してください。
1568
:
名無しさん
:2022/03/15(火) 08:37:52
春花とカイムを倒した相馬はライダーの変身を解いた。
そして上着で肘下で切断された右腕の応急処置を行った直後だった。
「うわあ。悲惨な光景だなあ。君達がやったの?コレ。」
造船所に男が入ってきた。
暗い緑色のステンカラーコートを着た男だ。
半グレや春花の死体が転がり所々焼け焦げた造船所内の様子にも動じない様子はただの一般人ではない。
実体はあるから人間なのだろう。サーヴァントではあるまい。
負傷の身の相馬とやや消耗したレジィは警戒。撤退が連戦か見極めようとする。
「じゃ、そろそろ俺の元に返してもらおうか。そのベルト。」
男が言った途端、相馬が崩れ落ちる。苦悶の声を上げて苦しみ出し、全身が灰に変化し始めた。
相馬は苦しみながらベルトを取り外したがその変化は止まらない。
「それは代償さ。ベルトを届けてくれてご苦労。そのまま死んでくれ。」
コートの男―――過去の聖杯戦争で受肉したセイバー。草加雅人がそう言っている間に相馬の全身は灰になり、崩れてしまった。
【相馬和樹@LOST JUDGMENT:裁かれざる記憶 死亡確認】
1569
:
名無しさん
:2022/03/16(水) 20:45:57
>>1568
相馬がベルトの副作用で灰となり、マスターを失ったレジィは予断を許さない状態となった
単独行動を持たない彼では現界を保てずそのまま消滅する
自身の敗北による消滅ならともかくマスター不在での消滅はあまり好ましいものではなかった
ゆえにレジィは目の前でベルトを回収する謎の男に再契約を持ち掛ける、相馬の死因に関係する相手だろうともなりふり構わず危険を承知で交渉をしてみた
しかしコートの男(草加雅人)は過去の聖杯戦争で受肉した元セイバーであることを明かし、サーヴァントと契約を結ぶことができないと返答されてしまう
衝撃的な真実を告げられ、もはや新しいマスターを探す余裕などないと諦めかけたレジィ、だがそこへ「待った」と声を掛ける医者が登場する
実はムー島からレムリア島まで飛翔してきた医者とグリーン・ゴブリンは到着直後に造船所での戦闘の気配を察し、霊体化した彼を同伴させて様子見に来てたのだ
春花が銃殺され、セイバーが蹴散らされ、相馬が灰化して、残る二人の会話を聞いた後、医者は彼らに同盟を提案する
曰く、ムー島では聖杯戦争に消極的な連中が徒党を組んでいるため、対抗するために優勝を狙う者同士で一時的に結託して対抗すべき、と
またマスターを失い消滅の危機に瀕しているキャスター・レジィに対して、戦力として役立つならば二重契約を結んでひとまず消滅を回避させてもいいと申し出る
むろん医者は二重契約のリスクを把握している、マスター側は魔力供給量の増加という負担がありサーヴァント側は供給不足による弱体化が発生するため、十全に運営するのは至難であると
しかし難題への対処法もある、単独行動スキルを持つグリーン・ゴブリンならばマスターからの魔力供給が多少滞っても活動はできるためリスクを幾らか緩和できる
また魔力を補充するならば「魂喰い」がある、極悪人のアクダマであり良心の呵責など全く持ち合わせていない医者ならばこそできる外道の戦術である
――そしてレジィ(や草加)には知らせていないことだが、状況次第ではゴブリンを戦力として残してレジィは捨て駒にする、など状況次第では使い潰すことも医者達は考えているのだ
運用次第で二重契約も活用する術があり戦力を確保するため、と説明して医者は選択肢を突きつける
対してレジィは医者が語らぬ捨て駒としての使い道を瞬時に見抜き考えを巡らす
つまりは医者達を拒めばすぐに殺されるに違いない、ならば今ここでなす術もなく消滅するよりかは危険を承知でも生き存えるのはアリかもしれないと
自分の願いももちろんあるが、この聖杯戦争の行く末も見てみたい気持ちも出来始めたところではあった
1570
:
名無しさん
:2022/03/16(水) 21:46:59
>>1569
「悪いが俺に君と手を組む気はない」
草加は医者の提案を拒否。
そもそも邪魔者を始末せず「待った」をかけた医者を放置すること自体が彼の性格的に珍しいことだが、これは医者に二重契約させることでわかりやすく共通の敵を作るためでもあった
二重契約の優位性は誰にでも簡単にわかるものであり、狙われるリスクが一気に増える。
それにどうにも医者からは自分と似た雰囲気を感じられ、はっきり言って草加にとってはかなりの邪魔者だ。しかし彼女にもサーヴァントが存在する以上、瞬殺することは出来ない。時間稼ぎをされている間にキャスターと契約されるという事態は防げないだろう
キャスターを真っ先に始末するにしても、医者のサーヴァントに妨害されるかキャスターが最後の力を振り絞って抵抗することは目に見えている
ならばこの場は撤退し、他の参加者と手を組んで医者を叩く。
優勝を狙うからこそ二重契約した医者と手を組むなんて論外だし、圧倒的な力を持つバーンも待ち構えている。
それらを相手に単独で勝てると思うほど草加は慢心しない。聖杯戦争に消極的な連中が徒党を組んでいるならば、むしろ好都合だ。
きっと乾や木場のようなタイプの人種だと考えた草加は彼らに取り入り、まずは医者とバーンを倒すことを先決する。
どの道バーンは自分だけでは倒せない。自分と医者が組んでも勝てるか怪しいし、そもそも徒党を組んだ連中と戦っている最中にこちらの戦力は確実に削られる
医者が敵視している徒党を組んだ連中はそれなりに数が多いのだろう。素性もわからない相手にわざわざ同盟を持ち掛けるということは、そういうことだ
ならば彼らの力を借りるまで。医者やバーンや他の聖杯狙いを倒した後、消耗し切った彼らを倒せば良い。
まあその時には自分も間違いなく消耗しているだろうが、ムスカという王の後ろ盾があるだけ優位に立てるだろう
「情報には感謝するよ。それにしても素性も知らない他人にそんな情報を渡すなんて、迂闊過ぎないかなぁ?」
憎たらしい顔で医者を軽く煽ると草加はサイドバッシャーに乗り、その場を去った
1571
:
名無しさん
:2022/03/16(水) 22:10:31
(造船所の騒動も終結したので本投下)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
三日目が終了、そして、四日目
夜の帳が下りて幾刻か、更けりて旧き終わり新たに始まる、その刹那
大半の者が微睡みに身を委ねる頃合いに、聖杯戦争のマスターにだけ伝達される夢があった
それは日中に垣間見た光景の続きであり、並んでいた12枚のカードからまた一枚一枚とこぼれていく
堕ちいく絵柄は、ライダー、セイバー、ランサー、セイバー、計四枚がさらに暗黒の園へと消えていった
そして残ったカードが空を舞うように動き出す
気付けば新たな盤面に移っており、ムー島とレムリア島を象った地図の上にカードが並べられていく
アサシン、バーサーカー、クリミナルの三枚がムーに、ライダー、キャスター、キャスター、フォーリナー、アルターエゴの五枚がレムリアに、降り立っていた
是は新たなる啓示なり
四騎が脱落して残るは八騎の従者達、それらの大まかな所在もここに示された
これは新たなる波乱の幕開けか、さらなる闘争を求める声か
ただ言えることは、この儀式も後半戦へと移り変わったということ
刻一刻と、聖杯の降臨が近いということだけである
1572
:
名無しさん
:2022/03/17(木) 10:56:14
ピーターと巧、ココア・マズルカの2組の主従はレムリア島のピーターの家にいた。
ココアは昼間の疲れからか眠っているが、ピーター、巧とマズルカは遠方からの爆発音や光に気付いて警戒していた。
中世的な文明の空島である。たとえ距離があり風の音がしていても、騒ぎがあれば気付く。
人形兵の修復を終え、魔力も回復したマズルカがフルネラ型人形(バッターの令呪でレムリアに転移した際に人形素体の姿で全員一緒に転移した)を偵察に向かわせようとした時だった。
イメージ映像が流れて来た。ココアが飛び起きて、2組の主従は状況を整理した。
ピーターと巧、マズルカとココアの主従は互いの持っている情報(殆どは炭治郎がもたらした情報)により、
現在の殆ど全員の主従の正体を推測できた。
彼らの視点は以下の通り
クラス : 推測(主な情報源) 【正体】 ←わかりやすくするためこう書く
脱落したサーヴァントについて
セイバー1:カイム(ココア) 【カイム】
セイバー2:不明 【ハドラー】
ライダー:炭治郎の会った、チノ達と一緒にいる、おそらくオルフェノクのサーヴァント(炭治郎・巧) 【木場】
ランサー:胡桃のサーヴァント(マズルカ) 【明】
ムー島の残ったサーヴァント
アサシン:雲雀 (ピーター・巧) 【雲雀】
バーサーカー:巨人(ピーター・巧) 【エレン】
クリミナル:チノのサーヴァント(炭治郎) 【マコト】
レムリア島に残ったサーヴァント
ライダー:【巧】
キャスター1:【マズルカ】
キャスター2:不明 【レジィ】 (距離だったり突然の事だったりでココアはレジィのクラスを知るまでには至らず)
フォーリナー:セフィロス(マズルカ) 【セフィロス】
アルターエゴ:グリーン・ゴブリン(マズルカ&ピーター) 【グリーン・ゴブリン】
脱落したセイバー2とキャスター2の正体までは分からないが、
仮に飛空艇などで移動していない場合、セイバー2の主従がチノや喫茶店の店主を罠に嵌めた主従。
キャスター2の主従がココアを不意打ちした主従。と、推測した。
ココアはあの強いカイムが倒されたことに驚いて、敵対していた事も忘れ悲しんだ。春花は大丈夫だろうか?と、その身を案じた。
そして状況は分からないがチノのサーヴァントが無事であることに少しだけ安堵した。
しかし、隣にいるマズルカの例からもわかるように、サーヴァントが無事だからだといってマスターも無事だとは限らないと気付き、手を胸の前でぎゅっと握りしめて無事を祈った。
ピーター、巧、マズルカは、グリーン・ゴブリンがこの島にいることに緊張を走らせた。
そしてこのアナウンスの露骨さに、元の世界で危険と悪意に触れる事の多かった3人は確信する。
「明らかに聖杯戦争を進めたい、仕掛け人のような存在がいる」と。
1573
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 08:29:15
ココアは聖杯戦争に関するイメージ映像が流れて起きる直前、夢を見ていた。
夢の中ではマズルカと黒髪の魔女が、多数の魔女と戦っていた。
マズルカ達は必死に応戦していたが、黒髪の魔女が倒れ、魔女達に何かの鍵を奪われてしまった。
黒髪の魔女の元にマズルカが駆けつけるが、深手を負っており…
そこで別のイメージ映像が流れて来て、ココアは目を覚ました。
「ルカちゃん。さっき変な夢を見たんだけど…。」
ココアはマズルカと2人の時に、イメージ映像の直前に見た夢の内容を話した。
マズルカはそれは自分の過去の記憶だろうと教えた。マズルカは当時の概要を話す。
マズルカの師匠(黒髪の魔女)が妖路歴程をバーバという魔女から盗み出したこと。
妖路歴程を使って異世界を探索し、15年かけて3つ集めれば願いが叶うという鍵という秘宝を手に入れた事。
しかし全ては出し抜いたと思っていたバーバの掌の上。追っ手を差し向けられて鍵も奪われてしまった事…。などだ。
過去を覗いてしまい申し訳なさそうなココアに気にしないでと苦笑しながら、
マズルカはイメージ映像の方について考え始める。
一度目の白昼夢(
>>1475
)の時はココアは魔力を消耗して深く気を失っていたからか、
それともカイトが脱落したことでマスターではないと見做されたのか、見ていなかった。
バッターもなぜか(幻と片付けて)マズルカに話していなかったので、このアナウンスが具体的にどんなものか、
ピーターや炭治郎から一応は聞いたものの、イマイチ掴み切れていなかった。
どこかにある聖杯の情報がマスターに流れ込み、本来は明確な形を持たないそれを、マスター達の精神が理解できる形に変換して感じているのかもしれない、と考えていたが…。
先ほど4人で話した時に、ピーターからもイメージ映像の話を聞いた。
1度目との内容の差異や残りサーヴァントの位置を示すやり方と言い、明らかに残りの主従を争うように仕向ける意図を感じる。
なんらかのマジックアイテムであると予想される聖杯自体が意志を持つのか、それとも
(聖杯戦争を引き起こしている黒幕がいて、戦いが進むにつれ好戦的主従や情報収集が苦手な主従が減り、
状況が膠着する事を嫌がって戦うようけしかけている…?
…私たちは生き残った1組の主従の前に聖杯が姿を現すと思っていたけど、
もしそいつがバーバみたいに、他人を掌の上で転がす狡猾な奴だとしたら、
実は聖杯そのものはそいつが握っていて、最後に誰が生き残っても聖杯はそいつが手に入れる、っていう筋書きを立ててるかも…?
…むむむ。憶測に憶測を重ね過ぎているか…。)
「ルカちゃん?」
「ちょっと考え事をねー。」
(もしも…聖杯がサーヴァントが脱落するごとに力を蓄えるアイテムで、完全に力を蓄えることで願望機になるとしたら…。
未完成の状態の聖杯にもそれなりの魔力はあるはず。
新たな願いを叶えるような力は発揮できなくても、
聖杯戦争の参加者を集める為にマスター達をこの世界に呼んだ術式を模倣して元の世界に帰すぐらいはできないかな…?)
1574
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 10:35:40
>>1570
木場がサイドパニッシャーで去った後、レジィと先ほどの再契約の話を進めようとする医者だったが。
「オイ待ちなマスター。俺というサーヴァントがいながらよぉ。浮気は許さねえぜ…?」
グリーンゴブリンはふざけた口調だがその目は笑っていない。
てっきりまりなのようにマスターのいるサーヴァントを傀儡にするつもりで医者の行動に賛同していたが、はぐれサーヴァントとの二重契約となれば話はまた違ってくる。
たしかに自分は単独行動というスキルで魔力の消費を抑えて活動できるが、それは激しい戦闘や宝具の使用に制限がかかる。
そもそも新たにキャスターが医者のサーヴァントとして加わるのなら自分への供給魔力は単純に考えて半分になる。
更に、いざとなったら敵の多い自分を残った令呪で切り捨て、キャスターをただ1人のサーヴァントにする可能性だってある。
マスターを切り捨てたグリーンゴブリンなら思い至って当然の発想だ。
無理に契約しようとしてもその前に目の前のキャスターを殺しかねない眼光の鋭さだ。
1575
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 10:51:33
>>1574
取り下げます。(詳細は仮投下スレ1169前後の議論)
1576
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 11:41:53
>>1569
、
>>1570
「おいおい待てって兄弟。そう簡単に逃げられると勘違いしていないか?」
「…ちっ、ついてくるな」
サイドバッシャーで早々に造船所を後にした草加だったが、グライダーで滑空するグリーン・ゴブリンに接近されて声を掛けられる
草加が同盟の提案を拒否した瞬間から、医者とグリーン・ゴブリンは元セイバーの男が自分達にとって邪魔になる存在と認定した
狡猾そうなこの男からして、こちらが同盟を組む理由として挙げた対聖杯の集団に入って自分達を袋叩きにする可能性が充分にある
また以前の聖杯戦争の参加者がこうやって表舞台に現われたのだ、この聖杯戦争についての秘密を何かしら知っているに違いない
ゆえに、元セイバーが乗り物で立ち去ると同時に医者は念話で追跡を頼み、グリーン・ゴブリンも応じてすぐさま追いかけた
「つれない野郎だな、せめてこっちが情報をあげたんだからそっちも何か情報を寄こせよ」
「そっちが勝手にやったことだろ、こっちにはそんな義理はない。とにかくとっとと失せろ!」
「あーそうかい、それじゃあお前が死ね、そしたら俺ともお別れできるだろう!」
バイクに跨がる男が口を割らないため、ゴブリンは併走しながらグライダーを横に向けて機関銃をぶっ放す
警戒していた草加は急激にハンドルを切って迫りくる怒涛の銃撃を回避、カイザブレイガンで反撃する
それを空中で器用に躱したゴブリンはグライダーからミサイルを射出、草加もバトルモードに変形させたサイドバッシャーでバルカンを放ちながら応戦する
こうして始まったチェイスバトル、互いの武器を躊躇いなく使い走りながらドンパチを繰り広げている
ちなみにだが、バイクに騎乗した草加側はほぼ二次元的にな動きに限定され、さらに彼が元いた世界とは違い路面の舗装が荒かったりオフロードを走ったりするので走行や回避が困難になりやすい状況である
騎乗スキルを有する草加ならばそれを苦ともせずに巧みに操縦し、時にはジャンプして回避することも訳ないが、一瞬でも気が抜けてしまえば不味い状況にはなりえる
一方、ゴブリンは三次元的に動けるため自由度の高い回避や攻撃で優位に立っているが、ムー島での戦闘や島間の移動でマスターや自身の魔力を消耗しているのが少し問題であった
とはいえ今目の前の獲物を逃してしまえば火の粉として残ってしまい、後々自分たちに燃え移る危険もある、なのでこの時ばかりは出し惜しみをしている場合ではなかった
ともあれこの勝負、最終的には相撃ちとなり引き分けて終了した
戦闘しつつ走り続けていた草加は悪路に嵌まって一瞬だけ操縦が狂ってしまい、そのタイミングでゴブリンが放ったミサイルの爆発に巻き込まれてしまう
だが同時に草加もミサイルとブレイガンを数発放ち、ゴブリンは咄嗟に手裏剣を飛ばしてミサイルを迎撃したものの爆風と銃撃によってダメージを負ってしまう
爆発によって吹き飛ばされた草加はダメージにより意識が飛びカイザが解除されてしまうが、不幸中の幸いかそれにより気配が薄れて森の中に飛ばされたことで探すのが困難になってしまう
一方負傷して標的を見失ったゴブリンはこれ以上の戦闘は困難と判断し、医者の元へと帰還する
1577
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 11:42:32
時は遡って、レジィがマスターを失った頃
物陰で様子を見ていた医者とゴブリンだが、戦力補充のためにキャスターと二重契約を結ぶことを医者がゴブリンに提案する
レジィと草加のやり取りを盗み聴きしながらゴブリンは難色を示す、自身の戦闘能力の弱体化や鞍替えを警戒するのは当然のことである
とはいえ戦力や捨て駒が欲しいという言い分も分かる、なのでゴブリンは医者に次のことを要求する
一つ、自分が目の前にいる状態でキャスターと契約を結ぶことを
一つ、キャスターに令呪を使い「アルターエゴを攻撃してはならない」「謀叛を懐いたら自害せよ」と縛りをつける
一つ、その二つを行う前にゴブリン自身に令呪を使い「ゴブリン不在時に勝手に契約を結ぶ場合、あるいはキャスターを縛る令呪を使わなかった場合、即座に自身のマスターを殺害せよ」と強制的な報復措置を備えさせる
刃物を突き付けながらこの三つを医者に要求するゴブリン、もしここで快諾しなければここで殺すという脅しの意味を込めていた
対して医者は怯えたり焦ったりする様子もなく淡々と承諾し、ゴブリンを裏切れば自分も殺される内容をゴブリンが言ったように復唱して令呪を切った
医者としてはここでゴブリンに不快を買って戦力増強の目論見が破綻するのは良しとせず、レジィと草加の交渉も終わる頃合いであり割って入るチャンスを逃す訳にはいかなかったので即断実行したのだ
こうして裏側でも駆け引きがあり医者とゴブリンは協調を崩さずにレジィと草加の前に姿を表す
そして同盟を結ぶ話と再契約を結ぶ話をしたが、草加が拒否して立ち去ったちめに医者は急遽ゴブリンに追跡を依頼する
その際、ゴブリンは医者に自衛用の手裏剣とボムを渡しつつ、勝手に話を進めないようにと念を押して元セイバーの後を追った
「アルターエゴが帰ってくるまで、再契約はひとまずお預けね」
「ふざけるな!こちらの命の手綱を握っているからっていい気になるなよ!」
「まぁ確かに、こっちも悪いとは思うけれども。彼、どうも私が浮気しないか心配しているのよ」
「だから彼との約束を破る訳にはいかないし、マスターを失ったからってすぐに消える訳ではないでしょう、キャスター?」
「あなたも随分と弱っているようだし、彼が帰ってくるまでは一休みしていれば?」
「…もし奴の戻りが遅い場合は、すぐに契約をむすべ」
この待遇の悪さにキャスターは不満を表すものの、かといって何かしらの行動に移すことはできなかった
今の自分は現界するのに精一杯であり、弱体化した身体では目の前の女にも敵わない可能性が大きかった
事実、医者は疑似禁薬の影響で見た目以上の強さを持っており、ゴブリンから渡された武器もあるためキャスターが下手な真似をしても充分に対応できる状態であった
それに聖杯戦争に喚ばれた者が英霊の座に戻るには数時間の猶予は残されている、下手に動かず目の前の悪女とでも契約した方が生き延びられるならば少し待つことぐらいならば我慢することを選んだ
1578
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 23:50:33
>>1576
『ムスカ大佐。アルターエゴはここまで生き残ってるだけあって思った以上に強そうだ。これはなかなか期待出来るね』
意識を取り戻した草加は近況をムスカに報告する。
草加が最も得意とする地上戦ではないという要因も大きいが、それを差し引いてもアルターエゴは予想以上に強かった。
草加自身のスキル、異形と戦う者も地上戦でなければ無意味に等しいことから相性的にも最悪といえる。
しかし運も実力のうちだ。なにはともあれ、草加は命を取り留めた。
「だがダメージを受けたことは、むしろ嬉しいよ。他の陣営に潜り込む時、自分だけ無傷だと流石に怪しまれるからなぁ……」
自身がダメージを受けたのに、ニヤリと笑う草加。彼は戦闘によって負傷したことすらも利用する。
それにグリーンゴブリンの戦法も把握出来た。草加は相手が異形ならば自身のスキル、異形と戦う者で有利になる。
だから何も知らずに戦うことになっていたらグリーンゴブリンを真っ先に狙うだろうが、先程の戦闘で相性の悪さを実感した草加は彼とはもう二度とまともには戦いたくないと思うのだった
1579
:
名無しさん
:2022/03/18(金) 23:54:18
>>1571
この夢は自身のサーヴァントを失ったホメロスも当然、見ていた
聖杯戦争。それは島の民が巻き込まれ、傷付く催しであり真面目に島を統治しようとする今のホメロスにとって許容出来るものではない
ホメロス自身もマスターとして願いを叶えるために参加していた身で、他人をとやかく言える立場ではない。
だが島の民を守りたいという新たな気持ちもまた本物だ。
かつてグレイグと共に国を守る騎士になろうと決意した時のように、ホメロスは寝床から立ち上がる
自分にはもうサーヴァントがいない。ホメロスが最強だと信じていたセイバーは――ハドラーはもういない。
だがホメロスには力がある。相手が対魔力がないバーサーカーとはいえ、有効打を与えられるくらいには強い。
もちろん自分だけで他の主従を倒せるとは思っていない。
だが幸い、ハドラーと戦い、拳で互いに分かりあった深海マコトがいる。彼のマスターも聖杯戦争を止めることが目的と見て間違いないだろう。
それとシャア。彼は聖杯を狙っていると同時に話が通じる部類だ。ホメロスとしては島に危害が及ばなければ、最終的に誰が聖杯を手に入れようがどうでも良い。シャアならば再び同盟を組んでくれる可能性もある
彼らと手を組み、聖杯戦争を早急に終わらせる。特に島に被害を撒き散らすような悪辣な輩は優先して討伐する。
それこそがこの島に住む民のためだとホメロスは判断した
1580
:
代理投下
:2022/03/19(土) 06:38:43
巧はオルフェノクのサーヴァントと思わしきライダーの脱落に歯噛みする。
自分の知っているオルフェノクの中でライダーのクラスで呼ばれそうな者といえば真っ先に思い浮かぶ男は木場だ
「木場……。お前のことだから、きっと誰かを助けて死んだんだろうな」
巧は木場のことを信じている。
だから彼がどうやって死んだのかも、なんとなく想像がついた。
「やっと会えるんだね、チノちゃん!これからは何があってもお姉ちゃんに任せなさい!!」
ココアは春花の安否やセイバーの脱落など、気になることは色々とあるがまずはチノを助けようと意気込む。
普段ならもっと動揺していただろう。元々の保登心愛はそこまで強い人間じゃない
『ココア……後はお前に託す。運命に屈するな……。チノや仲間と共にお前達の手でこの聖杯戦争を……悲劇の連鎖を止めてやればいい……』
もしも自分と最初にしたサーヴァントが天城カイトじゃなければ。かっとビングを知らず、彼の勇姿を見ていなければ聖杯戦争の途中で諦めていたかもしれない。
それでもココアの中にはカイトが居る。カイトに託された想いがある。
だからココアは諦めずに前を見る事が出来るのだ
「カイトさん……。やっとチノちゃんと会えそうだよ!」
天城カイトは死んだ。もうこの世にはいない。
そんなことはわかっているが、それでもココアはカイトに語り掛けた。
誇り高き決闘者はココアの魂に大切なモノを刻み込んでいた。
「……炭治郎のやつ、大丈夫か?これだけのサーヴァントが脱落したなら、向こうの島で何かあったんじゃないか?」
巧は木場の脱落の他に炭治郎のことが気掛かりだった。
チノを密航させると言っていたが、何かの騒動に巻き込まれた可能性もある。
もしも自分以外のライダーが本当に木場ならば――彼が誰かを守って死んだのならば。
それはきっと何かの騒動に巻き込まれたか、悪辣なサーヴァントにやられたのか。そのどちらかだろう。
「……炭治郎くんなら、きっと大丈夫だよ!」
何か具体的に根拠があるわけではないが、ココアは炭治郎を信じている。
信じているからこそ、チノのことを任せた。
「まあ、炭治郎に何かあったらアサシンのやつも脱落してるはずか」
サーヴァントが生存しているということは、高確率でそのマスターもまだ生きているはずだ。
マスター死亡でサーヴァントのみが残る場合もあるが、そんな可能性まで心配していたらキリがない。
今は炭治郎を信じて、自分達は自分達に出来ることをするのが先決だと巧は判断する。
「そういえばグリーンゴブリンってやつもこの島にいるんだったな。……ピーター、お前はあいつをどうしたいんだ?」
そんな意味の無い問いを投げ掛ける。
答えは既にわかっていたが、それでも一応自分のマスターに方針を確認しておきたかった。
そして案の定ピーターは「この島にいるグリーンゴブリンを倒す」というニュアンスの言葉を口にする。
「やっぱりそうなるよな」
巧は暫く思案すると
「ココアとキャスターはここで待ってろ。グリーンゴブリンは俺達が倒す」
それだけ言い、巧とピーターは二人を残してバイクで駆ける。本当にグリーンゴブリンが草加のようなタイプなら、自分達だけで倒した方が良い
ココアとキャスターを巻き込まないというのは、ピーターとしても賛成だった
――そして偶然。
本当にただの偶然だが、
>>1162
で草加と戦い、医者の元へ帰還する途中のグリーンゴブリンと遭遇した
ピーターが彼の名を叫ぶと、巧もそれがグリーンゴブリンだと気付く。
「おい、ピーター。あいつがグリーンゴブリンってことでいいんだな」
対するグリーンゴブリンも因縁の敵であるピーターの登場を見逃さなかった
バイクから降りた二人組へ容赦なくボムを放つ――が、意外にもそれはまさかの形で防がれる。
バイクが変形すると手に持った盾で攻撃を受けたのだ。
しかしオートバジンの被害も大きく、戦闘に介入することはこれで難しくなっただろう
「――変身!」
そして巧はファイズに変身する。
先程の元セイバーと似た見た目の戦士へ変化を遂げる。
1581
:
代理投下
:2022/03/19(土) 06:39:47
立ち去る草加と追い掛けるゴブリンの姿が闇夜に消えた後、医者とレジィは造船所から離れて遠い場所から様子を伺うことにした
造船所はレジィ達とセイバー組が戦闘した影響で炎が燃え広がり、先の戦闘音も加味すればかなり目立つ場所になっていた
事実、彼女達が離れた後に人集りができており、消防活動をする人や軍人やらが入り乱れている様子であった
他の人間からは自分達が見つからないようにしていた医者とレジィだが、そこへ誰かが接近する気配を感じ取る
そして彼女達の前に現われたのはクルーゼとセフィロスの二人組だった
最初は半グレ集団が造船所を占拠したことなど報告に受けていなかったクルーゼ達だが、やがて戦闘音が鳴り響き造船所が炎上し始めると流石に耳に入ってきていた
噂によるとドラゴンみたいな生き物を見たという声もあったが、とにかく聖杯戦争の参加者同士で戦闘が始まっていると断じてクルーゼ達も動き出した
まずは一個中隊を現場に向かわせて調査および消火活動や不審人物の確保を命じ、自分達も現場に向かう
そして造船所を調べたところ、多数の荒くれ者や一人の少女の遺体があるのみで生き残りはいなかった
だがセフィロスが造船所を見ている気配を感じたので、クルーゼは部下にその場を任せてセフィロスと共に視線の先に向かっていった
ゴブリンが不在、なおかつ未契約で弱体化したキャスターしか残っていない最悪な状況に危機感を抱く医者
一方クルーゼは軍事基地に侵入したキャスターと謎の女に警戒をするが、キャスターは弱体化していてまともに戦えないだろうとセフィロスが口にする
とりあえずクルーゼは医者とキャスターに話し合いを持ち掛け、やがてこちらに危害を加えない限りはこちらも攻撃しない、できれば他の主従に対抗するために同盟を結びたいと提案する
いとまずまともに話ができる聖杯狙いと出会えたことに医者は思考を巡らせ、そちらが攻撃しなければこちらも下手な真似をしないと同意して同盟を結ぶ手筈を話し合い始めた
その最中に日を跨ぎクルーゼと医者は白昼夢を確認し、さらに医者はムー島の主従達は聖杯戦争に消極的で真っ当に聖杯戦争をしている自分達を潰しにくるだろうと一押しする
それにはクルーゼも同意し、アルターエゴが彼女の従者であることも共有してそれが帰ってくるのを待つことにする
そしてアルターエゴ・グリーン・ゴブリンがこちらに向かって接近する気配を感じ取るがが、同時に別の気配も向かってきていることを察する一同
医者が念話で確認したところ、バイク乗りのライダーと宿敵スパイダーマンに追い掛けられている、とのことだ
そこで医者は同盟相手ができたことを伝え、一緒に追跡者を迎撃しつつキャスターとの二重契約を一緒にやることをクルーゼ達にも知らせる
同盟を結んだからには相手に恩を売っておこうとクルーゼが同意し、彼らの有視界に入ったところでセフィロスがライダー・乾巧との戦闘を始める
一方スパイダーマンは執拗にゴブリンを追い掛けるものの軽くあしらわれ、戦闘の最中ではあるが医者とキャスターが再契約を結び令呪二画を使用する場面をゴブリンは確認する
1582
:
代理投下
:2022/03/19(土) 06:40:34
>>1581
セフィロスとファイズではスペックに圧倒的な差があり、巧は苦戦を強いられる。
今まで戦ったどのサーヴァントよりも強い。草加や木場のような仲間と共闘してようやく互角に戦えるか、それでも自分達が負けるか――そう考えてしまう程の力量差だ。事実、オートバジンとの2人掛かりでもかなり押されている。
ココアやキャスターを置いて来たのは、ある意味正解だったかもしれない。こんな奴と戦ったら、命がいくつあっても足りやしない。
だが巧にも負けられない理由がある。
自分が願いを持っていながら因縁の敵であり、災いを撒き散らすグリーンゴブリンを倒そうと覚悟を決めたピーターの意志を少しでも汲み取ってやりたい。
「ったく、困ったマスターだな……!」
アクセルフォームやウルフオルフェノクのスピードでなんとかするか、ファイズブラスターで勝負に出るか……。
きっと純粋な力勝負では勝ち目が薄い。まだ宝具すら使わずにこの強さだ、ブラスターフォームになっても宝具次第で巻き返される可能性が高い。それにブラスターフォームはここぞという時に使わなければ、魔力の消耗も激しい。宝具もわからない状態で使うのは危ういだろう。
ならばまずはアクセルフォームを使って、相手が宝具を使う前に速攻で決める
『Start up!』
電子音が鳴り響き、ファイズの装甲が変わると――目にも止まらぬ超高速で動き始めた。
この瞬間のみはセフィロスの速さすらも上回り、この戦場にいる誰よりも速い。此度の聖杯戦争でも最速クラスだろう。
たった10秒。ほんの10秒だけ、今のライダーは誰よりも速い。
そしてクリムゾンスマッシュの円錐状の赤い光がセフィロスの周囲に幾つも生み出される。相応の魔力を消耗するが、セフィロスに勝つにはこれしかない。
後はこのまま蹴るだけで大ダメージか、或いは致命傷を負わせられるはずだが、巧には一つだけ誤算があった
たしかにセフィロスには超高速に対抗出来るほどの速さがない。しかしファイズアクセルに対抗する手段は何も素早さだけではないのだ。
そしてセフィロスはファイズの気配を微かにではあるが、確かなものとして感じ取っていた
1583
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 14:12:42
>>1561
の後、チノは一連の出来事に疲れて眠っていた。
雲雀とチノの眠る姿をマコト兄ちゃんが見守る。
少し前まではあれだけ居た仲間も、今やこの二人だけだ。
シャアやバーサーカーは現段階だと互いに敵対関係ではないが、向こうが聖杯を狙ってる以上は最終的にぶつかり合うことになるだろう。
「勇者、か……」
マコト兄ちゃんはハドラーの最期の言葉を思い出す。
勇ある者と書いて、勇者。それはタケルやアランにこそ相応しいとマコト兄ちゃんは考えるが、勇者と呼ばれること自体に悪い気はしない。
「魔王ハドラー。お前のその想い、確かに受け止めた」
ハドラーが言っていたアバンやダイという人間が、どんな者かは知らない。
しかしハドラーは自分を勇者と――英雄と言った。怒りや憎しみのない純粋な戦闘で互いの拳に想いを乗せ、殴り合った男の言葉だ。
だからそんな彼に恥じないためにも深海マコトは負けるわけにはいかない。強敵(とも)のために。
暫くしてチノと雲雀が目を覚ます。疲労が溜まっていたのか、チノは少しだけ起きるのが遅かった。
そしてマコト兄ちゃんと雲雀はチノから夢の内容を聞いた。
「マコトさん。雲雀さん。いよいよ最終局面です……」
「ああ。チノの夢の話を聞く限り、俺達とバーサーカーとそのマスター以外は向こうの島っていうことか」
チノとマコト兄ちゃんが真面目な会話をしている間、雲雀は何処吹く風か欠伸をしている。
「雲雀さん、真面目に聞いてください」
チノを無視して自由気ままに欠伸を終えると雲雀は入口付近へ視線を向けた。
「どうやら客が来たみたいだよ、小動物」
そして現れたのは、ホメロスだ。
ホメロスはチノ達に挨拶をすると、夢の内容を信じるならばこの島にいるサーヴァントはここに居るクリミナル、アサシンとシャアのサーヴァントであるバーサーカーのみだと話す
ホメロスとしては島の民が聖杯戦争に巻き込まれる状況は見過ごせず、なんとかしてこの戦争を終わらせたいと伝えた
「……どうする?チノ」
マコト兄ちゃんはチノに問い掛ける。
雲雀は無言で小動物を眺め、その返事を待っている。
マコト兄ちゃんはセイバーと正々堂々と戦ったからこそ、今のホメロスを信じていた。
雲雀はホメロスについて大して興味もないが、チノがどんな決断を下すのか興味を持った。……もちろん、ホメロスが下手な動きをしたらすぐに動く準備は出来ているのだが。
「少し迷いましたけど……わかりました。ホメロスさんに協力します」
こうしてチノ達とホメロスは同盟を組んだ。
その後ホメロスはシャアに連絡をするが、シャアとしてはチノのような少女を自分達と共に危険なレムリア島へ連れて行くことは気が進まない。
だが友人達の死を乗り越えて生き抜いているチノの覚悟を認め、同盟相手として共にレムリア島へ行くことを承諾。彼らは飛行艇の乗り場へ向かった。
チノに対して色々と思うところはあるが、クリミナルとアサシンという戦力自体は非常に心強い。なにしろ向こうの島にはフォーリナーが存在するのだ。
出来ればホメロスとアサシンに契約してほしいと考えるシャアだが、互いの性格的に難しそうだと思い、提案はしなかった
1584
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 16:42:23
「ココアとキャスターはここで待ってろ。グリーンゴブリンは俺達が倒す」
それだけ言って、ピーターと巧は2人でグリーンゴブリンを倒すために行ってしまった。
残されたココアは、うろたえていた。
2人を心配する気持ちがある。
また、恥ずかしいが正直に言えば、マズルカがいるとはいえ4人から2人になってしまった心細さもある。
だが、1番大きな気持ちは、戸惑いだった。
てっきり、マスターとなった自分も一緒についてきて、マズルカと一緒に戦うよう言われると思っていたのだ。
しかし、2人は危険な戦いの場にココアを連れてはいかなかった。
「ルカちゃん。私達もピーターさんと巧さんを追いかけた方がいいかな?」
どうしよう、という不安からマズルカに尋ねる。
マズルカはきっと強い魔女だ。とココアは(特に根拠はないが)信じている。
しかし、マスターの自分は非力で、足手まといだ。
自分がいては逆に戦いにくいから来るなと、そういうことなのだろうか。ココアは不安になり尋ねる。
マズルカは思う。
きっと2人がココアを置いていったのは、ピーターとグリーンゴブリンの因縁とか、
一般人の少女を危険に晒したくない気持ちとか、色々あるのだろうが…。
一番の要因は、ココアの「心」が戦いに向いていない。そう思われているのだろう。
マズルカはフルネラ型人形を一体、人形兵を数体召喚してココアに会わせる。
外見は人間と変わらない人形達…。特に外見が幼く可愛いフルネラ型(根っこの性格はともかく…)にココアは目を輝かせる。
彼らはマズルカに忠実な人形達だが、心の無い存在ではなく、生物と殆ど変わらない存在であることを伝えた。
そしてココアに、自分が元の世界でどのような戦い方をしていたかを語る。
必要なら人形兵の捨て身の戦術や、生贄を使う自爆技も躊躇なく使ってきたこと。
オオガラスの手先と戦うため、今まで何百体もフルネラ型を生み出して戦わせ、死体の山ができたこと…。
そして、自分にはこの戦い方しかできないこと。
自分と戦いに赴くなら、人形兵達が傷つき倒れても、気にしてはいけないこと。
真剣なマズルカの話をココアは身を震わせながら聞いていた。
*要路歴程には魂が込められてないけど人形兵自体は人形素体を核とした魔法生物(マナニア)で厳密には人形ベースの生物に近い
要路歴程の魂の有無は艦これで例えるなら指揮官が自我のある人間かAIかみたいな違い。
個々の性格がある艦娘はどっちが指示しても忠実に動くけど人間(魂あり)のほうが臨機応変で強い…みたいな感じ
と解釈してます。
*原作では人形兵に心はあるのかとかそこらへん全くノータッチだったんでぶっちゃけよくわからない。
(性格とかあるし戦闘中のボイスもあるし人形兵同士の好感度とかはある)
1585
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 16:54:47
>>1584
戸惑うココアにフルネラや人形兵達は「マズルカを信じて忠誠を誓っているからこそ捨て身の行動や自爆も出来る」と説明した
自分達を気に入り、心配してくれるには感謝する。だからこそマズルカやココアの役に立ちたい。
それがマズルカと人形達にとっての絆だ。
「……それがルカちゃんやフルネラちゃん、人形兵さん達の繋がりなんだね!」
誇り高きドラゴン使いと彼に仕えていたロボットを思い出す。
『見ておけ、ココア。これが決闘者の世界だ』
決闘者の世界。
それはあまりにも過酷なものだった。
オービタルはココアを守って死に、カイトも最期に銀河の如き煌めきを遺して散った。
しかし彼らは最期まで決して後悔していない。
『カイト様……。オイラの活躍、見てくれたでありますか……?』
『――よくやった、オービタル』
そういう絆もあるのだと、二人の勇姿が迷えるココアに道を示す。
だからココアはマズルカと人形達の在り方を否定しない。
カイトもオービタルが殺された時、闘志を燃え上がらせて切り札を放った。
オービタルを信じているからこそ彼の犠牲を無駄にせず、後へ繋いだ。
マズルカと人形達もきっと同じだ。悲しくても、苦しくても諦めずに前を向く。
それこそが――
「――かっとビングだよ、ルカちゃん!」
1586
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 20:28:31
>>1581
、
>>1582
一方、ピーターvsゴブリンは互角の勝負だったな
本来の状態ならばサーヴァントであるゴブリンが優勢になるはずだが、先の戦闘による負傷および魔力も大量消耗、なおかつ二重契約によって魔力供給量も減ったことにより弱体化
片やピーターは万全の状態であり、マズルカから人形兵の武器を借りているため英霊ゴブリンに対してもある程度ダメージを通せるようになっている(ただし英霊の持つ神秘が強い武具よりかは威力は落ちるが)
またピーターのゴブリンに対する怒りがいつも以上の力を出しているため攻勢側に立っているが、仮にも英霊であるゴブリンは弱っていてもピーターに討ち取る隙を与えず、一進一退の攻防が繰り広げられていた
ただし、今その場で戦っているのはその二人だけではない
戦闘の最中にピーターはスパイダーセンスを感じて緊急回避、飛翔する凶弾を紙一重で躱す
その攻撃は再契約により魔力不足から解消されたレジィが仕掛けたものである、こちらも供給不足により全力は出せないが多少は戦うことはできる
さらにピーターは追撃によってゴブリンから引き離されてしまう、それを為したのは医者であった
今の彼女なら疑似禁薬によって超人的なパワーを獲得している、もしピーターとタイマンするならば戦闘技術の差によって劣るものの攻撃面ではあまり変わりない
蹴り飛ばされたピーターがすぐさま起きると超人一人と英霊二騎、一対三という状況になっていた
※ピーターvs医者達三人となりましたが、三人側は弱体化の影響もあるため戦力バランスは不明、戦い方は色々とあると思います
※ピーターの装備は戦術甲(篭手)が有力候補、ウェブシューターに干渉しないようにカスタマイズしているかもしれません
※次点ではシノブシが持っているとされる短剣のようなもの、あるいはマーベル側が好きそうな刀を装備していそう(デップースタイル?)
1587
:
名無しさん
:2022/03/19(土) 21:52:04
>>1582
自分を取り囲むように展開された無数の赤い光を目撃した瞬間、セフィロスは迷わず片翼の天使を使用した
セフィロスはファイズのことを知らないが、これらを一撃でも受けたら危ういと戦士の勘が告げている
マスターには負担を掛けるが、まだキャスターと戦闘した際の傷が完治したわけではないこの状態で直撃を受けることは避けたい。だが流石のセフィロスでも通常の状態でこれだけの数の必殺を対処することは困難を極める
だが片翼の天使で機動力が上がったセフィロスならば話は別だ。
クリムゾンスマッシュのロックのほとんどを正宗で弾き、対処。一つだけ取り逃してしまい、ファイズのクリムゾンスマッシュを真正面から受けることになるが――正宗を叩き付けることでファイズとセフィロスの両者がダメージを受け、その衝撃で弾き飛ばされる。
『Time out!』
同時にファイズアクセルのタイムリミットが訪れ、巧は通常のファイズに戻ってしまう。
「そんなの、ありかよ……!」
仮面で隠れて表情こそ見えないが、巧はセフィロスの圧倒的な強さに驚愕していた。
まさかアクセルフォームがこうも簡単に対処されるとは思わなかった。
セフィロスも相応のダメージを受けているが、仕留めきれなかったこと自体が巧にとっては驚きだ
1588
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 01:59:23
>>1583
発着場に着いたチノ達だが、そこで思わぬ人物と出会う
正確にはホメロスとシャアが気付き、何故このタイミングでと思ったのだが
彼らを待ち構えていたのはムー島における統治者、国王ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタであった
1589
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 08:30:06
ムスカはあくまで聖杯戦争と無関係を装い、
外遊から帰ってきたら島で事件が多発している事に
心を痛め、各地で調査をしている部下や兵士達の元へ出向き報告を受けている最中だと告げた。
(ちょうどゴブリンの爆弾で破壊された船が発着場に引き上げられていた)
ちなみにエレンやマコトは霊体化している。
シャアとホメロスはレムリア島と事件解決のため協力するための調整、などのあらかじめ用意していた理由を述べた。
ムスカは2人を激励し、自分の部下達も調査の為に同行させるよう命じた。
少しばかり面倒なことになったと思いつつも、ここで断るのも不自然であるし、
ムスカ帰還の時期やイメージ映像の分布からも聖杯戦争とは無関係であると考え、申し出を受けた2人あった。
ちなみにチノは緊張していた。王様が目の前にいるので当然の反応である。
ムスカは優しい王様といった体で鷹揚に接し、その場は何事もなく3人(とサーヴァント達)は出航する船に乗った。
ムスカの部下たちは軍人数名と、大きな無線機を背負った通信兵である。
(民間レベルでは普及してないが原始的な無線技術は一応できていた。)
この部下達はムスカの命令に忠実な兵士であり、いわば密偵である。
指示があればホメロス達を襲う事も辞さないし、草加の念話ではわからないレムリアの情報を把握したりするのに活用しようと考えている。
1590
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 09:07:57
>>1589
ムスカとしては自分がマスターであると名乗った方が円滑にバーンの情報を教えられるのだが、イメージ映像で残りのサーヴァント数やクラスが判明していることが彼の思惑を邪魔していた
しかし草加の連絡通り、本気で聖杯を狙っている連中よりも安心して手を組めそうだ
本気で聖杯を狙う連中は利害の一致で動いている関係上、仲間であろうが蹴落とそうとする者もいる。前回の聖杯戦争にもそういう輩は居た
逆にこういう善寄りの連中こそ自分が裏切られるリスクは低いだろうとムスカは考え、部下達には身を呈してでも三人を守るように伝えてある
そうすることで彼らから信頼を得て、バーン討伐のために自分が正体を明かした時に怪しまれないようにする
それにムスカとしてはバーンを倒すまでは部下よりもサーヴァントを使役出来るマスター達の方がよっぽど貴重で大切だ。
部下はいくらでも替えがきくし、彼らが束になってもバーンを討伐することは出来ないのだから
ちなみに明らかに場違いなチノに対して何も言及していないことを部下に問われるが、ムスカは適当に理由付けをする。
「きっと彼らが護衛しているのだろう。少女が一人でいるよりも軍人が寄り添っていた方がよっぽど安心だ。他人の意志に言及するなんて、野暮だとは思わないのかね」
1591
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 09:43:37
>>1587
オートバジンは多大な被害を受け、切り札のファイズアクセルすら対処された。
クリムゾンスマッシュを真正面から受けたセフィロスは負傷しているが、致命傷や深手を負わせたとは言い難い
片翼の天使で性能の上がったセフィロスが正宗で猛攻を仕掛ける。
巧もファイズエッジで対抗するが、剣士であるセフィロスには剣の技術が及ばない。そして単純なスペックすらもセフィロスに劣っている。
必然的にセフィロスがファイズを追い詰める形になるが、セフィロス側もクルーゼが消耗する。圧倒的な強さを誇るセフィロスだが燃費が悪く、マスターは魔力の消耗を強いられる。それが唯一の弱点だ
だがマスターの魔力が消耗しようともセフィロスは攻めの手を止めない。やがてファイズからベルトが外れ、巧は強制的に変身解除される。
勝った。セフィロスとクルーゼは勝利を確信し、巧に刃を向け――ライダーの姿が消えた。
いや、厳密にはライダーが謎の生き物に変身した。
予想外の展開にセフィロスとクルーゼは面食らうが、その瞬間にもウルフオルフェノク 疾走態と化した巧は行動を開始。クルーゼに攻撃を仕掛けるが、セフィロスが立ち塞がり正宗で受け止める。
咄嗟の判断で行動したセフィロスと先に動いた巧。この衝突の軍配はウルフオルフェノクに上がり、攻撃した勢いのままに拳を叩き込むと最後に強烈な蹴りをお見舞いし、セフィロスを吹っ飛ばす。
ちなみにセフィロスがクルーゼへの攻撃を防ぐことを想定して巧は動いていた。巧本人の性格上、マスター狙いは気が進まないが今回はあくまで敵に有効打を与えるためだ。
『おいピーター。こいつを……フォーリナーを倒すには奥の手を使うしかなさそうだ。……俺はどうすりゃいい?』
巧の念話に対してピーターは令呪で回答をする。全力でフォーリナーを倒せ、と。
巧の肉体に力が漲る。それは何故かピーターの令呪だけではなく、亡き木場にも力を与えられているような感覚だった。
「きっついなぁ、お前らの期待に応えるのは……」
フォーリナーをなんとかしなければグリーンゴブリンを倒すどころではない。ライダーが倒された瞬間、追い付いたフォーリナーによって均衡は崩されるだろう。
「……でも、いいぜ。俺がこの聖杯戦争(ひげき)をハッピーエンドに変えてやるよ!――変身!」
セフィロスが戻ってきた時、そこには赤いファイズが立っていた。
闇を切り裂き、光をもたらす救世主。ファイズ ブラスターフォーム――これぞ乾巧の全力を出した姿だ。
対するクルーゼも即座に令呪を使う。目の前のライダーを倒せ、と。
互いに令呪のブーストが掛かり、条件は五分五分。この場にライダーのマスターは存在せず、ライダーもクルーゼを狙う気はない。
サーヴァント同士がぶつかり合い、最後まで立っていた方が勝者だ
1592
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 09:45:20
>>1250
ブラスターフォームへの変身によりファイズはパワー・防御・火力が向上し、アクセルフォームほどのスピードは出なくともセフィロスの攻撃に対応して応戦している
セフィロスは魔術を交えつつ片翼の天使により攻撃性と機動性が向上し、凄まじい火力を放つファイズブラスターにも対応して全力で挑む
互いに負傷し令呪も使い、戦闘においても互角である、ゆえに熾烈な戦いは膠着し数分が過ぎる
やがて互いの距離が離れて一呼吸ついたところで、一気に決着をつけるべく互いの魔力が上昇する
これ以上決め手に欠けたまま戦い続けてもマスターに負担を掛けるだけ、なので一気に敵を討ち取るべく必殺技を繰り出す
飛行能力を得たファイズブラスターは上空へと舞い上がり、そこから急降下して超強化クリムゾンスマッシュを放つ
一方、地上にいるセフィロスは居合いの構えをとり、クリムゾンスマッシュが目の前に迫った瞬間を狙って虚空を斬った
ファイズの周辺には濃縮フォトンブラッドが放出され、渦を巻きながら拡散される飛翔の蹴りは通常版よりも更に強力な破壊力をもたらす
その力の奔流は周囲の建造物をも破壊してしまう程に有り余る代物であり、たとえセフィロスが必殺技の打ち合いをしていてもそれを打ち破り彼を貫いていただろう
だが、この時セフィロスは宝具を開帳し、『悍ましき熾天の彼方(スーパーノヴァ)』を放っていた
その結果、仮面ライダーファイズはいつの間にか宇宙空間に放り出されており、彗星のような破壊天体によって数々の惑星が破壊される様を見せつけられる
さらに星喰いの流星は終息地である恒星、灼熱に満たされた太陽のような輝きの中に消え、続けて宇宙を破滅に導く超新星爆発が発生して観測者をも光の中に呑み込んだ
――むろん、この光景は人間という小さな視点では観測不可能なものであり、宝具によって歪曲された認識への暴力である
だが、自身のスケールを超越した超常現象を突如見せつけられた被対象には、そのような解釈を想起させることなどほぼ無理であっただろう
ともあれ、二騎の英霊が互いの奥義を放って交差した後に勝負はついた
普通なら死んでいてもおかしくないセフィロスが整然とした状態で立っており、数々のオーバーフローを起こし霊核を損傷した仮面ライダーファイズが膝を突いた後に地面へと倒れ伏してしまった
※自分的にはライダー・乾巧が脱落するつもりで書いています
※ファイズ未把握なのでググって設定を読んだり動画で必殺技を確認しましたが、ブラスターの超強化クリムゾンスマッシュだと円錐状のポインティングマーカーで目標をロックオン&拘束するかどうかを把握しきれませんでした
軽く映像を見ただけではロックせずとも攻撃していると判断して今回の内容で書きましたが、もし違っていたら修正します
1593
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 09:49:03
>>1592
倒れ伏したファイズを一瞥するとセフィロスはピーターを対処するべきか気絶したクルーゼを抱えて撤退するべきか迷う。
セフィロスという規格外の存在は顕現しているだけでも魔力の消耗が激しい方なのに全力でぶつかったのだ。キャスター戦に続きまたしても気絶するのも仕方なく、セフィロスはそこを責めたりはしない。
とりあえずセフィロスはその場を去ろうとするが
「……どこに行くんだよ」
ライダーに声を掛けられた。
オーバーフローして倒れたはずの男が気力だけで再び立ち上がり、流石のセフィロスは驚く。
もしも木場勇治が脱落していなければ。ピーターがグリーンゴブリンを討伐しようとしていなければ。きっと巧はこのまま退場していた
だが木場が死に、ピーターの覚悟を見てしまった。ならば自分はここで引くわけにはいかない。
巧には背負っているものがあり、それが彼を強くする。先程の宝具を巧の精神力はギリギリのところで耐え切ったのだ
このまま楽に死なず、自ら率先して痛みを背負う彼を。希望という病に蝕まれてるライダーの姿をセフィロスは感慨深く見つめた
『……俺の方はそろそろ限界だ』
しかし巧はこの状況でセフィロスに勝てると思うほど、楽観的でもない。消耗し切った彼に勝つ手段は残されていない
『最後に令呪で俺に力をくれ。……こんな身体でも、時間稼ぎくらいは出来る』
ピーターはライダーの脱落がほぼ確定していることに歯噛みするも令呪を二画使う。まだ死なないでくれ、と。
自分が要求していた令呪とは違う内容に巧は笑った。ああ、こいつはそういう奴だったな……と。
自分も願いがあるのに聖杯を狙わず市民を守る。そんな心優しい男を巧はこう呼ぶ。
『お前みたいなやつをヒーローって言うのかもな』
――ヒーロー、と。
そして巧はセフィロスに食らいついた。勝ち目のない戦いだが、幸い負傷は多少マシになった。ピーターがグリーンゴブリンと決着をつけるまでくらいの時間稼ぎは出来る。なるべくピーターに負担を掛けないために、魔力の消耗は最低限にするつもりだ。
セフィロスはライダーの覚悟を認め、この場に留まると正宗を構えた。
度重なる魔力の酷使やマスターの状態を考慮して片翼の天使は使わない。だがそれでもライダーとフォーリナーの差は埋め難く、ほぼ間違いなくライダーは負けるだろう。
そんなこと巧はわかってる。それでも仲間のために勝ち目のない戦を再開させるしかない。
「俺の名前は乾巧。聖杯戦争らしく夢を言うなら……そうだな。世界中のみんなを幸せにすることだ!」
ライダーの名乗りに対してセフィロスも自分の真名を教える。それは強者の余裕か、はたまた戦士として多少はライダーに敬意のようなものを示したためか。
大前提としてライダーが今から自分に殺されるということも大きいが、もしかしたらセフィロスは乾巧という男を多少は認めたのかもしれない
そして彼らの他にも戦闘音を聞き、駆け付けた者がいる。草加雅人だ。
サイドバッシャーに跨っていた彼は、乾巧とフォーリナーの姿を視認すると付近に隠れて様子を眺めた。
あの薄汚いオルフェノクは相変わらず綺麗事を垂れ流しているようだが、あの様子では脱落も近いことを草加は察している。それでも最後まで彼の最期を見届けようとしたのは、腐れ縁だからか。はたまた乾巧というオルフェノクの死に様を拝みたいからか。
もちろんフォーリナーの情報を知りたいということもあるが、それよりも乾巧の存在に気持ちが沸き立つ
※乾巧の脱落はほぼ確定ですが、ピーターが決着をつけるまではセフィロスを食い止めることでしょう
※最後に草加が出てきたのは巧が死ぬ時にちょっと絡みを入れたいから。お互い認知せず、絡みもない状態で巧脱落はちょっともったいないというのもある
1594
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 10:48:47
>>1586
三対一という不利な盤面で戦い続けるピーターだったがライダーが対峙している相手はかなりの強者であり、宝具の解放と令呪の使用をしなければならないほどであった
そして度重なる宝具の使用により発生する魔力消費はピーターの消耗を著しく起こす
戦い方をある程度把握してるグリーンゴブリンはともなく他2人の戦い方はあまり情報がない状況
均衡は確実に傾きつつあった
1595
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 11:11:25
スーパーノヴァさえ食らわなければたっくんはセフィロスに勝ち目あったんだがなあ
クルーゼはこの戦いで令呪一画使っても魔力切れに陥ったし、ブラスターモードで持久戦を強いれば撤退には追い込めただろうに
ただその場合はピーターの魔力切れがもっと早くなるんでグリーン・ゴブリン達との戦いの結果も変わっただろうけど
1596
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 15:40:20
>>1594
自分の体力が著しく消耗し、メイおばさんに続いてライダーまで失うことが確定してピーターは焦りから医者に標的を変えようか悩む
相手はサーヴァントだ。マスターさえ仕留めれば勝ったも同然。マスターを狙えば他のサーヴァントは間違いなく魔力の消耗も惜しまず本気でカバーに入るだろうが、焦燥感からそこまで考えが及ばない
そうしている間にも追い詰められていくピーター
『お前みたいなやつをヒーローって言うのかもな』
だがライダーからヒーローと呼ばれて、ピーターは冷静さを取り戻す。
今までグリーンゴブリンに対して頭に血が上っていたが『ヒーロー』として彼だけでも道連れにすることに決めた
他二人に対してはスパイダーセンスを駆使した回避に専念し、グリーンゴブリンのみを一点集中して狙う
1597
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 15:42:49
グリーン・ゴブリンだけを狙うことを決意したピーターだったが、他の2人の攻撃を掻い潜りながらグリーン・ゴブリンを狙うのは並大抵のことではない。
追い詰められるピーター。
その時、周辺に魔力のある弓が数本降ってきた。
戦っているピーターと巧を助けようとココアが決意し、マズルカと共に馬車小屋で向かっていた。
そして射手(マッドラプター)の人形兵達が矢を放ったのだ。
しかし、その弓は戦闘中の4人とはやや離れたところに降り注いだ。
この時、ココア達は馬車小屋を(これも宝具の一部である)馬に引かせて戦闘の現場に向かっていたが、
まだその距離は数百mほども離れていた。
マッドラプターはボウガン状の武器を使用する。
ボウガンや弓の武器の特徴として、有効射程距離に比べて飛距離が非常に長いというものがある。
実際に動く的を狙い撃てる有効射程距離に対して、斜め45度で大きく弧を描いて飛ばせばその十倍の飛距離を叩き出せる。
当然、ここまで距離が離れている上に、走行する馬車の上からの射撃、更に曲射ではたとえ今が昼間だろうが当たるものではない。
弓兵のサーヴァントならもしかしたらそれでも可能なのかもしれないが、マッドラプターはたかが人形兵でしかない。
だが、マズルカは初めから当てるつもりはなかった。
これはあくまでピーター達と闘っている相手に対する威嚇やプレッシャー、そして彼らに加勢に向かっていると知らせるのが目的であった。
自分の存在を知られることで不意打ちのチャンスを失ったり、自分達の方に敵が向かってくるリスクもあった。
しかし、暗いうえに遠すぎて豆粒ほどにしか見えないが、飛び回るピーターとグリーンゴブリンのグライダーの炎などが見えたマズルカは
たとえピーターが強くともサーヴァントとサシで戦っている状況だとしたら長期戦は分が悪いと考え、遠方から牽制の弓を放ったのだった。
医者たちは数の優位があるとはいえ、あまりに消耗が激しい。
機動力に優れるピーターをこの場で瞬殺はできない。手間取っているうちに他のサーヴァントと戦ったら敗色は濃厚である。
真っ先にグリーン・ゴブリンがグライダーを具現化して逃げようとしたが、ピーターはそれを見逃さなかった。
ウェブシューターから発した糸を空中のグリーン・ゴブリンのグライダーに巻き付けた。
そして糸が引き千切れるまでに、まるで凧揚げのように空中で振り回し、本来は当たる筈のなかった降り注ぐ矢に当てることに成功。
当たり所が悪かったのかグライダーが破壊され、グリーン・ゴブリンは落下した。
グリーン・ゴブリンがグライダーを放棄して地面に着地した時にはレジィと医者は既に遠くへ離脱していた。
レジィは「アルターエゴを攻撃してはならない」「謀叛を懐いたら自害せよ」と令呪で縛られているが、
このグリーン・ゴブリンを見捨てる行動はレジィが攻撃しているわけではないし、
生命線であるマスターを守るという行動が謀叛になる筈もない(とレジィは認識している。)
横槍を入れていた2人が離脱し、ピーターと、グリーン・ゴブリンの一騎打ちが再開した。
1598
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 16:45:45
>>1597
矢を放つ新手の敵、たぶん日中に戦ったであろうキャスター・マズルカがこの戦場に接近していると感じ取るセフィロス
そしてアルターエゴを置いて退却する様を確認して、セフィロスもまたこれ以上の戦闘より撤退を決める
幸い、一時的な魔力の過剰供給により少しだけ気絶していたクルーゼも微かに意識を取り戻し、彼もまた継続は厳しいと考えて撤退を選択する
セフィロスとしてもライダー・乾巧とは最後まで決着を着けたかったところだが、状況がやむ負えない
ゆえに、再起したファイズと戦っていたセフィロスはピーターの方に向けて刃状の衝撃波を放つ
ピーターはアルターエゴに集中している、たとえスパイダーセンスでも躱しきれない程の複数の刃が瞬時に迫る
その攻撃はピーターに届く前に、ボロボロのファイズが身を挺してマスターを守りきった
これは先ほどオルフェノクになった巧がクルーゼを狙った事への意趣返しでもあり、そう行動すると信頼していたセフィロスはすぐさまクルーゼと共に戦場から離れた
1599
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 19:52:58
>>1598
医者達が逃亡する様子を見ていた草加は彼らが向かった方角をムスカに報告。レムリア島に密かに忍ばせていた部下に追跡させる。彼らが潜伏する場所を特定出来れば幸い。もしそれに失敗しても部下なんて所詮は捨て駒だ。草加やムスカにとって彼らの命なんてどうでも良い。
そしてセフィロスの強烈な攻撃によりファイズの変身が解除される。
ピーターの動きが一瞬だけ止まり、その隙にグリーンゴブリンは逃げようとするが何者かが乱入して彼に殴り掛かった。
予想外の一撃を受け、吹っ飛ばされたグリーンゴブリンはファイズと似た紫の戦士を睨み付ける。巧は自分がよく知る仲間の復活に目を見開いた。
「草加……!おまえ、どうして……」
「あの世から蘇ったのさ。……まさか君が聖杯戦争に参加しているとは。因果のようなものを感じるよ」
「お前のことだ。どうせ俺達を助けに来た……ってわけじゃないんだろ?」
「その通りだ、乾。俺は別に君を助けに駆け付けたわけじゃない。乾のマスター、この怪人は君の敵だろう?」
草加は地面に転がるグリーンゴブリンを乱暴に掴み、ピーターへ向けて投げつける。
ピーターは僅かに困惑するが「俺達のことは気にするな。戦え、ピーター!」とライダーに背中を押されグリーンゴブリンとの戦闘に集中する。
巧と草加が知り合い同士で争いそうでもないと判断しての行動だ。
「それでお前は何しに来たんだよ」
「今から死ぬ君には関係ない……と言いたいところだが、冥土の土産に教えてやる。ただの観戦だ」
「観戦なんてして何の意味があるんだよ」
「この聖杯戦争に潜む黒幕を倒すためにもフォーリナーのことを観察していた。ま、今から死ぬ君に教えても無意味なことだが」
巧の消耗はあまりにも激しい。このまま放置しても確実に死ぬ。
だから草加はグリーンゴブリンとピーターの戦いを眺めながら、死にかけの巧と会話をしていた
「黒幕だと?そんな奴がいるのかよ」
「ああ。大魔王バーンというやつが、この聖杯戦争の黒幕だ。俺は真理のためにあいつを倒す」
園田真理。巧と草加の共通した知り合いであり、草加が愛する者だ。
「真理もいるのかよ」
「君にそこまで教える義理はない。それにしても惨めな末路だなぁ、乾」
草加は巧の最期をほくそ笑むと彼の近くに落ちてたファイズギアを回収。新たな道具が手に入ったとムスカに連絡する。
「そうかよ。……俺はお前やあいつが平和を守ってくれるなら、それで良いと思ってるけどな」
草加の性格はよく知っている。だが彼が黒幕を倒すと言うのなら、このままファイズギアを託しても良いと思った。
大魔王バーンがどういうやつなのか。真理のためというのがどういう意味か理解出来ないが、草加の表情は真剣そのもので彼をよく知る巧から見ても本気でバーンを倒そうとしているのが伝わった
それにピーターというヒーローもいる。あのヒーローならきっとグリーンゴブリンを倒し、平和をもたらしてくれるだろう。
「協力してくれたことには感謝するよ。じゃ……後は俺に任せて、君には死んでもらおうかな」
「相変わらずひどいやつだな、おまえは」
以前と変わらぬ憎まれ口を叩く草加に巧は内心、少しだけ安心したような気がして。
「……もう死ぬなよ、草加」
最期にかつて失った仲間を想いながら、夢の守り人はその命を散らした
「君に言われるまでもないさ。俺は今度こそ生きて、真理を手に入れる……!」
自分と腐れ縁だったオルフェノクが消滅し、草加はその最期を見届けた
【乾巧(ライダー)@仮面ライダー555 死亡確認】
1600
:
名無しさん
:2022/03/21(月) 21:00:11
ピーターとグリーン・ゴブリンの最後の戦いが始まった。
ピーターは宿敵をこの場で全力で倒すために突っ込んでいく。
グリーン・ゴブリンも逃げようとうすればどうせ乱入者の男(草加)に捕まると一瞬で判断。
この場でピーターから殺す方針に切り替える。
第一手
ピーターはスパイダーウェブを周囲の木々に貼り付け高速でゴブリンの元に跳躍。
すると墜落していたグライダーが、ゴブリンの遠隔操作によって方向を変えて銃撃を放った。
ピーターは左手に装着していた戦術甲(篭手)でこれをなんとかガード。
弾を打ち尽くしたのか魔力切れか、グライダーは停止したが攻撃を受けた戦術甲は砕け散ってしまった。
第二手
ゴブリンはグローブから高圧電流を発射しようと指をピーターに向けるが、
その一瞬前にピーターが投擲した短剣がゴブリンの手ごとグローブを貫通し、ショートした。
ゴブリンは呻きながらも短剣を抜き取り、ピーターが拾えないよう遠くに投げ捨てる。
これでピーターがマズルカから貰った武器は全て失われてしまった。
第三手
ゴブリンは対抗手段が無くなったピーターにトドメとばかりにパンプキンボムを投げつけた。
ピーターは防御もせず、後退することもなく、とにかくゴブリンの元へ飛んだ。
ボムを紙一重で躱して追い抜いた次の瞬間、背後でボムが爆発し、スーツ越しにピーターの背中を熱と衝撃が襲う。
その爆風の速度まで乗せてピーターはゴブリンの元に到達する。
第四手
ゴブリンにとってここまで接近されるのは想定外で焦りが生まれた。
今までの疲労や魔力切れ間近ということもあり、サーヴァントとしての腕力だけでピーターを仕留めるのは最早難しい。
負傷していないほうの腕をピーターに向けて有毒ガスを噴出する装置を起動した。
ピーターは噴出直前にゴブリンの腕を掴んで違う方向に向けた。ガスがあらぬ方向へ噴出される。
しかしこれは直撃を免れたというだけ。数秒もすればガスが一帯に充満してピーターは意識を失うだろう。
第五手
ピーターは掴んだ腕を全力で振り回してゴブリンを投げ飛ばした。
ゴブリンは超人的な身体能力を持つが体重が数十トンもあるわけではない。
超人的なパワーを持つピーターなら投げ飛ばすことは可能だ。
ゴブリンは内心でせせら笑う。自分から詰めた距離を離すとはバカな奴だ。
しかしその直後ピーターの狙いに気付いた。
それとほぼ同時だった。
墜落したゴブリンのグライダー。魔力で構成されている、その鋭角に尖った機体に腹を貫かれた。
気付いた時には既に遅し、グライダーの実体化を解く暇もなかった。
*グリーン・ゴブリンは大ダメージを受けました。令呪もなく、間もなく霊基消滅するでしょう。
1601
:
名無しさん
:2022/03/23(水) 11:34:06
>>1600
グライダーの仕込みカッターに貫かれたグリーン・ゴブリンの断絶魔の叫びが大きく響く
連戦による魔力不足やマスターからの魔力供給が滞り、この一撃によって霊基維持の限界に達してしまった
その様は、生前にスパイダーマンを騙し討ちしようとして躱された挙げ句自身に凶刃が突き刺さった時と同じく
最後まで足掻こうとしていた身体もすぐに力尽きてしまい、輝きとなって崩れ落ちる寸前、それはノーマンの表情で一言だけ呟いた
“本当に、すまない…ピーター……”
こうしてアルターエゴの霊基は消滅した
ノーマンが最期に残した言葉の意味は何なのか、誰にも計りかねない
なぜなら、ノーマンとピーターは異なるマルチバースの出身であるため、「メイおばさんを殺した」という出来事を共有しているとは限らないのだ
特に、ノーマン側は覆面状態で目の前にいるスパイダーマンが別宇宙のピーターであることを気付いていない可能性もありえる
あるいは、時空を超えたそれらの記憶も英霊の座に記録されているならば――なんであれ、やはり最期の言葉については、その真意は誰にも分からないことだ
それでも、その言葉を聞いてしまったピーターの心境はとても複雑であった
本来ならば、凶悪な人格に蝕まれたノーマンを助けたいと思って彼と関わったのだ
それを裏切られて、愛する人を奪われて、復讐心でここまで頑張ってきたが、事が終わった後には達成感も薄く空しさも感じていた
結局、彼を助けるどころか感情的に倒してしまい、挙げ句失われたものの多さに今更ながら気付き、ピーターの心が晴れることなどあり得なかった
【ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン@スパイダーマン(ライミ版) 霊基消滅】
1602
:
名無しさん
:2022/03/23(水) 13:27:45
もしたっくんがセフィロスに食い下がれていればクルーゼ組に悠々と撤退させることは無かっただろうけど、そうなると今度はピーターが魔力切れでグリーン・ゴブリンに押し切られてただろう
どちらにせよたっくんの消滅は避けられない状態だったけどマスターだけでも生き残らせる展開にはなった
幸か不幸か草加が接触したけれど……
1603
:
名無しさん
:2022/03/23(水) 22:58:23
戦闘から離脱した医者とレジィ、クルーゼとセフィロスは太陽が昇る前に再び出会った。
医者はとにかく離脱を優先して距離を稼ぐことを優先していたが、
クルーゼとセフィロスの軍人と武人のコンビが撤退しながらも医者の逃走ルートを予見して先回りしていた。
レジィもそれに気づき、警戒しながら医者と一緒に接触する。
疲弊したクルーゼ達にも医者達にも戦意は無く、
同盟の確認と今後について話し合うつもりだった。
知っている主従についての情報交換や自分達を敵視しているであろう敵への対処など、
今後の方針を話し合い、その場は解散した。
クルーゼは今にも倒れ込みそうなくらい消耗しているのだが、表面上は全くそんな素振りを見せなかった。(医者には気付かれていたが)
離れていくクルーゼとセフィロスの背を眺めながら医者がレジィに語りかける。
「キャスター。」
「どうした。」
+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜
「そのマスターを殺しなさい!」
「わかった!」
医者の指示でキャスターが攻撃を放つ!
「なっ貴様ら裏切ったな!フォーリナー!」
クルーゼは動揺し、フォーリナーが実体化してレジィの猛攻撃に対処する。
フォーリナーとクルーゼの距離が離れた途端、医者が強化された身体能力でクルーゼに肉薄した
「な、なんだその速さはぁ!ぎゃぼ!!!!」
人間離れした医者のスピードにクルーゼは何もできず首をへし折られた
「貴様らぁ!!よくもマスターを!!」
「おっと!」
怒り狂うフォーリナーだがマスターが死んだことでどんどん力が抜けていく。そこにキャスターが追加の攻撃を加える!
「ぐあああ…こ、この私がこんな醜態をおおお…」
倒れ込んだフォーリナーをいたぶるように攻撃!攻撃!攻撃!
フォーリナーはただ転がって呻くしかできない!
あんなに強かったフォーリナーもこうなってしまってはどうにもできない。
そんなフォーリナーに医者は消えたくなければ自分のサーヴァントになれと告げる。
フォーリナーは歯噛みしながら医者に忠誠を誓うのだった。
強力なサーヴァントを2体従えた医者。勝利の前祝いのように頭上の雲が割れ差し込んだ光が彼女を照らす。
どこからともなくファンファーレが鳴り響き、グライダーに乗ったグリーンゴブリンが頭上で紙吹雪を撒いていた。
+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜+゜*。:゜
「……っ?」(今のは…何?)
「おい?」
既にクルーゼの背は遠く、小さくなっていた。怪訝な顔をするキャスターに医者は応じる。
「…昨日から連戦続きで消耗が酷いし、眠いわ。とりあえず寝床を探しましょう。」
(…白昼夢?昨日から碌に寝ていないのが祟ったのかしら…。医者の不養生で敗退なんて笑えないわ。一旦休息を取りましょう。)
医者はグリーンゴブリンに宝具にもなった禁薬の作り方や化学式を教えてもらい、科学的に調合して擬似禁薬を作り出し、自分に注射した
この中世的な天空都市という環境では、オリジナルの禁薬には遥かに及ばない劣化版しか作れないが、それでも喧嘩宿や殺人鬼、処刑課などの超人達に匹敵する身体能力を獲得した
元の世界の超人達のような格闘術や殺人術までは模倣できないので直接の殴り合いには彼らに一歩劣るが、それでも強者相手に対応できて殺人医術を使える医者へとグレードアップした
ちなみに元の禁薬だと凶悪な二重人格が生まれるはずだが、劣化版だからか、あるいは元から凶悪な犯罪者であるアクダマであるからか、特に性格の変化は見られなかった
本当に?
* 擬似禁薬の副作用として医者の精神面に影響が出始めました
いきなり二重人格になることは(多分)ありませんが身体的・精神的にプレッシャーのかかる状況下で
普段のような冷静な判断から逸脱した行動をとる可能性が高まります。
(原因は時間がなく治研の不十分、
ここまで医者が自身の体力を消耗したり生命力と密接な魔力の消耗に追い込まれたコンディションを想定できなかった
グリーンゴブリンもわざわざリスクを説明しなかった等が考えられる)
1604
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 01:36:59
>>1601
グリーンゴブリンが消滅したのを確認して、草加はピーターに駆け寄る。
「君が乾のマスターか。まさか彼がここで死ぬとは……本当に残念だよ」
厄介な敵が減ったことに内心喜ぶ草加だが、表面上は巧の死を惜しむような演技をする
その表情は本当に巧の死を悲しんでいるようであり、ピーターは彼を疑わなかった。実際巧の死には多少思うところもあり、それが草加の演技をより精巧にしていた。
ちなみに目先の敵よりも巧を看取ることを優先した件についてピーターは何も言及しなかった。知り合い同士で最後に何かを語らったのだろうと納得している。
「この形見は俺が貰ってもいいかな?乾のやつに、託されたんだ……」
草加が回収したファイズギアをピーターに見せる。
ファイズブラスターやファイズアクセルは巧と共に消滅してしまったが、予備のベルトを持っておいて損はない。無論、他人にカイザギアを渡す気はないが万が一のことがある。ファイズやカイザは多少ベルトが外れやすいという弱点も草加は熟知していた
それから二人は互いの情報を交換し、暫くするとココア達もやってきた
1605
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 05:43:21
四日目の深夜、詳細不明の場所
そこは神殿のような石造りの構造物の内部であり、複数の光源が灯る厳格な聖域のようにも感じられる場所だった
中央には魔法陣によって封じられた大魔王バーンの巨躯があり、その近くには台座とチェス盤らしき物が置かれている
8×8の市松模様のような盤面は同じなのだが、チェスの駒々とは違い聖杯戦争に召喚されたクラスを模した駒が置かれている
それは以前に大魔王バーンが用意した魔導具であり、彼が封印された後でも聖杯戦争の進行に合せるように駒を動かす術式が組み込まれていた
現在、盤外には倒された駒が8騎、盤上には現存する駒が8騎が残っているが、やがて盤上の駒が2騎、ライダーとアルターエゴの脱落に呼応して盤面の外へとはじき出された
その瞬間から、大魔王バーンの封印に変化が生じる
脱落したサーヴァント9騎分の魂、その膨大な魔力がバーンを封じる魔法陣に干渉して徐々に消し去る
さらに1騎分の魂は何処かに隠されている聖杯へとくべられて、ここから本当の聖杯戦争が開幕する
※バーンは即座に解放されてもいいし、朝や昼になるまで徐々に解けていくでもいいです
※封印が解かれた後はリレミトで野外に出て、ルーラで要所に移動するかもです
1606
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 07:56:24
たっくんは知らないけど木場の仇をピーターが討ったんだな
ついに一度も会うことなく退場した二人だけど奇妙な縁を感じる
1607
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 10:12:55
セフィロスと巧の戦いを眺めてた草加はクルーゼがフォーリナーのマスターだということやフォーリナーの真名がセフィロスだということもムスカに伝えていた
ちなみにクルーゼという名前までは草加に特定出来なかったが、特徴的な仮面のせいでムスカによってすぐに特定された
1608
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 10:13:28
草加からライダーとアルターエゴの脱落を聞いたムスカは高笑いしていた
これで一気にサーヴァントは減り、バーンが復活する頃合いだ
これで計画の第一段階は完了した。
後はバーンを倒すのみだが、ほとんど傍観していただけの第一段階と比べてかなりの苦戦を強いられるだろう
ムスカは護身用に部下を引き連れ、レムリア島に向かった。自分だけここに留まりバーンからマスター狙いでもされたらたまったものではない
1609
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 11:35:27
>>1608
はムスカがシャア達を見送った後の出来事でいいかな?
ライダーとアルターエゴの脱落は少なくとも日が昇る前だと個人的には認識しているが、草加側の事情で報告が遅れたってことかな?
もしくは自分の認識を改めてレムリア側の戦闘終了が朝方でもいいけど
1610
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 18:57:42
>>1608
を改変
先のイメージ映像から数時間後、まだ日が昇る前の暗い時間帯に草加からムスカへ念話による連絡が届いた
レムリア島での戦闘が終わりライダーとアルターエゴが脱落、戦線離脱した医者組とフォーリナー組の情報を伝え生き残った対聖杯の面々と接触した、と
この報告を聞いてムスカは高笑いしていた、これで一気にサーヴァントが減りバーンの復活が間近に迫った、とにかく計画の第一段階は順調に進んでいる
後はバーンを倒すのみだが、ほとんど傍観していただけの第一段階と比べてかなりの苦戦を強いられるだろう
ゆえに、大魔王バーンが動く前に自身も動く、ムー島内にいる主従三組のうち対聖杯側に接触しようと帰還を急がせた
そして朝、飛空挺の発着場に到着したところでホメロス達と遭遇する
幸運にも彼らが探していた対聖杯の集団であったため、自分の正体は伏せて彼らに取り入るように部下を付けさせた
そして彼らがレムリア島に向かった後、ムスカは独自に開発した新兵器を実戦投入すべく部下達に命じた
それらの積み込みが終わり次第、自分も護身用の部下を引き連れてレムリア島に急行する
1611
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 19:02:19
>>1590
三人はムスカの計らいにより船の中でも特別待遇の部屋を用意された。そこにはムスカの部下が誰一人入れず、多少は安心して気を休ませることが出来た。
これはバーン戦に向けてマスターやサーヴァント達を休ませるためだ。それに部屋にまで部下を同行させないことで自分が本当に善意から協力しているだけで何も企んでいないと見せ掛ける
ちなみにホメロスは国王から直々に激励されたことを多少は誇らしく思い、島を守ろうとより一層に気を引き締めた
1612
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 19:33:21
(医者 情報整理の幕間)
医者は横になり、眠りに落ちるのを待ちながら生き残った主従について考えている
何名かのサーヴァントはレジィやフォーリナー(セフィロス)の見立てて正体についても予測している
(バーサーカーとそのマスター、シャア。)
(レムリアの高官。巨人に変身する戦士の伝承。ハヤタ・シンというのがいるらしいけど…バーサーカーよりフォーリナーっぽいから違うかしら。)
(「元」指名手配犯のチノ・カフウとクリミナル…ある意味お似合いの主従ね。)
(criminal(犯罪者)のサーヴァントの癖にアクダマらしくないわね。
チノ・カフウは『マコトさん』と呼んでいた…深海マコトという英霊で間違いないでしょうね。)
(グリーン・ゴブリンを攻撃したアサシン。雲雀恭弥。並盛中学の風紀委員長。)
(ボンゴレ・ファミリーというギャングに所属する「雲の守護者」ね。全盛期が少年の姿というのは解せないけど。
マスターはあのサムライっぽい少年かしら。)
(同盟相手のクルーゼとフォーリナー。いずれ敵対した場合、サーヴァントの地力はもちろんマスターの地位も厄介ね…。
サーヴァントも長剣使いということしかわからないし。)
(クルーゼの消耗具合からして何か宝具を使ったんでしょうけど、私達はその場から逃げてたからね。)
(人形遣いのキャスターのサーヴァント。リマージュ・マズルカ・エルマ。
マスターの男を瀕死に追いこんだらしいけど、生きていたのか、マスターを替えたのか…。)
(ムーにいたらしい人形使いはコイツね。人形兵によるごり押しや兵種による多様な攻撃は厄介ね。
キャスター本体かマスターを狙うべき?)
(ステンカラーコートの男。こっちのキャスターが言っていた「カイザギア」本来の持ち主というのがブラフでなければ「草加雅人」ね。
…受肉した元サーヴァント。そんな存在がいるとはね。)
(アイツ!!!私を見下しやがった!!!殺してやる!!!)
(残ってるマスター…フォーリナーの戦ったライダーのマスター。
念話によると英霊としてのグリーン・ゴブリンの敵だったようね。あの力、下手したらサーヴァント並みに厄介ね。)
(殺す!!!!!!!草加雅人!!!!!!殺してやる!!!!!)
(あとはレムリアの軍人で、セイバーのマスターだったホメロス。こいつが今どうしているかは)
(殺す!!!!!!!!!!!!!!)
「黙れ!」
自分の怒鳴り声で医者は我に返った。
医者だって人間。
睡眠が不足すれば思考がまとまらず、寝ぼけて寝言を吐く事も有る。自然な現象だ。
医者は考え事を中断し、ただ無心に眠ることにした。
1613
:
名無しさん
:2022/03/24(木) 21:13:45
>>1607
クルーゼをマスターだと判断したムスカは思案する
彼はレムリア島で士官クラスの軍人だ。一国の隊長という地位は聖杯戦争では優位に働く。
今までならば大して気にしなかった。なんなら数を減らすために有用な存在だった。
しかしいずれ敵となることを考えるなら、そろそろ自分の権力や武力を利用して排除するべきだろうか?
どうせバーンと戦う時、彼らが率いる軍の雑兵程度では役に立たない。
それに草加から聞いた「乾巧」の性格を聞く限り、彼を殺したクルーゼはほぼ間違いなく聖杯狙いだ。
だが聖杯狙いにとってもバーンは邪魔な存在。クルーゼに連絡を取り、協力を申し出るという手もある
(* ムスカはムー島の王だが、レムリア島は別の国であるため直接的には干渉できない、という設定)
1614
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 08:36:33
>>1604
の続き (ちなみに
>>1556
で巧は草加のことについてピーター達には話してなかったので知らない)
(ルカちゃん。ピーターさん達は大丈夫?)
(マスター、まだ隠れてて。)
戦闘後のピーター達の元に馬車小屋でココア達がやってきた。
マズルカは御史台で前方の状況を把握しつつ移動、ココアは小屋の中にいる。
到着した時には戦闘痕だらけの場所にピーターと初めて見る男(草加)が残されていた。
先ほどの断末魔の叫びと状況からみてピーターと協力してグリーンゴブリン達を倒した…らしい。
ライダーは…と問うマズルカに、ピーターは巧の消滅を伝え、更に細かい状況を伝えようとしたが、
マズルカの登場に遅れて気が緩んだのか、気を失ってしまった。
これはスーツ越しかつ屋外で直撃は避けたとはいえ周囲にグリーンゴブリンが撒いた有毒ガスの影響が出ていたことや、
またパンプキンボムの爆発を背中から受けたダメージのせいであった。
マズルカは草加にピーターを助けてくれた事の礼を述べたが、
その後の両名の間には数秒、気まずい空気が流れた
一応ピーターと一緒に共闘したようだが、ちょうどここに来たマズルカにしてみたらいきなり生えてきた相手の正体も目的も何もわからない。
実体のある人間…のように見えるが、イメージ映像からの考察(
>>1572
)を元にすると消去法でココアを不意打ちしたキャスターのマスターではないかという考えすら浮かんでしまう
負傷しているらしい(
>>1578
)相手を疑うのは心苦しいが、ピーターと比べればピンピンしているようなので
ここは相手の正体は深く追求せず事を荒立てずにピーターを馬車小屋に詰め込んで治療をしつつ急いで距離をとることにした。
もしもピーターがもう少し起きて何か話していたらマズルカももう少し警戒を緩めていたかもしれない。
草加の方もいきなり初対面でこのキャスターの信用を得られるとは思っていないのか無理に距離を縮めようとはしなかった。
ただマズルカに対してこの聖杯戦争の黒幕は「大魔王バーン」である事を伝えた。
1615
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 09:00:56
>>1614
「君が俺を疑う気持ちも理解出来る。だが大魔王バーンには気を付けた方がいい。奴はこの聖杯戦争の黒幕だ。そして俺や君たちだけでは確実に勝てない」
草加がバーンのことを語る表情は真剣そのものだった
それはバッターを殺されてココアと契約する前、セフィロスだけでも倒してくれまいかと頼み込んでいたマズルカ自身と少し被る
だから草加自身はともかく、大魔王バーンの情報は嘘偽りない真実にも聞こえた。もちろん自分達だけでは勝てないという点も含めてだ。
そしてマズルカもまたセフィロスについて草加に教えた。
「フォーリナー、セフィロスか。そういえば乾を倒した男の姿も君の言うセフィロスの特徴と一致しているな。俺が駆け付けた時にはもう遅かったが……」
草加は悔しそうに歯噛みする。当然演技である。
セフィロスの戦闘を目撃して真名も聞こえたのに初耳のように振る舞うのも演技だ。セフィロスと巧の戦闘を観戦していたなんて言えば、間違いなく疑われるだろう。
「もし俺と手を組む気になったら連絡してほしい。もちろんセフィロスを倒すことにも協力するよ」
草加の言葉を聞いてマズルカはどうしようか悩む。
とりあえずピーターが気絶から目を覚ましたら、草加雅人について聞いてみようと思う。
ちなみに草加は信用を得るために真名をさも当然かのようにマズルカやピーターに教えている。
もしも巧が「グリーンゴブリンに似たやつが知り合いに居る」とピーターに伝えた時に草加の名前を出し、性格を伝えていたらここで彼の本性に気づけたのだろうが名前までは教えていなかったのでまだ誰も草加の本性を知らない
1616
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 20:15:57
「着いたぞ、ここなら少し落ち着けるだろう」
「ああ、すまない、少し休ませてもらう」
クルーゼはセフィロスに肩を貸してもらいながらとある一室に辿り着き、ひとまずベッドの上に腰を掛けて一息をついた
この場所はレムリア島にある軍管理下の収容所であり、先日の基地襲撃事件で大量に拿捕された半グレ達が檻の中に詰め込まれていた
先の戦場から退却して医者達と今後について協議した後、クルーゼ達はいつもの拠点としている基地ではなくあまり人に知られていないこの刑務所にやってきた
これでしばらくは他の主従と遭遇する心配は少なくなる、彼らもしばらくは休んで英気を養うことにした
ちなみにだが、この施設には自爆装置が仕掛けられている
表向きは囚人達の暴動が発生して収拾がつかないときの最終手段として用意されたものであるが、万が一に敵が襲来した時に起爆して返り討ちにするキルゾーンとして予め用意していた場所なのだ
たとえ爆発でサーヴァントを倒せなくても同伴しているマスターを巻き添えにすることは容易である、もしマスターが生き残ったとしても足止めには使えるため自分達の逃走時には何の躊躇いもなく起爆スイッチを押すつもりで前々から計画していた
だが、今のクルーゼはセフィロスの激戦により魔力および生命力を削られた状態であり、とてもそんな緊急時の事など考えている余裕はない
今はともかく休息と安全を第一に優先し、その時が来るまでは起爆させる事など考えていないでいた
さて、疲労感が身体に重くのし掛かり遂にはベッドに横たわったクルーゼは、超一流の戦士ではあるが魔力消耗の激しいセフィロスと今後の方針について軽く話し合う
彼が全力で戦い続けられれば優勝も容易く感じられるが、如何せん優勝までに自身の体が持たないとも感じていた
この魔力供給の問題を改善すべく、クルーゼはセフィロスに次のように指示を出してみた
「…ここにいる囚人達を、お前の魔力の糧になってもらおうか」
「つまり、“魂喰い”か」
「さすがに不服かな?」
「いいや、問題ない。マスターへの負担を減らすためにも、いくらか魔力を蓄えておこう」
「ああ、それで頼む」
「だが、看守達はどうする?」
「…やむを得ない、彼らも一緒に消えてもらおう」
「了解した」
クルーゼは自身の魔力とは別にセフィロスの魔力を増強すべく、もはや無用な存在である半グレ達を生贄に捧げることを画策した
ただし囚人達を血祭りにすれば当然看守達にもバレてしまう、そして外部に連絡されてしまうとと潜伏している身としては都合が悪い
なのでクルーゼ達は非情に徹する、使える駒であればまだしも戦況を変える要素にもなりえず自分達の不利益になりかねない少数を取っておく必要はない
こうして方針が決まった後にセフィロスは部屋から立ち去り、気怠さから抜け出せないクルーゼはベッドの上で休むことに専念し始めた
クルーゼは心を静めて身体を休ませようとするが、その意思に反して身体の方から強烈な信号が送られてきた
それは突然の発作であった、幾度と体験しても慣れることのない苦痛に悶え苦しむクルーゼは、携行していた薬を何とか取り出して口に放り込み、激痛が引くまで耐え続けなければならなかった
この発作はクルーゼの中に仕組まれた一種の呪いである
彼が元いた世界は遺伝子工学が発展しており、とある資産家が相応しい後継者を作るために生み出されたクローンがクルーゼの正体である
醜悪な理由によって歪まされた生を得たクルーゼは、しかし本来人に備わっている機能に欠落があり長くは生きられない呪縛に囚われてしまった
今しがた服用したのは細胞分裂を低減しテロメアを延長させ老化を遅らせる薬である
この薬はクルーゼの数少ない親友であるギルバートが提供してくれた物であり、これで朽ちていくしかない自分の命を今までなんとか引き延ばしていた
しかしこの世界にはギルバートはいない、そして手元に残っている薬は数日分しかない
つまりは彼が正常でいられるのはあと僅かな時間しかないのだが、その事についてはクルーゼは絶望感を抱いていなかった
なぜなら彼は、自分のような存在を作り出した人間や世界に対して絶望しており、それらに対して憎悪を抱いている
だから、クルーゼは残り僅かな命であったとしても聖杯を獲るために全力を尽くすつもりである、そのために今も感じる痛みも耐え抜き次に備えようとする
そうこうしているうちに発作は治まり、クルーゼもやっと楽な姿勢に戻れた
全身に湧き出た大汗が不快に感じるものの、それ以上に動こうという気力が全く起きない
だからこそ、今度こそ眠りにつくべく、クルーゼは少し前の事を夢想し始めた
シャア・アズナブル
ついこの間であったばかりの政務官であり、後に聖杯戦争のマスターであることがわかった男
この人物とは政治的な話であったり聖杯戦争について少しだけ言葉を交えたが、クルーゼはこの男に対して少しばかり興味を抱いていた
彼の声が親友に似ているのもあるが、あの好青年のような表情の裏には何か秘めている想いがあるとクルーゼは感じ取っていた
それが何なのかは分からない、それに今は敵対する可能性があるが、今一度彼の中にある何かを曝け出せないか、などと微かに思い始めていた
それと、バーサーカー
シャアの従者であり必要以上に喋ることはなく、そう何度も顔を合せることはなかったが、それでも彼の瞳はクルーゼにとってとても印象的だった
あれは自分に似ている、世界に絶望し、大きな決意を抱いて必死に努力を重ねてきた、それらを物語るような鋭い目つきを感じとれる
彼の真名は分からないためその詳細も分からずじまいだが、同じような憎悪を抱く存在との出会いはなにかしらの因果を感じずにはいられなかった
そして気付けば日がかなり昇っていた
いつの間にか眠りに落ちていたクルーゼは、いくらか気力を取り戻した体でベッドから立ち上がり、施設内にある通信室へと向かう
収容所は至って静かである、つまりはフォーリナーが全てを片付けた後なのだろう
これで魔力の補充ができたとクルーゼは思いつつ、通信機で基地本部に連絡を入れる
対応した者に事情(勿論カバーストーリー)を説明した後に島全体の状況について報告を受け、ムー島の密偵やムスカ国王からクルーゼ宛に通信があったことも聞く
前者はホメロス達が朝方飛空挺に乗り込みレムリア島へ向かった、その際に帰還したばかりのムスカ国王が彼らに接触したことも補足されている
後者については折り返し連絡が欲しいとのことで連絡先が伝えられた
この段階での王の帰還、およびホメロス達や自分への接触についてかなり思うところがあるものの、その本人から誘いに応じて直接連絡してみることにした
1617
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:52:37
>>1611
部屋の中で誓いのペンダントを眺めるホメロスを見て、マコト兄ちゃんは問い掛ける
「さっきから眺めてるそれは、お前にとって大切な物なのか?」
問いを投げ掛けられたホメロスはマコト兄ちゃんにかつての友であるグレイグ立てた誓いについて話した。二人で国を共に守ろうと誓ったことを。
しかし自分は迷走し、友とは道を違えてしまった。だがハドラーの影響で何か大切なものを思い出した、と。
「友か。俺にも大切な友がいる」
マコト兄ちゃんはタケルやアランのことを語る。
自分の妹のために自己犠牲を厭わない優しい男、天空寺タケル。
自分が迷走していた時、友への気持ちで。友情という心の力で新たな力に目覚め、自分を止めようとしたアラン。
「今の俺が在るのも、あいつらのおかげだ」
友想う故に、我あり。
マコト兄ちゃんとホメロスは互いの友を語り、認め合っていた。
そしてマコト兄ちゃんはチノを友と。ホメロスはハドラーを友のようなものだと語る。
皮肉な話だが、この聖杯戦争で友が出来た、と。
「私もライダーさんやおっこさんや炭治郎さん……そしてまりなさんやマコトさんと友達になりました」
チノの言葉にホメロスは謝罪する。
自分のせいで死んだ者も居るのだ。今となっては罪悪感がある
「……ホメロス。お前はハドラーの想いを繋ぐのか?」
マコト兄ちゃんの答えに対してホメロスは頷いた。
かつて友と立てた誓いのためにこの島を守る。ハドラーの想いはわからないが、出来るものなら多少は繋いでやりたいという気持ちもホメロスにはあった
1618
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:53:34
>>1614
ライダーの死を知ったココアは動揺した。
カイトの時とは違い、その最期の姿すら見届けず知人が死んだ。
乾巧という人間のことをココアはあまり知らない。カイトのように親しくなったわけじゃないし、決闘者として誇り高い魂を見せたわけでもない。
だがライダーは仲間だ。
知り合ってそれほど経っていないが、ぶっきらぼうで素直になれない……それこそ以前のチノと少し似ているような気がする。
急激に魔力を消費して弱っている自分やマズルカを回復するまで見守ってくれたのもピーターと巧だ。
『ココアとキャスターはここで待ってろ。グリーンゴブリンは俺達が倒す』
あの時の言葉は、もしかしたら彼なりにココアのことを気遣ったのだろう。
ぶっきらぼうな言い方で、当時は足でまといって思われていると感じていた。だが今思い返すと巧の表情には見覚えがある。――覚悟を決めた天城カイト。彼もまた、巧のような表情をしていた
『ココア。これから先、お前にはもっと過酷な試練が訪れるかもしれない』
「カイトさん……」
過酷な試練。
カイトの話していた言葉の意味が身に染みて伝わる。
ライダーは死んだ。どんな死に方をしたのかすら、わからない。もしかしたらカイトとは違い、悲惨な死に方をしたのかもしれない。
『どんな過酷な運命でも諦めるな。俺は残酷な運命に抗い、かっとビングで乗り越えた男を知っている!』
誰が死んでも、どんなことが起こっても。
ココアは諦めない。軽く頬を叩き、前を向く。
「チノちゃん、ルカちゃん、ピーターさん、カイトさん、オービタルさん、ライダーさん……」
愛する妹と、共に戦う仲間達と、かつてその命を散らせ熱い魂を託した決闘者と、命を懸けて自分を守ってくれたロボットと、ぶっきらぼうな正義の味方の名前を呼ぶ。
今思うとこの聖杯戦争で色々な人と出会い、別れてきた。
だからココアは彼らに向けて、こう口にするのだ。
「私、諦めずにがんばるね……!」
きっとカイトなら、どんな過酷な運命にも諦めないから。
残酷な運命に抗ったカイトの知り合いをココアは彼から話された情報しか知らないが――それでもココアは諦めないため、前を向くために魔法の言葉を声高らかに叫ぶ
「――かっとビングだよ、私!」
1619
:
名無しさん
:2022/03/25(金) 21:54:22
>>1611
「小動物。君はこの聖杯戦争で一番弱い」
「はい。その通りです……」
飛行艇の部屋の中で寝転びながら、雲雀はチノに言葉を投げる。
それはこの場にいる誰もがそう思っている事だ。チノはあまりにも弱い。だから誰も雲雀に言い返せず、チノが少しだけしょんぼりとする。
「小動物にも小動物の生き延び方がある。今も君が生きてるのが何よりの証拠さ」
雲雀はチノを決して見くびってはいない。
ここまで生き延びていることを幸運の一言で片付けるには無理があるし、彼女は彼女なりに聖杯戦争に向き合っていることも知っている。
香風智乃には沢田綱吉や竈門炭治郎のように戦う力がない。だが彼らと同じく不思議と人が集まってくる存在なのかもしれない。
現にチノは自分のサーヴァントであるマコト以外にも炭治郎やまりなから大切にされていた。
ライダー(木場)がチノを庇って死んだということも、マコト兄ちゃんから聞いた。
「小動物の生き延び方……ですか。私にはよくわからないです」
「誇りと覚悟。それが小動物達が生き延びるために必要なものさ」
「誇りと覚悟……」
「小動物。君だって誰にも譲れないものはあるはずだよ」
雲雀が風紀の二文字を誰にも譲らないように、チノにも譲れないものがあるはずだと雲雀は話す。
ちなみに雲雀や沢田綱吉も中学生だ。だからこそ雲雀は彼女に対して平然とこんなことも聞く。年下の少女扱いもせず、対等に接する。
「譲れないものですか……」
チノは考える。自分の譲れないものを。
昔のチノならきっと、ずっと悩んで答えを出せなかったかもしれない。大切な人に出会う前の、あのチノなら。
「ココアさんです。ココアさんだけは、譲れません……!」
迷うことなくハッキリとした口調でチノは大胆にも宣言する。
チノは誇りなんてそんな立派なものを持っている自信はない。
だが譲れないものが誇りと雲雀から聞き、すぐに答えは出た。チノにとって譲れないものはココアだ。大切な友達で、お姉ちゃんだ。
「ふうん。……あの小動物が命を懸けて君を託した理由が、なんとなくわかったよ」
チノの誇りは沢田綱吉と同じものだった。
そういう小動物には必然的に惹かれる。竈門炭治郎も誇りを問われたら、似たような答えを返すのだろう
1620
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 07:52:05
>>1599
自分を追跡してくる元セイバーの部下達にイラついた医者は人気のない場所で彼らを殺し始める
相手はただの人間であり彼らを一方的に狩ることは負傷した医者でも難しくない
だが仲間を放置して逃げる者が一人だけいた。彼は大きな無線機のようなものを背負っており、不審に感じた医者は追おうとするが「国王万歳!」と叫びながら無謀にも飛び込んできた部下たちに遮られ逃してしまう
普段の医者ならもっと違う手段で追っ手に対処したのだろうが、ついカッとなって冷静な判断が出来なかったと医者は自分の軽率な行動を反省した
実際は精神的に追い込まれた医者が擬似禁薬の影響で冷静な判断を下せなかったことが原因なのだが。
だがそんな精神状態でも「国王万歳!」という言葉を聞き逃さなかった。国王が何らかの形でこの聖杯戦争に関わっている可能性が浮かび上がる。そしておそらくそいつは草加と手を組んでいる
だがそれ以上に草加についての苛立ちが特に大きく、それが
>>1612
で草加雅人のことを考えただけで態度が急変したことに繋がる
一方、殺人現場から逃げた部下は草加に医者の凶行を連絡する。今回は場所の特定を目的としている追跡であり、その中には通信兵も含まれていた。
草加は医者を冷静な大人だと思っていたが、どうやら違うらしい。彼女らしくもない凶行に及んだことをほくそ笑む
「報告感謝するよ。後はそこら辺の憲兵にでも殺人事件として通報してくれないかな?」
草加の指示を受けた通信兵はそれに従い、憲兵に通報した。ちなみに身分を隠すために無線機は処分済みだ
1621
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 09:01:37
>>1614
、
>>1615
草加の元から離れた後、ひとまず人気のないところでココアとマズルカは気絶しているピーターの手当をする
幸いピーターには大きな負傷はなく、パンプキンボムの爆発でダメージは受けたもののスパイダースーツのおかげで傷や火傷は少ない
グリーンゴブリンが撒いた有毒ガスは幻覚を見せたり意識不明にするタイプなので体を蝕むことはなく、しばらく休ませておけばそのうち目覚めるだろうとマズルカは診断する
一通り手を尽くしたところで、緊張状態から抜け出したココアもまた眠気に襲われ始めた
昨日から今までに彼女の日常からかけ離れた出来事ばかりが続いたのだ、何度休息を挟んでいても慣れることはない
マズルカは自分が周囲の警戒をするから休んでいて、と声を掛けたがココアはすでに眠りに落ちていた
そしてマズルカは一人思案する
先程の襲撃で敵は撤退、たぶん消耗し過ぎたためにすぐにはこちらを探すことはないとは推測するが、万が一に備えて予断は許さないでいる
自分達は馬車小屋に潜んで気配を消しつつ、周辺の警戒は人形兵達に任せることにしている
それと、新たに現われた「草加雅人」を名乗る男、その彼から伝えられた黒幕「大魔王バーン」
セフィロス以外にも新たな強敵や敵か味方か分からない存在の登場に頭を悩ませつつ、彼らについても考察を重ねる
なにはともあれ、今はピーターの回復を待って彼から事情を聞くこと、ムー島にいる炭治郎とアサシンやチノ達との合流が性急であると考え始めていた
※マズルカ思案中が朝方くらい、ピーターとココアが目覚めるのは昼前くらいにして他との足並みを揃えたいところです
1622
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 22:08:53
>>1617
、
>>1619
他の皆が語り合う姿をエレンは遠目に眺めていた。
友と立てた誓い。譲れない大切な人。
エレンにも多少は共感出来る決意だ。自分もそういうもののために、戦ってきた。
全てを完遂して果てた彼はランサーに向かって「願いがない」と言ったが、それは嘘だ。
――……死にたくねぇ。ミカサと……みんなと一緒にいたい……
かつてアルミンに話したその言葉こそエレンの願い。だが殺戮者であると同時に人としての心も持ち合わせているエレンは自分の罪深さを理解している。だから人々の幸せを奪った自分が許されて生き返るなんて願いを彼は持たない。そんな資格はない
――だったら、お前は何のため戦っているんだ!?
ランサー・宮本明に問われた言葉はエレンの中でずっと引っ掛かっていた。
今までシャアの指示通り動いてきた。燃え尽きたエレンはそこまで強い意志が強くなく、だからシャアの支持に従いなし崩し的に対聖杯グループの中に混ざっている
だが必死に生き抜く彼らを見ているとほんの少しだけ、心が揺れる。なにより友のことを語るホメロスと大切な人のために頑張るチノには共感出来る部分もある
「そのココアっていうやつは、そんなに大切なのか?」
だから興味からエレンはチノに問い掛けた。
これまで全く喋らなかったバーサーカーの言葉に周囲の視線が集中する。
「はい。ココアさんは私の友達で……家族みたいなものです」
友達で家族。
きっと何か事情があるのだろうとエレンは察した。それこそ自分とミカサのような……。
(ランサー。俺の戦う理由がやっと決まった気がする)
今は亡きランサーの問いにようやくエレンは答えを出す。
自分には願いがない……わけじゃない。だがそれを叶える資格はない。
だがこいつらのために戦うのも悪くない。知り合ったばかりの連中だが、何の意味もなく戦うよりは全然マシだ
1623
:
名無しさん
:2022/03/26(土) 23:07:06
仮眠を取って幾らか体調を戻した医者は、ここに来て二度目の自己整形を始めた
前回は面を知っている雲母坂まりなを騙すために一般人の貌に変えたが、今度は殆どの関係者に面が割れたためやはり意表を突くべく処刑課の女の貌に変え始めた
整形が終わる頃には日は昇り、昼手前になっていた
1624
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:34:47
時刻は昼頃。ムーからの飛空艇がレムリアに接近している時だった。
突如、聖杯戦争のマスター達の脳裏に言葉が響き渡る。
『この聖杯戦争に招かれた者達よ…
余がこの度の儀式を行った者「大魔王バーン」である。』
『これを聞いている者達よ
まずは今まで生き残れた事を祝福しよう…』
『お前達の望む「聖杯」は他のサーヴァントの魂を器に注ぐことで完成する
つまり生き残った最後の主従のみが聖杯を手に入れ望みを叶える事が出来る、という事だ…』
『だがそれは不可能な事
なぜなら余は今まで脱落してきたサーヴァントの魂を預かっておる
つまり余を倒さぬ限り聖杯は完成せぬのだからな…』
つまり大魔王は「お前達が束になろうと自分を倒すことはできない」という自信があるのだ。
『さて…じきに全ての主従がレムリアに集うわけだが…』
『ムーからやってくる者達よ…
お前達が余と戦うに値するかどうか…試させてもらうとしよう。』
「!!!気を付けろ!!!」飛空艇の中で深海マコトが叫んだ直後、飛空艇が大きく揺れた。
大魔王の炎の魔法…メラを受けた飛空艇が墜落したのだ。
飛空艇はレムリアにかなり近づいていたため、島の外に落下することはなかったが、発着場に激突して炎上した。
咄嗟にチノとホメロスをマコトが、シャアをエレンが抱えて脱出し、爆発に巻き込まれずに済んだ。
そして彼らは攻撃を放った者を目にする。
「ふむ…少し手加減しすぎてしまったか?」
角の生えた長髪の大男
大男といってもエレンの変化した巨人とは比べるべくもない、人間よりやや大きいという程度の体躯に、
簡素な服や防具を纏っている。
巨大な武器を構えているわけでもなければモンスターの大群を引き連れているわけでもない
しかしその男から漏れる威圧感は今まで出会ったサーヴァントを凌駕していた
大魔王バーン。封印が解けた魔王は封印の間からルーラでレムリアの飛空艇発着場まで飛び、降りようとしている飛空艇をメラで墜落させたのだ。
意外にも真っ先に動いたのはチノだった。
「マコトさん!令呪でお願いします!『船の人たちを助けてください!』」
「!わかった!」
『ダイブ トゥ ディープ!』
『ギロットミロー! ギロットミロー!』
『ゲンカイガン! ディープスペクター! ゲットゴー!覚悟!ギ・ザ・ギ・ザ!ゴースト!』
ディープスペクターに変身したマコトが、燃え盛る飛空艇に突入する。
令呪のブーストを受けた彼は外壁を容易に破壊すると中の乗組員やムスカの部下、
無関係に乗り合わせた者達を手際よく外に運び出していく。
バーンはつまらなそうにその光景を眺めつつ、墜落した船の方向に手の平をかざし何らかの攻撃を放とうとする
そこに急接近して攻撃を放つ影。
雲雀恭弥がトンファーでバーンに攻撃を加えたのだ。
「さっきの大魔王って、キミ?」
バーンは船への攻撃を中止して雲雀に対処する。…左腕一本で。
「軽い攻撃だな…はぐれサーヴァント風情の攻撃が、この大魔王に通じると思っているのか?」
そこに、シャアからの指示を受けたエレンが、逆側から攻撃を仕掛けた。
バーンは雲雀の相手をしながら、肉を切り刻もうとする刃、足を斬り落とそうとする刃に対処していく。
そこに飛空艇の乗員を救出し終えたマコトがディープスペクターのフォームで戦闘に参加するべく躍りかかる。
バーンは嘆息した。
「ここまで生き残ってきた猛者と思い期待していたが…この程度であったか。」
バーンは闘気を解放した。
* 大魔王バーン(若バーン状態)がレムリア島の飛空艇発着場に現れました。
* 封印が解けた後に転移呪文でワープしました
* チノが令呪1画を使用しました(残り2画)
* 封印は現時点で完全に解けたのかそれともこれでも徐々に解けてる最中なのかは未定
* アナウンスではムスカの事には触れてない(戦略、もしくは一応の義理)
* 「生き残った最後の主従のみが聖杯を手に入れる」というが本当か、ブラフかも未定
(fate原作みたくサーヴァントの魂全部注ぐ必要があるかは不明)
1625
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:44:41
>>1624
大魔王を称する災厄が襲来し、ホメロスに緊張が走る
ハドラーという魔王と共に戦った彼だからこそ大魔王という称号の恐ろしさを誰よりも理解しているつもりだ。魔王のハドラーでもあれほど強かったというのに、それを上回る大魔王に勝ち目があるのか?
そうこう考えているうちに、バーンの左腕に吹っ飛ばされた雲雀が受け身をとり、ホメロスの近くに着地した。
こんな状況なのに相変わらず好戦的な目付きで、再びバーンへ攻撃しようとする雲雀をホメロスが呼び止める。自分と再契約するつもりはないか、と。
「やだ」
しかし雲雀はたったの二言で提案を蹴り、向かおうとするが――ホメロスが立ち塞がる。
「……なにしてんの?キミ」
「私にも退けない理由がある。意地でも再契約させてみせる!」
雲雀はホメロスを今一度見つめる。猿山の大将だった男は何時しか『死ぬ気の覚悟』を秘めた者の瞳をしていた。
「いいよ。再契約してあげる」
雲雀としてもこの状況では本気で戦えない。
ホメロスと契約する気は皆無だったが、彼の瞳を見て考えが変わった。今のホメロスとならば再契約をしても良いと思えた
「大魔王がどうしたというのだ。私は最強の魔王――ハドラーと誇り高き英雄、グレイグの友だ!」
堂々たる姿で啖呵を切るホメロスに雲雀は更に上機嫌になり、再契約が成立する
「小動物。見てて、僕の戦い」
ホメロスと再契約を果たした雲雀はチノの近くに跳躍すると、それだけ言い残して再び戦闘に身を投じた
「雲雀さん、マコトさん。がんばってください!」
チノには見守ることしか出来ないけども。それでも彼女は戦場に向かう仲間たちを精一杯に応援した
1626
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:46:00
>>1624
ムスカとクルーゼが連絡を取り合っている時にバーンが出現した
本当はもっとじっくりと交渉をしたかったムスカだが、仕方なく自分がマスターだと明かして共にバーンを討伐しないかクルーゼに提案する。ちなみに黒幕である大魔王バーンを倒すために身分を隠して潜んでいたという名目だ
この時のムスカはバーンの力を恐れているようでもあり、大魔王バーンが強大な存在だということはムスカの様子を通じてクルーゼにも伝わってきた
どの道、このアナウンスによりほとんどの主従がバーンの居る場所に集うだろう。ムーからやってくる主従を試すということは、飛行艇を襲っているのだろうか?
幸いにもフォーリナーは宝具により空中戦も可能となる。
バーンがどんな者か確認することも含め、クルーゼはムスカの提案をひとまず保留すると飛空艇の発着場へ向かった
きっとそこにシャアやバーサーカーも居るのだろう……
1627
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:46:35
レムリア島に存在するだいたいの主従に接触し終えた草加は少し休憩して、食事をする。これだけサーヴァントが減り、そろそろバーンが復活する。自分も本格的に戦闘に参加する準備をしなければならない
クルーゼという仮面の男にはムスカが連絡を取ると言っていた。セフィロスの実力を知っている草加は下手に自分から接触せず、今はムスカに任せるのが適切だと判断する。
見た感じかなり消耗していたが、万が一がある。単独で挑むのは危険だ
だが彼がバーンを倒すために協力してくれるならば、これ以上なく頼りになるだろう。そこはムスカの交渉技術に期待するしかない
『ムスカ大佐。ヤツの言葉を聞く限り、バーンは飛行艇の付近にいる』
バーンのアナウンスを聞いた草加は現場へ急行する
ムー島からやってくる主従を試すという言葉の意味は、つまりそういうことだ
そしてバーンを見つけた草加はカイザに変身。他のサーヴァント達と戦っているバーン目掛けてゴルドスマッシュを放つ。
完全に不意をついた一撃だ。上手く決まれば負傷を与えられると思っていたが、バーンは当然のように片腕で四角錐状のポインタを受け止め、もう片方の手でそれを打ち破りつつカイザ自身を殴ることにより吹っ飛ばす
「化け物め……!」
無様にも地面を転がされたカイザは再び立ち上がると他のサーヴァント達に呼び掛ける。
「俺は草加雅人。この悪夢のような聖杯戦争を止めるため、君たちに協力するよ」
ちなみにゴルドスマッシュでバーンに大ダメージを負わせようとしたことは事実だが、対処されることは想定の範囲内だった。
最低限のやり取りで上手くグループに紛れ込む方法としてはこれが一番手っ取り早いと考え、実行しただけのこと
実際、この場にいる誰もが草加の行動に疑問を持たない。そんなことを考える余裕もないし、このタイミングで加勢に来た彼を受け入れるのは当然だ。
草加は自分の計画が寸分の狂いもなく円滑に進んでいることに満足するが――弾丸がカイザを襲った。草加はすぐさまカイザブレイガンで攻撃を弾くが、仮面の下の表情は穏やかではない
医者と再契約していたキャスターとそれを引き連れた女を睨み付ける。もちろん仮面で隠された素顔は、誰にも見えないのだが。
「みんな、気を付けて。そいつは嘘吐きよ!」
「人聞きが悪いことを言わないでくれるかなぁ?俺は彼らと一緒に大魔王バーンを倒し、聖杯戦争を終わらせたいだけさ」
医者は草加雅人の始末を最優先した。
大魔王バーンという例外も厄介な存在だろうが、生き残りの中で最も邪魔な存在は自分と同じく裏で暗躍するタイプの草加雅人だ。
国王と繋がりがある疑惑が真実なら早急に排除しなければならない。このまま野放しにしたら確実に厄介な存在になる。
(やっと会えたわね、草加雅人。……殺してやる!!!)
それに医者は草加に対して苛立っていた。彼の姿を見ただけで殺意が湧いてくる。
だが冷静な判断力はまだ失われていない。他の連中はバーンの相手に集中して協力を望めそうにないが、逆に言えば誰の邪魔も入らず草加と戦うことが出来る
草加は今まで色々と根回ししてお人好しの連中に取り入ろうとしてきたのだろうが、そんなことは無駄だ。バーンという強大な存在を前にこれまで築いてきた信用は無駄となる
整形したことでムー島の連中に何も疑われずに済んだことも医者にとっては追い風だ
キャスターと共に草加雅人をここで排除する。これは医者が聖杯を勝ち取るためには避けて通れない道だ。
医者は整形こそしたが擬似禁薬が効力を失ったわけではない。医者とキャスターの二人で挑めば勝算はある
※草加と医者&レジィが戦い始めましたが、他の主従はバーンに集中してそれどころではありません
1628
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 10:47:35
>>1624
ココアより先に目を覚ましたピーターはマズルカに「草加雅人」や先程の戦闘の事の顛末を聞き、情報を整理した。
ピーターから話を聞く限り、どうやら草加雅人はライダーと本当に仲が良い知り合いのように思えるがやはり完全に信用して良いのかは怪しいところである
遅れてココアが目を覚ます。
彼女はピーターの無事を確認すると、早々にチノと合流しようとした。
その方針にマズルカやピーターも賛成。ココアは気合を入れる。
「チノちゃん。きっと不安だと思うけど、今から迎えに行くからね。お姉ちゃんに任せなさい!」
――大魔王バーンのアナウンスが響き渡ったのは、その時だった。
「大魔王、バーン……?」
アニメや漫画でしか聞きなれない大魔王という言葉にココアは困惑。ピーターが急いでマズルカに自分達の頭に響いた言葉の内容を説明する。
「ふむ……。ふむふむ……。これは急いだ方が良さそうだね……」
『ムー島からやってくる者達』にはおそらくチノや炭治郎も含まれているとマズルカはココアに説明。大切な妹の危機に姉は急いだ。
「今すぐ私が助けに行ってあげるから……それまで待っててね、チノちゃん!!」
『ココア。妹を守るお前が焦ってどうする。お前はチノにとっての希望だ、その程度で狼狽えるな』
脳裏にカイトの声が響いた気がする。
もしかしたらきっと都合の良い幻聴かもしれない。それでもカイトに背中を押されたココアは、落ち着きを取り戻す
「……そうだよね、カイトさん。チノちゃんのために、私がしっかりしなきゃダメだよね!」
気高き決闘者の魂は、ココアの中でずっと生き続けている。
ココアが聖杯戦争に向き合えるほど成長したのは、彼の影響も大きい
「みんな、巻き込んでごめんね。でも私、チノちゃんが心配だから……!」
「かっとビング。諦めない心――だよね?マスター」
自分の方針に巻き込んでしまうことになった二人に謝るココアへ、マズルカは魔法の言葉を放った。
かっとビング。ココアがあれだけ口にしていただけあって、その精神はマズルカにもなんとなく理解出来た。もちろんピーターも、ココアの諦めない心を悪いだなんて言わない。
「うん。ありがとう、ルカちゃん!ピーターさん!」
三人はチノや炭治郎が到着したはずである発着場を目指し、急いだ
1629
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 13:19:49
エレン達に戦闘を任せつつ、シャアは状況を俯瞰する
無論、凄まじいプレッシャーを放つ大魔王には相当の警戒を向けてはいるが、シャアはそれ以外の者達についても警戒を向けていた
まずは大魔王バーンに攻撃して自分達に強力すると言った草加雅人
確かに強大な敵と戦う意思を持ち共闘できるかもしれないが、突如現われた謎の男でありその心中まで測れる訳ではない
自分達を利用しようとする第三勢力ではないかと推測し、シャアはその疑いを解かずに彼のことも注視する
次にその草加を嘘吐き呼ばわりする女とキャスターらしき男
昨晩の夢にて生き残っているキャスター二騎の片方ではないかと思い、その彼女達なら草加という男についての情報を得られるかもしれない
しかし、その女は草加に対して殺意を剥き出しにして常軌を逸しているようにも感じられる
また敵の敵は味方と呼べるほどの判断材料もない、さらには何かしら危険な気配を感じ取り彼女達についてもシャアは警戒を緩めない
その他にも留意すべきことが多い
クルーゼとフォーリナー、あの二人組もまた大魔王の号令によってこちらにくる、そのようにシャアの予感は強まっていた
できれば大魔王バーンと戦うために共闘したいが、未だ優勝を狙っているならばどう動くかは未知数であり予断は許さない
医者とアルターエゴ、イメージ映像ではこの二人組もこちら側にいるはずだ
あれは戦場を掻き乱す厄介な輩である、この状況下でも何をしでかすか分からない
ゆえに彼らの登場には最大限警戒して戦況を見極めなければならないだろう
一方、アサシンから聞いていたライダー組とキャスター組がこちらに来ることも考えている
特に片方のマスターはチノが探しているココアという少女であり、この戦闘にチノが巻き込まれていると簡単に予想して急行している可能性が高い
なにはともあれ、この二組は自分達に近くほぼ間違いなく共闘できるだろう、そしてあの大魔王バーンを倒すためにも一つでも戦力が欲しい
そのために少年少女達に凄惨な戦争を見せる事になってしまう、と大人として些か自傷気味に思うシャアでもあった
※シャア達は昨晩のイメージ映像以降にライダーとアルターエゴが脱落したことを知らないため、情報と認識と現状に些か齟齬が生じています
1630
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 17:39:24
ムスカはバーン出現より少し遅れて、レムリア島に到着した
草加が謎の女とキャスターに計画を妨害されたことは念話で聞いていたが、女のマスター自らが前線に立ちカイザと戦っている状況はこの目で見るまで想像も出来なかった
しかしムスカには護身用の部下や兵器がある。
ムスカは自分が草加雅人のマスターであることを明かし、島を荒らそうとする大魔王を討てるこの瞬間を待っていたと説明。あくまで王として聖杯戦争を止めたいと他のマスター達に話した。
「そこの君は島を荒らす大魔王の討伐を妨害する気か?魔王の悪事に加担するだなんて、愚かだと思わんかね!?」
善人のように振る舞うムスカだが、実際のところは女とキャスターを始末する大義名分が欲しいだけだ。
これでムスカは草加に加勢する理由付けに成功した。
「……これ以上その大魔王と手を組むなら、君はここで始末するしかない」
なおも草加への攻撃を止めない医者に対して残念そうに語り掛けると、ムスカは彼女を始末するように部下達に指示を出した
1631
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 17:49:20
>>1630
「フフフ…」
様々な思惑を抱えながらも自身を討伐しようと共闘する主従の中にいるムスカを見てバーンは笑みを浮かべた。
「余はかつて人間の絆、その閃光のような力の前に敗れた、そしてあと一歩で願いが叶う寸前に見せた奇蹟でその恐ろしさを改めて実感した。
どうすればその力を十全に発揮させずに済むのだろうかと、そこに現れたのがうぬらであった。
そして余は一計を案じた、敢えて己の脅威を見せることでそれを討たせるために共闘を組ませるように仕向けた。
絆などではない利害の一致という不完全な団結をな」
彼はこの場にいる存在全てを侮ることはしない。
奇蹟とは何から起こるか分からぬもの、その可能性を完全に潰すまでは油断などしてはならない。
「世界を救う聖戦などではない、これは聖杯戦争だ。
己の願いをかけて競い争う戦であり、それ故に綻びはいくらでも生じる」
「よく動いてくれたぞムスカ、わざわざ聖杯戦争の時期を早めたのもうぬの存在あってこそだ。
余を討つ要となる者が清廉潔白な奴では危うかったからな」
そうして自身に対峙する主従にバーンは語る。
「余を討つことは不可能だが、もし万が一討てたとしても聖杯を顕現させ願いを叶えるにはあと少しサーヴァントを聖杯にくべる必要がある。
余との戦いの後に聖杯を得ようとする者は間違いなく疲弊しきったうぬらの不意をつくであろうな。
ならばここで全力を出し切るというのは危うい選択となる、そして聖杯を欲する者は後の事を考えて力を温存しなければならん」
バーンは笑みを浮かべていた。
彼らとて馬鹿ではない、ここで力を出し切れば後はどうなるかなど言われずとも分かっているだろう。
「では問おうか、此度の戦争に招かれた者たちよ。誰が捨て石となる?」
ここにいる者全てが一致団結することなどあり得ないと彼は確信していた。
1632
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 18:10:49
>>1624
戦う意義を見出したエレンに迷いは無い。
立体機動装置込みでも人間の状態では話にならないと判断したエレンは即座に巨人となり、バーンに立ち向かう。
その姿は正しく悪魔。バーサーカーの名に相応しい狂戦士。
だが彼は――エレン・イェーガーは悪魔であると同時に人間だ。むしろやるべき事をやり遂げた今の彼は、悪魔というよりも人間としての側面が強い
多くの命を奪った自分には願いを叶える権利がない。ミカサに――家族に再会させてくれだなんて、願えるはずもない。
それでも友のために戦う男や家族のために戦う少女を守ることくらいは出来る。
敵を駆逐することでしか彼らを守れないけれど。それでも彼は眼前の大魔王を駆逐するべく、進撃する
「進撃の巨人、か……」
バーンと戦闘しながら、その様を見たマコト兄ちゃんがポツリと呟いた。
仲間を守るために進撃する巨人――進撃の巨人、と。
1633
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:57:47
>>1624
、
>>1625
の後、
>>1631
の手前ぐらい
巨人化したバーサーカー、再契約により全力を取り戻した雲雀、人助けも一通り終わり戦線に戻ってきたマコト
この三騎が何度も攻撃を仕掛けるが、大魔王バーンは的確に攻撃を見切り有効打を与えず、返り討ちにしている
三騎もまたバーンの猛攻を辛うじて防ぎ大きなダメージを負っていないが、力を合わせてもその力量差を埋められず対抗する術を模索し続けている
その最中、隙を狙うように刃の衝撃波が大魔王バーンに向かって飛んでいく
それすらも魔界の神は対応するが、その鋭き攻撃に一言感嘆を述べる
「この剣気、まるでハドラーや勇者にも匹敵する威力…どうやらまともな英霊もいたものだな」
「それはこちらの台詞だ、小手先程度の攻撃とはいえ簡単に防がれるとは。さすがは名に違わぬ化け物だな」
少し離れた場所から攻撃を仕掛けたのはセフィロスであり、その近くには仮面を付けた軍服の男、クルーゼも立っていた
さらにはレムリアの軍人達も周囲に展開して臨戦態勢を整えていた
「久しぶりだな、シャア・アズナブル」
「ラウ・ル・クルーゼ…!貴方も、大魔王の討伐に来たのか!?」
「さて、どうかな。あちらにおられるムスカ国王から知らされて様子を見に来たところだが、国王が恐れていたようにかなりの強敵だな」
「まだ、優勝を狙っているのか」
「当然、だがさすがにあれを放っては優勝も厳しいかもしれない。だから一応は同盟を結んだ貴方との間柄だ、少しくらいは共闘もいいだろう」
「それは心強いが、しかし聖杯戦争に大部隊を出すとは些かやり過ぎではないか?」
「用心だよ、一国の国王が有事とはいえレムリア島に軍勢を引き連れている、ならばレムリアの軍人である私も相応の抑止力を用意せねばならない」
「それに、だ。元マスターや元セイバーを名乗り裏事情を知るその二人組も相当怪しい、と私は睨んでいる。貴方もそうでは?」
「…まだなんとも言えない、が確かにこのタイミングでの都合の良さには疑問を抱いている」
※セフィロスは本格的には攻勢に出ず、まだクルーゼを護衛できる程度にしか攻撃を仕掛けないつもりです
1634
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:58:36
>>1631
バーンの問い掛けに対して真っ先に反応したのは、意外にもエレンだった
エレン・イェーガーは止まらない。この心をはとうに燃え尽きている。しかしチノやホメロスを見て、彼らを守ろうとする奴らの姿を見て……かつての自分と同じように化け物を駆逐しようとする宮本明の命を奪って。
様々な出会いや別れの末にエレンは戦う理由を見つける事が出来た。彼の心に再び火がついた。
一度着火した炎は止まらない。
この聖杯戦争では何が起こるかわからない。未来の記憶なんてわからないのだから。
だがそれで良い。あんなものは今の自分に必要ない。
宮本明の夢と人生を奪った。
しかし彼は最期まで自分の選択を悔いることなく、消えていった。
胡桃という少女を救えなかったことだけは悔しそうだったけど。それでも彼は自分の人生自体を悔いているようには見えなかった
エレンは最期、彼にこう語り掛けた。
「俺はとっくに燃え尽きてるんだ。今更、戦う理由なんて何も無い」
もしも聖杯戦争に呼ばれていなければ、再び誰かを殺すことなんてなかった。サーヴァントとして聖杯戦争に呼ばれた時、エレンはガッカリした
正直、ランサーを殺す時はエレンの心に罪悪感もあった。
「すまない……」
宮本明を殺したエレンは彼に謝罪した。何も悪くない人類の英雄を自らの手で殺す。
たとえ相手のマスターが暴走し、令呪によって操られた存在でも――それは決して気持ちの良いものじゃない。
そんな自分が正義を気取っていいわけがない。
エレン・イェーガーの手は血に塗れている。誰かを救おうだなんて、守ろうだなんて思い上がりも甚だしい。
それでもチノとホメロスを守りたいと思ったから――自分は決して英雄なんかじゃないけれど、誰よりも早く身体が動いていた
シャアは令呪を使い切っている。誰もエレンを止めることは出来ず、今の彼は自由だ。
もう何も背負っていないからこそ自由に『仲間を守るために全力で戦う』という選択をすることが出来た
「バーサーカーさん……」
チノの声が聞こえた。純粋無垢な少女は血に塗れた悪魔を心配するように名前を呟き。
「絶対に死なないでください。きっとバーサーカーさんも、私達の仲間です!」
本当にお人好しにも程がある。
でもその気持ちは素直に受け取ろう。今この瞬間、エレン・イェーガーは香風智乃の仲間になる
「私も援護しよう!」
ホメロスが呪文でエレンを最大限に援護する。対魔力を持つバーンには一切通用しなかったが、彼の勇気を無駄にはしない。
いくら通用しないとはいえ、呪文により一瞬だけ隙が出来る。エレンの肩に雲雀がトンと乗り、跳躍してバーンにほんの数秒間だけ猛攻を仕掛けた。
バーンはその全てを防ぎ、雲雀は即座に距離を取る。バーンにはその行動の意図が読めたか、あえてそれを受ける。
彼らが拓いてくれた道を――エレン・イェーガーが進撃する。理不尽に命を奪おうとする大魔王を駆逐するため。
自分に出来る最大限の力を込め、その拳をバーンへ叩き込んだ
1635
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 19:59:29
>>1631
バーンの問い掛けに対して深海マコトは悩んでいた。
自分がシンスペクターとなり、全力を出し切ればきっと状況は好転する。だがバーンを相手に疲弊してしまうと他の敵からチノを守ることが出来なくなってしまう。
マコト兄ちゃんの目的は大魔王バーンの討伐以上にチノやココアを再会させて無事に帰すことだ。
彼が悩んでいる間にも戦況は進む。バーサーカーがバーンへ全力で仕掛けたのだ。
この中で最も英雄に相応しくない狂戦士の勇姿にマコト兄ちゃんは驚愕する。
「……」
何やら悩んでいる様子のディープスペクターを見つめ――
「小動物の守護者。今の君の顔、つまらないな」
それだけ吐き捨て、雲雀もまた戦意を失うことなくバーンへ挑んだ。
深海マコトのことを雲雀恭弥は多少なりとも認めている。そんな彼が俯くというのなら。誇りや覚悟を少しでも見失うというのなら――自分やバーサーカーの戦いを見せることで、気合いを入れ直してやろう、と。
そして
>>1634
へ続く
1636
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 20:00:04
エレンがバーンへ全力の進撃を仕掛けた時、ココア達が到着した
一度は「あの巨人を駆逐してやる」と言い出すほどバーサーカーのことを憎んでいたピーターは、エレンの勇姿に驚愕した。
あいつは間違いなく許されるべき存在じゃない。ヴィランに近しい存在だと考えていた。
だが今の巨人は他のマスターやサーヴァントと協力し、共に戦っている。
水色髪の少女はあいつを仲間と呼び、騎士のような男は彼を援護する始末だ。
「チノちゃん!!」
「ココアさん……!?」
そしてココアの反応を見るに、あの少女が噂のチノらしい。
巨人の行動に色々と悩むことはあるが、何か心境の変化でもあったのかもしれない。
ならば彼は仲間だ。元ヴィランが必死に戦っているというのに、ヒーローが眺めているだけではいられない。ピーターも前線へ立ち、バーンへ挑むことを決意する
1637
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 21:17:16
そういえば、役者が勢揃いして自分達を邪魔する者がいない事を確認した医者は使い慣れた医療器具を取り出したな
それらはレジィが宝具で生み出した神秘付きの道具であり、銃やナイフを使うよりも攻撃のキレが桁違いな様子
メスで斬りかかったり注射を射とうとしたり、その他多数の手段でとにかく草加を殺そうとしていたな
1638
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 21:45:51
ココアはチノの元に駆け寄り、ピーターが進撃の巨人の勇姿に心打たれている中
マズルカは最大限の人形兵を投入してマスター達の護衛および戦闘に備えていた
ただし状況は非常に混沌を極めている
数時間前に出会ったばかりの草加、見知らぬ男(ムスカ)、そして複数人の軍人達がもう一人のキャスターと謎の女と戦っている
仮面の男およびセフィロスがレムリアの部隊を率いているようで、こちらやチノ達に攻撃する様子もなく別の男(シャア)と何か話している
なにより、複数の英霊達がまとめて掛かってもびくともしない大魔王バーンの存在
誰が敵で誰が味方か判別しづらいが、今はただココアのために動くことを優先する
1639
:
名無しさん
:2022/03/27(日) 22:21:01
>>1631
、
>>1633
ムスカに労いの言葉を掛けるバーンを目撃したシャアとクルーゼは予想通りあの二人組はバーン同様見過ごせない存在だと判断する
彼らと戦っている謎の女の存在も疑問に思うが、キャスターと共に戦っている点から医者だと考えるのが妥当か。
バーサーカーやフォーリナーにはこの場で段違いに強いバーンの討伐を最優先して貰う必要があるが、マスターである自分達は手を持て余している
それに医者側はムスカの部下達による数の暴力によって明らかに押されていた。
クルーゼは抑止力として引き連れてきたレムリア島の軍人達に指示を出し、ムスカの部下達の相手を引き受けさせる。いずれ敵になる存在を消耗させてくれたことは結構だが、圧倒的な権力を持つムスカは早急に潰さなければ厄介だ
ムスカの部下達とクルーゼ率いる軍人達がぶつかり合い、予期せぬ展開にムスカが苛立ち始めた
バーンに計画を全て台無しにされ、せっかくの部下達もクルーゼに対処されている。これでは自分が道化のようだ
1640
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 06:40:30
・シャア達ムー島から来た対聖杯はライダーとアルターエゴの脱落を知らない、客にココア達は炭次郎の脱落を知らない
・ココア達はクルーゼ組と医者組が組んでいる可能性が高いことを共有しているが、シャア達は聖杯狙いの同盟まで思い着く余裕はないだろう
・
>>1639
の内容的に、クルーゼは医者だと察していて、シャア達は医者の変装にまだ気付いていない。諸事情によりクルーゼも伝達していないと思う。ただし戦闘スタイルからしてそのうちバレる可能性大
これ以外にも情報差関連はありそうだが、とりあえず今は激戦ゆえに悠長な情報交換は難しい
一応各々が隙を見て聞き出すとは思うが、それが各人の思惑や戦況にどれだけ影響を及ぼすだろうか
1641
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 07:15:13
>>1634
「なるほど、まずはうぬが起点となるか」
渾身の一撃をぶつけたエレンの拳、だがそれはバーンによって受け止められた。
無論一撃で仕留められると思っていないエレンはそのまま追撃をかけようとする。
「その魂の力は認めよう、だが――」
そう言ってバーンは拳を掴みながら回転し、エレンを持ち上げて投げ飛ばした。
不意を突かれたエレンはこらえる暇すらなく飛ばされる。
飛ばされた方向にはチノたちがおり、それを見たピーターと雲雀が対応し、チェーンと糸でエレンをキャッチする。
その隙にシャアたちの方向へメラを放つ、それを見たセフィロスは即座に魔術で相殺する。
「魂で余は殺せん。それと先に言ったではないか、捨て駒は誰だと」
瞬間、バーンの手に闘気が集中する。
今までのような小技ではない、彼が使う技の一つ。
「カラミティウォール!」
そうして巨大なエネルギー衝撃波の壁がチノたちの方へと向かっていった。
1642
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 08:07:58
>>1641
深海マコトは悩む。しかし彼が迷っている間にも、戦況は進む。
このままではチノ達が死ぬ。あの不思議な攻撃に対抗する術を自分達は持たない。
進撃の巨人も、孤高の浮雲も、再会を果たした姉妹も、誇り高き魔王の想いを繋いだ軍人も、蜘蛛のようなスーツ姿の男も――誰も彼もが死んでしまう。
大幅に戦力を削られることを危惧したクルーゼが咄嗟に令呪でセフィロスに対応させる。だが流石のセフィロスでも単独で受け切ることは難しく、圧倒的な力の前に押される。ほんの少しだけでも時間を稼げたこと自体が奇跡的だと言えるだろう。ちなみに片翼の天使は既に使用済みで、このままではセフィロス自体が危うい。仕方なく一時撤退も視野に入れる。
敵も味方も入り乱れ、各々が全力で大魔王に対処している。
この状況でもチノは前を向き、令呪を使った。
「マコトさん……あの大魔王を倒してください!」
まだ中学生の少女が頑張ってるというのに、自分が弱気になってどうする。
きっとタケルやアランなら、後先考えずに全力であの大魔王へぶつかるはずだ。
「チノ――お前の想い、確かに受け止めた!」
『セブンシンカ!』
シンスペクターゴーストアイコンが現れる。
これこそが深海マコトの真骨頂であり、彼が真の力を引き出すための宝具
『アーイ!バッチリミロー!バッチリミロー!』
「俺達の覚悟、見せてやる!――変身!」
『シンカイガン!シンスペクター!』
『プライド!グリード!ラスト!ラース!エンヴィー!グラトニー!スロウス!ブレイク!』
『デッドリーシン!』
拮抗するセフィロスにシンスペクターが加勢。彼が正宗で戦うように、シンスペクターもまたディープスラッシャー・ソードモードを手にしていた。
「俺に合わせてくれ、フォーリナー!」
『シンダイカイガン!グリードスラッシュ!』
電子音という分かりやすい合図にセフィロスは彼の言葉の意味を察し、同時に攻撃を放つ
ディープスラッシャー・ソードモードの刀身にエネルギーを纏わせた斬撃とセフィロスの全力の一撃がカラミティウォールを打ち破った
「聞け、大魔王バーン!俺達は誰一人、捨て駒にしない!!」
深海マコトはもう迷わない。必ずこの大魔王を倒し、チノ達を守ると啖呵を切る
1643
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 08:44:27
>>1640
についか
・ムスカ達の正体暴露後にココア達が来たため、ココア達は草加の正体や謎の眼鏡男(ムスカ)について曖昧
1644
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 11:32:56
それまではクルーゼを護衛する程度にしか攻撃を仕掛けなかったセフィロスだが、クルーゼにメラを放たれたことで攻勢に出る
先程のカラミティウォールで理解した。セフィロスであれど大魔王バーンを単独で撃破することは難しく、護衛に徹してもあの一撃をまた放たれては自分一人で対処することが困難だ。
あの時、クリミナルの助力がなければこちらの戦力は一気に削られていた。勝ち目は薄れ、その後クルーゼに同じ攻撃を放たれていたらセフィロスが脱落していた可能性も否定出来ない
ならば攻勢に出てマスターを狙う隙を与えず、自分達サーヴァントの相手に専念させる。
片翼の天使セフィロスとシンスペクター、戦力としては特に大きい二人が揃い踏みしたことでバーンとの戦力差は埋まっていく
実質的にサーヴァントと同等の力を有するピーターの参戦も大きく、スパイダーセンスという唯一無二の固有能力を持つ彼はバーンにとってある意味、他のサーヴァント以上に厄介でもある
そしてパラメータこそ大したことないが圧倒的な大きさというアドバンテージを持つエレン。セフィロスやシンスペクターほど特化した戦力ではないが、小回りの利く行動やアサシンでありながら暗殺ではない直接戦闘を得意とし、パラメータも三騎士並のアサシン
それぞれの力は大魔王バーンに及ばないが、共闘することで彼らは互角に渡り合っていた
しかし自分に切り札を使わせたあの仮面のライダーに似たサーヴァントとこうして共に戦うことになるとは、セフィロスは想像もしていなかった。多少だが、感慨深く感じる
1645
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 18:59:56
>>1644
「あくまで余を打倒することにこだわるか…」
そう言いながらバーンはマコトを立ち直らせたチノの方をチラリと見て考える。
力で言えばあの小娘など考慮するだけ無駄な存在、だがその覚悟とやらがクリミナルの戦意を取り戻させた。
(厄介だな、即座に始末しようにもサーヴァントどもが防ぎに来る。もしやるとすればまず奴らから行動不能にするしかあるまい)
バーサーカーにアサシン、クリミナルは闘志を激らせており、フォーリナーはまだ本腰を入れていない様子だが、それでも十分脅威である。
他にバーサーカーを止めたマスターも入れて現状排除しなければならない存在は5人。
打撃と魔法攻撃での攻めを続けるにはいささか不安が残る。
となれば必然あの技を使うしかないということになる。
「仕方あるまい、本来であればもう少し後で使いたかったところだが、うぬらの覚悟と力に敬意を表して我が奥義を見せてやろう」
そう言ってバーンは構えを取る、ただ両腕を天地上下に構えただけのもの。
チノやココアは特に変化を感じなかったが、対峙するピーターとサーヴァントたちは構えから来るプレッシャーを感知し身構えた。
「これを――天地魔闘の構えという」
1646
:
名無しさん
:2022/03/28(月) 20:46:11
>>1645
大魔王が奥義を語り凄まじい重圧を感じた英霊達だが、その実形だけで見れば不動の構えを取ったのみ
まるで虚仮威しのようにも感じられるが、実際に対面する戦士達は否応なく警戒感を募らせる
かといって、あれだけ猛攻を仕掛けてきた化け物が攻撃の手を止めている絶好の機会でもある、不気味ではあるものの相手の真意を確認するためにも、ここは攻勢に出て叩ける内に叩いておきたいという心理も揺れ動いていた
ゆえに、現状の最大戦力であるシンスペクターと片翼の天使、そして進撃の巨人が同時に出て、八刀一閃、ラースフレイム、硬質化した鉄拳をそれぞれ繰り出す
どれもが強力な攻撃技であり微動だにしない大魔王バーンに迫るが、事態は一瞬にして急変する
八連続の瞬時斬撃は「天」から振り下ろされた手刀「カラミティエンド」で一太刀も与えられずに返り討ちにされる
業火のエネルギー弾は「地」から振り上げた攻防一体の技「フェニックスウイング」によって跳ね返される
堅固な豪腕が届く前に膨大な「魔」として放たれた不死鳥の業炎「カイザーフェニックス」が巨人に迫った
宿敵の奥義に似た必殺技を相殺されたセフィロスは、持ち前の敏捷の高さゆえに直撃をギリギリ回避したが多少のダメージを受けて一旦後退する
自らの必殺技が自分に返ってきて一瞬対応に遅れたマコトだが、直前に人形兵イアフォートレスが盾となり威力を減衰させたものの衝撃によって吹き飛ばされる
大漢だろうと確実に圧壊させる拳を放ったエレンは焼却の全てを焼き尽くす攻撃によって片腕を失い、さらには全身に大火傷を負ってしまう
これが大魔王バーンの奥義、三つの超必殺技を連続して同時に繰り出す究極のカウンター技、すなわち「天地魔闘の構え」である
1647
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 20:26:57
大魔王バーンの天地魔闘の構えの前に傷つき倒れる進撃の巨人
巨体の全身をも覆う炎の前には強靭な体も役には立たず、ついにはグズグズと肉体が崩れエレンが姿を現す
「まずは一人。何か言い残すことはあるか?」
そう冷然と言い放つバーンは、しかしエレンの返り血を浴びた凄惨な姿で天地魔闘の構えを再びとっていた
バーンは知っている
人間は時に仲間のために、時に希望のために、バーンの哲学にはない力を発揮することを
ましてやここにいるのは名だたる英雄たち
彼らならこの程度の絶望は必ず覆しうると、彼らの強さから信仰している
そしてその逆転をひねり潰す策も当然用意していた
たとえば、バーンパレスを地盤としているレムリア島の部分を沈めればそれだけで何人かのマスターは危機に陥りサーヴァントは致命的な隙を晒すだろう
バーンに油断は無い、あるのは余裕だけだ
だが、その余裕が崩れた
(バーサーカー以外の顔色が変わった)
突如として、バーサーカー以外のサーヴァントもマスターも、みなそれまでとは違う感情を顔に浮かべていた
バーンがその理由を知ることはない
彼の対魔力が自動で弾いた、バーサーカー・エレンの心象風景の光景はバーンだけが見ることができない
1648
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 21:50:04
大魔女マズルカと妖路歴程の操る人形兵。
その大きな強みは言うまでもなく数だが、それだけではない。
それは特に、一度敗退した敵との再戦で発揮される。
兵種や装備の組み合わせにより相手に応じた戦術を構築できる点だ。
勿論バーンと戦うのは初戦だが、多くのサーヴァントが戦った様子を観察して戦略を決定した。
生半可な攻撃や魔術では魔力のようなオーラ(闘気)を纏う、この大魔王にはとても通じない。
そこでマズルカは『ゴシックコッペリア』という、巨大な鈍槌(ハンマー)を持つ、猫の耳のような飾りをつけた人形兵を数体呼び出した。
他の人形兵達より数が少ない、そのやや特殊な人形兵は、他の人形兵とは一線を画す怪力を誇る。
手持ちのこの人形兵を全てバーンに向けて攻撃させる。
また、自分やココア達を守るのに支障が出ない程度に、数体のピアフォートレス達にも鈍槌を持たせて戦線に送り込む。
戦術甲を装備して旅団の壁として活躍する事の多いピアフォートレスだが、人形兵達の中では鈍槌の扱いにも長ける。
なんとか自分がバーンにダメージを与えられるとしたら、この戦法に賭けるしかないと考えた。
また、たとえこの人形兵が蹴散らされたとしてもその僅かな隙に他のサーヴァント達が活路を開く可能性に賭けた。
* ゴシックコッペリア(超パワー型)とデモンリーパー(超スピード回避型)の人形兵はシナリオ途中から生産可能になるので
やや希少という扱いにしてみた。
* ゴシックコッペリアは3〜4体ぐらいのイメージ。
* ココア達の防衛に重点を置いているマズルカですが人形兵もバーンとの戦いや戦闘の余波である程度減ってると思う
1649
:
名無しさん
:2022/03/29(火) 23:16:34
補完小話
>>1637
この神秘付きメス+α、実は医者が仮眠を取っている間にレジィが病院に侵入して医療器具類の領収書から精製した物である
基地襲撃の時とは違い警備が手薄であることや下手に騒ぎを起こして他の主従と再度戦闘になると不味いので、霊体化して密かに潜入していたようだ
>>1630
レムリア島に飛空艇で近づいていたムスカ一団は、発着場が燃えているのを確認して接岸を断念
なのでムスカと親衛隊は現場付近の上空に到着した後に地上へと降下、現場へと向かった
また飛空艇に残った兵士達はムスカの号令があるまで待機し、新兵器を投入する準備を進めていた
1650
:
名無しさん
:2022/03/30(水) 00:10:08
>>1641
これはシンスペクターとセフィロスがカラミティウォールを打ち破った後、バーンが天地魔闘の構えを取る前の話。
メラを見たホメロスは自分のよく知る呪文をバーンが使っていると見抜いた
それならば呪文を封じられると考えた彼はマホトーンを使うが、残念ながら対魔力スキルによりその意味を成さない
「なっ……。マホトーンが通じないだと!?」
自分の予想が否定されて動揺するホメロスだが、近くに居たチノとココアが声を掛ける。
「落ち着いてください、ホメロスさん。まだ私達は、負けてません」
「うん。チノちゃんの言う通りだよ、ホメロスさん。どんな状況でも諦めない心――それがかっとビングだよ!」
二人の少女の前向きな姿勢にホメロスの心が震え立つ。
呪文が通じなくても、自分にはまだプラチナソードがあるではないか、と。
ちなみにココアがホメロスの名を知ったのは、チノが彼のことを呼んだからだ。
「フッ……。まさかオレより遥かに年下の少女達に勇気付けられるとはな。
だが――お前達に感謝しよう。かっとビングという言葉は初耳だがな」
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