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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
96
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/05/25(月) 06:57:51
>「えと・・・そういえば今日街に着く予定なんだっけ?この中にずっといると時間の感覚がおかしくなってしまうよ」
頭をボリボリ掻きむしっていると、不意に馬車のガタガタが収まった。
舗装された道に出たのだ。
幌を開けて見ると、ところどころ錆の浮いた鉄の道があった。
――橋梁都市アイアントラス。
アルメリアと隣国フェルゼンとを隔てる峡谷を跨ぐ巨大な鉄橋の上に築かれた街だ。
陸側の国境でもあるこの街では、両国の貿易が盛んに行われている。
「ついに着たか……一面麦畑にもそろそろ飽きてきたとこだったぜ。
ここって何が有名なんだっけ?カレー?いいねえトンカツ乗っけて食おうぜ」
俺たちプレイヤーにとっても「パワー系無職」ことロスタラガムと出会い、ぶん殴り、ぶん殴られる、
色々と思い出深い土地だ。
峡谷を見下ろす眺めも結構よくて、両国からのアクセスも良いことからここに家を建てたがる奴も多い。
レベリングやら金策やら、こっちの国でやることも結構多いしな。
さて、峻険な山国であるフェルゼン公国は、穀物の国内消費の殆どをアルメリアからの輸入に頼ってる。
デリンドブルクからの直送経路であるこの街は、フェルゼンの胃袋を掴む台所だ。
そして、辺境の小国に過ぎないフェルゼンが大国アルメリアと(経済的には)対等に渡り合うための貿易地。
その、ふたつの国にとって欠かすことのできない交流の要衝が――
>「……なんてこと……」
炎上していた。
軒を連ねる商店群からは黒い煙がもうもうと上がり、怯えふためく人々の声が聞こえてくる。
「ああああ!?行くとこ行くとこなんでいっつも燃えてんだよ!?」
街が燃えている。ところどころに血を流した人が倒れてる。
阿鼻叫喚の地獄絵図、その理由を端的に表すなら一言で済むだろう。
>「襲撃のようだな」
「見りゃ分かるよ!馬車止めろ、助けに行くぞ!」
襲撃。その言葉通りに、そこには襲撃者たちの姿があった。
そして音も。地球じゃまず耳にすることのない、だけどゲームじゃよく聞く――銃声。
ジョンが馬車で漏らした言葉が、脳裏をかすめていった。
――>『この弾薬を使う銃ならどう考えても田園よりどこかの町や街で仕掛ける市街戦のほうが相性いいはずなのに』
「クソみてえな予感が的中だ。"相性が良い"……こっちが奴らの本命か!」
馬車から飛び出せば、10匹ほどのゴブリンが街を蹂躙する姿に直面する。
……それがゴブリンだと、認識するのに時間がかかった。
ゴブリン達がみな一様に、『現代兵器で武装していた』からだ。
黒尽くめのボディスーツ、ヘルメット、ゴーグル、手袋にブーツ。
そして何よりその手にあるのは――小銃。
「イチロク……マジかよ、ゴルゴが持ってる奴じゃん」
『M16』自動小銃。今でもアメリカ軍がバリバリ現役で採用しているアサルトライフルだ。
実銃の出るFPSゲーならまず出演してる、AK47と並んでたぶん世界で一番有名な銃。
60年も前から配備されてる癖に、その完成度の高さで装備更新を跳ね除け続けた傑作中の傑作――
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