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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
256
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/09/08(火) 22:17:48
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そこは真っ白な空間だった。どこまでも続く上下左右真っ白な空間。なにもない。真っ白というのも錯覚で実は何もないようにも見える。ただ一つと一人を除いて
「兄貴が…頑張ってくれたみたいね」
そんななにもない場所で一つだけ存在する彼女と大きな扉の前で…ただ一人立ち尽くしていた。
「シェリー…?」
僕の記憶にあるままの…5歳の時のシェリーがそこには居た。
「今までは嫌味を言うのが精いっぱいだったけど…やっとジョン…あんたと直接対決ができるよ。いや直接ってのは正確な表現じゃないかも?」
そう茶化す彼女は年相応に見える。これは夢か?幻影どころか幻覚を見るようになってしまったのか?
しかし彼女の手に握られたナイフと僕の熊の腕と鱗に覆われたこの体が、夢ではなく…かといって現実ではなく、とにかくやばい場所にいる事を自覚させてくれる。
「亡霊が…なんの用だ?どうして僕はここにいる?ここはどこだ?…僕はロイと戦っていたはずだ…まさか」
ここに来る前ロイが言った言葉を思い出す。映画。絶対無敵の殺人鬼に効いた物……覚えている。それは…鉄棒…じゃなく
「そ、あんたは兄貴に毒を盛られたのよ。血を操り、体を巡る血その物が劇薬のチート野郎のあんたでもショックで気絶するくらいの猛毒をね」
「気絶だと?馬鹿な…今の僕の体はそんな毒が中に入ってきたら全部の血を入れ替えてでも排出しようとするはずだ…できないわけがない!」
「兄貴もあなたと同じ力を持ってるの…忘れてない?兄貴はクソ呪いにも効く毒を選別してきたのよ。…自分の体を使って」
その話を聞いた僕は戦慄した。正気の沙汰じゃない。偶然同じ力を得たからと言って自分で実験するなんて。
恐らくこの毒以外の事も試したであろうことも…用意に想像がつく。
「偶然じゃないわ。兄貴が力を…同じ力を身に着けたのは偶然じゃない…全部あんたの為よ」
「僕の為…?」
「兄貴はね、あんたにちゃんとした罪と罰を与える為に…人を殺して…あんたと同じ呪いを受けたのよ」
ロイが人殺しに走ったのは僕のせい?僕の為に?
「あなたに子供の頃の話とは言え冷たい態度を取ってそのまま別れた事を…兄貴はずっと後悔していた」
街で起きた惨劇を思い出す。無実人がたくさん死んだあの事件。
ロイやシェリーが言う事が本当なら…この世界に来るまでに人を沢山殺しているだろう事…。
「まあ?ただの子供にどんな事情があろうとも自分の妹を殺した相手を許しなさいってのは当然無理な話よね。でも兄貴は大人になってからもそうは思わなかった
ずっとあの時優しく接してあげれなかったんだろうと、向き合えなかったのかと自分を責め続けた………そこまでは別によかったんだけどね…」
やっぱり…ロイが人殺しになったのは…僕のせいなんじゃないか…
なんでだ?僕の人生。どうして僕の思い描く最悪の方に進んでいくんだ?
そんな事…してほしいわけじゃなかったのに…
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