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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

246崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/09/05(土) 03:43:02
「ゴォォォォォォォォォォォム……」

巨大なG.O.D.スライムが、なゆたとポヨリンを見下ろしている。
自分の切り札であったはずのレイドモンスターが、敵として自分たちの目の前に存在している。
そのプレッシャーたるや尋常なものではない。かつて自分が闘い、下してきたプレイヤーたちは、
こんな重圧を体験してきたのか――と、改めて驚きを禁じ得ない。

「あっはっはっ! さあ……とどめと行くッスよォー!
 G.O.D.スライム! 『審判者の光帯(ジャッジメント・クエーサー)』!!!」

きなこもち大佐が勝利を確信し、高らかに命じる。
『審判者の光帯(ジャッジメント・クエーサー)』――G.O.D.スライムが口から放つ、光属性の魔法攻撃。
その直撃を喰らえば、極限まで鍛え上げたポヨリンとてなすすべなく蒸発してしまうだろう。
G.O.D.スライムが背の翼を一打ちし、天井近くへと飛び立とうとする。
現在なゆたたちのいる場所はレプリケイトアニマ最深部で、もちろん空はない。
が、それでもスキルを放つのに支障はないらしい。G.O.D.スライムの身体に、みるみる光のエネルギーが充填されてゆく。

「ポヨリンッ!」

『ぽよよよっ!!』

なゆたは鋭く名を呼んだ。すぐに、ポヨリンが応えて大きく後退する。
一旦後方に下がったポヨリンは、それから一気に助走をつけてG.O.D.スライムへと駆けた。
『限界突破(オーバードライブ)』によってブーストのかかった、爆速の突進。
そして、ポヨリンは最後に全身で強く床を蹴ると跳躍し一個の弾丸のように上空のレイドモンスターへと突っ込んでいった。
G.O.D.スライムは光線発射のために大口を開けている。ポヨリンは口の中へと吸い込まれるように消えていった。

「……はァ?
 なんのつもりッス?」

きなこもち大佐は怪訝な表情を浮かべた。
G.O.D.スライムが顕現した以上、なゆたの勝機はゼロである。もはや勝負は決まったも同然、
ポヨリンが薙ぎ払われてデュエルは終了――結末はそれ以外にはないのだ。
今更ポヨリンが口の中に入ったところで、何ができるだろう。
せいぜい、スライムヴァシレウスに従いG.O.D.スライムのボディを構成するスライムが一匹増えるだけである。

「悪あがきとは見苦しいッスよ、師匠!
 師匠には尊敬できる師匠でいてほしいッス、例え自分が師匠越えを果たしたとしても!
 見苦しい真似しないで、弟子の成長を素直に認める度量を見せ――」

「……きなこもちさん。
 わたしは、あなたの師匠なんかじゃないけれど……。
 ひとつだけ教えてあげますよ。最後の最後まで、『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は勝負を捨てない。
 絶体絶命の窮地にだって、必ず逆転のチャンスはある……!
 わたしは今までの旅で、それを学んできた。実践してきた!
 断言できるよ――わたしの勝機は!『今、この瞬間にある』――!!!」

勝ち誇るきなこもちに対し、なゆたは真っ向から反論した。
それは負け確定の場で思わず吐いた強がりでも、虚勢でもない。
なゆたは待っていたのだ、この機会を。誰がどう見ても劣勢であるこのタイミングで、一気に盤上をひっくり返す刻を。
そんななゆたの言葉を、きなこもち大佐が一笑に付す。

「ハ! 何を世迷言を!
 G.O.D.スライム! 早く『審判者の光帯(ジャッジメント・クエーサー)』を……」

「……『分裂(ディヴィジョン・セル)』!プレイ!」

きなこもち大佐の声を遮り、なゆたがスペルカードを手繰る。
ATBゲージは溜まっている。連続でカードを発動させることは可能だ。

「さらに『分裂(ディヴィジョン・セル)』をもう一枚! ダメ押しにもう一丁『分裂(ディヴィジョン・セル)』!
 合計三枚の『分裂(ディヴィジョン・セル)』を発動!」

「な、何を……」

G.O.D.スライムが、天井近くで大口を開けたまま固まっている。
『審判者の光帯(ジャッジメント・クエーサー)』を放つ気配はない。
それどころか、びくびくと痙攣している。きなこもち大佐の命令も受け付けず、明らかに異常な状態だった。

「ま……、まさか!」

そこで、やっときなこもち大佐はパートナーモンスターに何が起こっているのかを悟った。


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