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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

244ロイ・フリント ◆POYO/UwNZg:2020/09/05(土) 03:42:01
山中で消息を絶ったジョンとシェリー発見の報を聞き、収容先の病院に向かったオレが最初に見たものは、
寝台に横たわる変わり果てたシェリーの姿だった。
妹には白いシーツがかぶせられていた。大人たちから、見るなと言われた。
だが、我慢なんてできるはずがなかった。シーツを強引に剥ぎ取って、オレはその亡骸を見た。

瞼を閉じれば、そこには今でもシェリーがいる。
手足の骨が折れ、血に染まり、そして――鋭利な何かによって首に致命傷を負った、哀れな妹の骸。
それが、毎晩のように囁くのだ。

『ジョンを助けてあげて』―――と。

嗚呼。
嗚呼、そうしよう妹よ。お前がそれを望むなら。
心優しいジョン。弱虫ジョン。
お前はその心優しさで、シェリーを苦しみから救ってやったのだろう。
お前は弱虫だから、シェリーを手にかけた罪悪感をずっと背負っているのだろう。
例え法が未成年だからとお前を庇ったとしても。大人たちがお前を無罪だと認定したとしても。
それでも、お前はシェリーを殺したという事実を悔やみ続けて生きていくのだろう。
魂の牢獄に、自分自身を繋ぎとめて。

それを救えるのはオレだけだ。お前を知るオレだけなんだ。
友だから。親友だから。
オレは、オレだけは、お前を罪人と呼ぼう。

『咎人だと認められることで、救われる心もある』――

だから。
オレがお前の罪悪感に決着をつけてやる。

「……オレは……まだ、死ねん……!」

オレは全身に残っているなけなしの力を総動員させ、なんとか立ち上がった。
目の前には、異形の怪物と化したジョンが立っている。
シェリーを殺した、殺してしまった。その罪の意識に耐えられず、魂までも破壊の衝動に売り渡したバカな男だ。
だが――見捨てることなんてできない。
バカだからこそ。どうしようもなく弱い男だからこそ。
こいつには、救ってやるべき存在が必要なんだ。

軍隊に入り、望んで戦地に赴いた。大勢の人間を殺した。
ジョンの気持ちの幾許かでも感じられるようになれればと。アイツと同じものを、オレも手に入れられればと。
アイツと同じ視座に立たねば、アイツを手にかけることはできないのだと……。
戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。戦闘、殺戮。
ナイフで。銃で。ロープで。ワイヤーで。徒手で。爆弾で。薬物で。
殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。殺して。
殺しまくった。
その果てに、オレはひとつの呪いを得た。
“ブラッドラスト”――
だが、そんな力を手に入れてなお、オレはジョンに大きく水を開けられていたらしい。

>君はゲームをやった事ないから知らないだろうが…僕のこの鱗の皮膚は生半可な攻撃じゃ破れない。
 ブレモンの中でもトップクラスの攻撃力を誇る攻撃なら強引に敗れるだろうが…現代兵器なんかじゃ太刀打ちできないだろうね。
 だが明確な弱点もある…首だ。首の根本部分にだけ鱗で覆われていない部分がある…ここを狙えば驚くほどあっさり…僕は死ぬ

「……余裕、だな……。
 なまじ強くなったからと……驕るのは、敗北の一里塚……だ……。
 シェリーから……そう、教わらなかったのか……」

お情けのポーションを口にし、体力を回復させる。
とんだジョークだ。殺そうとしている相手に情けをかけられるとは……。
しかも、その情けはオレを憐れんでのことじゃない。
もっともっと闘いたいから。ブラッドラストの激情に身を委ねていたいから……ただ、それだけの話なのだ。
シェリーを手にかけたことをずっと気に病んでいたジョンは、もう揮発したのか?
今オレの目の前にいるのは、かつてジョンであった只の抜け殻に過ぎないのか?

オレには、もうわからない。


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