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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

243崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/09/05(土) 03:41:07
「あーしたちは、今までどんな逆境だって四人で乗り越えてきたんじゃん!
 マル様のことで、ずっと結束してきたンじゃん!
 ね、アブラっち! 隊長ときなこんが前衛で、あーしとアブラっちが後衛でさ……!
 あーしらは無敵なンだ! あーしたちを排除しようとした包囲網のバカどもだって、あーしたちには手も足も出なかった!
 どんなに強いって言われてるレイドだって、あーしたちはブチのめしてきたじゃん!
 一緒にいようよ、今は怖いかもだけど、絶対そのうち慣れるよ!
 あーしが守ってやっから! アブラっちのこと、誰にも傷つけさせたりなんてしないから……!」

「シェケちゃん……」

「……シェケナさん」

シェケナベイベが必死でスタミナABURA丸を説得する。
シェケナベイベとスタミナABURA丸は実際に住んでいる家も近所の、リア友である。
当然、強い絆というものがある。ゲームを差し引いても、培った友情というものがある。
それを壊したくはない。ずっと一緒に苦楽を共にしていきたい。これからがそうだったように――これからも。

けれど。

「……ごめん……りゅくす……」

スタミナABURA丸は、俯いたまま言った。
シェケナベイベの唇がわななく。その双眸に、みるみる涙が溜まっていく。

「ッ……、なんっで……、
 なんで、なんで……なんでなんだよオ……洋子ぉ……!!」

スタミナABURA丸が静かに嗚咽を漏らす。
シェケナベイベが慟哭する。

パーティーの進むべき道は決まった。

その後マル様親衛隊は何とかリバティウムへと辿り着き、さっぴょんの箱庭に到達した。
だが、それですべてが解決したわけではない。懸念すべきはニヴルヘイムの追手だ。
スタミナABURA丸は兵器として召喚された。それは彼女が武器を持っているからだ。
武器をその手に持っている限り、いつニヴルヘイムがこの場を嗅ぎつけてくるか分からない。
それに対処するには、もし追手がこの場を訪れたとしても、
もう彼女は兵器として使い物にならない――ということを知らしめなければならない。
だから。

「引継ぎパスワードはメモしたわね?
 じゃ……やるわよ」

「はい」

さっぴょんの箱庭、その玄関先に四人が立つ。
スタミナABURA丸がスマホを高く頭上に放り投げる。
その瞬間、さっぴょんが自分のスマホをタップしてパートナーモンスターを召喚する。ミスリル騎士団の『騎兵(ナイト)』だ。
ナイトがチェスのピース状の躯体から馬上槍を展開し、放り投げられたスマホの中心を穿つ。
スタミナABURA丸のスマホは液晶画面に大穴が空き、機能停止してただのジャンクとなった。
ニヴルヘイムはスマホが『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の力の源だということは理解しているが、
引継ぎパスワードなどの細かい仕様までは理解していない。
この大破したスマホを見せれば、万一この場所を見つけられたとしても兵器として利用されることはないだろう。

「……行ってくるわね、スタちゃん。
 必ず、元の世界に戻る方法を見つけてくるから。イブリースやバロールを斃してでもね。
 そうしたら、すぐに迎えに来るから……それまで、不便でしょうけどここで待っていて頂戴」

「少しッスけど、ルピ置いてくッス。リバティウムの物価なら一年は余裕で生活できるはずッス。
 ま、すぐ戻って来るッスけどねー。ちょっとしたリゾート地でのバカンスだと思って、楽しんでてほしいッス!」

「うん……。ごめんね、隊長……大佐……」

さっぴょんが微笑み、きなこもち大佐がひらひらと右手を振る。
スタミナABURA丸は泣きそうな顔に無理矢理笑みを作り、一度頭を下げた。
最後に、シェケナベイベが彼女と向き合う。

「洋子、あーし……あたし」

「……うん」

「全員、ブチのめして来るから。あたしたち四人が、マル様親衛隊がこの世界でも最強だって、証明してくるから。
 洋子のいるこの世界を、守って……来るから――」

「うん……」

「…………あたし…………!
 絶対絶対、負けない……から…………!!!」

「…………うん…………!」

それから、スタミナABURA丸を欠いたマル様親衛隊は流浪の末、仕えるべき真の主に出会った。
『聖灰の』マルグリットに。


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