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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

238embers ◆5WH73DXszU:2020/09/01(火) 22:47:58
【ロスト・オブ・ブレイブ(Ⅳ)】

『エンバース殿! この『聖灰の』マルグリットに慢心、油断の類はないと思われよ!
 すべてはこの世界のため――万民が幸福な結末を享受するため!
 それを邪魔立てするとなれば、例え相手が誰であろうと容赦は致しませぬ!!』

〈……おや。ですが、あちらの信念はあなたの味方をしているようですよ〉

アニマガーディアン――顎門を開く/砲門のように。
口腔内で収束する魔力の輝き=『白死光(アルブム・ラディウス)』の前兆。
発射を許せば敗北は必至――だが、これで実質、マルグリットとの一対一。

〈持ち得る全身全霊の力で敵を葬る……敵ながら爽やかな戦いぶり。
 ですが、このままあなたが葬られてしまっては、私も困ります〉

「……フラウ、手を貸せ……いや、貸してくれ」

〈いいでしょう。ただし、貸すのは本当に手だけですよ〉

ひび割れた液晶に広がる波紋/二本の触腕が姿を現す。

〈さあ……ええと、では、遺灰の方。槍を手に〉

遺灰の男――血塗れの朱槍を再び手に取る。

「……俺は、どうすればいい」

〈真っ向勝負です。私が補助します〉

「真っ向……って、俺を担ごうとしてる訳じゃあ、ないんだよな?」

〈愚問です〉

「……クソ、やってやる。やればいいんだろ!」

遺灰の男――僅かな逡巡/だが、やるしかない――地を蹴り、疾駆。
灰の身軽さ/炎の推力――聖灰へと迫る、昏く燃え盛る流星。
速力は十二分――しかし、あまりにも安直な軌道。
対するマルグリット――深く腰を落とし、迎撃の構え。

「っ……うおおおおおおおッ!!」

そして血塗れの朱槍と、トネリコの杖が交錯する――その直前。

〈急減速します。備えて下さい〉

「お――おおおおおおッ!?」

液晶から伸びた二本の触腕が、遺灰の男の足元やや後方に、アンカーのように突き刺さった。
必然、本来届く筈だった朱槍/杖先は空振り――その上で、遺灰にはまだ行動の余地がある。

「お、おい!そういうのはもう少し早く――」

急減速の為に用いられた触手の内、左のみを回収/右を収縮。
結果――遺灰の男は触手の弾性から生じる反動によって大きく後方へ。
そのまま床に突き刺さった触手先端を中心に円を描く。

「ぬあああああ――――ッ!?」

つまりマルグリットに空振りをさせた上で、十分な速度を保ったまま大きく迂回。
そして空を奔る触腕/アニマガーディアンの胸殻を掴む――遺灰の男を引き寄せる。


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