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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
220
:
ジョン・アデル
◆yUvKBVHXBs
:2020/08/15(土) 00:15:27
「君はゲームをやった事ないから知らないだろうが…僕のこの鱗の皮膚は生半可な攻撃じゃ破れない。
ブレモンの中でもトップクラスの攻撃力を誇る攻撃なら強引に敗れるだろうが…現代兵器なんかじゃ太刀打ちできないだろうね。
だが明確な弱点もある…首だ。首の根本部分にだけ鱗で覆われていない部分がある…ここを狙えば驚くほどあっさり…僕は死ぬ」
「笑えるよな?いいところだけ奪っておけばいいのに同時に弱点も引き継ぐなんてさ…」
周りの戦いの騒音は激しさを増していく。
それなのに僕とロイは…静かに傷の治癒を待っていた。
これは間違いなく嵐の前の静けさだ…傷が治れば僕達はまた殺しあう。
「おっと・・・すぐに動かない方がいいぞ…いくらバロール印のポーションでも、君は血を失いすぎてるからな。」
それにしても不思議な気分だ。周りの様子はまさに戦争の真っただ中にある。
だが僕とロイは一時の休息を楽しんでいる。少なくとも僕は。
「なあ…ロイ。君にはシェリーの幻覚が見えないのか?」
ロイは僕とは顔を合わせない。
「僕は…見える。こいつなに言ってるんだって思われるかもしれないけど…僕は見えてる。今もね。
最初の内は会話もできていた…姿もハッキリ見えていた…けど」
ロイと僕の中間にいる幻影はなにもしゃべらない。それどころか姿さえもぼやけて見える。
「完全な化け物になりつつある今…会話するどころか姿さえハッキリ見えない。でもシェリーだという確信はある。不思議な気分だよ…」
ふと、頬に涙が流れる。
「いつぶりだっけ…君とこんな風に喋ったのは…喋りたい事…謝りたい事…一杯あったはずなのに…」
それなのに…これから起こる事は友達同士のじゃれあいなんかじゃない。
本当の…殺し合いが始まろうとしている。
「一度落ち着いて…話しているとなんでこんな事になったんだろうって思うよ。うまくやれる道もあっただろうって…
でももうお互い引けない所まで来てしまった。君は殺人を犯し、僕も寄り添ってくれた人達を自分の快楽の為に裏切ってしまった」
熊の腕になってしまった右腕を眺める。
「僕は…後悔してない。これからなにが起ろうとも…なゆ達や部長を自分の意志で裏切ったのだから…全てを無視して化け物になったのだから」
熊の右腕で鱗に覆われていない首の根本に傷をつける。ドクドクと流れる血を右手で思いっきり振りまく
「ロイ、君の手駒達を利用させてもらうぞ……甦れ小鬼共」
血を振りかけられた死んだはずのゴブリン達から水分が蒸発するような音が発生し、それが終わると共に立ち上がる。
生気の無い目、一目みればまともな状態じゃないとわからせる傷。しかしジョンの掛け声と共にゴブリン達はジョンに跪く。
その光景に生き残りのゴブリン達はただおびえる事しかできない。
「お前達…僕達の周りに例外なく、人を近寄らせるな。近寄ってこなければ構わなくていい、この命令は絶対だ」
ゴブリン達は返事の代わりに呻き声なのか、ただ隙間から音が漏れ出ただけなのか、わからない音を発し散開を始める。
「僕達…ブラッドラストの力の源は…血だ。血を媒介にして力を強化する。外に血が流れ出たとしても、それも僕の血だ。
そしてその血が他と…人間でもモンスターでも・・・血に交じってしまえば…僕の血なんだ。だからこうゆう事もできる
君がしていたような細かい指示はできないが…純粋な力だけなら元の状態より遥かに高い…」
死後間もない死体や血の通った生命体なら自分の血を混ぜる事で体全体に残っている血液から体を操る事ができる。
意識まで乗っ取る事はできないが、体を操作する事ができる。
僕は化け物になった瞬間に、この力の使い方を完全に理解していた。なにができる事で、それはどんな使い方ができるのかを。
まるで使い方を元々知っていたかのように・・・。
「当然だが、生身の人間相手でも同じ事はできる。だがそんな近道を通るような事はしない。
少なくとも、ロイ、君には絶対使わない。僕はあまりにも近道をしすぎた。化け物としての最初の一歩くらいは…ちゃんと歩かないとな」
傷が完全に治って、戦いが始まれば…今度こそどっちかが死ぬまで戦う事になるだろう…今度は手を止めない…そして…誰にも邪魔させない
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