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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
214
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2020/08/09(日) 22:43:10
「ひひッ、いいのかァー? 幻魔将軍に助けを求めなくても。
たちゅけてー! ポクちん、シェケナベイベ様にコロコロされちゃうぅー! ってさァ? えぇ?」
明神と対峙しながら、シェケナベイベがニタリ……と嗤う。
「まっ、隊長が幻魔将軍をブチ殺したいってンならしゃーないけどさァ。
隊長に直々に殺られるなんてカワイソーに……嬲り殺しだわありゃ、あのヒト生粋のドSだからさァ。まっ同情はしねぇーケド!
心配すんなようんち野郎、あんたもすぐにメタメタに叩きのめしてやっから!
あーしのデスメタルコンボでなァ! 殺れ、インギー!」
『イイイイイイイイイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
インギーと呼ばれたパンクロッカー風のゾンビが、長髪を振り乱してギターをかき鳴らす。
恐るべき速弾きだ。両脇に備え付けられた身の丈ほどもあるスピーカーから、爆音が轟き渡る。
>『迷霧(ラビリンスミスト)』――プレイ!
対して明神はスペルカードで濃霧を発動。シェケナベイベ組の視界を塞ぐと同時、音の攻撃を可視化する。
明神の推察通り、アニヒレーターの音撃はスピーカーの扇状に拡散される。
その範囲を正確に見極めれば、衝撃波となって襲い来る音楽を喰らわずに済むという訳だ。
>ジョン――!!
「ハッハァ! ヨソ見してる余裕があるとでも思ってますゥーッ!?」
ジョンの所へ行こうとする明神を、アニヒレーターの音撃が阻む。
>シェケナベイベ……!
「お仲間が心配かい? でぇーも! 行ーかーせーまーせぇーン!!
まァ安心しなよ、例えフリントがあのバケモンにやられたとしたって、マル様が斃してくださるしー!
安心してくたばっていいっつーか!」
>なあシェケちゃん、ちょっとお話に付き合えよ。すげえ聞きたかったことがあるんだけどさ
「あァ……?」
>お前らなんでスタミナABURA丸を切り捨てちまったんだ?
俺の知ってるお前らは、いっつも4人で仲良くマル様への愛を語らってたじゃねえか
>わからねえなあ。現代日本で暮らしてたはずのお前らが、同じ人間を簡単に殺しちまえるのも、
善意の擬人化みてーなマル公が、お前らの身内殺しを許すのも。全部だ
「殺す? あんた……何言ってるワケ?」
シェケナベイベが怪訝な表情を浮かべる。
気付かぬうちに、まんまと明神の話術に引き込まれてしまっている。
だが――
>目的の為には無辜の民すら見殺し、身内を容易く見捨てる連中を侍らせてる。
お前らが引っ付いてるあのマル公の姿は、お前らの大嫌いな『解釈違い』の極みだろ
「……はッ。
は、ははは、はははははハははハハハは! あっはっはハッはハはははハハはハはははははハ!!!」
明神がそこまで言うと、シェケナベイベはおもむろに嗤い始めた。
「あー! あーあーあー! なァーる! 『そういう解釈』かァ!
隊長の言った言葉、まーだ考えてたってこと? もうずっと昔の話だってのに!
ひはッ! イヒヒ……ひぁッははハはハはははハはは!!!
ウッケる! こいつってばマジウケルっしょ! オーケイ! うんち野郎、あんたクソコテやめてお笑い芸人になれば!?」
右手で額を押さえて爆笑していたシェケナベイベだが、はー……と息を吐くとゆっくり顔を正面へと戻した。
「そォだよ。あーしたちは終わらせてやった、アブラっちの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』としての命を。
『異邦の魔物使い(ブレイブ)』である限り、闘いからは逃れられない。
あーしたちはこの世界の連中から、兵器として召喚されたんだから。
闘いたくありましぇーんなんて寝ぼけたこと言うヤツは、早晩おっ死ぬだろーさ。そォッしょ?
どうしても闘いから逃れたかったら――そいつは! 何もかも投げ捨てなくちゃダメなのさ!!」
ギャィィィン!! とアニヒレーターが甲高くギターを鳴らす。
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