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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
209
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2020/08/09(日) 22:39:53
「これでも足りんとはな……」
チェーンマインを用いても、モンスター化したジョンには碌なダメージを与えられない。フリントは歯噛みした。
ブラッドラストの力はフリントの肉体にも満ちている。膨大な戦闘経験によって培われた、殺しのテクニック。
米陸軍で敵なしだったはずのフリントの力が、このバケモノにはまるで通じない。
まさにフィジカルモンスターと言うべきだろう。彼我の差をまざまざと見せつけられた気分だった。
といって、諦める訳には行かない。自分は今このときのために陸軍に入り、訓練と実戦を重ね、
そして――ニヴルヘイムに召喚されたのだから。
ナイフホルスターからタクティカルナイフを取り出すと、フリントは身構えた。もう一度近接戦闘を仕掛けようというのだ。
だが。
>やめろって言ってるじゃん!! 竜巻大旋風《ウィンドストーム》!!
不意に、カザハが両者の間に風の魔法を叩き込んでくる。
フリントは身軽にバックステップを踏んで後方に逃れた。自然、ジョンとの間合いが開く。
>ジョン君……殺すのも駄目だけど殺されるのも駄目だよ。
余計なお世話なんて言わせない。”助けて”ってクエスト発注したでしょ? 受注リストに載っちゃってるよ?
カザハはモンスターと化したジョンをなおも説得しようとしているようだった。
だが、ブラッドラストに抗うことをやめ破壊の悦楽に身を任せたジョンに言葉など通じるはずがない。
>“化け物になった”――か。そうだね、確かにシステム上そうなってる
>モンスターならブレモンのゲーム的システムの支配下に置かれる。今なら呪いを解けるかもしれない……!
「邪魔をするな、これは……俺とジョン、ふたりだけの戦いだ……!
貴様ごとき部外者に何が分かる、貴様こそ――俺たちの因縁にしゃしゃり出てくるな!」
フリントがカザハへ向けて大きく右腕を振り、拒絶の意を示す。
「化け物? 調子に乗るな、ジョン。それで強くなったつもりか? 力を手に入れたと?
違うな……貴様は逃げたんだ。シェリーを殺したという自責の念から。贖罪の義務から。
『貴様が本当にやらなければならないこと』から目を背けて――それで! 化け物になっただと!
貴様は昔と同じだ、何も変わっちゃいない。図体ばかりでかくて弱い、泣き虫ジョンのままだ――!!」
だんッ!
大きく一歩を踏み出すと、フリントはまたしても一気にジョンへと迫った。
が、攻撃を仕掛けようというのではない。ジョンの伸ばした熊腕をまたしても見切ると、フリントはその腕を足場に高く跳躍した。
タクティカルアーマーと各種兵装の総重量は60キロほどにもなる。
それを身に着けながら熊の腕を駆け上がり跳躍するなど、恐るべき脚力、身体能力と言わざるを得ない。
まさにブレイブハンターの面目躍如であろう。瞬時にジョンの頭上を取ると、フリントは空中でアーマーの胸ポケットに手を入れた。
そこから取り出したのは、漆黒のスマートフォン。
素早く液晶画面をタップすると、フリントはインベントリから兵装を取り出した。
それは――現代人類が開発した、個人携帯兵器の到達点のひとつ。
RPG-7、いわゆるロケットランチャーだった。
フリントは躊躇なくジョンの脳天めがけてロケットランチャーの引き金を引いた。
ボシュッ!!
弾頭が射出され、即座にジョンへと着弾する。爆発、轟音。チェーンマインとは比較にならない勢いの爆炎が荒れ狂い、
ジョンの全身を舐める。
ガガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!
爆風で吹き飛ばされながらも、フリントはブラッドラストの力を使い危なげなく着地を果たす。
無防備な脳天へ至近距離からのロケットランチャー、これはフリントの持ちうる最大火力である。
これを凌がれれば、もうフリントにはジョンにダメージを与える方法がない。
だというのに――
オレンジ色の爆炎の向こうに、右腕が極端に大きい真っ黒なモンスターのシルエットが見える。
「……クソッ」
額を流れる嫌な汗を乱暴に右腕で拭い、フリントは呟いた。
と、すぐさま反撃の一撃が来る。咄嗟に胸の前で両腕をクロスさせ防御したが、
フリントは熊の腕に大きく吹き飛ばされて近くの壁に背中から激突した。
「がはッ!」
血ヘドを吐き、ずるずるとくずおれる。
人間であることを放棄したバケモノと、バケモノになりきれなかった人間。
その明暗が分かれた。
「く……そ……」
フリントはなんとか片膝立ちでナイフを構え直したものの、消耗が激しい。
このまま、ジョンがフリントを手にかけるのか――と思われた、その瞬間。
《―――――――――――》
ふたりの間に割り込むように幼い少女の幻影が現れ、化け物と化したジョンを見つめた。
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