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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

207embers ◆5WH73DXszU:2020/08/04(火) 22:43:38
【パワー・オブ・エヴォルブ(Ⅳ)】

「――馬鹿め。俺は、お前達を楽に死なせてやるって言ってるんだぜ」

遺灰の左手が己の胸を掻く/床に散らばる、燃える弾丸。
昏く燃え盛る双眸が、眼前で再装填を始めるゴブリンを見下ろす。
風切り音/右手の朱槍が半月を描く――血に濡れた刃が、子鬼どもの首を宙へ誘った。

「そら、こんな風にな」

噴き出す鮮血/それを浴びる遺灰の男/響く蒸発音――黒衣の亡霊が、血霧を纏う。

『エンバース殿! 邪魔立て無用!』

「ああ、そういえばお前もいたな。お前は多少は歯応えがありそうだ」

闇色に燃える眼光が、マルグリットを/アニマガーディアンを振り返った。 
血染めの槍、その穂先を甘い美貌へと突きつけ、遺灰の男は嗤う。
己の強さを示すには、子鬼の軍勢は些か役者不足だった。

「……すぐに壊れてくれるなよ」

遺灰の男が、血に濡れた槍を両手で強く握り締める。
瞬間――闇色の炎が槍へ燃え移る/瞬く間にその全体を炎上させる。
魂をも燃やし、骸に焦げ付かせる、呪われし聖火による――属性エンチャント。

〈――あまり、調子に乗らない事ですよ〉

不意に、スマホの中から警句が聞こえた。

「……なんだと?」

〈確かに、あなたは不死者としてより高度な存在となった。
 物質から解き放たれ、魂に紐付いた呪いを操れるようになった。
 あなたは最早ただの燃え残りではない――あなたは、魔物として進化した〉

「ああ、そうだな。俺は死してなお、強くなって――」

〈――ですが、それでも。今のあなたは、かつてのあなたよりもずっと弱い〉

闇色の眼光が、己の左手/スマホを見下ろす。

「聞き捨てならないな」

〈でしょうね。ですが、事実です。もし認め難いなら――あれで、試してみては?〉

「……それは、名案だ」

遺灰の男の両手が、コートの内側を探る。
取り出したのは二振りの手斧/そこに燃え移る闇色の炎。
投擲による、ATBゲージに依存しないダメージ源――かつて磨き上げた、殺しの技。

「もしお前の見込み違いだったなら、少しはその態度を改めてくれ」

そして闇色の刃が流星の如く、アニマガーディアンへと閃く。


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