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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

206embers ◆5WH73DXszU:2020/08/04(火) 22:40:27
【パワー・オブ・エヴォルブ(Ⅲ)】

『あなたは……』

『アルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』よ、またお目にかかれて光栄の至り。
 斯様な少勢でこのダンジョンを踏破するとは、まこと驚嘆する他はありませぬ。
 貴公らこそまことの勇者。まことの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』でございましょう』

「……俺達が勇者か。じゃあ、そっちが悪党の自覚はあるんだな」

『弁解は致しますまい。私は『黎明』の賢兄の指示にてこの場へ赴きました。
 これなるフリント殿と、貴公らの戦いの見届け人となるために』

『……なんだ? 貴様の出る幕じゃない、引っ込んでいろ』

「ゲーマーとしての意見を述べると、俺もあんたに賛成だ。
 プライベートマッチへの乱入は、重大なマナー違反――」

『いいえ。確かに、我らは見届け人として貴公に同行するよう賢兄より仰せつかりましたが――
 敢えて口出しさせて頂く。これでは一方的な虐殺ではありませんか』

「――前言撤回だ。あのマルグリットの本編未実装ボイスを聞ける、貴重な機会だ。
 これを逃す手はない。是非とも心ゆくまで無駄口を叩いてくれると非常に助かる」

マルグリットは底抜けの善人――その気性が、今回はこちらに有利に働いた。
遺灰の男は思い出す――ストーリー上で、マルグリットは何度も己の行く手を阻んだ。
時に信念に従って/時に勘違いによって/時には誰かに騙され――大抵の場合、ろくでもない理由で。

『例え敵であろうとも、同等の条件で死力を尽くし戦うのが戦士の礼儀。
 小鬼どもを退けられよ。ここは正々堂々、真っ向勝負で戦うが筋というもの』

つまりこれは、ブレモンプレイヤーにとっては「ああ、またか」程度の出来事。
だが――軍隊の殺人術を熟知した、憎悪に駆られた復讐者にとっては、どうか。
言うまでもなく、取り合う価値などないに決まっている――故に、対応を誤る。

『筋? ならば、敵が抵抗できない状態で一方的に攻撃しとどめを刺すのが軍隊の筋だ。
 貴様は黙っていろ。子供の遣いまがいの簡単な仕事もできん無能と、兄弟子へ報告されたくなければな』

「アマチュアめ。そんな態度じゃ、ノーマルエンドにも辿り着けないぜ」

二勢力間の協調関係は、瞬く間に崩壊した。
結果――戦力は分散/初見殺しを成し遂げる好機も逸した。
加速度的に混沌を深めていく戦況を、遺灰の男は退屈そうに見回し――

「では、俺は『異邦の魔物使い(ブレイブ)』外の戦いをする連中の相手をするとしよう。
 歯応えがなさすぎる気もするが……な」

そして闇色の眼光が、ゴブリンアーミー達に本能的な忌死の恐怖を植え付けた。
瞬間、遺灰の男は血槍を構える/夜闇の如く子鬼の軍勢へと突貫。
上段から放つ紅蓮の一閃/子鬼の運動性能では回避不能。

響く破砕音/くぐもった悲鳴――飛び散る鮮血。
防弾ヘルメットは、強烈な衝撃による脳挫傷を防いではくれない。
崩れ落ちる死体――その横をすり抜けるように、遺灰の男は更に敵陣深くへ踏み込む。

「仲間の為を思うなら、無駄弾を撃つのはやめておけ――」

皮肉混じりの警句/それを掻き消すように響く銃声――黒衣を射抜く無数の弾丸。
弾丸の慣性が、燃え尽きた/灰を固めただけの五体を揺らす。
そして響く――撃鉄の、空の薬室へのノック音。


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