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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

186ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2020/07/23(木) 18:27:37

痛い。痛い。痛い。

僕の思考は完全にそれだけで埋め尽くされていた。僕の視界に、綺麗に切断された右腕が移っている事で、さらにその痛みは現実として反映された。

「あぁ・・・ぁぁ・・・」

生まれて初めての痛みに、僕はただうめき声を上げる事しかできなかった。
右腕を抑えている左手の隙間から止めどなく流れる血が辺りを染めていった。

熊に半殺しにされた時も、ヒュドラに半殺しにされた時も、死ぬほど痛かった。でもその時は五体満足だった。
痛みはその時よりマシかもしれない・・・でも右腕はもう帰ってこない。でも・・・

「痛い・・・痛いんだ・・・すごく・・・でも痛みがわかるって事は・・・僕はまだ生きているんだ」

僕の中で何かが治ったような気がした。

「父さんが言ってたんだ・・・生きてればやり直せるって・・・多少みっともなくても死ぬよりマシだって・・・」

自分の本当の気持ちは自分でもわからない時がある。だれかに言われた言葉だった気がする。
その時は自分の気持ちを自分が知ってないなんてありえないなんて笑い飛ばした。

「ふふっ・・・フフフ!」

僕はずっとこのブラッドラストの事を呪いだと思っていた。
自分の身を犠牲にして力を得て、最後には自分の意志に関係なく怪物と化して堕ちるか、それとも自ら命を絶つ事になる呪い。
人を殺めてしまった者に課せられる罰のような物だと。

でも実際は違って。

「えへへ・・・僕まだ生きてるんだあ」

この力は願う者に悪魔から贈られる祝福なのだ。
人を殺めて、それでも叶えたい願いがある者に与えられる。

ロイは復讐を願った。自分よりも高みにいる僕を殺すために願った。渇望した。だから力を手に入れた。

「僕はやっと気づいたんだ。いやあえて知らないフリをしてたのかも。
 もしくは誰かにそう仕向けられていたのかも・・・ま、もうどうでもいい事だけど」

なら僕は?

「僕は・・・殺し合いが好きなんだ。命と命の奪い合いが・・・真剣勝負の果てに勝利がほしいんだ
 この世界に来なければ一生気づかなかったかもしれない!英雄なんて肩書はいらない!僕はただ戦いたいだけだったんだ!」

その為に悪魔が僕に力をくれたんだ!この世界でも戦えるように!

「あぁ・・・この世界にきてよかった!」

誰よりも純粋で、真っすぐな笑顔で僕はそう言い放った。


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