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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

177崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/07/17(金) 00:52:09
さらさら、さらさら。
マルグリットのローブから零れる白い何かが、その足元に溜まってゆく。

「…………」

フリントが右手を挙げる。が、それはなゆたたちアルフヘイムの『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を狙ってのものではない。
ゴブリンアーミーがマルグリットとマル様親衛隊へ銃口を向ける。
一触即発の雰囲気に、なゆたは一瞬背後を振り返って明神やカザハに目配せした。
あちらが始まったら、すぐにこちらも戦闘行動を開始しよう、と。
ATBの概念のないゴブリンアーミーと一戦交えるよりは、同じ『異邦の魔物使い(ブレイブ)』と戦った方が勝機はある。
とはいえ、相手はあのマル様親衛隊だ。特に隊長さっぴょんはなゆたさえ手も足も出ない剛の者である。
だが、それはあくまで地球での話。今闘えばどうなるかはわからない。
すでにポヨリンはなゆたの足許におり、切るべきスペルカードも決まっている。
あとは、戦闘開始と同時に全力でぶつかるだけだ。

だが。

なゆたは失念していた。
この場所へ足を踏み入れたとき、本来いるべきアニマガーディアンは存在せず、代わりにフリントたちがいた。
レプリケイトアニマが再起動した際にトラップやモンスターらがリポップしたというのなら、
アニマガーディアンも当然アニマコアを守護するために存在しているはずである。
だというのに、アニマガーディアンはこの場にいなかった。ならば――
アニマガーディアンは、果たしてどこに行ったのか?

「地の理、水の理、火の理、風の理。万象はなべて容を喪い、灰へと還るものなり。
 四つの理、其を束ねし天の神霊に希(こいねが)い奉る!
 今ぞ大いなる義に依りて万理をさかしまに塗り替え、灰たる者に在りし日の姿を与えん!
 聖灰魔術(キニス・インヴォカティオ)――顕現!!!」

ざざ。
ざ。ざざざざ……

マルグリットの足許に零れ落ちた白い粉がその形状を変え、マルグリットの前方で何かを描いてゆく。
それは、魔法陣。
直径10メートルほどの魔法陣が灰によって構築され、まばゆい光を発して膨大な魔力を生み出す。

「チ……! 撃て!!」

フリントが手を振り下ろす。ゴブリンアーミーが一斉にマルグリットを射撃する。
無数の弾丸がマルグリットめがけて発射される――
だが、マルグリットにアサルトライフルの弾丸が命中することはなかった。
ゴブリンたちの撃った銃弾は、すべて灰の魔法陣から出現した巨大な骸骨――アニマガーディアンの体躯に跳ね返されていた。
マルグリットのユニークスキル『聖灰魔術』。
自分の斃したモンスターの灰を触媒とし、使い魔として召喚し戦わせるという、変則的な召喚術。
アニマガーディアンは確かにリポップしていた。
それをマルグリットは先んじて討伐し、自らの手駒としていたのである。

ガォンッ!!

召喚されたアニマガーディアンが三対の腕で曲刀を振り下ろす。ゴブリンアーミーの何匹かが瞬時に細切れになる。
フリントは歯噛みして後退した。

「ヒィ――――――ハ―――――――ッ!! うんち野郎ォォォォ! 宣言通りバラバラにしてやんよォォォ!!!」

シェケナベイベが狂的な笑みを浮かべながら明神へと突進する。フライングVに酷似したギターを持ったゾンビ、
アニヒレーターが大きく跳躍し、ヤマシタめがけて唐竹割りにギターを振り下ろしてくる。

「明神ッ!」

「残念ね、そうはさせないわ……幻魔将軍。
 私が相手をしてあげる。――この私のミスリル騎士団が、ね。
 いい機会だもの……アコライト外郭を更地にしてくれたお礼、たっぷりしてあげる」

明神の援護に入ろうとしたガザーヴァとガーゴイルの前に、さっぴょんが優雅な所作で立ちはだかる。
さっぴょんの周囲には、既に白銀のチェスピースが幾何学模様の陣形を描いて展開している。
ガザーヴァはこれ見よがしに舌打ちした。

「くそッ! なんだよコイツ、数の暴力じゃん!
 おい、そこのバカ! オマエだよオマエ! ちょっとこっち来い! 力貸せっての!
 この女、速攻でブチのめして明神助けに行くぞ!」

カザハの姿を視界に捉えると、ガザーヴァは心底嫌そうな表情を浮かべながら手招きした。


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