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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

174崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/07/17(金) 00:34:20
一行の目の前に、両開きの大扉がそびえ立っている。
この扉の向こうがレプリケイトアニマの最深部、コア・ステーションだ。
パーティーは激闘の末、数々のフロアを突破し最後の試練が待ち受ける場所のすぐ手前まで到達していた。

「うひぃ〜……さすがに疲れた……」

兜を脱いだガザーヴァがぱたぱたと右手で顔に風を送っている。
明神とガザーヴァ、ジョンの吶喊によって、前方の敵はあらかた撃破した。帰り道もこれでスムーズに格納庫まで行けるだろう。

「みのりさん、残り時間は?」

《あと30分強ってとこやね〜。
 さ、残すはアニマガーディアンだけや。おきばりやす〜。
 アニマガーディアンの特性はわかってはるやろね? ガーディアンは光属性やから、
 明神さんとガザーヴァちゃんを中心に攻めるのがええやろねぇ》

「うぇ、まーたボク達かよぉ!
 ちょっとは他の連中も働けよなぁー、だろー明神!」

「あはは、お疲れさま。
 そうだね、わたしたちも……ちゃんと役に立たなくちゃ」

「別に、後ろに下がっててくれてもいいんだぞ。
 後は俺がやる……真打登場って所か」

ガザーヴァがベロリと舌を出す。しかし戦闘が始まればすぐに嬉々として飛び出していくのだろう。
結果的に今まで力を温存することになったなゆたとエンバースも、アニマガーディアンとのボス戦は全力で行こうと決意する。
ガザーヴァがポーションをがぶ飲みするのを横目に、なゆたはジョンを見た。

「……ジョン、具合の方はどう? 身体は……痛くない?
 みのりさんの言うとおり、後はアニマガーディアンだけだから。
 ここへ来るまで、ジョンにはたくさん無理させちゃったし。
 あとは休んでて? もしわたしたちが危なくなったら加勢してくれる感じでお願い」

例えジョン本人がブラッドラストを使うことを躊躇わなくなったとしても、こちらは同じ気持ちではいられない。
ジョンの呪いを解きたい気持ちは変わらないし、そのためにできる限り手を尽くしたいと思っている。
それで戦力がダウンしたとしても、それはやむを得ないことだろう。
ブラッドラストというスキル自体がチートのようなものだ。正攻法以外の手段を使って勝つのは、
『スライムマスター』モンデンキントの矜持が許さない。

「じゃ……行こう。
 明神さんもカザハも、エンバースも。準備はいい?
 速攻で片付けるよ――!!」

ぱぁん! と自分の頬を両手で一度叩き、なゆたが気合を入れる。
アニマガーディアンは光属性のゴーレムである。
その外見は、無数の白骨によって構築された身長7メートルほどの骨の巨人。いわゆるボーンゴーレムというものだ。
使用されている骨の種類は人骨のみならず巨人や魔獣など多岐に渡り、
三対の腕にはそれぞれ成人男性の身の丈ほどもある長大な曲刀を握っている。
無数の人間の頭蓋骨が集まり、一個の巨大な頭蓋骨を形成している頭部の眼窩は爛々と輝き、
コアを破壊しようとする侵入者を完膚なきまでに叩きのめす、まさに山場ダンジョンのボスに相応しい強敵である。
高い物理攻撃力、耐物理防御力を誇り、半端に殴ったところでまるでダメージが通らない。
反面やや魔法防御力が低いため、プレイヤー側の攻撃は必然的に魔法が主体となる。

主力攻撃は三対六本の腕に握った曲刀による単体物理攻撃『ジェノサイドスライサー』と、
全身をバラバラに分解させ骨の嵐となって荒れ狂う全体物理攻撃『グレイブヤード・ストーム』。
さらに光属性の魔法も何種類か使用してくる。
特に注意すべきなのは大きく口を開け、魔力を集束させて放つレーザー『白死光(アルブム・ラディウス)』。
魔力のチャージに時間がかかるため対処する猶予はあるものの、喰らえば即死級の威力を秘めた全体魔法攻撃である。

紛れもない強敵ではあるものの、明神やエンバース、なゆたらクリア経験者からすればそう手こずる相手でもないだろう。
エンバースがゆっくりと扉に手をかけ、力を込めて開いてゆく。
扉の向こうの光景が、全員の視界に入ってくる。
そこには紅く輝く巨大な球体アニマコアと、それを守護するように佇むアニマガーディアンの姿が――


……姿が。なかった。


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