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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

146ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2020/06/30(火) 14:58:04
その時の僕は自分でもびっくりするほど落ち着いていた。

シェリーを救う為に思考を巡らせていた。
どうやったら熊を刺激せずにこの場を離れられるのか。

シェリー・部長は熊を見つめたまま動かない。
目を背けたら死ぬとわかっているから。

雨が降ってもお互い微動だにせず。じっと見つめあっていた。

だがその時・・・雷が落ちた。

大きな音が鳴り、眩い光が一瞬視界を包んだ

音に驚いたのか反射的に目を瞑ってしまったからなのか、熊はシェリーを襲い始めた。

僕は今まですべての思考を放棄し、サバイバルナイフを手に熊に襲い掛かった。
無謀なのは分っていた。でも、目の前でシェリーが襲われているのに無視するなんて僕にはできなかった。

がむしゃらに熊の体にナイフを何度も突き刺した。
振り降ろされても背中に飛びつきさらにナイフを突き立て続けた。
熊に突き飛ばされ、木にたたきつけられようともとも立ち向かった。

そして記憶が飛ぶほどの、過激な時間を過ごした後に残っていたのは
熊の死骸と全身血まみれになりがら立っていた僕だった。

体中が痛いとかいうレベルを遥かに超えていたけど、彼女を守れたという事実が僕の意識を保っていた。

「もう大丈夫だよ・・・敵は倒したから・・・」

「いや!こっちこないで!」

「大丈夫!僕だよジョンだよ!落ち着いて・・・」

「あんたなんかジョンじゃない!・・・ただの化け物よ!」

彼女は極限状態にさらされ続けて精神が相当に参っていたのだと思う。
遭難に熊、そして夜の山。子供には大変な事ばかりだったから・・・。

「なに言って・・・」

「私の知っているジョンは・・・そんな化け物みたいな笑顔で笑わない!!」

そういいながらシェリーは後ずさりで僕から距離を取る。
でも後ろに急な斜面があって・・・。

「やめろ!そっちは危ない!」

「危ない!?今のあんたに近づく事が一番危ないわよ!・・・どうしてこんなこと・・・きゃあああああ」

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