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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

142崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/06/23(火) 02:42:32
アイアントラスを出発して十日後、山岳地帯の一角に、遠目でもそれと分かる巨大な塔めいた構造物が見えてきた。
……が、何か様子がおかしい。
今のレプリケイトアニマは一巡目の『異邦の魔物使い(ブレイブ)』達によって攻略された、ただの廃墟のはずである。
過去の遺物。
激戦の跡地。
一巡目の残骸、無力な抜け殻――

なのに。

『回転している』。

《動いてる―――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!??????》

がびーん! とバロールがスマホの画面の中で驚愕する。
そう、動いている。回転している。ゆっくり、ゆっくりと――しかし着実に大地を抉り、貫き、穿ち。
『下へと掘り進んでいる』。
パーティーがレプリケイトアニマへ近付くたび、その状況は確信となり、危機感となって重くのしかかってくる。
ゴゥン、ゴゥン、ゴゥン……と低い、腹の底に響くような駆動音が鼓膜を震わせる。
間違いない。螺旋廻天レプリケイトアニマは復活している、そしてかつて自分が成し得なかったことをしようとしている。
即ち――世界の奥底に存在する霊仙楔の破壊。アルフヘイムの転覆を。

《ふおお……すごい魔力だ! 計測値を振り切ってるよー!? 誰だ私のレプリケイトアニマを勝手に動かしてるのはーっ!?》

《師匠は黙っとき! みんな、見えてはるやろね!? もう説明不要や思うけど一応な!
 レプリケイトアニマが起動しとる――! おそらくニヴルヘイムの連中か、十二階梯か……!
 予定変更や、レプリケイトアニマの停止を最優先!》

「り……、了解!
 みんな、行こう!」

なゆたは慌てて返答すると、ポヨリンを伴ってレプリケイトアニマへと走った。
地表に近いアニマの側面には、かつて一巡目の世界で霊銀結社がやっとのことで開いた直径5メートルほどの風穴が開いている。
ゲームでは、プレイヤーはここから中に入りコアを目指したのだ。
先人とゲームに倣い、すっかり朽ちたその穴から中に入る。
中は石壁と石畳の通廊のような構造になっており、魔力で通電しているのか照明が内部を明るく照らしていた。
バロールの話ではもう完全に廃墟と化しており、魔物たちは全滅。防衛機構のトラップも死んでいる――
はず、だったのが。

「ギシャオオオオオオオオッ!!!」

パーティーがアニマの内部に降り立ったと同時、何者かの咆哮が周囲に響き渡った。
と同時、茶色い毛皮の二足歩行をした獣人めいたモンスターが牙を剥き出し、手指の鋭利な爪を振りかざして襲い掛かってきた。
アニマソルダート。このレプリケイトアニマの内部に巣食い、侵入者を排除するモンスターの一種である。

「ポヨリン! 『しっぷうじんらい』!!」

『ぽよよっ!』

なゆたの鋭い掛け声に反応し、ポヨリンが弾丸のようにアニマソルダートへ突進する。
アニマソルダートは一体だけではない。どこにこんなに、と思うほど湧き出しては、
明神やカザハ、ジョン、エンバースへ襲い掛かる。
終盤最難関のダンジョンだけあって、他にもアニマ内には要所に配置されタンク役をこなすアニマディフェンダー、
遠距離攻撃を得意とするアニマアーチャー、アコライト外郭でも戦ったロイヤルガードなど強敵が目白押しである。
そして――

「く……! このッ!」

ポヨリンに指示を出しながら、なゆたは身を翻して魔物から距離を取ろうとした。
『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は戦闘中は無防備になってしまう。
フリントにも指摘された『異邦の魔物使い(ブレイブ)』の弱点だ。それを避けるには魔物から離れ、
安全な間合いでパートナーに指示を出し続けるしかない。
しかし、なゆたがあるとき足元のタイルのひとつを踏むと――
がこんと音がして、足元のタイルが僅かに沈み込んだ。

「がこん?」

なゆたは怪訝な表情を浮かべた。……そして、その直後。
びゅおっ!! と音を立て、なゆたの左側の壁面から槍が飛び出してきた。

「ひょわわわわわわぁっ!!!??」

持ち前の身体能力、そして『蝶のように舞う(バタフライ・エフェクト)』を総動員し、間一髪で躱す。
なゆたの背を嫌な汗が伝う。あともう少しでも避けるのが遅れていたら、串刺しになっていたことだろう。


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