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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

141崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/06/23(火) 02:38:46
螺旋廻天レプリケイトアニマ。
ゲーム本編終盤に、魔王バロールがアルフヘイムの一切合切を崩壊させようと放った『創世魔法』究極の一撃。
大地を穿つ破滅の杭。

直径300メートル、全高80メートルの威容を誇る円柱状の構造物であり、バロールはこれを大地に突き立てて地面を掘削し、
大地の奥深くに鎮座する世界の要石『霊仙楔』を粉砕して、世界を丸ごと転覆させようと画策した。
レプリケイトアニマの強固な外殻を破壊することはほぼ不可能。
破滅の杭が霊仙楔に達するのを防ぐには、多層構造のダンジョンとなっている内部に潜り込み、
最深部にあるコアを破壊しなければならない。

ゲームではレプリケイトアニマを止めるため、今までプレイヤーが友誼を結んできた各地の味方勢力が一致団結し、
レプリケイトアニマ防衛のためにイブリースが差し向けてきたニヴルヘイムの軍勢と激突する一大決戦が行われた。
その果てにプレイヤーが最深部へと到達、コアの防衛機構であるレイド級ボス・アニマガーディアンを撃破。
コアを破壊されたレプリケイトアニマはその形を保てなくなり崩壊、消滅――した、はずだった。
しかし、この世界は時間遡行の魔法によりゲームの世界から剥離した、二巡目の世界。
数多のバグを残したまま巻き戻った世界の大地に、レプリケイトアニマは未だに突き立っているという。
そして――そのレプリケイトアニマの隠し格納庫に、強襲飛空戦闘艇ヴィゾフニールがひっそりと眠っている。

《いやー、趣味で作って後はそのままうっちゃっておいたヴィゾフニールが、こんなところで役に立つなんてね!
 なんでも創ってみるものだ、うん!》
 
バロールが身を乗り出し、さも自分の功績だと言いたげな様子で朗らかに笑う。
功績も何も、バロールがレプリケイトアニマなどという魔法を使ったお陰で一巡目は大量の死者が出たのだが。
そんなバロールの頬を左手で押しのけ、みのりが続ける。

《師匠、ちょっと黙っとってくれはります? 師匠が喋るとめんどいことになるやろし。
 ……まぁ、ともかくレプリケイトアニマで飛空艇を手に入れるのが一番の近道や思うんよ。
 そっちに行ってもらえへん? ちょくちょく計画変えてもうて、堪忍なぁ》

レプリケイトアニマは終盤の難関ダンジョンだ。
ゲームの中では最強クラスのモンスターが大挙して待ち受け、即死級のトラップがこれでもかと設置されている。
バロールの意地の悪さが全面に散りばめられている超難所であり、よほど周到な準備をしておかなければ初見クリアは難しい。
一度入ったら踏破するか全滅するかしない限り出られず、おまけに時間制限もあるので、慎重すぎる行軍も仇になる。
ストーリーでは多数の味方NPCたちが回復やバフなどの支援をしてくれ、プレイヤーの手助けをしてくれたが、
今回は勿論そんな援護は期待できない。徹頭徹尾、自分たちだけで戦い抜くしかないのだ。
多くのブレモンプレイヤーにとってトラウマになった、と言ってもいい場所。螺旋廻天レプリケイトアニマ――

それに。これから挑む。

《心配無用! 今のレプリケイトアニマは廃墟のようなものさ。
 防衛機構であるトラップの数々も、かつて私が召喚した番人たるモンスターたちも死に果てている。
 君たちは中に入ってヴィゾフニールを回収するだけでいいという寸法だ!
 楽ちん楽ちん、はっはっはっ!》

能天気にバロールが笑っている。
現在のレプリケイトアニマはなぜか消滅せずに残っているものの、そのシステムは完全にダウンしているという。
ただ大地に突き立っているだけなら、破滅の杭も単なる塔にすぎない。当然時間制限もない。
あとは、悠々と内部を探索してヴィゾフニールを手に入れるだけの、簡単なミッションというわけだ。

「ヴィゾフニールかぁー……。あれ、耳キーンってなるからイヤなんだよね……ボク……」

ガザーヴァが眉間に皺を寄せて呟く。
乗ったことがあるのか、地球で飛行機に乗った際、気圧差で耳が痛くなるアレをガザーヴァも経験しているということらしい。
ともあれ。飛空艇さえ手に入れてしまえば、いくらフリントがゴブリンアーミーの練度を上げたところで関係ないだろう。
その頭上を飛んでいけばいいだけである。もしゴットリープたちがフリントに他の飛空艇を与えていたとしても、
ヴィゾフニールは魔王バロールがユニークスキル『創世魔法』で建造したワンオフものの高速戦闘機。
いかに霊銀結社の『大達人(アデプタス・メジャー)』といえどそれに匹敵する速度のものは造れまい。

エーデルグーテに行った後どうするとか、教帝オデットと面会する方法はとか、まだまだ問題はあるものの、
それは目の前の問題をひとつずつ片付けて行ってから考えればいいだろう。
新たな乗り物、それも高性能の飛空艇を手に入れられる、という情報に、なゆたは喜色を湛えた。
そして、今まで苦境の連続で暗くなりがちになっていたパーティーの空気を払拭するように右腕を高く掲げる。

「分かった、みのりさん。
 みんなも聞いたわね、螺旋廻天レプリケイトアニマへ向かって、中にあるヴィゾフニールを回収する。
 ヴィゾフニールを手に入れたら、あとはエーデルグーテまで一直線……ね!
 目的変更、進路をアズレシアからレプリケイトアニマへ!
 レッツ・ブレーイブッ!!!」

声高に宣言すると、パーティーは飛空艇を他に入れるべく螺旋廻天レプリケイトアニマの突き立つ場所へと向かった。


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