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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
133
:
明神
◆9EasXbvg42
:2020/06/15(月) 04:52:56
「問題は山積みだな。ジョンが迎撃に出るったって、狙撃相手じゃ限界がある。
こっから聖都まで何ヶ月だ?ゴブリン共が古強者になるには十分すぎる時間だ」
>「ちょっ、こっからエーデルグーテまでえっちらおっちら幌場所で行くつもりかよー!?
ジョーダンじゃねーぞー! ボクはアイアントラスまでってことで、今までガマンして鈍足で旅してきたのに!
話が違う! そんなんじゃ、うら若き乙女のボクがババーになっちゃうじゃんかーっ!」
「……グズるお子様もいることだしよ」
ガザっちはさぁ……授業中に立ち歩いちゃうタイプの子?
ただ実際のところガザーヴァでなくても何ヶ月も馬車旅は正直現実的とは思えない。
アイアントラスを超えればその先はフェルゼン公国だ。バロールの意志も届きにくい。
何かと便宜が図られてきた王国領内と違って、今度こそ孤立無援の旅路だ。
山岳地帯に築かれたフェルゼン公国は、交通網が王国ほど充実してない。
整備も不十分な山道を馬車で通れば、落石や滑落のリスクだってある。
何よりこの辺の山は飛竜の棲息域だ。こんな馬車で襲われればひとたまりもない。
「対空防御が足りてねえ。せめて真ちゃんが居りゃあな、レッドラの実家ってこのあたりだろ」
確かレッドドラゴンの故郷、『竜の谷』はフェルゼンの山奥だったはずだ。
つまりはあのクラスのモンスター……成体ならレイド級にもなり得るドラゴンがうようよ棲息してる。
旅路の障害になるのはフリント一派だけじゃなく、野生のモンスターもだ。
>「……明神さん、ちょっと」
パーティ内であれこれ議論していると、不意になゆたちゃんからお呼びがかかった。
神妙な表情。これからの行末に頭を悩ませてるというよりは、何かを決心した、そんな顔。
「どうした、なゆたちゃん」
サブリーダーにだけ声をかけたその時点で、俺は予感がしていた。
そして予感は逸れることなく、なゆたちゃんから告げられた推論に、俺は目頭を揉んだ。
「……なるほどな。確かに銃器のリバースエンジニアリングから量産化までやってのけるのは、
ゴッさん以外に居るめえよ。その推理で間違いねえと俺も思う」
『黎明の』ゴットリープ。"十三階梯"においてはバロールに次ぐ実力を持つ、凄腕の魔術師。
その固有スキル『業魔錬成』は、設計図なんかなくてもアイテムをたやすく複製できる。
この世界の技術水準で銃器を作り出せるのは、おそらく奴しか居ない。
「あの武装ゴブリン共に、ゴットリープが一枚噛んでやがんのか。
ふざけやがってあのクソエルフ、始めっからアルフヘイムを裏切ってんじゃねえか。
……いや、まだ推定有罪だな。どう確かめる?そんで――どうする?」
もしも。なゆたちゃんの推理通りに、ゴットリープがニブルヘイムに武器の供与を行ってるとすれば。
俺たちは今度こそ結論を出さなきゃならない。このままマル公と一緒にいれば、早晩取り込まれるのがオチだ。
だから……どうするか。俺が聞くまでもなく、なゆたちゃんのハラは決まっていた。
>「前に偉そうなこと言っといて、やっぱりやめるなんてカッコ悪いけど。
ゴメンね、明神さん。やっぱりわたしたちはわたしたちだけで進もう。
わたしたちは、今までずっとそうしてきた。だから、これからもそうする。
今度だって、きっとうまいことやれる。……だよね」
なゆたちゃんはそう、はにかみながら言った。
リーダーのお墨付きだ。俺たちは、自分の力だけでジョンを助けられる。
それなら、サブリーダーとして言うべきことはひとつだけだ。
「決まりだなリーダー。持てる知識を総動員してエーデルグーテを単独攻略する。
――ゲーマーが本気で早解きしたらすげえんだってこと、賢者共に見せてやろうぜ」
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