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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

128明神 ◆9EasXbvg42:2020/06/15(月) 04:36:40
ジョンの戦いに介入し、総力決戦が始まらんとする、その刹那――

>「あ―――――――っ!!!」

不意に後ろの方で素っ頓狂な叫び声が上がった。
振り返ればゴブリンを殲滅したマル公とのその親衛隊が駆け寄ってきている。
きなこもち大佐が襲撃者を指差し、他の二人もまたびっくりとうんざりの狭間みたいな顔をした。

「知ってるのか、大佐!」

どうにも親衛隊の連中は、襲撃者の素性を知悉しているらしい。
ってことはあの襲撃者も、やっぱりニブルヘイム側に召喚されたブレイブってことか。

>「……助けてくれ、だと」

誰何の声に親衛隊が答えるよりも先に、襲撃者が口を開いた。
初めて聞くそいつの声は、苦み走った男のものだった。
ヘルメットとゴーグルを外し、素顔が露わになる。

>「貴様のような人殺しが。常人と相容れないはみだし者が。どの面を下げて助けなど求められる? 
 これまで貴様がしてきたことを思い出せ。貴様が考えてきたことを顧みろ。
 貴様は自分のことしか考えていないというのに」

男は外人だった。
金の長髪に碧眼――ジョンのものと同じ色合いは、二人が同じ人種であることを意味している。
欧州系の白人。そしておそらくは、現役の従軍者。

「知り合い、みてーだな。ジョン……」

襲撃者の剣呑は双眸は、ジョンの姿を捉え続けていた。
こいつの人となりを知っているかのような口調は、実際知己の間柄だからだろう。
――『人殺し』としてのジョンの過去を、知る者。

>「――俺がここにいることが不思議、という顔だな。
 何も不思議ではないさ……誰だって、あのゲームをインストールしていれば召喚される可能性がある。公平にな。
 もっとも――俺はインストールしていただけで、プレイしたことさえなかったが」

>「そ、そ、そ、そうッス!
 あいつは――『ブレモンをプレイしたことがない』んス!
 あいつは『異邦の魔物使い(ブレイブ)』でさえない、あいつは――」

「ログイン勢……だと……?なんでそんな人間が、ニブルヘイムにいやがる」

インスコだけして特にゲームをプレイせず、ログボだけ受け取ってるようなプレイヤー層。
ソシャゲみたいな基本無料のゲームには珍しくもない、フェザーライトユーザー。
実際ブレイブの中にはそういうプレイヤーもいただろう。――アルフヘイム式の召喚術なら。

だがニブルヘイムは違う。奴らは特定のプレイヤーをピックアップして召喚出来る。
少なくないコストでブレイブを喚ぶなら、ハイレベルのガチ勢を選ばない理由はない。
だとすれば、何故。ニブルヘイムはこいつを召喚したのか。

>「奴は。『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を狩る『異邦の魔物使い(ブレイブ)』ということらしい」

エンバースの見解が、すべての答えだろう。
ニブルヘイムはバロールと違って、明確な目的を果たすためにピンポイントで人材を登用している。
ゲームもやってない現役軍人を召喚するなら、それ相応の目的がある。

「ブレイブ狩りのブレイブ……クソが、ネトゲの諍いにリアルでカチコミかける奴があるかよ」


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