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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
113
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2020/05/31(日) 20:07:20
「月の子の申される通り、死を是として為さねばならぬことなどありますまい。
されど……されど、必ずや! その死を無駄にせぬだけの結果を伴う目的が! あるはずなのです!
この『聖灰』、伏してお願い申し上げる……何卒、何卒今は、今だけは堪えて頂きたい……!
『黎明』の賢兄、そして我らが師父と貴君らがまみえ、直に会談する事が叶えば、その疑問も! 怒りも!
必ずや氷解するに違いないのです……!」
マルグリットは地面に両膝をつくと、なゆたたちへ深々と頭を下げた。
「マル様……!」
親衛隊が驚きの声をあげる。
ブレイブ&モンスターズの顔、人気ナンバーワンの美形キャラが。
何をするにも絵になる美青年が、何もかもかなぐり捨てて頭を下げた。
マルグリットは心の底から願っているのだろう、兄弟子や師匠が世界を救ってくれることを。
だからこそ疑いもなくその指示に従い、『異邦の魔物使い(ブレイブ)』たちを集めて回っている。
それが正義なのだと。この世界を護ることに必要なことなのだと――
「あなたは本当に、わたしたちの知るマルグリットなんだね」
頭を下げたまま動かないマルグリットへ、なゆたが呟くように言う。
ただひたすらに人の善性を、正義を、愛情を信じ、世界の平和のために邁進する。
他の継承者たちが悪に堕ち、或いは我欲のままに振舞ったとしても、マルグリットだけは決してぶれることはなかった。
ゲームの中でも、そしてこの現実のアルフヘイムでも。
マルグリットはただただ、世界平和の実現のためだけに戦っている。
だからこそ。
「……わたしにも信念がある。あなたと同じように。
あなたの信念があなたにそこまでさせるなら、わたしも――わたしの信念を貫かなくちゃいけない。
わたしたちは対等なんだ。状況や説得で自分の信念をすぐに引っ込めたりしたら、それが崩れちゃう。
あなたはあなたの信念を最後まで通す。わたしはわたしの信念をどうでも変えない。
……そうすることが。あなたの信念に対する礼儀だと思う……から」
「……月の子……」
「そのうち、あなたの兄弟子やお師匠さまには会いに行くよ。
でも、それは今じゃない。もっと世界を回って、色んな物事を見て。
わたしたちにできることを全部やったうえで――この世界の真実を確かめたら。そのときに会いに行く。
だから。もう少し待ってて」
今の自分たちは、まだ何も知らない。この世界で本当は何が起こっているのか、誰が何を考えているのか。
それらのすべてを解き明かしたとき。イベントやクエストを片端から網羅したとき。
そのときが、ローウェルとの決着をつけるときになるだろう。
「交渉決裂ね。分かったわ、モンデンキント。
今はマル様に免じて、戦うのはやめておいてあげましょう。でも――次はないわ。
フリントがあなたたちを殺すのを待つまでもない。私たちマル様親衛隊が、あなたたちを潰すわ」
「あーしたちを怒らせて、タダで済むと思ってんじゃねぇーってーの!
おい、うんち野郎! てめぇーは特に念入りにバラバラにしてやっかんな!
んでスクショ撮って拡散してやんよォーッ! 前に地球でそうしたみてーになァーッ!」
「……残念ッス。師匠」
マル様親衛隊が口々に言う。
そんな親衛隊に寄り添われながら、マルグリットが立ち上がる。
「……嗚呼。私は知らぬ間に、貴君らの信念を穢していたのですね……。
心よりのお詫びを、勇気ある『異邦の魔物使い(ブレイブ)』。私が誤っていたようです。
ならば。であるのなら……もはや何も申しますまい」
マルグリットは非難や恨み言を言わない。
ただ、そこには袂を別ったなゆたたちへの無念の想いだけがある。
「では、我らはこれにて。
……貴君らの旅が、実り多きものでありますように」
最後にそれだけ言うと、マルグリットは踵を返していずこかへと去っていった。
親衛隊もそれに倣う。
「……マルグリット」
去り行くマルグリットの背を見送りながら、なゆたは小さく名を告げた。
さっぴょんの言うとおり、次に会ったときは敵同士だ。
フリントという強敵が控えているというのに、その上マルグリットまで敵に回してしまった。
こちらにとっては不利と言うしかないが――それでも、この決別は避けられない事態だった。
マルグリットは自分の陣営の者たちがすることに従う他はないし、なゆたたちも我が道を進むしかない。
互いの道が、心が交わらないのであれば――そこにはもう、戦いしかないのだ。
ギリ、と奥歯を強く噛み締めると、なゆたもまた長い髪を揺らして大きく反転し、歩き始めた。
フェルゼン公国へ。アズレシアへ。聖都エーデルグーテへ――
この世界の真実へ。
【“『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を狩る『異邦の魔物使い(ブレイブ)』”ブレイブハンター・フリント登場。
アイアントラス破壊により魔法機関車が使用不可に。
意見の相違によりマルグリットと決別。】
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