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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章
112
:
崇月院なゆた
◆POYO/UwNZg
:2020/05/31(日) 20:03:57
「……確かに……私は知っていました……。しかしながら、『黎明』の賢兄のこと。
何か深遠なお考えあってのこと……そう、そうに違いありませぬ……!」
マルグリットが搾り出すような声で言った。
「そうかもしれない。結果的に侵食を食い止められるような作戦があって、そのためにやったことなのかもしれない。
でも。どんな素晴らしい作戦だって、人が死んだらなんの意味もないんだよ……。
ゴットリープがフリントの装備をコピーして、ゴブリンに持たせた。それでアイアントラスの人たちは死んだんだ……!
それは覆らない! 絶対に!! 生き物は、死んだらおしまいなんだよ! 生き返ることなんてできないんだ!
『うまい作戦がある』とか! 『深い考えがある』とか! そんなこと、死んだ人たちに言えるの!?
あなたたちの死は必要だっただなんて! そんなこと、口が裂けたって言えるもんか!」
「…………ッ…………」
「そんな作戦を考えて! 人が死ぬ武器をたくさん造って!
それで『世界を救いたい』だなんて! どの口で言ってるんだ!
『黎明』はローウェルの代理って言ったわよね、それはローウェルの意思でそんなことをしてるってことよね?
じゃあ……わたしはローウェルを絶対に許さない! ローウェルや『黎明』の命令に従ってるあなたたちのことも!
無碍に命を摘み取るニヴルヘイムの連中も! 絶対絶対……絶対に! 認めてなんてやらないわ!!」
声を限りに、なゆたは叫んだ。
その啖呵を聞いたガザーヴァがヒューッ! と口笛を鳴らす。
「いいねぇいいねぇ! 宣戦布告ってヤツ!? んじゃもうボクのコトも解禁でいーよな!
おい、そこの頭ン中お花畑の三バカ恋愛脳トリオ!
いつでもかかって来いよ、ブッバラしてやンよぉ! そう、『ボクがオマエらの聖地を更地にしたときみたいに』――!
この現場将軍! もとい、幻魔将軍ガザーヴァ様がなァ―――――――ッ!!!」
ガザーヴァがここぞとばかりに中指をおっ立てて挑発する。
と同時、黒い靄がその露出度の高い華奢な身体を取り巻き、漆黒の甲冑へと変化してゆく。
すぐにガザーヴァはブレモンプレイヤーならば誰もが見慣れた姿になった。
親衛隊は目を瞠った。
「ガ……、ガザ……!?」
「あの頭の緩いガキンチョが……!? いやでも確かにあの緩さは……!」
「きっひひひひッ! ビックリしたかァー? でも驚くのはまだ早いぞ!
ここにいる明神、笑顔きらきら大明神なんて名乗っちゃいるけど大ウソだ!
コイツの本当の名前は、うんちぶりぶり大明神――! そう、ブレモン史上最低最悪のクソコテ野郎だ!
そんなことも気付かないでアホ面さげて、オマエらってばまったく笑えるったらありゃシナーイ! あーっはっはっはっ!」
ガザーヴァは明神の肩に右腕を回すと、いかにも馴れ馴れしげな様子でカミングアウトした。
混沌と修羅場を好む悪属性の本領発揮である。
「うんち……ぶりぶり……ですって……?」
「あの……マル様を愚弄し、聖地を喪って傷心の自分たちを煽るだけ煽ったガチクズ野郎……!」
「ヒィ―――――――――――ハ――――――――――――――――ッ!!! 殺す殺す殺すゥゥゥゥゥ!!!!」
不倶戴天の敵を前にして、親衛隊の怒りゲージが振り切れる。
どんっ! どどんっ! と地響きを立ててミスリル騎士団が現れ、スライムヴァシレウスが限界突破のオーラを纏う。
アニヒレーターが肩にかけているフライングV的なギターを構える。
「みんな!」
なゆたもポヨリンを足許に配置し、仲間たちに戦闘態勢を促す。
一触即発の事態。
しかし――
「……双方、矛を納められよ」
そんな状況を収拾したのは、他ならぬマルグリットだった。
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