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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

111崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/05/31(日) 20:01:54
『黎明の』ゴットリープ。

『創世の』バロール離反後の十二階梯の継承者を束ねる、筆頭継承者。
魔導組織『霊銀結社』の頂点に位置する『大達人(アデプタス・メジャー)』にして、アルフヘイム最高位の魔導師。
ゲームの中では基本的にプレイヤーの協力者として様々な便宜を図ってくれる、心強い味方である。
そんな、本来はなゆたたちの支援をしてくれてもいいはずの人物が、ゴブリン・アーミーの装備の提供者だとなゆたは言う。

「なぜ……そう思われるのです……?」

「わたしたち『異邦の魔物使い(ブレイブ)』は、召喚される時に身に着けていた物ごとアルフヘイムにやってきた。
 フリントがヘルメットや銃を装備したまま召喚されてきたなら、それらがこの世界にあっても不思議じゃない。
 でも――それなら装備はフリントの分しかないはず。
 あの大量のゴブリンへ支給できるだけの装備は、どこから来たのか……? わたしはそれをずっと考えてた」

「そのフリントだかの装備をバラして分析して造ったんじゃないん?」

「ううん、それじゃ時間がかかりすぎるよ。でも――」

ガザーヴァが横合いから口を挟む。なゆたはかぶりを振った。
例えば戦争では敵方の装備や戦車、航空機などを鹵獲し、分析して似たようなものを造るという行為は常識だ。
フリントの装備をニヴルヘイムが分析し、それを元に大量生産する――というのは無い話ではないだろう。
が、その場合『分析から大量生産まで膨大な時間が必要』という弱点がある。
まして、地球産の装備は構造も材質も理論もまるでこちらの世界とは違う。
地球の科学知識のない者がすべてを解析し、理解した上で同等の物を造り上げるというのは並大抵の苦労ではない。
それに、複製ができたとしてもそれを継続して生産するというのがまた大変だ。
こちらの世界には、プログラムさえすれば同じものをオートメーションで大量生産してくれる工場など存在しないのである。
フリントは自らを『異邦の魔物使い(ブレイブ)』を狩るために召喚されたと言っていた。
間違いなく、フリントはなゆたたちがニヴルヘイムの脅威であると認識されて以降に召喚されたのだろう。
となれば解析、試作、大量生産などというステップを踏む時間はとてもない。
……しかし。
それらすべての問題を一挙に解析する方法が、ひとつだけある。

「……なるほどな。業魔錬成か」

エンバースが頷く。

業魔錬成――
アイテム同士を掛け合わせ、高ランクのレアアイテムを作成する高位魔術。
それを使えば、構造など関係なく地球産の装備を大量生産することは可能であろう。
そして、この世界において唯一の業魔錬成の遣い手こそが――『黎明の』ゴットリープなのだ。

「そうよ。まったく文明や文化の異なる世界の装備なんて、そう簡単にコピーできるわけがない。
 でも魔法ならそれができる。これを増やしたい、と思いさえすればね。
 業魔錬成はその一番の近道――そして業魔錬成を使えるのはゴットリープだけ。
 どうして、あなたの兄弟子はニヴルヘイムに力を貸しているの?
 マルグリット。あなたは……どこまで知っているの? フリントのアイアントラス襲撃は知らなかったとしても。
 『ゴットリープがニヴルヘイムに武器を提供してる』ことは、知ってたんじゃないの……?」 

「………………!」

なゆたの指摘に、マルグリットは沈痛な面持ちで俯いた。
と同時、なゆたの追及に言葉を詰まらせるマルグリットの窮状に親衛隊が身を乗り出す。

「そこまでよ、モンデンキント。
 マル様に是非を問うなど言語道断。マル様のお心を曇らせることは、私たちが許さないわ」

「師匠……それ以上いけないッス。考え直してほしいッス。 
 現状、自分たちは師匠の『仲間』ではなくとも『味方』ッス。師匠と敵対はしたくないッス。
 今ならまだ、マル様も許してくださるはずッス……!」

さっぴょんが敵意を剥き出しにする一方で、きなこもち大佐がなゆたを説得しようとする。
しかし、もう決めたことだ。なゆたの決意は固かった。
なゆたが先ほど明神を呼び出し、物陰で話したことがこれだった。
ゴットリープが、そして十二階梯の継承者がニヴルヘイムに協力していることは明らかだ。
だとすれば、これ以上マルグリットと一緒に旅はできない。

「前に偉そうなこと言っといて、やっぱりやめるなんてカッコ悪いけど。
 ゴメンね、明神さん。やっぱりわたしたちはわたしたちだけで進もう。
 わたしたちは、今までずっとそうしてきた。だから、これからもそうする。
 今度だって、きっとうまいことやれる。……だよね」

明神とふたりで話をしたとき、なゆたはそう言ってばつが悪そうに笑ったのだった。


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