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【TRPG】ブレイブ&モンスターズ!第六章

104崇月院なゆた ◆POYO/UwNZg:2020/05/31(日) 19:45:18
>今のは手加減なしの全力蹴りだったから・・・最悪殺してしまったかと思ったけど・・・その心配はないみたいだね

ジョンと襲撃者が睨み合う。
喰らえば肋骨の何本かも折れるかという勢いの蹴りをまともに浴びたにも拘らず、襲撃者は何事もなかったように立っている。
恐らく蹴られる瞬間に自ら蹴られる方向に跳躍し、威力を殺したのだろう。むろんガードと受け身も忘れない。
瞬間的にそこまでの判断ができるとは、並の手合いではない。
襲撃者は緩く身構えた。ほんの僅かに体勢を前傾にし、逆手に持ったナイフを軽く掲げていつでも襲い掛かれる様子だ。
蹴りへの対処といい、その身ごなしは素人とは思えない。明らかに実戦慣れしている、戦闘のプロの姿だった。

>僕になゆとの約束を破らせてた責任・・・取ってもらおうか

刃物を向けられているというのに、丸腰のジョンは怯むこともなく襲撃者と対峙している。
なゆたを庇うようにその前に立ちながら、ジョンはなゆたに退避を勧告する。

>なゆ・・・隠れていてくれ・・・僕がやる
>対モンスターが君の本業なら・・・対人間は僕の本業だ

「……うん……でも無理だけはしないで、ジョン……」

危ないから下がって、と言いたいのは自分も同様だったが、今の自分は息の上がった完全なお荷物だ。
忸怩たる思いだが、ここはジョンに任せるしかない。なゆたは大人しく後方に下がった。
そして崩れた荷車の影に身を隠すと、震える手で『高回復(ハイヒーリング)』のスペルカードをタップする。
癒しの淡い輝きがなゆたを包み、瞬く間に重度の疲労が回復してゆく。
同時に、ポヨリンもなゆたに合流してくる。心配げな面持ちのポヨリンを抱き締めると、なゆたはほっと安堵の息をついた。

>降参しろ。抵抗する場合は足や手の一本二本・・・もしくは命の保障はできないぞ

ジョンが降伏勧告するが、聞き入れる相手ではない。ジョンと襲撃者の戦いが、目の前で繰り広げられる。
襲撃者の体捌きは凄まじいの一言だが、しかしジョンはそんな襲撃者にも一歩も引かず互角以上に渡り合っている。
いや、どちらかというとジョンの方が優勢か。
しかも、ジョンはまだブラッドラストを使ってはいない。血のような靄のエフェクトが彼を覆っていないのがその証拠だ。
とはいえ油断はできない。熾烈な戦いのうちに、いつブラッドラストのスイッチが入ってしまったとしてもおかしくない。

>・・・っ!!

ジョンの右膝に、襲撃者のナイフが深々と突き立つ。その右膝がみるみる濃い赤色に染まってゆく。
回復のスペルカードを使用しようと、なゆたは荷車の影から身を乗り出しかけた。

「ジ……」

>なゆ!手をだすな!そのまま隠れてろ!

すぐに、ジョンの怒声が返ってくる。
姿を現さなければ、ジョンにスペルカードを使うことはできない。
しかし荷車の影から出れば襲撃者は動きの鈍いなゆたを狙うだろう。みすみす敵の手に落ち、ジョンを不利にすることはできない。
不承不承、なゆたは身を屈めた。
その後もジョンと襲撃者の戦いは続く。
ジョンがゴブリンたちからの一斉掃射を襲撃者の身体を盾にしてやり過ごすのを見計らい、
なゆたはジョンと共に崩れた露店の影に移動した。

>ごめんなゆ・・・殺さなければ・・・僕が殺されていた・・・

「…………」

なゆたには何も言えなかった。
とても不殺を貫け殺すなと言える状況ではないが、といってやむを得なかったとも言えない。
だが、ジョンの予想に反して襲撃者は死んではいなかった。
それどころかぴんぴんしている。襲撃者は軽く両手を挙げた。一斉掃射のハンドサインだ。

>なゆ・・・!君だけでも逃げろ!

「そんなこと、できるわけ……!」

ジョンを見捨てて自分だけ逃げるなんて、出来るわけがない。
それが出来ないから、やりたくないからこそ、なゆたは今まで再三のジョンの見捨ててくれという要請を却下してきた。
今になって命を惜しみ主張を翻しては、何もかもが無駄になる。
といってアサルトライフルで武装したゴブリンたちに包囲された今、この窮地を凌げる方法はない。
絶体絶命――そう言うしかない状況。
だが、ジョンとなゆたはただふたりきりではなかった。


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