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番外編投下用スレ

98カザハ&カケル ◆92JgSYOZkQ:2025/07/07(月) 23:16:21
カザハ「ステータス異常放心! チャンスだ!」

(カケルは、放心状態のマリーディアを乗せてマスターのもとまで連れて行く)

>「悪いがこっちはRTAの最中でな。湿っぽいムービーはスキップさせてくれ」

(マリーディアは、フロウジェンロックを抱えたマスターに強制連行されていった!
尚、このイベントは本来男性キャラ限定であったが、今はそんな細かい制限は吹っ飛んでいるようだ。
そもそも単に各種デバフが付与されるまで酒に付き合わされて語り明かすだけのイベントなので、女性キャラが対象になったところで何の問題もない)

>「いや、本当は俺も言葉を尽くしてアドベンチャーパートを堪能したいと思ってるんだぜ。けどなぁ――」
>「『まだこのチャプターのボスを倒せていない』んだ」
>「のんびり遊んでる暇はない。さあ、やろうぜ」

(エンバースさんとミハエルとローウェルの三つ巴のコント(?)の後、イブリースと堕天使が混ざったようなモンスターが現れた!)

>『――やってしまえ、イブリース!』

>「なんだ、ソイツ……イブリースなのか?またバグってんのか?
 ……いや、分かったぞ。『超融合(ハイパー・ユナイト)』か。
 このバグ自体がアレをより普遍的なカードとしてゲームに導入する為のテストなんだな」

>「さておき、これで『門』は確保出来たな。ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?
 スキップしたチャプターのステージとアクターを融合させられるなら、
 ある程度狙ってこのバグを起こしていくのも面白そうだけど――」

>『――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!いいだろう!
 そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

(ミハエルの雑な攻撃を明神さんは難なくいなしたとおもわれる)

カザハ「日本語の豆知識を教えてあげよう。
    本人を前にした時はどれぐらい年上かに関わらずお兄さん、お姉さんと呼んだ方が無用な争いを防げるんだよ。
    それと、スペック任せの雑な攻撃って敵役の専売特許やねん」

カケル「ミハエル君って外国人だから、さっきのオッサンは自動翻訳のような気がする……!」

ミハエル「貴様は何を言っているんだ。
     令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
     主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
     日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」

カザハ「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

ミハエル「いや、今僕は何を……!? 知らないぞ! モンスターを調理しながらダンジョン踏破するアニメなんて知らないぞ!」

カケル「そういえば、以前馬刺しにされる危機感を感じたことがありましたが、時代の最先端だったんですね……」

ミハエル「やかましい! お前美少女の成りしてるけどどうせ元オッサンだろ! ユニサス令嬢転生おじさんだろ!」

(記憶が戻りかけている……!?)

99明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:07:06
低スペミドやんをボッコボコにする方針が決まったところで、じゃあ実際どうやんのよって話。
フンドシ一丁のおっさんと一緒に頭捻っていると、バニー姿のジョンがピコンと閃いた。

>「カザハ!引きはがした欠片こっち向かって飛ばせるか!?多少雑でもいい!」

「ジョン!!?何するつもりだよお前!?」

振り向けばジョンが刀を手に、何故かバッティングフォームをとっていた。
片足を掲げる一本足打法がサマになっている……が!

「バニースーツで野球すんのってなんか……企画モノみたいだぁ……」

ジョン君は一体どこへ向かおうとしているのだろうか。

>「男の勝負はストレート一直線!!!!」

カザハ君がピッチングしたポリゴンの欠片が飛来する。
それをジョンは刀で打球した。真芯をとらえた音がした。
うおおおお!伸びる!伸びる!フェンス直撃!!ツーベースヒットだ!!!
打ち返された欠片はミドやん本体に着弾し、ウロコとおぼしきポリゴンが散っていく。

「この光景……見たことある!敵の攻撃を弾き返して当てるとダメージ入るタイプのギミックボスだ!」

HPを削られたミドやんがのたうち、海面でバチャバチャ跳ねる。
巨体で行われたその仕草は大海嘯を引き起こし、波濤が俺達のもとへ殺到した!
なんかペラいぞこの水!紙みてえだ。

>「なんだよこのハリボテ!やる気ないの…オボボボボボボ!!」

「がぼぼぼぼ!?」

ペラッペラの水ポリゴンを被って俺とジョンは溺れた。
紙みたいなのは見た目だけで、触れると普通に『水没』のデバフがつくらしい。
と、水没は長く続かなかった。エンバースが魔剣で水流を吸い上げていく。

「なんでも吸えるじゃんその魔剣……もうダインスレイブじゃなくてダイソンだろそれ」

ダイソンの10万円くらいする掃除機ってこぼした飲み物とかそのまま吸えちゃうのよ。
絨毯とか汚しても洗剤ぶち撒けてダイソンで吸えば洗濯いらずなのよ。
世の中高けりゃ良いモノばかりじゃないとは言うけれど、家電に関しちゃ値段と快適性は比例関係だな。

>「そう。これが一番効率の良いやり方だ。ダルマ落としを最速でクリアするなら――真上から叩けばいい。
 吹っ飛ばされたダルマ?肉片?もハリケーンの中で反射するから街への被害も最小だ。多分これが一番早いと思います」

ダインスレイブが巻き上げた水流がエンバースに熱せられて蒸気となり、サイクロン掃除機よろしく渦を形成する。
その渦中に、なぜかジョンも巻き込まれて宙へと舞い上がった。

>「えっ!? 上から全部くずすのってダルマ落としって言わなくない!?」

カザハ君から至極常識的なツッコミが入った。言われてみればそうである。
頭のネジが一本どっか行ったのかはっちゃけ続けるエンバースはどこ吹く風でダルマ潰しを敢行する。
真上からぶっ叩く……ハンマーになったのはジョンと、それから――

>「そうだ! カケルが背中に乗せて突撃すればいいんじゃない!? 
  白馬に乗った王子様的な! マリーディアって女王様だし丁度いいじゃん!」

空中でそれをキャッチしたカケル君だった。唐突な突撃命令にカケル君も困惑気味である。

100明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:07:43
「弟の扱いが雑過ぎるだろお姉ちゃん……」

姉弟ってこういうもんなの?うち男兄弟だからわかんねえわ。
とか言ってるうちにミドやんが崩壊し、中からマリーディアが吐き出された。

>「よし、出番だマスター」

エンバースが酒の瓶を二本放る。受け取ったマスターは既に栓抜きを用意していた。

「任せなさい」

マスターの体から黒い領域のようなものが生み出され、マリーディアを包みこんでいく。
それは結界のように滞留し、他者の侵入と窃視を防ぐ。

「暗転エフェクト……決まったッ!肛門裂傷デバフだ!マリーディアの野郎、明日から一回り太いウンチが出るぜッ!」

まぁ実際は単なる二日酔いデバフがつくまで酒を飲まされるだけの技だけども。
マリーディアがどんな愚痴吐くのかちょっと興味はあるが、わざわざ覗き見することもあるまい。

>「悪いがこっちはRTAの最中でな。湿っぽいムービーはスキップさせてくれ」

そういう感じだ。
で、マリーディアのお悩みを解決したところでクエスト終了とはいかないらしい。
そりゃそうだ。リバティウム編のボスはミドやんじゃない。
なんか急にちょっかいかけてきた奴がいたはずだ。つまり俺達は――

>「『まだこのチャプターのボスを倒せていない』んだ」

そういう感じだ(2回め)。
こんだけシナリオめちゃくちゃになってもちゃんと来るんだなアイツ……。

>「ミハエル・シュバルツァーが鍛え上げた堕天使と……それに何よりイブリースだ。
 アイツは『門』が使える。RTAをするならまず門の使い手を確保しないと話にならない。だろ?」

「それはマジでそう……機関車も馬車も余裕で一月とか使うもんなアレ」

オープンワールドじゃファストトラベルなんか標準実装されてるもんだが、『門』はそれらとも比較にならない利便性を持つ。
なんてったって、『行ったことない場所にもファストトラベルできる』のだ。
ゲームがぶっ壊れるぅ〜〜〜!!

>『――おい、ハイバラ。これ以上僕を待たせるな。苛つかせるな。失望させるな。
 あの日、世界大会に君は来なかった。あれから二年。
 やっと僕の前に姿を見せたかと思えば……そんな無様なナリでよくヘラヘラしていられるな」

「あっ?なになにミハエル君初登場時の記憶のまんまなの?」

じゃあまぁ……馴れ合っても良いことにするか……。
本編で色々やらかす前の、これはIFルートみてえなもんなんだろう。
今後の関わり方によっては人格をまっとうに育て直すこともできるかもしれん。
それはそうと、ローウェルが言うには本編終了後のミハエルはエンバースとなんかよろしくやってるらしい。

101明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:08:50
>「いや、朧げだけど思い出せるぞ。お前さあ、こっち来る時荷物になるからって
 マジでタブレットとパスポートと財布しか持ってこないのやめろってば。部屋着が無限に増えてるんだよ。
 なんでウチのゲーミングハウスにお前専用のクローゼットが設置されようとしてるんだよ。プレミア付けて売れないかなアレ」
>『部屋着が……?はっ、まるで僕が他人と生活スペースを共有しているかのような口ぶりだな。あり得ないね』

「……仲良すぎじゃない?月一パジャマパーティー開いてんの?二人だけで?野郎同士で?」
 部屋に私物置いてるのってもう匂わせだろそれ……誰に対してアピールしてんだよ」

男同士、密室、月一回……何も起きないはずはなく。
まぁ実際なんか起こってはいるんだろう。徹夜でスマブラ大会とかな。
ミハエルが月一で投稿するSNSにいつも同じ他人の部屋が写っていてあっちのファンは阿鼻叫喚かもしれない。

「……ん?ちょっと待って、『ゲーミングハウス』……?
 ゲーム部屋のこと気取ってゲーミングルームとか言うならわかるけど、ハウスってお前」

知らねえ文化だ……もしかしたら世界レベルのゲーマーはゲーム専用家屋を必要としているのか?
俺の問いに、首を傾げたのはミハエルだった。

「なんだその反応。ゲーミングハウスは日本では一般的じゃないのか?
 防音仕様の一軒家なしに、どうやってゲームで蓄積した怒りと向き合うんだ。
 隣人の迷惑を何だと思っているんだ……あり得ないだろ……」

「あり得ないのはお前の情緒だよ」

イライラゲージの開放用だったかぁ……。
ミハエルはそれ以上雑談に付き合うつもりはないらしく、スマホを手繰る。

>『――やってしまえ、イブリース!』

出てきたのはイブリースと堕天使が半々で混ざった感じのキメラだった。
まぁ予想の範囲内ではある。ぐちゃぐちゃになったイベントフラグはまだ治ってないらしい。
じゃあもうミハエルとイブリースも合体させていいんじゃね?

>「さておき、これで『門』は確保出来たな。ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?
 スキップしたチャプターのステージとアクターを融合させられるなら、
 ある程度狙ってこのバグを起こしていくのも面白そうだけど――」

「んーキングヒルはぶっちゃけ行く必要ねえなあ。バロール居ねえし。クーデターもする相手居ねえし。
 となると順当に行きゃ次はアコライトだけど……なんかマホたんと帝龍が混ざりそうで怖くね?」

なんでも良いけどエンバースお前、せっかく来てくれたお友達スルーしっぱなしで良いのぉ?
俺はもうひと仕事終えた感があるので、インベントリからカップと熱々のコーヒーを取り出して注いだ。

>「――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!」

「おーキレてるキレてる。大変だねあんたら」

完全に他人事なので俺は心穏やかにコーヒーを啜った。

>「いいだろう!そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

「ぶぶーーっ!?」

特に理由のない暴力が俺を襲う――!

まったく予想だにしない方向からタゲが向いて俺はコーヒーを吹き出した。
なんでだよ!俺ほとんど会話に加わってなかったじゃん!
そこで俺は気付いた。エンバースの巧みなヘイトコントロールに――

102明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:09:19
>『ここからはRTAが加速するぞ。明神さん、次はどこ行く?』

この問いかけにより、ミハエルの中で俺の扱いが変わった。
『その辺にいるモブ』から『自分を差し置いてハイバラが喋りかけた相手』へ……!
なんで俺なんだよ!壁役なら適任がいるだろうが!

「じょ、ジョン!タンク!はやくしてやくめでしょ!!」

サっとジョンの影に隠れる。その横からカザハ君の鋭い突っ込みが入った。

>「日本語の豆知識を教えてあげよう。
 本人を前にした時はどれぐらい年上かに関わらずお兄さん、お姉さんと呼んだ方が無用な争いを防げるんだよ」

「ぼくまだおっさんって齢じゃないよ……?にじゅうごちゃい!」

いや自虐気味に自分のことおっさん呼ばわりしてたこともあったけども!
ミハエルの野郎、素で俺をおっさん扱いしやがって!

>「それと、スペック任せの雑な攻撃って敵役の専売特許やねん」
>「令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
 主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
 日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」
>「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

「さっきから何の話してんだお前ら!?」

ミハエルが日本のアニメに詳しいのは……まぁ多分入れ知恵した馬鹿がいるんだろう。
ハイバラ君さぁ……パジャマパーティーで上映する作品ちょっと偏ってるんじゃない?

んー。
んーーーーーーー……。
よし!真面目に戦うの、やめよう!

「ミハエル君よぉ、ずっとお前に聞きたかったことがあんだけど」

適当に魔法無効の壁ユニットとか出して、その影から声を投げる。

「喋るなっ!noobと話していると僕のゲームIQが下がる!!」

その発言が既にIQ最低値なんだよなぁ……。

「フリードリヒ・ニーチェっているじゃん。お前の大好きなニーチェ大先生だよ。
 ――ソシャゲに実装されるとしたら、どんなキャラになると思う?」

イブメタ(仮)の苛烈な攻撃がピタリと止んだ。
あるいはそれは、もっと大火力の魔法を放つ溜めの瞬間なのかもしれなかった。

103明神 ◆9EasXbvg42:2025/07/21(月) 20:09:55
ミハエルもコアゲーマーである以上、この手の話題は一度は考えたことがあるはずだ。
織田信長とかジャンヌ・ダルクとか知ってるだけで2桁のソシャゲに出演してるし、
ニーチェくらいメジャーな偉人ならいつ実装されてもおかしくない。
一方で、ミハエルはリアルで語録を恥ずかしげもなく放つくらいの気合入ったニーチェ信者だ。
冒涜極まりない話題に、ノータイムで俺を殺しにかかる可能性もある。

乗るか、反るか。
伏せたカードの絵柄が今、捲られる――。

「……美少女化してか?しないでか?」

ミハエルはそう答えた。
乗った――!!

「実在の人物を好き放題するのは色々問題あるからな。俺達の世界と似たような歴史を辿った別の星って世界設定で、
 19世紀の"ドイツっぽい国"で活躍した、たまたまニーチェと同じ名前の哲学者(美少女)――ということにしよう。
 まず属性はどうする?やっぱ『神は死んだ』とか言ってるから闇属性か?」

「浅いんだよ読み込みが……!哲学エアプレイなのか……?僕の解釈では、『神の死』はむしろ前向きな啓蒙だ。
 神という超越者に導かれなくとも、人間は自分で道徳を規定し、よき人間であろうと努力することができる。
 『神は死んだ』は光属性のバフスキル――!味方全体に固有スタックの『力への意思』を付与する!」

「な、なるほど……じゃあ次は
「さらに!」
「はい……」

「さらに、敵一体へ『ルサンチマン』を付与し、これを攻撃することで味方が『超人』バフを獲得する!
永劫回帰の要素も入れたいな……同一の行動を繰り返すごとにスタックが溜まっていって、
 消費することでより強力なスキルが使えるようになるのはどうだろうか。
 想定コンテンツとしてはやはり大型レイドボス戦かな。おっと!だからって安易に神への特効キャラとするのは良くない!
 ニーチェが否定したのは『神への依存』であって神そのものではないからね……!」

「どんどん出てくるじゃん……」

おっと!じゃねンだわ。お前そんな早口でイキイキしゃべるタイプのキャラだったかなぁ……?
バトルの方はまぁエンバースが居りゃどうとでもなる。
どうせこの先ダラダラ馴れ合うことになるんだ。ミハエル君には存分にキャラを立てていただこう。


【ソシャゲ談義】

104ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:15
「おぼぼぼぼ!!!」

一度巨大な津波に巻き込まれてしまってた人間には成すすべがない

>「……ったく。何遊んでんだよ、ジョン。カザハと連携するならもっと上手いやり方があるだろ?」

水に飲まれている僕にはその声は聞こえようがなかったが…長い付き合いになったせいか
どうせ相変わらず皮肉の利いたかっこいい言い回しをしているのだろう。

そんな事を溺れながら考えていた瞬間

「オボッ…うわぁぁぁぁあ!!!」
「にゃああああああああ!」

体が空中に舞い上がる…いやそんな優しい感じじゃない…上空に向かって放り投げられている…!
流石の部長も物凄い衝撃に僕と同時に吹っ飛ばされていく。

地面ならともかくここは何も捕まるところない空中だ…部長はその内体勢を立て直せるだろうが…僕は…つまり………死んだじゃないの〜?

>「カザハ、上手い事コントロールしてやれよ。でないとジョンは海の彼方だ」

「海の彼方どころか宇宙の塵になりそうな勢いなんだけど!!!」

>「そうだ! カケルが背中に乗せて突撃すればいいんじゃない!? 白馬に乗った王子様的な! マリーディアって女王様だし丁度いいじゃん!」

カザハが風をコントロールし、僕はカケルの背中へと乗せられるように着地する。
偶々目があったカケルの顔には明らかな困惑の表情が浮かんでいた。

>「弟の扱いが雑過ぎるだろお姉ちゃん……」

「いや僕の扱いも雑じゃないかこれ…?」

そしてエンバースの作戦通り僕達は急降下し…

「ま…でも気にしないで粉砕できるってのは…気が楽でいいね?」

上空から急降下した僕とカケルはミドガルズオルムを粉砕した。
やっぱり筋肉は全てを解決するってワケ

105ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:32
当然急降下した僕達は敵を粉砕したが同時に海に落ちてしまった。
部長がいたので回収はされたが…みんな海に落ちた僕とカケルの事忘れてないよね…?大丈夫だよね…まさかね?

>「へへ、みんな正直に言おうぜ。忘れてただろ、コイツらの事。困るな。
 水属性の超レイド級、ミドガルズオルムは確かに重要なオブジェクトだが――」

なんかもう話が進んでる!本気で忘れたわけじゃないよね!?信じてるからね!?

>「ミハエル・シュバルツァーが鍛え上げた堕天使と……それに何よりイブリースだ。
 アイツは『門』が使える。RTAをするならまず門の使い手を確保しないと話にならない。だろ?」

ミハエル…聞き覚えがある。戦ったはずだ…いや僕が直接戦ったわけじゃないけど…
確か僕はその戦いで勇者の剣を…

「ウッ」

頭が一瞬痛くなる。

無理に思い出そうとすると頭が痛くなる。
イブリースの事は思い出せるのに…他の事は今の状況と関係がないと思い出せないのか?

>「オイオイオイオイ何してる、バカタレはお前だローウェル。
 なんでソイツの記憶を戻さなかった?今の俺とこの時点のソイツが勝負になるかよ」

>『うるせー!んなこた分かってるのです!けど記憶を戻したってお前らが仲良くデュエルして終わるだけに決まってるのです!
 そもそも最近じゃ月一で日本に遊びに行ってるアホタレがどのツラ下げてこのシナリオに敵役で出演しやがったのです!』

記憶があろうとなかろうと仲良くデュエルして終わりそうな気もするけど…
野暮な事は言うのはやめておくか、RTAするのに関係なさそうだし。

>『モス……?ふざけるなよ。マンガやアニメのお嬢様じゃないんだ。あんなジャンクフードを僕が口にするものか』

>「ホラもう比喩表現がちょっと日本寄りになってるじゃねーか」

逆に考えればしがらみが変にない分今のほうが仲良くなることができるんじゃないだろうか。
仲間の為とかそんなんじゃなく気に入らない奴をぶっ飛ばす…その方が仲良くなれる気がする。

>「んーキングヒルはぶっちゃけ行く必要ねえなあ。バロール居ねえし。クーデターもする相手居ねえし。
 となると順当に行きゃ次はアコライトだけど……なんかマホたんと帝龍が混ざりそうで怖くね?」

昔の漫画では殴り合ったら友達みたいな表現よくあったし。

>『ええい!もういい!これ以上君の戯言に付き合うつもりはない――』
>『――やってしまえ、イブリース!』

「エンバース…君も大変だね」

>『――この僕を前にして!余裕ぶってるんじゃあないぞッ!いいだろう!
 そのくたびれたオッサンがやられた後でもその態度を保てるか試してみようじゃないか――――ッ!!』

しかしエンバースの巧みな話術で怒りの矛先は明神に向かう!

>「じょ、ジョン!タンク!はやくしてやくめでしょ!!」

そしてその明神は僕の後ろに隠れる。
攻撃の矛先は最終的に僕に向かって飛んできた。

「…ふぅ〜〜〜…なんでそうなるんだッ!!!」

僕は攻撃を受け止めながら叫んだ。

106ジョン・アデル ◆yUvKBVHXBs:2025/07/27(日) 02:04:53
「イブリース…また喋れない…理性のない君と殴り合う事になるなんてな…」

雰囲気だけは似てるイブリースと名付けられたモンスターと殴りありながら…
僕はあの日…自分を代償に同胞全てを救おうとしたイブリースの姿が重なって見えた。

あの時と違う事があるとするなら…僕は今バニー姿で殴り合っており
純粋な暴力で殴り合ってる僕らは全くいないような振舞いで回りは大騒ぎしている。

>「貴様は何を言っているんだ。
令和ファンタジーの代表格である葬〇のフリーレンは、せせこましい小細工をかましてくる敵達を
主人公パーティー側が問答無用の高スペックで押し切るスタイル――!
日本人のくせにそんなことも知らないのか!?」

>「はい語るに落ちた――ッ! めーっちゃ日本のアニメ語っとるやんけ――!」

>「……美少女化してか?しないでか?」

>「実在の人物を好き放題するのは色々問題あるからな。俺達の世界と似たような歴史を辿った別の星って世界設定で、
 19世紀の"ドイツっぽい国"で活躍した、たまたまニーチェと同じ名前の哲学者(美少女)――ということにしよう。
 まず属性はどうする?やっぱ『神は死んだ』とか言ってるから闇属性か?」
>「浅いんだよ読み込みが……!哲学エアプレイなのか……?僕の解釈では、『神の死』はむしろ前向きな啓蒙だ。
 神という超越者に導かれなくとも、人間は自分で道徳を規定し、よき人間であろうと努力することができる。
 『神は死んだ』は光属性のバフスキル――!味方全体に固有スタックの『力への意思』を付与する!」

煽り続けるカザハ
何かだか僕にはよく分からない会話を続ける明神

そしてここからではよく見えないし聞こえないが
恐らくRTAの準備をしながらかっこいい言い回しとポーズを決めながらクックックと笑っているエンバース。

「ごめんイブリース…一旦ストップで」

見た目の変わったイブリースにそう伝えると意思が伝わったのかイブリースが動きを止める。

「ローウェル」

「?…ヒッ」

「僕の姿を戻すアイテム…だして?」

お前の権限ならできるよな?と圧力をかける

「断ったら…あぁ…そういえば物理的には無敵なんだったか?…だが精神面は無敵かどうか試してみるか?
バニー姿の大男が迫ってきたら気分悪いだろうなぁ?ん?渾身の腰フリダンスでも見せてやろうか?ん?」

「みんなの意識がこっちに向いてない内に僕の姿を早く戻したいんだ…答え…もちろん分かるよな?」

2m近い筋肉ムキムキバニー大男が真顔で迫ってきたら誰でも頷くだろう。

…そしてローウェルも例にもれず頷いた。

「これでよし…さて姿も戻ったことだし…殴り合いを再開しようか!…ん?いやまて!…おーいエンバース?これ以上僕達殴り合う必要あるのか?」

脅すのに必死で話が聞き取れなかったのでお伺いを立ててみた。
ローウェルは仲良くデュエルして終わりは嫌だと言っていたが…もう既に仲良く会話して解散の流れになってしまっている気がするんだよな

「バニー姿じゃなくなったし力を振るう事はやぶさかではないんだが」

そんな事を一人愚痴るのだった。

107embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 05:56:33
『おっと!だからって安易に神への特効キャラとするのは良くない!
 ニーチェが否定したのは『神への依存』であって神そのものではないからね……!』
『どんどん出てくるじゃん……』

「ちょっと待て。確かニーチェが神を否定したのは栄養学とか医学への重要視の裏返しだって言ってたよな。
 だとすれば――それらの要素も組み込むべきじゃないか?バフの媒体、スキルの演出としてさ!
 分かるか?まだニーチェちゃんの得意料理が決まってないって話をしてるんだぜ?」

混ぜっ返すエンバース。
ちなみにニーチェ知識の出処は当然ミハエルだ。

『これでよし…さて姿も戻ったことだし…殴り合いを再開しようか!…ん?いやまて!…おーいエンバース?これ以上僕達殴り合う必要あるのか?』
『バニー姿じゃなくなったし力を振るう事はやぶさかではないんだが』

「ん?なに?殴り合う必要?ああ、勿論ないぜ――でも、ないけどあるんだ」

ジョンの問いかけ。
エンバースが振り返る。回りくどい回答――不敵な笑み。

「だって――ちゃんと、とことんバトった方がジョンが楽しいだろ?」

バトルマニア流のズレた気配り。
そしてエンバースはミハエルへと向き直る。

「なあ?そろそろ記憶は戻ったか?今週の戦績は58勝57敗3分。このバトルで勝ち越させてもらうぜ」

『――とぼけるなよ。58勝は僕の方だろう』

「あれ?そうだったっけ?まあ気にするなよ――」

ダインスレイブを鞘に収めるエンバース/ミハエルがグングニールを召喚。
双方が睨み合い――――同時に踏み込む。すれ違いざま瞬く剣閃。
そして――膝を突くミハエル・シュバルツァー。

『クソ……』

「――これで俺も58勝だ。今週は引き分けで終わりそうだな」

『は?RTAなんだろう?こんなクソシナリオさっさと終わらせてもう一戦すればいいじゃないか』

「いや……でも見てみたくないか?」

『何がだ、言ってみろ。それはこの僕とのデュエルより興味深いものなんだろうね』

「もうお前も気づいているだろうが、このイベントには融合バグが実装されている。
 で、俺達はこの後アコライト外郭に行くんだけど、マホたんと任意のユニットが融合されたらどうなると思う?
 例えば外郭防衛隊のオタク君と融合したとしよう――」

『なに?なんて?外郭防衛隊のオタク?本当に何の話――』

「もしかしたら――ユメミマホロ・陰キャオタクダウナースタイルが見られるかもしれない」

『――堕天使!イブリース!何をやっている!さっさとその筋肉ダルマを片付けろ!』

108embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 05:56:49
 


――時系列を少し遡り、エンバースが
「だって――ちゃんと、とことんバトった方がジョンが楽しいだろ?」
とかカッコつけてた辺りの事。

イブリースがジョンの両手を鷲掴みにする。力比べの形。

『――おい。おい……!落ち着け。俺の話を聞け……!』

その最中――狂暴化していたかに見えたイブリースがジョンにそう囁いた。

『俺は正気だ。だがまともな神経でこの状況に混ざるのは危険過ぎる……!
 分かるだろう?ヤツらのおふざけには際限がない……巻き込まれればどうなるか予測不可能だ。
 突然、港湾都市にちなんで際どい水着でビーチフラッグ対決(ポロリは反則負け)が始まったって不思議じゃない……!』

既にかなりギャグ時空の侵食を受けているイブリースだが、
往々にしておかしくなってしまった張本人は自分のおかしさに気付けないものだ。

『だから理性を失ったふりをしていたのだ。お前もこのまま時間を稼げ……!
 ヤツらの話が落ち着いた頃合いで、丁度決着がついたような形に――』

『――堕天使!イブリース!何をやっている!さっさとその筋肉ダルマを片付けろ!』
「おーい、ジョン。そっちの調子はどうだ?」

『バオオオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!』

スマホのスピーカー程度では音割れしそうなレベルの咆哮、そして打撃音。
正気である事を隠そうと咄嗟に放った頭突きがジョンの顔面にクリーンヒットした。

『す、すまん……!だが向こうの話もきりが付いたようだ。このまま――』

『おっと、かなりイイのが入ったようだぞ。所詮は素人か。あの分ならすぐに終わりそうだな』
「けど、なんだか手ぬるいな。デモンズシードオーバードーズしてた時のイブリースはもっとヤバかったような」

『ジガアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』

タブレットのスピーカー程度では音割れしそうなレベルの咆哮、そして衝撃音。
正気である事を隠そうと咄嗟に放った投げによってジョンは強かに地面に叩きつけられた。

『クスクス……おや、まただ。決着の時は近そうだね?』
「ククク……いやあ、どうかな。なーんかイブリースの攻撃がまだ手ぬるい気がするけどなあ〜」

ちなみにエンバース/ミハエルはインベントリからビーチチェア(ハウジング用)とソーダとグラサンを召喚して観戦体勢を取っている。

「ほら、カザハと明神さんも使っていいぜ。折角だしどっちが勝つか賭けでもしないか?
 俺は……ジョンに賭けてやりたいけど既に二発もクリティカルヒットを貰ってるし、どうしようかな〜」

109embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:03:27
 
 

「――で?そっちの話は終わったのか?」

ジョンとイブリースのバトルが終わった後、エンバースがマリーディアらの方を振り返る。

『――胸元を手で隠しちゃダメ!私達、もう隠し事はなしって決めたでしょ!』
『た、確かにそうは言ったが……しかしこの格好は、余りにも……!』

バニースーツ姿で恥じらうライフエイクと、それを水魔法によって写し取るマリーディア。
その様子を腕組みしながら眺めて深々と頷くマスターがいた。

『ミドガルズオルムの召喚に全ての力を使い果たした私はそのまま消える筈だった。
 けどあなたのあられもない姿を見た時、私の中から新たな力が湧いてくるのを感じたの!』

『私が言えた事ではないが、その力は間違いなくよくないものだ!呑まれてはいけない!』

「……マスターにメイド服でも預けて、次のチャプターに進むか?」




――茶番が一段落した後、ブレイブ一行は『門』を通ってアコライト外郭へ飛んだ。

「さーて、マホたんは誰と融合してるんだろうな。マホたんが融合ってなんか不穏なワードだけど。
 正直キングヒル、アコライト編からの選出だし候補は多くないんだよな。
 オタク君とか、煌帝龍とか……融合バグって事は登場したモンスターも候補に入るのかな」

エンバースは呑気にそんな事を言っている。
そうして相変わらずマホたん色にデコられた城郭の門を超えるとそこには――

アルメリア兵士と融合したソルジャーマホたんがいた。
『水晶の乙女』(キングヒル編のメイドさん)と融合したクリスタマホたんがいた。
リザードマンやバジリスク等(アコライト編、モブ敵)と融合したレプティマホたんがいっぱいいた。
陰キャオタクダウナースタイルっぽいマホたんがいた。
ロイヤルガード(煌帝龍の護衛)の面影を残したビキニアーマホたんがいた。
とにかくそこら中にマホたんがいて、歌って踊ってのパフォーマンスをしている。

「なんかいっぱ――――危なかった。危うくカザハや明神さんが得意とするガビーンって感じのリアクションを取るとこだった……。
 なるほど、確かにアコライト編じゃマホたんの幻影を量産したし、マホたん自身も二人目がいた。
 そして「マホたんは一人じゃない」事は確定していても「マホたんは三人以上いない」事は未確定……なら、こういう事も――」

『あ、ようこそいらっしゃい〜アルフヘイムのブレイブさ〜ん。お待ちしていましたよ〜』

ヒュドラと融合した15メートル級のメデューサマホたんが兵舎の上から顔を覗かせた。

「うおおでけえ――――――――――――――――――!!!!」

エンバースがガビーンって感じのリアクションをしていると、城塞の奥から誰かが歩いてきた。
ピンクゴールドのたてがみのようなロングヘア。絢爛華麗な王族めいた衣装。
女性的でありながらも屈強な戦士の風格を兼ね備えた体格。

『よう!お前らが援軍か!よく来てくれたな!』

アルメリアの国王、鬣(たてがみ)の王と融合したマホたんがそこにいた。

『話はもう聞いてるよな!?このアコライト外郭は今、深刻な問題を抱えている……それは戦力不足だ!』

「この状況で?煌帝龍がアジ・ダハーカと融合でもしてんのか?」

『ガハハ!だったら良かったんだけどな――まあ、見てみりゃ分かるさ。そろそろ正午だ。ヤツが来るぜ』

110embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:05:13
その発言をフラグにして、城門の外からにわかに地響きめいた音が聞こえてくる。
聞き覚えのある音だ。煌帝龍が召喚した爬虫類族の軍勢の足音だ。
たてがみ以外のマホたん達が城壁に登っていく。エンバースもそれに倣う。
かくして城門の外には――

『たてがみのユメミマホロ――――――ッ!今日こそ我が伴侶となってもらうアルよ――――――――!』

ズタボロのカンフースーツに身を包んだ、傷だらけの煌帝龍が叫んでいた。

「あ……?誰だ、アイツ……煌帝龍か?」

『煌帝龍?初めて聞く名前だな。君が覚えているって事は見どころのあるプレイヤーなのか?』

「……それ、冗談で言ってるんだよな?あ、マジ……?アイツもぼちぼち出来る方ではあるんだけどな……」

流石にエンバースが煌帝龍を憐れんでいると、たてがみのマホたん――キングマホたんが城壁に登ってきた。
そのまま本編を思い出させるようなアクロバットで煌帝龍の前へと降り立つ。
そして――不敵で獰猛な笑みと共に手招きをした。

瞬間、何十体ものモンスターが一斉にキングマホたんへ飛びかかる。
キングマホたんの姿が見えなくなって――直後、大量の鮮血が爆ぜる。
だがエンバースには見えていた。飛び散る血肉をブラインドに、キングマホたんの懐へ飛び込む影が。

「キエエェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ――――――――――――――――ッ!!!」

そして煌帝龍が叫ぶ――否、吼える。

「おお……?」

エンバースが思わず目を見張るスピードの徒手空拳。
だがキングマホたんはそれら全てを容易く手刀で捌いてのける。そして――

『ちったあ練り上げてきたなッ!だが――まだまだ脆弱いッ!!』

俊敏、かつ唸るような剛腕による【聖撃(ホーリー・スマイト)】。
その直撃を受けた煌帝龍が血を吐きながら吹っ飛んで地に転がる。
煌帝龍はどうにか立ち上がろうとするが――立ち上がれない。
キングマホたんが城壁上のブレイブ達を振り返る。

『な?見ての通りだ。戦力が足りてねえんだよ』

両腕を広げて、煌帝龍の有り様を見せつけるような仕草。
その直後――エンバースの後ろ襟を何かが後ろから掴んだ。
スキュラと融合したビッグメデューサマホたんだ。
他のメンバーも巨大な手と大蛇状の髪で体を拘束されている。
ジョンの力でも振りほどけない。「イベント」による強制力だ。
そして――全員揃って城郭の外へと放り投げられた。

「うおおおおおおおおおおおおお――――――――――――!?」

エンバースはなんとか煌帝龍の傍に着地。
一体何事かとキングマホたんを見やる。

111embers ◆5WH73DXszU:2025/08/04(月) 06:05:36
『ソイツは何度ブチのめしてもアタシに結婚してくれって挑んできやがる。
 それ自体はまあ、おもしれえからいいんだが――いかんせん弱くてなあ。
 ちょっと飽きてきちまった。アンタらかなりの腕利きだろ?一つ鍛えてやってくれよ』

キングマホたんはそう言うと城壁の向こうへ一足に飛び去ってしまった。

「……鍛えるって、俺達が、コイツを?」

荒野に取り残されたエンバースが呆然と呟く。

「おーい、そりゃ無茶だろ!コイツが俺達の話を大人しく聞く訳ない。
 はあ……まあいいさ。カザハが『幻影』持ってたよな?最悪コイツはふんじばって、
 俺があのムキムキマホたんを倒しちまえば手っ取り早くチャプタークリア出来るだろ……」

エンバースは愚痴りながらもとりあえずインベントリから手当たり次第にハウジングアイテムを放り出している。
その背後で煌帝龍が立ち上がった。

「いや、その前にコイツをいっぺんやっつけとくのが先か?
 マホたんカーニバルは名残惜しいが、チャプタークリアだけならその方が――」

エンバースがそちらへ振り返ると――煌帝龍は黙したまま深々と頭を下げていた。
さしものエンバースも言葉を失って、困ったように頭を掻いた。

「……ていうかお前、なんだよその格好。そもそもなんであのムキムキマホたんを名指しなんだ?
 素手ゴロなんかしないでアジ・ダハーカもアポリオンも使って攻め込めば選び放題だろ?」

煌帝龍は黙ったままだ。
彼の気性からしてこうして頭を下げただけでも相当な決心が必要だった事はエンバースにも分かる。
この上、根掘り葉掘り聞かれて素直に答えられるほど煌帝龍のプライドは安くないのだろう。
勿論、エンバースには「だんまりを決め込むなら頼むを聞く義理はない」と煌帝龍の頼みを突っぱねる事も出来る。
出来るが――

「――それで、どうする?みんな。このままチャプタークリアしても味気ないし……やってみるか?」

エンバースはこういう時、結局甘さを隠せないのだ。


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